ローゼンメイデンが普通の女の子だったら @Wiki内検索 / 「子供の神様の物語」で検索した結果

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  • 子供の神様の物語
    ...ここではない何処か、子供の神様の物語 ――――
  • 優しい神様の物語
    ―――― 今ではない昔、ここではない何処かに、 赤い神様と黒い神様がいました。 赤い神様は真紅と呼ばれて、みんなに慕われていました。 黒い神様は、水銀燈と言います。とても優しい神様なのですが、 体が黒いので、みんなが水銀燈を怖がって誰も近寄ろうとはしません。 水銀燈は深い深い谷の底で、いつも一人で座っています。 真紅と水銀燈は、仲が悪かったのですが、 毎日顔を合わせては、会話を交わしていました。 「あら、水銀燈。またこんな暗いところで座っているの?  そんなんじゃお尻から根っこが生えるのも時間の問題なのだわ。  私は黒い樹なんか見たくはないのだわ」 「私は黒いから、ここにいると誰かに見つかることも少ないのよぉ  みんな私を怖がるから、ここにいる方がいいのよぉ  あなたみたいな人には分からないわ、何処かへ行ってちょうだい。」 真紅は、本当は水銀燈と...
  • ―/― おわりのうた
     彼女は言った。たった一枚の絵を、描きたいのだと。頭の中に曖昧に浮かんでいる絵を かたちにする為に、筆を走らせていたっけ。  それは、何処か遠い遠いところにある景色のようなものらしい。小さい頃から、ずっと 一緒だったけど。実際のところ、それが果たしてどんな景色なのか、それとも本当に『景 色』であるのかすら僕にはわからなくて……ともかく、彼女が『描きたい』と願うものを 僕は知らない。  言葉で伝えられても、僕にはそれを正確にトレースすることは出来ないから。それは当 然と言えば当然のことだったし。それでいて、少しだけ寂しいこと。  また、彼女は言った。この世界には、世界を作り上げるからくりがあって、そして物語 があるのだと。その物語は、少なくとも。それこそこの世界に生きる人々の数だけ、綴ら れていることは確かなのだと思う。  世界のからくりが、物語の中に物語を内包する。だからその数は、実...
  • ファンタジー
    上に行くほど新しい作品です。 ジュンと帽子と夢の旅人 sinineta ~薔薇乙女で一年戦争~ 【ノート】 What a Wonderful World ローゼンの創世神話 座敷わらしと貧乏神 『薔薇乙女昔話』 『わらしべ長者』 薔薇乙女迷作劇場 しっぽの話 【ゆめまぼろし】 今ではない昔、ここではない何処かの物語 『退魔八紋乙女・狼漸命伝』~御魂の絆~ 不思議な兎 央華な薔薇乙女リプレイ
  • 蒼星石
    上に行くほど最近に掲載された作品です。 「蒼空のシュヴァリエ」 sinineta guroino 【繋いだ手と手】 世界に一つの幸せ 【ゆめみごこち】 男だと思ってた 雪の日の暖かな出来事 「聖なる夜の陰陽」 星に御願い Mid Night! 神様の助け方 暖かい日差し 春の日の夢 夏休みと海 メールパニック 『友情』についての考察 『夏の幻影、青春の反映』 止まらない世界 ある三日間。と、もう一日 『普通の女の子と普通の男の子とフィクション的表現誇張の割合』 『幼馴染』 かわりにくちづけ 今日は姉妹揃って豆まきするようです 幸せな時間 「オニンギョウサン」 君は僕のナイト 蒼星石の作戦 色褪せた世界で 蒼星石の独白 猫と猫みたいな子 「帰り道、長い道、君と眺めた道。」 midnight express ずっと一緒に スレ Noir Cerisierより。 『 秋の夜長の酔っ払い(×2...
  • 水銀燈
    上にいくほど、新しく掲載された作品です。 『飛べない翼』 -Mid(k)night 3rd- Dornroeschen 冬の窓 クリスマス中止のお知らせ エキセントリック童話『マッチ売りの少女』 水銀燈のファーストキス じはんきめーでん orikyara注意 nothing or all? biero注意 『歪みの国の少女』 ~繋げる希望~ 私とあなたとこれから biero注意 孤独と自分とそれから shinineta guroino注意 CHOCOLAT DAYS -Mid(k)night 2nd- もしもジュンが紳士な召使だったら  水銀燈Ver いやな夢 -Mid(K)night- 『水銀燈の逆襲』 『メイメイ飼育日記』 What is your justice? 「アンニュイな日」 鳥取砂丘にて しゅいぎんとー ジュンと水銀燈が同居しているようです。 Please,stay by ...
