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    <title>アリアンロッド・トラスト @ ウィキ</title>
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    <description>アリアンロッド・トラスト @ ウィキ</description>

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    <title>レシィ・マナリス</title>
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    <description>
      *&amp;bold(){レシィ・マナリス}

|プレイヤー：羽斬|種族：ヴァーナ（アウリル）|性別：男性|年齢：１４歳|所属学部：魔法学部（召喚）|
|メインクラス：プリースト|サポートクラス：サモナー|キャラクターレベル：１９|成長点：２４８６／２７５７|サブ学部：神学部|

***キャラクター
　本セッションＰＣ④。
　かつては、臆病で泣き虫で争いごとを嫌う性格だった。過去に呪いを受けていた影響で、夜になると目がうっすらと赤く光るという性質があり（それ以外には特に影響が無い）、そのせいでいじめられていた。だが、そんな自分を変え、強くなっていきたいという向上心は持っているようで、そのためにエルクレスト・カレッジの入学試験を受けたのだが、何が悪かったのか不合格となってしまった。そのことは普段から落ち込みがちな彼をより落ち込ませてしまうものだったが、ある日突然ヴァーナの男（&amp;link_anchor(エンザ・ノヅキ,pageid=25){エンザ・ノヅキ}）に訪ねられ、もう一度入学のチャンスを与えるといわれる。そのことは沈んでいた彼の気持ちを、もう一度前向きにひきあげたのだった。
　前述した通りの臆病な性格であったころから芯は強く、やらなければ駄目だという時にはしっかりと行動するようで、特に自分の大切な人（&amp;link_anchor(ユエル・ケルフィン,pageid=26){ユエル}）が危機に陥った際の彼の意志の強さと行動は、&amp;link_anchor(ビーク,pageid=23){ビーク}をふるいたたせ、同じく行動させるのに大きな影響を与えた。他の場合でも他人を助けることには精力的なようで、試験中発生した怪我人に癒しの術をかける時の手際と姿勢は、保険委員会委員長の&amp;link_anchor(マリー・マクラフリン,pageid=20){マリー}の目にも留まるものであり、また戦闘になると神学による護りと癒しの術、そして自身に備わった不思議な歌の力で必死にサポートする。また、彼にとってのあこがれの対象となっている、強い精神力を持つ[[ミルカ&gt;ミルカ・ハミルトン]]も近い位置に存在し、彼に影響を与えている事からも、エルクレスト・カレッジでのこれからの経験が彼を本当の意味で強くしていくことが期待されていた。
　そして、特にユエルと互いの思いを交わすことができて以降、彼の精神はすでに当初よりも大きな成長を迎えたように見え、少なくとも、何かにおびえるよりも、するべきことをするため行動することが多くなったようだ。実際、[[第十話Ａ]]では戦いの予感に震える&amp;link_anchor(ガイブ,pageid=19){ガイブ}に対してむしろ勇気づける側に回っており、これまでの経験が彼を心身ともに強くしたことを自覚しているようであった。
　それに加え、何故かミルカに疑念の目を向ける&amp;link_anchor(シズナ・ミナモリ,pageid=22){シズナ}に対して、自分はミルカを信頼しているとはっきりと伝え、またそのような態度を取っていた相手にもかかわらず、シズナもまた自分の仲間なのだと主張した事から、シャルリシア寮のメンバーの中ではひときわ強い仲間意識を持っていると言っていいだろう。また人当りもよく、シャルリシア寮の歓待パーティーの時には、自分たちと（経緯はともあれ）戦った相手である&amp;link_anchor(ビアッジ・オーダル,pageid=20){ビアッジ}に対して自分から、料理を作ってもらったお礼を言いに行くなど、人の和を目指そうとしているところも見受けられ、自分から際立った性格のメンバーが多いシャルリシア寮の中では、かなり安心できる存在である。
　しかしそうした真面目で周りの情勢を受けやすい性格のせいか、シャルリシア寮の面子の中ではいわゆるリアクション担当的なところもあり、入学後、彼がオムライスにケチャップで「チャーハン」と文字を書くというボケをかましてしまった際も、それを食べておきながらなんらそれに突っ込む人間はいなかった。そんな彼の姿はどことなく寂しそうであったという。
　エルクレスト・カレッジの一員となった後の彼は、憧れの人物であるミルカが選んだということと、学部のアドバイスにやってきていた&amp;link_anchor(フィシル・アリーゼ,pageid=23){フィシル}の言葉もあって、学部を召喚学部と決め、念願の学生生活をスタートしたのだが、やはりかつていじめられていた頃の事は今でも引きずっているところがあるようで、&amp;link_anchor(ハナ・タウル・イヴィシル,pageid=24){ハナ}にそのいじめられていた原因、邪神の祝福による光る目のことを指摘された時は、苦い思い出に気持ちを沈めてしまう場面も見られた。しかし、それもほとんどそのときだけで、雑多な種族、出自のものが集うエルクレスト・カレッジ内ではレシィをそのように奇異の視線で見るものは少なく、むしろ大人しくて品行方正な性格が幸いしているのか、多くの人々から迎え入れられているようであり、ひとまずはかつてのような心配は必要なさそうである。
　なお、その召喚学部の授業に関しては、やはりミルカのように、とまではいっていないようで、現在は同じ学部ながら、受ける授業のレベルは違うという状態になっている。しかし、いつかミルカにも追いつきたいと頑張りは重ねているようではあるので、今後に期待だろう。
　なお、家事が得意で、特に料理はもはや趣味と言っていいほど身についているようだ。材料があるときには朝早くから活動し、新しい味に挑む彼の姿が見られることもあるという。そんな噂を聞きつけ、[[第二話]]で彼の元にやってきた&amp;link_anchor(メンファ・リン,pageid=23){メンファ}に突如襲来された事もあった。それ以来彼女からは興味をもたれているようである。それがもとで、[[第四話]]は始まったともいえるだろう。

　ちなみに、[[ラピス&gt;ラピス・カルパンディエ]]の影響からかジェンガを遊んだりしていたが、器用さ（魔術込）の違いでかさすがにかなわないようだ。もっともその魔術をかけてもらえる側となった時には、その能力で&amp;link_anchor(ドゥーラ,pageid=20){ドゥーラ}をコテンパンにしていたあたり、最近のレシィにはしたたかさが生まれ始めているのかもしれない。後にユエルと二人になるため詭弁で&amp;link_anchor(レイス,pageid=21){レイス}に帰ってもらおうとしたり、&amp;link_anchor(シャルロッテ・イエミツ,pageid=21){シャルロッテ}が彼らシャルリシア寮生が製作した各種アトラクションに挑み、ラピスの身体強化魔法という一種のイカサマの前にあえなく玉砕した時も遺憾なくラピスへ勝ち名乗りをあげさせていたりしていたところからも、その傾向は垣間見える。

　それと趣味とは違うかもしれないが、自分の経験した物事を手記としてまとめていくクセがあるようだ。もしこのシャルリシア寮から伝説が生まれるなら、それを伝えていくのは彼の役目なのかもしれない。　→[[レシィの手記]]
　実はユエルという、自身と同じアウリルの幼馴染の女の子がおり、レシィがシャルリシア寮に入寮する前は、一人暮らしの部屋をユエルと共同で住んでいたらしい。また、彼が歌を覚えるきっかけになったのは、落ち込んでいた彼を励ますためにユエルが歌を贈ったところ、彼が歌が持つ人の心を豊かにする力に感銘を受けたからとのことで、今に至るまでのレシィに大きな影響を与えている人物だといえるだろう。この二人はお互いに大きな絆を感じあっている仲であるとは思われるが、彼にとってユエルはあくまで幼馴染の感覚を抜け出てはいないらしく、ハートフルアンブレラを使いたい相手がいるのかと彼が&amp;link_anchor(サイオウ・アマガシ,pageid=21){サイオウ}に問われた際にも、その時点では、あえてユエルの名をあげるようなことはなかった。しかし、その後しまいこんだハートフルアンブレラを再度目にしたときは、それを使う相手を想定したかのような言動をしており、やはり心のうちには彼女を描いているのかもしれなかった……

　「フードファイターバトル」の一件（[[第四話]]参照）の後、何やらエンザに対して怪しい動きを見せる[[クレハ]]の行動を追ったことにより、彼はエンザが、邪神の祝福をうけていたヴァーナを抹殺したという事実を知ることになった。かつて、ハナがもらした、「自分が殺されてしまうかもしれない」という言葉の真意は、どうやらそこにあったようである。
　[[第五話]]にて、エンザと二人だけになる機会のあった彼だが、その時は、あえて自分の抱えたものを公言するようなことはしなかった。しかし、彼自体はそんな態度を取ったものの、エンザはふとしたことからレシィの出身地を聞き、驚愕をしていた。どうやら、彼の記憶の中の何かを、レシィの生まれ故郷と結びつけたようなのだが……このことについて、エンザはごまかすようにし、語ることはしなかった。レシィにとっては、自身の過去と、エンザの結びつきが日を増すごとに強くなっているのを感じつつも、その実態を知りきれないという状態になっていた。
　だが、波乱ありつつもユエルと再会し、そしてその身を救った[[第七話]]においてユエルがレシィに明かした「隠し事」を聞いたことによって、その関係の実態は発覚した。レシィはかつて「邪神の祝福」の影響でその力を暴走させたことがあり、そしてそれを救ったのが、ユエルが助けを求めて呼んできた冒険者……エンザの持つ薬だったのだ。彼にとってエンザは恩人と言ってもいい人物であることがわかったが、そんなレシィがエンザに何かを伝える以上に、エンザは彼を抱き留め、感謝の言葉を述べた。それは、今生きて、このように生きているレシィの存在こそが、エンザにとっては救いだったから。そして、その過去を知っても、シャルリシア寮のメンバーは、彼を恐れたり、不信感を募らせるようなことはなかった。そしてそのことを彼自身も信頼し、その過去におびえないことができていたようであり、今の彼には本当の仲間がいて、そしてそれが彼自身を強くしているということは、疑いようのないことだろう。そんな彼らだから、エンザの過去についても同じように、受け止めることができたのかもしれない。
　そしてその後、二人だけになったユエルとの会話で、「伝えたい、本当の気持ち」を知ってほしいと言われる。
　彼女と再会してから、彼女が望むことを考え、その背中を守り、そして彼女が窮地に陥った時、たとえ自分にどんなことがあっても助けたいと、迷いなく思うことができた。その経験はきっと、彼からユエルに伝えるべき感情の名前も明らかにしていたのだろう。そしてそれが、彼女が今、伝えようとしている感情と同じものであることも。
　こうして二人の絆は、より強固なものになったのだった。
　それにより、レシィはユエルという自身の人生で支えするべき相手を手に入れたものの、一方、自身をよく気にかけ、守ってくれている存在であるクレハに対しては、最初のエンザがらみのこともあってか、次第に「自身のことを頼ってくれておらず、クレハの中で抱えていることを打ち明けてくれない」と感じ始めていたようである。その思いは&amp;link_anchor(ダバラン・テレミナス,pageid=22){ダバラン}が語ったことによる謎の「不安」の一件の際、クレハが小さくもらす言葉を聞いたことでいよいよ臨界に達したようであり、その後クレハの元を訪れたラピスに続いてクレハへそういったことを訴えるも、ラピス同様、「自身の抱えているもの」や「自身に向けられている思い」と言うことに関して完全に視点を別のものとしていたクレハは彼の意思に気づくことすらなく、そんなクレハに対し、レシィはもう何も言えなかった。

