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蒼星石短編22 - (2006/05/13 (土) 22:17:56) の編集履歴(バックアップ)




JUMと蒼星石が付き合い始めました。

帰りのホームルームが終わった後、JUMは蒼星石の所にやって来た。
その顔は何処か赤らんでいる。
J「そ、蒼星石っ////」
蒼「なに、ジュン君?」
JUMに顔を向ける蒼星石。
JUMは眼をあちこち泳がせながら、口を開いた。
J「その、さ、一緒に帰らないか…?/////」
蒼「えっ/////」
JUMの言葉を聞いた蒼星石は、顔を徐々に赤く染めていく。
蒼「あの、えと、い、いいよ/////」
こうして二人は、恋人になって初めて二人一緒に帰ることになった。


二人は下駄箱で靴を履き替え、一緒に学校を出る。
しかし、二人は顔を赤く染めたまま終始無言であった。
J(っ、なんか喋んないと… で、でも、なに話せばいいんだ!?/////)
蒼(ど、どうしよう、ずっと黙ってたらジュン君つまらないよね? で、でも、どんな話をしたらいいんだろう?/////)
付き合い始めたばかりの二人は、妙に恋人ということを意識しすぎて、まともに話が出来なくなってしまっていた。
J(と、とりあえず、黙ってるのも限界だ、何か話しかけてみよう…/////)
蒼(このままじゃ気まずいし、何か話しかけなきゃ…/////)
J・蒼「「あのっ//////」」
二人の声がハモった。
J「えっ…?/////」
蒼「あっ…/////」
二人は眼をぱちくりとさせた。
J「えっと、な、なんだ?////」
蒼「あ、いや、僕は別に…//// ジュン君、何か言いたいことあったんじゃ…?////」
J「えっ、いや、僕も別に…/////」
またも沈黙が二人を包む。
蒼(ど、どうしよう… あっ!)
その沈黙をどうにかしようと考えていた蒼星石が、道路の段差に足を引っ掛けてしまった。
J「蒼星石っ!」
JUMは咄嗟に手を伸ばし、蒼星石の手を掴んで彼女を支える。
J「大丈夫か?」
蒼「う、うん//// あ、ありがとう/////」
J「そうか、良かった」
JUMは笑顔を向ける。だが、蒼星石は赤い顔で戸惑っている様子だ。
そしてJUMもその蒼星石の様子を見て気付いた。自分が彼女の手を握ったままだということに。
J「あっ、ごめん!/////」
JUMはそう言って、手を離そうとしたが、離す寸前で思い止まった。
蒼「…ジュンくん?/////」
JUMは顔を更に赤く染めて、蒼星石とは眼を合わさずに口を開いた。
J「えっと、さ、このまま、手握ってちゃダメかな…?//////」
蒼「えっ///////」
蒼星石の顔も更に赤く染まる。眼はあちこち泳ぎ回り、明らかに動揺しているのが見て取れる。
蒼「あ、あの、じゅ、ジュンくんがそうしたいのなら… いいよ///////」
二人の顔はもはや蒸気が出そうなほどに赤く染まっていた。

それから二人は手を繋いだまま歩きだした。
J(蒼星石の手、柔らかい…////// ヤバイな、心臓がバクバク言って止まらない…//////)
蒼(ジュンくんの手、あったかい…////// どうしよう、心臓の音聞こえちゃわないかな…?//////)
二人はやはり無言だったのだが、さっきまでの様な気まずさは無く、
何処か嬉しさと気恥ずかしさが混じった様な、よくわからない気持ちでいっぱいだった。


途中で別れて家に帰り着いてからも、二人は手を繋いだ時の事を考えていた。
J(蒼星石の手の感触まだ残ってる…//////)
蒼(ジュンくんと手繋いじゃった…//////)
手を繋いでいた時間はそこまで長くはなかったが、その日中二人を幸せに浸らせるには十分だった。


