4-727氏 ONE DAY⑫

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某日。 私は悩んでいた。 (どうやったら椿さんたちに私のことを櫻と読んでもらえるのでしょうか…。) 椿さんは咲さんや和さんから呼び捨てで呼ばれるのに対し、私は"ちゃん"や"さん"をつけて呼ばれるので、三人との微妙な距離を感じていた。 「櫻ちゃん?どした?」 「はっ!ちょっと考えごとを…」 「なになに?!教えて!」 「いえ、本当にくだらないことなんです…」 「???そう?」 「ただいまー」ガチャ 「咲、和!おかえりなさい!」 「お邪魔してます。」 「あっ、櫻ちゃんいらっしゃい!」 「今ココア入れますね、櫻さん。」 櫻ちゃん…櫻さん… …ちゃん……さん… 私は咲さんや和さんを両親のように思っている。もし自分に両親がいたらこんな感じなのだろうか、と二人の優しさに触れる度に思う。 しかし、二人はどうなのだろう。私を――私が二人を両親と思うように――子供だと思ってくれているのだろうか。 少なくとも椿さんは…二人にとって"子供"だと思う。 でも私は……。 「櫻さん?どうしたんです?」 「具合悪いの?櫻ちゃん…」 「櫻ちゃん、今日なんかおかしい…」 「あ、大丈夫です。ぼーっとしちゃって。」 「なら、いいけど…無理しないでね?」 「今日の晩御飯お粥にしますか?」 「な、何かしてほしいことあったら言って!」 こんなにも私のことを心配してくれてる…。ああ、本当にいい人たちだな。家族ってこんな感じなのかな。わかんないけど…なんか、あったかいな…。 でも…… 「本当に、大丈夫…?」 「「「櫻ちゃん(さん)」」」 「…っ!……きょ、今日は帰ります。いつも晩御飯頂いてちゃ迷惑ですし…」 「櫻ちゃん?!」ガタッ 椿さんが立ち上がり、玄関へ向かう私の腕をつかむ。 「櫻ちゃん、どうしたの?やっぱ変だよ…」 「…椿さんと違って家族でもないのにここにいるのは迷惑…「櫻さん」 「家族じゃないなんて誰がいつ言ったんですか?」 「…だって…私だけ……呼び方が…」 「「「……呼び方?」」」 三人が驚いたというか、豆鉄砲をくらったような顔をした。 「ちゃんとか…さんとか…」 ここまで言ってようやく理解してくれたのか、咲さんと和さんは笑顔を浮かべていた。 椿さんはわかった!とでも言うようにポンッと手をたたいた。 「じゃあ、これでいい?櫻!」 屈託のない笑顔と一緒に初めての「櫻」をくれた。 その笑顔は初めて公園で会った時に見たものだった。 あの眩しすぎる笑顔に知らない内に惹かれていったんだ。 「櫻も私たちの家族だよ!」 咲さん…。 のんびりしてるけど先生に電話かけてくれたり、すごく頼りになる人。 「櫻、何か食べたいものありますか?」 綺麗で、しっかりしてて、優しい和さん。 私の憧れで、自慢のお母さんみたいな人。 「今日はお泊まりだね、櫻!」 椿さん…。大雑把なところとかもあるけど、意外としっかりしててかっこいい人。 「ありがとう…ございます…!」 嬉しくて涙が出るのはいつぶりだろう。 もしかしたら記憶がある中では初めてかもしれない。 ううん、きっと初めてです。こんな幸せは。 「櫻っ!」 「はいっ!」 「私のことも呼び捨てで呼んでね!」 「はい?!」 ONE DAY⑫完

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