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すいーと×くりむぞん - (2007/08/08 (水) 12:54:37) のソース
<p>すいーと×くりむぞん<br>
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＃１<br>
隣の席の人間との関係の話をしよう。<br>
イマイチわからない点を聞く関係ならクラスメイト。<br>
ノートの隅で筆談する関係なら友達。<br>
小声でキャッキャウフフする関係なら恋人…。<br>
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「ジュン、えっと…その、もっと構ってほしいわ」<br>
「……三分四十五秒。<br>
──さっき頭を撫でてから、まだそれしか経ってないんだぞ？」<br>
「ご、ごめんなさい。でも…」<br>
「一応授業中なんだぞ？さっきだって、消しゴム拾うフリまでして──っ。<br>
あぁ、もう、泣くなよ。 真紅」<br>
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言わずと知れたクラスの女王様。姫君。お嬢様。<br>
そんな彼女から数日前に僕は『命令』を受けた。<br>
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──ジュン。主として、真紅からの最後の命令よ。<br>
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幼馴染…それも、お互いの家に無断で入っていても<br>
なんら違和感の無いほどの関係である、僕と真紅。<br>
だからこそなのか、その時ソファの上でクッキーを食べていた僕は<br>
真紅のかしこまった言い回しにとてつもなく不自然なものを感じた。<br>
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──私の恋人になって頂戴。…いいえ、なってください。<br>
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僕はクッキーを吐き出した。盛大に。その…真紅の顔に。<br>
しかし、あろうことか彼女は顔に掛かったそれを美味しそうに、<br>
…それも、恍惚とした表情で食べていた。<br>
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「ダメなの…？」<br>
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確かあの時も僕はそれで負けたんだっけ。<br>
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幸せと苦笑が入り混じったため息を漏らし、<br>
僕は再び消しゴムを落とした。<br>
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「うにゅー♪うにゅー♪うにゅにゅにゅにゅーっ♪」<br>
「雛苺。食事は静かにするものよ」<br>
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雛苺をたしなめる様からは、先ほどの面影は微塵も感じられない。<br>
誰も知らない真紅の一面…。そう。『僕だけの真紅』。<br>
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「ジュン。どうしたの？そんなにボーッとして」<br>
「あ、いや。何でもないよ」<br>
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何でもあるのは真紅の方じゃないか？とでも言うように、僕は笑って見せた。<br>
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「そ、そう」<br>
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そうだよ。僕だけのお姫様──。</p>
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<p><font color="#FF0000">※ぶら×べりの世界とはひぐらしみたいなつながり方です。<br>
うにゅうにゅ歌ってる雛苺も本心を隠してます。</font></p>
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<p>＃２<br>
「じゅんーっじゅーんっ♪じゅじゅじゅじゅーんっ♪」<br>
「何て歌を唄ってるんだ、真紅」<br>
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帰り道の話をしよう。<br>
一人での帰路、思わず歌詞が曖昧な歌とかを口ずさんだり。<br>
それに気付かれた時、普通の人なら恥ずかしそうに慌てふためくだろう。<br>
でも、真紅は違った。そう。僕の真紅は違ったんだ。<br>
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「あ、ジュンっ♪ベジータと一緒に帰るんじゃなかったの？」<br>
「いやな、あいつ生活指導の梅岡に目ぇ付けられたみたいなんだよ」<br>
「大変なのね♪」<br>
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僕の、鞄で塞がってない方の腕を真紅が抱き締める。<br>
…みんな薄い薄いってからかうけど、別にそんなことはなかったぜ！<br>
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「クラスの人間が見たらどう思うだろうな、この光景」<br>
「私は構わないけどね」<br>
「そうなのか」<br>
「そうよ」</p>
<p> </p>
<p>ずっと繰り返してきた帰り道。<br>
真紅と一緒に帰った回数だって数え切れない程だろう。<br>
簡単なやりとりに高鳴る胸。<br>
今までの帰り道でも、いや、今までの人生で刻んだ数も数え切れない程だろう。<br>
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何かが違った。そう。何かが。<br>
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「ところで、ジュンはコスプレとか好き？」<br>
「なんだい唐突に。 …嫌いじゃないけどさ」<br>
「よかったぁー♪」<br>
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コートのポケットへ徐に手を入れ、某猫型ロボットのようにゴソゴソと探る。<br>
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ぎゅぎゅーっ ぽんっ。<br>
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そんな間抜けな音が聞こえそうなくらい元気良く上げた手に掴んでいたものはネコミミ。<br>
いや、それどころかグローブやしっぽまであった。<br>
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「あれ、真紅って猫嫌いじゃなかったか？」<br>
「そんにゃことないよ？」<br>
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何もかもが違っていたのだ。今までのもの、全てが。<br>
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「えーっと、ジュン… 今夜はうちに泊まっていかにゃい？」<br>
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───二人がにゃんにゃんしている時、<br>
一人のＭ字の純潔が奪われていた…。</p>
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<p>＃３ 真紅サイド</p>
<p>「……すぅー。すぅー」<br>
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私の大切な彼の話をしましょう☆<br>
そう、今私の隣ですぅーすぅー言ってる幼馴染！<br>
今日はお泊りでにゃんにゃん（猫さんと飼い主ごっこ☆）して、<br>
疲れて眠っちゃったんだけど…<br>
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「…げへへ……やばい、鼻血出ちゃったわ」<br>
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…彼は恋人。とは言え、まだプラトニック（？）な関け──<br>
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「むにゃむにゃ…しんくぅ…」 <br>
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──越えるか！？一線越えちまうか！？<br>
…ゴホン。いや、しかし、迂闊ではないだろうか。<br>
彼…ジュンと恋人同士になってから数日。<br>
そう。『まだ』数日なのだ。<br>
一ヶ月も付き合ってないのにその…<br>
関係を強要しては、はしたない娘だと思われかねない。<br>
そうだ。焦ってはいけない。私はジュンの恋人なのだから。<br>
…いやしかしだ。危険因子はかなりあるのではないか？<br>
まずは翠星石。あれは今巷で流行りの…なんとかデレだ。<br>
確か『これで落ちない男はいない』だとか謳われてたはず。<br>
…そして…雛苺。お子様に見えるけれど、時々妙に妖艶な顔つきになる。<br>
例えば…そう。『ジュン登りー☆』とかふざけたことを抜かして、<br>
ジュンの背中にあの無駄に大きな脂肪細胞の塊を押し付けているときとか。<br>
……やっぱり少しは焦らないとまずいかもしれないわね。<br>
取り急ぎ既成事実を…、って、ダメよダメっ！それも早すぎるわっ！<br>
ジュンを他の雌犬たちに寝取られず、尚且つ私のイメージも崩れない、そんな方法が必要ね…！<br>
いいじゃないの！上等だわ！十歳で既にドイツ語を制覇していた私の脳をフルに活用して──<br>
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「しんくぅ……しゅきぃ…」<br>
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むぎゅっ。すりすり。<br>
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───私は、規則正しく寝息を立てて寝ているジュンの胸ボタンを外して、パジャマをはだけさせた。</p>