　[[第十一話]]にてシャルリシア寮生達の持つ夢についてをエンザが聞いた際には、彼は「より立派な人間になること」だと答えていた。「より」というのは、彼は元々「立派な人間に成長したい」ということを夢にしていたのだが、戦い、守り、願い、進む数々の経験と、何より自身にとって大切な存在、ユエルに今の自分が立派な人間になったと認めてもらえたことによって、その願いはかなったのだと彼自身が思っていたからである。
　だが、それでも人生から目的がなくなるなどということはない。今の自分を認めてもらえたなら、今よりもっと誇らしく思ってもらえるほどの人間になる。そのためには、このエルクレスト・カレッジでの日々を真剣に、全力で過ごしてしっかりと卒業するということが今の彼の夢なのだと。
　エンザはそれを聞いて、レシィは確かに変わったのだということを嬉しそうに認めていた。だが、レシィが変わることができたのは、そのために必要だったものは最初から、彼の中にあったものなのではないかとエンザは語る。レシィという人間がこの学園の中で得たものはきっと、それを可能にするような大きな力と言うよりも、彼に踏み出すことの重要さを知らせてくれた数々の人々や出来事……「きっかけ」だったのではと。それについては、レシィもミルカなどを思い起こし、同感する部分であったようだ。
　そしてエンザはだから、もともとそれだけの物を持っていたのであろうレシィがこれから、どこまでの存在になれるのかを楽しみにしているということを笑顔で告げ、彼もまた、ならなるべく、長生きしてくださいねと冗談めきながらも返した。……それは、レシィ自身が、自分の成長は自分が生きている限りあるものだと考えたからなのだろうか。
　ちなみに、余談だが彼と[[ミト&gt;プリンセス・ミト]]は共に人生のパートナーと言えるべき相手がいたせいか、エンザの夢への問いかけに対して答えるのも早く、またその内容や今の精神状況に関してもエンザをとても安心させていた。やはり愛は偉大と言うべきだろう。
　……そんな彼だが。[[第十二話]]にてあまりにも唐突なエンザとの別れが訪れた時には、大いにショックを受けていた。愛する人と想いが通じ合ってから、やるべきことをしていく強さに目覚めた時から。滅多なことでは泣かなくなった彼であったが、その時ばかりはぐしゃぐしゃに顔をゆがめて泣きつくしていた。自身を導いてくれた人がいなくなるという不安と悲しみは、彼にとってそれだけ深い物だったのだろう。しかし、次から次へとあふれる涙を止める手段がないままにも、レシィはいつだって胸を張って未来のために生き、そして「立派な自分になる」ことを見失わず、誇りを持ってほしいというエンザの言葉には頷いた。エンザが自分のために残そうとしてくれている言葉を、無為にしたくなかったのだろう。
　&amp;link_anchor(バウラス・ジーク・スヴァルエルト,pageid=26){バウラス}の元より逃れても、彼の受けた悲しみは癒えず、ふとした時にそれを思い起こしてしまうようであったが、それでもエンザの言葉を守るためか、あるいは仲間のためか、また泣きたくなる気持ちと必死に戦いながら進むことを決意していたようであり、シズナが世界や人々に絶望したようなことを言いながらも、かつては保健委員会で共に人のため活動していたことの矛盾を説いて糾弾する、&amp;link_anchor(エルヴィラ・アルディリケ,pageid=25){エルヴィラ}を前にしての決意表明の場でも、エンザや他の人々がかけてくれた機体や希望のためにも、自分達が進まないわけにはいかないことを真っ先に宣言するなど、いざという時の心の強さは失われていないようだ。
　……しかしその後、おそらく彼の心の最も深い場所にいる人、ユエルにエンザのことについて問いただされた際には、またも悲しみを噴出させ、後悔や自責の念に囚われてしまう。それは、彼の中にある、エンザを失った悲しみは、そんな自分を見せないよう気を張っていられる相手の前でもなければ、ふとした拍子にこみあがり、その足をすくませてしまうものであることを示していたと言っていいのかもしれない。
　だが、そんな彼の辛さや悲しさをユエルが共感し、分かち合おうとしてくれたこと。そして、自分とレシィのことを例にしつつ、悲しみを残してこの世を去ってしまったしまった人は、それでも残された人々に進んでいくことを、生きていくことを望んでくれるはずだと語ってくれたことは、彼がその激情からもう一度歩き出すための助けになったようだ。たとえ彼が何と戦わなければいけないとしても。どんな道を行かなければいけないとしても。自分は必ずその傍にいるというユエルの励ましを受けた彼は、たとえどのような「運命」だとしても、エンザの言葉通り、必ず覆して生き抜くという決意を、自身の大切な人の前で確かに宣言して見せたのだった。
　……なお、その後のユエルとシャルリシア寮生の中で、彼はミルカに「シャルリシア寮生の中でも最も成長している人物」であると評価されていた。かつて自分に自信が持てずにいたころから、ずっと尊敬の対象であったミルカにそのように思われていたことは、きっとレシィにとって大きな意味があったことだろう。
　ちなみに、そのように、&amp;link_anchor(ティオルジュ,pageid=26){ティオルジュ}に自分たちが挑むことになった恐れや不安をユエルや仲間たちの存在によって乗り越える決意をすることのできたレシィではあったが、その実、自らにとって最も大切な人と言えるユエルが、自分達に身を預ける形で危険にさらされなければいけないということがわかると、それを知ってもなお、ユエルがレシィ達の力になろうとすることを素直に喜べずにいたようだった。……それはきっと、自らの大切な人が、自分のせいで危険にさらされることに対する負い目がそうさせたのであろう。
　しかし、当のユエルは、そのように自分を思うレシィのことを知ってなお、自分は決して、何も関せずでいたくはないと決心していたこともあり、最終的には、ユエル達の力が自分には必要なのだという事を認め、共に戦い、生き抜くことを改めて誓っていたのであった。
　 

　エルクレスト祭のアトラクションでは「破れ！光の壁」ということを企画しており、６種のアトラクションでは唯一難易度が選べる仕様で、それによって景品のメダルが変わるというものだった。要は彼の《プロテクション》の妨害を受けつつ、それぞれ固さ別に用意された壁を壊せるかどうかというゲームであり、最高難易度になると[[ジャック&gt;ジャック・アルマー]]の打撃力を元に作っただけのことはあってなかなか突破されるような代物でもなかったのだが、&amp;link_anchor(シャルロッテ・イエミツ,pageid=21){シャルロッテ}の魔力が運よく爆裂したり、明らかにその辺にいるようなレベルの実力ではない&amp;link_anchor(ザムト,pageid=26){ザムト}には突破されたりしていた。また、シャルロッテのデモンストレーションに力を入れたのか、各アトラクションごとに審判役を務めていたのは彼であることも記しておく。
　人形劇においては、もともとのストーリーがかつての彼とユエルの話が元であったこともあり主人公役に抜擢される。その主人公「レイシス」は他の登場キャラクターにくらべるとかなり元のレシィよりというキャラではあったものの、主人公という大役にミスは許されないと徹底的に練習を重ね、人形の動きから演技まで全てマスターして見せた。……のだが、当日になってラピスが冒頭のシーンを創造して大幅に引っ掻き回したため、想定外の状況がいくつも生まれてしまう。だがそれでも成長によって培ってきたあきらめない気持ちを武器に（？）なんとか劇を完走させ、劇を〆ることに成功したのであった（あまりの改変ぶりに、ユエルは劇の意図に気づけないままだったが……）。
　上記の人形劇中、ヒロイン役のエル（ミト）とその愛ユニコーンのうどん（多分ラピス）が（意図的かはともかく）コントめいたことを初めて収集が付かなくなりそうになった時、彼にしてはかなり珍しいことに大声をあげて二人をしかりつけており、かなり貴重な一幕となったことも記しておこう。
　また、エンザの件をはじめ、より大きな力をつけることが必要だと思わせられることが続いたせいか、最近になってフォーキャスターの術についてを学ぶようになったようだ。これはかつて&amp;link_anchor(アルゼオ・ヴェルダース,pageid=22){アルゼオ}が、レシィにはフォーキャスターの術を学べる素質もあるはずだと言ってくれたことがきっかけであったようだが、そのための資料を求めて訪れたアルゼオの部屋で発見した一冊の兵法書には、すでにアルゼオが、レシィにいつかそれを教えることを想定して書いていたのであろう注意書きやメモが大量に残されており、今傍におらずとも、アルゼオは確かに自分たちのことを気にかけてくれているという気持ちを感じられたこともあってか、まだ勉強し始めて間もないものの、すでにいくつかの技を活かせるようになっているようなのだった。

***ライフパス
出自：月光の祝福　特徴：光る瞳（常に明度３以上）
境遇：修行
運命：平穏無事

***職歴
メインクラス：アコライト（１～１０）→プリースト（１０～）
サポートクラス：バード（１～４）→セージ（４～１５）→フォーキャスター（１５～１９）→サモナー（１９～）

***ステータス
|最大ＨＰ：８１|最大ＭＰ：１３６|最大フェイト：２８|

|&amp;bold(){能力名}|&amp;bold(){基本値}|&amp;bold(){能力値}|
|筋力|１１|（３＋０＋０）＝３|
|器用|７|（２＋１＋０）＝３|
|敏捷|３０|（１０＋０＋１）＝１１|
|知力|６|（２＋１＋１）＝４|
|感知|４５|（１４＋０＋０）＝１４|
|精神|２９|（８＋２＋０）＝１０|
|幸運|９|（３＋１＋１）＝５|

***装備品・所持品・所持金
両手　　 ：ケセドの杖（重量１０／攻撃＋８／魔術使用時ＭＰ５消費でその効果＋１０）
総重量　 ：１０／１１

頭部　　 ：ミスティックサークレット（重量３／物理防御＋２／魔法防御＋１／クリンナップにＭＰ３回復）
胴部　　 ：クルセイダーガーブ（重量４／物理防御＋８／魔法防御＋２／回避－１／ヒールとプロテクの効果＋２）
補助防具：誓いの指輪（司祭）（重量１／行動＋３／他に誓いの指輪を装備しているキャラクターがいる場合、シーン一度だけ魔術効果＋５）
装身具　 ：兵法書（重量１／《チェックメイト》効果＋５）※アルゼオのもの
総重量　 ：９／１１

所持品　 ：ハイＭＰポーション×３、学園のローブ、バックパック（所持品重量＋５）、生命の呪符×１、ＰＩＹＯエプロン（アクセサリ）、壊れた天使の人形×１、崩壊の角笛×０、上位爆撃符×０、爆撃符×１、上位呪壁符×０
総重量　 ：５／１６
所持金　 ：０Ｇ

***スキル
ヴァーナスキル：《オーバーパス》
一般スキル：《トレーニング：筋力》
アコライトスキル：《ヒール》《プロテクション》５《フェイス・ダグデモア》２《ブレッシング》《ヘイスト》《グローリー》《レイズ》
バードスキル：《ディスコード》《ファイトソング》
セージスキル：《エフィシエント》５《マジカルハーブ》《フォローアップ》《リバーサル》《ラーニング：エソテリカ（アコライト）》
プリーストスキル：《ハイプロテクション》Ｌ５《リデュース》Ｌ４《スピリチュアルウェポン》《ポストヘイスト》《セイントブレッシング》
フォーキャスタースキル：《スタンドバイ》《キャスリング》《チェックメイト》３《パーペチュアルチェック》
サモナースキル：《ファミリア》

***判定など
命中判定：３＋２Ｄ
攻撃力：０＋２Ｄ
回避判定：９＋２Ｄ
物理防御力：４＋２＋８＝１４
魔法防御力：１０＋２＋１＋２＝１５
行動値：１０＋１２＋３＝２５
移動力：２５＋５＋５＝３５ｍ

トラップ探知：不可
トラップ解除：４＋２Ｄ
危険感知：１３（＋１０）＋２Ｄ
エネミー識別：４＋１０＋２Ｄ
アイテム鑑定：４＋２Ｄ
魔術判定：４＋２Ｄ
呪歌判定：１０＋２Ｄ
錬金術判定：不可

***コネクション
|&amp;bold(){コネクション間}|&amp;bold(){内容}|&amp;bold(){備考}|
|レシィ⇔&amp;link_anchor(ユエル・ケルフィン,pageid=26){ユエル}|幼馴染|互いが好きだという意思を交わした|
|レシィ→[[ミルカ&gt;ミルカ・ハミルトン]]|あこがれ||
|[[クレハ]]→レシィ|裏切り|ダイスロールによる暫定的なもの|
|&amp;link_anchor(マリー・マクラフリン,pageid=20){マリー}→レシィ|勧誘|怪我人に対応する姿勢を評価|
|&amp;link_anchor(メンファ・リン,pageid=23){メンファ}→レシィ|共感|料理が好きな人に悪い人はいません！|
|&amp;link_anchor(ハナ・タウル・イヴィシル,pageid=24){ハナ}→レシィ|警告|「邪神の祝福」絡み|
|&amp;link_anchor(シズナ・ミナモリ,pageid=22){シズナ}→レシィ|部活仲間|レシィのことは、比較的深く信頼していたようだ|
|&amp;link_anchor(ビーク,pageid=23){ビーク}→レシィ|信頼|自分の好きな人を信じることを、教えてもらったと考えている|
|&amp;link_anchor(「歌歌い」ウィルテール,pageid=25){「歌歌い」ウィルテール}→レシィ|関心|レシィの歌う歌がいいものだと感じ、評価している|
|&amp;link_anchor(フェイエン,pageid=23){フェイエン}→レシィ|親近感|絡みやすい相手だと感じ、相性が合うと（一方的に）思っているらしい|

***備考
プロテクションの効果は５Ｄ＋３２、ヘイストの効果は１Ｄに、それぞれ＋１０（＋１０）する。ヒール効果は、１０Ｄ＋２５（＋１０）、チェックメイトは３Ｄ＋１５（＋１０）    </description>
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    <item rdf:about="https://w.atwiki.jp/sharlicia/pages/67.html">
    <title>ラピス・カルパンディエ</title>
    <link>https://w.atwiki.jp/sharlicia/pages/67.html</link>
    <description>
      *&amp;bold(){ラピス・カルパンディエ}

|プレイヤー：フロッグ|種族：ヒューリン（ハーフ：エクスマキナ）|性別：女性|年齢：１６歳|所属学部：使途学部（探索）|
|メインクラス：プリースト|サポートクラス：ルーンマスター|キャラクターレベル：１９|成長点：２３３２／２６２７|サブ学部：法学部|

***ライフパス
出自：隠れた才能　特徴：不肖の弟子（バタフライダンス取得）
境遇：遺言
運命：死

***キャラクター
　本セッションＰＣ⑥。[[第五話]]からの登場。
　さる資産家の娘であるが、肌が異常なほど白い、いわゆるアルビノ体質の少女。紫外線に弱いため日光が天敵となり、また体力も低い。網膜の色素異常により光を十分に集められないため、視力も弱く、その補強手段が必須となる。そして……その寿命は、他のヒューリンと比べてごく短いといわれている。こうした体を持って生まれた彼女は、かつてそれ故に追い詰められていたといっていい。
　彼女はその体の欠点ゆえ、両親には「自由に生きて欲しい」と思われ、好きなことをやらせてもらえたようだが、それを彼女は不干渉と受け取り、自分は弱い存在なので何をしても気に留めてもらえていないと考えるようになったようである。それゆえ、彼女はそんな自分でも、否応なく周りが一目置かざるを得ない偉人となれば、弱い自分から脱却し、ひいては人に認められ、愛されるようになれるはずという考えにいたった。そのためか、教育機関としてはエリン一ともいわれるエルクレスト・カレッジに入学した後、彼女は猛勉強をし、少なくとも座学では学内でも優れた成績をおさめることができていたのである。
　しかし、抱えていた悩みと寿命が彼女を焦らせていたのか、自身が偉人となること以外に目を向ける余裕のなかった当時の彼女は、なかなか他人と打ち解けることは出来ず、それどころか例えば、授業の進行を遅らせてしまっている（≒彼女が偉人となるのを阻んでいる）生徒に対して面と向かって悪辣な言葉を投げつけるなどしていたため、同じ生徒からの評判は決してよくなかった。見た目のこともあり、入学してしばらくすると、彼女は口々に陰口を立てられ、疎まれるようになる。一応自身が所属していた図書委員会のメンバー（&amp;link_anchor(ガイブ,pageid=19){ガイブ}、&amp;link_anchor(ファムリシア,pageid=24){ファム}など）はそんな、性格に難アリのラピスのことも認め、普通に接してくれてはいたようだが、それは彼女の追い詰められた心を解き放つまでにはいたらなかった。本来、愛を求めていたからこそ生き方を急ぎ、余裕をなくした彼女にとって、その生き方ゆえに理解者をなくし孤立するという現実は、ますます彼女を追い詰めていったのである。

