星座で801 @ wiki内検索 / 「うーちゃんとさーちゃん2」で検索した結果

検索 :
  • うーちゃんとさーちゃん2
    僕とうーちゃんは小学校も中学校もずっと一緒で、高校まで一緒だった。 違ったのは僕がいつまでも平均的な成長しかしなかったのに対して うーちゃんの身体がどんどん大きくなっていったこと。うーちゃんは身体の発育がよかった。 「さーちゃん。部活何入る?」 「どうしようかな。うーちゃんは?」 「僕はサッカー部に入るよ」 いつものゆっくりめな声で宣言したうーちゃんに僕はとても驚いた。 「いつまでも、のろかったらだめだと思うんだ。さーちゃんに慰めてもらってばっかりじゃだめだと思うから、 だから、身体を鍛えようと思うんだ」 うーちゃんはいつも言い出すとてこでもきかなかった。 僕はうーちゃんと同じ部活に入ることも考えたけど、うーちゃんの決意を見るとそれではだめな気がした。 結局部活は別々。僕は一人でもやれる水泳部になってしまった。 そして、あの日がきたんだ。 もともと僕た...
  • うーちゃんとさーちゃん
    2 :うーちゃんとさーちゃん・1:2008/06/06(金) 21 31 44 ID ugFi2NQM0 うーちゃんの喉が声変わりを起こした頃、僕はうーちゃんから離れざるをえなくなった。 「あ、あ、あ」 クラスメートの羊の前で喉仏をさわりながら低い声を出すうーちゃんを僕は遠くから見つめている。 うーちゃんに話しかけるのは僕じゃなくて、隣の席になった羊の役目。 「何食ったらそんな図体でかくなるんだよ。牡牛」 「普通にいろいろ食べてる。考えたことない」 「毎日真剣に牛乳飲んでるのに伸びない俺の身にもなれよ」 僕らは高校一年の冬を迎えていた。うーちゃんは小学校時代からの僕の友達で、動きがとろかったから男子の中では結構いじめられていた。 僕はとろくても優しいうーちゃんが好きで、うーちゃんがしょげているとよく隣にいたものだ。 小学校三年のとき、クラスでサッカー大会があ...
  • うーちゃんとさーちゃん5
    うーちゃんが好きだって言えなかった。僕の初恋は死に掛けていた。 うーちゃんが新幹線に乗る前に本当のことを言おうか言うまいか迷って、何日も眠れなかった。 僕はうーちゃんが引っ越す日に花束を買った。 何でそんな哀しい花束を買ったんだろうと思いながら。そうやって、会う気もないのにうーちゃんの旅立つ駅まで一人で行った。 うーちゃんはサッカー部の連中に改札のところまで見送られていた。 遠巻きに、見つからないようにそれを見つめていた僕を見つけたのはうーちゃんじゃなく羊のやつだった。 「なにやってんだよ蠍」 僕はうろたえながら半ば肝が据わっていた。サッカー部の連中がいたからやたら怖い顔をして、 そのままずんずんうーちゃんのところへ歩いていって無言で花束を押し付けた。乱暴で馬鹿だった。 花束を押し付けた瞬間泣き出しそうになってその場から逃げ出したいと真剣に思った。 「さーち...
  • うーちゃんとさーちゃん6
    ホームまで上るエスカレーターの中も、ホームも、人でいっぱいだった。 「さーちゃん」 「何」 「小学校のときさ、僕が校庭で泣いてたときにさーちゃん手繋いでてくれたじゃん。 あれ、振り払ってごめんね」 僕はあの日のことを昨日のように思い出せた。うーちゃんの声の優しさに言葉が詰まった。 「……そんなの、覚えてなくてもいいのに。僕じゃあるまいし」 「うん。でも、ごめんね。 僕、さーちゃんに嫌われたのかと思って、何でだかずっと考えてた」 「嫌ってなんかいないよ」 「……そうだったの? じゃあ、僕がずっと勘違いしてたのかな」 「うーちゃん」 「何」 「僕がうーちゃんのこと好きだって言っても、嫌いにならないでいてくれる?」 「うん」 「すごい特別な意味で言ってるんだよ」 うーちゃんは僕の気持ちを正確に知っていた。それは、返事をするときのちょっとためらう息遣いで知れた。 ...
  • うーちゃんとさーちゃん3
    夏も終わって、僕ら水泳部や大きな大会のない部活の連中の間ではエロ本が流行っていた。 僕は女の人の裸体を見てもぴくりともしなかった。「ガキだな」って馬鹿にされたけど。 自分の中で起こっていることがそういうことじゃないのを、本当は知っていた。 うーちゃんもエロ本を見せられていた。よくわかってない不思議な顔をしていた。 うーちゃんがあのエロ本を後で思い出して、一人で気持ちいいことをするのかなと思った。 僕はそんなうーちゃんの姿ばかり妄想していた。誰もいない部屋でそれをやると切なくなって、 僕は疼いてたまらない場所をこっそり我を忘れるまで擦っていた。 我を忘れたあとで元に戻って、涙がこみあげた。 僕の声は多分そこそこ低い。だけどうーちゃんの声はもっと低くて、それを聞くと僕はだめになってしまう。 僕の距離の取り方はあんまり不自然で、それなのに僕は毎日うーちゃんを見ずにいられな...
  • うーちゃんとさーちゃん4
    僕はうーちゃんを見てるくせにうーちゃんを避けまくった。 うーちゃんにはサッカー部の友達もいっぱいいたんだ。羊なんかもそうだ。 うーちゃんはサッカー部でやっぱりキーパーだった。 毎日、何度も飛んでは土を舐めて、舐める回数を重ねるほど少しずつ上手くなった。 試合でシュートを止めるうーちゃんの姿は目立たなかったけど、僕にはかっこよく見えた。 余談だけど僕は秋頃におなじ水泳部の女子から告白された。「ごめん」って言って諦めてもらった。 うーちゃんはそれを聞いたかもしれないけど僕には話しかけてこない。 うーちゃんはうーちゃんで遠慮していて、僕たちはお互いがお互いを嫌いなのかもしれないと思い始めていた。 どうしてこんなことになっちゃったんだろう。 三学期の中ごろ、うーちゃんはすっかり冷えついた空気を押し分けて僕に話しかけてくれた。 「さーちゃん」 僕の表面は冷たかった。中身は...
