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夜の酒場 - (2009/12/10 (木) 17:44:49) のソース

「夜の酒場」

おやじ01「えぇらっしゃい!!」
若い男01「……」
おやじ02「……どうしました?」
若い男02「あの……どこに座ってもいいんですか?」
おやじ03「ええ、どうぞどうぞ」
若い男03「失礼します……」
常連客01「ヒック……なんだぁ、お兄ちゃん。ここ、初めてだな?」
若い男04「はぁ」
常連客02「ファミレスじゃねえんだから、案内のお姉さんはいねぇぞお? ごま塩ハゲのおやじだけだ」
おやじ04「はっはっはっ、違いない」
若い男05「あの……」
おやじ05「はい?」
若い男06「メニューはどちらに?」
おやじ06「ああ、うちはメニューおいてないの。兄さん、とりあえずビールにする? それとも酒?」
若い男07「あ、その……」
おやじ07「ん?」
若い男08「……すみません、お茶ありますか?」
おやじ08「お茶ね。了解了解」
常連客03「お兄ちゃん、若いなぁ、いくつ?」
若い男09「あ、22です」
常連客04「社会人?」
若い男10「学生です」
常連客05「ふぅん」
おやじ09「はい、お茶。それと付け合せに、これ」
若い男11「どうも……」

おやじ10「マサさん、最近どう?」
常連客06「ダメダメ、最近はどこもチェーン店ばっかり流行ってさ。あんな2000円で頭刈る床屋なんてのはね……」
おやじ11「そうかい」
若い男12「……」
おやじ12「兄さん、漬物、食べないのかい?」
若い男13「あ、すみません……苦手でして」
おやじ13「そう、なら下げようか」
若い男14「すみません」
常連客07「……ヒック、おい兄ちゃん。飲み屋に来て、酒もいらない、漬物もいらない、そりゃいくらなんでも失礼だよ」
おやじ14「マサさん」
常連客08「私らが若い頃は、なんでも食べたよねえ、食べられることが珍しかった」
おやじ15「まあねぇ」
常連客09「なのにさぁ、今は恵まれすぎちゃったんだよ」
おやじ16「今の小学生は魚も食べないそうだからねえ」
常連客10「ねぇ、母親からしてそうなんだから」
若い男15「あの」
おやじ17「はい?」
若い男16「帰ります。お邪魔してすみません」
おやじ18「ああ、そう?」
若い男17「お勘定は……」
おやじ19「いいよいいよ、お茶一杯だけでお金は取れないよ」
若い男18「すみません」
おやじ20「まいど」
若い男19「あの……」
常連客11「ん?」
若い男20「教えていただいてありがとうございました。大人になったら、また来ます」

おやじ21「……やれやれ、変わった人だったねぇ」
常連客12「あの兄ちゃん、家、飛び出して来たんじゃないか」
おやじ22「どうして?」
常連客13「足。裸足に、サンダル履きだった」
おやじ23「そりゃ気付かなかった。この寒いのにねぇ」
常連客14「……また来るかな」
おやじ24「あの人? さあ、どうだろうねぇ」
常連客15「余計なことしたかな?」
おやじ25「いやいや。そうだ、いい魚が入ったんだよ、刺身にする?」
常連客16「おッいいねえ……」