フェチズム あのさ、ベッドのシーツ洗うのやめてって俺たしか言ったよね? ううん、確かに言ったよ。絶対言ったよ。間違いなく言ったよ。かれこれ27回は言ったよ。 いつも言ってるじゃん。 俺、お前の匂いが好きなの。 ベッドに染み付いた濃厚なお前の匂いに包まれて寝たいの。 それだけを楽しみにして毎日毎日会社で必死に頑張ってるの。 俺の唯一の幸せな瞬間を奪わないでほしいわけ。 なのに、どうしてわかってくれないの。ねえ、どうしてわかってくれないのさ。 あ、もしかして浮気とか疑ってる? 洗いたてのシーツの上でなら他の女の匂いを嗅ぎ分けるのも簡単だもんな。 サイテーの女だな。好きな男を疑うとか。愛が感じられないよ。俺のこと本当に愛してる? そんなんだからシーツ洗うまで他の女の匂いも嗅ぎ分けられないんだよ。 ……あ、傷付いた顔した。疑ってたくせにイザ本当に浮気されてたらショック受けるのかよ。 だっせー。 ……なーんちゃって。嘘だよばーか。 あのさ、だいたいお前馬鹿じゃねーの? 俺がお前以外の匂いのするベッドで寝られるわけがないじゃん。 俺がお前以外の匂いを好きになるワケがないって、 お前ならわかってくれてると思ったんだけどなー。 もしかしてお前こそ俺に隠れて浮気してるんじゃね? うわ、それ俺絶対に許さないよ?絶対に。許さない。それだけは許さない。 お前のことを許さない。相手のことも許さない。俺のことも許さない。絶対に殺すから。 わかっているよ?お前が浮気してないことくらい匂いでわかるから。冗談だよ。 でも絶対に許さないから。許さない。許さない。許さない。これも愛しているからだよ。 愛してる。愛してる。愛してる。愛してる。愛してる。だから、絶対に手放さないからね?