  • 『ひょひょいの憑依っ!』Act.9
      『ひょひょいの憑依っ!』Act.9 「死んだ人間は、人を好きになっちゃいけないの?  幸せを夢見ることすら、許されないの?」 金糸雀は、濡れた睫毛を鬱陶しそうに、指先で拭いました。 けれど、枯れることを知らない涙泉は、苦い雫を際限なく溢れさせます。 ――ジュン、お願い。言って。そんなコトないって。 問いかけた唇をキュッと引き結んだまま、瞳で縋りつく彼女。 どこまでも白く、透けるような白皙の頬を、なお蒼ざめさせながら…… ただただ、ジュンが答えるのを、待つばかり。 待ちかまえているのは、めぐも、そして水銀燈も、同じでした。 ジュンが、なんと答えるのか。金糸雀の想いに、どう応えるのか。 結果如何では……金糸雀の出方によっては、攻撃も辞さない。 そんな覚悟を胸に秘めたまま、固唾を呑んで、向かい合う二人を見守っていたのです。 「聞いてくれ……金糸雀」 ジュンの乾いた唇から、...
  • 連載中
     投下された連載中の作品です。 上にいくほど新しく更新された作品です。   11/03/05   白兎とタイムマシンと大切な人と 10/08/22  The Unknown  guroino sinineta 10/07/15 いちご日和 10/05/30 雪華綺晶的な思考 10/05/30 少年時代 10/05/30 黒き天使を従えて 10/03/04 「とある夏休み」 10/03/03 『夢のあとに』 sinineta 10/02/11 ESCAPE GIRL FANTASY hokakyara 10/02/08 平穏な日常 10/02/08 Merry Christmas, Mr.Vegita-After Yellow Comes Purple- 10/02/03 another side sinineta guroino 10/01/31 ~Pretty Maiden~ 09/11...
  • 真紅
    上にいくほど、最近に掲載された作品です。 ふとましんく biero ナ!イ!チ!チ!Dreams 前編 後編 ほっしゅほしゅ しんくとじゅん~真紅とジュンの出会う縁~ 前編 後編 何時も偉そうな貴方 サンタが行く! 真紅はジュンの嫁 ラジオ きみは誰? 乳 くんくんゼミ 高校講座 『ずっと一緒にいてくれますか』 【    】 『少女の恋の物語』 真紅の最も騒がしい1日 やくそく 誘惑 CLUB~n field~ NG-omizu 飴と鞭 NG-biero 君と僕の日常~君の笑顔が見たいから~ 日曜日の朝 さよなら…大好きな人… ばっちゃのねこ 冬空に咲く花 Winter Kiss 「貴方に贈る」 地獄マッサージ The hellish hellfire 「仕様人とお嬢様」 【赤い糸~魔法の指~】 姉妹関係 前とは違うかたちで 紅い雨 楽園 バーのある風景 更衣室の中心で変身した下僕 饐え...
  • 大人と子供
    「月が綺麗……」 電話の向こう側で彼女がなにげなく呟いた。 長々と電話をして、ふと会話が途切れる瞬間。 気まずさが出ない程度の短い沈黙を使ってなんてことない事を言 ってきた。 「そうか?」と僕が聞き返すと「そうよ」と一言。 携帯電話を片手に冬のすこし曇った窓を手のひらでクリアにして、 空を見上げてみる。 一点の曇りも無い純白の月が周りの星々をかき消して燦然として いていた。 いつからだろう。 これを綺麗と感じなくなったのは。 小学校の頃はなんにでも興味を持てたのに、今はあらゆる物がく だらない。 星だって、月だって、街のネオンだって、それこそ車のライトだ って。 あらゆる物が素晴らしかった。 でも何故だろう。 今はそうじゃない。 「そうでもないよ」 急に寂しさに苛まれた僕は少しむきになってしま...
  • 『山桜の下で・・・』
    その山桜は一本だけ、周囲の緑に溶け込みながら、ひっそりと咲き誇っていた。 満開の白い花と赤褐色の新芽に染まる枝を、私はただ、茫然と見上げているだけ。 時折、思い出したように花弁が降ってくる。青空との色合いが、とっても良い。 いつもなら、衝動的にスケッチブックを開いて、ペンを走らせているところだ。 でも、今は何も持っていない。持っていたとしても、描く気が湧かなかった。 そのときの私は、小学校低学年くらいの小さな女の子で―― どうしてなのか思い出せないけれど、泣いていた。 『…………』 ふと、誰かが私の名前を呼んだ。男の子と、女の子の声。 二人の声が重なって、なんだか奇妙な余韻を、私の胸に刻みつけた。 だぁれ? 止まっていた私のココロが、静かに動きだす。 身体を揺さぶられる感覚。そして―― 気付けば、レールの継ぎ目を踏む車輪の音が、規則正しく私の耳を叩いていた。 うたた寝してたら...
  • 【愛の行く末】第一話
    第一話 薔「映画面白かったね、ジュン」 J「ああ、アニメっていうからてっきり子供向けかと   思ってたけどなかなか良かったな」 僕の名前は桜田ジュン。裁縫が得意なごく普通の高校三年生だ。 隣にいるのは恋人の薔薇水晶。僕たちは付き合い始めてちょうど一ヶ月になる。 今日は薔薇水晶が前から見たいと言っていた映画を見に行った。今はその帰りだ。 薔「それは偏見…アニメ=子供向けって決めつけるのはいくない」 J「でも周りは子供の方が多かったぞ。なんか僕らは浮いてるみたいだったし」 薔「え…じゃあジュンは私とデートしても楽しくなかったの?」 J「え、いっいやそういうわけじゃ…」 薔「ジュンは……ヒック、私といても……グスッ、楽しくないんだあ」 女の涙というものはずるい。それは相手がどれだけ悪くても、それを見せた途端に こっちが悪く思えてしまう。それにここは表通りから外れているとはいえ道のど真ん中だ。...
