真紅は警戒心が強い。真紅はいつも僕のことを見張っている。<br> 真紅の調査の細かさは尋常ではない。<br> PCや携帯の履歴の削除・手帳の書き込みなどには<br> 細心の注意を払わなければならないのだ。<br> こういった対策は常に心掛けてはいるのだが<br> 人間というものは不完全な生き物な訳で。<br> <br> 真「JUM、このレシートはいったい何なの?」<br> J「う、それは・・・。」<br> <br> うっかり処分し忘れたレシートを僕の財布から発掘した真紅が<br> ものすごい剣幕で問い質してきた。<br> 僕は動揺を表に出さないようにするのが精一杯で言い訳を見つけることができなかった。<br> <br> 真「私というものがありながら内緒でこんな店に。これが初めてなの?」<br> J「違うって。仕事でたまたま通りかかっただけなんだ。<br> 強引に同僚に誘われてだな(ry」<br> 真「正直におっしゃい!」<br> J「・・・すまん、週一回。」<br> 真「週一ですって!?なんてことなの。<br> 毎週出張だなんておかしいと思ったのだわ。」<br> J「出張じゃなくて外(ry」<br> 真「暑い中苦労して働いてるのかと思ったらとんだ命の洗濯なのだわ。」<br> J「ゴメン真紅、許してくれ。」<br> 真「―――そうね、これからはちゃんと帰りにお土産を買ってくれば許さないこともないのだわ。<br> たっぷりとトッピングを乗せた特製ババロアをお願いね。<br> それから詳しい場所を教えなさい。今度雛苺を連れて行ってみるのだわ。」<br> <br> こうしてまた、僕の隠れ家的存在のお店が消えてしまった。<br> <br> <br> <br> <br> <hr> <br> <br> 『届けれぬ思い』<br> <br> この気持ちは知られてはならない。<br> 知られれば彼女の傍から遠ざけられてしまう。<br> そんなこと耐えられるわけが無い。<br> だから誰にも気付かれてはいけない。<br> この気持ちは一生秘めていなければならない。<br> たとえリッサの鉄柩に押し込まれた咎人のように、<br> じわり、じわりと心に押し潰されるような苦痛があっても。<br> 深紅の彼女の傍に居れれば。<br> それだけで僕は生きていけるから。<br> <br> <br> <br> この気持ちは知られてはいけない。<br> 知られれば彼を遠ざけられる。<br> そんなことに耐えられるわけが無い。<br> だから誰にも気付かれてはいけない。<br> この気持ちは一生秘めていなければならない。<br> たとえ鉄の処女にだかれる咎人のように、<br> ぐさり、ぐさりと心に刺し貫かれるような苦痛があっても。<br> 魔法の指を持つ彼が傍に居てさえすれば。<br> それだけで私は生きていけるのだから。