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薔薇水晶短編53 - (2007/11/25 (日) 00:26:15) のソース

<p>日曜日の商店街にて――<br>
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「お! 薔薇水晶じゃないか。一人で買い物か?」<br>
「そう言うジュンこそ……いつもみたいに取り巻き……引き連れてないのね」<br>
「よしてくれ。学校じゃ、あいつらが勝手に、僕に付きまとってくるだけだよ。<br>
 休日ぐらいはウルサイのに邪魔されず、のんびり過ごしたいもんだ」<br>
「……ふぅん? じゃあ……ふふっ、今日は私が、貴方を独り占めできる日だね」<br>
「おい。そりゃ、話が飛躍しすぎてないか」<br>
「たまには良いじゃない。ね、お買い物……付き合って。<br>
 ウルサイのが嫌なら、静かに……いい子にしてるから。<br>
 ダメなんて言ったら……泣いちゃうよ?」<br>
「ほほーぅ。じゃあ、ダ――」<br>
「……くっ」<br>
「おい、待て待て。なんで顔を伏せる。ホントに泣く気か」<br>
「だって……ジュンが…………意地悪するんだもん」<br>
「――ったく。ただの冗談だってのに、これじゃあ僕が悪者じゃないか。<br>
 しょーがないな。分かった。付き合うから」<br>
「……ホント?」<br>
「ああ、本当だよ。だから、こんな人の多い所で泣き出さないでくれ」<br>
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いつでも都合よく出せる女の涙は卑怯だ! とは決して言えないジュンなのでした。<br>
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もっとも、薔薇水晶の頼みなら、なんでも聞いてあげるつもりでしたが―― <br>
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買い物の途中にて――<br>
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「――あ、そう言えばさ。昨日の夜、12chの旅番組を見てたんだ。<br>
 夫婦で民話の里を巡るってヤツ」<br>
「……夫婦で?」<br>
「おい。何故そこで頬を染める……。ま、気にせず話を続けるけど。<br>
 その番組で、座敷わらしの出る宿が紹介されてたんだ。予約は数年待ちだってさ。<br>
 しかも、その部屋『槐の間』って言うんだぜ。<br>
 お前のオヤジさんと同じ名前だな――って、どうしたんだ? 強張った顔して」<br>
「……遂に……秘密がバレてしまった」<br>
「なんだよ、急に怖い声で。秘密って、なんだ?」<br>
「ここだけの話…………あの宿に出るワラシ様は、お父さまの作ったお人形。<br>
 『開運なんでも望み叶えたるわコンチクショーですぅ』人形……略して、座敷ワラシ」<br>
「どこをどう略せば、そうなるんだよっ!」<br>
「……姉妹ドールとして……『発毛と育毛の歓びアナタに届け・お菊ちゃん』とか、<br>
 『いつでもどこでも携帯テレホンガール・メリーちゃん』がある」<br>
「うっわぁ。なんか、どっかで聞いたことある名前ばっかりだな」<br>
「お父さまは、伝説を作る男…………ステキ♪」<br>
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都市伝説ばかりじゃ、しょーがないけどな! とは決して言えないジュンなのでした。<br>
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そんな父親を慕い続ける素直な薔薇水晶が、大好きだってことも―― <br>
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暮れなずむ町の帰り道にて――<br>
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「ジュン…………今日は……その」<br>
「ん?」<br>
「ありがとね。お買い物……付き合ってくれて」<br>
「――いいさ、別に。どうせ、目当てもなくブラついてただけだし」<br>
「……」<br>
「なんだよ。僕の顔、じーっと見て。なにか付いてるか?」<br>
「眉毛……目と鼻と口……それと、メガネ」<br>
「はいはい。真面目に聞いた僕がバカだったよ」<br>
「……」<br>
「またかよ。なんだって言うんだ、いったい」<br>
「ごめんなさい。こんな風に、ジュンの横顔を近くで眺めるコト……なかったから」<br>
「そっか。いつもなら真紅たちが周りにいるから、二人っきりって珍しいシチュだよな」<br>
「うん。それで、つい……買い物の最中も、貴方だけ……見つめてた」<br>
「……バカ。恥ずかしいこと、言ってんじゃねーよ」<br>
「迷惑だった?」<br>
「し、知るかよ」<br>
「ふふ。じゃあ、迷惑ついでに……」<br>
「ん!? お、お前っ、今なにした――」<br>
「じゃ……また学校でねっ。……さよなら!」<br>
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おずおずと頬をくすぐった少女の吐息と唇は、初々しいまでの柔らかさで――<br>
これからも、ずっと僕だけ見つめてくれよ! とは決して言えないジュンなのでした。<br>
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夕闇の中へ溶けてゆく女の子の背中を見送りながら、ふと、少年は思う。<br>
こんなにも躍る心で、早く学校に行きたいと願ったのは、何年ぶりだろうか――と。</p>
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「…………」<br>
「むにゃむにゃ……」<br>
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眠れない。<br>
突然何を言い出すかって?<br>
僕の隣の少女を見れば、分かってくれるか?<br>
眠れない僕をよそに、可愛らしい寝顔で眠っている。<br>
少し無表情な普段と比べて、幸せそうに。<br>
何故か着けている左目の眼帯も、今は外している。<br>
まぁ…寝てるんだから、当たり前なのかもしれないが。<br>
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「んー……ジュ…ン……好きぃ……」<br>
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寝言か?<br>
さりげに嬉しい事を言ってくれた。<br>
そして、胸の奥が暖かくなった。<br>
<br>
「僕も好きだよ。薔薇水晶…」<br>
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眠り姫を起こさない様に、その柔らかな頬に口付けを。 
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<p>ジ「僕って枕が変わるとどうも寝つきが悪くてさぁ…」<br>
蒼「わかるわかる。僕もそうなんだ。」<br>
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薔「私も…アヒルちゃんがないとお風呂が寂しい…。」<br>
ジ・蒼「…」<br>
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薔「あと…シャンプーハットがないと…髪が洗えない……。」<br>
ジ・蒼「(゜Д゜)」<br>
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薔「…え、違う?…ちょっ…こっち見ないで……。」</p>