　しばらくして、そんな彼女に新たな展開がもちかけられた。それは、エリンディル南方、マジェラニカへの単身での留学である。新たな天地で新たな教養を身に付けるため、その地に赴く彼女であったが、それを見送るエルクレスト・カレッジの学生の多くは、その旅立ちを「やっかいばらい」としか考えていなかった。彼女を善意から見送ろうとする人物は数えるほどしかおらず、彼女はまるでそんな学園内から弾かれるようにして、マジェラニカへと向かうことになったのである。
　だが、そこで彼女に人生最大ともいえる転機が訪れることになる。
　エルクレストより遠く離れた地、マジェラニカ大陸で勉学をすることになった彼女であったが、彼女はそこで、講師として用意されたある一人の錬金術師とであった。本来講義をするために現れたはずのその人物は、お互いに知り合って少しすると、生き急ぐラピスの姿に疑問を投げかけた。そんな風に生きていても、ますます自分を追い込むだけなのだと。
　講義にはラピスの他に生徒はなく、講師もその人物のみであった。ゆえにその人物は、ラピスと１対１で、ゆっくりと時間をかけて話をした。これが授業であったラピスにとっては、それを聞かないわけにもいかず、時間をすごすことになるが、彼女の心はまだ頑なだった。
　そんなある時、事件がおきた。ラピスの目が、その視力を完全に失ったのである。いつもの眼鏡をつけても全く開けない視界に、彼女は深く絶望した。だが、その時、その人物はラピスにあるものを差し出す。それは、錬金術の技術で製造された、義眼。それを用いれば、また物が見られるように……むしろ、以前よりもその世界は開けることを言葉で説明されたラピスは、その希望に縋った。
　そして、ラピスは新たな眼を手に入れた。自分の目を捨てることになったものの、分厚いレンズごしでないクリアな視界に、彼女は見えるものだけでなく、心すら開かれるような思いをしただろう。その時から、ラピスはその錬金術師に心を開いていき、その人物を師と呼ぶようになる。そしてその言葉を聞き、教えられた術を覚え、その身体に機械の力を宿すようになり……彼女は、変わっていく。
　そして時が過ぎ１年半。ラピスの留学の期間が、ついに終わりを迎えようとしていた。
　眼鏡がなくなったことによって外観の印象が大きく変えられただけでなく、ラピスは大きくその考え方を変えていた。師の言葉を受け入れ、考えたことにより、彼女はかつての自分、誰かの愛を得たくて、それにより生き急ぐことが、逆に自分を追い詰めていたことを理解したからである。今の彼女はかなり温和で、人への思いやりを持ち笑みを絶やさないゆとりのある性格となっていた。
　そして最後に港町ヴァルーナを出る直前、エルクレスト・カレッジで配るお土産を選んでいるところにやってきた&amp;link_anchor(エンザ・ノヅキ,pageid=25){エンザ}に声をかけられ、戻ったらシャルリシア寮に移寮して欲しいと頼まれる。ラピスはそれ自体には特に必然性を持っていなかったものの、この留学の間でかなり温和な思考を身に付けていた彼女は、それが自分の所属する学園の講師からの頼みであるなら、と了承した。そして学園に戻った後の&amp;link_anchor(チーフ,pageid=19){チーフ}とのやりとりがあったあとで、彼女は正式にシャルリシア寮の生徒の一人となったのであった。


　自分の人生を変えた師匠に別れを告げ、印象的な被り笠（と&amp;link_anchor(レイス,pageid=21){レイス}と&amp;link_anchor(ビーク,pageid=23){ビーク}）と共に帰ってきた彼女の変わりようには、元所属のルキアノス寮だけでなく、かつての彼女を知る学内のあらゆる人物が驚愕を受けることになった（特に眼鏡の有無による最初のインパクトが強烈らしい）。
　しかし、かつての追い詰められていた考え方を変え、むしろ余裕過ぎるほどのゆとりを手に入れた彼女には、そういった反響もまるでどこ吹く風であり、柔和な笑顔を振りまきながらお土産を配っていた。ちなみに帰ってきて以降、[[第五話]]でアーゼスに依頼を持ち寄られた時点でもまだおみやげを配り終えていなかったと語っており、どれだけの量のお土産を買い、どれだけ配るつもりなのか計り知れない。もしくはたまたま出会えた人だけにお土産を渡しているのだろうか？
　帰ってきてからの彼女の人柄は、非常に温和なものであるので、基本的に人からの頼みごとは快く引き受けるようだ。奇しくも、そんな彼女は学内の生徒の悩み事を解決するシャルリシア寮生としてふさわしい存在となっている。[[第五話]]で、彼女にとってはほぼ面識のない存在であったアーゼスに、ともすれば大義のないこととなってしまう依頼を持ちかけられたときも、他のシャルリシア寮のメンバーがその決意をあらわにしていたのもあったとはいえ、優しい微笑を浮かべつつそれを了解していた。
　一方、以前のある意味一途な真面目さに比べると、不真面目……というより冗談を言うことを覚えたようで、船で多くの日にちをかけたマジェラニカへの渡航を「チャリで行けた」と言ったり、彼女の行動圏内ではどこを抜けても街かジャングルであったマジェラニカの風土について、「雪が降ってた」と言ったりするなどといった言動が現れていた。しかも人の言うことを信じてしまいそうな人のよさを持つ相手を選んで、真顔で冗談を言うので結構始末が悪いといえば始末が悪い。他にもガイブに対して渡したお土産のパイナポゥを決して「パイナップル」と呼ばせようとしなかったり、かなり人を選ぶ物であるバロット（検索非推奨）を不特定多数へのお土産にしようとしていたりと、若干人で遊ぶようになった感はある。というかむしろ最近はそれが素とすら思われる。
　図書館で初めてサハギンの&amp;link_anchor(ドゥーラ,pageid=20){ドゥーラ}にであった時などは、謎のおみやげをあげてドゥーラを怒らせたり、一方で彼の考えに確かな言葉を投げつけたりするなどとにかく縦横無尽に立ち回ってみせていた。また、そのドゥーラに（というか魚に）会わなければならないとわめ……もとい主張する[[ミト&gt;プリンセス・ミト]]に対しても、他人が一歩引いて見ざるを得ない彼女に対してなんの物おじもなく食いつき魚談議で盛り上がるなどと、色々奔放さが目立つ。
　だが、一方で自分にばかり危険なことや恐ろしいことを背おいこもうとする[[クレハ]]に一言投げかけたり、他のシャルリシア寮生と同じく、同じ学園の仲間の命の危機に飛び込んでいくなど、決して自分勝手にやるだけの少女ではない。また、思想に思い上がりや偏りが見える相手に対しては、多少厳しいように見えつつも的確となる指摘を真剣な様子で行っており、状況や背景を自分なりに理解、判断し、そして自分の答えを導き出せる明晰な思考力はここにもいかされている。そして、その本質は、先述したとおり他者を思いやれる心にねざすことができているのではないだろうか。
　彼女の指摘はガイブには直接的に、そしてはたから見れば彼女に反目しているようにしか見えないドゥーラに対しても、その実影響しているようで、彼らはラピスに言われた言葉の意味について考えることは少なくないようだ。エルクレスト・カレッジに生まれ変わって戻ってきた彼女の行動と言葉が、誰かを変えることはもう遠い先のことはないかもしれず、実際、ドゥーラは彼女の指摘が、自分に考えていくことのきっかけをくれたと語っている。また、ガイブにとってもそれは同様であったが、ガイブが愚直ながらも切実な叫びで雷の羽の構成員たちを動かしたときなどは、彼女自身がガイブに教えられたと語っており、彼女もまた相手に指摘するだけでなく、相手からの言葉を受け止められているのだということをうかがわせる。

　ある程度補強されたとはいえ、体力という問題は未だ残るものの、師匠に教わった体捌きと支援の技で、例えば戦闘という場面においても仲間を強力にバックアップすることができ、特に人の身体能力を引き上げることに強大な効力を持つ彼女の魔術だが、とりわけ[[クレハ]]との相性はいい。今まで[[ジャック&gt;ジャック・アルマー]]や[[ミルカ&gt;ミルカ・ハミルトン]]に比べると打撃力という点で譲るところのあった[[クレハ]]の短剣と、すでにかなりの高レベルであったその行動力を一気に押し上げることを可能としており、これからはこの二人の連携がシャルリシア寮の切り込み戦術となるかもしれない。

　なお、どちらかといえばインテリ派であったかつての彼女だが、所属学部が使徒学部探索学科となっているのは、それを学ぶことで、大きな宝を発見できれば、それが自分を偉人として残すと考えていたからのようなのだが、上述の通り座学は好成績でも、実技はその運動能力の不足からまるで適正を残せておらず、それでもなおこの学部に固執していたラピスは、周りからはある種滑稽にも見られていた。しかし、留学後の彼女となってからはその華麗なまでの体捌きを手に入れており、実技にもちゃんと参加できるようにはなったようだ。
　なお体力の問題については、多少走り続けたりするとすぐに息が上がってしまうほどで、また身体的ダメージにも当然弱く、何かと膝を折ってしまいがちなところがある。だが、彼女はその体力の低さを言い訳にしない行動をよく行っており、例えあとで自分が辛い思いをするのが分かっていても、見守るべき友人が逃げてしまった時にはそれを追い、救い上げなければならない相手がいる時には瘴気に蝕まれてでもそれを行う、と、無茶と言えば無茶だが、それをやってのけるだけの気力は十分に持ち合わせているようだ。身体的には脆く儚い彼女がそんな強さを見せた時、思わず自分のことを振り返ってしまう人は少なくないらしい。
　ちなみに、相当な味覚オンチで、料理を食べる時は他の調味料を山盛りにして食べる性質があり、昔も今も周りの人間を若干引かせている。また、その時は服の裾の中からどこからともなく調味料を取り出すが、中に入ってるのはそれだけではなく、数々のお土産をはじめとして、明らかにその中には入りきらないものまで収められていたりする。どうやら彼女の持つ異次元バッグの効力のようなのだが、異次元バッグってそういうものだったっけ？と思わせられるなど、色々疑問は尽きない。しかし、彼女はやはりそんな周囲の戸惑いをどこ吹く風。今日も彼女は料理を前にし、タバスコをビンで裾から取り出しているのである。

　最近、マジェラニカの師匠からの贈り物（？）として、ファミリアの「ドゥさん」を取得した。イエティの姿をした彼はなぜかやたらとかっこつけた態度でよくラピスの肩上等に現れ、驚かれたり、攻撃されたり、スルーされたりしている。だが、どんな状況でも「悔しいけど、俺に夢中かい？」のキメ台詞と共にクール（？）に決める彼が一体何者であるのかは、登場当初は定かではなかった。
　だが、[[第十話Ａ]]での回想と、師匠の&amp;link_anchor(ナイル,pageid=25){ナイル}からの手紙により、彼（？）がかつてある実験の末に生まれたモンスターであり、ナイルの手にかかってその命を尽きさせるところを、彼女の懇願により救われた存在であることが明らかとなり、普段の言動からは想像できないような重い過去を背負っていることが分かったが、今日も彼はアイドルを自称し、ラピスを助け、そして隠れて砂肝を食べている。ラピスは、そんな彼のしたいままにさせたいと考えているのだろうか。

　また、[[第十話Ａ]]中ではその、師匠であるナイルとキルディアでの再会を果たしており、幾分不可解なことを語るナイルに対しても疑問を挟まず、そしてその教えを守ろうとするところを見せ、彼女がナイルへ大きな信頼を寄せていることをうかがわせていた。
　しかし、ナイルはラピスへ、自分の短命さからくる、自身の命への軽視について警鐘のような言葉を投げかけていたが、それについてはただ素直にうなずくことはできない様子であった。だが、そんな彼女に対し、ガイブ等多くの人物が、ラピスの命を守るためにできることであれば、全力で協力することを決心しているようでもある。だが、それを聞く彼女はまだ心晴れやかにはなれないようだった。
　後にまたやってきたナイルからの手紙で再度そのことに触れられたりするも、未だに明確な答えは返せないようであり、むしろ何か怯えるような、それについて深く考えることを恐れているかのような様子を見せている。そんな彼女に対し、ついにドゥさんが過去の事をとっかかりに、「かつての自分（ドゥさん）にラピスの姿を重ねていたのではないのか」と、その心の内に踏み込もうとするかのような行動に出たのだが、彼女はまるでそれを断ち切るような叫びのあとにテレポートで去ってしまい、まともに踏み込むことすらさせてはもらえなかった。
　だが、そんな中でも他人を気にかけることはやってみせて（あるいは、そんな状態だからこそ他人のことを気にしたのかもしれないが）おり、この件のしばらく後、上記にあるようにクレハが自分一人で苦難や秘密を抱え込もうとすることを知っていた彼女は、&amp;link_anchor(ダバラン・テレミナス,pageid=22){ダバラン}から謎の「不安」の存在を知らされた後、その時と同じように何かを抱え込んでいるようにしか思えなかったクレハを見て、その元を個人的に訪れて追求したのであったが、どうやら自分のことになると途端に意識の尺度が変わるらしいクレハに対しては、クレハが今皆に話さずにしていることがあるはずだということすら気づかせられなかった。そこで、彼女はおそらくあえて、「気づいてないならしょうがない」とあけすけなまでの笑顔を浮かべて見せ、逆に強制的に話題を断ち切って退出し、クレハの中に違和感を残した（そこまでやっても違和感止まり、ということでもあったが……）。
　しかし、その前にドゥさんから自身の心や考え方に踏み込まれることを拒否してしまった彼女が、[[クレハ]]にとって意図的なものではなかったとしても、同じく[[クレハ]]の抱えたものに踏み込もうとして弾かれてしまったことは因果なことであるかもしれない（もっとも、その後にレシィも[[クレハ]]に踏み込もうとして失敗したのだが）。

