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*子供たちと写真で遊ぶ(2011.4) 先日、ひょんなことからカメラ分解の実演を友人達に見てもらう機会があった。 この時の観客のひとりから「自分の子供にも見せたい」という話があった。 あいにく分解できるカメラが手元になかったのと、子供達にも写真の楽しさを 体験してもらいたかったので、別なネタを考えた。 使い切りカメラで白黒写真を撮り、分解して、身近に手に入る薬品で現像させる、 というたくらみである。子供達が対象なので安全性には最大限注意したい。 **1.使い切りカメラの分解と感電防止処置について 安かったのと分解しやすいため、今回はコダックのスナップショット800を使用した。 使い切りカメラにはフラッシュ回路が内蔵されていて、分解すると感電の危険がある。 さらにこのカメラはシャッターを押すたびに毎回フラッシュが発光するつくりで、 フラッシュ回路のコンデンサは常に充電状態にあると思ってよい。 カメラは子供達に渡す前にあらかじめ分解し、電池とコンデンサを抜き取っておく。 まずカメラのレンズ部分を黒ビニールテープを貼り付けてふさぎ、 フィルムが感光しないようにしてカウンタが0になるまで巻き上げる。 これでフィルムはパトローネの中に巻き取られ再利用ができる。 フィルムを再利用しない場合はそのままカメラを分解する。 カメラを分解すると表板、カメラ機構、裏板の三つに分かれる。 コンデンサがカメラ機構の下部にあるので、ここは絶対に触らないこと! まず、カメラ機構についている電池を外す。 次にスプロケットを回してシャッターチャージをし、シャッターボタンを押す。 一回目はフラッシュが光る。何回かシャッターを切って光らなくなるのを確認する。 最後にコンデンサの足を絶縁ドライバなどで何度かショートさせる。 フラッシュが光らなくなってもコンデンサの中にはまだ電気が蓄えられているので、 パチンと音がして火花がでるはずである。火花が出なくなったらニッパをつかって コンデンサをフラッシュ基板から取り外しておく。 分解したカメラは機構を子供達に理解させるのに使う。シャッター開閉、 スプロケット回転によるチャージ、湾曲したフィルム押さえ、光学ファインダーなど 見所は満載である。 今回は虫メガネと箱でカメラの模型を作り、使い切りフィルムとの類似点をあげて 撮影原理を理解してもらった。使い回しの段ボールとガムテープで作っているのは、 身近なものでカメラが作れるという「演出」である。(本当は間に合わせの仕事) **2.白黒フィルムの装填 ここではダークバッグが必要になる。1.で取り出したパトローネに入ったフィルムの 軸の先端にはギザギザがあって、これをカメラの巻き上げノブとかみ合せ巻き上げる。 しかし、普通のフィルムの軸にはギザギザがなく、巻き上げノブとかみ合わないため、 使い切りカメラの再利用にはギザギザ付きのフィルムの軸を取り出す必要がある。 ダークバックの中に空パトローネと1.で取り出したフィルム、パトローネオープナー (ダークレスキットに入っている)を入れて口を閉じる。 1.で取り出したフィルムのパトローネをオープナーで開く。フィルムの後端が軸に テープで固定されているので外す。空パトローネにフィルムを詰め直し(裏表に注意) パトローネの蓋を閉めたらベロの部分を残してフィルムを巻き取る。 これでギザギザのついた軸が手に入るのでこの軸をつかってパトローネに白黒フィルムを 巻きなおす。ダークバッグの中に白黒フィルムと空パトローネ、ギザギザのついた軸、 定規、はさみ、黒ビニールテープを入れて口を閉じる。 白黒フィルムを30cmの長さ(7~8枚程度撮影できる)に切る。これを裏表に注意して ギザギザのついた軸に貼り付け、パトローネをかぶせて蓋をして巻き取る。 このフィルムを1.で分解したカメラに装填する。ダークバッグの中に分解したカメラと 巻き直した白黒フィルムを入れて口を閉じる。 撮影時にはフィルムはフラッシュ側の太い巻き軸に巻かれていて、写真を撮るたびに パトローネの中に巻き込まれてゆく。白黒フィルムをいったん引き出してフラッシュ側の 太い巻き軸に巻きつける。この時フイルムの端をビニールテープで留めておく フィルムが全部引き出された状態まで巻き軸に巻き付け、カメラの中に組み込む。 