「「新説JUN王伝説~序章~」3章」の編集履歴(バックアップ)一覧はこちら
「「新説JUN王伝説~序章~」3章」(2006/11/21 (火) 15:01:51) の最新版変更点
追加された行は緑色になります。
削除された行は赤色になります。
「新説JUN王伝説~序章~」第3話<br>
<br>
ジ「なあ、やっぱり恥ずかしいんだが…」<br>
黒『じきに慣れますよ、我が主。』パカラ…パカラ<br>
放課後、下校しようとすると今朝言っていたとおり黒王号が校門で待機していた<br>
始めは拒否したジュンだったが強引に押し切られ今は黒王号にまたがり帰宅している…<br>
子供「ママ~、あれなに~?」<br>
母親「しっ…見ちゃ駄目よ!?」<br>
ジ「うぅ…///」<br>
すれ違う人たちが向ける好奇の視線に耐えながらジュンはようやく我が家についた…だが…<br>
ジ「な…何じゃこりゃ…」<br>
ジュンは驚愕した…何故ならば朝登校する時にはあったはずの隣の家が跡形もなく消え、代わりに一軒家ほどの巨大な馬小屋が建っていたからだ…<br>
ジ「何故……はっ!!」<br>
ジュンは今朝のことを思い出した…それは薔薇水晶が言っていた言葉だった<br>
ジ「…手配はしとくって…こういうことだったのか…」<br>
彼女の家は日本でも有数の資産を誇る名家…きっと何かしらの手段を使ったのだろう…<br>
ジ「はぁ…」<br>
黒『ど…どうなされましたか?我が主…』<br>
ジ「いや…ため息と一緒に魂が出そうになっただけだから気にしないでくれ…」<br>
の「あぁ、ジュンく~んお帰り~♪」<br>
その時家から姉ののりが出てきた<br>
ジ「姉ちゃん!どういうこったこれは!?」<br>
ジュンは目の前の理不尽を指差して言ってみたが<br>
の「あらあら、この子が黒王ちゃんね?話は薔薇水晶ちゃんから聞いてるわ~。私はジュン君の姉ののりよぅ、よろしく♪」<br>
のりはいたって驚いてないようで、むしろ新しい家族に目を輝かせていた…<br>
黒『…我が主?』<br>
ジ「なんだ?」<br>
黒『何故でしょうか…先程から私の本能が“この人間には逆らうな”と警告を発しているのですが…』<br>
ジ「黒王号…お前は正しいよ…」<br>
確かにキレたのりの恐さは弟のジュンが一番知っているがそれを一目で見抜くあたりは流石といったところだ…<br>
<br>
の「あら、忘れてたわ…私これからお買いものに行こうと思ってたんだっけ…」<br>
ジ「何だよ、そんくらいたまには僕が行こうか?」<br>
の「本当に?ジュン君。」<br>
ジ「あぁ、嫌ならいいけど…」<br>
の「うぅん、お姉ちゃん嬉しいわぁ♪じゃあ、メモ渡すから黒王ちゃんと行ってきてね?」<br>
ジ「あぁ………って!何ですと!?」<br>
の「今からだとタイムサービスに間に合わないのよぅ。お願いジュンくぅん…」<br>
ジ「で…でも…なぁ?」チラッ<br>
黒『私は構いませんよ?』<br>
ジ(はぁ…またあんな恥ずかしい思いしなくちゃいけないのか…)<br>
黒『さぁ、我が主、行きますよ?』パカラ…パカラ…<br>
の「行ってらっしゃ~い♪」<br>
姉の声を背中に浴びながらジュンは無言のまま町へ向かった…<br>
ジ「これで最後か…さて、さっさと帰るぞ。」<br>
黒『仰せのままに…』パカラ…パカラ…<br>
ジ「ん?」<br>
黒『どうかされましたか?我が主…』<br>
ジュンは見覚えのある人影が建物の裏に連れて行かれるのを目撃した…<br>
ジ「黒王号…ちょっとここで待ってろ…」<br>
黒『あ…我が主、どちらへ?』<br>
ジュンは黒王号から降りると単身先程の建物の裏へ消えていった…<br>
<br>
雛「うゆ…さっきからごめんなさいって言ってるの…ぐすっ」<br>
