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この町大好き！増刊号１７ - (2008/08/28 (木) 02:30:53) のソース

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どこまでも広がる、荒れ果てた大地。その中心で、私は膝を付き、地面に倒れていた。<br />
武器も砕け、心身ともに限界に達している…<br /><br />
「だーわだわだわ！（←笑い声）所詮は脆弱なる人の子！私に勝つことなどできないのだわ！ 」<br />
返り血で全身を赤に染めた大魔王が、笑いながら私を見下ろしている。<br /><br />
折れた足と砕けた腕で、私は再び立ち上がろうとするけど…もう、体が言う事を聞いてくれない……<br />
世界は大魔王の力の前に屈するのか……希望は、もう残されてないのか……そう思った瞬間―――！<br /><br />
奇跡が起こった ―――<br /><br />
『ばらしーちゃん…私の力を…あなたに……』<br />
死んだはずのきらきーの声が聞こえる。<br />
不意に温かな一陣の風が吹いたかと思うと、全身に力がみなぎり…体は不思議な光に包まれ、全ての傷が瞬時に癒えた！<br /><br />
「そんな…！まさか…失われた血の盟約（エンシェント・ディステニー）が目覚めたというの！？ 」<br />
大魔王の表情に驚愕の色が浮かぶ。<br /><br />
私は立ち上がり、その手からほとばしるエネルギーを集約し、最強最古の魔法を大魔王に向けて放つ！！<br />
「……エターナル…フォース………ブリザード……！！ 」<br />
周囲の全てを飲み込む破壊の暴風、具現化されたコキュートスが、大魔王の体を貫ｋ<br /><br />
―※―※―※―※―<br /><br />
……ハッ！？<br />
嫌な予感がして振り返ったら、案の定と言うのか何というのか……<br />
きらきーが苦笑いを浮かべながら、私の背後に立っていた。<br /><br />
「ばらしーちゃん？……一体…何を書いてますの？ 」<br /><br />
そんな恥ずかしい事、私の口から言わせないで。お願いだから。 <br /><br /><br /><br /><br />
◆　◇　◆　◇　◆　　この町大好き！　☆　増刊号１７　☆　　◆　◇　◆　◇　◆ <br /><br /><br /><br /><br />
夏休みの宿題の追い込み作業。<br />
「分からない所があれば、教えてさしあげる事もできるでしょうし…」と言ってくれたきらきー。<br /><br />
彼女が来るまでの待ち時間が暇だったから、ついつい妄想を文章にしてる所を……見られた。<br />
死にたい。<br /><br /><br />
と…とにかく。<br />
気を取り直して……<br />
私は小さなテーブルを挟んで、きらきーと向かい合って座った。<br /><br />
完璧超人の彼女は、７月の時点で宿題は終えていたので…一人頑張る私と、それを見守るきらきー。<br />
分からない問題がある時は、きらきーにノートを差し向けたりした。<br /><br />
「ええっと…ここは……ｘを代入して… 」<br />
きらきーは優しく、丁寧に、教えてくれる。<br />
それでもさっぱり分からないから不思議。<br /><br />
「―――――って、聞いてますの？ばらしーちゃん 」<br />
ちょっとボーっとしてた私のほっぺたを引っ張りながら、きらきーが注意してきた。<br />
「でも…ちょっと疲れましたし、休憩にしましょうか 」<br /><br />
本当に、いつも私の事を分かってくれてる。<br />
「……… 」<br />
私はきらきーの提案にコクンと頷くと、そのまま地面にコロンと転がって天井を眺めた。 <br /><br /><br />
もうすぐ夏休みも終わっちゃう。<br />
それはやっぱり寂しいけど…でも、いつもの騒がしい学校も、ちょっとだけ懐かしい。<br />
そんな複雑な気持ち。<br /><br />
きらきーは座りながら、私はゴロゴロしながら……のんびりと流れる時間が、どこか嬉しかった。<br /><br />
と、そんな風に休憩している内に、私はとある物を見つけた。<br />
小さくクシャッと丸められたメモ用紙。<br />
私はそれを拾い上げると……<br /><br />
コレが入ったら……何か良い事が起きる……！<br /><br />
ピョイっと、願いを込めてゴミ箱目掛けて投げた。<br />
メモ用紙はゴミ箱のふちに当たり……コロンと床に落ちる。<br /><br />
失敗？ううん。違うよ？全然違うよ？<br />
だってほら、今の練習だから。<br /><br />