  • 小説
    新しい作品は上に追加してゆきます 少しづつ改行を訂正させて頂きます 保管庫管理人様が、投下された一部の長編作品をまとめてくださいました 携帯にも対応しているそうなので、お言葉に甘えてリンクさせて頂きます 現在の収録作品は、「超能力SS」と「やぎの夏休み」 http //milky.geocities.jp/alal801/zodiac/toukou/top.html やぎの夏休み 蟹誕生日ネタ 七夕 獅子蟹 超能力SS 双子誕生日ネタ うーちゃんとさーちゃん 『雪の山荘』サウンドノベル風・羊視点 水月 カジノ・ロワイヤル ゾディアック学園 山羊視点/牡羊・双子・魚 五人囃子 飲み会 獅水編(ギャグ) 飲み会 天乙編(乙女バージョン) 水星座三兄弟 忍な天秤蠍 『ようこそ星座の村』(未完) 大正ネタ、警官乙女と探偵射手 大正浪漫 蟹×蠍 生徒会会長獅子×副会長蠍 十二...
  • 風4
     ……そのとき俺の脳裏に、ある光景が浮かび上がった。  ガキのころ。暑い夏の昼下がり。公園。ベンチに腰かけてアイス食ってる兄ちゃん。 「僕はこの双子や天秤と違って、誘惑のための交渉というやつが苦手で……」  兄ちゃんが羨ましかった。なにせ暑かった。それに、うすいビスケットにアイスを挟んだそれは、高級品だった。 「成人女子にキスをねだるのは問題だが、まあ子供だし、男の子だから良いかと。そしてふだん魚を見ているから、子供にはおやつが……」  ――にーちゃんいいな。それうまそうだな。  ――いいよ、あげるよ。……ぼくが口にくわえてるやつなら。  俺はコノヤローとわめきつつ水瓶に殴りかかった。俺にはその権利があった。俺の人生最初のキスは、文字通り大人の都合で奪われていたわけだ。俺には怒る権利があった。周囲の家具も俺に答えてくれた。  舞い飛ぶ家具の中を、天秤がすいすいと移動していく...

  • 36 :超能力SS2:2008/07/08(火) 21 17 42 ID ???0  あーだるい。だるいけど、眠っているわけでも、起きているわけでもないみたいだ。  意識がぼうっとして、溶けたみたいになって、急にはっきりして、また消える。  その繰り返しの中に、俺は誰かの顔を見た。  大人の顔だった。優しそうな目をしていた。そいつが俺にこう言った。 「大丈夫だからね。すぐに治してあげる」  冷たく心地よい良い手が、俺のひたいに触れる。続いて頬に。首、肩、胸、腹。  あんまり気持ちよくて、俺はぐっすり眠ってしまった。  そして目覚めると、知らない天井が見えた。  あわてて身を起こす。俺は俺のものじゃないベッドに寝ていた。  あたりを見回すと、そばに椅子があって、そこに、夢うつつに見たあの、優しそうな男が座っていたのだ。  なんとなく助けられたんだってわかった。だか...
  • 双子誕生日ネタ
    9 :双子誕生日ネタ 1:2008/06/10(火) 18 03 20 ID ???0 相手は蠍。甘い感じにしました。 俺は、無料のスポーツニュースサイトに今日3回目のアクセスをした。さっきと 同じ新着ニュースのスクロールを見ながらも、意識はまったく別のところにあっ た。 時計は午後10時25分。 寝返りをうってベッドから起き上がると、ペットボトルの水を少しだけ口にする。 22時間ほど前に起こったことを何度も思い出してはジタバタしていたからか、 それとも今日これからのスケジュールを意識しているからか、俺の神経はたかぶっている。 一息ついて冷静になろうとしたが、俺はまたあの場面を思い出して自然と顔がほころんだ。 昨日、大学の友達5人で飲みにいった帰り、俺は蠍と一緒に駅から歩いてきた。 あいつも俺も少しばかり酔ってはいたけれど、ハメをはずすほどではなく、ちょ...
  • やぎ02
     ”乙女おじさん”は微笑を浮かべると軽く手で挨拶を返す。山羊が「こんにちは」と声を 出してぺこりと頭をあげると、「こんにちは」という律儀な挨拶が返ってきた。ちゃんと山羊の 目を見ている。思ったよりも声が高めなのは父親の双子に似ていると思った。 「久しぶりだな。一ヵ月預かればいいのか」 「悪い。俺だけだとちゃんと面倒見切れるか不安だったから……頼むわ」  これから、捨てられるのに、山羊は近くの苔むした石灯籠を眺めて平気そうな面をしていた。 死んでも父親に「帰りたい」なんて言うものか。無駄なんだから。全部諦めてここでやって いくしかないじゃないか。建物の中に入って双子と乙女が居間で長話をしている間も山羊は ふてぶてしい顔で神社の廊下をぺたぺた歩いていた。神社の外はまだ昼時で、外の境内には 都会では信じられないほど大きなオニヤンマが飛んでいた。 「すげー。トンボでかい」  ...
  • 火2_07
    「全裸で行ってきたのか!?」 「大丈夫。ちゃんと金は払った」  俺は思う。俺はたしかに馬鹿だ。間違いなく馬鹿だ。  だけど射手ほどじゃねー。さすがの俺も裸でコンビニには行けねぇ。そんな行動は 取れねー。  三人でアイス食って帰った。無茶な夜遊びは楽しかった。  けど家では乙女が待ち受けてて、俺ら滅茶苦茶に怒られた。 続きです。毎回、感想有難うございます。 続き・水星座編へ 超能力SSメニューへ
  • 絵板ログ 0081_0100
    07/03/21(水)本スレ293インスパイア 774 > ご近所の平和は、ぼくらが守る!! 07/02/18(日)本スレ116~118より 名無し > はじめまして。 遅いんですけど、「12星座の新しい春」のネタに萌えたので描かせていただきました。 この二星座に萌えです。 07/01/11(木) 77 > 節分ラムちゃんコスな双子(手前)と射手 を描こうと思ったら色が塗れなくなったよorz 双子がパンツから取り出してるのはお豆・・・ 悪戯開始五分前~ 07/01/06(土)獅子兄さんと魚君蟹君 ななすぃ > あけましておめでとうございます なんとなく獅子兄さんは弟達とよく衝突しそうなイメージがあります。 相手に年齢をあわせる事が出来なさそうな。 魚(青...
