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「新説JUN王伝説~序章~」第12話 - (2007/01/11 (木) 19:06:02) のソース

<p>「新説JUN王伝説~序章~」第12話<br>
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雪華綺晶との激闘から半月が経った休日、ジュンは自室の机に向かい格闘していた…<br>

ジ「あ~もぅ!!ここ何て書いてんだよ…」<br>
ジュンは今図書館から借りてきた中国語辞典を広げ古びた巻物を必死に和訳している<br>

それは先日雪華綺晶から貰った『北斗神拳』の秘伝書であった<br>

ジ「くっそ~…1000年以上前の中国語の書物なんていくら何でも厄介すぎるぞ…」<br>

ここ半月ジュンはほぼ毎日この巻物の和訳に時間を使っていた。しかし解読できたのはほんの一部のみであった…<br>

その時であった<br>
『バン!!』<br>
紅「ジュン、遊びに来たのだわ。紅茶を淹れなさい!!」<br>

真紅がいきなりジュンの部屋のドアを開けた<br>
ジ「う~…わっかんねぇな~…」<br>
しかしジュンは集中のあまり真紅に気付いていない<br>
紅「ちょっとジュン!!紅茶を!!」<br>
ジ「ぐうぅ…」<br>
紅「……」<br>
『ビシィッ!!』<br>
ジ「ぐわっ!!」<br>
ジュンに痺れを切らした真紅様必殺の巻き毛ウィップが炸裂した<br>

ジ「痛ててて…し…真紅、いたのか?」<br>
紅「(ムカッ)いたのかとは失礼ね…さっきから呼んでいたのに無視し続けるなんて再教育が必要かしら?」<br>
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真紅はそう言うと再びしなやかな金髪の鞭をヒュンとしならせた<br>

ジ「わ…悪かったよ、紅茶だな?ちょっと待ってろ。」<br>
紅「分かればいいのだわ…全く、使えない家来ね。」<br>
ジュンは真紅のそばをすり抜け一階に紅茶を淹れに向かった<br>

紅「ふぅ…ん?これは…」<br>
真紅はジュンの机の上に置かれた巻物に目をやった<br>
紅「熱心に何をしているのかと思えば…また訳の分からないことを…あら?」<br>

次に真紅が見つけたのは机の隅に置かれた指輪であった<br>
紅「これはいつもジュンがしてる指輪…」<br>
真紅はそれを手にとりまじまじと眺める<br>
紅「…綺麗…家来のものは主人のもの…ちょっとくらいならいいわよね?」<br>

真紅は誰に言うでもない独り言を呟きその指輪を左手の指にはめた<br>

紅「うん、やはりジュンより私の方が様になってるじゃない。」<br>

真紅が再び独り言を呟いたその時であった…<br>
『ふあぁ…眠ぃ~…』<br>
真紅の耳に聞き覚えのない声が飛び込んできた<br>
紅「だ…誰っ!?」<br>
真紅は慌てて周囲を見渡すがそこには誰もいない…<br>
紅「変ね…空耳かしら?」<br>
『あ~、この辺の残飯も質が落ちたよなぁ、こないだみたく外で卵焼き食べてるドジっ娘でもいねぇかな~?』<br>
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<p>すると再び真紅の耳に見知らぬ声が飛び込んできた<br>
紅「だ…誰かいるの!?」<br>
真紅は部屋に誰もいないことを確認すると窓を開けて外を見回した<br>

するとそこには一羽のカラスがいた<br>
紅「まさか…ね…私ったら疲れてるのかしら?」<br>
ふぅ、と溜め息を吐き頭を下げる…すると庭に一匹の猫が毛繕いをしているのが見えた<br>

『うめ~、あ~俺の足超うめー♪』<br>
紅「!?」<br>
聞こえた…今度こそ確かに声が聞こえた。それも目の前の猫から確実に<br>

紅「え?こ…これはどういう…」<br>
するとその猫が真紅を見た<br>
『うわっ、あんた太ったなぁ。先月とフォルム違うじゃん。』<br>

紅「なっ!?何ですってえぇ!?このクソ猫!!」<br>
『やべっ!聞こえたか。とんずら~♪』<br>
猫は真紅の怒鳴り声を聞いて庭から逃げて行く<br>
紅「待つのだわ!!この邪悪生命体!!」<br>
真紅は一目散に部屋を飛び出し階段を駆け下りていった<br>
『ドドドドドドドド…』<br>
ジ「何だ?真紅のやつ…トイレかな?」<br>
台所で紅茶を淹れていたジュンは階段から聞こえる轟音に思わず手を止めた<br>

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『バンッ!!』<br>
紅「はぁ…はぁ…どこに行ったのだわ?」<br>
真紅は勢い良く扉を開け外に飛び出したがそこにはすでに猫の姿はなかった<br>
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紅「ちぃっ…逃げられたのだわ…あの猫、今度会ったらその尻尾引き抜いてやるんだから…」<br>

真紅は怒りに満ちた瞳で独り言を呟く<br>
紅「それにしても…何でいきなり動物の言葉がわかるようになんて…一体何が起こったのかしら?………」<br>

(思考中)<br>
紅「はっ!わかったのだわ…きっと私の心が純粋過ぎるからこそ凡人には聞こえない動物の言葉が分かるようになったのね…そうよ、きっとそうに違いないのだわ!!」<br>