  • 一つ屋根の下
     一つ屋根の下  この物語は8人の姉をもつJUMの受難を描いた物語です。 HP水・陸・そら無限大   完全版を順次掲載しています。 登場人物 べジータレポート ベジータレポートその2 ベジータレポートその3 べジータレポートその4 個人編 第一話   JUMと八人の姉 第二話   JUMと水銀燈 第三話   JUMと金糸雀 第四話   JUMと翠星石 第五話   JUMと蒼星石 第六話   JUMと真紅 第七話   JUMと雛苺 第八話   JUMと雪華綺晶 第九話   JUMと薔薇水晶 日常編 第十話    JUMとお約束ハプニング 第十一話  JUMと姉妹喧嘩 前編 第十二話  JUMと姉妹喧嘩 後編 第十三話  JUMと詠唱 第十四話  JUMとお勉強 第十五話  JUMとアルバイト 第十六話  JUMとダイエット 第十七話  JUMと台風 第十八話  JUMと思春期 第十九話...
  • 【明け空のノート】
        ひとつの始まりがあれば、必ず終わりがある。  けれど。  ひとつの終わりの後に、新しい始まりがあるとは限らない。  とても空気がつめたいな、と思う。つめたい空気はとてもきれいで、私はとてもすきだ。そりゃあ、長い間外に出ていれば耳が痛くなってしまうときもあるけれど、両の手に吐き出す息は、いつだってあたたかい。  森に雨が降ったあと、急にこんな、冬のようにつめたくなる日がある。  今の季節はよくわからなくて、きっと森の外に出れば……何かしらの花が咲いているのならば、今の時期がどのようなものか、知ることができるかもしれなかった。  けれど、ここは森の中。ずっと続く晴れの日もなく、いつまでも降り続く雨もない。昨日あがった雨、そして現れたお日さまは、新しい始まりを示すものなのだろうか?  さあ。冷えた空気を吸い込みすぎて、胸の中までつめたくなってしまわないように――もう家に入...
  • L/R.8
        L.―  眼が覚める。  ――此処は、何処だっけ。  ああ。また、眠ってしまったんだ。此処最近は、己の身体が己のものでは無いような気がする。てのひらを開いて、結んで。こうやって感じる何かで、とりあえず僕がまだ生きているという感覚を保つ。  姉さんと、話をしていたんだっけ。――彼の声も、聴こえたような気がしたんだけどなあ。何だか、不思議な感じ。  とりあえず、ベッドから身体を起こす。血を、沢山吐いた筈だったのだけれど。来ているものも、布敷きも、ぼんやりとした暗闇越しからわかる位に真っ白だった。  廊下へ出る。姉さんは、もう帰ってしまったのかな……声が、聴きたいな。  二階の廊下。階段とは反対の突き当たりに、電信が置いてある。新しもの好きの院長が、仕入れてくれたもの。これは僕にとって、とても大切な繋がりだった。  ……?  鳴って、居る。電信が。静かに、音が響く。  ...
  • 哀歌~HUNT MEMORYS~
    水銀燈の長編の走馬灯~MANY MEMORYS~から続いてる話なので先にそちらを読むことをお勧めします。 哀歌~HUNT MEMORYS~ 思い出とは儚い物・・・故にそれは美しくもなるのです。 これは大事な親友が死んだとある乙女が “思い出“の意味を違う意味で捉えてしまい 狂気に染まり、やがて双子の姉をも巻き込んでしまう物語です。 では彼女が捉えた“思い出“ 哀れなこのお話を皆さん暫しご覧あれ。 -真夜中 夜の路地に彼女は立っていた。 蒼「よし・・・あの人・・にしよう。」 蒼星石は角に隠れて人が通り過ぎるのを待つ。 そして通り過ぎた瞬間蒼星石は人の背後から 鋏を頭にへと突き刺す。 そして突き刺した所から鋏を一気に下へと下げる。 人は血を吹き流しながら二つへ分かれていく。 やがて両断されると人だった物体は声をあげる事もなく静かに倒れた。 蒼「ふふ・・これでこの人の“思い出“は貰った...
  • ―/― はじまりのうた――夢の続き
     色々なことを、思い出していた。学校での、出来事。保健室での出会い、思い出。それ よりももっと前の、曖昧な記憶。  雛苺が渡仏してから、年明けの春。あと半年とちょっともすれば、彼女は日本へ帰って くる。僕は高校二年生になって、来年は受験生だ。……といっても、大学を受験するつも りはないから、周りよりはある程度余裕ではある。そのことを伝えに、僕はこれからフラ ンスへ向かう。我ながら、相当大胆な行動に出たものだと思う。  出世払い……というとプレッシャーなのだけれど、今回の旅費については家のひとに相 当無理を言ってしまった。姉はなんだか喜んでいたみたいだったが。  本当はバイトをして自分で稼ぎたかったが、山奥の学校ではそれも敵わず。その辺りは、 流石に不便であると思う。 『卒業したらバイト始めなよ、桜田君。いいとこ紹介してあげるから』 『ジュンが働くなら、私も其処でバイトするわぁ』  ...
