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君が教えてくれたモノ - (2008/09/02 (火) 20:32:04) の編集履歴(バックアップ)


※まだ書いてる途中なのです

【1】

ふー・・・
やれやれ、最近は疲れてダメだ。
何だか知らんが昼寝して起きたらいつの間にかMy鏡がぶっ壊されていたり、
バーゲンセールで激安の鶏肉を取ろうとしたらいつの間にか吹っ飛ばされたり・・・

って主夫か。俺は。

冗談を言っている場合じゃない。俺の鏡が壊されたのはただ事じゃねぇぞ。
アレがなければ光の魔獣を召喚する事も出来ないし、
光の矢だって撃てないしで色々致命的なんだ。
んー・・・誰がブチ壊しやがったんだろうか・・・

「そら、災難やなぁ~」

そんな俺のグチを聞いているのはカーマだった。
今時、蝶ネクタイにハリセン(鋼鉄だけどな)という古い芸人のような風貌をしているコイツは、
煎茶をずずーっとすすりながらぼんやり俺のグチを聞いているようだった。
コノヤロウ。聞く気あんのか。

「でもなぁー・・・問題はどうやって直すか、やろ?」

そりゃそうだ。
直らなきゃ俺はただの人(?)だし、いざとなったら闘えない。

「アンタ、元々そんな役立ってへんかったやん」

「黙れ」

コノヤロウ・・・言いたい放題言ってくれるじゃねぇか・・・
だからと言って、『黙れ』以上の事は言わなかった。
コイツは男勝りの馬鹿力で、歯向かうと何をされるか分かった物じゃない。

「どうやって直すか、くそぉ~・・・」

俺が頭を抱えていると、

「ん。やってみるか?」

とカーマ。

「何をだよ」

「修理や、修理」

「・・・はい?」

「だーかーらーぁ、修理やゆーてるやん」

「・・・って出来んのかよ!?」

カーマはかっかっか、と笑って、

「馬鹿にすんなや。ウチの財閥に本気ださせたら魔具の修理だってほんの2、3ヶ月や」

「あ・・・やっぱそれくらいかかるんだな・・・」

「ウチのハリセンやったらくれてやっても構わんで?いつでもスペアがあるし」

いらん。俺はお前みたいに豪快な奴じゃなくて、
もっとスマートな武器だったんだよ。

「へぇ~・・・ま、ええわ。とりあえずそのゴミの破片よこしぃ」

「ゴミじゃねぇ!このゴルデル様の大事な鏡だっつーの!」

「かっかっか。ま、任しときぃな」



【2】

「しかし・・・2、3ヶ月ってなぁ・・・」

困ったな・・・あの鏡があるとないとじゃ生活もガラリと変わるんだが。
例えばだな、光の乗り物とか光のバリアとかな・・・
ええい、もういい。言うとなんつーか、恋しくなる。
もうアレは俺の体の一部同然だったんだ。
くっそ・・・誰がぶっ壊したんだよ・・・
人の物粉々にするなんてな、器物破損だっつーの!

「・・・言ってもしゃーねーか」

失った物はしょうがない。カーマの財閥さんとやらがさっさと修理してくれることを祈る。
とりあえずする事も無いので家に向かっていた。その時だ。

「ニャア」

「ん?」

猫?・・・猫だな。俺の見た先には猫がいた。
ちっこい段ボール箱の中に、まさしく箱入り娘と呼べそうな感じで収まっていた。
うむ、上手い事言ったな俺。

「拾ってください、って事か?・・・フン、生憎俺はペットを飼うほど余裕はないんだ」

誰も拾えとか言ってないのに、何故か一人でそんな事を呟いてその場を立ち去ろうとした―――が。

ポツリ。

「ん?」

まさか・・・雨?俺のその予感は的中し、最初は小規模だった雨の野郎もどんどん規模を大きくし、次第に豪雨となった。

「くっ、天気予報の馬鹿野郎!」

言っても意味のない事を言いつつ、俺は走り出し―――

「フニャアアア!」

「ぬわっ!?」

振り返ると、先程の猫が何故か苦しそうに泣き声を上げた。
おいおい、どうしたってんだ!?
よく見ると、猫はとても寒そうに震えていた。

「・・・ったく」

俺は段ボール箱ごと猫を抱えて、走り出したのだった。


【3】

「うわー、びしょびしょだねー。大丈夫だった?」

「この姿が大丈夫に見えるのか?」

大雨のせいでびしょびしょになった俺は、近くにあった海の家へと辿り着いていた。
海という奴は、何が好きなのか知らんが古い海賊船の下っ端のような、妙な帽子を被っている、やはり妙な奴だ。

「むー。今タオル持ってくるから」

そう言って海は家の奥へと走っていった。