ローゼンメイデンが普通の女の子だったら @Wiki内検索 / 「『屋敷ハ聖者ヲ食ラフ』」で検索した結果

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  • その他
    上にいくほど、最近に掲載された作品です。   Dolls House 或る夏の嵐の日に 朝顔 『ひゃくものがたりどる』 薔薇族 ~ローゼンメイデンが普通の女の子だったら~テーマ統一オムニバス作品集 元旦とお鍋と 【少女たちの夢を星に託して】 ドキドキしちゃう けもみみ☆もーど! 名前のない話 「K」の正体とは!? みどりいろのかのじょ 【戦闘妖精natukaze】 僕たちはアリスだった かゆうまメイデン トリック・スターず 微妙な長さのss ある日のできごと 【怪盗乙女、ローゼンメイデン】 湾岸 Maiden Midnight 【決闘のアリス】 もしローゼンメイデンのポジションが逆だったら R ずっと、ずっと、昔のお話 薔薇乙女湯煙みちのく一人旅 《SUMMER》 薔薇色の日々 ~ローゼンメイデンが普通の女の子だったら~2周年記念作品集 ローゼン・エキデン 薔薇乙女たちがロックマン2...
  • 第五話 魔術師
      "幸福"。……それを追い求めた男の、――昔話。   男は、思索を好む人間だった。哲学の本を貪る様に読んでは、"幸せ"とは、 一体何なのであろうか? ということを考えた。   自分の周りに置かれた環境は特に何の変哲も無く、それなりに幸せといえ ば幸せだったのかもしれなかったが、それを自覚することが出来ず、そして苦 悩した。   辺りを見渡せば、まともな職にもつけず、日々食べるのも困るような貧し さに苦しむ人はあまりにも多すぎた。   世の中すべての人々が、幸せになることを神は許してはくれない。いつし か男は、そんなことを考えるようになる。世界はもっと幸せに満ちてもよいの ではないか? だが、実際にそれが実現されることは無い。それはゆめやまぼ ろしの類だから。   男は勤勉で、しかも普通のひとには無い不思...
  • 0. Midnight Shuffle
    私は、神様が嫌いだ。 だって神様は…私をこんな風に創ったから。 銀色の髪。赤い瞳。 私は…生まれてすぐに、それを気味悪がった両親に捨てられた。 捨てられた先は、小さな町の小さな教会の軒下。 せめてもの加護を。そう考えでもしたのだろうか。自分達で見捨てておいて。 とにかく、そこで私は…運が良かったのか悪かったのか…教会の人間に保護された。 私を拾ったシスターの話では、私はその時、泣き声も上げられない程に衰弱していたらしい。 …後日それを聞いた時は、やはり運が悪かったのだろうな、とぼんやり思った。 私の、教会で修道女として生きる人生。 整った顔立ち。白い肌。銀色の髪。赤い瞳。 黒い修道服が、その全てを妖しく際立たせる。 私は、誰もが裏で私の事を悪魔や魔女と呼んでいる事を知っていた。 幼かった私には…ただ冷笑的にその言葉を受け流すのが精一杯だった。 私はいつしか、思うようになっ...
  • 勝負の始まり
    9月1日晴れ 小、中学生たちは夏休みが空けて、久しぶりの登校日である。 みんな、面倒臭いなーと言いつつも友達と一ヶ月ぶりに会うので、どこか楽しそうだ。 空は晴れ、外も少々賑やかになってきた日和とは裏腹に、 とある家に心が土砂降り状態の一人の青年がいた。 彼の名前は桜田ジュン(24歳)現在無職。 元々は平凡なサラリーマンだったが、就職したての会社が不況により倒産。 ジュンは職を失った。今現在、彼は新しい仕事を探すため就職活動を行っているが、 不況により、ジュンのような平凡な人には仕事すら見つけるのも難しい状況。 さらに追い討ちをかけるように、ジュンの両親も不況で多額の借金をかかえ、 その借金を残して蒸発。 その上、借金返済のため出稼ぎに行っていた姉の桜田のりが、 数週間前から連絡が途絶え、行方不明状態。 ちなみに、その借金額は約800万円。無職の者にとって、 とてもじゃないが返せるような...