　その後はいつものように穏やかだったり、思いっきり人をいじくっていたりする姿を見せながら学園生活を行ってはいたが、[[第十一話]]においてエンザがシャルリシア寮生達の夢についてそれぞれ聞いていた時には、一度何かを答えようとしたものの、結局上述のことにまだちゃんと返せる答えがないからか、まるでごまかすように、夢についても保留で、と答えていた。
　だが、エンザはそんなラピスに対して優しく微笑むと、ラピスが以前「夢」として語ってくれた「できるだけ長く生きたい」ということが、決して間違いではないと思うということを語るのだった。彼女はそのことすら昔のことはもう覚えていないといい、まっすぐ受け止めようとはしなかったが、エンザはそれでも優しく言葉を続けていた。
　人は誰だって、生きていいのだと。
　かつてに何があっても、どのような生まれであっても、今をちゃんと生きていきたいという気持ちさえあるなら、それは価値のあること。
　彼女が、自分が生きていることに価値があることをわかってくれて、できるかぎりにでも、長く生きたいと強く思ってくれたなら。それこそがエンザの願いであり、そしてラピスの周りにいる、ラピスを信頼している人々の願いであるはずだとエンザは言った。
　自分の命の価値を認めること。それが、エンザが伝えたいこと……そして、ナイル達、彼女の周りの人々が、彼女へ伝えたいことであったのかもしれない。
　しかしそれでも、それを聞いたラピスは、頷くようなことはできず、うつむいていた。だが、エンザはそんなラピスを責めようとはしなかった。
　自身の人生、自身の命。そのことについて、エンザの理想は自身の中にある。だがそれでも、すぐに答えを出さなければいけないわけではないはずだと、考えていたから。
　しかし、時は非情だ。まだまだ己のことを、そして己を心配してくれる周囲の人々を理解していく時間が必要だったはずでありながら、[[第十二話]]にて、彼女は自分たちのためにエンザがその身を犠牲にするという事態に遭遇してしまう。
　彼女はまだ、自分の命が誰かの命と等しい価値があるということすら信じられていない。それゆえに、彼女はもはや普段の飄々とした態度を見せる余裕もなく、自分が死ねばよかったのだと叫ぶ。……自身の悲しみと絶望で染まってしまったそんな彼女には、彼女が生きていくことを支えたいと思っている人たちが多くいるということ、そんな思いをささげられているラピスの人生に、価値がないはずがないというエンザの言葉を受け取る余裕も、また無いようだった。そして彼女はある意味ミト以上にエンザをその場に残すことを拒んだが、今エンザを含めた人々を殺そうとしている存在なはずの&amp;link_anchor(バウラス・ジーク・スヴァルエルト,pageid=26){バウラス}ですら、その孤独から救わなければならないという言葉を受けたこともあり、途切れない絶望に打ち震えつつも、他のシャルリシア寮生達と共にその場を離れたのであった。
　しかし、シャルリシア寮生６人の中でも、この出来事がひときわ深く彼女の中に悲しみや絶望を与えていたようで、他の５人だけを逃がそうとしながらもバウラスには全く通用しなかったことがトラウマとなってしまったのか、他者を転送する呪文が使用できなくなってしまう。だが、その代わりと言うべきなのか、味方の攻撃にさらに威力を上乗せする呪文に目覚めており、深い悲しみが、彼女の中で「敵」への怒りを呼び覚ましてしまったのかもしれない。
　しかし、それでも彼女の中にはまだ、ナイルに救われたこと、そして彼の語ったことが残されているようだ。炎の使徒から逃れ、エルクレスト・カレッジに帰ってきた際には、&amp;link_anchor(ハナ・タウル・イヴィシル,pageid=24){ハナ}を相手に、例え今自分が許せなくても、誰かに対していいことができるよう心掛けながら生きていくことができたら、いつか自分を許せる選択肢が生まれるはずだということを自ら語っており、深い悲しみに包まれた途上ながら、自分の進んでいく理由は保持できているところを見せていた。……だが、そうしたことを語り、ハナの心を永遠の自己嫌悪から救い出すきっかけとなっていながら、彼女はあくまで、ハナから返される、ラピス自身の身を案じた言葉には空の表情で返すのだ。
　その後、自身の魔力消費を抑える代わりに、生命力を失ってしまう指輪を手にした際、その使用をハナからとがめられた際にも、ラピスはそうだった。もし、たとえそれほどのリスクを負ってでも、自身が魔術を存分に使用していく理由が「ミトに迷惑をかけるから」や「他の誰かを守れるから」だけではなく、「そうすることが、自分を含めた全員を最後に生き残らせるために必要な力のはずだから」あるいは、「自身に体力がなくても、それを守ってくれる仲間がいるから」という風に、例えば言ってくれたら、きっとその判断を信じることができるのに。他者を救う生き方に目覚め、それをしておきながら、[[その他]]者が自身を救おうとすることを認めず、その言葉を自身に関係ないものかのように受け流している。……それはひょっとしたら、あまりにも酷なことなのではないだろうか。
　シャルリシア寮生が進まなければならないことは理解し、それが希望だと信じた。しかし、彼女はこのまま、最後の戦いへ続く道への一歩を踏み出していいのだろうか。そのことを内心で危惧し続けている者は、多い。
　そしてついに、&amp;link_anchor(ティオルジュ,pageid=26){ティオルジュ}との決戦前夜に置いて、彼女が寄せ付けようとしなかった想いを持つものの一人であった、ガイブの想いがついに彼女へ直接向けられた。
　キルディアにおいて彼女に助けられ、励まされ、そして救われたガイブは、すでにラピスに対して単なる学友としてではない、深い気持ちを持っている。自分が傍にいるから、共に生きていこうと、心の奥の厚い感情をさらけ出して彼女へ語り掛けるガイブであったが、彼女は、本当は、他の人たちが自分のことを気にかけ、救ってくれようとしていることを知っていてもなお、その手を取ることはできないのだと告白する。
　……なぜなら、自分には決して、償いようのない罪があるからだ。
　無関心なのではなく、あくまで、彼女自身の人生を自由に選択させてあげようという気遣いから、彼女に関与してこなかった両親のことを誤解し……そして、マジェラニカへの留学の際、「代わりを生むのにはちょうどいいだろう」と言う言葉を投げつけ、それを怒った両親たちの反応ですら、半端に生まれた自分への憎しみだという解釈をしてしまったことに。
　そして今……それを謝ることができないままに、両親はすでにこの世にはいない。だから、自分の人生は永遠に失敗したままなのだ……彼女はそれゆえに、自分に対する救いを拒絶しようとするのであったが、ガイブは、ついに核心をさらけ出してくれた彼女をまるごと包み、支える覚悟を持ってその手の中に抱くと、それでもきっと、彼女の両親は彼女が自分の人生の価値を見つめて生きてくれることを願っているはずであり、そして、それを信じるために自分が傍にいることを語る。そのただ純粋でひたむきな愛の形に、彼女もついに、自らの人生を、ガイブのためにも救っていく決意をすることができたのだった……
　そうして戦いに赴く真の理由を得た彼女は、すでに自分はどうなってでも他のみんなは守る、ということを考えてはいない。精神体となる直前、もしもの時のために自殺するためのものだったナイフをガイブへ渡す、戦闘に入った際、自身を守ってくれるであろうミトに対して、それを自らお願いするなど、自分自身もまた生きのこって、そして必ず勝利することを決めたのであろう。
　その未来が、彼女に訪れるべきものであることを、今はただ願うほかはない……


　エルクレスト祭のアトラクションでは、決して学内でも力があるとは言えないはずながら腕相撲をすることを考えていたが、当然と言うべきか得意の身体強化術はバリバリに使用されており、&amp;link_anchor(シャルロッテ・イエミツ,pageid=21){シャッロッテ}をはじめ彼女をなめてかかった者達は全く警戒することなく腕相撲に挑んだ結果軒並み返り討ちとなっていた。実際そこまで理不尽だったかと言うと、力自慢相手なら魔術込みで互角程とと言ったところだったので難易度的には実はそこまで高い、というわけではなかったのだが、それでもやはり、勝てると思いながらあっさり返り討ちにされた層はたいそう悔しい思いをしたようである。
　人形劇では得意分野の分担と言うことで、人形を操るのはパートナーのレイスに任せ、自身は魔王「ディアマン」の演技担当となった……のだが、それが恐るべき謀略の始まりであり、なんと本番当日に魔王の禍々しさと主人公たちの悲壮さ、そして因縁を強化するためのシーンを勝手に導入するという暴挙を行っただけでなく、その急遽生まれたシーンの時点で台本よりも２～３倍ほど禍々しく恐ろしい魔王を演じており、劇の本来のムードを土台から壊しかねない行為を行っていた。その後もその余波か、様々なアドリブが生まれ、また魔王ディアマンも登場するたびに絶好調であったものの、主人公……というかレシィの必死の尽力もあってなんとかおおむねシナリオ通りの形で劇は終息し、〆ることはできたのだった。
　とやりたい放題やっていた感しかない人形劇中のラピスであったが、そのあまりのインパクトに劇全体のムードが崩壊しかけたとはいえ、追加したのはあくまでシナリオ本編の流れをより際立たせるための要素を持った部分であり、あまりに熱の入った魔王ディアマンの演技も、主人公に打ち倒される悪役としてはスパイスとなるものだ。
　エンディングはほぼ予定通りに迎えられたことも踏まえ、結果的に彼女のやったことは劇を盛り上がらせるためにはいい案だった……かもしれないが、魔王ディアマンがやられた後に魔王ディアマン第三形態まで繰り出そうとしていたらしいことに関しては残念ながら擁護不可と言えよう。

***職歴
メインクラス：アコライト（１～１０）→プリースト（１０～）
サポートクラス：バード（１）→メイジ（１～６）→セージ（６～８）→ガンスリンガー（８～９）→シーフ（９～１０）→サモナー（１０～１６）→ファランクス（１６～１７）→サモナー（１７）→ルーンマスター（１７～）

***ステータス
|最大ＨＰ：８４|最大ＭＰ：１３５＋（１００）|最大フェイト：２４|

|&amp;bold(){能力名}|&amp;bold(){基本値}|&amp;bold(){能力値}|
|筋力|７|（２＋０＋０）＝２|
|器用|９|（３＋１＋０）＝４|
|敏捷|４５|（１５＋０＋０）＝１５|
|知力|３３|（１１＋１＋１）＝１３|
|感知|９|（３＋０＋１）＝４＋２|
|精神|２４|（８＋２＋０）＝１０|
|幸運|９|（３＋１＋１）＝５|

***装備品・所持品・所持金
右手　　 ：ダンシングナイフ（重量２／回避判定＋２）
左手　　 ：ヘキサロッド（重量４／攻撃力＋４／行動－３／魔術判定＋１Ｄ）
総重量   ：６／７

頭部　　 ：飛燕の帽子（重量３／回避＋２／防御＋２／魔法防御－２／感知＋２）
胴部　　 ：ミスティックガーブ（重量７／物理防御＋６／魔法防御＋３）
補助防具：古代の指輪（重量１／行動－１／装備中ＨＰと消費コストを１に）※普段はしまってある
装身具　 ：真理の書（重量１／魔術判定直前にＭＰを５消費することでそのダイスを＋１Ｄ）
総重量   ：１２／３０

所持品　 ：異次元バッグ、爆撃符×２、ハイＭＰポーション×４、上位呪壁符×１、呪壁符×４、生命の呪符、ドレスブック、学園ローブ 飛燕の帽子
総重量　 ：１２／１７

所持金　 ：５００Ｇ

***スキル
ヒューリンスキル：《ハーフブラッド》（《アンプリファイア》）
使徒学部（探索）スキル：《サーチリスク》
法学部スキル：《トゥルースサイト》
学園スキル：《学園：図書委員会》
アコライトスキル：《ヒール》《フェイス：ゴヴァノン》Ｌ１《スロー》Ｌ１《テレポート》
シーフスキル：《バタフライダンス》
ガンスリンガースキル：《キャリバー》《カリキュレイト》
メイジスキル：《マジックフォージ》《コンセントレーション》《マジシャンズマイト》Ｌ５《フィジカルエンチャント》Ｌ５《マジックロック》
セージスキル：《エンサイクロペディア》《エルディダイト》《コンコーダンス》Ｌ２《ラーニング；エルダーマジック》
一般スキル：《コンボアタック：マジック》
ファランクススキル：《ファランクスタイル：知力》
バードスキル：《ディスコード》《アクセサリーチェンジ》
プリーストスキル：《パトロナイズ》《シーリィ》Ｌ３《ビジテイション》Ｌ５《ラース》Ｌ５《トランセンド》
ルーンマスタースキル：《アタックルーン》

***判定など
命中判定：４＝４＋２Ｄ
攻撃力：４＝４＋２Ｄ
回避判定：１５＋２＋２＋（１Ｄ）＝１９＋３Ｄ
物理防御力：２＋６＝８
魔法防御力：１１－２＝９
行動値：２１－４＝１７
移動力：１７＋５＝２２ｍ

トラップ探知：不可
トラップ解除：５＋２Ｄ
危険感知：５＋３Ｄ
エネミー識別：１３＋１０＋（＋２Ｄ）＝２３＋４Ｄ
アイテム鑑定：１３＋２Ｄ
魔術判定：１３＋３＋５（＋２Ｄ）＝２１＋４Ｄ
呪歌判定：不可
錬金術判定：不可

***コネクション
|&amp;bold(){コネクション間}|&amp;bold(){内容}|&amp;bold(){備考}|
|&amp;link_anchor(ナイル,pageid=25){ナイル}→ラピス|弟子|ラピスが自分の命を大切にしていくよう願っているらしい|
|&amp;link_anchor(ガイブ,pageid=19){ガイブ}→ラピス|信愛|一生を傍にいると決めた|
|&amp;link_anchor(レイス,pagei=21){レイス}→ラピス|親友|ラピスはボクのこと、本当によくわかってくれてる！|
|&amp;link_anchor(レイス,pagei=21){レイス}→ドゥ君|懐疑|イエティは敵だ！……けど、ラピスのファミリアならいいやつなのかな？|
|&amp;link_anchor(ドゥーラ,pagei=20){ドゥーラ}→ラピス|感謝|受けた恩を、いずれ必ず返すギョ！|
|&amp;link_anchor(ネフィ,pageid=22){ネフィ}→ラピス|部活仲間|いつも大変でしょうけど、応援してます|
|&amp;link_anchor(ハナ・タウル・イヴィシル,pageid=24){ハナ}→ラピス|心配|ラピスが私を許してくれるように、みんなだってラピスを許したいんだよ・・！|
|&amp;link_anchor(チーフ,pageid=19){チーフ}→ラピス|共感|内心、自身の境遇と似ているところがあり、自分に導けることもあるかもしれないと考えている|