この時にスプロケットをチャージしておくとすぐ一枚目の写真が撮れる。 スプロケットとフィルムがかみ合っていることを確認し、カメラの表蓋と裏蓋を しっかりと閉じて、ダークバッグの外に取り出す。 **3.撮影 今回はフィルムにコダックTX400(ISO400)を使用したが、使い切りカメラでの撮影は 晴天の屋外が望ましい。屋内はフラッシュを殺してあるので撮影は難しい。 雨天、曇天でも屋外の方が撮影できるチャンスが高い。 屋外の撮影では自動車等の接近に気をつけることをあらかじめ注意しておくべきだろう。 今回は二人に一台カメラを与えた。お互いの写真を撮りあい、現像と定着を分担させる。 枚数は少なめ(10枚弱)の方が飽きずに短時間で終わらせることができるだろう。 **4.現像液・定着液の作成と現像 入手のしやすさと安全性を考慮し、現像液にはビタミンCと炭酸ナトリウムを使用した。 ビタミンCはドラッグストアで購入できる(アスコルビン酸 200g/2000円)。 炭酸ナトリウムはヨドバシカメラで購入できる(200g/350円)。 重曹が入手できる場合は、鍋にいれて空炒りして水分を飛ばすと炭酸ナトリウムが得られる。 現像液:ビタミンC 小さじ一杯(5g)+ 炭酸ナトリウム 小さじ一杯(5g) これをフィルムケースの中に入れて、水を2/3(20ml)入れて蓋を閉めてよく振って溶かす。 炭酸ナトリウムに水をかけると泡がぶくぶくと出てくるので、これが収まるまでは フィルムケースの蓋を閉じないこと。吹き出さないよう様子を見ながら割り箸などで ゆっくり混ぜるとよい。 定着液は熱帯魚用のカルキ抜き(ハイポ)を使用した。 ハイポ(チオ硫酸ナトリウム)は熱帯魚店で購入できる(30g/100円) 定着液:ハイポ 小さじ一杯(5g) これをフィルムケースの中に入れて、水を2/3(20ml)入れて蓋を閉めてよく振って溶かす。 実験を単純にするため、薬品の量は計りやすい量(小さじ一杯)に統一した。 薬品は少量だが液の濃度は高めになるので、使い捨てのビニール手袋をはめてもらうとよい。 現像液を作るとフィルムケースがほんのり温まり、定着液を作るとフィルムケースが 冷たくなる。この感覚も感じてもらいたい。液温はだいたい人肌程度になるはず。 **5.現像・定着 現像にはフジフィルムのダークレスを使用した。フィルムケースを使用する方法も試したが、 現像むらが多かったので今回は使わなかった。 軸のギザギザのある方を下にしてダークレスに入れ、3.で作った現像液をケースの八分目まで入れて、 蓋をかぶせる。ハンドルを時計方向に10回、半時計方向に手ごたえがあるまで回転させる。 (フィルムの巻き締めと巻き戻しを繰り返す)これを10分続ける。 時間になったら現像液を排出し、二、三回ダークレスに水を入れて排出する。(停止処理) 停止処理が終わったら3.で作った定着液をダークレスに入れ、現像と同様にフィルムの 巻き締めと巻き戻しを10分間続ける。 時間になったら定着液を排出し、二、三回ダークレスに水を入れて排出する。(水洗処理) フィルムを取り出すと現像されているはず! できたネガは記念に持って帰ってもらおう。 現像したフィルムは写真屋さんに頼めば焼き付けてもらえるし、ひょっとすると日光写真の 印画紙でべた焼きも可能かもしれない。時間と天候が許せば試してみるのも一興だろう。 水洗処理は長いほうがネガの保存性がよくなるので、家に帰ってから一時間ほど水洗いを するよう勧めておくのもよいと思われる。 **6.講座を終えて 当日は小学生が一年生から六年生まで12人ほど集まった。二人ずつ六組に分かれてもらった。 雨で外に出られなかったので蛍光灯照明下の室内で撮影をおこなった。 撮影で感じたことは、子供達は撮るのも撮られるのも実にうまいということだ。カメラ付携帯や プリクラなどで写真を撮ったり撮られたりする機会が多いからなのだろうか。 一方で子供達のほとんどが使い切りカメラをつかった経験がなかった。また、フィルムが巻き上げられない カメラが何台かあったので、フィルムを詰めた後に巻き上げのチェックが必要だと感じた。これはその場で 巻き上げができるように対処した。 カメラの分解では、ケースを開く際にコツが必要なので手こずっていたがちょっと手を貸すと全員 ケースを開いて中身を取り出すことができた。