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男と魔神 作者:wikiの人◆SlKc0xXkyI bgm01  その男はとても貧乏で、今日の食事にも困るほどだった。  若い頃から博打にのめり込み、四十近くなった今では借金ばかりが増えている。  男の家は息苦しいほどに狭いアパートの一室で、家具は一つもない。昔はタンスやソファーもあったが、どれも借金を返すために、あるいは博打のために売ってしまったのだ。  もう生きていくのも難しいほどだったが、しかし男にはこの日、転機が訪れた。珍しく賭場で大勝した彼は、とある不思議な道具を、金の代わりに受け取ったのだ。  それは古びた本で、開くと魔神が現れて、なんでも欲しい物を持って来てくれるという。  酒に酔っていた彼は、すっかりその話を信じ込んでしまい、さあ魔神よ出て来いと、胸を躍らせながらアパートの一室で本を開いた。 bgm01 停止 bgm02 再生 魔神「お呼びでしょうか、旦那様」  男「おお、これは驚いた。まさか本当に魔神がいるとは」 魔神「私は旦那様が命じれば、なんでも持って来る魔神でございます。    何か欲しい物はおありでしょうか?」  男「うむ、そうだな。まずは酒だ、とびっきり旨い酒を出してくれ」 魔神「かしこまりました、旦那様」                 ↓このあたりにfx01  魔神が指を振ったかと思えば、そこにはパッと魔法のように酒が現れた。  綺麗な琥珀色の、一目で高いと分かるような酒だった。  男「こいつはすごい! どれどれ、味の方はどうだ……?    む、旨い! こんなに旨い酒は、生まれて初めてだ!」 魔神「旦那様、他に何かありますでしょうか」  男「そうだな、次は食い物だ。    この酒にぴったりの、素晴らしい料理を出してくれ」 魔神「かしこまりました、旦那様」                ↓このあたりにfx01  また魔神は指を振り、また同じようにパッと豪勢な料理が現れる。  見たこともない料理の数々に、男は無我夢中でむしゃぶりついた。  男「美味い、なんて美味いんだこいつは!    これはいい、お前がいれば俺の人生は最高だ!」 魔神「ありがとうございます、旦那様。    他に何か、欲しい物はありますか?」  男「酒と食い物は充分だ。次はやはり、金だろうな。    一生かかっても使い切れないような大金を出してくれ!」 魔神「かしこまりました、旦那様」                     ↓このあたりにfx01  またまた魔神が指を振ると、またまた同じようにパッと札束が現れる。  一億や十億ではすまない、とても数え切れない額の大金だ。 bgm02 停止               ↓このあたりにfx02  しかしその大金と一緒に、どこからかパトカーのサイレンが聞こえるのだった。  男「? おい、魔神。近所で何かあったのか?」 魔神「いえいえ、これだけ大金を盗んだのですから、警察が来るのは当然です」 bgm03 再生  男「盗んだ!? まさかお前、今まで全部盗んでいたのか!」 魔神「当たり前です。何もない場所から物を作るのは、神様の仕事ですから。    私のような魔神にできるのは、持って来ることだけでございます」  男「ちくしょう、騙された! 妙に話が上手いと思ったんだ!    おい魔神、この金だけでもすぐに返して来い!」 魔神「いいえ旦那様、それはできません」  男「何故だ!? お前なら簡単だろう!」 bgm03 停止  男の剣幕にもうろたえず、魔神はニヤニヤしながらこう言った。 魔神「魔神の世界に、クーリングオフはないのですよ」
男と魔神 作者:wikiの人◆SlKc0xXkyI bgm01  その男はとても貧乏で、今日の食事にも困るほどだった。  若い頃から博打にのめり込み、四十近くなった今では借金ばかりが増えている。  男の家は息苦しいほどに狭いアパートの一室で、家具は一つもない。昔はタンスやソファーもあったが、どれも借金を返すために、あるいは博打のために売ってしまったのだ。  もう生きていくのも難しいほどだったが、しかし男にはこの日、転機が訪れた。珍しく賭場で大勝した彼は、とある不思議な道具を、金の代わりに受け取ったのだ。  それは古びた本で、開くと魔神が現れて、なんでも欲しい物を持って来てくれるという。  酒に酔っていた彼は、すっかりその話を信じ込んでしまい、さあ魔神よ出て来いと、胸を躍らせながらアパートの一室で本を開いた。 bgm01 停止 bgm02 再生 魔神「お呼びでしょうか、旦那様」  男「おお、これは驚いた。まさか本当に魔神がいるとは」 魔神「私は旦那様が命じれば、なんでも持って来る魔神でございます。    何か欲しい物はおありでしょうか?」  男「うむ、そうだな。まずは酒だ、とびっきり旨い酒を出してくれ」 魔神「かしこまりました、旦那様」                 ↓このあたりにfx01  魔神が指を振ったかと思えば、そこにはパッと魔法のように酒が現れた。  綺麗な琥珀色の、一目で高いと分かるような酒だった。  男「こいつはすごい! どれどれ、味の方はどうだ……?    む、旨い! こんなに旨い酒は、生まれて初めてだ!」 魔神「旦那様、他に何かありますでしょうか」  男「そうだな、次は食い物だ。    この酒にぴったりの、素晴らしい料理を出してくれ」 魔神「かしこまりました、旦那様」                ↓このあたりにfx01  また魔神は指を振り、また同じようにパッと豪勢な料理が現れる。  見たこともない料理の数々に、男は無我夢中でむしゃぶりついた。  男「美味い、なんて美味いんだこいつは!    これはいい、お前がいれば俺の人生は最高だ!」 魔神「ありがとうございます、旦那様。    他に何か、欲しい物はありますか?」  男「酒と食い物は充分だ。次はやはり、金だろうな。    一生かかっても使い切れないような大金を出してくれ!」 魔神「かしこまりました、旦那様」                     ↓このあたりにfx01  またまた魔神が指を振ると、またまた同じようにパッと札束が現れる。  一億や十億ではすまない、とても数え切れない額の大金だ。 bgm02 停止               ↓このあたりにfx02  しかしその大金と一緒に、どこからかパトカーのサイレンが聞こえるのだった。  男「? おい、魔神。近所で何かあったのか?」 魔神「いえいえ、これだけ大金を盗んだのですから、警察が来るのは当然です」 bgm03 再生  男「盗んだ!? まさかお前、今まで全部盗んでいたのか!」 魔神「当たり前です。何もない場所から物を作るのは、神様の仕事ですから。    私のような魔神にできるのは、持って来ることだけでございます」  男「ちくしょう、騙された! 妙に話が上手いと思ったんだ!    おい魔神、この金だけでもすぐに返して来い!」 魔神「いいえ旦那様、それはできません」  男「何故だ!? お前なら簡単だろう!」 bgm03 停止  男の剣幕にもうろたえず、魔神はニヤニヤしながらこう言った。 魔神「魔神の世界に、クーリングオフはないのですよ」

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