  • 第一話 真紅
      五月に入って、ここ数日は晴れ渡った空も顔を潜めている様子だ った。少し早い梅雨入りという訳ではないのだろうけど、まだ暫く はこの天気も続きそうな雰囲気。   何処までも広がる曇天に、霧のような小雨粒が宙を舞っている。 ひとによっては、雨そのものを憂鬱の象徴のように捉えてしまうら しいが、私はそれほど嫌いでは無い。   靄のように空間を満たす雨は静けさを増してくれるような気がし たし、庭の薔薇も潤してくれるから。   ジムノペディをかけた。ボリュームは大きくしない。屋根をうち つける雨粒が響く音と同じくらいか、ほんの少しだけそれを上回る 程度にしておく。   サティのピアノの旋律が、静かに踊る。こんな穏やかな午後には、 香りたつ紅茶がよく似合うものだ。 「ジュン、紅茶を淹れて頂戴」 「ん……そろそろ三時か。お茶請けもいるか?」 ...
  • 最終話  『永遠』 -前編-
    ――眩しい。 蒼星石が最初に感じたのは、瞼をオレンジ色に染める明るさだった。 だんだんと意識が覚醒するに従って、単調な潮騒と、ジリジリと肌を焼く熱さ、 全身の気怠さなどが、感じられるようになった。 (? あぁ…………そうか) のたくたと回転の鈍いアタマが、やっと状況を理解し始める。 昨夜、いつまで起きていた? 憶えてない。だいぶ夜更かししたのは確かだ。 二人とも疲れ切って、そのまま眠り込んでしまったらしい。 「ぁふ……もう朝なんだ?」 重い瞼を、こすりこすり。 うっすらと開いた目の隙間から、強烈な光が飛び込んできて、アタマが痛くなった。 顔の前に腕を翳して日陰をつくり、徐々に、目を慣らしてゆく。 どこまでも高く蒼い空と、絵の具を溶いたような白い雲が、そこにあった。 ――が、次の瞬間、蒼星石は目を見開いて、黄色い悲鳴をあげていた。 その声を聞きつけて、隣で寝転がっていた翠星石も、...
  • 奇しき薔薇寮の乙女 第十話
    第十話 結局ソファーで寝るコトになったあの薔薇屋敷での妙な一日。 どうにかクリアして、じゃあ僕は自分ん家に帰るってコトになった。 そもそも、昨夜の宿泊もなし崩し的だった。 それも今朝で終わり、じゃあ朝飯を食べていってよと言われ、一応と御馳走になったワケだ。 んで、今が帰路。 玄関を出る前にすら、雛苺が乗っかってきたり翠星石がなんか言ったり、雪華綺晶は柱の陰だったり。 そういえば水銀燈がなんかブツブツ言ってたな。怖かった。 まァいつものような悶着があったけど、なんとか家に向かって歩いている。 「もしもし? なんか用?」 着うたが鳴り、ケータイのディスプレイには「ベジータ」の名が浮かんでいた。 通称愛称他称自称すべてベジータで成り立っている、高校からの友人である。 本名「斎矢部 陣太」、サイヤとベジータで構成されたような名前であるからベジータ。 安直な割に、本人は少し似ているから...
  • 第九話 命の天秤
      例えば私は本が好きで、それは自身に様々な知識を与えてくれた。   私は学校の知り合いにも思う様話しかけられない性格だったし、本来は友達付き合いで 学んでいけるようなことだって、本を読めばある程度は理解出来ていたつもりだったのだ と思う。   そこには物語があったし、それが人と人との関係の全てと言い切ってしまえば……その 辺りは言いすぎであるかもしれない。けれどどんなジャンルのお話であれ、一冊の本を読 めば一冊分の情報と知識は積み重なっていくものなのだと信じていたのだ。   あとは、大好きな姉の存在。私はお姉ちゃんにべったりだった。年が離れている訳では ないけれど、先に生まれたという事実だけで、私よりも数倍大人びていると感じられる。   いつでも、姉についていけば間違い無かった。幼い頃に自分に特別な力があるのだと気 付いてしまった姉と私。姉はまず...
