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カメラの設計者を探してみよう - (2011/12/08 (木) 11:41:32) の最新版との変更点

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*カメラの設計者を探してみよう(2011.12) 古いカメラを使ったり集めたりすると「このカメラやレンズを作ったのは誰だろう?」と疑問がわくことがある。 米谷美久氏(オリンパスペンやOM-1の設計者)のような有名人はいるが、多くのカメラ、レンズ設計者の名前は 歴史の中に消えつつある。そんな技術者を探してみたい人にちょっとしたガイドとなれば幸いである。 カメラ、レンズの設計者を探す方法はいくつかある。 **1.「写真工業」誌の目次検索をする 「写真工業」誌は、写真工業出版社が1952年から2008年まで出版していた雑誌である。 この雑誌に当時の新製品の技術解説として設計の中心人物が寄稿していることがよくあった。 「写真工業」誌の目次検索は下記のHP日本カメラ博物館の蔵書検索からできる。 http://jcii-cameramuseum.opac.jp/freefind.cgi 例としてペトリハーフを検索してみよう。 フリーワードに「ペトリハーフ」を入力し、「逐次刊行物」をチェックして「検索開始」ボタンを押す。 #image(http://www16.atwiki.jp/saltysugar?cmd=upload&act=open&pageid=44&file=JCII-1.JPG) いくつか雑誌が表示されるが、「写真工業」誌を選択し、出てきた記事名と著者をチェックする。 「技術資料」と書かれている記事は、開発担当者が書いていることが多い。 #image(http://www16.atwiki.jp/saltysugar?cmd=upload&act=open&pageid=44&file=JCII-2.JPG) ペトリハーフの技術資料は柳沢明氏が執筆していることが分かった。柳沢氏の名前で蔵書検索を行うと 他のペトリのカメラについても10編ほど技術資料を執筆しているので、ペトリの中心的な開発者で あったことが推察できる。 日本カメラ博物館に行くか、近くの図書館に蔵書があれば記事を読むことができるし、 日本カメラ博物館に頼めば記事の郵送も可能である。(関東以外の方限定、1頁70円+送料) **2.特許、実用新案検索を行う 特許の場合はカメラの機構の一部分について述べられていることが多いので、どのカメラに関係した ものであるかわからないことが多い。カメラの発売時期やメーカー名で絞り込み、特徴のある機構を カメラと特許の中から探し出すとよい。 検索は古い特許についてはキーワード検索ができない。特許庁では平成5年が限界であるが、 ULTRA Patentでは昭和40年代の特許まで無料で検索できる(表示は有料)。 https://www.ultra-patent.jp/Search/Search+.aspx 昭和40年代以前の特許についてはFI検索を行って地道に探す。 拙稿&link(「Canon 50mm F0.95を計算してみる」){http://www16.atwiki.jp/saltysugar/pages/40.html}を参照のこと。 FIを調べるには特許庁の「パテントマップガイダンス」のキーワード検索をつかうとよい。 http://www5.ipdl.inpit.go.jp/pmgs1/pmgs1/pmgs よく使うFIは G03B19/00(カメラ全般)、G03B7/00(カメラと露出)、G02B9/00(レンズ)等である。 例としてペトリ一眼レフのクイックリターンミラーの一軸カムシャフト駆動方式の実用新案(&link(実開昭37-19038){http://www16.atwiki.jp/saltysugar?cmd=upload&act=open&pageid=44&file=JPY_1962019038.pdf})を示す。 FI検索で絞り込んだ特許を 1.で見つけた柳沢明氏の名前を頼りに一件一件特許を地道に確認してゆく作業となる。 #image(http://www16.atwiki.jp/saltysugar?cmd=upload&act=open&pageid=44&file=petri-1.JPG,width=500) #image(http://www16.atwiki.jp/saltysugar?cmd=upload&act=open&pageid=44&file=petri-2.JPG,width=500) **3.意匠検索を使う 特許庁の特許電子図書館では特許検索のほかに意匠検索も行うことができる。意匠登録の書類にはカメラの写真と 創作者(設計者かデザイナー)の名前が載っているので、カメラの設計者を知る良い手掛かりになる。 すべてのメーカーが常に意匠登録をしているとは限らないのだが、有用なツールである。 意匠検索は次のように行う。 特許電子図書館の意匠検索のロゴから「日本意匠分類・Dターム検索」を選ぶ。 http://www.ipdl.inpit.go.jp/Isyou/idtermb.ipdl?N0000=106 意匠の出願日を指定し、旧日本意匠分類(J320:カメラ、J320A:カメラ(一眼レフ型)、J320B(透視ファインダー型))を入力する。 