ローゼンメイデンが普通の女の子だったら @Wiki内検索 / 「~~旅立ちの時」で検索した結果

検索 :
  • 【ゆめうつつ】~トロイメント~§2
    ―――――――――――――――――― 「ええ。彼は元気、元気な筈……なのだわ」 そう。きっとそうよねぇ。素っ気なく応えて、私はグラスの中身を煽る。 「白崎さん。同じの、もう一杯ちょうだぁい」 「畏まりました。……が、良いんですか? 真紅さんは」 見れば、本格的に寝てしまっているであろう彼女の姿。顔をこちらに向けて、 すぅすぅと穏やかな寝息を立てている。紅く染まっている頬が、見ていて微笑 ましい。  普段の彼女はと言うと、所謂『隙の無い』性格をしている。こういう風に無 防備に眠ってしまっているところを男が見たら、ころりとやられてしまいそう な感じもする。  まあ。そういうことが起こっても困るか、彼女の場合は。 「大丈夫よぉ。帰るときになったら起こすわぁ」 そう言って私は、グラスに改めて注がれた中身を見つめる。  今日彼女をバーに誘ったのは、ジュンについて久しぶりに色々と話し...
  • 第七話 少女達の休息
    超機動戦記ローゼンガンダム 第七話 少女達の休息 「やれやれ・・・みんな元気なもんだよなぁ・・・」 砂浜の上に立てられた大きなパラソルの下の日陰でJUMは寝転がっていた。水着で。 そう、ここはリュウキュウのビーチなのだ。先日JUM達が日本を占領したとの報はレジスタンス中に伝わり 結構な数のレンジスタンスが日本に駐留した。ここを拠点に反アリスを貫こうというのだ。 で、現在色々な編成中であり功労者であるJUM達メイデンには先に休暇が与えられたわけである。 もっとも、JUMの予想ではメイデンは都市の守備にはつかずに各地の戦場を飛び回ることになりそうだが。 「早いね、桜田君。」 JUMが顔をあげる。そこには白の清潔そうなワンピースを着た巴が居た。 JUMは少しドキリとしてしまう。同年代の女の子の水着だ。もっとも、ここでドキドキしていたら後は もたない気がしなくもないが。 「あ、ああ。男は着替えが...
  • ずっと傍らに…激闘編 第二十二章~翠星石side~
    ──チュンチュン、チュンチュン… 翠「…ふぁぁ…」 朝を迎えました。 ジュンの部屋に朝の光が差し込んできています。 ジ「Zzz…」 …ジュンの奴ぅ~…。 あのあと、変なタイミングで寝返ったから、 思いっきり舌を噛んじまったじゃねぇですかっ! 翠「…」 ちょっとほっぺに…ってしてやろうと思っただけですのに…。 翠「…」 それに、昨日転んだところもまたズキズキ痛むです…。 ジュンの家のお風呂で膝が浴槽のお湯に入らないようにするのも苦労しましたし、 しかも…こういうタイプの擦り傷って…まぁこれは小さい方だと思うんですが、 痕が残るんですよね…。 …最悪ですぅ。 蒼「…ん…んぁ…もうそんな時間?」 翠「とっとと家に帰るですよ」 ~~~~~ 家に帰って、さっさとシャワーを浴びました。 寝てる間、ひたすらに暑かったですからね…。 あぁ…膝にしみるです…。 それから今日の学校...
  • ずっと傍らに…激闘編 第二十章~ジュンside~
    の『ジュンく~ん、ご飯よぅ~』 ジ「はーい」 1階からねーちゃんの呼ぶ声がする。 波乱に満ちたGWもすっかり終わってしまった。 ABCに2回も邪魔されたことに恨めしさを感じるが、 僕の今の力では諦めるしかない。 だからといって逃げ惑いっぱなしでいると、 水銀燈に喝を入れられる始末… あんな奴らに太刀打ち出来るわけないだろっての。 ちくしょう。 水鉄砲で遊ぼうとした時にイヤというほどよく分かったよ。 ほんと、水銀燈も解ってないなぁ…。 やっぱり僕が一番解ってるんだよ。 ──こんな事、面と向かって言ってたら、もっとシバかれてたかな。 ほんと鬱だよ…まったく。 ~~~~~ の「じゃ、いってきまーす」 ジ「ん」 ねーちゃんを玄関から送り出したところで、 連休も明けたことだし、また引き篭もりライフを送ろうっかな~ …と自分の部屋へ戻る。 今日から学校へ行く前に翠星石、蒼星石、柏葉の...
  • ずっと傍らに…激闘編 第二十一章~ジュンside~
    ──ん~。 午後4時半を回ったが、今日はピンポンが鳴らない。 今日は昼過ぎから空がどんよりとしていて、時折小雨がぱらついている。 雨だから、ここに来るのがめんどくさくなったのか。 それに、昨日揉めたばかりだし、 今日は…意地でも来ないんだろう。 メールも電話も昨日の晩から全然反応がない。ダメだ。 さすがにちょっと焦ってきた。 ──それにしても、昨日の翠星石は…わかんないな。 ABCなんてもう放置したらいいんだよ。 あいつらと、それの周りに集ってる人間とさえ会わなければ、 今なら普通に家の外に出れると思うしな。 水銀燈から言われたことも明確に覚えてるけどさ、 何かもう現状で満足だよ。 僕は── …にしても、今日は学校で絶対何か起きてるはず。 早く学校の様子を聞きたいところだ。 確か、翠星石んとこのお母さんが梅岡に僕のことを話す日って昨日だったしな。 …他に何もやる気が起きないし、...
  • ―/ライラック8
     独り歩く、冬の通学路。  ああ――なんて、なんて青すぎる、空。冬の雲の切れ間、その向こう側に覗く空が、何処 までも高い。  この街には雪があまり降らなくて、その代わりに冬には冷たい雨が零れる。青色の空には 白い雲がよく似合うと思うのだけれど、今の空の大多数を埋めているのは灰色だった。  青と、灰。その曖昧なコントラストが、何かかたちを為そうとしている――それはまるで 幽霊か何かのような――気がして、僕は下を向いてしまう。  これでは中也の様だ――以前、彼女から貸してもらった詩集の一遍を、僕は思い出していた。  何の変哲も無い色をした光景は、自分でも解しがたい感情をもたらすことがある。それは決 まって、自分のこころが、虚ろに揺らいでいる時に起こるのだろうと――何となく思った。自ら が揺れているからこそ、普遍の、或る平衡を保っているものに感じ入るのだろう。 『しかはあれ この魂はいか...
