作者:Elika 差し伸べた手は、彼女に届いた。 それでも彼女は、その手をするりとすり抜けた。 「ごめんなさい、私……」 彼女の声が聞こえた気がした。 彼女がそっと、微笑んだ気がした。 そんなことが、あるわけないのに……。 あきらめきれずに俺はまた、腕を伸ばし始める。 ゆっくりと、自分の思い通りに動かない腕を……。 もどかしさすら、いとおしい。 おまえのためなら、いくらつぎ込んだってかまわない。 俺はおまえを、あきらめたりしない……!! 「っだあ!クソっ!!また落ちやがった!!」 「あーあ、おまえキャッチャーにいくらつぎ込む気だよ……いい加減あきらめれば?」 「っるせーバカ!俺はどうしてもあのぬいぐるみが欲しいんだよ!!」 気がつけば 両替機との 往復で 普通に買うより 高上がり、とか