右側だけ出願日を指定するとその日までの意匠出願が閲覧できる。 #image(http://www16.atwiki.jp/saltysugar?cmd=upload&act=open&pageid=44&file=isyou-1.JPG,width=600) 検索ボタンを押すとhit件数が表示されるので、結果があった場合はリストボタンを押して一覧表示する。 一覧表示では画像が見ずらいので、画像をクリックして拡大するとカメラの形状が確認できる。 より高品質な画像が見たい時はpdf表示をクリックする。 一例として、ミノルチナSの意匠公報を示す。開発者(またはデザイナー)が、寺田英輔、秋岡芳夫の両氏であることが分かる。 #image(http://www16.atwiki.jp/saltysugar?cmd=upload&act=open&pageid=44&file=MinoltinaS.JPG) **4.米国意匠検索をする 米国特許のHPからも意匠検索ができる。日本ばかりでなく、欧米のカメラも検索可能である。 米国特許庁の検索ページにアクセスする。 http://patft.uspto.gov/netahtml/PTO/search-adv.htm Queryの欄に検索条件を入力する。全文検索は1976年以降なので、米国意匠分類(CCL)で検索するとよい。 カメラに関係する米国意匠分類は日本の特許庁HPで調べられる。 http://www.ipdl.inpit.go.jp/D_GUIDANCE/UsToJp/D16.html Select Yearsの欄は1790 to present を選択する。 #image(http://www16.atwiki.jp/saltysugar?cmd=upload&act=open&pageid=44&file=USPAT.JPG,width=640) searchを押して検索すると数百件以上結果が表示される。PAT No. の頭文字がDのものが意匠特許である。 古い意匠が目当てなので、Jump to に適当な数を入れて古い意匠から見てゆく。 例としてミノルチナPの米国意匠特許を示す。開発者(またはデザイナー)が、白松正、寺田英輔の両氏であることが分かる。 #image(http://www16.atwiki.jp/saltysugar?cmd=upload&act=open&pageid=44&file=MinoltinaP.JPG,width=640) このようにしてネットで検索できる資料の中からカメラ、レンズの設計者を検索することができる。 古いカメラの場合にはその設計者は亡くなっているか、資料が残っていない場合がほとんどである。 歴史の中に消えた設計者たちがより身近に感じられれば良いなと思うのである。
*カメラの設計者を探してみよう(2011.12) 古いカメラを使ったり集めたりすると「このカメラやレンズを作ったのは誰だろう?」と疑問がわくことがある。 米谷美久氏(オリンパスペンやOM-1の設計者)のような有名人はいるが、多くのカメラ、レンズ設計者の名前は 歴史の中に消えつつある。そんな技術者を探してみたい人にちょっとしたガイドとなれば幸いである。 カメラ、レンズの設計者を探す方法はいくつかある。 **1.「写真工業」誌の目次検索をする 「写真工業」誌は、写真工業出版社が1952年から2008年まで出版していた雑誌である。 この雑誌に当時の新製品の技術解説として設計の中心人物が寄稿していることがよくあった。 「写真工業」誌の目次検索は下記のHP日本カメラ博物館の蔵書検索からできる。 http://jcii-cameramuseum.opac.jp/freefind.cgi 例としてペトリハーフを検索してみよう。 フリーワードに「ペトリハーフ」を入力し、「逐次刊行物」をチェックして「検索開始」ボタンを押す。 #image(http://www16.atwiki.jp/saltysugar?cmd=upload&act=open&pageid=44&file=JCII-1.JPG) いくつか雑誌が表示されるが、「写真工業」誌を選択し、出てきた記事名と著者をチェックする。 「技術資料」と書かれている記事は、開発担当者が書いていることが多い。 #image(http://www16.atwiki.jp/saltysugar?cmd=upload&act=open&pageid=44&file=JCII-2.JPG) ペトリハーフの技術資料は柳沢明氏が執筆していることが分かった。柳沢氏の名前で蔵書検索を行うと 他のペトリのカメラについても10編ほど技術資料を執筆しているので、ペトリの中心的な開発者で あったことが推察できる。 日本カメラ博物館に行くか、近くの図書館に蔵書があれば記事を読むことができるし、 日本カメラ博物館に頼めば記事の郵送も可能である。(関東以外の方限定、1頁70円+送料) **2.特許、実用新案検索を行う 特許の場合はカメラの機構の一部分について述べられていることが多いので、どのカメラに関係した ものであるかわからないことが多い。カメラの発売時期やメーカー名で絞り込み、特徴のある機構を カメラと特許の中から探し出すとよい。 検索は古い特許についてはキーワード検索ができない。特許庁では平成5年が限界であるが、 ULTRA Patentでは昭和40年代の特許まで無料で検索できる(表示は有料)。 