  • ずっと傍らに…激闘編 第二十二章~ジュンside~
    昨日の晩に相次いで来た翠星石と蒼星石。 2人は僕が起きた頃には、既にいなかった。 僕の両隣にあった布団は部屋の隅に畳まれていた。 …この置いて行かれた感は何だろう… ちくしょう…学校に行きてぇ… …あ、そうそう。 翠星石んとこのお母さんが梅岡と直に話した… ってのは昨日一昨日の話だよな。 予定通りなら。 ということは、ABCに対して何らかの措置があるはず…だよな? 登校…できる環境になってほしいな…。 (「キモイ、裁縫ヲタク!」) えっ…。 …誰の声だよ…。 (「だからお前って暗くてキモイ奴だったんだな!w」) くっそ…。 窓閉まってるのに…。 (「お前なんか所詮癌だ。死ね」) 何で布団の中に隠れたくなるんだ…。 (「馬鹿だねぇ。そのまんま女になればいいのにwww」) 震えが止まらない…。 (「脳みそ腐ってるんじゃね?」) (「うわぁ…ヲタク臭せぇ…あっち行け、し...
  • 第八話 からたちの歌
    超機動戦記ローゼンガンダム 第八話 からたちの歌   「どうだ?まだ編成には時間がかかりそうなのか?」 「ああ、まぁメイデンほど力のあるところは無難に遊撃になりそうだがな。都市に置いとくのは勿体無い。 ま、これからさらに忙しくなるんだ。ゆっくり休むのがいいだろう。」 ミーティングルームの通信で話しているのはJUMとべジータだった。 「そうだな・・・前回はどっかの誰かが乱入したおかげでーー」 「おおっとぉ!?会議にでなくては。それじゃあな、JUM。蒼嬢によろしくな。」 バチコーンと下手なウインクをしてベジータは回線を閉じた。 「やれやれ・・・てなわけで僕らはまだ時間ありそうだけど・・・どうしたい?」 「どうも何も・・・次に備えて休むといいのだわ。」 真紅が紅茶を飲みながら言う。 「翠星石も賛成ですぅ~。今度戦いが始まったら休み無しで過労死なんて真っ平御免ですぅ。」 「僕も・・・特に提案はない...
  • ずっと傍らに…激闘編 第二十章~翠星石side~
    GWも終わり、 今日から学校です。 巴「おはよ~」 翠「おはようです」 蒼「おはよー」 …戦いの日々の始まりです…。 巴「おはよう御座います」 母「おはよう。3人とも、頑張ってね!」 …ABCとイヤでも顔を合わせなければならない日々が始まるです。 翠「それじゃ、行ってくるです」 蒼「行ってきまーす」 母「行ってらっしゃい」 …改めて気を引き締め直し、家を出発しました。 ──さて。 ABCの言う事を少しでも信じた私が馬鹿でした…。 そろそろ徹底して叩き潰さないと、ジュンは永遠に苛められるままです…。 ついこの間、ABCを追い掛けて家に帰った時に、ばらしーたちが言ってたです。 ----- 薔「ジュンが熊みたいな人に撮られてたよ」 金「デジカメで」 翠「デジカメは分かりますが…熊?」 雪「眉毛がありませんでしたの…」 薔「それで、頭がつるっつるの人!」 ----- 翠「…...
  • ずっと傍らに…激闘編 第二十一章~翠星石side~
    ──朝。 父「おはよう」 銀「…」 水銀燈が街へ行った日の翌日あたりから不機嫌ですぅ。 銀「あぁもう五月蝿い」 父「何だと!?」 水銀燈に限ってそんなこと有り得ない、ってな発言ばかり繰り返してるです…。 心配で蒼星石と少しリビングの外の廊下で話し合いました…。 翠「蒼星石…」 蒼「…ん?」 翠「水銀燈の奴、またAの親に圧力掛けられてるんですかね」 蒼「多分ね。街でAが翠星石に負けてから親に縋ったんじゃない?   “もっと翠星石の関係者を苛めてくれ”なんてことをお願いしてるかも」 翠「…」 ~~~~~ 今日はジュンと距離を置くために、 蒼星石や巴とは別登校。 つまり、ジュンの家に行かずに直接学校に行ったです。 ジュンからのメールは昨日のあれからずっと放置。 同じく電話も放置。 翠星石のありがたみを思い知れです! ──とは言うものの、ジュンが私を相手にしなくなったら…。 あ...
  • 第17話「CRAZYCRAZY!! phase4」
    「フゥゥーーーッハハハハハハァ!!!」 ミサイルが、ビームが、街を縦横無尽に破壊していく。 外見の奇天烈さとは裏腹の破壊力と装甲は警察車両からの射撃も 物ともせず逆にその警察車両を悉く粉砕する。 「ハァァァ~~~~~ッハハハハァ!!見ろ見ろみろみろろろろ見るがいい!!  流石最強!流石俺様!流石この無敵サイヤカカロット1号!世紀末ハシャゲの  ヤンチャボーイも真っ青のこの破壊力はまさしくグレェーーーィト!!」 カカロット1号のダンボールを繋げて作ったような腕がビルをなぎ払う。 轟々と音を立ててビルは倒壊する。 あちこちから上がった火の手がサイヤカカロット1号を爛々と照らす。 「まったく!まぁぁぁぁったくッ!弱いぜ!!よわ~~~~~すぎるぜ!!!  強いは罪!強すぎるは素敵!!すてきすってっきーな響きだぁ~~~~!!!  しかしどうしてローゼンメイデンは出てこないんだ?出られないのか?  出...
  • 第四話 「紅蓮と氷結」
    「(蒼星石、翠星石無事でいてくれよ)」 二人と分かれた後急いで中等部のほうに向かっているJUMと乙女達 「まったくJUM~あなた、心配しすぎよぉ~」 「え?」 「二人が心配でしょうがないって顔に出ているわよ」 「水銀灯は、心配じゃないのか?」 「あのねぇー確かに心配だわ、でもねあの子達があんな奴に負けないわ。少なくとも私はそう思っている。JUMはあの子達がしんじられないの?」 「!!・・・ごめん、言うとおりだよ。僕は二人の事を・・・」 「わかればいいのよ(まったく、こんなにもJUMに心配されるなんで二人には妬けるわ)」 「JUM、水銀灯、二人ともなにもたもたしているのだわ急ぎなさい」 前から、真紅のイライラした声が聞こえてくる 「こっちの中庭を抜ければもうすぐ中等部の校舎ですわ」 勢いよく中庭へのドアを開くと、そこに広がっていたのは夜の遊園地のような景色 「「「「...
