<p>『 Eine Paradiesische Phantasie 』<br> <br> 「第一話 Begegnung」 #1 Reiner Rubin<br> <br> 世界がまだ炎に包まれていたときのこと<br> 守護神ローゼンはこの地に降り立った<br> ローゼンはまず世界に秩序と平穏を与えた<br> そして、生物を誕生させた<br> そこは楽園であった<br> 緑と青に支配された地球で<br> 動物と人間は手を取りこの楽園に感謝した<br> <br> しかし、ローゼンにとって一つの誤算が生じた<br> 世界が生まれて50紀がたった時のこと<br> 突如として世界は崩壊へと向かった<br> 原因は守護神にもわからなかった<br> ただ、世界の中心で祈りを捧げる事で事は解決した<br> 世界は輪廻した<br> <br> 世界の中心とは<br> 世界に点在する六つの塔を、蘇らせ、封印を解くことで世界に姿を現す<br> そこは世界の発祥の地であった<br> 恒久的な楽園<br> <br> 守護神が世界を去るとき、ローゼンは神子を選んだ<br> 神子は50紀に一人必ず誕生するように<br> 世界に祈りを捧げ世界を救う、これが神子の使命であった<br> <br> 何時しかこれは伝統から、伝説になった<br> 真意は世界の事実から遠ざけられた…<br> <br> 真「今日はとうとう契約の儀式…」<br> の「真紅ちゃん、王様が待ってるわ」<br> 真「すぐ行くわ…」<br> <br> 真紅はのりの先導で王の待つ教会へと向かう<br> 教会には王と枢機卿が待っている<br> そこで契約が行われる<br> 世界の救済を任される、輪廻の神子の契約の儀式<br> <br> ロ「待っていたよ、真紅。早速契約に取り掛かろう」<br> 真「はい、ローゼン国王陛下」<br> ロ「白崎、準備は出来ているか?」<br> 白「もちろんでございます。」<br> ロ「では、儀式に取り掛かる」<br> 真「…」<br> <br> 形式的に儀式が執り行われる<br> 前回の契約の儀式は50紀も昔のこと<br> だから、儀式は古代の言葉と古代の魔法が用いられる<br> ローゼン173世直々に古代から伝わる魔法を唱える<br> 口から紡ぎ出された言葉は形を成し、真紅の身を包む<br> <br> ロ「…守護神の名の下に!」<br> <br> 最期の一句を発す<br> 宙に浮く言葉は真紅の細い左手の薬指に指輪を作った<br> 「契約の指輪」<br> 薔薇を模った指輪の中央に台座がある<br> <br> ロ「ローザミスティカをはめなさい…」<br> 真「…はい」<br> <br> ローザミスティカとは、神子の証<br> 生まれる時に天から授けられた選ばれた印<br> <br> ローザミスティカを台座にはめると眩い閃光が走った<br> その光は教会のステンドガラスを通り抜ける<br> 世界の果てにある六つ塔を蘇らせる光…<br> <br> その頃城下町では…<br> <br> 村人「きゃー!魔物が現れたー!」<br> <br> 行き交う人で込み合う大広場<br> 魔物の軍団が空から現れたのを一番に発見したのは村人だった<br> 宿で王との約束の時まで待機していたジュンはその悲鳴で飛び上がる<br> <br> ジ「街中に魔物!?」<br> <br> 確かに、外に出ると空の一部に黒い影が無数いた<br> その影はぐんぐんと近づき、街中に向かって魔法を吐いた<br> <br> ジ「まずい!」<br> ?「弾けろ!『Der Schild eines Konigs』!」<br> <br> 突然光の盾が空中に現れ、魔物の攻撃をすべて弾いた<br> <br> ジ「みっちゃんさん!」<br> み「お待たせ♪防御は任せて、町の人は一人も犠牲にしないわ!」