最初は指示通り分解していたが、最後は自主的に すべてを分解してしまった。バネや歯車など意外に複雑な機械が入っていることに興味を持ってもらえた。 カメラの説明に使った箱カメラは受けが良かった。逆さに像が写るので、子供達は逆立ちをして ポーズをとっていた。使い捨てカメラと構造が同じことが認知されたか自信がないが、楽しんでいたようだ。 現像、定着では薬品の計量に時間がかかってしまった。ビタミンCを一本しか用意しなかったのが原因で、 これは必要な分フィルムケースに小分けにした方がよかった。小学生対象ならあらかじめ薬品を作っておいて 使わせてもいいのかもしれない。 水や薬品をこぼす、ダークレスをひっくり返すなどのトラブルは確実に起こるので対策を講じておくべし。 あらかじめ新聞紙を敷いておいたが机の上を結構汚してしまった。 現像と定着に20分かかるのは不評だった。薬品にこだわらなければ一浴現像やもっと時間の短い処理液が あるのではあるが、安全性を考えるとやむを得ないところのように思う。 ダークレスだが、使用した六個のうち、二個のハンドル部分が壊れてしまった。乱暴に扱わないように 事前に注意しておくべきだろう。 現像は六組中五組で像が出た。室内での撮影だったが、照明があれば何とか写るようだ。写らなかった一組は フィルムが露光していたので、カメラのトラブルでフィルムがパトローネに巻き込まれなかったのだろう。 薬品を混ぜる辺りから子供達がはしゃぎだして、指示が適切に伝えられない状態になったが、ちゃんと 像が出たので正直驚いた。 撮影から定着で1時間半、準備と後片付けで30分かかったので、時間は二時間ほど見ておけばよい 子供達は予測不能な動きをするので、順序良く説明するのが難しかった。これは指導者側の問題だろう。 一方、子供達の感性はとても鋭い。現像液と定着液の温度の変化も特に言わなくても感じてくれたし、 箱カメラで像が見えたり、現像で像が写っていたりすると、とても驚き喜んでくれる。この感情の動きを 写真や科学に対する興味につなげてゆければと強く思った。 &counter(total)
*子供たちと写真で遊ぶ(2011.4) 先日、ひょんなことからカメラ分解の実演を友人達に見てもらう機会があった。 この時の観客のひとりから「自分の子供にも見せたい」という話があった。 あいにく分解できるカメラが手元になかったのと、子供達にも写真の楽しさを 体験してもらいたかったので、別なネタを考えた。 使い切りカメラで白黒写真を撮り、分解して、身近に手に入る薬品で現像させる、 というたくらみである。子供達が対象なので安全性には最大限注意したい。 **1.使い切りカメラの分解と感電防止処置について 安かったのと分解しやすいため、今回はコダックのスナップショット800を使用した。 使い切りカメラにはフラッシュ回路が内蔵されていて、分解すると感電の危険がある。 さらにこのカメラはシャッターを押すたびに毎回フラッシュが発光するつくりで、 フラッシュ回路のコンデンサは常に充電状態にあると思ってよい。 カメラは子供達に渡す前にあらかじめ分解し、電池とコンデンサを抜き取っておく。 まずカメラのレンズ部分を黒ビニールテープを貼り付けてふさぎ、 フィルムが感光しないようにしてカウンタが0になるまで巻き上げる。 これでフィルムはパトローネの中に巻き取られ再利用ができる。 フィルムを再利用しない場合はそのままカメラを分解する。 カメラを分解すると表板、カメラ機構、裏板の三つに分かれる。 コンデンサがカメラ機構の下部にあるので、&bold(){ここは絶対に触らないこと!} まず、カメラ機構についている電池を外す。 次にスプロケットを回してシャッターチャージをし、シャッターボタンを押す。 一回目はフラッシュが光る。何回かシャッターを切って光らなくなるのを確認する。 最後にコンデンサの足を絶縁ドライバなどで何度かショートさせる。 フラッシュが光らなくなってもコンデンサの中にはまだ電気が蓄えられているので、 パチンと音がして火花がでるはずである。火花が出なくなったらニッパをつかって コンデンサをフラッシュ基板から取り外しておく。 分解したカメラは機構を子供達に理解させるのに使う。シャッター開閉、 スプロケット回転によるチャージ、湾曲したフィルム押さえ、光学ファインダーなど 見所は満載である。 