  • "運"無き勝負
    地下組織の者と言われているので、もっと危ない人物なのかと考えていたジュン。 しかし、実際はどうだろう?目の前にいるのは真っ赤な服に青い瞳。 おまけに金髪のツインテールをした女性だ。危ない人物どこか、 これではまるでどこかの国のお嬢様ではないか。 おそらく、街中を歩いていれば十人中九人が振り返るだろう。 ジ「君は、ローゼンメイデンの人…なのか?」 あまりに自分の想像とかけ離れていたので、思わず聞いてしまうジュン。 真「そうよ、私は誇り高きローゼンメイデンの一人真紅なのだわ。     貴方が今夜の相手なのね」 名前は?と聞かれた。そうか、この女性は真紅というのか… ジ「あっ、はい。僕の名前は桜田ジュンです」 自分のタイプの女性だ。 ジュンは目の前にいる女性…真紅を見て少々ぎこちない様子だった。 真「そう、ジュンというね。では、ジュン!さっそく今日の...
  • 【ゆめみごこち】
        春が近い、と思う。たまにとてもつめたい日だってあるけれど、お日様が出れば、窓際はこんなにもあたたかかった。  ついこの間まで、こういう日のことを小春日和、って呼ぶんだと思ってた。でもその言葉は、春も近くなった今頃に使うのが正しくない。教えられるまで、本当に知らなかった。  でも。僕は何だか「こはるびより」っていう語感がすきで、ちょっと天気がよくてぽかぽかあたたかいと、そう言いたくなってしまう。  笑われて、しまうかなあ。  そうかも、しれないね。  さあ、出かけよう。外は良い天気だ。  やっぱり風は少し、冷たいけど。  僕はマフラーを巻いて、外へ出る。  手には小包を、携えて。  そしていつもの坂を、のぼる。  一歩一歩、確かに踏みしめていく。  何だか、こうやって上を見ながら歩いていると。  あの青い空へ、まっさかさまに落ちていくような気分になる。  のぼるんじゃな...
  • 第十話 旋律(一)
      私が今まで生きてきて、果たして妹にとって『善き姉』であったかという答えを、自分で出す ことは出来ないと思う。   妹は感情的な私よりもどちらかというと理知的で、些細なことで爆発しがちな私を諌めてくれ る存在だった。そんな妹のことは私は誇りに思っていたし、また自慢だった。   祖父から伝えられた、私達双子の姉妹の使命。それは"庭師"として、薔薇屋敷の当主を守るこ と。其処に住んでいた当主は、私に負けない位に結構辛辣な言葉を発する。最初は上手くやって いけるかどうか少し不安だったが、そんな誤解を解いてくれたのは妹の言葉。 『真紅は――優しいひとだよ。翠星石も、わかるよね?』   確かにその通りだった。妹の言葉を受けてから、私はもっと積極的に真紅に話しかけるように なった。そこで私は知るのだ、彼女の細やかな心遣いや、その言葉の裏に潜めら...
  • 一つ屋根の下
     一つ屋根の下  この物語は8人の姉をもつJUMの受難を描いた物語です。 HP水・陸・そら無限大   完全版を順次掲載しています。 登場人物 べジータレポート ベジータレポートその2 ベジータレポートその3 べジータレポートその4 個人編 第一話   JUMと八人の姉 第二話   JUMと水銀燈 第三話   JUMと金糸雀 第四話   JUMと翠星石 第五話   JUMと蒼星石 第六話   JUMと真紅 第七話   JUMと雛苺 第八話   JUMと雪華綺晶 第九話   JUMと薔薇水晶 日常編 第十話    JUMとお約束ハプニング 第十一話  JUMと姉妹喧嘩 前編 第十二話  JUMと姉妹喧嘩 後編 第十三話  JUMと詠唱 第十四話  JUMとお勉強 第十五話  JUMとアルバイト 第十六話  JUMとダイエット 第十七話  JUMと台風 第十八話  JUMと思春期 第十九話...