  • 大正浪漫6
    「今のはどう考えてもお前が悪い。…魚の気持ちも考えてやれ。あんな風に答えたら、居たたまれなくなって当然だろう」 「双子が迎えてくれるって話だし、いいんじゃねーの」 「本気で言ってるのか? 魚がいなかったら、お前の探偵事務所は成り立たないぞ。依頼人への説明だけじゃない。家賃を払えない言い訳とか…」 「だーからさー」 射手は苦笑いで牡牛の小言を遮った。 「いつまでも魚に…そんな虚しい仕事ばっか、させてらんないでしょーよ?」 「射手…」 「双子の新聞社なら…最初は給仕でも、頭がよくて気が利くところを見せたらさ、記者とか事務とか、もっとちゃんとした仕事に就いて、楽ができそうだろ? でも俺の助手をやってたんじゃ、絶対うだつが上がらねーし。借金の言い訳ばかりうまくなったって、役に立つかよ」 「お前…そう思ってることを、魚に言ってやったのか?」 口調をやわらげた牡牛に、射手は首を左右に...
  • 蟹誕2
    今日は俺の誕生日だ。  昨日の夜、牡羊はことあるごとに「誕生日の前夜祭なんだから」と言いながら、 俺に至れり尽くせりでもてなしてくれた。 いつもより少し値のはる雰囲気のいい店で食事をしたあと、俺の常連ショップのTシャツをプレゼントしてくれて、 今朝までずっと一緒に居た。牡羊がイベントに張り切るのはいつものことだが、 今回はいつにも増して力が入っているような気がする。  もしかしたら、今日のことを気にしているのかもしれない。  今日、牡羊は昼前に地方へ発つ。 明日から始まる、遠方での新人研修に参加するためだ。 研修は早朝から始まるらしく、本当なら休みのはずの今日を、移動日として半日潰さなくてはならないそうだ。 お互いの誕生日を一緒に祝うことが当たり前で、唯一続く俺たちの儀式みたいなものだと思っていた俺は、 その知らせに少しがっかりした。 でも牡羊は、 「蟹の誕...
  • 水星座三兄弟3
    ここにいるのは、本当に自分の弟なのだろうか。同性の恋人というのも信じがたい話だけれど、好きでもないのにキスをするという感覚はもっと理解できない。 蠍は平然として、朝食を取り続けている。 これは放っておいてはいけないと思った。兄として、見過ごしにはできない。 濡れた手を拭いて、蟹は蠍の正面の椅子に腰を下ろした。 「その……蠍。お前にはお前の考えがあるんだろう。だけど兄さんは、好きでもない人とそういう交際をするのはよくないと思う」 「相手は僕のことを好きだって言ってる」 「あんな男はどうでもいい、お前の気持ちだ!」 思わず声が大きくなった。蠍が視線を上げ、抑揚の欠けた口調で言った。 「仕方ないんだよ。僕の好きな人は、そういう交際はしてくれないから」 「……蠍」 「それどころか、その人は僕を恋愛の対象に入れてない。すごく優しいけど、それだけなんだ。……だったら、しょうがないじ...
  • 大正浪漫5
    にぎやかな音をたててカツレツを咀嚼したあと、射手が独り言のように呟いた。 「…うーん、しかしまだ誰か殺される予定なわけだよなー。危ねーな、乙女さんに単独行動をしないように注意しとかねェと。もし狙われたら…」 「一人歩きができなくて軍人が勤まるわけないでしょう。余計なことを言って、また張り倒されても僕は知りませんからね」 蟹は不思議に思った。魚の口調が、微妙に尖っているように感じられたせいだ。逆に、射手は妙に楽しそうな笑顔で答えている。 「そーだよなぁ、あのきついところも最高。あの綺麗な顔から綺麗な声で、冷たい罵倒がぽんぽん出てくるんだから、たまんねー。…ああいう人ほど、実はすげー寂しがりやの甘えんぼだったりすんの。早く、俺への素直な気持ちを表に出してくれればいいのに。いつでも受け止めるのに」 「先生なんか、だめですよ。頼りないのに」 一層尖った声で言い、魚が射手をにらんでいる。...
  • ことり池攻略7
     一人身の男が会ったばかりの他所の子どもを連れて歩くことがどれだけ警戒されるか、 射手という男は熟知していたのかもしれない。山羊が池のほかの場所に行くと言っても彼は ついて来なかった。山羊が一人でことり池と植物園を満喫して、ふたたび池のほとりに戻って くると射手はまた時間を忘れたようにことり池の絵を描いていた。 「絵うまいんだね」 「ありがとう。人に見せる絵でもないんだけどね。そう言ってもらえるとうれしいよ」 「射手さんは川田の街や森が好きなの?」 「好きだよ。子どもの時、ここに来てよく友達と遊んでた」  絵筆を動かし、遠くを見つめながら射手は山羊に喋り続けた。子どもの時にこの地方で 怪我をして左目を失ったこと。それを思い出すのが嫌で、大人になるまでしばらくはこの 地方に来られなかったこと。 「なんでも、怖くて一度引き返しちゃったところって余計にそうだろ。怖いと思って...
  • 水星座三兄弟
    水星座三兄弟 ななす 2006/10/21(土)21 18 本スレ962さんの水兄弟設定で考えていたら萌えたので垂れ流します。長文スマソ。 ++++++++++++++ 小皿に移した味噌汁をすすり、蟹は顔をしかめた。辛い。味噌が多かったようだ。 料理は得意なはずなのに、昨日見たあのことで、気持ちが動揺しているのかも知れない。 (蠍……まだ高校生なのに) ──昨夜、上の弟の蠍は、なかなか帰ってこなかった。 両親は銀婚式の旅行中だ。高校生の蠍が解放感を覚えて、学校帰りに遅くまで遊んでいるのも、ありだろう。 そうは思ったけれど、11時をすぎても帰ってこないとなると、落ち着かなくなった。送ったメールに「もうすぐ帰る。家の鍵は持っているから、構わずに寝ていて」という返信がなかったら、警察に捜索願を出していたかも知れない。 過保護と笑われても、長男の自分には蠍や魚...
