淳 よ、元気してる?<br> 真紅 …何か用?<br> 淳 いやぁ、たまには同期の顔がみたくなってね~。<br> ……所で、その鉄鍋で何合成してるの?<br> 真 ……昼御飯よ。<br> 淳 オレは未だかつて水酸化ナトリウム入りの鍋を見た事がないのだが。<br> 真 後で中和するから問題ないわ。……柔らかくなって美味しいのよ。<br> まってて。何か飲みものを入れるわ。一一はい。<br> 淳 ありがとう。しかし、客にバニラエッセンスをたらした水を<br> ビーカーに入れて出すと言うのも…。<br> 真 ……それとも私が入れた紅茶を飲みたいの?<br> 淳 僕が知る限り紅茶って言うのはだな、酢酸だの、硫酸だの、エタノールだの、<br> 不純物が混じっていないものを言うのだよ。……死にかけるのは一回だけで沢山だ。<br> 真 あの時は、非常勤のバイトで作ったエステルがたまたま余ってたの。<br> 淳 だからってそれを人間様の飲み物に入れるかよ。<br> 一一さて、そろそろ分析の終わる時間かな。<br> 真 食べていかないの?<br> 淳 あいにく舌の機能は健全なんでね。<br> しかし主食がカロリーメイトのお前が『料理』するなんて珍しい。<br> 真 ……今日バイトで解剖やったの。<br> 淳 ………………。<br> 真 あら、アフリカツメガエルって美味しいのよ。<br> <br> 第一ラウンド勝者:真紅 TKO<br> <br> 淳 実は僕、今度結婚するかも知れないんだ。<br> 真 そう。<br> 淳 親が知らない間に話を進めちゃってさ。今度の日曜日に先方にあう事になってんだ。<br> 相手は良いトコのお嬢さんらしい。<br> オヤジがいつまでも下らない研究やってないで<br> 将来の為に早く身を固めろってさ。<br> 真 何でそんな事、私にいうの?<br> 淳 つまり、まあ、なんだその、愚痴りたくなっちゃってさ。<br> 真 そう…。私は貴方の事好きだったわ。<br> 淳 え…。<br> 真 でもね、私も今度結婚する事になったの。<br> 淳 !!!<br> ………それは…おめでとう…。お幸せに。<br> 真 ありがとう。じゃあ、さよなら。<br> 淳 ………。<br> <br> 当日<br> 父 いや、これで安泰と言うものです。<br> 相手父 全くですな。<br> 父 まったく不肖の息子で。<br> いつまでもフラフラしていてはどうしようかと思いましたが。<br> 相父 貴方の息子さんなら安心して嫁にやれると言うものです。<br> これからも末永くお願い致しますよ。<br> 相手娘 …………。<br> <br> 相手父 淳くん、不束な娘だが、よろしく頼むよ。<br> 淳 ………あの…申し訳ありませんが、<br> 此の縁談はなかった事にしていただけませんか?<br> 父 なッ!!お前は突然何を言い出すんだ!<br> 相父 …どう言う事ですかな?<br> 相娘 ………。<br> 淳 僕は、ずっと好きな娘がいたんです。<br> だけど、勇気がなかったからなんか惰性でずるずるいっちゃって…<br> 意気地なしで最後まで告白出来ませんでした。<br> こんな気持ちのまま娘さんを貰う訳にはいきません。<br> だから、此のお話はなかった事にしてください。<br> 相娘 クスッ<br> 淳 ?<br> 相娘 クスクス…。貴方ってホントにドン臭いわね。全く、見合い相手の名前位確認なさい。<br> 淳 そ、その声は!!お、おまえ真紅!?<br> 真 遅くなったけど、その勇気に免じて許してあげる。<br> <br> 第二ラウンド勝者:淳 TKO<br> <br> エピローグ<br> <br> 真 フフフ。<br> 淳 どうしたんだい?急に。<br> 真 あれから3年もたつのね。<br> 淳 なにが?<br> 真 貴方がお見合いの席で私のお父様相手に大見得切った事よ。<br> 全く、あの時のお義父様の顔は見物だったわ。<br> 淳 ああ、あのことね。………今だから言うけどさ、<br> 真 なぁに?<br> 淳 実は、あの時の『好きな娘』って実はお前の事じゃなかったんだ。<br> あの後告白してすぐに振られちゃったよ、HAHAHAHAHA.うぇ、うぇwwww<br> 真 ………………。<br> 淳 HAHAH............<br> <br> …OK、待て。時におちつけ。話し合おうじゃないか。<br> うぁ、ちょ、おま、それで何す…<br> いや、ちょっとやめ、やめてくぁせdrftgyふじこlp;@<br> 第四ラウンド勝者:真紅 K.O.(嘗て淳だったもの戦闘不能)<br> <br> オハリ。