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君はどっちを選ぶ？ - (2006/04/02 (日) 15:05:10) のソース

<p><a title="kimihadotti" name="kimihadotti"></a><a title="kimihadottiwo" name=
"kimihadottiwo"></a>　　　今日の朝ＪＵＭが学校に着くと、教室の中から女同士の言い争いが聞こえた。<br>

翠　「大体、どうして真紅はそうやって自分勝手なんですかぁ！」<br>

真　「貴女にそんなこと言われる筋合いはないのだわ！」<br>

翠　「そっちに言われる筋合いがなくても、こっちには言う権利があるんですぅ！」<br>

蒼　「ふ、二人とも、落ち着きなよ…」<br>
雛　「喧嘩は良くないの～！」<br>
水　「そうよぉ。見苦しいわぁ。」<br>
　　　お馴染みの面子のようだ。一体何を言い争っているのだろうか。<br>

　　　聞き耳をそばだてていると、前のドアのところにもう一人の女の子が居ることに気づいた。巴だ。<br>

　　　どうやら、ドアを開けようか開けまいか迷っているらしい。とりあえず状況が知りたいので、声をかけてみた。<br>

Ｊ　　「なあ、ちょっと…」<br>
巴　「！…桜田くん。」<br>
Ｊ　　「何喧嘩してるんだ？…えっと…真紅と翠星石は。」<br>

巴　「うん…その…言いにくいんだけど…桜田くんのことで喧嘩してるみたい。」<br>

Ｊ　　「え？僕のこと？」<br>
巴　「さっきから聞いてたんだけど…ほら、いつも真紅って桜田くんに色々仕事を言いつけるじゃない。」<br>

Ｊ　　「ああ、まあね。」<br>
巴　「それで翠星石が、そうやって奴隷みたいに扱うのはおかしい、って言ったのよ。」<br>

Ｊ　　「…」<br>
巴　「そしたら真紅が、翠星石だっていつも悪口ばかり言ってる、きっとＪＵＮは傷ついてるって言い返して…」<br>

Ｊ　　「なるほど…そんな感じで今に至ると。それで、一つ聞いていいか？」<br>

巴　「何？」<br>
Ｊ　　「最初から聞いてたんだな？」<br>
巴　「…なんか入り辛くて…」<br></p>
<p>
　　　ちょうどそのときのことだった。中からバチン、と大きな音がした。<br>

蒼　「…！翠星石！」<br>
雛　「ぼ、暴力のはよくないの！」<br>
水　「そうよぉ！もっと穏やかに話し合えないのぉ？」<br>
翠　「…う、うるさいですぅ！もう…もういいですぅ！」<br>

　　　次の瞬間、いきなりドアが開いた。<br>
Ｊ　　「やば！」<br>
巴　「あ…」<br>
翠　「ＪＵＭ！…それに巴！なんでここに…」<br>
　　　翠星石は一瞬怯んだが、すぐさまＪＵＭの横を駆け抜けてどこかへ走っていってしまった。<br>

　　　…気まずい雰囲気。教室の中はしんと静まり返っている。その沈黙を破ったのは水銀燈だった。<br>

水　「…ＪＵＭ、巴。貴方たち、聞いてたわねぇ？」<br>
Ｊ　　「わ、悪い…」<br>
巴　「ごめんね…」<br>
蒼　「何で止めに入ってくれなかったのさ！」<br>
雛　「ＪＵＭ、酷いの！」<br>
Ｊ　　「ぼ、僕だけかよ…」<br>
　　　口々に皆が言う中、一人だけ黙っている奴がいた。…真紅だ。右の頬を押さえて座り込んでいる。<br>

Ｊ　　「…真紅。だ、大丈夫か？」<br>
真　「心配、いらないのだわ。」<br>
　　　口ではそう言っていても、目は少し潤んでいる。どうしよう…<br>

<br>
<br>
真紅を慰める　←？<br>
翠星石を探す<br></p>
<br>
<p>真紅を慰める　</p>
<p>Ｊ　　「真紅…なんで、喧嘩なんかしたんだ？」<br>
真　「…聞いていたのならわかるでしょう？」<br>
Ｊ　　「理由はわかる。でも、そんな些細なことで喧嘩するほど、真紅は子供じゃないだろ？」<br>

真　「…」<br>
Ｊ　　「普段はそんなムキにならないじゃないか。」<br>
真　「…」<br>
　　　真紅は黙って俯いてしまった。再び沈黙が場を支配する。<br>