  • 水月2-3
    [22-20] 水月2-3 ななし 2008/03/31(月)15 57 手繰り寄せてもまだ深い井戸。許されて闇に触れる快楽。 隠された本性ほど美しいものはない。どれだけ痛みを伴おうとも僕はそれを見たい。 だから僕はお前を見捨てられないでいる。 「やらせろよ」 口調と裏腹に、痛みを堪えるような双子を真っ直ぐに見る。 視線はかち合う瞬間逸らされた。睫毛が微かに震えている。 「後悔するよ」 そっと頬を撫でる。怖がることはないと伝えたかった。 僕は味方、いや、お前の虜なのだと。離れることはないのだと。 独りにはしない。だから気付け。お前が僕を欲しがるのは愛でも恋でもない。 「双子、僕はお前が好きだけどね」 「じゃあ」 「寝てしまったら、お前は僕を疑うだろ?」 顔をしかめた双子がそもそも誰も信じていないことは、この際触れずにいてやる。 僕と双子との間にあるの...
  • 風3_03
     なら……、なら、俺は、今ちょっと思いついたことを、水瓶に言えるんじゃねえだ ろうか。  言っていいのか。言うか? むしろこれは、言うべきなのか。 「あのよ水瓶。俺が怒ってるのは、いまの川田だ。俺は嘘は言ってねえ」 「ぼくだって感情的になっているわけじゃない。客観的に判断しているつもりだ」 「おまえならそうだろうな。ってことはだ。むかしの川田がいいやつなのなら、きっ と今の川田に変わっちまうような、なにかの理由があったんだ」 「……」 「おまえ川田と友達なんだったら、そっちの川田をちゃんと守ってやれよ。性格変え ちまうような出来事から」  こっちの水瓶が嫌がってる「歴史を変える」ってのは、こういうことなのかもしれ ない。  けど、俺はためらわねえ。  水瓶が川田ってやつを、いいやつに変えてくれるんなら。それによって、みんなが 困らずにすむんだったら。  それに...
  • 水星座三兄弟2
    「イッちゃんとジロ君、喧嘩してるみたい。どっちもボクに、二人だけで夜店に行こうって言うんだよ」 「三人で行けばいいじゃないか。仲直りに」 「ボクもそう言ったよ。三人一緒ならいいって。だけど、それはやだって。そのうち、オレとあいつとどっちがいいんだなんて怒り出すんだもの。そんなの選べないし……もう行かないって返事した」 「……他の友達とは?」 魚は黙ってかぶりを振った。 夜店には行きたい、けれど二人の友達のどちらかを選ぶことはできない。子供なりにジレンマを抱えて、魚は悩んでいるようだ。ふと思い付いて、蟹は言った。 「だったら兄さんと行くか? 秋祭り」 「ほんと!? いいの!? 大学のレポートがあるって言ってたのに……」 「丈夫だよ。っていうか、そう思うなら、少しは掃除や洗濯を手伝ってくれ」 「えへっ。……ねえねえ、だったら蠍兄さんも誘って、三人で一緒に行こうよ」 「蠍も?...
  • カジロワ56_100
    カジノ・ロワイヤル 天秤と双子 1/2 774チップ 2007/10/01(月)18 59 続きです。 少年の腕の中に、三人分のサンドイッチとジュースの入った紙袋がおさまっている。 天秤は”あの船倉”に至る廊下でじっと立ち尽くしていた。怖い場所だとわかっているのに、 それ以上にあの「小麦粉」に引きつけられている。 小麦粉を注射して酔っ払ったあの男が気がかりでならない。酒に酔って荒れ果てた兄の姿を思い出すからだ。 ──自分はどうしたらいいのだろう。あの小麦粉のたったひとつかみで、酔っぱらいができて、 きっと自分の家のように破滅した家がたくさん生まれてしまう。 天(いやだな。よその家のことなんて放っておけばいいのに) 大きくて、強くて、優しかった兄を変えてしまったのは賭け事と酒だ。 ひたすら酒を飲み続ける兄に対して悲しむことすら許されなかった家の...
  • 火3_04
     孔雀は「よくぞ聞いてくれた!」と叫ぶと、両手を体の前で交差させ、なんかのポ ーズを取った。 「私の名は孔雀! ヒーロー孔雀! 世界の平和を守るため、悪人獅子を成敗しにき た!」  おれガキのころ、こういうのが好きだった。黄道戦隊ゾディアックとか。  いつかヒーローになりたいとも思っていた。  だからこのシチュエーションには違和感を覚えた。 「獅子が悪党? んじゃ俺は悪党の仲間か。成敗される立場かよ」 「そこの少年! それは違う。獅子は裏切り者ゆえ悪人なのだ。我々のグループを裏 切って逃走した」  そう……なのか?  しかし獅子はムっとしていた。腕組みをし、顔をあげ、大声で孔雀を怒鳴りつける。 「馬鹿が! 逃げたりなどするか! 俺がグループを抜けたのは、おまえが馬鹿だか らだ!」  孔雀は明らかにびくっとしていた。しかしそれを隠すかのように、腰に手を当てて 胸...
  • 風2_08
     水瓶は手に新聞を持っていた。それを俺に向かって突き出してくる。 「読め」  今日の事件が記事にでもなってるのかと思った。あわてて新聞をひらいて読み上げ る。 「えーっと、ゾディアック社にインサイダー疑惑……」 「ちがう。日付だ。日付を読め」  日付くらい覚えてるんだが、俺は素直に読んだ。  水瓶は深く頷き、ひとりで納得していた。 「間違いない。今日だ。今日が記念日なんだ」  俺は脳みそと口のあいだにモノが挟まったような気分になり、うまく喋れなかった。  かわりに双子がつっこんだ。 「水瓶。あんたは賢いくせに馬鹿だから、ちゃんと順番に説明する癖をつけなきゃ駄 目だぜ」 「失礼な。僕は馬鹿じゃない馬鹿にするな」 「今日がどうかしたのか?」 「むかし、未来の天秤に聞いたんだ。今日は記念日だと。牡羊のことで決断をした最 初の日だと彼は言っていた」  むかし、未来...