  • ~チビ蒼星石とチビ翠星石~第4部、休日編
    ~プロローグ~ 物語は突然はじまるものだ。いや、正確には無駄なところを省いているからそう思えるだけかもしれない。 だが、私、桜田ジュンの物語は人為的に唐突にはじまったものだ。 ~チビ蒼星石とチビ翠星石~ 本当にすべては突然だ。 両親が帰ってきたと思ったら次の日には外国へ旅たった。蒼星石と翠星石の双子をおいて・・・。 姉は合宿でいなくなり、両親が予約をとっていた温泉にいき、その後、真紅と水銀燈に双子のことを言ったことにより未来は見えてきたが・・。 このあとは、どうなるのだろうか・・・・。 ~チビ蒼星石とチビ翠星石~目的は遊園地・・・No1 金曜日 ~桜田家~ 蒼星石「ジュンくん。明日はがっこう、休みだよね?」 ジュン「うん。そうだけど・・・どうかしたのか?」 蒼星石「明日さ、遊園地につれてってほしいんだけど・・・。だめ?」 ジュン「別にいいけどさ・・・あいつらもか?」 そういってジュ...
  • *序盤戦
       「大丈夫よ、ジュン。国によって飲酒は16歳から認められるわ」 「もう早く始めましょうよぉ。何か隠し玉でもあるのかしらぁ?」  真紅、ここは日本だ。  あと水銀燈。お前は酒がすきすぎる。ボトル抱えるな。 「いえいえ、本当に無理はなさらぬよう。しかしながら、皆様もう大学生。昨年よりは羽目を多少外したところで、お酒の神様も見逃してくれるでしょう」  白崎さん……無責任なこと言わないでください……  昨年、というのは。丁度僕が独りだけ大学に落っこちたものの、とりもあえず高校は卒業したんだということで、ちまりとお酒なんかも出されたりもしたのだった。  それでもまだ、当時は結構平和的に行われていた筈のそれ――ごめん、ちょっと嘘ついた。  今回は一体どうなってしまうのだろう。  会場となった我が家の居間。妙に広い間取りがこういうときばかりは役に立つ。入ろうと思えば入れる空間。 ...
  • フラグメント/― 泡沫の夢
     彼の声は遠くなり、そして新しい声が聴こえ始める。  私は夢を見る。遠い昔の、彼女の記憶。 ―――――― 「あ、……ジュン。また頑張ってるのねー」 「え? ……うん。もう少しで出来るかな。全く人遣いが荒いよ」  そんなことを言いながらも、彼はとても嬉しそうだ。  真夜中。此処は、雛苺の家。土曜の夜、次の日の学校は休み。彼はその日、泊りがけで やらなければいけないことがあった。  決して強制された訳ではない。ただ、彼の心が。それを望んだだけのこと。  両親は既に、眠ってしまっている。いくら中学生とはいえ、男子の宿泊を認める辺り、 その辺に疎いところが何とも『らしい』というか……それだけ彼が、信用における人物 あると評価されているということだろうか? 「お姉ちゃんも、ずっとこっちにいればいいのにね」 「そういう訳にもいかないだろうな。それにしても雛苺、向こうのひとってのはあん...
  • 第19話  『星のかがやきよ』
    何を言ってるの? 蒼星石には、悪い冗談としか聞こえなかった。 翠星石は、自分の気持ちを表現するのが下手な女の子。 気恥ずかしさから、つい、意地悪をしてしまう精神的な幼さを残していた。 本当は嬉しいのに、素直に喜びを言い表せなくて…… からかい口調で茶を濁した結果、落ち込む彼女を宥めることは、幾度もあった。 きっと、今の冗談も、いつもの悪ふざけに違いない。 蒼星石は、そう思おうとした。からかわれているのだ、と。 だから、翠星石が「ウソですよ」と戯けてくれるコトを大いに期待していたし、 その時には、ちょっと拗ねて見せて……そして、一緒に笑い飛ばすつもりだった。 ――なのに、蒼星石の期待は、あっさりと裏切られた。 「私……誰……です?」 「な、なに言ってるのさ。やだな……いい加減にしないと、怒るよ」 「ふぇ?」 「どうして、再会できたことを、素直に喜んでくれないのさ。  ボクが、どんな想...
  • 第九話 命の天秤
      例えば私は本が好きで、それは自身に様々な知識を与えてくれた。   私は学校の知り合いにも思う様話しかけられない性格だったし、本来は友達付き合いで 学んでいけるようなことだって、本を読めばある程度は理解出来ていたつもりだったのだ と思う。   そこには物語があったし、それが人と人との関係の全てと言い切ってしまえば……その 辺りは言いすぎであるかもしれない。けれどどんなジャンルのお話であれ、一冊の本を読 めば一冊分の情報と知識は積み重なっていくものなのだと信じていたのだ。   あとは、大好きな姉の存在。私はお姉ちゃんにべったりだった。年が離れている訳では ないけれど、先に生まれたという事実だけで、私よりも数倍大人びていると感じられる。   いつでも、姉についていけば間違い無かった。幼い頃に自分に特別な力があるのだと気 付いてしまった姉と私。姉はまず...
