作者:Elika シャツ 「春は何色でしょーか?」 そんな言葉と共に、君は僕の中にまっすぐ飛び込んできた。 天邪鬼で破天荒で突拍子なくて、エネルギーの塊みたいな人だと思った。 そのくせちゃっかり気遣いができて、柔和であったかい人だと後から気づいた。 気づいたときには時すでに遅し。 僕は君から目が離せなくなっていた。 やることなすこと危なっかしくて、でも急に見せる優しい横顔に──音が聞こえた気すらした。 これは、恋に落ちる音。 甘くゆるやかな、心地よい音。 「そのシャツ、もうスカスカじゃん!これ着なよ!」 無難に黒ばかり選ぶ僕に、彩りをくれたこのシャツは、すでに色あせてしまったけど。 どうしてだろうね。 シャツの色があせていくほど、君との思い出は鮮やかになっていく。