「さっきも言ったとおり、ここから先の未来は、ぼくにもわからないんだ。きみの幸 福は保証できない」 「幸せのために必要なのは、保証じゃなくて努力だろ」 水瓶は黙って考えると、そうだな、と言った。 そうして俺たちは家に帰った。あたらしい時間の中を歩きながら。 ※※※ 家に帰り着くと、騒動が起きていた。 ドアをくぐると同時に、天秤が天井から落ちてきて、水瓶に言った。 「言われた通りだった。しかし発見のタイミングが少しずれた。すまない」 「双子は無事か?」 「ああ。意識もはっきりしてる」 双子が体じゅうを切ったらしいのだ。自殺のためではなく、能力の発動のために。 鍵をかけた部屋に閉じこもった双子を、天秤が押し入って助けたのだという。 俺たちは双子の部屋に駆け込んだ。 血の匂いがした。床に沢山のタオルが積まれ、それらはたっぷりと流れたらしい血 で汚れていた。 体を赤く染めた双子が、ベッドのふちに腰かけていた。俺たちを見て笑う。 「待ってた」 水瓶は頷いた。 「話してくれるか」 「オーケイ。でもみんなを呼んでくれ。みんなに話したい」 「……」 「今さら躊躇するなよ水瓶。これだけのリスクを払ったんだ。リターンは確実に回収 しねえと。みんなに話したほうがいい」 しかし天秤が双子に歩み寄り、優しくその体を突いた。 それだけで、双子の体は勢いよくベッドに倒れた。 痛みに呻く双子に、天秤は優しく語りかけた。 「話の前に、治療が要るね。話はそれから」 --------------------------------------------------------------------------- 風で、水瓶中心です。 -[[続き>超能力12_01]] -[[超能力SSメニューへ>超能力SS0]]