  • 奇しき薔薇寮の乙女 第三話
    第三話 「だから、その、帰らないで……」 彼女が羨ましいと、私は思う。 今の私には、あれほどまでの勇気はないのだから。 涙を流して、顔をジュンに向けることが出来ないでいても、彼女は必死に伝えている。 私にもそれが痛いほど分かるし、それだけに、彼女に少し嫉妬した。 恋愛のソレとも取れる告白が、私にとっては、ずっとずっと遠くにあるもの。 顔がくしゃくしゃになってしまうほど、自分の素直さを表に出せる彼女は、私にとっては羨望そのもの。 彼女が羨ましいと、私は思う。 すこしだけ後ずさりして立ち止まることが許される世界から、旅立とうと「努力」する雪華綺晶。 自分の力で1秒を巻いた彼女は、当然のように祝福されるべきだ。 私は未だ、その9秒前にいる。 自分の殻の中という、無限の領域にある白い世界から、私は踏み出せずにいる。 雪華綺晶自身の、雪華綺晶のためにある出口を見つけた彼女が、羨ましい。 私の...
  • 『ひょひょいの憑依っ!』Act.13
        『ひょひょいの憑依っ!』Act.13 ――こんなに、広かったんだな。 リビングの真ん中で胡座をかいて、掌の中でアメジストの欠片を転がしながら、 ぐるり見回したジュンは、思いました。 間取りが変わるハズはない。それは解っているのに…… なぜか、この狭い部屋が、茫洋たる空虚な世界に感じられたのです。 一時は、本気で追い祓おうと思った、地縛霊の彼女。 だのに……居なくなった途端、こんなにも大きな喪失感に、翻弄されている。 彼のココロに訪れた変化――それは、ひとつの事実を肯定していました。 はぁ……。 もう何度目か分からない溜息を吐いたジュンの右肩に、とん、と軽い衝撃。 それは、あの人慣れしたカナリアでした。 左肩に止まらなかったのは、彼のケガを気遣ってのこと? それとも、ただ単に、医薬品の臭いを忌避しただけなのか。 後者に違いない。すぐに、その結論に至りました。 意志の疎通...
  • 【ゆめうつつ】~トロイメント~§4
    §4 ―――――――――  『トロイメント』は、相変らず私以外に客が居ない。  毎週決まった曜日と時間帯にここへ訪れる私は、もはや常連になっていると 言って何の差支えも無いと思う。今日はアッサムティーを注文して。多めのミル クを入れてから口をつける。 「それにしても。本当にお客が少ないのね、ここは」  たまに声に出てしまうのも失礼なのかもしれなかったのだが、どうにも事実な ので致し方ないと思う。  白崎さんとも大分親しくなり、私は大概のひとに接するときと同じような口調 で彼と話をするようになっていた。それに対する彼の話し方と言えば、相変らず なのだった。 「火曜は日が悪いようですね、真紅さん。まあもともとこの店は。  よく来て頂ける常連さんによって成り立っているようなものですから」 『例えば、あなたのような』。そんなことを話す彼の表情はいつも通り穏やかだ。 「ここは、ずっ...
  • ずっと傍らに…激闘編 第十九章~ジュンside~
    テ『トゥートゥートゥートゥートゥートゥットゥトゥー♪』 ゴールデンウィークもそろそろ終盤。 僕はいつものごとく翠星石の家に上がりこんで、 リビングでゴロゴロしていた。 翠星石たちの家は、今年のゴールデンウィークはそれぞれに忙しくて、 全員で揃って遊びに行くことはなかったらしい。 何か、僕が引き篭もりになったのも間接的に関わってるんじゃないのかと考えると、 ちょっと気持ちが沈む…。 翠星石と蒼星石は『関係ない!』って言ってくれたけれど…。 まぁ、今の僕に出来ることは、こいつらと一緒にいることだけだ。 …昼上がりの日差しが差し込んできて気持ちがいい。 今日の天気は快晴。風が少ない分、少し外は暑そうだ。 適当にテレビを見ている僕の背中の上で、 ばらしーが腹ばいで乗っかって、同じようにテレビを見ている。 ばらしーと雛苺はリビングのテーブルでお絵かき。 翠星石は庭で花の水遣り。 真紅は2...
  • ずっと傍らに…激闘編 第十九章~翠星石side~
    翠「~♪」 すこやかに~のびやかに~♪ 今日もちゃんとお花に水をやるですよ~♪ いやぁ…見事なまでに青空が広がってるですぅ。 絶好の行楽日和…って言っても、今年はどこにも行けないんですが… まぁジュンとは街へ出掛けたんですけどね~♪ それだけでも良しとしますか。 …邪魔が入った? あぁ、そんなもん知らねぇです。 ヒッキーと外で遊べること自体奇跡だったわけですし、 駅弁食べながらのんびり過ごすことも出来ましたし、 色々と服も買えましたし、 アクセサリーも買えましたし、 ケーキ屋にも行けましたし── このキャミワンピースも、ジュンはさっさと気づいてくれるですかねぇ~。 『(あっ!その服、こないだ買ったやつだろ?  やっぱお前が着ると可愛く見えるよなぁ~…)』 …きゃはっ! 顔がにやけてくるですw だっ…誰にも見られてないですよね? …って、みんな家の中でゴロゴロしてやがるですか!...
  • 『いつわり』
      鏡に映る、若い娘。 ――それは、私。他の誰でもない、自分自身。 湯上がりの、薄桃色に染まった肌から幽かに立ちのぼる淡い色香は、 いくらも保たずに、濡れたままの洗い髪へと溶けてゆく。 なにも……変わらない。変わってなどいない。 瑞々しく細い喉、胸元を点々と飾るホクロ、薄蒼く血管の浮いた白い肌。 全ては、いつもどおりの、見慣れた景色。 「ステキな身体……私のカラダ……」 鏡の中の自分に見とれながら、そんな戯れ言を、口にしてみた。 夢の中で、いつも逢う彼女が、熱っぽい吐息と共に囁く言葉を。 だけど、彼女の姿は、ハッキリと思い出せない。 白いモヤモヤしたイメージしか、残っていない。 ここ最近、毎晩のように、同じ夢を見ているというのに。 そのくせ、彼女の声だけ、不思議と明瞭に憶えているのは、何故? 実際に、鼓膜が震わされた感覚が、刻み込まれているのは、何故? 「どうして、あんなワケの...