***備考
フィジカルエンチャントは選択した判定に＋１０
[[第七話]]開始前にリビルドしている→[[一回目リビルド前&gt;ラピス・カルパンディエ（第六話終了時）]]
[[第十三話]]開始前に再リビルドしている→[[二回目リビルド前&gt;ラピス・カルパンディエ（第十二話終了時）]]
[[第十四話]]開始前に再々リビルドしている→[[三回目リビルド前&gt;ラピス・カルパンディエ（第十三話終了時）]]

※特殊裁定により、コンボアタック：マジックは《マジックフォージ》を開放していればメイジ以外のクラスでも使用可能とする。    </description>
    <dc:date>2018-04-14T20:38:42+09:00</dc:date>
    <utime>1523705922</utime>
  </item>
    <item rdf:about="https://w.atwiki.jp/sharlicia/pages/66.html">
    <title>ジャック・アルマー</title>
    <link>https://w.atwiki.jp/sharlicia/pages/66.html</link>
    <description>
      *&amp;bold(){ジャック・アルマー}

|プレイヤー：TEPPE|種族：ヒューリン|性別：男性|年齢：１７歳|所属学部：使徒学部（戦闘）|
|メインクラス：ウォーロード|サポートクラス：ドラグーン|キャラクターレベル：１８|成長点：２４００／２６９７|サブ学部：神学部|

***ライフパス
出自：人工生命　特徴：偽りの生命（キャラメイク時のサポートクラスのスキルを１つ獲得）
境遇：謎を求めて
運命：忠誠

***キャラクター
　本セッションＰＣ⑤。[[第二話]]からの登場。
　元ブルギニオン寮生であり、教員や上級生などの言う事は聞かず、授業はサボってばかりと、エルクレスト・カレッジの中でもかなりの問題児、いわゆる不良生徒として名をはせている男。誰に対してもそっけない態度を取り、まるで周囲を拒絶しているかのような彼であるが、その一方で自ら認めた相手とは比較的真摯に向かいあったりする一面や、決してそれを流布することはないが、彼の助けを必要とするものには力を貸すこともあるという一面もあり、決して他人の気持ちを全く考えられない不良、というわけではない。そんな彼がこの度シャルリシア寮のメンバーに加えられたという情報が流れた時、彼を知る多くの生徒は「なぜよりにもよって」と驚くのだが、そういった彼の一面を見てきた一部の生徒からは、一種の期待すらもたれているようだ。
　&amp;link_anchor(アルゼオ・ヴェルダース,pageid=22){アルゼオ}とはほとんどジャックが入学して以来、アルゼオがブルギニオン寮のプリフェクトであったころからの付き合いであり、アルゼオは何かと学園で敵を作りやすいジャックを直接的、間接的問わずサポートしてきた。そうしたアルゼオに対して、ジャックも彼なりの信頼や恩義を感じているようで、例えば彼がシャルリシア寮にやってきたいきさつは&amp;link_anchor(エンザ・ノヅキ,pageid=25){エンザ}とアルゼオにそのことを勧められたからなのだが、彼にとってそれを受諾した理由はアルゼオに頼まれたからというだけのことであり、教員であるはずのエンザから言われたことについては気に留めていないどころか、むしろ反抗しているといっていい。それはかなり徹底されており、基本的にエンザが体に触ってくることすら許そうとしない。どうやら根本的に受け入れられない様子である。そのせいなのか、[[クレハ]]が女湯の覗きに行った際、その前の会話でエンザがクレハに覗き行為を推奨していたのではないかと問う場面もあった。その内容自体についてははぐらかされてしまうものの、この話題自体は教師である&amp;link_anchor(ランド・グリーンヒル,pageid=25){ランド}の耳に止まってしまっており、結果的にエンザは後々痛手をこうむることになる。そこまでが彼の意図であったかどうかは定かではないが。
　その後、現シャルリシア寮のメンバーと顔を合わせた時も、自分より歳若いものぞろいの４人を見て「ガキのお守りか」ともらすなど、不敵な態度は変わらなかったが、実際にシャルリシア寮の一員として生徒から依頼を受けた時の彼の働きは決して他の４人に劣るものではなく、[[ブルギニオン寮]]のトイレでゴースト騒ぎが起きた時は自分から進んで飛び込むなどと言った姿も見せ、シャルリシア寮生としての目的を立派に果たすものであった。それはひょっとしたら自らを選抜したアルゼオの顔を立てるためであるのかもしれないが、こうした行動自体が、実は彼の性に合っているからなのかもしれない。
　そして、入寮当初こそかなり他の仲間に対してはぶっきらぼうな態度が多かった彼だが、シャルリシア寮の中でいくつかの依頼を受けていくにつれ、他の５人のことをある程度以上には認めるようになっているようであり、[[ミルカ&gt;ミルカ・ハミルトン]]のことはリーダーとしては認めているということを&amp;link_anchor(ダバラン・テレミナス,pageid=22){ダバラン}に告げており、[[ミト&gt;プリンセス・ミト]]についてもミト自身に高い守りの能力がある事を評価していると直接言ったり、また、戦闘の激化が予想される中で自分にも他者への攻撃を代わって受ける技術が必要だと感じた際には、戸惑うことなく教えを乞うなど、その関係は決して悪いものではない。
　キャンプ実習の際に&amp;link_anchor(セイ,pageid=24){セイ}が&amp;link_anchor(ドゥーラ,pageid=20){ドゥーラ}から一方的な言葉を浴びせられた時には、口にはしないものの確かな怒りをもってドゥーラにつかみかかるなど、他人の心情を推し量り、それに移入できる所もみせた。また、粗暴にも見える性格ではあるが、実は意外と細かなところまで気が回るようで、物事に対して考えもせずにあたる、ということはない。&amp;link_anchor(メンファ・リン,pageid=23){メンファ}から依頼が持ちかけられ、それをそのまま受けようとした一行の中で、事の成り行きに猜疑心を持って話を切り出したのも彼である。……もっとも、その時に限ってはあまりいい結果にはならなかったが。
　あと、寮内では[[ラピス&gt;ラピス・カルパンディエ]]達と一緒にジェンガを割と真剣にプレイしたり、キャンプ実習のレクリエーションで秘湯確保の順番がうやむやになった時などは仁王立ちで自分たちの勝利を主張するなど、勝負事となれば真剣になれる性格なのかもしれない。また、どうやらそういった中でも体を動かす物に関しては関心が高いようで、[[クレハ]]がツイスターゲームの説明をした際には一度やってみようと、唖然とした顔をするクレハを半ば強引にゲームに引きずり込んでいたりした。

　彼に対して&amp;link_anchor(ナタフ,pageid=24){ナタフ}から、「人の子のためにその身をささげる覚悟はあるか」という問いが投げかけられた時、ジャックはそれに「自分の行動で何かができるのであれば」と答えた。そのことは、後述のように、彼が自身のことを人工生命だからと自覚しているからなのだろうか？だとすれば、そこには自らの命を軽視する哀しい価値観と、それゆえに自身にできることを為すべきだとする使命感があるのかもしれない。そして実際、それに近いことを&amp;link_anchor(「赤い服の」マリー,pageid=25){「赤い服の」マリー}に指摘された際も彼はそれを否定することはなく、むしろ肯定に近い答えを返していたのだが、マリーに力を与える条件として、彼がその力で自身をも守り抜くことを誓わされており、その命を軽く扱うことが無いよう彼女に気にかけられていたのだった。

　エルーランにおいて王子である&amp;link_anchor(ハルー・イニス,pageid=19){メギアム}に対しては、いつもの姿からは想像できないほどの礼節を持った態度を見せていたことからもわかるように、彼は裕福な家の生まれであり、その後継ぎとなるにふさわしい教育なども受けてきているのだが、実は人工的に生み出された命であり、普段ローブで隠されている左腕は機械でできたものとなっている。彼は無用な混乱や勘繰りを避けるためか、あまり人の目にまざまざとそれをさらすことはない（たまたまジャックが利き腕を振るうところに居合わせた&amp;link_anchor(デアス・ヒム,pageid=20){デアス}には強く興味を持たれてしまったが）。また、母親のみの片親でありながら、まるで自分がその母親を破滅させる事を望んでいるかのような言動を取る事があり、家庭環境はかなり複雑であると思われる。
　[[第五話]]の時には、彼は何かの用事があるということでシャルリシア寮にはいなかったのだが、その際、彼は&amp;link_anchor(ディアロ,pageid=26){ディアロ}と名乗る謎のエクスマキナから剣の指導を受けていたようで、主にサムライの得意とする先鋒とそのための技を学び、さらにその戦闘力を上げていた。
　だがこの折、彼の生家であるアルマー家の使用人、&amp;link_anchor(フレイス,pageid=26){フレイス}の口により、その左腕はジャック自らが切り落としたものである事実が明かされている。どのような過去や決意があってそれだけのことにジャックを踏み切らせたのかは今はまだ知る由もないが、彼の環境と考え方からして、そのアルマー家がらみのことである可能性は高いのかもしれないと思わせた。
　そしてこの時のことは[[第七話]]において、彼が思い返す形で明らかとなった。
　エルーランの名家アルマー家当主、&amp;link_anchor(キャロル・アルマー,pageid=26){キャロル・アルマー}には子供がおらず、また夫にも先立たれていた。そこでアルマー家を継ぐべく生み出された人工生命がジャックである。彼は母によりアルマー家を継ぐにふさわしい「立派な人間」になることを生まれた時より求められており、そしてその母の妄執は彼の左腕に、彼が意にそぐわない行動をした時に彼に苦痛を与える呪印を生まれながらに刻むに至った。今よりももっと子供だった時の彼は母に素直であり、その理念をしっかりと受け継ごうとしていたようだが、そのような呪いともいえる想いを受けていては当然というべきか、成長するにつれ、彼はその呪印に縛られた自分という現状を肯定しなくなっていったようだ。そんな彼の思いは、ついに彼を痛みを伴う訣別の覚悟に踏み切らせるに至った。それが、彼自身が自分の左腕を切り落とした真相である。
　かつて母に覚悟と共に決別の姿勢を見せたジャックは、今母の影響下から離れ、エルクレストにいる。しかし、フレイスの登場により、今の自分とアルマー家には、まだつながりがあると言っていい状況である。まだ、終わっていないことはあった。
　そして、ミトやクレハの決意を受け、これからエルーランに向かう彼に、その自身の家との接触が予想されるということが&amp;link_anchor(サーニャ・リシア,pageid=19){サーニャ}や&amp;link_anchor(メディ・ペドウォール,pageid=21){メディ}の言葉などから言われており、それが果たして彼にとっての決着となりうることなのかどうか、その時点でそれを知る者はいなかった。
　エルーランにわたり、メギアムよりアルマー家が、ひいては母が、私益のために国家転覆を考える人物である&amp;link_anchor(ジャムル・ハイン・アルスタッド,pageid=25){ジャムル}とつながりがあるのではないかと聞かされた彼は、当初場合によっては自分の手で母を斬るとまで宣言し、出会う前から彼ら親子の再開は剣呑さをうかがわせたのだが、キャロルの心情を思うサーニャからの願いや考えををいくつか聞いたこともあってか、彼は実際に母と会話した際、彼女の独善的な思想を拒絶し、彼の強い意思は彼女の傷をあえて慰めようとするようなことは決してしなかったものの、家のためなら国の混乱も良しとするとまで口走った母に、その手を振り上げるようなこともまたしなかった。ただ、母の思想がそのままであれば、自分は今いるエルクレスト・カレッジ以上にアルマー家に居場所としての価値を見出すことはないということをキャロルへ告げ、彼らはまた別れたのである。二人の間にある溝は、一度の再開で決して埋められるものではなかったのだ。
　だが、その後もサーニャからキャロルの心情についての意見を聞き、またキャロルがジャムルを追い詰めることに協力してくれたという情報も耳にしたことがあってなのか、全てが終わった後、自分の見送りにわざわざ来たというキャロルが、それとは裏腹に自身を追いやるかのような言動をしつつも、最後に彼女の心からしぼり出たかのような小さく震える声で、しかし確かに自身の無事を願ってくれていた言葉を聞くと、彼もそれに応えるように、キャロルを「母さん」としばらくぶりに呼び、その身の無事を言葉で願っていた。たったそれだけのことではあったが、このことが、彼らにとっての一歩の証であると思いたいものである。親子が互いを理解をしあえないことは、幸せなことではないから。
　また、この時のことについては後にアルゼオより問いただされており、現状の考えを求められていたが、その時の彼の答えは「今はまだわからない」と言うことであった。しかし、かつては親を斬るとまで言ったことすらあるジャックが、まだわからない、と発言したということは、すなわち今後の自身と母との関係は、修復される可能性もあるということを示唆しているといってもいいだろう。少なくともかつてのことから親を拒絶していた状態になっていたころから比べるとかなり好転したと言ってもいいかもしれない。……もっとも、それこそジャックが言うように、今後キャロルが道を決定的に踏み外すようなことがなければだが。
　そしてその後、&amp;link_anchor(ティオルジュ,pageid=26){ティオルジュ}との決戦を前に、キャロルを気にかけるサーニャより、母へ近況を連絡してほしいという頼みを持ちかけられていたのだが、その時すでに書き上げてある手紙を懐から取り出しており、サーニャに言われるまでもなく、内心母のことは気遣っていたということがわかるのであった。
　しかし、サーニャの頼みを聞いた上でもなお、その手紙をそのまま母へ送るつもりはないようで、彼曰く、それをしたためたのは、自分たちが必ず勝利するという一種の願掛けのようなものであったらしい。最終的にはそれでも、何も知りえないままでいるのはキャロルにとって辛いことだと語るサーニャの言葉を受けてか、その手紙は&amp;link_anchor(フレイス,pageid=26){フレイス}へと送り、現在キャロルにとって一番近い場所にいる彼女によって、伝えるべきことであるのかどうかを判断しようとしていたのであった。