?『随分とおめでたい頭だな、小娘…』<br>
真紅の耳に突然声が聞こえてきた<br>
紅「だっ…誰!?」<br>
真紅が慌てて振り向いた場所にはジュンの愛馬、黒王号がこちらを見ていた<br>

紅「あ…貴女は…」<br>
黒『全く…私の知る“純粋”と言う言葉は少なくとも貴様のような輩には当てはまらぬと思うが…』<br>

黒王号は呆れたといった感じでブルル…と鼻を鳴らしてみせた<br>

黒『その指輪はソロモン王の指輪といって動物の言葉を持ち主に伝える指輪だ。それにしても…そのような都合のよい思考を恥ずかしいとは思わんのか?』<br>
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紅「う…うるさいのだわ!貴方こそレディに対する口の聞き方がなってないんじゃなくて?」<br>

黒『ほぅ…最近のレディとやらはネコババをするものなのだな…』<br>

黒王号は指輪のはめられた真紅の指を見て皮肉を吐いた<br>
紅「お…お黙りなさい!!家来の物は主人のもの…主人のものは主人のものなのだわ!!」<br>

黒『逆ギレか…まぁその意見には特に異論はないが、一つ腑に落ちぬところがあるな…』<br>

紅「な…何が言いたいのよ?」<br>
黒『貴様如き小娘が我が主であるジュン様を家来呼ばわりしているということだ…』ギロリ<br>

黒王は明らかな不快感を抱いた瞳で真紅を見据えた…<br>
その迫力に真紅は一瞬怯んだが、黒王の吐いた暴言に黙ってはいられなかった<br>

紅「待ちなさい!それではまるでこの真紅がジュンに劣っているようじゃないの!?訂正を要求するのだわ!!」<br>

黒『どこに訂正する箇所がある…?貴様如き凡人とあのお方を一緒にするでない、身の程知らずめが!!』<br>
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紅「なっ…なんですってぇ!?たかが馬風情がこの私に意見するつもり!?貴方こそ身の程を知りなさい!!」<br>

黒『私をそこいらの馬と一緒にするな阿呆めが!!私は代々“拳王”となるお方に仕える誇り高き血族なのだぞ!?』<br>

紅「拳王…?それは一体何なの?」<br>
真紅の問いに黒王は静かに口を開く…<br>
黒『ふっ、よかろう…貴様にも分かるよう教えてやる。拳王とはこの世に悪が栄える時現れ人々を守るべく拳を振るい、全ての悪を討ち滅ぼすというお方のことだ…』<br>

紅「まさか…それがジュンだとでもいうの?」<br>
黒『無論だ…だからこそ私はあのお方に仕えている。』<br>
紅「ふふっ…ふふふふ。」<br>
黒『何が可笑しい!?』<br>
紅「だって…あの優しいジュンがそんな大それたものなわけないのだわ。それに…」<br>

黒『何だ?』<br>
紅「ジュンの手は誰かを傷つける為にあるのではないのだわ…彼の指は誰かを幸せにする為にある魔法の指なのだから。」<br>
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黒『笑わせるな!!貴様にあのお方の何が分かる!?これは我が主にしか出来ぬこと…貴様の安っぽい思想なぞ拳王という崇高な存在の前では詭弁にすぎぬわぁ!!』<br>

真紅の言葉に黒王は激しい怒りの声を上げた<br>
紅「貴方にこそジュンの何が分かるというの!?あの優しいジュンが誰かを傷付け、自分もボロボロに傷付くのが崇高なことですって?<br>

私はそんなの認めないのだわ!!」<br>
だが真紅も一歩も引き下がらす黒王に真っ向から意見をぶつける<br>

黒『どうやら…貴様にはいくら口で言っても解らぬようだな…』<br>

紅「あら…奇遇ね。私も同じことを考えていたのだわ…」<br>

真紅と黒王の間に激しい火花が散る<br>
黒『来い、貴様の安っぽい思想など我が踏み砕いてくれる!それが我が主の為であろう…』<br>

紅「あら、畜生如きがこの私に逆うなど…いいわ、私が1から教育してあげるのだわ。」<br>
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<p>真紅は塀をひらりと飛び越え黒王の小屋の前に立った<br>
黒『身の程知らずめが…貴様如き小娘が本気で私に勝てるとでも思っているのか?』<br>

紅「その言葉…そっくり返すのだわ。」スッ<br>
そう言うと真紅は背中から一本のステッキを取り出した<br>
黒『まさか…その棒きれで私に挑むつもりか?』<br>
紅「ふふっ…当然よ。」ヒュン!<br>
真紅がステッキを横薙ぎに振るう…<br>
『ガゴォ!!』<br>
黒『!?』<br>
するとそこにあったコンクリートの塀は音を立てて砕け散った<br>

紅「我が家に代々伝わる護身用ステッキ…警察の特殊警棒でも叩き折ることができる品よ。」<br>

黒『なる程な…まあ丁度いい、一方的に弱者を痛めつけるのは好まぬからな…』スッ<br>

紅「ふんっ…家来のものは私のもの…ならば貴方を壊しても構わないということね、ならば遠慮なく行かせてもらうのだわ…」スッ<br>

両者が構え、再び激しい火花が散る…今ここにそれぞれのジュンへの思いと自らの誇りを賭けた闘いが幕を開けたのだった…</p>