<br> <br> 草笛みつ<br> ジュンが隊長をしている近衛第二隊の副隊長だ<br> 光の魔法を得意としている<br> その防御に特化した魔力の高さは城内で一目置かれている<br> <br> <br> み「さぁジュン君、倒すのは君の役目よ!」<br> ジ「わかってます!」<br> <br> ジュンは勢いを付けて飛び掛る<br> 腰に差した剣を抜き、跳躍して一匹ずつ確実にしとめる<br> そのあいだみっちゃんは魔法での攻撃を魔法で防ぐ<br> 二人の息のあった攻撃と守りに魔物が怯む<br> それを見逃すジュンではなかった<br> <br> ジ「みっちゃんさん、足場を作って!」<br> み「OK!」<br> <br> 先ほどの盾を空中に浮かす<br> 民家の屋根からその盾に飛び乗り、そこを足場にもう一度飛ぶ<br> 右下から左上に薙ぎ払うかのような一撃は、空に浮かぶ影を一掃した<br> ジュンはこの国でも一、二を争う剣の使い手だ<br> 剣についた血を拭う<br> <br> その時、空は眩い光に包まれた<br> 閃光は六つに別れ、世界のどこかにある塔へと向かった<br> <br> み「この光は…?」<br> ジ「みっちゃんさん、僕は王との約束があるから行くね。処理は僕達の部隊で行おう」<br> み「え?あっ、わかったわ、後は任せて。」<br> <br> さっきまで民が溢れていた広場には<br> 一撃の下に切り裂かれた魔物の屍骸が散らばっていた<br> <br> ロ「契約は終わりだ。塔もこれで蘇った」<br> 真「…」<br> 白「後は経典の教えの通り、世界点在する塔に登りなさい。そして、封印を解くのです」<br> 真「…はい」<br> ロ「一人で行けとは言わぬ。騎士も一人お供させよう」<br> 真「騎士?」<br> ロ「桜田ジュンといって、若いが見所のある騎士だ」<br> 白「桜田君、入りなさい」<br> <br> 教会の入り口が静かに開く<br> 歳は真紅とあまりかわらない、黒髪で幼さの残る顔立ち<br> 王国の騎士の印である首飾りを付けただけで、後は割と軽装だ<br> 少し息が荒い<br> 服装も幾分乱れている<br> <br> ジ「はじめまして、輪廻の神子。桜田ジュンと申します。救済の旅、お供させてもらいます」<br> 真「…はじめまして、真紅なのだわ。」<br> ロ「どうした?」<br> ジ「ここにくる途中魔物に遭遇しまして…」<br> ロ「何!?城壁を越えて魔物が現れたのか?」<br> ジ「はい。しかし、大丈夫です。撃退しましたし、残りは僕の部隊に頼みました。」<br> ロ「おお!それは頼もしい!」<br> <br> 軽い挨拶を終え、二人は城へと戻り支度をする<br> 旅の期間はとても長い<br> 必要最低限の装備をつけ、後は少々のお金を授かった<br> <br> ロ「本当は軍隊でも付けてやりたい…。ただ、世界を回るのに軍隊では動きが取りづらい。」<br> 白「救済の旅とはいえ、他国の軍隊が通ってその国の王がいい顔をするわけも無いからね」<br> ロ「金銭的な援助は惜しまないつもりだ、頑張ってくれたまえ」<br> 真「わかりました。必ずや輪廻の神子の使命、達成させて見せます…」<br> ジ「僕は全力で神子を支えます。僕の部隊の仮隊長は草笛副隊長をお勧めします」<br> ロ「わかった。世界の崩壊が近づき、魔物の動きも活性化してきた。十分に気をつけてくれ」<br> 真「はい」<br> ジ「はい」<br> <br> 王と城の兵士達、そして、街の住人に見送られ真紅達は出発した<br> <br> 世界輪廻 世界の救済 楽園 世界の中心 六つの塔 輪廻の神子<br> <br> 一人の少女に課せられた使命はとても重い<br> その重く、長い長い旅はまだ始まったばかりだ…<br> <br> <br> ~#1 Reiner Rubin 終~</p>