  • ずっと傍らに…激闘編 第十八章~翠星石side~
    ──となりで顔を強張らせてるジュン。 目の前で座ってる人の視線が気になるんですかぁ? 快速と違って座席の向きが90度違いますからね。 …でも翠星石とのりがお前を挟んで座ってるだけでもまだマシでしょうに! そんなジュンも、今日で壁をひとつ乗り越えましたね。 ひとつどころじゃないかもしれないです…。 だって、学校よりも人が多い街に出ることが出来たんですからね。 別に今だって怖がることなんてないんですよ。 ABCの邪魔さえ入らなければ── やっぱり、こいつらを倒すまでは学校復帰は厳しいですかねぇ。 翠星石も連休明けから安心して学校生活を送れるか心配になってきたです…。 あと、ケーキ屋でジュンが言ってましたが、 誰にも出掛けたことを連絡しなかったことで水銀燈に怒られたんですね。 まぁそういう意味では水銀燈の気持ちは分からんでもないです。 家から忽然と姿を消したとなれば、誰だって心配しま...
  • 「しっぽの話」 ホーリエ編
    「しっぽの話」 ホーリエ編 我輩は犬である。名前はホーリエ・フォン・ローゼンハイム。 どこで生まれたか頓と見当がつかぬ。何でも薄暗いブリーダーさん家の居間で きゅんきゅん泣いていた事だけは記憶している…。 そんなわけで、こんにちは、メイメイさんから後を任されましたホーリエ号です。 犬種はシェパード、年は三歳。長い名前の後半は犬舎号というもので、私の正式な苗字に当たります。 ご主人様ご一家には、小さい頃から厳しく訓練を受けさせて頂きまして、 おかげで今は嘱託警察犬などの任務にもついております。 あくまで嘱託ですので、普段はただの番犬なんですけどね。 ちなみにメイメイさんとは、まだお互い小さな頃からの付き合いで。 昔は良く水銀燈さんと一緒に遊びに来られていましたが。 最近は、ご主人様がある一件から猫が苦手になってしまったので今は中々…… なので、私が昼間に庭で番をしているときに、一匹で...
  • 第19話  『星のかがやきよ』
    何を言ってるの? 蒼星石には、悪い冗談としか聞こえなかった。 翠星石は、自分の気持ちを表現するのが下手な女の子。 気恥ずかしさから、つい、意地悪をしてしまう精神的な幼さを残していた。 本当は嬉しいのに、素直に喜びを言い表せなくて…… からかい口調で茶を濁した結果、落ち込む彼女を宥めることは、幾度もあった。 きっと、今の冗談も、いつもの悪ふざけに違いない。 蒼星石は、そう思おうとした。からかわれているのだ、と。 だから、翠星石が「ウソですよ」と戯けてくれるコトを大いに期待していたし、 その時には、ちょっと拗ねて見せて……そして、一緒に笑い飛ばすつもりだった。 ――なのに、蒼星石の期待は、あっさりと裏切られた。 「私……誰……です?」 「な、なに言ってるのさ。やだな……いい加減にしないと、怒るよ」 「ふぇ?」 「どうして、再会できたことを、素直に喜んでくれないのさ。  ボクが、どんな想...
  • 【ゆめうつつ】~トロイメント~§3
    ――――――――――――――――――――  夢を、見ているのだと思った。だってこれは――何度も見てきた、光景だっ たから。  ここに居る時の私は、自分の意思で動いているようでありがなら。その実、 もう既に『何かに囚われた』動きしか出来ない。  眼の前には、私がずっと好きだった……彼の姿。『今』の私は、彼の部屋の 中に居る。幼馴染の関係を続けてきて、いつも二人一緒であること自体が自然 だった。  そんな彼が。瑣末な問題(あくまでそれは、私から見ての意見として)により、 学校へ来なくなってしまった中学生時代。私も随分と拒絶されていたけれど、 彼が学校へ通えるようになった直前の時期などは、家に上がれるようになって いた。 「ねぇ、ジュン」 「――なに」 初めはドア越しに、そしてその内部屋に入り。眼は合わせていないけれど、今 私達は、同じ空間を共有している。  あなたが来ない学校は、何...
  • 第八話 JUMと雪華綺晶
    「一つ屋根の下 第八話 JUMと雪華綺晶」     今日は休日・・・意外な事に今日は我が家にほとんと人がいない。まず、銀姉ちゃんと真紅姉ちゃんと ヒナ姉ちゃんはくんくん探偵の劇場版を揃って見に行った。高校生にもなって・・・とか思うけど口に出すと くんくんについて小一時間語られるので(主に銀姉ちゃんと真紅姉ちゃんに)言わずに見送る。 カナ姉ちゃんは部活らしい。音楽部と科学部を兼部してたはずだ。今日はどっちだったかなぁ・・・ バイオリン持って行ったから音楽部だろう。んで、翠姉ちゃんと蒼姉ちゃんは二人で洋服とかの お買い物だ。あの二人の事だ。翠姉ちゃんが何とか蒼姉ちゃんに可愛い服を着せようとし、 蒼姉ちゃんがそれを全力で拒否を繰り返して、結局時間かかるだろう。 んで、今家に居るのは僕とキラ姉ちゃんと薔薇姉ちゃん・・・だったが・・・ 「JUM・・・出かけてくるね・・・」 「薔薇姉ちゃんもどっか行く...
  • 第三十三話 JUMと喫茶ラプラス 前編
    「一つ屋根の下 第三十三話 JUMと喫茶ラプラス 前編」     「JUM、ちょっと降りてくるですよ~!」 夏もお盆に差しかかろうとしたある日の夜、僕は翠姉ちゃんの声でリビングへ向かった。 「なぁに?翠姉ちゃん。って、みんないるのか。」 「JUM、テレビが映らねぇです。診れないですか?」 そんな事を言う。いやさ、いくら僕が男だからってそんな事まで分かるはずがない。 「いや、僕別に家電に詳しいわけじゃないし。」 「はぁ、使えねぇ奴ですぅ。パソコンにエロイ動画を溜め込んでる奴の台詞とは思えないですぅ。」 何故知ってる!?いや、そうじゃなくて……別にダウンロードくらいは誰でも…いや、そうでもなくて。 「と、とにかく。そういうのはカナ姉ちゃんの専門だろ?」 「カナでも全然だったかしらぁ~。」 カナ姉ちゃんが出来なくて僕が出来る訳ありません。すると、銀姉ちゃんが電話をとる。 「仕方ないわぁ……もしも...
