「水銀燈短編7」の編集履歴(バックアップ)一覧に戻る

水銀燈短編7 - (2006/05/05 (金) 22:25:26) の編集履歴(バックアップ)


銀「はあ~・・・飲んでないとやってられないわぁ~
  ・・・グスッ・・・なんで真紅なんかに・・・」
薔「元気だして・・・銀ちゃん・・・」
銀「もう、いいのよぉ・・・もうJUMなんて・・・
  一人の方が気楽でいいわよぉ・・・」

銀「まあ、私なんかに恋人がいたって事だけでも
  有難かったのかしらねぇ~・・・」
薔「そんな・・・そんなこ事言っちゃダメだよ!銀ちゃん!!
  ・・・顔が人間じゃないんだから!!」



薔「あっ・・・違う・・・違うの・・・
  今のは『人間は顔じゃない』って言おうとしただけでその・・・」
銀「・・・それはわかってるけど、この状況で『人間は顔じゃない』って言うのも
  それはそれでまた失礼よねぇ~・・・」









「ちょっとぉ、ちゃんと聞いてるのぉ?」

「え?ああ、ちゃんと聞いてるよ」

どんなにスムーズに話している時でも彼が何か考えながら時々見せる表情、それが私を不安にさせる。

きっと昔のことを思い出しているのだろう。あの子と私を重ねて見ているのかもしれない。
無意識なのがかえって怖い。

あの子のことが彼に罪悪感を抱かせるのだろうか。

「ほんとに馬鹿ねぇ・・・」

「いきなりなんだよ・・・ったく」

そんなヘタな正義感、今更誰が喜ぶというの?

彼との関係が変わってから私は思っていることが口に出せなくなった。
彼の真っ直ぐでそつのない、そんな優しさにゆっくりと首をしめられていく感じにただ耐えてきた。

何の理由で私を選んだのか。
付き合いはじめるまであった根拠の無い自信はあっという間に崩れさった。



追憶にしろ忘却にしろ、寂しい時にだけ利用されてるのだとしたらたまったもんじゃない。

もう恋愛感情はないとあなたは言う。
そんなこと言って本当はノスタルジックにおもわれる彼女のほうがいいんじゃないの?
そう考えてしまう自分が憎たらしい。

彼の本当の気持ちを知りたい気持ち、そんなこと考えたくもないという気持ち。
ふたつに板挟みにされてイライラしてくる。

あの子のことなんて全部忘れてほしい。ただ私のことだけを考えて強く抱きしめてほしいだけ。
そう願うことは贅沢なことなの?
イミテーションのような優しさで包まれるのはもうたくさん。

「なあ」

「・・・なによぉ」

「・・・手」

それだけ言うと彼は私の手を握った。少し冷たい。



(・・・本当に馬鹿なのは私ねぇ。今時中学生でもこのぐらいで満足しないわよぉ?)

そんなことをされただけで不安な気持ちがやわらいでいく。

顔が熱い。赤くなっていくのが自分でもわかる。

(情けないわねぇ・・・JUM以外にはとても見せられたもんじゃないわぁ)


あれこれ考えてみてもそんなことどうでもいいくらい、
彼に惚れているゆるぎない事実。
それが私の弱みなのだ。



「ねえJUM」

「ん?」

「・・・あなたが好きよぉ」

fin









ああ、いやだな。
薬は効かない。

「ねえ・・・私いつになったら死ねるのかな」
「めぐ・・・お願いだからそんなこと言わないで」

沈黙、
私は笑顔を崩さない。

「いいのよ、別に生きていたいわけじゃないし」
「・・・」

彼女は俯く。
いつも私は言葉を選ぶ。
相手がなにも言えなくなるように言葉を選ぶ。

「馬鹿ね、誰だっていつかは死ぬわ。はやいか遅いかの違いだけ。小さな違いだわ」

私は期待しない。なにに対しても。
治らなかった時に傷つくのはいやだから。
いなくなった時に傷つくのはいやだから。