不良A「あぁ!?ぶつかってきたのはそっちだろうが。ならしっかり誠意見せろや!!」<br>
雛「ぐす…せーい?」<br>
不良B「そうだねぇ…お嬢ちゃんが僕らにお財布の中身をくれるか…それか今からホテルでも行くか…」<br>
不良C「ははは♪お前マジ鬼畜じゃん?」<br>
<br>
そこには同級生の雛苺が3人の男に囲まれていた<br>
ジ「あいつら…」<br>
雛苺は先程から恐怖で涙を流している…なのに男達はこの小さな少女に対して一切の優しさは持ち合わせていないようだ…<br>
ジ「おい!!お前ら何やってんだ!?」<br>
ジュンは耐えきれず男達に叫んだ<br>
不良C「あん?ンだてめぇ…」<br>
ジ「その娘の友達だ!お前ら寄ってたかって1人の女の子に絡むなんてどういうつもりだ!?」<br>
<br>
<br>
<br>
不良B「あぁ、悪いのはこの娘だよ。先に俺らにぶつかってきたんだし…だからお仕置き♪」<br>
雛「うゆ…ヒナさっきから謝ってるのにぃ…」<br>
ジ「わかった…それなら僕がその娘の代わりになる…それで勘弁してくれないか?」<br>
雛「ジュン…」<br>
不良A「ひゃははは、聞いたかよ?格好いいナイト様だねぇお嬢ちゃん。」<br>
不良C「ならさ…俺にやらせてくれねぇか?」<br>
不良B「お、今日のことでイラついてんのかい?」<br>
不良C「まぁな…おい小僧!!お前ちょっとサンドバッグになってくれや…もし俺の拳に10発耐えられたらそいつを許してやってもいいぜ?」<br>
ジ「…本当だな?…よし、わかった。」<br>
雛「ジュン…」<br>
自分を心配そうな目で見上げる雛苺にジュンは小さく微笑んだ<br>
ジ「大丈夫…心配すんなよ……さぁ、いいぜ?」<br>
ジュンは不良に向かい仁王立ちになり歯を食いしばった<br>
不良C「へへ…そんじゃ…いいぃぃぃち!!」ボグウゥ!<br>
男の拳がジュンの腹にめり込む<br>
ジ「ぐうぅっ…」<br>
鈍い痛みが腹部を駆け巡った直後…<br>
不良C「にいいぃぃい!!」ドガァッ!<br>
男の拳が今度はジュンのこめかみに決まった<br>
ジ「ぐ…あ…」<br>
ジュンは一緒頭が真っ白になり倒れそうになったが男の手がしっかりと肩を掴んでそれを許さなかった…<br>
<br>
<br>
<br>
不良C「さああぁぁん、しいいいいぃ!!ごおおおおおぉ!!!!」<br>
続け様に3発の拳がジュンをとらえた…<br>
ジュン「ぐぅ…ごほっ…っっつぅ…」<br>
だがジュンは倒れなかった…懸命に歯を食いしばっり震える足で大地を捉え守るべき少女の前に立ちはだかっていた<br>
不良A「ヒュウ…なかなかやんじゃん。」<br>
不良B「おいおい、手加減してんじゃねえの~?」<br>
不良C「うるせぇな…これでおしまいだよ!おらぁっ!!」<br>
ジュンに再び男の拳が飛ぶ<br>
不良C「ろおおぉぉくぅ!しいぃぃぃちぃぃ!!はあああああちいぃぃ!!!」ドゴォッ!ガスッ!!メキイィ…<br>
ジ「ぐぅ…がふ…がぁ……くっ…」<br>
不良C(畜生…なんなんだよこいつ!?ちっとも倒れやしねぇぞ…!!)<br>
ジ「はぁ…はぁ…どうした…まだあと2発残ってるぜ?(にやり)」<br>
不良C「!!」<br>
男はすでにボロボロのはずのジュンが見せた不適な笑みに得体のしれない恐怖を感じてた…<br>
不良C「う…うわああああああああああああ!!」<br>
不良A「お…おい!?」<br>
ドガァッ…バキイィ!!ガスッ!!グシャアア!!<br>
不良B「や…やめろって!!死んじまうぞ!?」<br>
不良C「うるさい!うるさいうるさいうるさいうるさいいいぃ!!」ガスッ!ドガァッ…<br>
錯乱した男はジュンに何度も殴りかかった…そしてやがてジュンは動かなくなった…<br>
<br>
<br>