私はブツブツ言いながら、真新しいメモ帳をちぎって丸めて……今度こそ本番。<br /><br />
「………えい…… 」<br />
気合と掛け声に乗せて、運命の一球を投げる。<br />
でも今度は、ゴミ箱にかすりもせずに地面にポトリ。<br /><br />
…………さ…最初のがおしかったから、１機増えてたんだよ？<br />
これはつまり、もう一回チャンスがある、って事なんだよ！？ <br /><br /><br />
そんな感じで、再びメモ帳を丸めて投げていると…<br />
きらきーが無言で、私の手の届きそうな場所までゴミ箱を持ってきてくれた。<br /><br />
そのお陰で、私のメモ帳投げは５ページ目にして見事成功。<br /><br />
嬉しくなって振り返ったら、楽しそうに頬を緩ませているきらきーと目が合った。<br />
うん。さっそく、良い事が起こった。<br /><br />
◇　◇　◇<br /><br />
ちょっと休んだら、夏休みの宿題を再開。<br />
せっかくきらきーが手伝ってくれるんだからと、苦手な数学の攻略を続ける。<br /><br />
「ええっと……ここは素数を数えて…… 」<br />
きらきーは私の隣に座って、肌が触れ合う位の距離で教えてくれる。<br /><br />
思春期の私には、刺激が強すぎるポーズだよ…。<br />
私はそう思いながら…小難しい解説なんか聞き流して、きらきーのフトモモだけを凝視してた。<br /><br />
しなやかに伸びた細い足首。幻想的な白い肌。とっても素敵。<br />
そして一番は…何と言っても、このフトモモ！<br />
学園中探し回っても、こんなに素敵なフトモモを持っているのはきらきーだけ。<br />
流石の私も、この魅力は認めざるをえない。<br /><br />
……ちょっとだけなら、触っても怒られないよね？大丈夫だよね？減るもんじゃないし。<br />
それに、これだけ素敵なフトモモ。何もしないのは、逆に失礼だよね。 <br /><br />
一瞬の隙を突いて、私はきらきーのフトモモを思い切ってサワサワ。<br /><br />
すると……<br />
「もう！ばらしーちゃん！ 」<br />
ちょっと怒りながら、きらきーがペンの先で私の額をブスリと容赦無く刺した。<br /><br />
久々に、地面をのた打ち回った。<br /><br />
◇　◇　◇<br /><br />
おでこに絆創膏を貼りながら、二回目の休憩。<br /><br />
私はまたゴロゴロしながら、テーブルに積まれた夏休みの宿題を眺めた。<br />
きらきーのお陰で、結構進んだけど……<br />
それにしても、何で夏休みだからってこんなに沢山の宿題を出すんだろう。<br />
テーブルの上のプリントは、まだまだ半分以上は残っていた。<br /><br />
これじゃあ、残りの夏休み、宿題をするだけで終わっちゃうよ……<br />
そんな風に悲しくなってきた時…今日も冴え渡っている私の頭脳は、素晴らしい名案を思いついた。<br /><br />
時間を止めればいいんだ。<br /><br />
今までも、一人でこっそり練習してきたし…夏休みの宿題という、追い詰められた状況。<br />
それによって、私の新たなる能力が覚醒しないとも限らない。<br /><br />
私は仰向けになり、気分を落ち着かせ……<br />
そして、意識を集中しながら、両手を天井目掛けて思いっきり伸ばした！<br />
ついでに息も止める。 <br /><br /><br />
チクタクと時計の秒針が動くのが聞こえる。<br />
まだだ。<br />
時よ止まれ！と思いを込めて、掲げた両手に意識を集中させる。<br /><br />
………ダメ。息を止めてたせいで、これ以上は頑張れない。<br /><br />
私は大きく息を吐き、そのままグッタリと腕を下ろそうとして…ふと、思い出した。<br />
そういえば今、きらきーと一緒なんだっけ？<br />
自分の部屋だからって、完全に油断してたよ。<br /><br />
恐る恐る振り返ってみると……そそくさと目を逸らすきらきーを発見した。<br /><br />
「………………勉強で疲れたから……手の体操…… 」<br />
とっさに浮かんだ言い訳にしては、かなり完璧なものだと自分でも思う。<br />
「え…ええ、分かってますわ 」<br />
きらきーはそう言いながら、視線を泳がせていた。<br /><br />
良かった。時止めにチャレンジしてたのはバレてないみたい。<br /><br />
それから暫く、きらきーの笑顔が引き攣ってる気がしたけど…多分、これは気のせいだよね。 <br /><br /><br /><br /><br /><br />
　　　　　</p>
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