  • 第七話 鏡の姉妹
    「……ねえ、お姉ちゃん」 「どうしましたか?」 「……私達のしたことは――間違い、……だったのかな」 「答えは誰にもわかりませんよ。この世の正しさを保障してくれる神様だって――   ひとの数だけ、居るのですから」   久しぶりの休暇――という訳でもないが。私達は久しぶりに、自宅でのんびりと した時を過ごしている。   しかし、仕事とあればすぐに飛んでいくし。妹もそのことは重々承知している筈。   窓の外には、新月に近くなっている細身の月が見えて。指輪の光のような白く艶かしい ひかりを放っている。折角良い眺めだからということで、部屋のカーテンは開け放してお いた。室内の照明は元より薄暗いものだったし、これならばご近所の迷惑になるというこ とも無いだろう。   眼の前には、グラスを持ちながら、これでもかと言うくらい顔をまっかっかにし...
  • 第7話 『謁見への道』
    5月とは言え、既に真夏と称しておかしくないほどの蒸し暑い夕方。 肩にカラスを載せた少女が、周囲の通行人の視線も気にせず帰途についていた。 何しろ肩に載せたカラスと何事か会話を交わし、その上では編隊をなしたカラスの群れが、 まるで少女を護衛するかのように旋回しつつ整然と飛行しているのである。 そのカラスの群れの中から一羽、少女のもとへ急降下してくるものがいた。 銀「…男女の二人組みが、私を尾行してる?」 足を停めた少女の前でホバリングしつつカアカアと鳴くカラス。 黒光りするその瞳を見つめつつ、少女はしばし考えた。 銀「どうせ…あの二人ね。そんなに私に付きまといたいのかしら?」 その二人とはもちろん言うまでもない。 ガアガアと騒ぐカラスに、水銀燈は返事をした。 銀「攻撃?…無駄よ。あなた達でもあの女には近づく事すらできなかったでしょう?  ...
  • 最終話  『永遠』 -後編-
    蒼星石の問いを、澄ました顔で受け止め、二葉は言った。 「ラベンダーの花言葉を、知っているかね?」 訊ねる声に、少しだけ含まれている、気恥ずかしそうな響き。 花言葉という単語は、男がみだりに使うべきものではないと…… 女々しいことだと、思っているのだろうか。 いつまでも黙っている蒼星石の様子を、返答に窮したものと見たらしく、 翠星石が助け船を出すように、口を挟んだ。 「あなたを待っています……ですぅ」 二葉は満足げに頷いて、まるでラベンダーの庭園がそこにあるかの如く、 ティーカップを並べたテーブルに、優しい眼差しを落とした。 「中庭のラベンダー。実を言うと、あれは僕が育てたものだ」 「結菱さんが? と言うか、よくラベンダーの種を持ってましたね」 「まったくです。用意がいいヤツですぅ」 「……ふむ。君たちは、まだ来たばかりだから、そう思うのも仕方ないか」 なんだか言葉が噛み合ってい...
  • 【ある日のふたり】
           放課後の教室がすきだった。  私は、少し遠くなった季節を、思い出している。 ―――――  暦が夏の盛りを過ぎてからも、何となく蒸し暑い。本来存在していた筈の長いお休みは、受験生の私達にとってはあまり関係の無いものだった。結局、補講やら模擬試験やらで、家よりも学校に居た時間の方が長かった気がする。 二階の窓際に佇んで、グラウンドの方を見やれば、新人戦に向けて練習に励んでいる下級生達が居た。  彼らが発している筈の掛け声が、随分と遠いものに感じる。  もう暫く、こうしてぼんやりとしていれば、その内にこの教室は紅く染まっていくのだ。ただ、流石に何もしない訳にもいかないから、少しでも手元にある参考書を繰り、頭に叩き込もうとする。  数学は難しい……から、私はあまり得意ではない。かといって、嫌いな訳でもないけれど。  ほとんどひとが居ない――正確には、...