/終わり






コロコロ、JUMは口の中で何かを転がしていた。
蒼「あれ、ジュン君なに舐めてるの?」
J「ん? 飴、ピーチ味」
蒼「あ、いいな、僕にも頂戴?」
J「ん、ちょっと待って」
JUMはポケットを探った。
J「ごめん、ピーチはもうないわ、オレンジでいいか?」
蒼「えーっ… …それじゃあ」
J「んっ――!?」
蒼星石はいきなりJUMの口に吸い付いた。
ちゅぷ、ちゃぷ、ちゅっ、コロッ…
蒼「ぷはっ、うん、甘くておいしいね♪」
そう言って蒼星石は口の中で飴玉を転がした。
J(あ、甘くておいしいって////)
蒼「どうしたの、ジュン君?」
J「…いや、なんでもない」
JUMは気を取り直して、オレンジ味の飴を口の中に放り込む。
そして蒼星石はその様子をじっと見ていた。
蒼「…なんだか、オレンジが舐めたくなってきたな~」
J「えっ? ごめん、飴はこれで品切れだ」
蒼「ねぇジュン君、交換しよ?」
J「交換って… んっ――!?」
ちゅぱ、ちゅっ、ちゅる、コロッ、コロッ…
蒼「ぷはっ、う~ん、オレンジもおいしい♪」
J「そ、そうか…/////」
蒼「…なんだか、またピーチが舐めたくなってきちゃった」
J「……」

それから、二人は飴が無くなるまで交換を続けたとか。





蒼「本当に僕でいいの?」
僕はたまにこんな質問を彼にしてしまうことがある。
そしてこの質問をした時、彼は決まってため息混じりに笑いながらこう言う。
J「お前がいいんだよ」
それを聞いただけで、僕は空に舞い上がってしまいそうなほど嬉しくなる。
いつもならこれで終わるのだが、今日の彼は更に言葉を紡ぎだした。
J「お前は僕でいいのか?」
僕はその言葉に少しキョトンとしてしまう。
でも、すぐに僕は笑顔を作って彼に言葉を放つ。
蒼「ジュン君じゃないとダメなんだ」
僕の言葉を聞いた彼は少し恥ずかしそうに笑い、「そうか」とだけ言った。
そんな彼を見て、僕は可愛いなと思った。
本人に言うと怒るので言わないけど。
蒼「ジュン君」
僕は言葉に愛しさのすべてを込める様に彼の名前を呼んだ。
J「…なんだ?」
彼は優しい声で聞き返した。
蒼「ううん、なんでもない」
僕は彼にして欲しいことがあったんだけど、言うのをやめて笑って誤魔化した。
そんな僕の様子を見ていた彼が少し息を溜めて口を開いた。
J「蒼星石」
優しい声で紡がれる、僕の名前。
僕は自分の名前が好き、彼が呼んでくれるこの名前が。
彼が僕の名前を呼んでくれるだけで、僕は幸せな気持ちになれる。
蒼「…なに?」
僕は微笑みながら彼に聞き返した。
J「いや、別に… ただ呼びたかっただけ」
彼はそう言って軽く笑った。
僕は「そう」と呟いて笑う。
僕がさっき言うのをやめて誤魔化したこと… それは「僕の名前を呼んで」。
誤魔化した理由はそれを言うのが少し恥ずかしかったから。
でも、彼は言わなくても僕の名前を呼んでくれた。
それがとても嬉しい。

