『男を繋ぐ鉄鎖』 兄貴。 そう、その目だ。 海の底に沈んだ泥のような色の瞳。 それでいて鷹のような鋭い目つき。 冷たいぜ。哀しいぜ。痺れるぜ。 兄貴のその目が、俺を狂わせる。 兄貴。 そう、その背中だ。 均整のとれた逆三角形の筋肉 3つの弾痕と24の裂傷が刻まれた肉体 大きいぜ。凄まじいぜ。頼れるぜ。 兄貴のその背中が、俺を狂わせる。 兄貴。 そう、その匂いだ。 研ぎ澄まされた戦士の佇まい 泥と煙草と硝煙のくすんだ匂い 強いぜ。恐ろしいぜ。美しいぜ。 兄貴のその匂いが、俺を狂わせる。 兄貴。兄貴。兄貴。 なあ、兄貴。 兄貴は誰にも負けはしない。 兄貴は誰にも殺させはしない。 兄貴は俺のものだ。 兄貴。 兄貴を殺すのは、この俺だ。 待っていてくれ。