  • 第二十五話 アリスガンダム、起動
    「超機動戦記ローゼンガンダム 第二十五話 アリスガンダム、起動」   「遂にこの時がやってきた。アリスの支配による機械的な世界を受け入れずに抵抗し、戦ってきた 我々も、ようやく打倒アリスを果たす日が近くなってきた。」 ここはモスクワ基地、大集会場。壇上ではべジータが熱弁を振るっている。あいつ、何気にああいうの得意だよ なぁ・・・前世はきっと王子とか王様だったんじゃないかと思ってしまう。 他のメイデンの面子といえば、珍しく真面目に話を聞いている。いつもは、雛苺が居眠りしてたり 水銀燈はサボって医療室で寝てたり。真紅なんかお茶の時間とか言って食堂にいた時もあったな。 「今、我々が此処に存在するのは、我々に意思を残して散っていった者達のお陰だと思う! 各レジスタンス・・・ここまでたくさんの辛い別れがあったろう。」 べジータがしばらく言葉を止める。恐らく、ラディッツとナッパ。その他諸々の勇者達を思...
  • 姉モノ
    姉モノ(NGword biero) 銀「ねえ…JUM」 ジ「何? 銀姉?」 銀「JUMはどうして、その……上でしてもらうのが好きなの?」 蒼「ああ……そういえば僕もよくJUM君の上に乗ってるね」 翠「確かに、こいつは騎乗位大好きチビですぅ」 雛「ヒナもJUM登りで頑張ってるのー」 J「いや、それはさ……」 金「それは、JUMが巨乳好きだからかしらー」 J「な!? カナ姉!?」 銀「ふぅん、なるほどぉ。JUMは大きなおっぱいが大好きなのねぇ」 蒼「そうかあ。だからあんなに摘んだり吸ったり噛んだり……ふふ」 翠「ヒヒヒ、おめーは赤ちゃんですかぁ? ママのおっぱいが恋しいんですね」 雛「うゆ…JUM、おっぱい欲しい?」 金「ちなみに騎乗位なのは、下からおっぱいを見上げるのが好きだからかしら」 翠「JUM、おめーも相当に好き者ですねぇ……」 J「ちょwwww」 薔「私は上じゃない」 雪「私もフツー...
  • 第十七話  『明日を夢見て』
    「こんにちは。足の具合、どう?」 金曜日の、午後四時。 気遣わしげなノックに続いて、ドアの隙間から、巴が控えめの笑顔を覗かせる。 蒼星石が目を覚ましてからと言うもの、彼女は毎日、学校帰りに病室を訪れていた。 一人部屋で退屈三昧の蒼星石にとっては、待ち侘びた時間でもある。 「だいぶ、よくなったよ。歩くのが、まだちょっと億劫なんだけどね」 言って、蒼星石は深まる秋の早い夕暮れを正面に受けて、眩しげに瞬きした。 抗生物質を点滴したお陰か、両脚の腫れは、もうすっかり治まっている。 今では、塞がりかけの傷口が、むず痒くて仕方ないほどだ。 どうにも我慢できなくて、蒼星石は包帯を巻かれた足を、もぞもぞ摺り合わせた。 蒼星石の血色よい顔を見て、巴は「よかった」と、にっこり白い歯を見せた。 「今日は、おみやげを持ってきたの」 言って、ひょいと持ち上げたのは、病院の側にある和菓子屋の箱。 「柏餅なん...
  • ずっと傍らに…激闘編 第二十三章~ジュンside~
    ──昨日水銀燈に話した翠星石のことを、今日も思い起こす。 そういや、手を繋がないと怒り出すのは、 それっぽいのが最近でもあった…かな。 街へ行った時、ケーキ屋に行く前に僕の腕にしがみついてた事とか…。 ふっ。 翠ちゃん…。 幼稚園の頃のあだ名。 ──今は昔…か。 他に思い出すといえば…おとといの話。 寝る前の翠星石との言い争いか。 僕は自殺しようという気なんてさらさら持ち合わせてなかったからな。 これだけは今でも自信を持って言い張れる。 ----- 翠「…こっんの大馬鹿者ぉ!!」 ジ「なんだよ…。さっきまで腰抜かして立てなかったくせに──」 翠「キィィィー!!」 蒼「2人ともやめようよ…」 翠「何で窓から飛び降りようとしたんですか!」 ジ「飛び降りるつもりはなかった。   自殺なんかしようとは思ってなかった。   ただそれだけだ」 翠「じゃあ何で──」 ジ「水銀燈から逃げる...
  • 第十五話  『負けないで』
    かさかさに乾いた肌に引っかかりながら流れ落ちてゆく、紅い糸。 心臓の鼓動に合わせて、それは太くなり……細くなる。 けれど、決して途切れることはなくて―― 「……ああ」 蒼星石は、うっとりと恍惚の表情を浮かべながら、歓喜に喘いだ。 これは、姉と自分を繋ぐ、たった一本の絆。 クノッソスの迷宮で、テセウスが糸を辿って出口を見出したように、 この絆を手繰っていけば、きっと翠星石に出会える。 そう信じて、疑いもしなかった。 命を育む神秘の液体は、緩く曲げた肘に辿り着いて、雫へと姿を変える。 そして、大地を潤す恵みの雨のごとく、降り注ぎ…… カーペットの上に、色鮮やかな彼岸花を開かせていった。 「そうだ…………姉さんの部屋に……行かなきゃ」 足元に広がっていく緋の花園を、ぼんやりと眺めながら、蒼星石は呟いた。 自分が足踏みしていた間に、翠星石はもう、かなり先に行ってしまっている。 だから、...
  • 超機動戦記 ローゼンガンダム
    超機動戦記 ローゼンガンダム 稀代の天才科学者ローゼンが全てを超えし人工知能「アリス」を作ってから10年。その強大な能力 故に人間から支配されること嫌ったアリスは人間を相手にクーデターを起こす。 これを世にアリスの乱と呼び、多くの人間の運命を変えてしまった。 そのさらに10年後、人類はアリスを筆頭とするコンピューターに支配されていた。 しかし、有り余る力でアリスが暴走した時に備えローゼンは7体のローゼンガンダムと言われるMSを 用意していた。その封印がとかれ、何の因果か機体と同じ名前の少女たちがアリスに立ち向かう時 この果てしなき人間とコンピューターとの戦いが幕をあける・・・・ 機体紹介 人物紹介   第一話 戦いの狼煙 第二話 激突する力 第三話 アリスの支配 第四話 共同戦線 第五話 バトルインヨコハマ 第六話 双子の過去 第七話 少女たちの休息 第八話 からたちの歌 第九...