  • 土3_06
    「いーじゃねーか。大きめに切ったんだから崩れても」 「出来上がったときに不恰好になるだろう」  俺は鍋の中身を取り出して、角っこを削っていった。  やがて角を取り終え、すべての材料を放り込み終えて、鍋に水を加えた。  調味料の器を持って、中味を鍋にあけようとしたら、また乙女の声が飛んできた。 「早い」 「……」 「火をつけて、煮立ってから三分後。でないと味を含まなくなる」  なんか、イライラしてきた。  しかし俺は黙って従った。乙女の好きにさせねえと。リラックスさせてやらねえと。  大鍋は沸騰するまで時間がかかった。俺は腕組みして待った。  やがてぐつぐつ言い始めたので、醤油の瓶を握りつつ時計を見て、三分待って、い ざ投下しようとしたら、また声が飛んできた。 「順番」 「なんだよ!」 「甘いものが先。砂糖とみりん。次に塩。醤油は材料が煮えてからだ」 「……」...
  • 火3_05
     しかし獅子も、俺にこう言った。 「手を出すな、牡羊」  そして獅子は空を見上げた。  空中のビンは、手前のものから次々と爆発していった。そして最後に、孔雀が発火 した。  燃えながら孔雀は飛び、湖の中に飛び込んだ。  そしてふたたび飛び上がってくると、また得意げになった。 「はっはっは! 水のそばでは貴様の攻撃も効かんぞ。これで私の……あちちち!」  またふたたび発火した孔雀は湖に飛び込み、頭をちりちりパーマにして上がってき た。 「卑怯だぞ獅子! まだセリフの途中……あちちちち!」  発火した孔雀は湖に飛び込み、今度は上がってこなかった。  俺は心配した。ギターの中身を。酸って水の中で、ちゃんと分解するんだろうか?  獅子は湖面を見つめている。浮いてくる孔雀でもって、炎のもぐら叩きをやるつも りなんだろう。  孔雀が上がってきた。今度の動きは素早かった。さ...
  • 『雪の山荘』サウンドノベル風・羊視点2
    『雪の山荘』サウンドノベル風・羊視点2 ななす 2008/01/14(月)13 14 近くのスキー場へ行こうって言ってたのに、吹雪になったら無理だ。水瓶に教えておこう。 俺は水瓶が泊まっているゲストルームへ向かった。 ドアを開けたが、水瓶はいなかった。からくり屋敷に興味があるって言ってたから、今頃別荘の中を探検して回っているのかも知れない。俺に言えば案内してやったのに。 まあ、いいか。 俺は…… A.温室へ行く B.キッチンへ行く C.蠍の部屋へ行く 腹が減った。キッチンへ行ってみよう。 廊下にまでおいしそうなにおいが漂ってきてる。これは……バターと、なんだろ。醤油?なんでもいいや。腹減った! 羊「蟹ー。なんか食わせてー」 蟹「羊坊ちゃん。相変わらずですね」 蟹は俺がガキの頃から屋敷にいた。お好み焼きからフレンチのフルコースまで、なんでも作って...
  • カジロワ30_74
    魚「なっ……ちょっと、やめて……!」 口では反抗しながら、あまり暴れると力で組み敷かれることを本能でわかっているのか 魚の体はたくさんの手の中で柔らかくしなった。 羊の体は気がつくと力なくわなないている。 見たらいいのか、目を叛けたらいいのか、逃げたらいいのかまったくわからないからだ。 照明を受けてしどけなく上下左右へうねる魚の脚。 やがて群がる男たちの中から魚の激しい喘ぎ声があがり、 熱狂のなかで羊は、膝の力を失ってそれまで座っていた椅子の上へへたりこんでしまった。 声の甘さや苦さでフィニッシュの瞬間までわかった。 甘ったるい大輪の花のような、淫靡で、無残なまな板ショーだった。 ショーが終わると後ろから拍手の音が聞こえた。 羊が虚脱状態のまま振り向くと、獅子が儀礼的に拍手を送っている。 獅「(微笑を浮かべながら)まだやるかね」 羊「……おう。も...
  • 自由研究03
     山羊のお腹が健康に空腹を訴えたとき、山羊はメインアーケードからかなり離れた通り まで歩いてきていた。飲み物もお金も持ってきていない。山奥には水を飲める蛇口がないん だということを山羊は汗だくになりながらようやく知った。  涼しいとはいえ紫外線はそれなりにあったので歩きながらくらくらしていた。戻るべきか 行くべきか。もう少し道路を行った先にトラックを改造した青果即売所が出ている。車の横で 誰かが暇そうに三脚椅子に座っているのを見つけて、山羊はそっちへと歩いていった。  喉が渇いて吐息が熱く埃を吐いているような気がした。  三脚椅子に座っている店員は二十代中盤とおぼしき垢抜けない男だった。無言で手帳に 書き物をしていたが、山羊が近くまで歩みよっていくとお遣いの子供とでも思ったのか 「いらっしゃい」と不思議そうな視線を山羊の顔へ向けてくる。 「すいません、お水ください」 ...
  • 超能力12_05
    「知らなかった。言ってくれりゃ家に居たのに」 「いや言ったら監視にならないだろ。でもって探してるうちに真夜中になって、しよ うがないから家に帰ったら、俺が部屋につくと同時に、蠍が部屋に飛び込んできて、 容赦なく襲われて、俺は手も足も動かねーのに、それはもう、えげつない……」  蠍が射手に手を伸ばし、口を容赦なくふさいでいた。  ふうん。あの日、蠍の制限は、射手で解消されてたらしい。チンコが麻痺ってなく て良かったな。  蠍は射手の口をふさいだまま、少し顔を赤くしていた。 「正直に言うと、制限が出てて……。あの日、ちょっとした戦いはあった。やはり牡 羊は、巻き込まれた形だったと思う」  やはり双子が読んでいない未来においては、俺はなにかに巻き込まれる。  そしてやっと、話は今に至る。今日、水瓶が俺を助けに出かけたあと、双子は部屋 に閉じこもって予知をはじめた。  出...