雛「もうやめてなの~!ジュンが死んじゃうの~!!」<br>
見ていられなくなった雛苺がジュンに走り寄る<br>
不良C「るせぇ!!どけよチビがあぁ!!」バシィ!<br>
雛「きゃっ…」<br>
だが雛苺の小さな体は男の平手打ちで吹き飛ばされてしまった…<br>
不良A「おいおい…酷ぇなぁ、ボクシングのプロ試験受からなかったからって八つ当たりもいいとこだぜ?」<br>
不良C「うるせぇな…ちっ、まあいい…この気味悪いガキにトドメでも刺しとくか…おらぁっ!!」<br>
男の拳がジュンに向かい再びふり下ろされた…<br>
『バシィ!!』<br>
不良C「な!?」<br>
男の拳を動けないはずだったジュンの掌が遮る…<br>
ジ「…ボクシング…プロ試験だと?…なら貴様はそんな拳を雛苺に向けたっていうのか?」ギリィ…<br>
握られた男の拳が痛みを覚える…<br>
不良C「く…離しやがれ!コイツ!!」バッ<br>
男がジュンから拳を振りほどき離れる<br>
ジ「どうやらお前に明日を生きる資格はなさそうだな…」<br>
そう言うとジュンはゆらりと立ち上がった…そして<br>
ジ「…」スッ<br>
無言のまま着ていた上着を脱いだ<br>
『ズシャァ!!』<br>
不良C「な!?」<br>
脱ぎ捨てられたジュンの上着から鈍い音が響いた…<br>
<br>
『パチン…パチン…』<br>
続いてジュンは上着で隠れていた両腕に装着されていた黒いウェイトバンドを外した…そしてそれらも同様に鈍い音を立ててながら地面に落ちた…<br>
不良B「な…なんなんだよこいつ…」<br>
不良C「うるせぇ!誰だろうが関係ねぇよ!!死ねやこらぁあ!!」<br>
男の全力の右ストレートがジュンに迫る…だが<br>
ジ「…ふっ」ヒュン…<br>
不良C(な!?消えやがった!)<br>
男の視界からジュンが消えた直後…<br>
ジ「覇ッ!!」メキャア…<br>
不良C「がぼっ…」<br>
男の体が宙を舞った…<br>
不良C「ぐあぁ…うげえええぇ…」<br>
男の口から大量の胃液と内容物が吐き出される…<br>
ジュンは男の大振りの拳に合わせギリギリで身体を屈めた…そして男の突きの勢いをカウンターに零距離からの掌底を男の鳩尾に叩き込んだのだ…<br>
<br>
ジ「…立てよ…こんなもんか?」<br>
不良C「ぐぅ…はぁ…はぁ…てめぇ…殺してやる…」<br>
ジュンは男の殺意の籠もった目にまた不適に笑い<br>
ジ「さぁ来いよ…自分より小さな者を痛めつけることしか知らないお前に…僕が本当の強さを教えてやる。」<br>
手招きをしながらそう言った…<br>
<br>
<br>
<br>
<br>
<br>
<br>
ジ「…立てよ、こんなもんか?」<br>
ジュンは倒れた不良に不適に笑い挑発する<br>
不良C「てめぇ…殺す…殺してやる!!」ジャキ…<br>
不良は懐から白く光るナイフを取り出しジュンに掲げた<br>
ジ「…恥ずかしくないのか?あんた仮にもボクサーだろ?」<br>
不良C「うるせえ!…殺してやるよガキがあああぁ!!」<br>
ヤケになった男はナイフを手にジュンに向かってくる…<br>
不良C「うらぁ!!…おらぁっ!!…があああぁ!!」<br>
男は闇雲にナイフを振り回すがジュンはそれを全てかわしていく…ナイフは持つことで殺傷力は上がるが、反面それに頼る分攻撃の軌道が単純になりやすい<br>
不良C「ぐうぅ…畜生!大人しくしやがれえぇ!!」<br>
男は尚も大振りにナイフを振るう<br>
ジ「…無駄だ、武の誇りも無くしたお前じゃ僕を捉えられない…」<br>
不良C「黙れ…黙れ黙れ黙れ!!クソがあああぁ!!」<br>
男はナイフを真っ直ぐジュンに向け疾走した…<br>
<br>
<br>
ジ「ふっ…」ヒュン…<br>
不良C「…なっ!?」<br>