  • 第二十九話 眠れぬ夜
    「超機動戦記ローゼンガンダム 第二十九話 眠れぬ夜」     時間は既に22時を回っていた。JUMはどうにも寝付けずに艦内を歩いていた。 この3日間はひたすらに機械と睨めっこしていた。 損傷した各部を直し、残り5機となった切り札であるローゼンガンダムを最終調整し、 万全の準備を整えてきた。昼過ぎに準備が完了したメイデンは他のレジスタンスの 応援に入り、夕方には全レジスタンスの準備が完了、明日の作戦開始時刻まで ゆっくり休憩となっていたのである。 「喉かわいたな・・・食堂行くか・・・」 JUMが食堂に向かって歩いていく。カツンカツンとJUMの足音だけが廊下に響き渡っていた。 JUMは歩きながら物思いにふける。思えばこの10年は様々なことがあったな、と。 アリスの乱からはじまった動乱。短いながらも、真紅、のりと過ごした学生時代。(梅岡の存在は記憶から 抹消済み)メイデンに入り、今の仲間達との...
  • 第八話 「過去からの来客」
    第八話 「過去からの来客」 で、何を喋ればよろしいのか? 狭いながらも一丁前に店長室というものがこの喫茶店に存在した。 白兎は店長よろしく机に踏ん反って、僕は棒立ち。 構図的には社長と部下という風に見えるが、僕はまだ雇ってもらえてない。 「で、こういう場ではどう喋るのがよろしいのでしょう」 「……」 そりゃあこっちの台詞だ。面接なのに店側が無言だなんて聞いた事もない。 「私はあなたを雇ってもいいのです。こんな面接などという手順を踏まなくとも」 「じゃあ何故こんな状況になっているんです? 」 相手は店長だというので一応敬語で喋る。 「表現し辛いのですが、雰囲気的と申しましょうか」 つまりはその場のノリって感じかよ! なんていい加減さなんだ。 まぁしかし、面接という事柄と言えど白兎と二人きりになった。 雑談のようになるが色...
  • 秋口のこと
    一 夢みたこと 朝日が差し込んでいる。その眩しさで真紅は目を覚ました。随分と眠っていたような気がするけれど、よく思い出せなかった。 頭が酷くぼうっとしている。そもそもなぜ自分は座りながら眠っていたのか。 真紅の席と向かい側には大きな空の食器。何かが乗っていた様子も無い。 真紅は見た事も無い場所だった。 「なんなのここは…?」 狐につままれたような気持ちで真紅は席から降りた。椅子は足がつかないほど大きく、飛び降りるような形になる。服の揺れる衣擦れの音が大きい。 真紅は自分の服を確かめた。 人形展の時にも着ていった紅いドレスだ。いつの間に着替えたのか。 自分の指が関節ごとに丸く膨らんでいた。まるで球体関節人形のように。いや、球体関節人形そのものだ。 真紅は人形になっていた。 椅子も食器も大きいのではなくて、自分が縮んでいたのだ。 慌てて真紅は鏡を探した。ちょうど部屋の隅に薔薇の彫刻に縁取られた...
  •  『ひょひょいの憑依っ!』Act.5
     『ひょひょいの憑依っ!』Act.5 夕闇が迫る下町の風景は、どうして、奇妙な胸騒ぎを運んでくるのでしょう? どこからか漂ってくる、夕飯の匂い。お風呂で遊ぶ子供の、はしゃぎ声。 車のエンジン音と、クラクション。遠く聞こえる電車の警笛。その他、様々な雑音―― 闇が世界を塗りつぶしていく中、人影の群は黒い川となって、足早に流れてゆきます。 毎日、繰り返される平穏な日常の、何の変哲もないワンシーン。 なのに、ジュンはそれらを見る度に、家路を急ぎたい衝動に駆られるのでした。 黄昏時は、逢魔が刻。 そんな迷信じみた畏れが、連綿と魂に受け継がれているのかも知れません。 ――などと、しっとりとした雰囲気に包まれながら、ジュンは、ある場所を目指していました。 それは……ズバリ、近所の銭湯です。 タオルやボディソープ、シャンプーなど、入浴に必要な物はバッグに詰めて、背負っています。 にしても、自宅...