彼と過ごすほんの些細なこと、他愛もないこと、それが僕の幸せ。
そして、それはきっと彼にとっても。


/終わり




J「ごちそうさま、あ~美味かった」
蒼「ふふっ、お粗末さまでした」
そう言って蒼星石は食器を片付け始める。
今日はのりがラクロス部の合宿で居ないために、蒼星石がJUMのご飯を作りに来てくれていた。
J「ありがとな、蒼星石」
蒼「どういたしまして♪」
蒼星石は食器を持って台所へと向かう。
J「手伝おうか?」
蒼「ううん、いいよ。ジュン君はのんびりしてて」
J「…そうか(あぁ、蒼星石はいい奥さんになるなぁ… もちろん旦那は――)」
蒼「きゃぁあああ!!」
J「!!?」
台所から響いた悲鳴にJUMは驚いて振り返る。
J「ど、どうした!!」
蒼「ジュンくんっ」
ぎゅっ!
台所から走ってきた蒼星石がJUMに抱きついた。
J「わっ//// ちょっと、どうしたんだよ/////」
蒼「あ、あれっ!」
蒼星石は震えながら台所を指差した。
J「あれ?」
JUMは眼を凝らす。そこに居たのは確かにアレだった。
アレとは何か? それはマザー2のサターンバレー付近に出たりする敵キャラだ。
マザー3でも出てくるんだろうか? あー早くやりてー――すまない、話が逸れてしまった。
まぁ、要するに台所によく出てくる奥様方の敵だ。その名は、
J「…ゴキブリ?」
蒼星石はJUMにしがみつきながらコクコクと頷いた。
蒼「ぼ、ぼく、ご、ゴキブリダメなんだ…!」
JUMは自分にしがみついて恐がる蒼星石を可愛いなぁと思いながら口を開く。
J「…ちょっと待ってろ、今何とかしてやるから」
蒼「う、うん…」
蒼星石は返事をしてJUMを離す。
開放されたJUMは、古い新聞を一部取り出してぐるぐると巻いて棒状にした。
そして、スタスタと台所に向かう。
JUMは十分ターゲットに近づいたところで右手に力を込める。
ヒュッ
ゴ「!!?」
バシッ!
ゴキがJUMの殺気に気付いた時には、事は終わっていた。
JUMはゴキの死骸などを軽く片付けてから手を洗う。
J「終わったぞ~」
蒼「ほ、本当…?」
蒼星石はまだ落ち着かない様子だった。
J「本当だって」
JUMはそう言って、笑いながら蒼星石に歩み寄る。
J「にしても、ゴキブリが恐いなんて蒼星石も女の子だな~」
蒼「むっ、それってどういう意味…?」
JUMはフッと笑って口を開く。
J「可愛いって事だよ」
蒼「え//////」
蒼星石は顔をポッと赤く染める。
J「恐かったら、いつでもさっきみたいに抱き付いていいからな?」
蒼「う、うん…//////」
ぎゅっ
蒼星石は赤い顔をしたまま、JUMに抱きついた。
J「蒼星石…?」
蒼「まだ、少し恐いから…//////」
JUMは少し笑って、蒼星石を抱きしめる。
J「蒼星石は怖がりだなぁ…」
蒼「うん…//////」
そして二人はしばらくの間、抱き合っていましたとさ。


/終わり





JUMのお部屋。

JUMはベッドに座りながら、横に居る蒼星石に声をかけた。
J「蒼星石~」
蒼「なぁに?」
J「空腹だ…」
蒼「えっ、まだご飯には早いけど、おなか空いたたら何か作ってこようか?」
J「違うんだ、今の僕は脳髄が空腹なんだ…」
蒼「脳髄が空腹…? それじゃあどうすればいいの?」
J「僕の膝の上に来てくれ」
蒼「えっ/////」
蒼星石は赤い顔で戸惑いながらも、JUMの膝の上にぽふっと座った。
蒼「…こうかな?//////」
J「うん、そう」
JUMは満足そうににんまりと笑う。
J「イイ匂い… それじゃ、いただきま~す」
かぷっ
蒼「ひゃっ!//////」
JUMが首筋に軽く噛み付いたので、蒼星石は驚きの声を上げた。
かぷかぷっ、ちゅぅぅ♪
蒼「やぁ…ジュンくん…//////」
J(あぁ、可愛いなぁ…)
JUMは蒼星石の首筋を甘噛みしたり、吸い付いたりして蒼星石の反応を楽しんでいるようだ。
かぷっ、ちゅっ、れろれろ♪
蒼「じゅ、ジュンくぅん…//////」
J(そろそろ、限界かな…)
蒼星石が切なそうな声を上げた所で、JUMは口を離した。
J「…ごちそうさま」
蒼「えっ…?」
J「ありがとな、蒼星石。これで僕の脳髄の空腹もしばらく大丈夫だ」
蒼「ジュンくん、えっと、脳髄の空腹ってなんなの…?」
J「僕の脳髄は常に蒼星石が欲しい~って言ってるんだ。だから、蒼星石分が足りないと空腹を訴えて大変なことになるんだよ」
蒼「そ、そうなんだ… それでおなかいっぱいになったの…?」
J「いや、まだまだだけど。蒼星石が辛そうだったし、この位貰えばしばらくは大丈夫だから…」
蒼「…ジュンくんが欲しいなら、もう少し食べてもいいよ?/////」
J「えっ?」
蒼「イヤじゃ、ないから…//////」
J「蒼星石… それじゃ、お言葉に甘えようかな…」
蒼「優しく、してね…?//////」

