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ガチホモ・伝説の・スリル」(2010/10/21 (木) 13:38:09) の最新版変更点

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主人「ゴホッゴホッ!」 執事「旦那様」 主人「……案ずるな、迎えが来ただけだ。私もよる年波よ、覚悟はできている」 執事「はい……」 主人「しかし、お前にはずっとついてもらってしまったな。ついにこの命の終幕まで。    クククッ、腐れ縁も続いたものよ」 執事「旦那様、どうかお気を強く持たれて。    この年まで不甲斐ないわたくしを使っていただいたこと、わたくしは心より感謝を致しております」 主人「ああ、ああ……お前は寄り添う影のように私を助けてくれた。    仕事に精を出させすぎて、婚期まで逃させてしまったな……」 執事「勤労はわたくしの喜びです。旦那様にご奉公させていただきましたことは、わたくしの誇りです」 主人「クククッ、お前はいつもそうだ……    見よ、この豪奢な城を! この光り輝く我が城……」 執事「旦那様が一代で築かれた、財でございます」 主人「そうよ。その城に、今はたったひとりの主よ……寂しいことだ。この年寄りだけが、長く生き過ぎてしまった。    娘は……どうして亡くなってしまったのだ」 執事「お嬢様は……」 主人「ああ、いかん、頭に霞がかかるようだ……    そうだ、事故だったな……車の整備不良で……婚約を目前にした日だった。    無理な婚約を薦めた私が……娘の心など針ほども気付けなかった私が、あの時」 執事「旦那様」 主人「いや、分かってはいる……分かってはいるのだ。    あれは、反抗心でか、グループの私と敵対する男の元へ走ろうとした……    世間は、娘が都合よく死んだと、私に……」 執事「世間は何も知りません。旦那様がどんなにかお嬢様を大事に思われていたか」 主人「クク、ただの愚痴よ。過ぎたことだ……    いやいや。過ぎ行くものが言うことは重みがあるか……気をつけないといかんな。    これでは、我が家老殿が過剰労働の過労になってしまう。いや、今もそう……ゴホッ」 執事「お茶を……いえ、お水を」 主人「最期の時くらい、苦い水にしてはくれないのか。医者に止められ、もう半年にもなるんだぞ」 執事「……銘柄は、何に致しましょう」 主人「松竹梅」 執事「畏まりました」  (SE:枕元でお酒準備) 主人「息子は……あれはどうして分かってくれなかったのだろう。    社長が実父という会社で、どうしてうまくやれると踏んでいたのかな……それとも、私の考えが古いのか」 執事「旦那様は、お間違いにはなられません。だからこそ、こうして、成功されてこられたのです」 主人「ハ、ハハハ……長年ついてくれたお前では、説得力が違う。    あれが薄弱だったのも、片親で育てた私のせいかもしれん……あの前日まで、横柄にしていてたのに。    あっけない、人間など、あっけないな……いや、私も今からその仲間入りをするのか」 執事「お待たせしました」 主人「うん……フフ、これよ、これ。    蓮っぽい銘と毛嫌いするものもいるが、なあに、値だけ高い濁ったのなど、この貧乏人の舌には合わない。    前に通っていた……なんだかな、花の名前のクラブ」 執事「すみれ、ですか」 主人「そうそう、すみれママも言っていたよ、『いなせねえ、うちの店にも置きたくなるわ』って    あのママは、すぐ私や連れの言った事やらを吹聴して回る困った癖はあるが、色っぽかった……    痴情の縺れで、なんて、ママらしいじゃないか……いや、失礼かな。    でも、すぐ私も行くのだから、それくらいは閻魔様も許してくださ……る……」 執事「旦那様……旦那様?」  (へんじがない) 執事「朝には、顔も知らぬ、遠縁の親戚どもが押し寄せてくるでしょう。    けれど、ご安心ください。わたくしが旦那様のすべてをお守り申し上げます。    すべて――『今まで通り』 なにも変わりはしません。    旦那様は善き人であらせられたのですから、あの醜い方々に再び悩まされるようなことも、きっとございません。    よく、お疲れになられました。ごゆっくり、お休みくださいませ」 お題:ガチホモ・伝説の・スリル