　ハートフルアンブレラ争奪戦（[[第三話]]参照）にて「赤い服の」マリーの魔力によって操られハートフルアンブレラのところまで導かれた後、あやうく彼女の恋人とされてしまうところであったが、シャルリシア寮の仲間達がマリーを退けた事により、その支配から抜け出した。マリー自体は逃げ出したことによっていまだ健在であり、正気を取り戻した後の彼も、彼女のことに関しては何らかの決心を固めているようだ。いずれ、この件の決着をつけるときが来るかもしれない。
　そして７不思議探索時（[[第六話]]参照）において、ついに彼は「赤い服の」マリーと再対面することになる。彼女の呼びかけに応じてその足を運んだジャックであったが、それは決して私怨などではなく、寮として受けた「七不思議探索」の目的と、そして彼女自身が自分を呼んだという事実のためであった。実際、ジャックは彼女と顔を合わせるも、敵意をあらわにするようなことはなく、冷静な態度で彼女の「学園に危険が迫っている」という忠告を受け入れていたのであった。かつてのことが清算できた、とまでは言えない対面ではあったかもしれないが、少なくとも、ジャックの方でその遺恨を引きずってしまうようなことはなかったようで、その後に更なる力を与える相手としても彼女を選び、結果彼女から渡された持ち主の思いでその姿形が決まる人形をファミリアとして渡された際、その姿がマリーにそっくりな形になるなど、むしろ今では信頼のおける相手として考えている節がある。そして、その時上述のように彼女の「ジャック自身を守るためにもその力を使う」という誓いを結ばされており、力の面でも心の面でも、彼女との結びつきは深くなったと言って間違いはない。

　[[第十一話]]においてシャルリシア寮生それぞれの夢についてエンザから聞かれた際、彼は様々なことを思いめぐらせていたようである。
　エルーランでメギアムの元、ジャムルの陰謀をくじくため活動していた時、彼は自身のいるべき場所を見つけた充足感に似た感情を感じていた。それはつまり、彼自身がメギアムという存在を、自身を従える者としての器であることを認めていたからだといえる。
　しかし、仮にそれを叶えるとしても、そのことは今の話ではないし、また、そもそもメギアムは順当にいくなら王として帰ったりするようなことも望んではいない。では、今の自分がすべきと思うこと。そのために生きていけたらいいと思うようなことは何かと考え、その答えは、「弱い者の力になる」ということであった。
　強者とされる力を持ちながら、それをただの暴力にはしない。その力を使うべき形で使っていく。それがジャックの決断であり、それを体現し続ける自分になることが、自身の夢なのだと、彼は考えていたようである。
　だが、彼はエンザにその内容は語らず、ただ「今は夢は決まっている」とだけ答えていた。そこで内容を語らなかったのは、エンザに話したいと思わなかったのか、あるいは性格的に夢を口では語れなかったのか。……しかし、エンザはそんな彼を追及したりするようなことはせず、ただ笑顔で、「協調性がないように見えても、他人のことをよく考えてくれている」とジャックのことを称するのだった。
　他人のことをよく考えている人、と言われて、ジャックは自分がそういう人間だとは思わなかったようだった。だが、エンザが言ったその言葉は、例えばただ「優しい人」ということを意味していたのではない。エンザが言いたかったのは、一見他人とあまりかかわりを持たぬようでいながらも、その実本当に互いの力が必要な時には、迷いなくその力を差し出してくれる人間である。そして、その「本当に必要な時」についてちゃんと考えてくれている。という意味だったようである。
　そしてエンザは、彼のことを長く見てきた今なら、そのことが確信できること、そして、そんなジャックだから、例え今、その夢について何も語ってくれなくても自分は安心できることを語る。今のジャックが、ちゃんと自分の生きる道、夢を見出していたというだけで、もう不安なことはないと、そう思っていたようだ。
　そう語るエンザの言葉の意味が、どれだけ彼に届いていたのかは定かではなく、ジャックはそのエンザの言葉にさらに言葉で返すこともしなかった。しかし、その話をしている間、ジャックのことを写すエンザの瞳が、翳りのないものであったことは確かだった。
　……そして[[第十二話]]にて、彼ですら抗いようのない&amp;link_anchor(バウラス・ジーク・スヴァルエルト,pageid=26){バウラス}の力を前にエンザが犠牲になることを選んだ時も、彼は別れの前に自身へ語り掛けるエンザへ、その感情や表情を大っぴらに見せるようなことはしなかった。しかし、ついにジャックの信頼を得ることが適わなかったことをエンザが悔いに感じていると語ると、彼はそれを否定し、エンザの人柄は確かにそりが合わない物ではあったが、いつでも生徒のことを思い、行動してきたエンザ・ノヅキという人物は、すでに認めていたことを答えたのである。その時、エンザがジャックから欲しかった答えはまさにそれであり、ここで自分の言葉を引き継いで、シャルリシア寮生を守っていってくれるであろうことに、そして彼が、最後に自分のことをやはり考えてくれていたことに、エンザは感謝していたのだった。
　そしてエンザと別れ、バウラスの元より逃れたあとも、彼は比較的大きなショックや悲しみは受けていないかのように振る舞い、エンザの生死についてもその覚悟は固めていた。……しかし、エンザが残した言葉にあった「&amp;link_anchor(エーエル・ラクチューン,pageid=26){エーエル}に会え」という指示についてよく口にし、皆の行動指針を再度確認していたのも彼であり、そこで自分のするべきことは悲しむことではなく、一人の人間が犠牲になってまで与えられた自分たちの未来を信じ、進むことだと理解していたのかもしれない。
　……学園に一度帰還することができてからも、寮の行動指針がエンザの残したその言葉によるものであることについては進んで口にする様子が見られる。また、その際にそれがエンザが「遺した」意志であることを強調、あるいは確認するような言動もいくつか見られていたが、それが自身以外のシャルリシア寮生達にも、エンザがまず間違いなく命を落としてしまったという事実を認めさせるためであるのか、それとも自分達が決して捨てることはできない言葉を受け継いだことを自らで確認するためであるのかなどは定かではないのだが、いずれにせよ、未だにエンザのことについては大きなダメージを残している感のある他の寮生達では語りづらいことを、自分が率先して語るべきだということなのだろう。……それはともすれば、彼はエンザの死についてを軽く考えている、という思われ方もするかもしれないが、彼がその事実について冷静にならなければ、人びとはシャルリシア寮生を余計に心配したかもしれないし、それに、エンザの言葉が今の自分達が行うべき道だと信じたものであることを認め、その道に挑むことこそ自分が力を鍛え続けて来た意味だったのかもしれないとまで&amp;link_anchor(エルヴィラ・アルディリケ,pageid=25){エルヴィラ}達の前で語った彼が、エンザの存在を今もなお軽んじているなどとは言えないのではないだろうか。……むしろ、ある意味では、彼が一番、エンザの残した意志を重く受け止めようとしており、そのためにシャルリシア寮生全体の進むべき道の、先頭に立とうとしているともいえるのかもしれない。


　エルクレスト祭でのアトラクションは「刹那の見切り」なるものを行っており、つまりは一定の合図に従って打ち合い、先に一打を与えれば勝ち、というものであったのだが、そもそもジャックは先手を打って攻撃を繰り出す技に長けているわけではなく、なんとそこを反撃の剣術でカバーするという仕上がりとなっていた。
　まさかのタイミングで奇跡的な魔術を放った&amp;link_anchor(シャルロッテ・イエミツ,pageid=21){シャルロッテ}と、もともとの実力に大きな差のあった&amp;link_anchor(ザムト,pageid=21){ザムト}の時はともかく、基本的にはジャックの得意分野と苦手分野をミックスしたようなアトラクションだったので、そこそこ緊迫した勝負が多かったようだが、問題は打ち勝った際の威力であり、アトラクション実行中、彼が一番気を使わなければいけなかったのは恐らくそこだと思われる。
　人形劇では主人公の陽気で気さくな親友、「クレス」の役を任されていたが、得意分野を分担するということでか、あるいはそのようなキャラクターはさすがに演じられなかったのか、自身は人形を操る役となり、演技はパートナに選んだ&amp;link_anchor(デアス・ヒム,pageid=20){デアス}に任せていた。やるとなれば結構真面目な彼らしく、練習も完璧と言えるレベルではあったのだが、本番当日ではラピスがかなり暴走気味であり、予定にないシーンや設定がいくつも生まれ始めるという「事故」に見舞われることになる。だが相方のデアスがうろたえる中、彼は「こうなったら逆らってもしょうがない」と早々に判断していたようであり、流転するステージに合わせつつ見事に人形を操って見せていたのだった。

***職歴
メインクラス：ウォーリア（１～１０）→ウォーロード（１０～）
サポートクラス：アルケミスト（１～５）→モンク（５～６）→サムライ（６～１２）→サモナー（１２）→ドラグーン（１２～）

***ステータス
|最大ＨＰ：１４３＋５０|最大ＭＰ：９０（＋１００）|最大フェイト：２５|

|&amp;bold(){能力名}|&amp;bold(){基本値}|&amp;bold(){能力値}|
|筋力|５５＋１５|（２３＋１＋１）＝２５|
|器用|２９|（９＋２＋０）＝１１|
|敏捷|９|（３＋２＋０）＝５|
|知力|７|（２＋０＋１）＝３|
|感知|８|（２＋０＋０）＝２|
|精神|３３|（１１＋０＋１）＝１２|
|幸運|９|（３＋０＋０）＝３|

***装備品・所持品・所持金
右手     ：ミストブレイド（重量１３／命中－１／攻撃＋１７（＋１０））
左手　　 ：スピリッツソード（重量７／命中＋１／攻撃＋１５（＋１０））
　　　　 ：フォースバックラー（重量１０／物理防御＋１１／白兵ダメージ＋２Ｄ）
総重量　 ：３０／６８

頭部　　 ：ライオンマスク（重量７／物理防御＋７／回避－２／白兵ダメージ＋５）
胴部　　 ：剛神の鎧（重量１５／回避－２／物理防御＋２２／行動－４／白兵ダメージ＋５）
補助防具：巨人の手袋（重量２／物理防御＋３／筋力基本値＋１５）
装身具　 ：竜爪の耳飾り（重量２／水属性ダメージ＋５）
総重量　 ：２６／６６

所持品　 ：バックパック（所持品重量＋５）、リムブースト：メタル×５、冒険者セット、聖水×２、ハイＭＰポーション×８、上位呪壁符×２、学園のローブ、爆撃符×２０、呪壁符×６、生命の呪符、ハイＨＰポーション×５、ハイＭＰポーション×８、勇気のホイッスル×２
総重量　 ：６２／６６
所持金　 ：１０Ｇ

***スキル
ヒューリンスキル：《コンバットマスタリー》
使徒学部（戦闘）スキル：《ハンティング》
神学部スキル：《ピューリファイ》
学園スキル：《学園：帰宅部》
一般スキル：《スタイル：ホウゲン》Ｌ１
ウォーリアスキル：《ボルテクスアタック》《スマッシュ》《シールドスラム》《バーサーク》５《ソードマスタリー》《カバーリング》《カバームーブ》Ｌ２《ブランディッシュ》《ストームアタック》
アルケミストスキル：《ファーマシー》《マシンリム：筋力》５《マシンアーマー》
モンクスキル：《インテンション》《インデュア》
サモナースキル：《ファミリア》
サムライスキル：《トルネードブラスト》《ディフレクション》Ｌ１《レイジ》２
ウォーロードスキル：《ツインウェポン》《クロススラッシュ》《アームズロジック：長剣》《ハイパーゲイン》《ファストセット》《オーヴァドライブ》《ファイティングロウ》《フルスイング》《ストームアタック》
ドラグーンスキル：《レジェンド》Ｌ５《レジェンドプラス》《イモータルブラッド》

***判定など
命中判定：１１－３＋２＋２＋４＋（２Ｄ）＝１６＋４Ｄ
攻撃力：５２＋１０＋２Ｄ＋２５＋１０＝９７＋４Ｄ
回避判定：５－４＝１＋２Ｄ
物理防御力：１１＋７＋２２＋３＋１０＝５３
魔法防御力：１１＋１０＝２１
行動値：７－５＝２
移動力：２＋５＋５＝１２ｍ

トラップ探知：不可
トラップ解除：１３＝１３＋２Ｄ
危険感知：２＝２＋２Ｄ
エネミー識別：２＋２Ｄ
アイテム鑑定：２＋２Ｄ
魔術判定：不可
呪歌判定：不可
錬金術判定：不可

***コネクション
|&amp;bold(){コネクション間}|&amp;bold(){内容}|&amp;bold(){備考}|
|&amp;link_anchor(アルゼオ・ヴェルダース,pageid=22){アルゼオ}→ジャック|支援|ジャックの特異性を認め、サポートしている|
|ジャック→&amp;link_anchor(アルゼオ・ヴェルダース,pageid=22){アルゼオ}|恩義|彼なりに恩や友情を感じているもよう|
|&amp;link_anchor(デアス・ヒム,pageid=20){デアス}→ジャック|約束|必ずジャック先輩の力になれるものを作り出します！|
|&amp;link_anchor(マルティン・カナール,pageid=22){マルティン}→ジャック|敵視|なんという態度だ！|
|&amp;link_anchor(「赤い服の」マリー,pageid=25){「赤い服の」マリー}→ジャック|興味|恋を知るための相手に選ぶ|
|&amp;link_anchor(ナタフ,pageid=24){ナタフ}→ジャック|関心|ジャックの考え方に何か感銘を受けた様子|
|&amp;link_anchor(フレイス,pageid=26){フレイス}→ジャック|希望|ジャックがいつか、主を救ってくれることを願っている|
|&amp;link_anchor(キャロル・アルマー,pageid=26){キャロル}⇔ジャック|親子|関係は複雑。今もまだ、懸念は多いが……|
|&amp;link_anchor(サーニャ・リシア,pageid=19){サーニャ}→ジャック|尊敬、共感|自分の道を真に自分の意思で定めたことを尊敬し、また自分と同じように誰かの役に立つための力を求めた事に共感している|
|&amp;link_anchor(エンジェ・ウィラン,pageid=22){エンジェ・ウィラン}→レシィ|祈り|シャルリシア寮生の中でも、自らの定めに抗い続け彼の未来が、光あるもので合ってほしいと願っている|