今回は虫メガネと箱でカメラの模型を作り、使い切りフィルムとの類似点をあげて 撮影原理を理解してもらった。使い回しの段ボールとガムテープで作っているのは、 身近なものでカメラが作れるという「演出」である。(本当は間に合わせの仕事) **2.白黒フィルムの装填 ここではダークバッグが必要になる。1.で取り出したパトローネに入ったフィルムの 軸の先端にはギザギザがあって、これをカメラの巻き上げノブとかみ合せ巻き上げる。 しかし、普通のフィルムの軸にはギザギザがなく、巻き上げノブとかみ合わないため、 使い切りカメラの再利用にはギザギザ付きのフィルムの軸を取り出す必要がある。 ダークバックの中に空パトローネと1.で取り出したフィルム、パトローネオープナー (ダークレスキットに入っている)を入れて口を閉じる。 1.で取り出したフィルムのパトローネをオープナーで開く。フィルムの後端が軸に テープで固定されているので外す。空パトローネにフィルムを詰め直し(裏表に注意) パトローネの蓋を閉めたらベロの部分を残してフィルムを巻き取る。 これでギザギザのついた軸が手に入るのでこの軸をつかってパトローネに白黒フィルムを 巻きなおす。ダークバッグの中に白黒フィルムと空パトローネ、ギザギザのついた軸、 定規、はさみ、黒ビニールテープを入れて口を閉じる。 白黒フィルムを30cmの長さ(7~8枚程度撮影できる)に切る。これを裏表に注意して ギザギザのついた軸に貼り付け、パトローネをかぶせて蓋をして巻き取る。 このフィルムを1.で分解したカメラに装填する。ダークバッグの中に分解したカメラと 巻き直した白黒フィルムを入れて口を閉じる。 撮影時にはフィルムはフラッシュ側の太い巻き軸に巻かれていて、写真を撮るたびに パトローネの中に巻き込まれてゆく。白黒フィルムをいったん引き出してフラッシュ側の 太い巻き軸に巻きつける。この時フイルムの端をビニールテープで留めておく フィルムが全部引き出された状態まで巻き軸に巻き付け、カメラの中に組み込む。 この時にスプロケットをチャージしておくとすぐ一枚目の写真が撮れる。 スプロケットとフィルムがかみ合っていることを確認し、カメラの表蓋と裏蓋を しっかりと閉じて、ダークバッグの外に取り出す。 **3.撮影 今回はフィルムにコダックTX400(ISO400)を使用したが、使い切りカメラでの撮影は 晴天の屋外が望ましい。屋内はフラッシュを殺してあるので撮影は難しい。 雨天、曇天でも屋外の方が撮影できるチャンスが高い。 屋外の撮影では自動車等の接近に気をつけることをあらかじめ注意しておくべきだろう。 今回は二人に一台カメラを与えた。お互いの写真を撮りあい、現像と定着を分担させる。 枚数は少なめ(10枚弱)の方が飽きずに短時間で終わらせることができるだろう。 **4.現像液・定着液の作成と現像 入手のしやすさと安全性を考慮し、現像液にはビタミンCと炭酸ナトリウムを使用した。 ビタミンCはドラッグストアで購入できる(アスコルビン酸 200g/2000円)。 炭酸ナトリウムはヨドバシカメラで購入できる(200g/350円)。 重曹が入手できる場合は、鍋にいれて空炒りして水分を飛ばすと炭酸ナトリウムが得られる。 &bold(){現像液:ビタミンC 小さじ一杯(5g)+ 炭酸ナトリウム 小さじ一杯(5g)} これをフィルムケースの中に入れて、水を2/3(20ml)入れて蓋を閉めてよく振って溶かす。 炭酸ナトリウムに水をかけると泡がぶくぶくと出てくるので、これが収まるまでは フィルムケースの蓋を閉じないこと。吹き出さないよう様子を見ながら割り箸などで ゆっくり混ぜるとよい。 定着液は熱帯魚用のカルキ抜き(ハイポ)を使用した。 ハイポ(チオ硫酸ナトリウム)は熱帯魚店で購入できる(30g/100円) &bold(){定着液:ハイポ 小さじ一杯(5g)} これをフィルムケースの中に入れて、水を2/3(20ml)入れて蓋を閉めてよく振って溶かす。 実験を単純にするため、薬品の量は計りやすい量(小さじ一杯)に統一した。 薬品は少量だが液の濃度は高めになるので、使い捨てのビニール手袋をはめてもらうとよい。 現像液を作るとフィルムケースがほんのり温まり、定着液を作るとフィルムケースが 冷たくなる。この感覚も感じてもらいたい。