ジュンは半身をそらし男のナイフをかわしその右側面に回り込んだ<br>
ジ「…」がしっ<br>
更にジュンは右手で男の手首を、左手で男の上腕部をつかみ…<br>
ジ「じゃあ…こんな腕はいらないな…」<br>
その中心である男の肘に跳び膝蹴りを放った…<br>
『ボキィッ…』<br>
周囲に嫌な音が響く…<br>
不良C「ぎぃやあああああああああああああぁぁ!!腕が…俺の腕があああぁ!!」<br>
男は妙な方向に向いた自分の右腕を押さえうずくまる…<br>
ジ「…まだだ…これは雛苺の分だ!!」<br>
そう言うとジュンは右足を上げうずくまる男の右拳を踏み砕いた…<br>
不良C「ぐああああぁぁ!!いてぇ…いてぇよおおぉ!!」<br>
この瞬間男のボクサーとしての人生は終わりを告げたのだ…<br>
ジ「…終わりだ。」ヒュン…<br>
不良C「…は?」<br>
男が意識を失う直前に見た光景は高角度から自分の眼前に迫るジュンの右足だった…<br>
『グシャア…』<br>
再び周囲に嫌な音が響く…そして同時に周りには鮮血と男の歯が飛び散った…<br>
不良A「うわあぁぁ!!」<br>
不良B「ま…マジかよ?」<br>
意識を失い倒れた男…その鮮血の海に無言で佇むジュンはさながら一匹の鬼のようであった…<br>
<br>
<br>
不良A「ちいいいっ!!」<br>
瞬間、残りの男が駆け出し雛苺を掴む<br>
雛「きゃあ!!」<br>
不良A「おい…やってくれたなコラ…こいつが心配なら動くんじゃねぇぞ…」ギリィ…<br>
雛「あぁ…痛ッ…!!」<br>
ジ「貴様…雛苺を放せ…」<br>
不良A「あぁ!?てめぇ自分の立場がわって…」<br>
ジ「もう一度だけ言う…雛苺を放せ!!」<br>
不良A「!!」<br>
ジュンが男に向けた視線…それは正に純粋な殺意であった<br>
不良A「ぐ…畜生めがあぁ!!」<br>
錯乱した男がナイフを抜き雛苺に向ける…その時であった<br>
不良A「ひでぶっ!!」<br>
男の体が宙を舞う…その背後には黒い巨体が佇んでいた<br>
黒『申し訳ありません…我が主、お帰りが遅いものでつい…』<br>
それは待機させていた黒王号であった<br>
ジ「いや…ご苦労だった。……さて。」<br>
ジュンは残った最後の不良に視線を向ける<br>
ジ「お前に選ばせてやる…ここでこいつら同様僕らに倒されるか…もしくはこいつらを連れてさっさと消えるか…」ボキィ…<br>
ジュンは両手を鳴らす…<br>
不良B「ひいいいいいぃ!!か…勘弁してくれえぇぇ!!」<br>
男は倒れた仲間を置いて逃げていった…<br>
<br>
<br>
ジ「あいつ…仲間を見捨てやがったよ…さて…」<br>
ジュンは男の最初の一撃で落ちた眼鏡を拾い上げ振り返る<br>
ジ「雛苺…大丈夫か?」<br>
雛苺に手を差し出しすジュンだが…<br>
雛「ひぃっ…」<br>
ジ「雛苺…そっか…そうだよな…ごめん、僕が怖いだろう?」<br>
ジュンは怯える少女に少し寂し気な笑みを向ける…それは雛苺が普段知る優しいジュンの顔であった<br>
雛「ジュン…ん~ん、ヒナ嬉しかったの。ジュンが助けてくれなかったらヒナ今頃酷いことされてたから…ありがとなの、あと…ごめんなさい…」<br>
ジ「雛苺?」<br>
雛「だって…ヒナのせいでジュンがいっぱい痛い思いして…うぅ…ぐすっ…」<br>
雛苺はそう言うなりまた泣き出してしまった<br>
ジ「いいよ。お前が無事なら…だからもう泣くな。」<br>
ジュンは雛苺の頭を優しく撫でた…<br>
黒『我が主…もうすぐ人が来ます。そろそろ…』<br>
ジ「あぁ、わかってる…じゃあ雛苺、柏葉が心配するからお前も早く帰れ。」<br>
雛「う…うん。」<br>
ジ「じゃ、また学校でな…」<br>
パカラ…パカラ…<br>
そう言うとジュンは黒王号にまたがり雛苺の前から去っていった…<br>