  • *プロローグ
         眼が。座ってるって。多分、こういうことを言う。  僕は震えている。怖い、というと僕がどうなっちゃうかわかったもんじゃないから言わないけどああもうどうすればいい?  その解答をくれるものが居ないというのなら、いつだって答えは僕の心の中に。そんなことを言いたいんじゃないんだよ。信じてよ。誰に語りかけてるんだろう僕?  普通に生きてると、自分が何処に居ようとたまに眼の前にお花畑が広がることがあるんだ、ってばっちゃじゃなくて薔薇水晶が言ってた。僕はなるべくならそんなもの見たくないんだけど。 「さくらだくん?」 「はい逆らいません」  手に持っていたものを差し出す。  注ぎこまれるのは透明だ。ちょっと色ついてるけど。  ああ、きれいだなあ。そうだよ透明って何もないことだよ。あるけど無い。哲学的だな。ほんと二律背反とかすきだなあいつら。  そういえば小学校の低学年時の出席って...
  • 第十一話 旋律(二)
    『その力を使うのは、僕が傍についているときだけにした方がいい』   彼と組んで闘うようになってからすぐ、私が言われた言葉。一人で居るときは使わない、 またそれでなくても、みだりに回数を重ねて発揮するものではないと。   多分彼は、私の力の本質を。彼と組む以前に私が能力を使っている様子を見たときから、 看破していたのかもしれない。   その証拠に、と言うか。私と組もうと申し出てきたのは、彼の方からであった。   それはまだ、私が……組織に所属して間もない頃の話。 「全く酷いなあ、白崎君は」   私はそんな文句をぶつぶつ言いつつも。ある場所を目指して歩きながら、当時のことを 少しだけ思い出していた。 『めぐ、今回はちょっと昔の相方と行ってくるよ。少しだけ待っていて欲しい』   待っていて、と言われてもなあ。多分彼には彼なりの考え方があって、...
  • エピローグ
      …………  目覚めるとそこは、真っ白い空間だった。だけどここは"九秒前の白"では無くて――― 僕が入院していた、病院の一室。 「……ジュン君~!」  目覚めて身体を起こすなり、いきなり抱きつかれる。……またかよ! 「ね、姉ちゃん……暫く身体動かしてないんだから……! ちょっ、痛い痛い!」  僕の抗議も空しく、姉は泣きながら抱きつくのをやめてくれない。―――僕が一応植物状 態みたいな状況に陥ってから、どれ位の時が経っていたのかはすぐにはわからなかったが。  やっぱり心配かけちゃったよな…… 「……ごめん、姉ちゃん。あと……ただいま」 「ひっく、……? ジュン君、ぐすっ、何処か、お出かけしてたのぉ?」 「うーん……ちょっと、夢の中で」 「……ふふっ、おかしなジュン君……」  うん、まあおかしいよなあ。……それにしても。僕が幽霊になる前は、あれほど激しく...
  • 第四話 違和感
      さて、これで眼の前にあった脅威は回避出来た。 「真紅、大丈夫かしら……?」 「ん……眠くなって、きたの……だわ」 「そう……あとは"庭師"とジュンに任せて、ゆっくり休むかしら。  ……良い夢を、真紅」   最後の私の言葉に対する彼女の返事は無かった。そして、彼女の頭上に "世界"へ通じる穴が再び開く。 「眠っちゃったね、真紅ちゃん」 「この娘も……相当に強い精神力の持ち主かしら」 私は彼女の左手の薬指につけられている指輪を見る。これが真紅という少女 を縛る呪いの指輪だけど……ひょっとして、彼女を守ろうとする力も働いている?   私は、さっき彼女の指輪から紡ぎだされた糸のことを思う。   しかしながら、とりあえず。あとは中に居るジュン達の頑張り次第だ。出来るだ け最速で片付...