　　　またしても、最初に声を発したのは水銀燈だった。<br>

水　「…さてと、私たちは翠星石を探しに行きましょぉか。」<br>

巴　「え？…で、でも…」<br>
雛　「真紅が一人になっちゃうの…」<br>
水　「馬鹿ねぇ、ＪＵＭが居るから大丈夫よぉ。ねぇ、蒼星石？」<br>

蒼　「…あ…ああ、そうだね。それじゃ、手分けして探そうか。」<br>

　　　四人とも教室の外へ出て行ってしまった。<br>
<br>
　　　しばし時が流れ、ようやく真紅が口を開いた。<br>
真　「ＪＵＭ…もうちょっと近くに来て頂戴。」<br>
Ｊ　　「あ、ああ…」<br>
真　「…」<br>
Ｊ　　「…」<br>
真　「…貴方は、本当に鈍感ね。」<br>
Ｊ　　「え？」<br>
真　「確かに私は、いつもならあそこまでムキになったりはしないわ。」<br>

Ｊ　　「…」<br>
真　「ただ…それが貴方のことだったから。ＪＵＭのことだったから…つい、ムキになってしまったの。」<br>

Ｊ　　「…それって…」<br>
真　「ねぇ、ＪＵＭ？貴方はどうなの？私に命令されるのは、辛い？」<br>

Ｊ　　「…僕は…」<br></p>
<p>
　　　ＪＵＭは、ひとつひとつ言葉を選びながら口にした。<br>

Ｊ　　「確かに…うるさい、って感じることはあるよ。でも…別に嫌ではないと思う。」<br>

真　「…そう。何故？」<br>
Ｊ　　「…何故、って？」<br>
真　「無理矢理何かをやらされるなんて、普通は嫌がるものでしょう？何故、嫌ではない、と言えるの？」<br>

Ｊ　　「…一応、無理矢理って自覚はあるんだね。」<br>
真　「答えて頂戴。」<br>
Ｊ　　「…真紅を、喜ばせたいからかな。」<br>
真　「え？」<br>
Ｊ　　「どんな形であれ、真紅の望みを叶えてあげれば、真紅は喜んでくれるだろ？」<br>

真　「…」<br>
Ｊ　　「真紅を喜ばせるのは僕の望み。だから、真紅の望みを聞くことが、僕の望みを叶えることになるんだ。」<br>

真　「…」<br>
Ｊ　　「…」<br>
真　「ＪＵＭ。貴方は馬鹿ね。」<br>
Ｊ　　「…い、いきなりきついな。」<br>
真　「でも…」<br>
　　　そこで言葉を切り、真紅は…ＪＵＭの唇を奪った。<br>

真　「そこが、貴方の長所でもあるのね。ＪＵＭのそんなところが、私は好きなのだわ。」<br>

Ｊ　　「…真紅…僕も、君のことが好きだよ。」<br>
　　　そろそろ他の生徒も登校してくる頃。二人はもう一度、短い口付けを交わした。<br>

<br>
Ｆｉｎ</p>
<br>
<br>
<p>翠星石を探す</p>
<br>
<p>
　　　ここは、真紅を慰めてあげるべきなのだろうか。<br>
　　　ただ…教室を飛び出していってしまった翠星石のことも気になった。<br>

　　　どうしようか迷っていると、水銀燈が口を開いた。<br>

水　「ＪＵＭ。翠星石を探してきてちょうだぁい。」<br>
Ｊ　　「え…でも、真紅は…」<br>
水　「真紅には、私たちがついてるわぁ。」<br>
雛　「そうなの！翠星石、一人で寂しい思いしてるの！」<br>

蒼　「ごめんね、ＪＵＭくん。探してきてくれないか？」<br>

Ｊ　　「わ、わかった。それじゃ、探してくる！」<br>
　　　ＪＵＭは教室を飛び出し、ある場所を目指した。<br>
　　　以前、翠星石が蒼星石と喧嘩したとき…一人で泣いていた場所を。<br>
</p>
<dl>
<dd>
　　　階段を数段飛ばしで駆け上がり、ＪＵＭは屋上に着いた。<br>

　　　案の定、ドアが少し開いている…迷うことなくドアを開いた。<br>

翠　「…誰ですぅ？」<br>
Ｊ　　「翠星石…やっぱりここか。」<br>
翠　「ＪＵＭ…！」<br>
　　　翠星石は、こちらに向けた顔をすぐに背け、目をごしごしとこすった。<br>