  • 58 :超能力SS4:2008/07/22(火) 22 55 03 ID aBll4PuQ0  乙女は俺に聞いた。 「いいんだな?」  俺は頷いた。  それで結論が出たので、俺は乙女と一緒に、俺の暮らしていた施設に戻ったのだった。  乙女は眼鏡をかけた、頭の良さそうな、神経質そうな、なんかとっつきにくい感じのやつだった。  その乙女がつくったストーリーはこうだ。乙女は寮母のおばちゃんにこう言った。 「電話で申し上げたとおり、橋への落雷の衝撃で、牡羊くんは川に落ちたようです。 幸いすぐに、私どもの仲間が彼を発見しました。それで病院に連れ帰り、手当てをしておりました」  これが、俺が今まで帰ってこなかった理由。嘘だけど。  そして次が、俺がもう、二度とここに帰ってこない理由だ。乙女のつくった物語の続き。 「病院での検査の結果、牡羊くんの脳には特殊な障害があることが判...
  • 晩ごはん
    114 :やぎの夏休み(晩ごはん):2008/08/19(火) 01 44 34 ID ???0  夏休みの間、山羊の寝室として用意された部屋は妙にしんとしていた。  テレビがなかった。それだけで山羊にはそこが恐ろしく静かな部屋なのではないかと思えた けれども、いつも自分の家で感じていた不安になるような静けさではなかった。外の林から 虫の声が聞こえていて、静かではあったけどそうさびしくはなかった。 「山羊。おじさんはこの部屋にはあまり入らないつもりだけど、部屋の片付けや布団の上げ 下ろしは自分でちゃんとやるんだぞ。おじさんは上げ下ろしをしてないせんべい布団が嫌いだ。 もし夕方になっても布団が敷きっぱなしだったりしたら勝手に部屋に入って片付けるからな」  乙女は山羊に部屋の中を案内しながらそう説明する。家の中は全体的に物が少なくてこぎれい だった。山羊がうなずき、リュ...
  • 『雪の山荘』サウンドノベル風・羊視点
    『雪の山荘』サウンドノベル風・羊視点 1 ななす 2008/01/14(月)13 13 (継母の七回忌のため、羊は友人の水瓶とともに別荘へ向かった。別荘へ着いた二人を迎えたのは、別荘番の川田。二人は別荘へ足を踏み入れる) 川田「おいでなさいませ、羊坊ちゃま。こちらの方が、ご友人の?」 羊「うん。水瓶。アパートの隣で工事をやってて、うるさくて寝られないんだって。だから誘った。ガメ、こっちは別荘番の川田」 水瓶「よろしくお願いします。……いや、荷物は自分で運びます。ここですか? じゃ、羊、またあとで」 水瓶はさっさとゲストルームへ入って、ドアを閉めてしまった。長旅で疲れてるのかな? ちょっと変わってるけど、水瓶はいいヤツだ。どのくらいいいヤツかというと、レポートを全部写させてくれるぐらい、親切なんだ。 冬休みはどうする、実家へ帰るのかと訊いてきたから、別荘へ行くって...
  • カジロワ21_65
    カジノ・ロワイヤル 羊と魚 774チップ 2007/09/21(金)19 32 64の続きです。 「ええーっ」と船室の中から声が漏れた。 いつの間にか当然のように羊の部屋に入り込んでいる魚が、 二人がけのテーブルの傍らにつきながら不安げな顔をしている。 彼の視線の先にはメモにペンを走らせる羊の姿があった。 魚「じゃあ、明日からいきなり一人で戦えっていうの? 俺に?」 羊「もうちょいちゃんと教えてやりたかったが時間がない!   午後が潰れてみんな明日には仕切りなおしてくるはずだ。あのガキも脱落しちまった。   少しでも長生きしたいなら明日一番で蟹に仕掛けろ。他の奴にとられたらかなりまずいぞ」 羊の手元には12人分のスコア表がメモ付きで書き出されている。 12人のうち3人には斜線が引かれ、残るは羊と魚を含めて9人になっていた。 羊「も...
  • 水3
    「獅子は火を使ったあと、体にひどい痛みが発生するんだ。使った能力の量にもよるけど、きみをここに連れてきたあとも、部屋に閉じこもって暴れていたから、たぶん相当な力を使ったんだろうねえ。  あと、射手にも会ったよね? 射手は空間を飛び越えて移動する能力を持っているんだけど、そのかわりに肉体の麻痺という制限を持ってる。能力の使い方によって、麻痺の箇所や時間が変化するらしい。  こんなふうに僕らは制限を持ってるから、力におぼれたりせずに、ふつうの人間として生活しなければならないんだ。これは大切なことだよ。だからきみも、能力を持っているからといって、やたらと力を振り回してはいけないよ」  俺はなんとなく、ヒビが入ってると知らずに振った野球のバットが、まっぷたつに折れたときのことを思い出していた。 「力を振り回す前に教えて欲しかったなあ、それ」 「そうだねえ。まあ、獅子に射手じゃあねえ……。...
  • 双子誕生日ネタ2
    俺は蠍の顔を覗き込むようにしながら言葉を続けた。 「あ、もしかして照れてんの?かーわいーい。お持ち帰りしちゃおっかなぁ。っ つーかマジで俺んち来る?発泡酒くらいならあるし、あとはコンビニで何か買お う。明日学校休みだし、来いよ」 「あ-…いや、今日は帰る」 「え~つまんない。いいじゃん、家近いんだし。優しくしてあげるよ?」 「また今度な」 「なーんで?何か予定あるの?」 蠍は足を止めると、黙ってうつむいた。 あ、こいつマジで拒否ってる?結構ショックなんだけど。 「…いや、無理に誘ってるわけじゃないけどさ」 「違う。そうじゃない。……もらってばっかりってわけにもいかないから、一応 プレゼント用意したんだけど、今持ってない。あとで渡しに行く」 「マジ?俺の誕生日覚えててくれたの?やった、すげー嬉しい!やっぱり俺、蠍 に愛されてんだな-。じゃ、...
  • カジロワ17_61
    天「……にいさん」 牛の体は右手首の手錠一本でステージの上に留め置かれている。 体にはエサの匂いをつけられた肉汁をかけられ、おののきながら犬たちを凝視している。 鋭い牙を持った雄犬たちが、訓練師の手でけしかけられる。 天「にいさん!!」 天秤は夢中で駆けていた。前後の危険も顧みず、まるで兄に泣きつく幼子のように。 走ってくる犬たちに身構えながら牛の体が反応し、弟のほうを振り向く。 く る な 。 あ ぶ な い 牛の体に犬たちが飛び掛かる。天秤は泣き叫びながらステージへ登り、 兄に噛み付く犬たちを蹴って振り払おうとしていた。 犬の一頭が離れ、今度は天秤に襲い掛かろうとした刹那、横から犬の頭に牛の拳が飛ぶ。 呆然とする天秤を牛が力づくで床へ引き落とし、自らの体を上にかぶせつけて守る。 犬の吼える声。唸り声。裸で弟を守りながら体に噛み付かれ...
