彼女の話を聞いていると、私の知識など彼女の足元にも及ばないと思ってしまうのはい つものこと。別にそれは、気になることではない。 見せてもらったスケッチブックの一頁。彼女自身は心理学に明るくないから、私の所へ 持ってきたのだろう。素人目から見ても、凡そ予想はつくであろう代物ではあるのだけれ ど。 ひとつの、否定。存在の否定とは、個人にとっては耐え難いダメージに成り得る。彼女 の言動からして、まだ『参っている』ような様子は見られない。なんといっても、付き合 いは長いだろうから。 私がその解決に乗り出すという行為は、恐らくおこがましいこと。だから私は、見守る ポジションに立とうと思う。焦らず、じっくりと。 ・黒という否定 ・透明という虚無 ・そのどちらを持ち合わせた存在 ・同じ世界。私達はそれでも、同じ世界に居る