<p>【恋愛百景】真紅探偵事務所<br /> 第二話</p> <p>どうも。真紅探偵事務所の助手です<br /> 「あらワトソン君、先に起きていたの?」<br /> 「おはようございます…所長…」<br /> 「元気ないわね…」<br /> 因みに此所は某アパートの一室です<br /> もはや分かりますよね。そう、私達は…<br /> -バタン<br /> あれ?<br /> 「ワトソン君! ワトソン君!」<br /> なんで私は天井を…<br /> それに…何だか…寒気が…<br /> ……<br /> 「…トソン君…ワトソン君…」<br /> 「所長…私はワトソンでは…」<br /> 「…良かった…」<br /> 「所長…私は一体…?」<br /> 「急に倒れたのよ…でも、風邪で良かったのだわ…」<br /> 風邪…か…どおりで体が怠いと思ったら…<br /> 「所長…迷惑かけて申し訳…」<br /> 「今日は二人きりなのだから、真紅と呼びなさい」<br /> 「いえ、でも…」<br /> 唇に冷たい感触…どうやら所長…いや、真紅の指が唇に…<br /> 「ワトソン君…貴方は礼儀というものを重く見過ぎているわ。今日ぐらい…私に甘えなさい。これは所長としての言葉ではなく、貴方の幸せな恋人としての言葉よ」<br /> 「わかりました…真紅」<br /> 「良い子ね」<br /> はい、説明が飛んでしまいましたがつまり、私と真紅は恋人同士という事です<br /> 「全く…世話のかかる子ね」<br /> 「本当に申し訳ないです…」<br /> 「じゃ、私はご飯を作って来るのだわ」<br /> …マジすか…<br /> 「なんなの! その絶望した顔は」<br /> …そりゃあそうです。昔、彼女に作って貰ったハンバーグはもはや炭の塊でしたし…<br /> クッキーに至っては…思い出しただけで寒気が…それ以来、彼女を台所に入れてはならないというルールが出来たんです…<br /> 「大丈夫よ。もう昔の私ではないのだわ」<br /> 「…じゃ…お願いします…」<br /> 「私に任せなさい」<br /> …その自信が何処から来るのか知りたいです…</p> <p><br /> 「出来たのだわ」<br /> 「…」<br /> …遂にこの時が来ました…<br /> 「今回のは力作なのだわ」<br /> …とりあえず観念しましょう…<br /> では…<br /> 「「いただきます」」<br /> …あ…美味しい…<br /> 「あ…味はどう?」<br /> 「すごく…おいしいです…」<br /> 「ええ、次はこっちよ…」<br /> そう言うと、真紅はスープを差し出した<br /> 「美味しい…美味しいです」<br /> 「お口に合って良かったのだわ」<br /> ふぅ…さて、食事も終わりましたし…<br /> 「ワトソン君、薬なのだわ」<br /> 「薬…嫌いです」<br /> 「好き嫌い言わない」<br /> 「ならこうするのだわ」<br /> そう言うと、彼女は口の中に水と薬を入れて…<br /> 「っぷ…ぷぁ…」<br /> お約束ですね。口の中に流し込みました<br /> 「ぷはっ…真紅…風邪が移りますよ」<br /> 「どうだって良いのだわ。私も貴方の辛さを知った。それで良いじゃない」<br /> 「真紅…」<br /> 「貴方…」<br /> 私は、中学生の時を思い出しました…<br /> 中学生から無鉄砲だった彼女…それに引っ張られる私…<br /> 時間がいくら進んでも、変わる事のない日常<br /> 「真紅…愛してますよ」<br /> 「私もよ…」</p> <p>第二話・完</p>