<br> <br> <br> <br> <hr> <br> <br> <br> 「JUM、ちょっと止まるのだわ!!」<br> <br> 「な、なんだよ」<br> <br> 「見なさい、もう少しで蜘蛛を踏みつぶすところなのだわ」<br> <br> 「おっと、ほんとだ」<br> <br> 「まったく・・・でもこれで私は死んでも蜘蛛のおかげで救われるのだわ」<br> <br> 「おいおい何言ってんだよ、僕が踏まなかったから助かったんだぞ?」<br> <br> 「あら、私が言わなければ気付かなかったでしょう?」<br> <br> 「そうだとしてもだ。実際に行動したのは僕だからな。蜘蛛の糸で助かるのは僕の方だよ。まあついでにお前もひろってやるから心配すんな」<br> <br> 「それはこっちのセリフなのだわ。カンダタになるのは私なのだわ」<br> <br> 「赤が好きなお前なら血の池地獄なんかいいんじゃないか」<br> <br> 「なんてこと言うのだわ!!」<br> <br> <br> <br> (・・・なんでこのふたり地獄におちること前提で話してるかしら)<br> <br> <br> <br> <hr> <br> <br> <br> 真「じゃがいも、にんじん、たまねぎ、・・・あとは牛肉ね。」<br> J「またカレーか。たまには他の料理にしないか?」<br> 真「これしかうまくつくれないのだわ。」<br> J「まあ、真紅のカレーはうまいから好きだけどな。」<br> 真「な、なら文句いわないでちょうだい。」<br> J「はは、あとはなんかデザートでも買っていくか。」<br> 真「そうね。なにかいいものは・・・。」<br> <br> 和菓子・洋菓子コーナーから順にまわってみるがどれもいまひとつ。<br> しかし、アイスの棚を物色していた時に懐かしい文字が目に入った。<br> <br> 真「『ビエネッタ』!JUM、これにするのだわ。」<br> J「なんだ、アイスクリームか。」<br> 真「『なんだ』じゃないのだわ。あの『ビエネッタ』なのよ。<br> 高級感あふれるネーミング。<br> アイスのようで、それでいてケーキのようなフォルム。<br> バニラアイスとチョコレートのもたらす至福のひととき。<br> 子供のころの憧れだった至高の氷菓子。それがこの『ビエネッタ』なのだわ。」<br> J「確かに500円は子供には大金だけどそこまでのものとは(ry」<br> 真「JUM、あなたは少年の心を忘れてしまったの?イヤな大人になったのだわ。」<br> J「わかったわかった。買えばいいじゃないか。反対なんかしてないし。」<br> 真「それでいいのだわ。ああ、あのひとときをもう一度味わえるなんて・・・。」<br> <br> ここぞとばかりに大量に買い込む真紅。結局樋口一葉が1枚生贄として捧げられました。<br> 終わり<br> <br> 一口メモ<br> <br> ビエネッタは<br> <br> 59年 1984年日本食糧新聞社 「昭和59年度 第3回優秀ヒット賞(ビエネッタ)」<br> <br> 賞をもらっていたらしい。<br> <br> <br> <br> <hr> <br> <br> <br> 真「こ、これは!?」<br> ジ「どうした?」<br> 雛「うゆー?」<br> ジ「ゼリーのパンフレット?えーと…なになに…?」<br> 『はもやのゼリー、当たりが10個でくんくん特製目覚まし時計プレゼント!』<br> ジ「はもやのゼリーって…あのコンニャクゼリーか」<br> 真「買い占めよ…付近一帯買い占めるのよ!そしてこれから我が家の食事は朝昼晩とゼリーなのだわ!」<br> ジ「…本気か?」<br> 真「当たり前よ!当たりが10個でるまでよ!」<br> 雛「うー、ゼリーだけなんてやーなのー」<br> 真「ダメよ!拒否権はないのだわ!いいわね、のり!」<br> の「お姉ちゃんもダイエットしたかったからいいわよー」<br> 真「決まりよ!」<br> ジ「…マジかよ」<br> <br> 一か月後<br> 真「や…やったわ…」<br> ジ「や、やっと10個でた…ながかった…雛苺は途中で巴の家に家出するし…体重は10キロほど減るし…」<br> の「二人ともガリガリだねー」<br> ジ「こいつはなんで平気なんだよ…」<br> 真「ひ、ひとまず…はもやに送りましょう…」<br> <br> 更に一週間後<br> 『拝啓、桜田ジュン様、このたびはくんくん目覚ましキャンペーンに応募ありがとうございます。<br> 残念ながら目覚まし時計は既に在庫ぎれですので代わりにはもやのゼリー1年分をお送りします』<br> <br> 真「…………」<br> ジ「…………」<br>