  • その他
    上にいくほど、最近に掲載された作品です。   Dolls House 或る夏の嵐の日に 朝顔 『ひゃくものがたりどる』 薔薇族 ~ローゼンメイデンが普通の女の子だったら~テーマ統一オムニバス作品集 元旦とお鍋と 【少女たちの夢を星に託して】 ドキドキしちゃう けもみみ☆もーど! 名前のない話 「K」の正体とは!? みどりいろのかのじょ 【戦闘妖精natukaze】 僕たちはアリスだった かゆうまメイデン トリック・スターず 微妙な長さのss ある日のできごと 【怪盗乙女、ローゼンメイデン】 湾岸 Maiden Midnight 【決闘のアリス】 もしローゼンメイデンのポジションが逆だったら R ずっと、ずっと、昔のお話 薔薇乙女湯煙みちのく一人旅 《SUMMER》 薔薇色の日々 ~ローゼンメイデンが普通の女の子だったら~2周年記念作品集 ローゼン・エキデン 薔薇乙女たちがロックマン2...
  • 第四十四話 JUMとオープニングセレモニー
    「一つ屋根の下 第四十五話 JUMとオープニングセレモニー」     「いよいよ、今日から学校祭ねぇ~。」 学校祭一日目の朝、銀姉ちゃんが言う。ああ、ようやくって感じだなぁ。 「そういえば、姉ちゃん達アリスゲームっての出るんだよね?薔薇姉ちゃんと銀姉ちゃんが出るの?」 先日、べジータが言ってた事を思い出す。アリスゲームは学校祭のオープニングセレモニーの一つで、今日 あったはずだ。まぁ、ミスコンみたいなのに、真紅姉ちゃんや蒼姉ちゃんが出るとも思えない。 「……ごめん、僕も出る。というか、姉妹はみんな出る……」 ほらね、翠姉ちゃん辺りも恥ずかしがりだから……って…えええええ!!!?? 「ちょ、まっ!!みんな出るって!?」 「そうなのだわ。私も出るわ。何せ……アリスの称号を手に入れたものには……もれなくJUMが付いて来る のだもの。アリスゲームに出なければ姉妹に好き放題にされるJUMを見るだけな...
  • 第五話  『もう少し あと少し…』
    横に並んで歩き、塀の陰に消える二人の背中が、目の奥に焼き付いている。 校舎と校門は、かなり離れていた筈なのに――彼女たちの笑顔は、ハッキリ見えた。 瞬きをする度に、その光景が頭の中でフラッシュバックする。   どうして、あの二人が? 蒼星石の頭を占めているのは、その疑問だけ。 双子の姉妹という間柄、姉の友好関係は熟知しているつもりだった。 けれど、翠星石と柏葉巴が友人という憶えはない。 彼女たちは、蒼星石の知らないところで交流があったのだろうか? 翠星石ならば、有り得そうだった。可愛らしい姉は、男女を問わず人気者なのだから。 しかし、それなら今日、巴との会話の中で、翠星石の話題が出ても良さそうなものだ。 (それが無かったところから察して、つい最近の付き合いなのかな。  昨日、姉さんが体育館にいたのも、柏葉さんと今日の約束をしてたのかも――) なんだか除け者にされたみたいで、蒼星...
  • 巴メイデン521~530
    521 ジ「あー、っていうかもう雛祭りも終わりだなー」 巴「!?」 ジ「ん?」 巴「ドタドタワタワタ」 ジ「柏葉どうした?そんな慌てて…」 巴「ドタドタ」 ジ「??あっちいったりこっちいったり、さっきからなにしてるんだ…?」 巴「は、はやくしまわれないと…行き遅れちゃう……」 ジ「どこに仕舞われる気だ」 522 ジ「……」 巴「……」 ジ「……」 巴「……」 ジ「おい」 巴「…… ジ「なぁ」 巴「……しまわれました」 ジ「僕のベッドにかよ」 巴「……」 ジ「……」 巴「おやすみなさい」 ジ「いやいや」 523 巴「薔薇乙女に負けず私たちがこの先生きのこるには」 斉藤さん「悪評流すとか」 巴「ネガティブキャンペーンは結局自分の首を締めるのよ…それに雛苺の悪いところなんてないし…」 斉藤...
  • ちょっと暑い、夏の日。
    「暇ですぅ・・・」 第一声がこれでいいのかとは思うが、どうしようもない。 だって暇なんだもん。 今日の夜には花火大会もある。 なのに・・・ 「めっさ暇ですぅ・・・」 エアコンの効いた部屋。 外からはワシワシ、ミンミン蝉の声。 ふとケータイに目をやる、 着信もメールもない。 年頃の乙女がこんなんでいいのか? 「はふー・・暇ですぅ・・・」 せっかく買った奇麗な翠の浴衣も、出番があるとは思えない。 「誰か拉致られろですぅ・・」 かたっぱしから友人に電話してみる。 Trrrr・・・・Trrrrr・・・Trrrr・・・・ 「もしもしぃ~?どうしたのぉ?」 「今日の夜暇ですかぁ?」  ってこいつが暇なわけはなく、 「何言ってんのよぉ、今日は花火大会よぉ? 暇なわけないじゃなぁい。おばかさ~ん」 「いっぺんこの世から乳酸菌を消し去ってほしいですか?」 「フフフ、とにかく私はだ...