<br>
雛「ジュン…ありがとなの…」<br>
残された雛苺はジュンの背中に向かいそう呟いた…<br>
<br>
<br>
ジ「いてててて…」<br>
黒『大丈夫ですか?我が主…』<br>
殴られた顔が風にしみる<br>
黒『しかし…そんな重い着衣を纏われていたとは…どうりで小柄な貴方がやけに重く感じたはずだ…』<br>
ジ「あぁ、これか?いやさ、実は僕裁縫が得意でな…昔からよくいじめられてたんだ…その時よく真紅…ほら、今朝お前が怒ったあいつが庇ってくれてたんだ…」<br>
黒『ふむ…』<br>
ジ「あいつは言った…生きることは闘うことって…だから僕はその日から必死に強くなろうと体を鍛えたんだ…僕を真紅が庇ってくれたように、僕も誰かを守れるようになりたくて…」<br>
黒『我が主……ふふっ』<br>
ジ「どうした?」<br>
黒『いえ、今朝貴方を初めてご覧になった時、その瞳の奥に感じた強さはそういうことだったかと思うと…つい。』<br>
ジ「そうか?」<br>
黒『はい…やはり貴方に仕えたことは間違いではなかったようです…この黒王、より一層主である貴方に忠誠を誓いますぞ。』<br>
ジ「はは…変なやつだな。…さて、姉ちゃんが待ってる、早く帰るぞ。」<br>
黒『御意。』<br>
パカラ…パカラ…<br>
その後顔を腫らして帰ってきた弟にのりが絶叫を上げたのはまた別のお話し…<br>
<br>
続く<br>
「新説JUN王伝説~序章~」第3話<br>
<br>
ジ「なあ、やっぱり恥ずかしいんだが…」<br>
黒『じきに慣れますよ、我が主。』パカラ…パカラ<br>
放課後、下校しようとすると今朝言っていたとおり黒王号が校門で待機していた<br>
始めは拒否したジュンだったが強引に押し切られ今は黒王号にまたがり帰宅している…<br>
子供「ママ~、あれなに~?」<br>
母親「しっ…見ちゃ駄目よ!?」<br>
ジ「うぅ…///」<br>
すれ違う人たちが向ける好奇の視線に耐えながらジュンはようやく我が家についた…だが…<br>
ジ「な…何じゃこりゃ…」<br>
ジュンは驚愕した…何故ならば朝登校する時にはあったはずの隣の家が跡形もなく消え、代わりに一軒家ほどの巨大な馬小屋が建っていたからだ…<br>
ジ「何故……はっ!!」<br>
ジュンは今朝のことを思い出した…それは薔薇水晶が言っていた言葉だった<br>
ジ「…手配はしとくって…こういうことだったのか…」<br>
彼女の家は日本でも有数の資産を誇る名家…きっと何かしらの手段を使ったのだろう…<br>
ジ「はぁ…」<br>
黒『ど…どうなされましたか?我が主…』<br>
ジ「いや…ため息と一緒に魂が出そうになっただけだから気にしないでくれ…」<br>
の「あぁ、ジュンく~んお帰り~♪」<br>
その時家から姉ののりが出てきた<br>
ジ「姉ちゃん!どういうこったこれは!?」<br>
ジュンは目の前の理不尽を指差して言ってみたが<br>
の「あらあら、この子が黒王ちゃんね?話は薔薇水晶ちゃんから聞いてるわ~。私はジュン君の姉ののりよぅ、よろしく♪」<br>
のりはいたって驚いてないようで、むしろ新しい家族に目を輝かせていた…<br>
黒『…我が主?』<br>
ジ「なんだ?」<br>
黒『何故でしょうか…先程から私の本能が“この人間には逆らうな”と警告を発しているのですが…』<br>
ジ「黒王号…お前は正しいよ…」<br>
確かにキレたのりの恐さは弟のジュンが一番知っているがそれを一目で見抜くあたりは流石といったところだ…<br>
<br>
の「あら、忘れてたわ…私これからお買いものに行こうと思ってたんだっけ…」<br>
ジ「何だよ、そんくらいたまには僕が行こうか?」<br>
の「本当に?ジュン君。」<br>
ジ「あぁ、嫌ならいいけど…」<br>
