6-15氏 無題

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まだ六月だというのに、このところ暑い日が続いています。 ふとした拍子に真夏かと勘違いしてしまう程で、降り注ぐ日差しの強さに、 運動部の生徒達の肌が段々と日焼けしていくのが見て取れます。 もっとも、外で活動することの多い彼らが火に焼けるのは当然として、 文化系の部活であるこの麻雀部には、あまり関係のないこと…………のはずなのですが 「日焼けして肌が痛いよぅ…」 若干一名、日差しの被害者になった部員が……。 誰かと言うと、迷子になったりトイレに行き忘れたり、何かとお騒がせな宮永さん。 真っ赤になった二の腕を押さえ、同じように真っ赤になった首筋をさすり、そんな風にしきりと日焼けの跡を気にする宮永さんを見ながら、マコ先輩が一言。 「和、アフターケアの美白化粧水を咲の体に塗りたくってあげんさい」 (え? えぇ!?) 私の頭が真っ白になったのは言うまでもありません。 なぜ、室内競技の部活動に所属する彼女が日焼けに悩まされているのか? なぜ、私がその美白化粧水を塗りたくることになったのか? この二つについて説明するためには、まず昨日に遡らなくてはいけません。 というのも、私達麻雀部が昨日直面した事件が、今回のことに関係あるからなんです。 話は部活開始の時間を過ぎても宮永さんが現れなかったことに端を発します。 こういう時に携帯電話があると便利なのですが、携帯電話を持っていない彼女には、当然連絡を取ることが出来ません。 部室には既に宮永さん以外の全部員が集まっており、丁度全国大会に向けた練習に取り組もうとしていたところだったのですが、 それも中断せざるを得ませんでした。 もっとも、最初は何かとお騒がせな宮永さんのこと。 どこかでお昼寝でもして寝過ごしているんだろうとか、おトイレだろうとか、その内やって来るだろうと思っていたんです。 しかし、当初の予想を裏切り、ちょっと遅れているでは済まない時間に差し掛かったので、流石に私達も心配になりました。 思えば、宮永さんは今まで一度たりとも無断で練習休んだことなどありません。 そのことに気づいて、 「何かあったに違いないじぇ!」 「何かってなんだよ?」 「チューレンポウトウを和了ちゃったとか?」 「配牌がテンホウじゃったとか?」 「そ、そ、そんな不謹慎なこと言わないで下さい!」 部室もちょっとした騒ぎに包まれました。 サボリとは思えませんし、彼女が私に黙ってサボるなんてあって欲しくありませんし。 何かにあったことはまず間違いないでしょう。 チューレンポウトウやテンホウなんてほとんどあり得ないことですが、連絡が取れない以上はっきりと否定出来することも出来ません。 当事者不在の 『もしかして』 という雰囲気の中、憶測が更なる憶測を呼ぶのはよくあることです。 「部長がネット麻雀で特訓しろなんて言ったからきっと自宅でネット麻雀をしていて、それでチューレンを出してしまったんですよ!」 「ちょ、ちょっと待って。私のせいなの?」 「落ち着けのどちゃん。咲ちゃんの家にはパソコンが無いじぇ!」 「そうだよ。何をそんなに興奮してんだ?」 「そ、それは、宮永さんが心配だから……」 「ほほう」 そんな具合に話があっちへ行ったり、こっちへ行ったりするうち、あっという間に一時間が過ぎ、二時間が過ぎました。 気づけば、はや夕暮れ時。 私も、優希も、須賀君も、部長も、マコ先輩も、皆釈然としない気持ちに包まれながら、 それでもこの状況をどうすることも出来ないことを思い溜息を吐く他ありませんでした。 やがて部長が 「今日はもう解散にしましょうか…」 と言うのにも、強いて反対意見を述べることも出来ず、みんな力なく頷いたのですが、 その時、旧校舎の屋上から、 「あ、あれ!?」 唐突に聞き覚えのある声が聞こえて来たんです。 目を向けると、屋上に置かれたリクライニングシートから身を起こす人の姿が。 ショートカットに切られた亜麻色の髪に、少年のようなデコボコの少ない体…… そうです。私達があれほど探していた宮永さんは、実はずっとすぐそばで寝ていたというわけなんです… みんな一気に肩の力が抜け、練習をする気も興りらないまま 「どれだけ心配したと思っているんですか!?」 「てっきりチューレンポウトウを和了って死んじゃったのかと思ったじょ!」 「おいおい、咲の家にパソコンが無いって言ってたのはお前だぞ、優希」 「この落とし前はしっかりつけてもらわんとのう」 「何がいいかしらね~?」 口々に咲さんに文句を言っただけで、結局そのまま解散することに。 私も取り合えず咲さんが無事だったことへの安心半分、ヤキモキさせられたことへの苛々半分を胸に抱きながら 『この落とし前はしっかりしけてもらわんとのう』というマコ先輩の言葉が (明日きっと現実のものになるのでしょう) ぼんやり思いつつ、家に帰ってその日は早々に眠りに落ちました。 ―――と、ここまでが、 『なぜ、室内競技の部活動に所属する彼女が日焼けに悩まされているのか?』 についての説明です。 『なぜ、私がその美白化粧水を塗りたくることになったのか?』 これついて説明するために、今度は日を跨がなくてはいけません。 というわけで、目覚めた次の日。つまり今日。 学校に行き、授業を終えて部室に顔を出すと、既に宮永さんの姿が。 昨日の今日ということで、真っ先に部室にやって来たのでしょう。 その宮永さんですが、お昼寝の間ずっと直射日光に当たっていたということもあって、制服に隠れていなかった部分が日焼けして真っ赤になっています。 しかも 「日焼けして肌が痛いよぅ…」 と言うように、アフターケアを全くしていない様子。 しきりと痛がっている宮永さんを可愛そうに思いつつ、その時私は気づいてしまったんです。 マコ先輩が眼鏡を光らせながら笑っていることに。 なにか企みごとが浮かんだようなその顔に 『この落とし前はしっかりつけてもらわんとのう』 昨日の言葉が思い出されました。 (今ここで落とし前をつけさせるつもりなんですね? ゴクリ) 私の予想通り、マコ先輩はおもむろに口を開き、 「咲、あんた日焼けのアフターケアはしなかったんか?」 「はい」 宮永さんの答えに再び眼鏡を光らせ、 「ふむ、ここに日焼けによく効く美白化粧水があるんじゃが、誰に塗ってもらったら一番恥ずかしい」 「えっと……原村さんです//////」 最後にニヤリと笑って、落とし前をつけさせるべく言い放ちました。 「和、アフターケアの美白化粧水を咲の体に塗りたくってあげんさい」 と……。 ここまでが二つ目の疑問、 『なぜ、私がその美白化粧水を塗りたくることになったのか?』 に対する説明です。 予想通りとは言いましたが、こんなことになるとは全く思っていませんでした。 今はとにかくドキドキです。 だって、咲さんの体に美白化粧水を塗り……塗りたくらなくてはいけないんですから!!!!!

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