  • カジロワ26_70
    カジノ・ロワイヤル 水瓶と蠍と双子(射手vs山羊) 774チップ 2007/09/22(土)23 23 69の続きです。射手はおバカが似合っていじりやすいです……。 それぞれが勝負の卓についた、その一角。 他の卓が一対一の戦いに揺れる中、ポーカーの二番卓では双子と蠍と水瓶がのんびり対戦していた。 双「いやあそれにしても、昨日は大変だったな。あれ発砲した奴がまだ捕まってないらしいね。   噂だけどこの賭博場、壁を探すとどっかに穴が開いててそこだけ装飾が増えてるらしいよ」 蠍「あれは牛の手錠を破壊するのに撃ったんじゃなかったのか」 水「(牛の手錠は僕がマスターキーで外したんだけど……知らないんだろうな)川田の方からも   報告が何も来ないよね」 双「あんまりよくないニュースが続くと商売が成り立たなくなるもんなあ。   海上じゃSPも増員できないし。ま...
  • 『雪の山荘』サウンドノベル風・羊視点3
    『雪の山荘』サウンドノベル風・羊視点3 ななす 2008/01/14(月)13 15 せっかくだから、パイを食おう。(※ 蟹の好感度が上がった!) パイ生地で隠れて、中身はわからない。俺は度胸を決めてかぶりついた。……お? チリソース? ピリ辛で、おいし…… 羊「……ぎぃああああ!! なんじゃこりゃあぁ!?」 蟹「ダメですか」 羊「からいー! からいからい、痛いー!! 水くれ、水!! 何入れたんだよ、これ!?」 蟹「青唐辛子を強めに利かせてみたんです」 羊「利かせすぎだっつの! あとからガァンと来るんだよ!!」 普段蟹が作る物はすげー美味いのに、時々こんな凶器ができあがるのはなぜだ……。 口直しとして蟹は、味噌と醤油の焼きおにぎりを用意してくれた。こっちは美味い、うん。焦げた醤油と味噌の風味、サイコー。 蟹「坊ちゃん。ご飯粒が付いてますよ」 羊「え?」 蟹「...
  • 十二国王子 乙女国にて、蠍王子のお忍び
    さらにお邪魔します 名無しですよ 2005/10/20(木)01 34    乙女国にて、蠍王子のお忍び。 蠍→射手なのかなあ。なんとなく乙女と仲良し蠍。長文スマンです。 「蠍…?」 昼下がりの宮廷図書館。穏やかな光を受けて読書に勤しんでいた乙女は、自分の横にふらりと現れた影を仰ぎ見て目を疑った。 普段は自国どころか宮殿から出ることもめったにない蠍国の王子はどこか硬い面持ちで頭を下げ、不躾な訪問を短く詫びる。その周囲に臣下がいないことに気づいて乙女は眉をひそめた。 「どうしたんだ、供も連れずに」 「調べたいことがある。各国古代史の文献室を開けてもらえないだろうか」 「…構わないが、古代草書文原文だぞ。読めるのか」 「ある程度は」 核心のみで会話をする蠍の癖は相変わらずだと嘆息し、乙女は小さく頷いて読みかけの本を閉じた。 「持ち出しは厳禁だが、物によっては写し...
  • 土3_05
     俺は力を解除したあと、こう条件をつけた。 「下に降りるだけ。作るのは俺がやる」 「牡羊が?」 「できるよ。まえの家では、おばちゃんの手伝いでよくやってたんだ」 「……」 「あんたは見てるだけだ。嫌だっつーんならもう、俺が疲労でぶっ倒れるまで、あん たをベッドにくっつけといてやる」  乙女は考えていたが、やがて溜息をついた。 「どうせ眼鏡が無いと、うまく動けないから……、牡羊にまかせる」  俺は乙女と連れ立って移動した。乙女は眼鏡が無いせいで、階段も怖そうだったが、 俺に手を貸されることは嫌がった。  すげえ意地っ張りだ。俺もそういうとこあるけど、ここまで酷くない。  で、台所に行くと、牡牛が居た。エプロンしめて、冷蔵庫から材料を取り出して、 作業台に並べていた。  俺たちに気づくと、こう言った。 「乙女がやるって聞いたから、かわりにやってやろうと思って」 ...
  • 水2_10
     だから俺は、さっき魚が抱いてくれたときに復活した体力のうち、ほんの少しを、 ただ一箇所の一点に向けて、放ったのだった。  カジキの胸に刺さっていた釘は、俺の念に従ってさらに突き刺さり、深く深く突き 刺さり、カジキの心臓を貫いて背中に抜けた。  魚は攻撃のために傘を拾いあげていたのだが、俺のやった行為に気づくと、驚いて 俺を振り返った。  俺は、ほっとしていた。この優しい男に、残酷なことをさせずにすんだことを。  魚は倒れたカジキを見て、それから俺を見ると、ぼろっと涙をこぼした。 「なんでこんなことになってしまうのかな。ぼくもあなたも、こんなことは望んでい ないはずです。なのに」  口調が変わってるってことは、すこし年齢が下がってるのか。  魚は俺を抱きしめて泣いた。泣きながら子供に戻っていった。同じ言葉をくり返し ながら。 「大丈夫ですか。痛くないですか? ……...
  • カジロワ63_08
    カジノ・ロワイヤル 射手と水瓶と牡牛と魚と羊 774チップ 2007/10/04(木)10 54 続きです。 牛が放った一石は羊を皮切りにして、弧を描くように他の人間にも波及してゆく。 射手は朝から身支度を済ませると水瓶の部屋へ押しかけ、テレビを前にしてメモ帳へ優勝者予想を 書き留めるのに余念がなかった。純粋に決勝戦などと盛り上げられるとのってしまうたちだ。 かといって予想券を買う気でいるかと思えばそうでもない。予想だけするのが楽しいらしい。 射「(鼻歌まじりに)なあなあなあなあなあ、この番組なんかオッズおかしいんだけど!   おかしくねえ?」 水「僕は君が朝から僕の部屋にいることのほうが不思議なんだが」 射「だってヒマなんだもん。オトの部屋行ったら誰もいねーし。いやそれよりこのオッズだよ   ガメ君。ヒツが一番倍率高いんだぜ! 2.4倍! そ...