  • 第六十話 JUMと後夜祭
    「一つ屋根の下 第六十話 JUMと後夜祭」     グラウンドの真ん中で木材が積みあげられている。時刻はすでに7時過ぎ。 空はすでに暗闇に覆われている。6日間の学校祭のクライマックスだ。 『それでは、後夜祭を始めたいと思います。先ずは皆様、この6日間お疲れ様でした!!1年生…… 初めての学校祭はいかがでしたか?今年は学校優勝が一年生から出るという快挙を成し遂げパワーある 1年生でした。残り2年も楽しみにしててください。2年生、去年の経験を生かしてやりたい事はやれましたか? 来年は最後の学校祭。今年の経験を是非来年に生かしてください。3年生。最後の学校祭は如何 でしたか?これから始まる受験。是非、学校祭での力を受験に生かしてください。 前置きが長くなりました……それでは、後夜祭を開催いたします!!!!』 木材に火が灯される。パチパチと音を立てながら炎は燃え盛っていき、闇を打ち消すようにグラウ...
  • 【お酒と河川敷と、お嬢様】
    「ジュン様は奥手すぎるのですっ! 大体ですね……」   さて、隣でやたら僕に絡んでくるこのお方の対処に、僕はほとほと困り 果てて居るのだった。どうしようかなあ……普段おしとやかでも、ひとっ てやっぱり変わるんだなあ……  かと言ってこのまま放置していく訳にもいかないし。一度腹を決めたのだ、 とことんまで付き合おうではないか。   僕の隣で、最早顔も真っ赤にしながら話し続けているのは雪華綺晶。この 辺りじゃ有名なお屋敷に住んでいるお嬢様である。夕暮れ時の光が、彼女の 顔をより一層赤く照らしているように見えた。 「あ、また無くなりましたわね……ジュン様、そちらの袋をおとり下さいますか」 「はいよ」   がちゃん、と音が重く響くほど中身の詰まった袋を、彼女に渡す。 「ゴミを持ち帰るのは、ひととしてのマナーですわ」   ...
  • 第八話 ジュン
      僕に出来ることは何だろう、と思う。   人並みに学校へ行き、人並みに友達を作り、人並みの暮らしを営んできたつもり。   そんな折、僕はあることをきっかけに、学校へ行くことをやめてしまう。所謂登 校拒否とか言うやつだ。 『裁縫が得意だって?』『女の裸を想像しながら、デッサンとか考えるんだろ?』 ――全く以て、馬鹿馬鹿しい理由。だけど、その馬鹿馬鹿しい言葉を投げかけられ て、僕は打ちのめされた。学校の生徒全員に、知られてしまった事実。恥ずかしさ と悔しさで、僕は自分の存在そのものを、消してしまいたかった。   両親は海外へ仕事に出ていてる為に家には居ない。姉と二人暮しをして、今をぼ んやりと生きている。姉には随分心配をかけてしまっているし、そしてそれに対し 申し訳ないとも勿論思っている。   ただ、頭でどんなに『平気だ』と考えても、心が...
  • 【お酒と、お正月と、お嬢様】
       新年明けたからといって、別段何の感慨も沸かないというのが、僕の常だった。  特にテレビを観るわけでもなし、どうせ観たところで下らないし。そう思って、僕は相も変わらず、年越しの瞬間から、ずっとネットに繋いでいるだけだった。  年が変わってから暫くして、ぶぶぶ、と携帯電話が身を震わせ、メールが届いたことを僕に知らせてくれる。日付の変更から二、三十分経っているのは、それだけ元旦と共にメールを飛ばした輩が多いせいだろう。センター大忙し。お疲れ様。  どれもこれも、友人からだった。  『あけましておめでとう!』『今年もよろしくお願いします』……  ――そもそものところ、こういったメールが届くこと自体、何も悪くないだろうとも思う。むしろ有難いこと。彩りのある絵文字が満載された文面を見やりながら、考える。一昔前の自分ならば、そんな思いも抱かないに違いなかった。新年を祝ってくれる、そうい...
