作者:Elika かけら いずれこうなることはわかっていた。 いつかこんな日がくることは知っていた。 ただ──それが、今この瞬間、今日ではないと、思っていた。 毎日が、そんな思い込みの積み重ねで、振り返ればまるで空虚な自分の人生に思わず苦笑する。 粉々に砕け散ったかけらが、そんな自分の顔を歪に映し出していた。 あまりにも思い出がありすぎて、すべてを処分することなんでできなかった。 目に映るすべてに、いるはずのないあなたを重ねていた。 街の色ひとつですら、あなたを思い起こさせるには十分すぎた。 降り積もる雪ひとかけら、いや結晶ひとつですら、無意識のうちに、いるはずのないあなたを重ねていた。 これは確か、小樽のオルゴール堂で買ったんだったっけ。 割れたガラスの破片が、思い出ごと拾い上げようとした私に突き刺さる。 すぐに赤い血の流れ出す私は、無情にも生きている。 ──あなたは、もう、どこにもいないのに──。 思い出の最後のひとかけらが、今日、形を失った。 あなたを失ってから、もう何度目になるかわからない嗚咽をもらして、いっそこのまま自分ごと砕けてしまえばいいと願った。 生きていて、ごめんなさい。