  • 第十三話  『痛いくらい君があふれているよ』
    「うーん……どれが良いかなぁ」 ケーキが並ぶウィンドウを覗き込みながら、蒼星石の目は、ココロの動きそのままに彷徨う。 どれもこれも、とっても甘くて美味しそう。 だけど、水銀燈の好意に応えるためにも、翠星石に喜んでもらえるケーキを選びたかった。 「……よし、決めたっ。すみません、これと、これと……これを」 選んだのは、苺のショートケーキ。祖父母には、甘さ控えめなベイクド・チーズケーキを。 それと、絶対に外せないのは、姉妹と亡き両親を繋ぐ、思い出のケーキ。 甘~いマロングラッセをトッピングした、モンブランだった。 (これなら姉さんだって、少しくらい具合が悪くても、食べてくれるよね) そうでなければ、苦心して選んだ意味がない。 一緒に、ケーキを食べて……にこにこ微笑みながら、仲直りがしたいから。 いま、たったひとつ蒼星石が望むことは、それだけだった。 会計を済ませて、ケーキ屋のガラ...
  • 第16話  『この愛に泳ぎ疲れても』
    どちらかを、選べ―― そう言われたところで、蒼星石の答えは、既に決まっていた。 こんな場所まで歩いてきた今更になって……躊躇いなど、あろうハズがない。 二つの目的を果たすためならば、地獄にすら、進んで足を踏み入れただろう。 ただ夢中で、翠星石の背中を追い続け、捕まえること。 そして、夜空に瞬く月と星のように、いつでも一緒に居ること。 たとえ、それが生まれ変わった先の世界であっても――ずっと変わらずに。 蒼星石は無言で、右腕を上げた。そして……偶像の手を、しっかりと握った。 置き去りにする人たちへの後ろめたさは、ある。 けれど、今の蒼星石のココロは、出航を待つ船に等しい。 姉を求める気持ちの前では、現世への未練など、アンカーに成り得なかった。 過ちを繰り返すなと諫めた声など、桟橋に係留するロープですらない。 「いいのですね?」 こくりと頷きながら、なんとは無しに、蒼星石は思ってい...
  • 第十話  『こんなにそばに居るのに』
    ひたと正眼に構えられた木刀は、木枯らしに煽られようと、微塵も揺るがない。 巴の真剣な眼差しは、真っ直ぐ前方に向けられていた。 まるで、眼前に敵が立ちはだかっているかの様に、虚空を睨んでいる。 凛とした立ち居振る舞いから放たれる緊張感。 ひしひしと蒼星石の肌を刺激するのは、冷たい風ばかりではないのだろう。 学校で目にする、物静かで淑やかな彼女からは、想像もつかない。 どちらが、柏葉巴という娘の、本当の姿なのだろうか。 社殿の階段に腰を下ろした蒼星石は、膝を抱えて、巴の仕種を眺めていた。 「なんだか……素敵だなぁ」 思わず、心に浮かんだ感想が、言葉に変わっていた。 かっこいいでも、凛々しいでもなく、素敵。 ただ一心に、剣の道に打ち込む巴は、全身から不思議な輝きを放っている。 他人の目を惹きつけてやまない、独特の雰囲気を。 巴が、静から動へと移る。 対峙していた仮想の敵に、猛烈な斬撃を浴...
  • 第五話 魔術師
      "幸福"。……それを追い求めた男の、――昔話。   男は、思索を好む人間だった。哲学の本を貪る様に読んでは、"幸せ"とは、 一体何なのであろうか? ということを考えた。   自分の周りに置かれた環境は特に何の変哲も無く、それなりに幸せといえ ば幸せだったのかもしれなかったが、それを自覚することが出来ず、そして苦 悩した。   辺りを見渡せば、まともな職にもつけず、日々食べるのも困るような貧し さに苦しむ人はあまりにも多すぎた。   世の中すべての人々が、幸せになることを神は許してはくれない。いつし か男は、そんなことを考えるようになる。世界はもっと幸せに満ちてもよいの ではないか? だが、実際にそれが実現されることは無い。それはゆめやまぼ ろしの類だから。   男は勤勉で、しかも普通のひとには無い不思...
  • 第九話  『もっと近くで君の横顔見ていたい』
    翌日の日曜日、蒼星石は、いつになく早い時間に起床した。正直、まだ眠い。 けれど、昨晩の事を思うと胸が疼いて、とても二度寝する気にはなれなかった。   『私はもう、蒼星石を1番には想えないのです』   『何故なら、今の私にとって1番のヒトは――』 また、ズキズキと胸が痛み出す。嫌だ……。額に手を当てて、蒼星石は嘆息した。 なんだか、底なし沼に踏み込んでしまった気分だった。 足掻けば足掻くほど、ずぶずぶ深みに填っていく。 考えれば考えるほど、どんどん出口が見えなくなってしまう。 きっと、自力では、この悪循環から抜け出せないのだろう。 誰かに引っぱり出してもらわなければ…………ずぅっと、このまま。 洗面所で顔を洗っても、蒼星石の心は晴れない。 鏡に目を転じれば、そこには水滴をちりばめた暗い顔。 瞼を泣き腫らして、憔悴しきった惨めな表情に、姉の泣き顔が重なる。 鏡像の奥には、洗濯機と、洗濯カ...
