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薔薇水晶短編9 - (2006/04/02 (日) 22:43:12) のソース

<p> 今日もあと2時間で変わる。<br>
 ああ、今日もこのまま終わっちゃうのかなぁ。<br>
 窓を開けて、深淵色の空を仰ぎ見る。<br>
 黒に染まり流れていく雲の切れ目から黄金色の月が出る度、<br>

『今日も君は意気地なしでしたね、ばーか』<br>
 そう言われている気がして、益々欝になってしまう。<br>
 窓を閉じ、長い髪を惜しげもなくベッドに広げて寝転び、天井を仰いだ。<br>

 どうしたら真紅みたいに遠慮なく振舞えるのだろう。<br>
 どうしたら水銀燈みたいに気楽に抱きつけるのだろう。<br>

 どうしたら翠星石や蒼星石みたいに当然のごとく傍にいれるのだろう。<br>

 どうしたら雛苺みたいに無邪気に笑えるのだろう。<br>
 どうしたら金糸雀みたいに思いのままを歌えるのだろう。<br>

 どうしたら……、彼女たちのように。<br>
 思いのままに、ありのままで。<br>
 様々な思いが自分を責め立て、踏みつけているような気がして、気は滅入るばかりだ<br>
</p>
<p>「はぁ……」<br>
 そうだ、眠ろう。眠れば、明日になる。明日こそ。<br>
 明日こそ、わたしは一歩進める。進めるのだ。<br>
(そう思わないと、押し潰されそう……)<br>
 今わたしを取り巻く思いは凶器になって、皮肉なことに、わたしを襲う。<br>

 日付が変わるまであと1時間。<br>
 しかしわたしは、それを見届けることなく瞼を下ろすことにする。<br>

 明日こそと、微々たる決意を秘めて。<br>
 幸いなことに、その細い線は頭と目を覚ましても途切れることなく残っていた。<br>

 今日こそ、今日こそ。<br>
 何度も自分に言い聞かせると、その細い線は何重にも編み上げられていく。<br>

(……よし!)<br>
 奮起。喚起。今日は、やれる。やるしかないのだ。<br>
 いつまでもぐちぐちと「どうせわたしなんて」と嘆いてはいられない。<br>

 負けるとしても、胸を張れる負け犬にならなければならないのだ。<br>
</p>
<p>(……あ)<br>
 家を出て学校も近くなった頃、視界に特別な人影が侵入してきた。<br>

 途端、わたしの勇気は影を潜み、歩幅は70センチから40センチに縮んでしまう。<br>

 ああ、やっぱり自分は駄目なのだろう。<br>
 ここまで奮い立っておいて、いざとなると竦んでしまう。<br>

(……ううん……)<br>
 意気地なしの心が身をよじり、迷いを生む。<br>
(……やっぱり……)<br>
 ……いや。<br>
(……違う!)<br>
 今日こそは、今日こそは。<br>
 そう思い続けて、いったい、どれくらいの時間を浪費したのか。<br>

 思い返せ。たとえ辛くとも、それは自業自得なのだ。<br>
 今日こそは。<br>
 ―――これは、今日で、終わらせなければいけない。<br>
(これからは……!)<br>
 そう、これからは。<br>
 「今日から」、わたしは。<br>
「―――ジュン!」<br>
 長い道程だろうけど、全うしてみせよう。<br>
「ああ、おはよう薔薇水晶」<br>
 声をかけると、彼は振り向いた。<br>
 ようやく、わたしはスタートラインに立った。</p>
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<hr>
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<p>薔薇「真紅の…ミーディアム…」<br>
ジ「な、なんだよ?僕を殺す気か…?!」<br>
薔薇「お願いがあります…」<br>
ジ「え?」<br>
薔薇「私の…ミーディアムになって…」<br>
ジ「な、なぜ」<br>
薔薇「私は…あなたと…その…一緒にいたいから…」<br>
ジ「お前…」<br>
薔薇「私はあなたのことが…好きになってしまいました…お父様よりも…だから…私のミーディアムになって…」<br>