液温はだいたい人肌程度になるはず。 **5.現像・定着 現像にはフジフィルムのダークレスを使用した。フィルムケースを使用する方法も試したが、 現像むらが多かったので今回は使わなかった。 軸のギザギザのある方を下にしてダークレスに入れ、3.で作った現像液をケースの八分目まで入れて、 蓋をかぶせる。ハンドルを時計方向に10回、半時計方向に手ごたえがあるまで回転させる。 (フィルムの巻き締めと巻き戻しを繰り返す)これを10分続ける。 時間になったら現像液を排出し、二、三回ダークレスに水を入れて排出する。(停止処理) 停止処理が終わったら3.で作った定着液をダークレスに入れ、現像と同様にフィルムの 巻き締めと巻き戻しを10分間続ける。 時間になったら定着液を排出し、二、三回ダークレスに水を入れて排出する。(水洗処理) フィルムを取り出すと現像されているはず! できたネガは記念に持って帰ってもらおう。 現像したフィルムは写真屋さんに頼めば焼き付けてもらえるし、ひょっとすると日光写真の 印画紙でべた焼きも可能かもしれない。時間と天候が許せば試してみるのも一興だろう。 水洗処理は長いほうがネガの保存性がよくなるので、家に帰ってから一時間ほど水洗いを するよう勧めておくのもよいと思われる。 **6.講座を終えて 当日は小学生が一年生から六年生まで12人ほど集まった。二人ずつ六組に分かれてもらった。 雨で外に出られなかったので蛍光灯照明下の室内で撮影をおこなった。 撮影で感じたことは、子供達は撮るのも撮られるのも実にうまいということだ。カメラ付携帯や プリクラなどで写真を撮ったり撮られたりする機会が多いからなのだろうか。 一方で子供達のほとんどが使い切りカメラをつかった経験がなかった。また、フィルムが巻き上げられない カメラが何台かあったので、フィルムを詰めた後に巻き上げのチェックが必要だと感じた。これはその場で 巻き上げができるように対処した。 カメラの分解では、ケースを開く際にコツが必要なので手こずっていたがちょっと手を貸すと全員 ケースを開いて中身を取り出すことができた。最初は指示通り分解していたが、最後は自主的に すべてを分解してしまった。バネや歯車など意外に複雑な機械が入っていることに興味を持ってもらえた。 カメラの説明に使った箱カメラは受けが良かった。逆さに像が写るので、子供達は逆立ちをして ポーズをとっていた。使い捨てカメラと構造が同じことが認知されたか自信がないが、楽しんでいたようだ。 現像、定着では薬品の計量に時間がかかってしまった。ビタミンCを一本しか用意しなかったのが原因で、 これは必要な分フィルムケースに小分けにした方がよかった。小学生対象ならあらかじめ薬品を作っておいて 使わせてもいいのかもしれない。 水や薬品をこぼす、ダークレスをひっくり返すなどのトラブルは確実に起こるので対策を講じておくべし。 あらかじめ新聞紙を敷いておいたが机の上を結構汚してしまった。 現像と定着に20分かかるのは不評だった。薬品にこだわらなければ一浴現像やもっと時間の短い処理液が あるのではあるが、安全性を考えるとやむを得ないところのように思う。 ダークレスだが、使用した六個のうち、二個のハンドル部分が壊れてしまった。乱暴に扱わないように 事前に注意しておくべきだろう。 現像は六組中五組で像が出た。室内での撮影だったが、照明があれば何とか写るようだ。写らなかった一組は フィルムが露光していたので、カメラのトラブルでフィルムがパトローネに巻き込まれなかったのだろう。 薬品を混ぜる辺りから子供達がはしゃぎだして、指示が適切に伝えられない状態になったが、ちゃんと 像が出たので正直驚いた。 撮影から定着で1時間半、準備と後片付けで30分かかったので、時間は二時間ほど見ておけばよい 子供達は予測不能な動きをするので、順序良く説明するのが難しかった。これは指導者側の問題だろう。 一方、子供達の感性はとても鋭い。現像液と定着液の温度の変化も特に言わなくても感じてくれたし、 箱カメラで像が見えたり、現像で像が写っていたりすると、とても驚き喜んでくれる。この感情の動きを 写真や科学に対する興味につなげてゆければと強く思った。 &counter(total)

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