  • 四話「水銀燈」
    短編「図書館」シリーズ四話「水銀燈」 突然だが、私、真紅は図書委員だ。 元々本が好きで、中一のときに初めて図書委員になり… 気が付けば図書室、そして図書委員の常連となり早3年。 その間に図書室仲間ともいうべく、同じく本の好きな友達連も出来て、 図書館をよく利用する人の顔もかなり覚えた。 これは、そんな私の図書室でのある日の話。 昼休みも中盤に入ってくる頃、入り口の扉から入ってくる人影。 目立つ銀髪に赤い瞳…高等部一年の先輩、水銀燈だ。 彼女は私の姿をカウンター内に見つけて、近寄ってきた。 銀「あらぁ、今日の当番は真紅なのねぇ…お疲れさまぁ」 そしてにっこり微笑む。少し頬が熱くなるのがわかったが、私はできる限り気にしないようにして、 要件だけを言う。 紅「返却の本は?」 銀「はい、これよぉ」 手渡されたのは美麗なイラストに彩られた表紙の文庫本。要はライトノベル、といわれる類の本...
  • 【たまにはこんな日曜日】
        どうして、こうなるのでしょう。  なんとなくわかってる。わかってるの。  材料よし。  器具よし。  今日は、今日と言う日は、なき言を言っている場合ではないのに。 「……」  今、はじめに考えていたのとは大分違う現実が、広がっている。 【たまにはこんな日曜日】 ―――――  ほんとうに、食べるのがすきだね。  何気ない一言だった。それを聞いたのは、駅前のラーメン大食い一番勝負の看板のかけられた店を瞬殺した直後のこと。あの店長さん、本当に眼をまるくしてた。比喩じゃなく、驚くとそうなるんだ、なんて思ったりしていた。 「……きっと食べるのがすきなら、作る方もいけるんじゃないかな」  正直、あんまり考えたことがなかった。そう言われてみれば、私の眼の前には『食の道』が果てなく続かんとばかりに、気付けば食べ物がある。  ただ、それはひとえに、自分の生活が恵ま...
  • 奇しき薔薇寮の乙女 第五話
    臓腑が蠢く、気持ちの悪い命の音を知る。 食前食後、それは食われるコトを前提に作られていた。 他者の命を喰らう。本来のそれは、そうあるべき姿としてこの世に生きる資格を与えられた。 長い命の夜を経て、他者の命に包まれて、またあるべき姿として再生する。 限りなく圧縮された長い時間を使い再生したそれも、また他者の命に包まれるコトを前提に。 大地に根付く雑草に倣う。一年を使い産まれる、約20万もの命。その圧倒的な存在感は、もはや同等の概念に近い。 力強い自身を表現するように、それらは自らを血潮に染める。 自身を鮮やかな赤に染め上げて、自分の開花を知らしめる。 気の遠くなるような時間と進化を使い、ようやくそこに到達した。 「─────どうして、食べちゃったの?」 包まれるコトに痛みはない。 包まれていく恐怖もない。 例えられる快感はなく、自身の意思などあり得ない。 自身が咀嚼されていく現実...
  • 第百二十四話 JUMと蒼姉ちゃん
    「一つ屋根の下 第百二十四話 JUMと蒼姉ちゃん」 翠姉ちゃんが僕の部屋から消えて一時間ほどたったのだろうか。僕は、未だに部屋に一人だった。 「蒼姉ちゃん……来ないのかな……」 次は順番通りでいけば、蒼姉ちゃんのはずである。でも、彼女はまだ姿を見せていなかった。でも、そんな時 だった。僕の携帯にメールが受信される。その送り主は蒼姉ちゃんだったんだ。 『JUM君、今から駅前来れないかなぁ?僕も向かうからさ。もし、家から出たくないんだったら僕が 家に行くけど……どうかな?』 そんな内容のメールだ。駅前?何故に?理由はさっぱり分からない。でもまぁ、このまま家でグチグチと 引き篭もっておくよりは、太陽の下にでも出たほうが多少はマシかもしれない。僕は、メールでOKの 返事を送ると、身支度をして家を出た。 そして駅前。まだ蒼姉ちゃんの姿は見えない。とりあえず、噴水の近くに座っておく。 そして、数分...
  • 連載中
     投下された連載中の作品です。 上にいくほど新しく更新された作品です。   11/03/05   白兎とタイムマシンと大切な人と 10/08/22  The Unknown  guroino sinineta 10/07/15 いちご日和 10/05/30 雪華綺晶的な思考 10/05/30 少年時代 10/05/30 黒き天使を従えて 10/03/04 「とある夏休み」 10/03/03 『夢のあとに』 sinineta 10/02/11 ESCAPE GIRL FANTASY hokakyara 10/02/08 平穏な日常 10/02/08 Merry Christmas, Mr.Vegita-After Yellow Comes Purple- 10/02/03 another side sinineta guroino 10/01/31 ~Pretty Maiden~ 09/11...
  • 【夢の続き】~ドール~
     桜が、散ろうとしていた。待ち望んでいた筈の春は、あっという間にその終わりを見せよう としている。川沿いの桜並木から、零れ落ちていく花びら。それらが、水面にひたり。水の 流れに沿っている。落ちた花びらは、抗えず。ただ、流されていくだけ。  こんな風景を見て。私の心の内には、何の波も立っていない。感傷、寂しさ、あるいは哀し み……という名前の、『何か』。そういうものは、少なくとも私には必要の無いこと。  涙は流さず。少しの喜びと、楽しみがあれば。それだけで、良いのだから。  私は、十分に哀しんだ。  だからもう、いいと思う。  ちりん、と。首元から聴こえる金音。紫の紐に通された、ふたつの銀の輪。  ぎゅっと、握り締める。  光が眩しい。眼を細めて、私は。自分の先を、ただぼんやりと見つめている、だけ。   ―――――――――――  夢を、見ていた。私は春の桜並木の下を、ひ...
  • 『ひょひょいの憑依っ!』Act.2
      『ひょひょいの憑依っ!』Act.2 ――チュンチュン……チュン カーテンを取り付けていない窓辺から、朝の光が射し込んできます。 遠くに、早起きなスズメたちの囀りを聞きながら、ジュンは布団の中で身を捩りました。 春は間近と言っても、朝晩はまだまだ冷え込むのです。 「……うぁ~」 もうすぐ会社の新人研修が始まるので、規則正しい生活を習慣づけないと―― そうは思うのですが、4年間の学生生活で、すっかりグータラが染みついてるようです。 結局、ぬくぬくと二度寝モードに入ってしまいました。 すると、その時です。 「一羽でチュン!」 ジュンの耳元で、聞き慣れない声が囁きました。若い女の声です。 寝惚けた頭が、少しだけ目覚めます。 「二羽でチュチュン!!」 小学校に通学する子供たちの騒ぎ声が、近く聞こえるのかも知れません。 うるさいなぁ。人の迷惑も考えろよ。胸の内で、大人げなく悪...