ジ「し、しょうがないな!そんなに頼むくらいミーディアムになってほしいならなってやるよ!」<br>

薔薇「嬉しい…では契約を…私の唇に…」<br>
ジ「え?指輪じゃないのか?」<br>
薔薇「私は特別だから…」目を閉じる薔薇水晶<br>
ジ「うっ(相手は人形なんだぞ?…だけど…可愛い…ええい覚悟を決めろジュン)」<br>

ジュンは薔薇水晶と契約を結んだ<br>
薔薇「フフフ…これで一緒…♪」<br>
ジ「(やっぱり可愛い)」<br></p>
<p><br></p>
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<hr>
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薔「・・・・・・・・・ジュン、あのね、お弁当作って」<br>

べ「ジュン!飯食いに行こうぜ!」<br>
J「ん、ああ、購買でもいくか・・・ってあんまり金忘れた・・・・」<br>

薔「あ・・・・・・・・・・」<br>
<br>
教室 べ笹J       l扉l薔    廊下<br>
薔「・・・・・・・・・・・・・ジー」<br>
J「悪いな一口ずつ貰っちゃって・・・相変らずまずいな購買の唐揚げは」<br>

べ&笹「・・・・・・・・・」<br>
薔「・・・・・・・・・・・・・ジー」<br>
J「やっぱり購買は焼きそばが・・・・どうしたんだ二人とも?」<br>

べ&笹「な、なんでも・・・・」<br>
薔「・・・・・・・・・・・・・ジー」<br>
J「早く食わないと昼休みなくなるぞ?」<br>
笹「あ、お、俺用事思い出した」<br>
べ「おっと、そうだそうだ、俺も梅岡に呼ばれてたんだっけ、じゃあな!」<br>

J「あ、おい・・・二人と如何したんだろう?」<br>
薔「・・・・・・ジュン」<br>
J「薔薇水晶?どうした?」<br>
薔「・・・・・お昼、一緒に食べよ?」<br>
J「ん、別にいいよ・・・あ、けど俺もう食う物が・・・」<br>

薔「あの、これ、食べない?」<br>
J「え、この弁当食べていいのか?物足りないと思ってたんだ、ありがとう・・・・・いただきます」<br>

薔「・・・・・・・ど、どうかな?」<br>
J「うん、美味いよ。薔薇水晶料理上手なんだな・・・・・きっといいお嫁さんになれるぞ」<br>

薔「あ・・・あ、ありがとう・・・・・お嫁さん・・・・・・・ジュンノ…」<br>

J「うん?なにか言ったか?」<br>
薔「う、ううん、なんでもない・・・・(///)」<br></p>
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<hr>
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ジ「お!ケーキがあるな。誰もいないし内緒で食っちゃお」パクパク<br>

ジ「うまかった~」<br>
薔薇「ふふふ~お風呂の後のケーキケーキ♪…ってあれ?」<br>

ジ「ど、どうした?薔薇水晶」<br>
薔薇「ここにケーキなかった?私がとっといたやつ」<br>
ジ「え?!いや、知らない…なぁ」<br>
薔薇「ん?なんか隠してる?」<br>
ジ「いえ何も?」<br>
薔薇「…あっ!その口元のクリーム!!ジュン!食べたなぁ!」<br>

ジ「いやこれは…深い訳が…」<br>
薔薇「わぁん!ジュンのバカァ!楽しみにしてたのに!バカバカバカぁ!」<br>

ジ「そんなに泣いて怒らなくても…可愛い顔が台無しだぞ?」<br>

薔薇「ごまかさそうとしてない?!」<br>
ジ「そんなことないよ。本当に怒った顔は似合わないぞ?もとが可愛いのに」<br>

薔薇「…し、しょうがないな、気分がいいから許してあげる!」<br>

ジ「ははっ(扱いやすいな。まぁそこが可愛いんだけど)」<br>
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