https://www.ultra-patent.jp/Search/Search+.aspx 昭和40年代以前の特許についてはFI検索を行って地道に探す。 拙稿&link(「Canon 50mm F0.95を計算してみる」){http://www16.atwiki.jp/saltysugar/pages/40.html}を参照のこと。 FIを調べるには特許庁の「パテントマップガイダンス」のキーワード検索をつかうとよい。 http://www5.ipdl.inpit.go.jp/pmgs1/pmgs1/pmgs よく使うFIは G03B19/00(カメラ全般)、G03B7/00(カメラと露出)、G02B9/00(レンズ)等である。 例としてペトリ一眼レフのクイックリターンミラーの一軸カムシャフト駆動方式の実用新案(&link(実開昭37-19038){http://www16.atwiki.jp/saltysugar?cmd=upload&act=open&pageid=44&file=JPY_1962019038.pdf})を示す。 FI検索で絞り込んだ特許を 1.で見つけた柳沢明氏の名前を頼りに一件一件特許を地道に確認してゆく作業となる。 #image(http://www16.atwiki.jp/saltysugar?cmd=upload&act=open&pageid=44&file=petri-1.JPG,width=500) #image(http://www16.atwiki.jp/saltysugar?cmd=upload&act=open&pageid=44&file=petri-2.JPG,width=500) **3.意匠検索を使う 特許庁の特許電子図書館では特許検索のほかに意匠検索も行うことができる。意匠登録の書類にはカメラの写真と 創作者(設計者かデザイナー)の名前が載っているので、カメラの設計者を知る良い手掛かりになる。 すべてのメーカーが常に意匠登録をしているとは限らないのだが、有用なツールである。 意匠検索は次のように行う。 特許電子図書館の意匠検索のロゴから「日本意匠分類・Dターム検索」を選ぶ。 http://www.ipdl.inpit.go.jp/Isyou/idtermb.ipdl?N0000=106 意匠の出願日を指定し、旧日本意匠分類(J320:カメラ、J320A:カメラ(一眼レフ型)、J320B(透視ファインダー型))を入力する。 右側だけ出願日を指定するとその日までの意匠出願が閲覧できる。 #image(http://www16.atwiki.jp/saltysugar?cmd=upload&act=open&pageid=44&file=isyou-1.JPG,width=600) 検索ボタンを押すとhit件数が表示されるので、結果があった場合はリストボタンを押して一覧表示する。 一覧表示では画像が見ずらいので、画像をクリックして拡大するとカメラの形状が確認できる。 より高品質な画像が見たい時はpdf表示をクリックする。 一例として、ミノルチナSの意匠公報を示す。開発者(またはデザイナー)が、寺田英輔、秋岡芳夫の両氏であることが分かる。 #image(http://www16.atwiki.jp/saltysugar?cmd=upload&act=open&pageid=44&file=MinoltinaS.JPG) **4.米国意匠検索をする 米国特許のHPからも意匠検索ができる。日本ばかりでなく、欧米のカメラも検索可能である。 米国特許庁の検索ページにアクセスする。 http://patft.uspto.gov/netahtml/PTO/search-adv.htm Queryの欄に検索条件を入力する。全文検索は1976年以降なので、米国意匠分類(CCL)で検索するとよい。 カメラに関係する米国意匠分類は日本の特許庁HPで調べられる。例として CCL/D16/218 を入力する。 http://www.ipdl.inpit.go.jp/D_GUIDANCE/UsToJp/D16.html Select Yearsの欄は1790 to present を選択する。 #image(http://www16.atwiki.jp/saltysugar?cmd=upload&act=open&pageid=44&file=USPAT.JPG,width=800) searchを押して検索すると数百件以上結果が表示される。PAT No. の頭文字がDのものが意匠特許である。 古い意匠が目当てなので、Jump to に適当な数を入れて古い意匠から見てゆく。 例としてミノルチナPの米国意匠特許を示す。開発者(またはデザイナー)が、白松正、寺田英輔の両氏であることが分かる。 #image(http://www16.atwiki.jp/saltysugar?cmd=upload&act=open&pageid=44&file=MinoltinaP.JPG,width=800) このようにしてネットで検索できる資料の中からカメラ、レンズの設計者を検索することができる。 古いカメラの場合にはその設計者は亡くなっているか、資料が残っていない場合がほとんどである。 名前がわかることで、歴史の中に消えた設計者たちがより身近に感じられれば良いなと思うのである。

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