  • 0. Midnight Shuffle
    私は、神様が嫌いだ。 だって神様は…私をこんな風に創ったから。 銀色の髪。赤い瞳。 私は…生まれてすぐに、それを気味悪がった両親に捨てられた。 捨てられた先は、小さな町の小さな教会の軒下。 せめてもの加護を。そう考えでもしたのだろうか。自分達で見捨てておいて。 とにかく、そこで私は…運が良かったのか悪かったのか…教会の人間に保護された。 私を拾ったシスターの話では、私はその時、泣き声も上げられない程に衰弱していたらしい。 …後日それを聞いた時は、やはり運が悪かったのだろうな、とぼんやり思った。 私の、教会で修道女として生きる人生。 整った顔立ち。白い肌。銀色の髪。赤い瞳。 黒い修道服が、その全てを妖しく際立たせる。 私は、誰もが裏で私の事を悪魔や魔女と呼んでいる事を知っていた。 幼かった私には…ただ冷笑的にその言葉を受け流すのが精一杯だった。 私はいつしか、思うようになっ...
  • べジータレポート
    よう、俺だ。ベジータだよ。ガンダムでは結構活躍してたのに今回は全然出番がないから、色々羨ましいJUM とその姉妹達を調査してみたぜ。あん?ストーカー?知るか。俺だって出番欲しいんだよ。   水銀燈…超がつくほど積極的で、自分の全てを武器にJUMを誘惑する。実際、JUMになら何をされても いいと思ってるらしい。ただし、それも場などを結構わきまえてるらしく姉として振舞うべき場所では長女らしく JUMの悩みを聞いてあげたり、優しく接してあげたりしている。JUMとは32話でキスをしたが、32話によると どうやら幼少期から結構してた模様。何せ、オマジナイですから。     金糸雀…自称策士だけあって、策を張り巡らして楽してズルしてJUMを頂こうとしている。が、このほとんどは 尽く失敗する。3話にいきなり媚薬入りの乳酸菌飲料を水銀燈に飲まれ自滅している。しかし、失敗 しても結局は結果オーライになってる...
  • 【ゆめうつつ】~トロイメント~§5
    §5 ――――――――――――――――――――――  彼女の家に行く機会は、割と多い。講義で出された課題なんかの存在に気付 かないことがままある私が、助けを求めにいくのだ。  そういった勉学の場にお酒を持っていくと彼女は怒るので、終始しらふで勉 強し、話をしたりしている。女は三人そろえばかしましいが、二人であればぎ りぎり大丈夫のようで。  彼女の家で勉強をすると、非常に効率があがる。逆に私の家には、お酒のス トックが多くあるせいか、勉学の場としてはあまり向いていない。  高校時代は、実家の方によく遊びに行っていたけど。普段のキャラは冷静沈 着で通っている彼女(たまに爆発するが)の部屋が、結構ファンシーなもので飾 り立てられていたのが最初は以外だった。  だが、長く付き合っていると。彼女はなかなかどうして、かわいい性格をし ていることがわかる。本人に言うと怒られそうなので、あえて言う...
  • 【真っ白なノート】
        そこには、ノートがありました。  大事なことを、書き残すための、ノートです。  大事なこと。  それは様々な、思い出。  ですが、そのノートには、何も残りません。  いつまでも、いつまでも。  書いた端から、消えていきます。  魔法のかかったノートは。  ずっと真っ白な、ままでした。 【真っ白なノート】 ――――  不思議な森の外に、女の子が住んでいました。  不思議な森が、何故不思議であるかを、その女の子は知りませんでした。  知らなければ、そんな不思議も『無い』ことになります。  だから女の子は、ある日足を踏み入れてしまったのです。  絶対に入ってはいけないといわれていた森の中へ。  女の子はそして、迷ってしまい――  女の子は、森に呑まれてしまったのです。  それは。森にとって、大切なものが壊れてしまう、少し前の、お話。 ―――  森に...
  • アンケ
    旧雑談所にリンク願いがきたのだが・・・ 初めまして 私、ワイワイKakikoで、ローゼンメイデン@薔薇乙女ほのぼの交流板の管理をしている者です。 今回、当板に貴方様の板へのリンクを、当板のローカルルールに掲示したいと考え、その了承をと思い、(以下略 ローゼンメイデン@薔薇乙女ほのぼの交流板の特徴(私的見解) リンク依頼してきてるサイトのURL 投票終了のため削除(9/2) 1・元は2ちゃんのほのぼの板 2・上記板の内容はなりきり板とVIPが混ざっているような感じ 3・YYとしては結構動いてる(活発)かな? みんなはどう思う? (期間は9月2日午前7時ごろまで) リンクしても (おk[8],やめて[33],どっちでも[3]) 何かあったら一言(自的見解とか) VIPあっての普通スレだと思うし同じ2ちゃん...
  • 『ひょひょいの憑依っ!』
    『ひょひょいの憑依っ!』 凍てつく冬が、静かに舞台を降りてゆく頃。 それは、春という再生の訪れ。 多くの若者たちが、新しい世界に旅立っていく季節。 彼……桜田ジュンもまた、新たな道に歩を踏み出した若者の一人でした。 「今日から僕は、ここで――」 穏やかに、昼下がりの日射しが降り注ぐ空間。 薄汚れた壁際に、山と積まれた段ボール箱を眺め回して、独りごちる。 大学を卒業したジュンは、首都圏に本社のある企業に、就職が決まっていました。 そこで、これを機に親元を離れ、独り暮らしを始める予定なのです。 彼が借りたのは、都心から電車で30分ほど離れた下町の、ボロアパートでした。 築20年を越える5階建てのコンクリート家屋ですが、立地条件は悪くありません。 勤務先にも、公共の交通手段を用いれば、1時間以内に辿り着けます。 そんなアパートならば、家賃だって安かろう筈もなく―― 最低でも、一ヶ...
  • 第五十九話 JUMとスウェーデンリレー
    「一つ屋根の下 第五十九話 JUMとスウェーデンリレー」     「みんな、よく頑張ったな!担任の梅岡だよ!!」 教師の癖に正に鳥頭。自分の存在がそんな簡単に忘れられると思ってるのだろうか。大丈夫。無駄に インパクトだけは強いから。 「さて、後はスウェーデンリレーのみか……」 べジータが言う。スウェーデンリレーというのは、男子二人女子二人の代表で100m、200m、300m、 そしてアンカーが400mと徐々に距離の増えていくリレーである。100mと300mが女子。200mと400m が男子と決まってる。ウチのクラスは300が薔薇姉ちゃん。400がべジータだ。いやでもさ、凄いよね。 僕なんて全員リレーの120mで一杯一杯だったのにさ。300とか400を全力で走り続けれる事が凄い。 『大変お待たせいたしました!!それでは、スウェーデンリレーの出場選手は集合して下さい。』 「頑張ってね、薔薇姉ち...