(主人の寝室) 主人「ゴホッゴホッ!」 執事「旦那様」 主人「……案ずるな、迎えが来ただけだ。私もよる年波よ、覚悟はできている」 執事「はい……」 主人「しかし、お前にはずっとついてもらってしまったな。ついにこの命の終幕まで。    クククッ、腐れ縁も続いたものよ」 執事「旦那様、どうかお気を強く持たれて。    この年まで不甲斐ないわたくしを使っていただいたこと、わたくしは心より感謝を致しております」 主人「ああ、ああ……お前は寄り添う影のように私を助けてくれた。    仕事に精を出させすぎて、婚期まで逃させてしまったな……」 執事「勤労はわたくしの喜びです。旦那様にご奉公させていただきましたことは、わたくしの誇りです」 主人「クククッ、お前はいつもそうだ……    見よ、この豪奢な城を! この光り輝く我が城……」 執事「旦那様が一代で築かれた、財でございます」 主人「そうよ。その城に、今はたったひとりの主よ……寂しいことだ。この年寄りだけが、長く生き過ぎてしまった。    娘は……どうして亡くなってしまったのだ」 執事「お嬢様は……」 主人「ああ、いかん、頭に霞がかかるようだ……    そうだ、事故だったな……車の整備不良で……婚約を目前にした日だった。    無理な婚約を薦めた私が……娘の心など針ほども気付けなかった私が、あの時」 執事「旦那様」 主人「いや、分かってはいる……分かってはいるのだ。    あれは、反抗心でか、グループの私と敵対する男の元へ走ろうとした……    世間は、娘が都合よく死んだと、私に……」 執事「世間は何も知りません。旦那様がどんなにかお嬢様を大事に思われていたか」 主人「クク、ただの愚痴よ。過ぎたことだ……    いやいや。過ぎ行くものが言うことは重みがあるか……気をつけないといかんな。    これでは、我が家老殿が過剰労働の過労になってしまう。いや、今もそう……ゴホッ」 執事「お茶を……いえ、お水を」 主人「最期の時くらい、苦い水にしてはくれないのか。医者に止められ、もう半年にもなるんだぞ」 執事「……銘柄は、何に致しましょう」 主人「松竹梅」 執事「畏まりました」  (SE:枕元でお酒準備) 主人「息子は……あれはどうして分かってくれなかったのだろう。    社長が実父という会社で、どうしてうまくやれると踏んでいたのかな……それとも、私の考えが古いのか」 執事「旦那様は、お間違いにはなられません。だからこそ、こうして、成功されてこられたのです」 主人「ハ、ハハハ……長年ついてくれたお前では、説得力が違う。    あれが薄弱だったのも、片親で育てた私のせいかもしれん……あの前日まで、横柄にしていてたのに。    あっけない、人間など、あっけないな……いや、私も今からその仲間入りをするのか」 執事「お待たせしました」 主人「うん……フフ、これよ、これ。    蓮っぽい銘と毛嫌いするものもいるが、なあに、値だけ高い濁ったのなど、この貧乏人の舌には合わない。    前に通っていた……なんだかな、花の名前のクラブ」 執事「すみれ、ですか」 主人「そうそう、すみれママも言っていたよ、『いなせねえ、うちの店にも置きたくなるわ』って    あのママは、すぐ私や連れの言った事やらを吹聴して回る困った癖はあるが、色っぽかった……    痴情の縺れで、なんて、ママらしいじゃないか……いや、失礼かな。    でも、すぐ私も行くのだから、それくらいは閻魔様も許してくださ……る……」 執事「旦那様……旦那様?」  (へんじがない) 執事「朝には、顔も知らぬ、遠縁の親戚どもが押し寄せてくるでしょう。    けれど、ご安心ください。わたくしが旦那様のすべてをお守り申し上げます。    すべて――『今まで通り』 なにも変わりはしません。    旦那様は善き人であらせられたのですから、あの醜い方々に再び悩まされるようなことも、きっとございません。    よく、お疲れになられました。ごゆっくり、お休みくださいませ」 お題:ガチホモ・伝説の・スリル

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