  • カジロワ12_56
    カジノ・ロワイヤル 牡羊と魚 774チップ 2007/09/17(月)11 45 55の続きです。遅起き組その2。 この二人はお笑いというかほのぼのチックで和みます……。 ガキのようによく眠る。二人して眠る。 羊と魚は昼近くになってもガキの雑魚寝状態で同じベッドに倒れこんでいた。 夕べのまな板ショーで二人して 「何だこりゃあー!!」「何これェェェェェ!!」と叫びすぎ、 部屋に戻っても二人してヤバいヤバいと言い合っているうちに夜が更けてしまったのだ。 二人をよく眠らせたのはアルコールでなく魚がルームサービスに頼んだホットミルクであった。 羊「うーーーーん……」 目が覚めて、目の前に魚のハニーフェイスがあるのにまず驚いた。 パジャマが似合うのだろうが生憎両者ともタキシードのタイを解いただけだ。 羊(何でこいつここで寝てるんだ。つーかこ...
  • 双子誕生日ネタ3
    「ごめん。大声出して」 蠍は突然俺に謝ると、左手で両目を覆った。あれ?こいつ何かヘンじゃない? 「蠍?どした?」 「なんでもない」 「なんだよ気になるじゃん。あ、もしかして改めて俺に告白しちゃうとか?わか ってるって、お前の気持ちくらい…」 「わかってない」 「え?」 「俺が、ほんとに好きだったらどうする?たぶんお前が言うのとは違う意味で」 「…え?」 「俺は……俺は、本気で双子が好きだ」 蠍の絞り出すような声が聞こえて、俺は頭が真っ白になった。「好き」って、そ ういう「好き」って意味?マジで?マジで?俺の気持ち、報われるの? 偶然同じ講義に出ることが多かった俺と蠍は、いつのまにか世間話をするように なった。最初はマジメで無愛想なつまんないヤツだと思ったけど、いつもクール ぶってるあいつの口から、ある時ふと方言が飛び出したことをきっかけ...
  • カジロワ16_60
    続きです。面子が増えます。ど鬼畜注意なので苦手な方はスルーでおながいします。 卓の上では射手が敗者に対してピントのズレたアドバイスをしている。 射「これでお前も乙女と痛み分けな。まあショーとかあるけど大丈夫だって。   スパーンと脱いでパパパパーンとやっちゃえばすぐ終わるから。うん。   あー……悲しい目してんなお前。大丈夫?」 天秤は歓声の中、じっと卓の上に崩れ落ちた兄の姿を見つめていた。 これで全部終わった。これ以上きっと兄は悪くならない。あとはきっとよくなっていくだけ……。 何も言わずにいると、自分の後ろからさらに客が賭博場へ入ってきて体がぶつかる。 羊「あ、悪い……(天秤の顔に気づく)」 天「……」 羊「おい。お前プレイヤーなんだったら賭博場に入るときはタキシード着ろよ。   最低限それくらい守れっつーの」 魚「なに、誰か負けたの...
  • カジロワ43_87
    カジノ・ロワイヤル 蟹と射手 774チップ 2007/09/28(金)06 38 86の続きです。 風が鳴っていた。細かい波音が幾重にも重なり、船内の各種サロンから品のいい音楽が 微かに漏れてくる以外には音のない世界だった。 雲は夜半のうちに通り過ぎたのだろう。天気が良い。目を閉じていると頬に潮風がぶつかる。 蟹は甲板テラスのベンチの上でじっと座っていた。 うなだれたその全身から苦悩がにじみ出て、日光にじわじわと消毒される。 太陽に光る海をこんなに長時間眺めたのは何年ぶりだろうか。 船の中では恐ろしいことが起きているのに、甲板から眺める海はこんなにも祝福されている。 ぼんやりしていると横からハムサンドを突き出す手があった。 蟹が見上げると、太陽の光の下にサンドイッチを頬張った射手が立っていた。 射「こんちは。──挨拶代わりにどうぞ。...
  • カジロワ27_71
    カジノ・ロワイヤル 双子×射手(+山羊と魚) 774チップ 2007/09/23(日)22 39 70の続きです。アクロバティックtelinko、エロあっさりの回。 絵板[112]姐さま、その他応援して下さっている皆様、本当にありがとうございます。 ……射「へえ、ヤギさんて意外と気さくな人なんだね。俺さあ、本当はねヤギさんのこと   もっと怖い人なのかと思ってた。……いや、慣れてるっつってもやっぱ悪かったよ。ごめん。   昨日はカクテルご馳走様でした。あれでちょっと運が戻った。   ヤギさんがおごってくれなかったら俺牛のやつも倒せなかったかも。   乙女の奴はね、うん、大丈夫そう。でももうあいつギャンブルやめるかもしれないな。   ……ああ、乙女はなんていうか、純粋なギャンブラーじゃないから。ディーラー上がりだもん。   もうギャンブル続けてる理由ないだ...
  • 自由研究
    130 :やぎの夏休み(自由研究):2008/08/21(木) 16 58 17 ID ???0  初めて山羊が乙女の家にお泊りした次の日の朝、山羊が布団の中でうごうごしていると 寝室にはもう台所からご飯と味噌汁の匂いが漂ってきていた。まだ日も昇りきらぬ早い時間 で、山羊は起きるか起きまいかうたた寝のまま迷っていた。  いつもみたいに出勤前の母親か父親があわただしく起こしにくるのかなと思っていたが、 いつまで待っても自分を起こしに来る声がなかった。どこかで安堵しながら急にじわっと涙が 出そうになって、 「さびしい」  と、布団の中で消えそうなちいさな声を漏らした。  それから約二時間後に乙女が山羊の部屋の襖を開けると、山羊はまだ布団の中で丸まって いた。子供だからよく寝るのかなと思いながら乙女が声をかける。 「山羊。朝だ」 「はい」  すぐに返事が返っ...
  • @wiki全体から「うーちゃんとさーちゃん2」で調べる

更新順にページ一覧表示 | 作成順にページ一覧表示 | ページ名順にページ一覧表示 | wiki内検索