***備考
[[第三話]]、[[第五話]]ではＰＬ不在。
バーサークとスマッシュ同時適用時の攻撃力は１３６＋４Ｄ

[[第九話]]開始時にリビルドしている。→[[一回目リビルド前&gt;ジャック・アルマー（第八話終了時）]]
[[第十話Ｂ]]開始時に再リビルドしている。→[[二回目リビルド前&gt;ジャック・アルマー（第九話終了時）]]
[[第十四話]]開始時に再々リビルドしている。→[[三回目リビルド前&gt;ジャック・アルマー（第十三話終了時）]]    </description>
    <dc:date>2018-04-14T20:37:50+09:00</dc:date>
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    <item rdf:about="https://w.atwiki.jp/sharlicia/pages/65.html">
    <title>クレハ</title>
    <link>https://w.atwiki.jp/sharlicia/pages/65.html</link>
    <description>
      *&amp;bold(){クレハ}

|プレイヤー：タカ|種族：ヴァーナ（アウリル）|性別：男性|年齢：１６歳|所属学部：使徒学部（戦闘）|
|メインクラス：エクスプローラー|サポートクラス：バートル|キャラクターレベル：１９|成長点：２５０６／２７８１|サブ学部：使徒学部（探索）|

***ライフパス
出自：英雄　特徴：運命の申し子（フェイト＋１）
境遇：大きな夢
運命：名声

***キャラクター
　本セッションＰＣ③。
　冒険者の間で英雄とうたわれていた人物（&amp;link_anchor(キキョウ・アマザキ,pageid=26){キキョウ・アマザキ}）を母に持つのだが、クレハ本人にはそのことが重荷であったらしく、姓もほぼ捨て、逃げるように家を出て場末のホストクラブで働いていた。オレンジの髪、青い瞳に白い肌を持ったそこそこのイケメンであったことと、ノリのよさからか、その勤め先のホストクラブでは度々指名もされていたようだが、やはり一人で生きるのは大変であったらしく、労働に費やされる毎日には充実しないものも感じていた様子。だが、ある日突然現れたヴァーナの男（&amp;link_anchor(エンザ・ノヅキ,pageid=25){エンザ・ノヅキ}）に、学費全額負担でエルクレスト・カレッジに入学させてもらえるという話をされた彼は、自分が今まで十分に感じたことがなかった、かりそめでない本物の充実した時間、青春を存分に謳歌できると聞き、その話に飛びついたのだった（もっとも、周囲にはＮＯ．１ホストになるため、などとごまかしているようだが）。
　軽いが憎みきれない感じの性格をしており、[[第一話]]では入試前に[[ミト&gt;プリンセス・ミト]]を口説きにかかったのを初め、女性には積極的に軟派しにかかるが、試験中に口説いた相手（&amp;link_anchor(ハナ・タウル・イヴィシル,pageid=24){ハナ}）にはすでに想い人がおり、クレハの素質を見込んだ相手（&amp;link_anchor(フィシル・アリーゼ,pageid=23){フィシル}）にもすでに伴侶級の相手が存在する、などと、実は女運があまり良くないのかもしれない。むしろそのノリのよさと人情の固さから、入試以降は男相手のほうがある意味相性がよいような気も。特に、&amp;link_anchor(サイオウ・アマガシ,pageid=21){サイオウ}に恋の相談をされた際に、その軽いノリで快く相談を受け、数々の改善策などを提案した事から、彼からは深い信頼を得ているようである。……もっとも、彼がしたそのアドバイスの内容こそ、まさに「軽いノリ」ゆえのものであり、それがサイオウの想い人である&amp;link_anchor(シャルロッテ・イエミツ,pageid=21){シャルロッテ}相手に通用するとは思えないと[[ミルカ&gt;ミルカ・ハミルトン]]にばっさりと切られていたりしたが。
　……しかし、最近になって突然、シャルリシア寮生達の中でも特に彼にあからさまな行為を向けている&amp;link_anchor(リュミル,pageid=26){リュミル}と言う少女が現れ、急に女運がよくなったようではあった……のだが……

　そして、[[第五話]]では自身の悩みをシャルリシア寮に任せてしまっていいのか、負い目に感じていた&amp;link_anchor(アーゼス・ジェセン,pageid=20){アーゼス}に対して、「俺たちはマブダチだ」という言葉と共に、アーゼスの気持ちに共感し、またその力になることを自分から申し出ていた。元々、「マブダチ」という言葉はアーゼスから彼に半ば一方的に呼びかけていたものだった。だが、クレハはそれを、自分にとってもそうであると言い切ったのである。これがアーゼスにとってどれだけの励みであり、どれだけクレハへの感謝を募らせたのか、そのことははかりしれなかった。これも、クレハの本質、他人を思いやる心の表れであった。

　だが、軟派な性分自体は良くも悪くも相変わらずのようで、授業にはあまりマジメに取り組まず、可愛い女の子を見つければ声をかける、という学生生活を送っている。事の成り行きからハナ率いるＰＴと対戦することになった時は、戦いの最中にありながら自身の技をハナに見せ付けるかのように振るいつつ口説きにかかってたことについては、もはやさすがというほか無い。さらに、煩悩にも正直であり、今度出向く場所の近くに女湯があるとなればすぐさまその覗きのルートを調査し、そして仲間を募って実行に移す、といった行動も一部男子生徒から絶賛されるほど精力的に行うが、そういった行動の際は最終的に女性からの制裁を受けるのがほぼお約束になりつつあり、その後遺症としてまるで魂を砕かれたかのような姿の彼を見かけるのはあまり珍しくなかったりする。
　だが、ハナがエンザのことについて失意の中にいる時は、なんとかしてそんな彼女の力になってやりたいとするような真摯さと決意が見てとれ、ただ軽くて軟派なだけではない一面が顔を覗かせた。しかし、その一方でシリアスなムードの場にも焼きそばパンを持って駆け込み、病室でものを食べて注意されるなどということもしており、結局そういうところはかわらずのようだ。また、自身を慕っている態度を示すリュミルに対してツイスターゲームをさせることを忍びなく思っていたあたり、純粋に好意を向けられると逆に紳士になってしまうようである。
　その他、&amp;link_anchor(イッシー・ハッター,pageid=20){イッシー}やアーゼスの言葉につられてあっさりと学部や部活も決めてしまっているのだが、例え実際には女の子はほとんどいなかったとしても、その内容は彼にピッタリなので、これも運命というものであろう。最も、そうして入った陸上部では&amp;link_anchor(部長,pageid=22){部長}に特別目をつけられてしまったようで、連日部活というよりほぼ拷問に近いハードなトレーニングをやらされていたりするのだが、きっとこの経験がいずれ彼の窮地を救うのである。そういうことにしたい。
　だが、たびたびそのような目にあわされていながらも、その部長が危機にさらされているかもしれないとなれば誰に言われずともその助力に行こうとするといった行動もしており、クレハから部長に対しては一定以上の仲間意識……というか信頼はあるようだ。もっとも、だからこそなんだかんだで部長の指示には従っているのかもしれないが。
　そして、エルーランでの一件において、部長達を救うため彼は自らの意思で危険に飛び込んでおり、そして見事、その能力を役立てて事件を終結に導くための力となり、部長の危機をも救ったといえる。そうして彼の助力を受けた部長がクレハに優しく……なったのかといわれると、むしろさらに過酷になっているようにすら思える部長からクレハへのしごきを見る限りでは何とも言えないのだが、所々では部長がクレハのそんな行動を認め、感謝している様子ものぞかせており、また、エルーランから戻って以降、彼が部長の言葉を聞くときの姿勢が、以前よりもマジメ、というか真剣になったように思われる。彼の中でもまた、部長と言う存在について見つめなおすことがあったのかもしれない……が、最近では「走っていないと体が震えることがあるようになってしまった」などとも発言しており、影響を受けているというかむしろ浸食されているのではないかと不安に思われていたりもする。
　ちなみに、そんな部長のおかげで、今の彼はファミリアによる魔力供給を受けることができるようになっている。……が、そのファミリアは当の部長をミニチュアサイズにしたような姿であり、クレハが何か粗相をしでかそうとするとどこからともなく部長譲りの歩行音を響かせてクレハを恐怖させるという機能があるとかないとか。……もしそれが本当だとしたら、いよいよクレハの精神が心配だが、クレハの強い心ならどんな苦境も乗り越えてくれるはずである（そらし目）。
　何気に、[[レシィ&gt;レシィ・マナリス]]と行動を共にする機会が多いように思われる。冗談めきながらもレシィにパシリ行為を要求するような二人の間柄を傍から眺めていると、まるでいじめっ子といじめられっ子のように見えなくもない二人であるが、レシィが危機におちいった時にはいの一番にその身を心配し、危険なときは自分がレシィを守ることを宣言するなど、同じ境遇にいるうちに、絆のようなものが芽生えてきているようである。
　また、主に戦闘といった場面にとって、[[ラピス&gt;ラピス・カルパンディエ]]の習得している技とクレハの相性がいいため、このコンビが初登場となった[[第五話]]では今までとは見違えるほどの戦闘能力をクレハが誇るに至った。これからもその戦いの技が必要な時、この二人の連携がシャルリシア寮の先鋭をつとめていくことだろう。
　[[第九話]]においては自身と同じくピンチの状況にあったレシィの元に真っ先に駆けつけ、その体を呈して彼を守る戦いをやり抜いて先述の宣言を実行し、そしてさらに合流したラピスとの連携で攻勢に出て勝利を収めるといった状況があり、彼の中にある仲間への思いの強さとその力が示されていたといえる。

　ちなみに、彼が上述されている中にあるような軽い発言や行動をするのは、寂しがりやな自分の本性の裏返しでもあるらしく、また、エルクレスト・カレッジに入ったことについては、内心母の存在という重さにいずれ打ち勝ち、母を乗り越えるほどに成長したいという気持ちもあるようで、見た目からはわからないが、内面的にはかなり複雑なものを抱えているようだ。シャルリシア寮での所有物であるとはいえ、ハートフルアンブレラを使用することができるようになった後も、口ではそれを利用して女の子といい関係になろうとするようなことをいっておきながら、実際の所積極的にそういった行動をとろうとはしていないのは、彼がそれをサイオウらと同じく真の愛だと考えてはいないからなのか、はたまた、そうした彼の複雑さに起因する事なのだろうか。
　そして、また一方で、辛いことなどを自分一人で抱え込もうとしてしまう癖もあるようである。フードファイターバトル開催前後（[[第四話]]参照）より、ハナのこともあってかエンザの過去のことについてが気になっていたようで、彼はそれを探ることで、ついにエンザの過去の一端に触れることとなった。その場ではエンザの心境を推し量り、彼を許すといったクレハであったが、その後、[[第六話]]にて彼の母、キキョウによってエンザの過去についてを聞かされたあと、暗にその情報を仲間と共有するべきなのではないかと仄めかすキキョウに対しても、彼はその事実を自分だけで保持することを選んだ。
　それはともすれば寮の信頼関係の崩壊を招きかねないことであると彼が判断したからなのか、その理由は彼の胸の内ではあるが、そのような彼の行動はたまたまその場に居合わせていたラピスには見られており、その行動を「他の人をあまり信頼できていないのでは」と言葉をもらうことになる（去り際ではあったが）。だが、キャンプ実習後にはついにエンザ自らがその過去をシャルリシア寮生達に語ることとなり、彼もさすがに、自らそれを口にしようとするエンザをとめることはなかった。それを語る最中の彼の心中がどうのような想いであったのかを知る由はないが、その過去の内容を知ってもなお、他のシャルリシア寮メンバーはエンザを自分たちのハウスマスターとして置くことを受け入れていた。このことが、彼らをバラバラにしてしまうことはなかったようである。
　……しかし、彼は時折自らでも口にすることがあるほどに、「何かを抱えてしまう人の助けになりたい」という気持ちがかなり強いくせに、「自分の心配や不安は自分だけのことにとどめておきたい（自分の悩みなどそのくらいのことである）」と考えている節があり、最近では彼のそんな自己犠牲的な面に気づきつつある周りの人々が彼にそれを気付かせよう、あるいは自分が力になれると歩み寄ろうとしているところがいくつか見られる。エルクレスト祭の前日、先の発言のこともあってかラピスが、その日にクレハのもらした言葉を聞いてしまったがゆえかレシィが彼の元に直接やってきたことなどはまさにそのためだったと言えるだろう。……だが、そこで当の彼本人は「今自分の抱えていることなど隠していると思われるような程の事でもない」と思っていたらしく、その二人に対して隠しているようなことはない、と答えてしまっている。自分たちのことを信頼していると口にしたにもかかわらず、自分達からは信頼しているなら隠したりしていることを教えてほしいと言っているにもかかわらず、彼にそのような答えを返されたことが、ラピスとレシィに失望を与えていたことは察するまでもないと思われる。
　だが、その二人の後さらにやってきたミルカに対しては、彼女の師匠からの手紙の内容が、自身だけにとどめていた母からの手紙と同じく警告を発するものであったことが大きかったのか、彼もまた手紙の内容を明かし、対応策を検討し合っていた。また、その話の中でミルカに「いつか人を頼らなければいけない時がやってくる」ということを言われた時はそれを自身の中で考えるそぶりも見せており、多少なり彼のそういったところの解消が行われつつあるかもしれない。
　しかし結局、なぜラピスとレシィが失望の表情を浮かべたのかに関しては未だにわかっていないようである。要するに、彼がミルカには話して見せた「手紙の警告と状況の合致」についてのことを二人にも明かしてあげればよかったはずなのであるが、それに気づけないとなると、彼に必要なのは「自分の抱えているものを少しでも分け持ちたい」という他者からの気持ちを理解してあげることなのかもしれない。他者の思いと自分の思い。そこにある差は、はたしてそれほどのものであろうか？

