**魂の切断 作者:wikiの人◆SlKc0xXkyI 我輩は猫である。名前はハンニバル。 元々は野良猫としてよろしくやっていた我輩を拾ったご主人が、直々に与えてくれた名である。 我輩は子猫の時分にカラスと戦い、右目を失っているのだが、それが理由のようだ。 なんでもカルタゴの英雄ハンニバルという男は、右目がなかったらしく、由来はそのハンニバルらしい。 とまあ、名付けのセンスはいかがなものかと思うご主人であるが、悪い人間ではない。 いつも無表情で、滅多に声を出す事がなく、噛み付いてもまったく反応がなかったりするが。 しかしそのご主人が、今日に限っては何故か朝から沈痛な面持ちなのだ。 何故だろう? 我輩を見る目も、やけに同情的なのだが。 む? どうやら病院とやらに行くらしい。 そこに行けば、ご主人はいつも通りに戻ってくれるのだろうか? (以下、カマっぽく) なぁんたる事かしら! あの獣医ったら、パイプカットなんかしてくれちゃって! ご主人もご主人だわ! これが猫飼いのマナーなんだ、許してくれ、ですって! 謝るくらいなら、最初からそんな事しなければいいじゃないの! ねえ? 本当にもう……男ってば、いつでも自分勝手なんだから……。