  • まとめ水銀燈
    水銀燈イメージ 銀髪ロング -- 名無しさん (2006-06-19 14 52 28) 意外と高飛車 -- 名無しさん (2006-06-19 16 10 14) 最強種 -- 名無しさん (2006-06-19 16 38 05) 意外と一途 -- 名無しさん (2006-06-19 18 08 25) 実は真紅をほっとけない(此処のSS傾向) -- 名無しさん (2006-06-19 18 17 38) 結構寂しがりやかも -- 名無しさん (2006-06-19 19 01 56) なぜ、ヤクルトがでてないんだぁ~~~!! -- 名無しさん (2006-06-19 20 29 38) 意外と不幸(TVアニメ) -- 名無しさん (2006-06-19 20 41 10) アニメでは、代一子後遺症とかのリアルな影響を考慮してか...
  • フラグメント/― 泡沫の夢
     彼の声は遠くなり、そして新しい声が聴こえ始める。  私は夢を見る。遠い昔の、彼女の記憶。 ―――――― 「あ、……ジュン。また頑張ってるのねー」 「え? ……うん。もう少しで出来るかな。全く人遣いが荒いよ」  そんなことを言いながらも、彼はとても嬉しそうだ。  真夜中。此処は、雛苺の家。土曜の夜、次の日の学校は休み。彼はその日、泊りがけで やらなければいけないことがあった。  決して強制された訳ではない。ただ、彼の心が。それを望んだだけのこと。  両親は既に、眠ってしまっている。いくら中学生とはいえ、男子の宿泊を認める辺り、 その辺に疎いところが何とも『らしい』というか……それだけ彼が、信用における人物 あると評価されているということだろうか? 「お姉ちゃんも、ずっとこっちにいればいいのにね」 「そういう訳にもいかないだろうな。それにしても雛苺、向こうのひとってのはあん...
  • 『薔薇HiME』第3話
    ジュンはいつもより爽やかに目覚めた。今日から新学期。 ジュンの学園生活が始まる日だったからだ。 巴とともに余裕を持って登校したジュンは、初日はまず職員室に来るよう言われていたことを思い出し、「用事を思い出した」と校門前で巴と分かれた。 有璃珠学園は異様に敷地が広い。学園の東西と北を山に囲まれた砦のような位置にあり、それらの山も学園の所有地となっているからだ。 そのような場所だから当然高低差もあり、また、各棟を結ぶ道路から少しでも反れるとろくに舗装もされていない獣道となる。 「自然に囲まれた学園」というコンセプトが暴走していると思うのはジュンが新参者だからであろうか。 「ぜぇ…ぜぇ…」 ジュンが向かおうとしている職員棟は東山の頂上にあるのだが、ずいぶん険しい。 この坂を毎日行ったり来たりしている学園の教師たちの苦労を思う。 「きゅ、休憩…」 中腹付近で限界を感...
  • 第九話 トラウマ
    「超機動戦記 ローゼンガンダム 第九話 トラウマ」   アリスの攻撃があるとの情報を受けサクラダがセンダイシティへ向かっている途中だった。 JUMはふと、自分の学生時代を思い出していた。それは少ない時間ながらもJUMにとって 数少ない楽しい思い出の記憶。のりがいて、真紅がいて。そういえばベジータともこの時に出会った んだったな。アリスの乱で親を失ったけど、学校のみんなもそうだった。だから、仲良く慣れたの かもしれない。その後僕はメイデンに加入してみんなとは会わなくなっていたけど・・・ みんなは元気でやっているだろうか・・・ 「桜田君、もうじきセンダイに到着します。情報によるとセンダイシティの守備についているレジスタンス はすでにアリス軍と交戦中。何でも新型機があるとのことで苦戦中の模様です。」 巴がJUMに向けて言う。それで正気に戻ったJUMは艦内放送を入れる。 「もうじき戦闘領域に入る。...
  • 第四話  『今日はゆっくり話そう』
    静かな教室の中で、カツカツと響く乾いた音だけが、時の経過を告げている。 チョークが黒板を叩く音は、さながらマエストロの振るタクトが、 リズムを刻んでいるかのようだった。 合間を縫って、中年の男性教師の、伸びのあるバリトンが谺する。 プレイヤーたちは、ノートにシャーペンを走らせ、各々のパートを奏でていた。 時折、くしゃりと紙が縮れる音。それは、四分休符の微妙なアクセント。 授業という名のオーケストラに耳を傾けながら、蒼星石は教科書の陰で欠伸をかみ殺した。 一時限目は、代数幾何。 数学全般があまり好きではない蒼星石にとって、毎週、この時間が苦痛だった。 いつも、忍び寄る睡魔に抗いながら、早く授業が終わることを祈るのである。 昨夜の不眠もあって、今日は殊更、辛かった。 ちょっとでも気を緩めたら、コクリコクリとうたた寝してしまうだろう。 蒼星石はペンを置いて、重い瞼を指先で擦り、腕時計に目を落...
  • 第一話
    今日も私は彼の部屋の前で一人座って、 雛「ねえ、JUM…今日はね…」 一人話している。 雛「それでね、翠星石ったらひどいのよ…」 彼からの返事はない… 雛「水銀燈と薔薇水晶がね…」 どうしてこうなっちゃったんだろう… だってもっと小さな頃は… 『ふたりのやくそく』 「はーい!それじゃあみんな自由にお遊びしてねー!」 (はーーーい!!) 雛「ふんふ~ん♪」 J 「ねえ、雛苺?なにかいてるの?」 雛「あっ!JUM!ヒナはね、おひめさまの絵をかいてるの!」 J 「へー。かわいいね」 雛「でしょ?ピンクのおようふくきて、おっきなリボンもつけるの!」 J 「まるでほんとうのおひめさまみたいだよ!ぼくもいっしょにかいてもいい?」 雛「もちろんなの!JUMもいっしょにおえかきするの!」 雛「うわー!JUMっておえかきじょうずなのね!」 J 「へへ…そうかな?」 雛...
  • @wiki全体から「~~旅立ちの時」で調べる

更新順にページ一覧表示 | 作成順にページ一覧表示 | ページ名順にページ一覧表示 | wiki内検索