  • 11月のおわり
    『保守かしら』 2007年11月16日  放課後の実験のためにカナは校庭にいたのね。 実験は成功で、校庭から部室までラジオは受信できたし、リモコンもばっちり。  ただカナは途中で校庭の植え込みの方に入ってたの。  なんとなく木の多い所でもちゃんと送信・受信できるかしらって、気になっただけだったんだけれど…。  そろそろ部室に戻ろうと思って、ラジオを切って植え込みから出ようとしたんだけど、その時  「じゃあ翠星石の何がいけないんですぅ!?」  って叫び声が聞こえたの。実験に夢中で気がつかなかったけれど、校庭には翠星石とジュンがいたわ。 ちょうど、紫陽花の植え込みの前あたり。  「なにも悪くなんかないよ、翠星石はきっと僕にはもったいないくらいの人だと思う」  翠星石は今にもジュンに飛びかかりそうにも見えたし、泣き出してしまいそうにも見え...
  • 『ひょひょいの憑依っ!』Act.11
          『ひょひょいの憑依っ!』Act.11 白銀のステージライトを浴びて、ゆるゆると路上に佇む、眼帯娘。 だらりと肩を下げ、今にも大きな欠伸をしそうな、さも怠そうな様子は、 立ちはだかるというより寧ろ、寝惚けてフラフラ彷徨っていた感が強い。 冷えてきた夜風を、緩くウェーブのかかった長い髪に纏わせ、遊ばせて…… 水晶を模した髪飾りが、風に揺れる度に、鋭い煌めきを投げかけてきます。 でも、人畜無害に思えるのは、パッと見の印象だけ。 めぐと水銀燈の位置からでは逆光気味でしたが、夜闇に目が慣れた彼女たちには、 ハッキリと見えていたのです。 眼帯娘の面差し、金色に光る瞳、口の端を吊り上げた冷笑さえも。 「貴女……どっかで見た顔ねぇ」 水銀燈は、一歩、めぐを庇うように脚を踏み出します。 午前一時を回った深夜まで、独りでほっつき歩いている娘―― しかも、出会い頭に妙なコトを口走ったとあれ...
  • 「彼氏彼女達の事情」
    『人様の事情に首を突っ込むな』とは人間が他人との生活の中の摩擦を経て得た尊い教訓の一つでしょう。触らぬ神に祟りはなく、親切心を働かせたところで自分が対応仕切れない問題事を背負いこむなど具の彫刻と言えるからです。 他者との距離に重きを置き、日頃より人付き合いの間合いを慎重に定め、心を鬼にして妹にも自立と成長を促すために距離を置く稀代の殊勝で努力家で正直者の教育者兼酒場の看板娘、つまりこのわたくしは、現在、世界樹で行われるアイビーリープの大会の練習真っ盛りです。 当然他人を気遣うどころか自分の事で精一杯なわたくしは、上記の精神にしだかい清く正しく美しく日々生活をしていました。 だから、わたくしの過失ではないのです。 例え手に余る事態を抱え込もうと、例えろくでもない事に巻き込まれようと。 何故ってだって、事情の方から足をはやしてわたくしを追いかけてきたので...
  • 秋口のこと
    一 夢みたこと 朝日が差し込んでいる。その眩しさで真紅は目を覚ました。随分と眠っていたような気がするけれど、よく思い出せなかった。 頭が酷くぼうっとしている。そもそもなぜ自分は座りながら眠っていたのか。 真紅の席と向かい側には大きな空の食器。何かが乗っていた様子も無い。 真紅は見た事も無い場所だった。 「なんなのここは…?」 狐につままれたような気持ちで真紅は席から降りた。椅子は足がつかないほど大きく、飛び降りるような形になる。服の揺れる衣擦れの音が大きい。 真紅は自分の服を確かめた。 人形展の時にも着ていった紅いドレスだ。いつの間に着替えたのか。 自分の指が関節ごとに丸く膨らんでいた。まるで球体関節人形のように。いや、球体関節人形そのものだ。 真紅は人形になっていた。 椅子も食器も大きいのではなくて、自分が縮んでいたのだ。 慌てて真紅は鏡を探した。ちょうど部屋の隅に薔薇の彫刻に縁取られた...
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