の「うぅん、お姉ちゃん嬉しいわぁ♪じゃあ、メモ渡すから黒王ちゃんと行ってきてね?」<br>
ジ「あぁ………って!何ですと!?」<br>
の「今からだとタイムサービスに間に合わないのよぅ。お願いジュンくぅん…」<br>
ジ「で…でも…なぁ?」チラッ<br>
黒『私は構いませんよ?』<br>
ジ(はぁ…またあんな恥ずかしい思いしなくちゃいけないのか…)<br>
黒『さぁ、我が主、行きますよ?』パカラ…パカラ…<br>
の「行ってらっしゃ~い♪」<br>
姉の声を背中に浴びながらジュンは無言のまま町へ向かった…<br>
ジ「これで最後か…さて、さっさと帰るぞ。」<br>
黒『仰せのままに…』パカラ…パカラ…<br>
ジ「ん?」<br>
黒『どうかされましたか?我が主…』<br>
ジュンは見覚えのある人影が建物の裏に連れて行かれるのを目撃した…<br>
ジ「黒王号…ちょっとここで待ってろ…」<br>
黒『あ…我が主、どちらへ?』<br>
ジュンは黒王号から降りると単身先程の建物の裏へ消えていった…<br>
<br>
雛「うゆ…さっきからごめんなさいって言ってるの…ぐすっ」<br>
不良A「あぁ!?ぶつかってきたのはそっちだろうが。ならしっかり誠意見せろや!!」<br>
雛「ぐす…せーい?」<br>
不良B「そうだねぇ…お嬢ちゃんが僕らにお財布の中身をくれるか…それか今からホテルでも行くか…」<br>
不良C「ははは♪お前マジ鬼畜じゃん?」<br>
<br>
そこには同級生の雛苺が3人の男に囲まれていた<br>
ジ「あいつら…」<br>
雛苺は先程から恐怖で涙を流している…なのに男達はこの小さな少女に対して一切の優しさは持ち合わせていないようだ…<br>
ジ「おい!!お前ら何やってんだ!?」<br>
ジュンは耐えきれず男達に叫んだ<br>
不良C「あん?ンだてめぇ…」<br>
ジ「その娘の友達だ!お前ら寄ってたかって1人の女の子に絡むなんてどういうつもりだ!?」<br>
<br>
<br>
<br>
不良B「あぁ、悪いのはこの娘だよ。先に俺らにぶつかってきたんだし…だからお仕置き♪」<br>
雛「うゆ…ヒナさっきから謝ってるのにぃ…」<br>
ジ「わかった…それなら僕がその娘の代わりになる…それで勘弁してくれないか?」<br>
雛「ジュン…」<br>
不良A「ひゃははは、聞いたかよ?格好いいナイト様だねぇお嬢ちゃん。」<br>
不良C「ならさ…俺にやらせてくれねぇか?」<br>
不良B「お、今日のことでイラついてんのかい?」<br>
不良C「まぁな…おい小僧!!お前ちょっとサンドバッグになってくれや…もし俺の拳に10発耐えられたらそいつを許してやってもいいぜ?」<br>
ジ「…本当だな?…よし、わかった。」<br>
雛「ジュン…」<br>
自分を心配そうな目で見上げる雛苺にジュンは小さく微笑んだ<br>
ジ「大丈夫…心配すんなよ……さぁ、いいぜ?」<br>
ジュンは不良に向かい仁王立ちになり歯を食いしばった<br>
不良C「へへ…そんじゃ…いいぃぃぃち!!」ボグウゥ!<br>
男の拳がジュンの腹にめり込む<br>
ジ「ぐうぅっ…」<br>
鈍い痛みが腹部を駆け巡った直後…<br>
不良C「にいいぃぃい!!」ドガァッ!<br>
男の拳が今度はジュンのこめかみに決まった<br>
ジ「ぐ…あ…」<br>
ジュンは一緒頭が真っ白になり倒れそうになったが男の手がしっかりと肩を掴んでそれを許さなかった…<br>
<br>
<br>
<br>
不良C「さああぁぁん、しいいいいぃ!!ごおおおおおぉ!!!!」<br>
続け様に3発の拳がジュンをとらえた…<br>
ジュン「ぐぅ…ごほっ…っっつぅ…」<br>
だがジュンは倒れなかった…懸命に歯を食いしばっり震える足で大地を捉え守るべき少女の前に立ちはだかっていた<br>
