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その他短編35 - (2009/10/26 (月) 21:24:50) の編集履歴(バックアップ)


そんな、見てるこっちの心が痛くなるような顔、しないでくれと言いたい。
これは真剣勝負だけど、あくまで他愛のないゲームなのだ。
お前だって、それは承知の上。双方合意によってのコトじゃないか。

「もう、この辺でやめにしとこうよ」

せめてもの仏心から、そう提案してみたけど……
悔しさか恥辱か、はたまた、珍しく飲んだお酒の魔力か、
翠星石は白い肌を真っ赤に染めて、ぐぬぬと唸った。
僕を睨む目には、今にも流れ落ちそうなほど涙が溜まっている。

「まだです! まだ終わらんですぅ!」
「そうは言っても、お前もう後がないじゃないか」
「これはっ……そう! 背水の陣ってヤツです。こっから奇跡の大逆転ですぅ!」
「お前なあ、意地を張るのも大概にしとけよ。僕の神の指先テクニックに勝てっこないだろ」

呆れる僕の鼻先に、ずびし! と突き付けられる、翠星石の指。
「おめーこそ、思い上がりは大概にしやがれです。物事に絶対なんかねーですよ。
 奇跡は起きるです。起こしてみせるですぅ! ……ヒック」
「……この強情っぱりめ」

こうなったら仕方ない。とことん勝負してやろうじゃないか。
「じゃあ続けるぞ、翠星石」
「望むところです、ジュン。かかってきやがれですぅ! ……ヒック」
『や~きゅ~う~をす~るなら~、こ~ゆ~具合に――』


さて、この勝負の結末だけど…ぬふふっ。悪いね、僕と翠星石だけの秘密だよ。
……おいおい、そんな顔しないでくれって。ぬふふふ……。


ベ「最近寒くなったな」
ジ「暑い夏よりはマシだろ」
ベ「しかし急に寒いのもなぁ…なにか暖まる方法はないか?」
ジ「そんなこと言われても…」

梅「ベジータ!僕がいるよ!さぁ、一緒に暖まろうか」
ベ「だいたい予想はついていt…アッ-」

ジ「いつも通りの展開ってつまんないよな」
べ「そこは言わないでくれ」


夕方よりか少し早めの帰り道。
私は鞄を肩に掛けて歩きながら、アスファルトにこつこつ響くローファーの足音を聞いていた。
今日も隣に好きな人はいない、少ない足音。
「帰りぐらい一緒にいてもバチは当たらないですよね」
思わず口をついて出た言葉に私自身が笑ってしまう。
片想いの幻想もいい加減にしないと体に毒なのはわかっているけれど、妄想は止まらない。
それが恋なのだと気づいたのは、ほんのつい最近のこと。
「おーい、雪華綺晶!」
後ろから聞こえてくる、疲れてかすれ気味の低い声。それが誰の声だとか、その声を聞いて――そのうえ名前まで呼んでもらえた――嬉しくなるなんて言えない、言わない、表に一切出さない。
どうせこの偏った片想いが砕けるのなら、その時は彼に面と向って私の気持ちを告白している方がよっぽどいい。
ちょっとしたミスでばれて、嫌われるのだけは絶対に避けたいところ。
「やっと追いついた……歩くの速すぎ」
彼は私の隣で上がった息を整えつつも苦しそうに笑っている。
「せっかく一緒に帰ろうって誘おうとしたらいつの間にかいなくなってんだから。結構探したんだぞ」
「え、あ、その、すみません」
「じゃあちゃんと見つけ出したご褒美に、きらきーの恋心でも攫っていこうかな」
「な、何言ってるんですか……」
「冗談だよ。さて、これから帰る話は何にしようか?」
すでに攫われてしまっている恋心は上手く転がされて振り出しに戻るのか、はたまた輝かしいゴールに辿り着くのか。
私は大穴狙いで、栄光のゴールの方へと今あるすべてを賭けてみることにする。
後は野となれ山となれ……少し違う?
「あ、そういえば」
忘れていたと悪戯っぽく微笑む彼は、
「近々正式に君の恋心攫いにいくからよろしくな」
ゴールの一歩手前、私の頭の中は大穴的中の喜びとゴール後の彼との楽しい生活の妄想でいっぱいになっていた。
気が早い、そんなもの片想い乙女には関係ないのです。

 終わり

眠気ときらきーには勝てない……おやすみ


ベ「お、おい!まさか誰もいないのか!」
梅「ココにいるぞベジータ!さぁ!僕と一つに!」
ベ「なぜ貴様が…アッー!」


ジ「お前ら少しは自重しろ」
ベ「いや、書いてる奴のネタがこれしか浮かばないらしいから…」
ジ「そうか…」


ジ「笹塚はどこだ?」

べ「さぁ?」

【どこに】【いる?】


笹「廊下は僕の教室だ、勝手に入らないでくれ」

ジ「すまない、許してくれ」


何の変化も無い退屈な僕のクラスに転校生が来たのは、秋の肌寒い朝のことだった。
担任の教師に促され、教壇のところに立った銀髪が僕の目に鮮やかに映った。
担任が少女の名前を黒板に書き、少女が自己紹介をする。
彼女の顔を穴の開くほど見つめていた僕の耳には、もう何も入らなかった。
「…笹塚。笹塚!」
隣の席に座る眼鏡の友人の揺さぶりで、僕はやっと我に帰った。
どうやら、僕は担任の呼びかけを無視してしまっていたらしい。
「やっと気づいたか、笹塚。転校生の席が空いていないから、お前は廊下に立っていなさい」
すごすごと指定席へ向かう僕に向けられた転校生の少女の憐憫の目が、僕の心をジャンクにした。

【この僕に】【微笑んで】