  • 第十六話  『サヨナラは今もこの胸に居ます』
    どちらかを、選べ―― 右手は、大好きな姉に辿り着くための片道切符。 左手は、頑ななまでに蒼星石を繋ぎ止める、論詰という名の首輪。 本来なら、迷うハズがなかった。蒼星石は、翠星石に会うために、追いかけてきたのだから。 自らの羨望が生み出した、偶像の姉。彼女を選んでしまえば、目的は、ほぼ達成される。 左手を掴んでいる、姿の見えない者の声になど、耳を貸す義理も、謂われもない。 徐に、蒼星石は右手を挙げた。眼前に掲げられた、偶像の手を取るために。 でも――――本当に……これで、良いの? 指が触れる寸前、胸の奥から問いかける声が、蒼星石の腕を止めた。 それっきり、蒼星石の右手は、ビクともしなくなった。明らかな握手の拒絶。 置き去りにされる寂しさ、悲しさ、辛さをイヤと言うほど味わってきたからこそ、 祖父母や親友たちにまで、同じ想いをさせることに、罪悪感を抱いてしまったのだ。 たとえ、それ...
  • 第八話 ジュン
      僕に出来ることは何だろう、と思う。   人並みに学校へ行き、人並みに友達を作り、人並みの暮らしを営んできたつもり。   そんな折、僕はあることをきっかけに、学校へ行くことをやめてしまう。所謂登 校拒否とか言うやつだ。 『裁縫が得意だって?』『女の裸を想像しながら、デッサンとか考えるんだろ?』 ――全く以て、馬鹿馬鹿しい理由。だけど、その馬鹿馬鹿しい言葉を投げかけられ て、僕は打ちのめされた。学校の生徒全員に、知られてしまった事実。恥ずかしさ と悔しさで、僕は自分の存在そのものを、消してしまいたかった。   両親は海外へ仕事に出ていてる為に家には居ない。姉と二人暮しをして、今をぼ んやりと生きている。姉には随分心配をかけてしまっているし、そしてそれに対し 申し訳ないとも勿論思っている。   ただ、頭でどんなに『平気だ』と考えても、心が...
  • 名前のない話
     夢でもし会えたら、とは恋愛ドラマやラブソングにありがちな詞で、浮かれた恋人たちにとってはお約束の会話だと思っている。  およそ僕なんかには無関係だなんて言うと、同情めいた眼を向けられて、少しばかり寂しい気持ちに苛まれてしまうのだが。  まあ、事実なんだから仕方がない。そう自身に言い聞かせて、今まで無理に納得してきた節がある。 「きみね、もう少し身なりに気を配った方がいいよ」  人が思い耽っているところに、このお節介な旧友は、いつも空気を読まず何かと指摘してくれる。それは実際のところ非常に恵まれたことなのだろうが、僕にとっては、まったくもって余計なお世話だ。  仕事の手を止めることなく横目に睨むと、白崎はいつものように薄ら笑い、肩を竦めて見せた。 「そういうのは感心しないよ、槐くん。客商売で愛想が悪いって、致命的だと思うんだけどね」 「……不景気な顔は生ま...
  • 『ひょひょいの憑依っ!』Act.6
      『ひょひょいの憑依っ!』Act.6 「あーん、もうっ。カナ、独りぼっちで寂しかったんだからぁ。  ジュンったら、どこ行ってたかしら~」 帰宅早々、熱烈歓迎。 甘えた声色に相反して、金糸雀の腕は、容赦なくジュンの頸を絞めます。 猫のように、頬をスリスリしてくる仕種は『可愛いな』と想わせるのですが、 これではまるで、アナコンダに締め上げられるカピバラ状態。 喜びの抱擁が、悲しみの法要になってしまいます。 無防備に押し当てられる、彼女の柔らかな胸の感触を名残惜しく思いつつ、 ジュンはこみあげてくる鼻血を、理性でググッと我慢するのでした。 「ちょっと、外でメシ食ってきただけだって。  お前に作ってもらおうと思ってたけど、ちっとも風呂から出てこないから」 真紅のところに行ったことは、伏せておくのが吉でしょう。 とかく人間関係には、ヒミツがつきもの。 それがあるから、この世は歪みながら...
  • s.d.3
      「私の名前はめぐ。柿崎めぐ」   そうして、夢の中では聴くことの無かった彼女の声が、僕の中に 響き始めて。それが僕の中にある曖昧な記憶を形にしていく。 「思い出した?」 そうだ。いつも夢で逢っていたというのに、今の今まで僕は気付く ことが無かったのだ。なんとも間抜けな話である。 「ごめん……まだちょっと曖昧だけど、確かに逢ったことがありま   すね」 曖昧。まだ何処か『もや』が頭の中にかかっているような感じだっ たけど。そうだ、確か前に学校で…… 「そう、良かった。白崎君の引き出しは、壊れてないみたいだね」 「引き出し?」 「そう、引き出し。頭の中の何処かにある、記憶をしまっておくた   めの引き出しだよ」   『再会』からすぐ、こんな話を始めてしまう僕等は、少し奇妙な 感じだったかもしれない。   ...
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