それからJUMはもう少しだけ蒼星石を味わいましたとさ。


/終わり





中学生時代。

J「翠星石の奴遅いな」
蒼「そうだね」
放課後、JUMと蒼星石は一緒に帰るために隣のクラスの翠星石を待っていた。
金「あっ、ジュンと蒼星石、いたかしら」
そう言って教室に入ってきたのは翠星石と同じ隣のクラスの金糸雀。
J「金糸雀? 僕たちに何か用か?」
金「翠星石からの伝言かしら。『梅岡のやろーにちょーっと悪戯したら本気で怒っちまいやがったですぅ。
  説教が長くなりそうですから、すまないですけど先に帰ってドラマの再放送をビデオに撮っといてくれです』かしら」
翠星石の伝言を聞いて、JUMと蒼星石は肩をすくめた。
蒼「しょうがないなぁ、翠星石は…」
J「アイツらしいけどな…」
金「それじゃ、確かに伝えたかしら」
そのまま手を振って去って行く金糸雀。
J「…僕たちも帰るか」
蒼「そうだね」


蒼「そう言えば、二人だけで帰るの久しぶりだね」
J「そうだな、翠星石が風邪で休んだ時以来か」
蒼「ふふっ、そうだったね」
少し笑いながら、歩く二人。
蒼「ジュン君はさ、将来の事って考えてる?」
J「将来?」
蒼「うん、将来どんな仕事に就くとか」
J「そうだなぁ…」
JUMは左手で顎を押さえて考えるポーズを取った。
J「…やっぱりまだよくわからないな。蒼星石は?」
蒼「う~ん、僕も、まだよくわからないな」
蒼星石は少し困ったような顔で答えた。
J「だよな、将来の事って言われてもよくわからないよな。…でも」
蒼「でも?」
J「いつになってもさ、こうしてお前と笑いながら話せたらいいなと思う…」
蒼「ジュンくん…」
蒼星石は微笑みながら言葉を紡いだ。
蒼「僕もそうだといいなと思うよ…」

二人の間にある幼馴染と言う絆…
それがいつまでも切れなければいいなと想う二人だった。


/終わり




蒼「遅いなぁ、ジュン君…」
蒼星石は窓からすぐそこのJUMの部屋を見ていた。
空はもう暗くなってきているというのにJUMの部屋にはまだ明かりがついていない。
JUMがまだ帰って来ていない証拠だ。
蒼星石がそうやってJUMの部屋をじーっと見ていると、不意に明かりがついた。
蒼「あっ」
それを見た蒼星石は、すぐに窓を開けて外に出てJUMの部屋の窓を叩いた。
しばらくしてカーテンが開き、顔を覗かせるJUM。そして窓も開く。
J「どうした、蒼星石?」
蒼「…入っていいかな?」
J「ああ」
蒼星石が部屋に入ったあと、窓をカーテンを閉めるJUM。
J「で、なんのよ――う…?」
JUMが振り返った途端、蒼星石がJUMに抱きついて匂いを嗅ぎ始めた。
蒼「…ジュン君の匂いだけだね」
J「何やってるんだ?」
蒼星石はJUMの顔を見上げる。
蒼「今日のジュン君遅かったから、もしかしたら他の女の子の匂いがついてないかと思って…」
J「…なんだよそれ、今日はちょっと笹塚に付き合ったから遅くなっただけだ。僕が浮気するわけないだろ?」
蒼「…ジュン君にその気がなくても、女の子の方が無理矢理って事も考えられるし」
現にそういうことをする女の子の心当たりが、蒼星石にはいくつかあった。
J「とにかく、もういいだろ? そろそろ着替えさせてくれ」
蒼「…まだダメ」
そう言って、蒼星石はJUMを引っ張ってベッドまで連れて行き、そのまま押し倒した。
J「っ、蒼星石…?」
蒼「……」
蒼星石はそのまま無言で自分の身体をJUMに擦り付け始めた。
J「うわっ、ちょっ、何やって…!/////」
蒼「…ジュン君に他の女の子が寄って来ないように、僕の匂いをつけてるの」
J「匂いって、そんな犬じゃあるまいし…/////」
蒼「いいから、じっとしてて。ジュン君は僕のものなんだから…」
それを聞いたJUMはため息をついて観念した。
J「…そうだな、僕は蒼星石のものだ」
蒼「そうだよ… ほら、体の中も…」
J「んっ…」
ちゅっ…

それからしばらく蒼星石の匂いつけは続きましたとさ。


/終わり