不良A「ヒュウ…なかなかやんじゃん。」<br>
不良B「おいおい、手加減してんじゃねえの~?」<br>
不良C「うるせぇな…これでおしまいだよ!おらぁっ!!」<br>
ジュンに再び男の拳が飛ぶ<br>
不良C「ろおおぉぉくぅ!しいぃぃぃちぃぃ!!はあああああちいぃぃ!!!」ドゴォッ!ガスッ!!メキイィ…<br>
ジ「ぐぅ…がふ…がぁ……くっ…」<br>
不良C(畜生…なんなんだよこいつ!?ちっとも倒れやしねぇぞ…!!)<br>
ジ「はぁ…はぁ…どうした…まだあと2発残ってるぜ?(にやり)」<br>
不良C「!!」<br>
男はすでにボロボロのはずのジュンが見せた不適な笑みに得体のしれない恐怖を感じてた…<br>
不良C「う…うわああああああああああああ!!」<br>
不良A「お…おい!?」<br>
ドガァッ…バキイィ!!ガスッ!!グシャアア!!<br>
不良B「や…やめろって!!死んじまうぞ!?」<br>
不良C「うるさい!うるさいうるさいうるさいうるさいいいぃ!!」ガスッ!ドガァッ…<br>
錯乱した男はジュンに何度も殴りかかった…そしてやがてジュンは動かなくなった…<br>
<br>
<br>
雛「もうやめてなの~!ジュンが死んじゃうの~!!」<br>
見ていられなくなった雛苺がジュンに走り寄る<br>
不良C「るせぇ!!どけよチビがあぁ!!」バシィ!<br>
雛「きゃっ…」<br>
だが雛苺の小さな体は男の平手打ちで吹き飛ばされてしまった…<br>
不良A「おいおい…酷ぇなぁ、ボクシングのプロ試験受からなかったからって八つ当たりもいいとこだぜ?」<br>
不良C「うるせぇな…ちっ、まあいい…この気味悪いガキにトドメでも刺しとくか…おらぁっ!!」<br>
男の拳がジュンに向かい再びふり下ろされた…<br>
『バシィ!!』<br>
不良C「な!?」<br>
男の拳を動けないはずだったジュンの掌が遮る…<br>
ジ「…ボクシング…プロ試験だと?…なら貴様はそんな拳を雛苺に向けたっていうのか?」ギリィ…<br>
握られた男の拳が痛みを覚える…<br>
不良C「く…離しやがれ!コイツ!!」バッ<br>
男がジュンから拳を振りほどき離れる<br>
ジ「どうやらお前に明日を生きる資格はなさそうだな…」<br>
そう言うとジュンはゆらりと立ち上がった…そして<br>
ジ「…」スッ<br>
無言のまま着ていた上着を脱いだ<br>
『ズシャァ!!』<br>
不良C「な!?」<br>
脱ぎ捨てられたジュンの上着から鈍い音が響いた…<br>
<br>
『パチン…パチン…』<br>
続いてジュンは上着で隠れていた両腕に装着されていた黒いウェイトバンドを外した…そしてそれらも同様に鈍い音を立ててながら地面に落ちた…<br>
不良B「な…なんなんだよこいつ…」<br>
不良C「うるせぇ!誰だろうが関係ねぇよ!!死ねやこらぁあ!!」<br>
男の全力の右ストレートがジュンに迫る…だが<br>
ジ「…ふっ」ヒュン…<br>
不良C(な!?消えやがった!)<br>
男の視界からジュンが消えた直後…<br>
ジ「覇ッ!!」メキャア…<br>
不良C「がぼっ…」<br>
男の体が宙を舞った…<br>
不良C「ぐあぁ…うげえええぇ…」<br>
男の口から大量の胃液と内容物が吐き出される…<br>
ジュンは男の大振りの拳に合わせギリギリで身体を屈めた…そして男の突きの勢いをカウンターに零距離からの掌底を男の鳩尾に叩き込んだのだ…<br>
<br>
ジ「…立てよ…こんなもんか?」<br>
不良C「ぐぅ…はぁ…はぁ…てめぇ…殺してやる…」<br>
ジュンは男の殺意の籠もった目にまた不適に笑い<br>
ジ「さぁ来いよ…自分より小さな者を痛めつけることしか知らないお前に…僕が本当の強さを教えてやる。」<br>
手招きをしながらそう言った…<br>
<br>
<br>
<br>