翠　「こ、こんなとこまで何しに来たですかぁ？別にこっちは呼んでねーですぅ！」<br>

Ｊ　　「…」<br>
翠　「な、何とか言いやがれ、ですぅ。」<br>
Ｊ　　「…なぁ。翠星石。僕は別に、お前の悪口ぐらいで傷つかないぞ。」<br>

翠　「！」<br>
Ｊ　　「それに、真紅の奴隷になってるわけでもない。」<br>

翠　「…」<br>
Ｊ　　「そんなくだらないことで、何で喧嘩なんかするんだよ！」<br>

翠　「…す、翠星石だって…ひっぱたくつもりなんか、なかったですぅ…」<br>

Ｊ　　「…」<br>
翠　「た、ただ…翠星石は…ＪＵＭに嫌われてる、って思いたくなかったんですぅ。」<br>

　　　翠星石の瞳に、涙が溢れだした。<br>
翠　「…翠星石は…嫌な子ですぅ…」<br>
Ｊ　　「？」<br>
翠　「ＪＵＭは…いつも真紅とは楽しそうに喋るのに…翠星石と話すと、最後はいつも機嫌が悪くなるですぅ。」<br>

Ｊ　　「そんなこと…」<br>
翠　「だから…真紅が羨ましかったですぅ…それで…心にもない酷いことを…」<br>

<br></dd>
<dd>
　　　そこまで聞けば、十分だった。ＪＵＭは、翠星石を優しく抱き寄せた。<br>

Ｊ　　「反省、してるか？」<br>
　　　言葉にはならなかったが、翠星石は何度も頷いた。<br>

Ｊ　　「それじゃ、戻ろう。皆、お前のこと心配してたぞ？」<br>

翠　「…真紅、翠星石のこと、きっと嫌いになっちゃったですぅ…」<br>

Ｊ　　「そんなことない。きちんと謝ればきっと許してくれるさ。」<br>

翠　「そう、ですかぁ？」<br>
Ｊ　　「絶対だ。」<br>
翠　「…」<br>
Ｊ　　「…」<br>
翠　「ＪＵＭ。」<br>
Ｊ　　「何？」<br>
翠　「ＪＵＭは、どうしてそんなに優しいですかぁ？」<br>
Ｊ　　「え？」<br>
翠　「あの状況では、どう見ても翠星石が悪者ですぅ。普通なら、真紅を慰めるべき状況ですぅ。」<br>

Ｊ　　「…」<br>
翠　「なんで、翠星石を探しに来てくれたですかぁ？」<br>
Ｊ　　「…最初は、真紅を慰めてあげようと思った。」<br>
翠　「…」<br>
Ｊ　　「でも…教室から走り去ったお前の姿が…どうしても気になって。」<br>

翠　「え…」<br></dd>
</dl>
<p>
Ｊ　　「僕は…もしかしたら…翠星石のことが好きなのかもしれない。」<br>

翠　「んな…！」<br>
Ｊ　　「あくまで…もしかしたら、だぞ？」<br>
翠　「な、なんで言っちゃうんですぅ！？」<br>
Ｊ　　「え？」<br>
翠　「酷いですぅ！自分から言おうと思って必死で告白の言葉考えてたのに…」<br>

Ｊ　　「わ、わ。叩くなよ！痛いってば！」<br>
翠　「もぅ！乙女心のわかんない奴ですぅ！だからモテないんですよぉ！」<br>

Ｊ　　「な、なんだと？」<br>
翠　「仕方ねーです！翠星石が付き合ってやるですぅ！感謝するがいーですぅ！」<br>

Ｊ　　「…ぷ。」<br>
翠　「な、何笑ってやがるんですぅ？」<br>
Ｊ　　「すっかり元気になったな。」<br>
翠　「…あ。」<br>
　　　ＪＵＭは、翠星石を強く抱きしめなおした。<br>
Ｊ　　「お前は、そうやって憎まれ口叩いてるときが一番可愛いな。」<br>

翠　「…ＪＵＭ…苦しいですぅ…」<br>
Ｊ　　「じゃ、必死で考えた告白の言葉、聞かせてくれるか？」<br>

翠　「…えと…」<br>
Ｊ　　「…」<br>
　　　翠星石は、ＪＵＭに軽く口付けながら告白した。<br>
翠　「ＪＵＭ…だーいすきですぅ♪」<br>
Ｊ　　「シンプルだな。（笑）さて、真紅と仲直りしてこいよ。」<br>

翠　「…ＪＵＭもついてきて欲しいですぅ…」<br>
　　　屋上から出て行く二人の手は、しっかりと繋がれていた。<br>

<br>
Ｆｉｎ．<br></p>