　[[第十一話]]ではエンザよりシャルリシア寮生それぞれの持つ夢について聞かれており、その中で彼は「自分の目標の人物をより多く超えていくこと」であると語った。かつて彼は、ある一人の人間を目標にしてきたが、様々な人と関わり合い、絆をはぐくんできた経験の中、自分が越えたいと思えるほど尊敬できる人間は決して一人ではなく、むしろ多数にわたることに気が付いた。それらを目標にしていくことが彼は自分をよりよい人間にすることだと信じており、そしてそのためには例えば、「自分一人で抱え込んでしまうような人」の手助けをしていくことができたらと考えていることを、彼はエンザに答える。
　エンザは、クレハがそのように他者を救いたいと思う癖に、自分のことは軽視している人間であることを知っていた。だからエンザはそんな彼を抱き留めつつ、「わかるよ」と彼を一度肯定して見せたのだ。
　そしてエンザは言う。そんなクレハには、英雄の素質があるのかもしれないと。何故ならクレハは、他者のことを深く思いやり、そのやさしさで危険や苦難にも向かっていける存在だから。
　だが、エンザはクレハなら、「それ以上の存在」になれるはずだと続けて語った。そしてそのために必要なことは仲間と互いを信頼し、頼り合うことだと。そのエンザの言葉に、彼は頷いて見せる。
　しかし、そこで頷いてこそいたものの、彼がそこでエンザの口にした「信頼し合う、頼り合う」と言う言葉の意味を、彼がそこで理解していたわけではないに違いない。あの時レシィやラピスへ答えた時のように、その「信頼」はあくまで彼の視点でのものだった。
　英雄であった母親、そしてエンザに英雄以上の存在になれるはずと言われたクレハ。そんな彼に真の意味が届くことはあるのか、そして、彼はそれを受け止めるのかどうか……
　時は非情であり、それからほとんど時間もたたぬうちに、[[第十二話]]にて&amp;link_anchor(バウラス・ジーク・スヴァルエルト,pageid=26){バウラス}からシャルリシア寮生を救うため、エンザが犠牲となってしまう。エンザは彼との別れ際に、「自分の想いが他人の想い同様意味のあることだ」ということを伝え、それに気づいて進んでいけるなら、真の英雄になれるはずと語り、気丈な彼は悲しみに耐えてそれにうなずいてみせたのであったが、その実、大切な人間の一人をそこで失ってしまったショックはやはり大きく、自分に本当に英雄になれる素質があるのかどうか、道は見えないままであるようだ。
　しかし、&amp;link_anchor(アルゼオ・ヴェルダース,pageid=22){アルゼオ}の救出時に、アーゼス達が彼の力になると進み出て、他者を巻き込まないようにとする彼の傍にあえていようとしたこと、彼の辛さを察したラピスに、それを認め弱さを見せたことなど、彼は自分の中の本当の感情に寄り添おうとしてくれる人々を得つつあるのは確かだ。
　そして、エンザへの気持ちの重さゆえか、彼からかつて託されたナイフを扱えず振り回されてしまった時も、それを見抜きつつ、新たな技……身に付けた防具に自らの力を巡らせ、増幅させるファランクスの技術を授けることで気持ちを落ち着けさせ、戦闘力を含めてまた成長させてくれた、部長という存在もいる。
　そして、&amp;link_anchor(ティオルジュ,pageid=26){ティオルジュ}との決戦前、キキョウとの対話により、ついに彼は、自分が誰かに重荷を背負わせてしまっているのではなく、自分のしていることが他者にとっても誇ってもらえることであるから、皆その意思をもって、クレハの力になろうとしているのだということを理解する。そして、「英雄」と呼ばれるほどの存在とは、ただ一人で強くあろうとする者のことを指すわけではないのだという事も。
　……エンザがかつて語った、クレハは英雄以上の存在になれるという言葉。それは、クレハの生き方が、母のキキョウ以上にたくましく、思いやりに満ちた本質を持っているのではないかということを意味していたのかもしれない。そしてそれを進み……その傍に寄り添う他者の力をも信じることが、クレハを真に高めてくれるのではないかと。
　そう理解したクレハの瞳からは、迷いはもう消えている。どのような戦いであれ、自分と仲間、そして自分を信じてくれている人々の力を信じて戦い、そしてともに勝利をつかむ。
　そしてまた、学園内で笑って騒いで、時に守って。
　自分の心に嘘のない、青春を生きていく決意を、確かに固めたはずであった。

　エルクレスト祭のアトラクションではツイスターゲームを考案し担当しており、スポーツゲームの体を成しつつ、仕様上例えば異性と互いの身体が触れ合うことになっても仕方ないこの発案は、アーゼスからだけでなく彼自身でも自画自賛するほどのものであったようだが、それに興味を持った[[ジャック&gt;ジャック・アルマー]]を相手にテストプレイをやらされる、サイオウと&amp;link_anchor(シャルロッテ・イエミツ,pageid=21){シャルロッテ}にやらせるつもりが即座に蹴られて自分とサイオウでやるはめになる、など苦しみに放り込まれるような展開も多く、相応のリスクがあったものと結論づいている。
　人形劇の方では、主人公の親友役の「ミルト」を担当。そもそも台本の漢字が読めないという致命的なバカっぷりに、一時は配役自体が間違いだったのではとささやかれていたが、持ち前のまっすぐさを発揮し、寝る間も惜しんで訓練に励んだためにどうにか劇のマスターに成功している。キャラクターとしては主人公の憧れになるような人物という設定のため、渋くクールなキャラクターを演じて見せていたが、もう一人の親友役の「覗きに行こう」という意図を理解できないままついて行ってしまうなど若干ポンコツな部分も見せており、味のあるキャラクターとなっていた。


***職歴
メインクラス：シーフ（１～１０）→エクスプローラー（１０～）
サポートクラス：ファランクス（１～６？）→ダンサー（６？～１０）→サモナー（１０）→バンガード（１０～１８）→ドラグーン（１９）→バートル（１９～）

***ステータス
|最大ＨＰ：１２５|最大ＭＰ：９３（＋１００）|最大フェイト：２８（＋１）|

|&amp;bold(){能力名}|&amp;bold(){基本値}|&amp;bold(){能力値}|
|筋力|１０|（３＋０＋０）＝３|
|器用|３３|（１１＋２＋１）＝１３|
|敏捷|４４|（１４＋２＋１）＝１７|
|知力|６|（２＋０＋０）＝２|
|感知|２８|（９＋１＋０）＝１１|
|精神|６|（２＋０＋１）＝３|
|幸運|１２|（４＋０＋０）＝４|

***装備品・所持品・所持金
右手　　 ：バトルスライサー（重量４／攻撃＋８（＋３）／この武器攻撃によるダメージをスキルで減殺できない）
左手　　 ：飛影刃（重量５／攻撃＋１２（＋３））
総重量　 ：９／１０

頭部　　 ：蝶の帽子（重量２／回避＋２／物理防御＋２／行動値＋１）
胴部　　 ：コンバットクローク（重量６／物理防御＋２／回避－１／装備短剣の攻撃力＋３）
補助防具：俊足のブーツ（重量１／回避＋１／物理防御＋１／行動値＋１／[[第二話]]でのイベントにより回避と行動値にさらに＋１）
装身具　 ：コンビネーションリング（重量１／コンボ発生時命中＋３、ダメージ＋１０）
総重量　 ：１０／１０

所持品　 ：バックパック（所持品重量＋５）、ベルトポーチ（所持品重量＋２）、ＭＰポーション×２、ハイＭＰポーション×２、上位呪壁符×２、呪壁符×２、生命の呪符、シーブズツール、学園のローブ、勇気のホイッスル
総重量　 ：１１／１７
所持金　 ：０Ｇ

***スキル
ヴァーナスキル：《オーバーパス》《ハンティングアイ》
使徒学部（戦闘）スキル：《ハンティング》
使徒学部（探索）スキル：《サーチリスク》
学園スキル：《学園：陸上部》
シーフスキル：《ファインドトラップ》《アンビデクスタリティ》《インタラプト》《ウェポンフォーカス》《ダガーマスタリー》《バタフライダンス》《スペシャライズ：短剣》５《ランナップ》
ファランクススキル：《ランオーバー》《アーマーアデプト》Ｌ５
ダンサースキル：《ダンシングヒーロー》《フェザータップ》《サマーソルト》《エンカレッジ》
一般スキル：《コンボアタック：ウェポン》
エクスプローラースキル：《ピンポイントアタック》《ツインフェンサー》《フリッカースラッシュ》Ｌ２《トップスピード》Ｌ３《アフターイメージ》
バンガードスキル：《タイフーンドッジ》Ｌ３《フェイバリットウェポン：短剣》Ｌ５《ストームラン》
ドラグーンスキル：《グラスホップ》

***判定など
命中判定：１４＋５＋３＋（１Ｄ＋１Ｄ）＝２２＋４Ｄ
攻撃力：１１＋１５＋５＋４＋１５＋１５＝６５＋２Ｄ
回避判定：１７＋２＋２＋１－１＋（１Ｄ）＝２１＋３Ｄ
物理防御力：２＋２＋１＝５
魔法防御力：２＝２
行動値：１７＋１１＋６＋３＝３７
移動力：３７＋５＋５＝４７ｍ

トラップ探知：１１＋１０＝２１＋２Ｄ
トラップ解除：１４＝１４＋２Ｄ
危険感知：１１＋（１Ｄ）＝１１＋３Ｄ
エネミー識別：２＋２Ｄ
アイテム鑑定：２＋２Ｄ
魔術判定：不可
呪歌判定：不可
錬金術判定：不可

***コネクション
|&amp;bold(){コネクション間}|&amp;bold(){内容}|&amp;bold(){備考}|
|クレハ→[[レシィ&gt;レシィ・マナリス]]|裏切り|ダイスロールによる暫定的なもの|
|[[ミト&gt;プリンセス・ミト]]→クレハ|主人|ダイスロールによる暫定的なもの|
|&amp;link_anchor(フィシル・アリーゼ,pageid=23){フィシル}→クレハ|認める|踊りの才能を感じる|
|&amp;link_anchor(グゼー・ウィステル,pageid=23){グゼー}→クレハ|認める|一緒に遺跡潜ろうぜ！|
|&amp;link_anchor(アーゼス・ジェセン,pageid=20){アーゼス}→クレハ|友人|お前は……俺の本当の友達だ！|
|&amp;link_anchor(部長,pageid=22){部長}→クレハ|感謝|クレハのおかげで、自分の居場所を知れたと考えている|
|&amp;link_anchor(サイオウ・アマガシ,pageid=21){サイオウ}→クレハ|信頼|クレハは頼りになるな（コイバナ的な意味で）|
|&amp;link_anchor(マナシエ・バンガロック,pageid=20){マナシエ}→クレハ|感謝|色々あったけど……とりあえず、ありがとね！|
|&amp;link_anchor(「歌歌い」ウィルテール,pageid=25){「歌歌い」ウイルテール}→クレハ|感謝|思い返せば、いろいろ世話になったな|
|&amp;link_anchor(キキョウ・アマザキ,pageid=26){キキョウ}⇔クレハ|親子||

***備考
ダーククロスの命中は２５＋４Ｄ、ダメージは７５＋２Ｄ×２
[[第十四話]]開始時にリビルドしている。→[[リビルド前&gt;クレハ（第十三話終了時）]]    </description>
    <dc:date>2018-04-14T20:37:27+09:00</dc:date>
    <utime>1523705847</utime>
  </item>
    <item rdf:about="https://w.atwiki.jp/sharlicia/pages/64.html">
    <title>プリンセス・ミト</title>
    <link>https://w.atwiki.jp/sharlicia/pages/64.html</link>
    <description>
      *&amp;bold(){プリンセス・ミト（ミト・ナットー）}

|プレイヤー：唯利|種族：ネヴァーフ|性別：女性|年齢：１４歳|所属学部：神学部|
|メインクラス：ナイト|サポートクラス：ダンサー|キャラクターレベル：１９|成長点：２４０２／２６９２|サブ学部：使徒学部（探索）|

***ライフパス
出自：天涯孤独　特徴：孤独との戦い（器用基本値＋３）
境遇：天啓
運命：慈愛

***キャラクター
　本セッションＰＣ②。
　本名をミト・ナットーといい、イバラキという田舎の育ちなのだが、当時自分のことをエルーラン王国の王族の血を引く王女様だと思い込んでおり、それがきっかけでプリンセス・ミトと名乗る。しかし、そう言い張るも実際の所王族とは程遠い環境にいたため、当時より周囲からは白い眼で見られ、味方は両親ぐらいという孤独な日々を送っていたようだ。
　だがそんな彼女の元にある日突然、エルクレスト・カレッジの関係者を名乗るヴァーナの男（&amp;link_anchor(エンザ・ノヅキ,pageid=25){エンザ・ノヅキ}）が現れ、ミトを特別条件でエルクレスト・カレッジに入学させたいという話をされる。エルクレスト・カレッジに行けば自分を王女様にしてくれる白馬の王子様に出会えるといわれたミトは、喜んでその話に飛びつくのだった。
　そんなわけで王子様に出会うため、王女様になるためにエルクレスト・カレッジの特別入試試験を受ける彼女であったが、それらしいことがあったのはせいぜい試験前に[[クレハ]]にナンパされたくらい（しかも[[クレハ]]はすぐに他の女性にも声をかけていた）で、試験中は学内での名だたる各人から戦士としての素養を認められまくり、自身よりも格上の相手（&amp;link_anchor(イッシー・ハッター,pageid=20){イッシー・ハッター}）ですらも１対１で倒し、最終試験でも並の男なら尻尾を巻くほどの戦闘の技を見せ、パーティーの中心となるなど大活躍ではあるのだが、彼女の理想とは若干違った方向に評価されてきている感は否めないかもしれない。
　……だったのだが、エルクレスト・カレッジに入学した直後、なんでも神の啓示を受けたらしく、ポーションの力で人々を救う事が王女の役目だという価値観に目覚めてしまい、口調にしても以前にも増してイマイチ意思疎通が取れなくなってしまった感がある。
　そうした事情からか学部は神学部、部活はポーションをより効率的に使用できる術が学べる園芸部と決め、その変わりようにはイッシーや&amp;link_anchor(ダバラン・テレミナス,pageid=22){ダバラン}らも戸惑う他なかったが、戦士としての素養を生かして固く味方を守り、癒しの薬で味方をサポートする今の彼女の姿は、確かに今までの彼女よりも「王女」としての慈愛にあふれるものではあるかもしれない。……かもしれない。
　その命の恩人となってから（[[第二話]]参照）、&amp;link_anchor(ミリティス,pageid=19){ミリティス}とはとても仲良くなれたようで、園芸部部室ではミリティスがミトに大量の菓子と紅茶を振舞いながら、ツッコミ役不在でとにかく平和に談笑している風景がよく見られるようになった。また、それとほぼ同じ時期に「ハクバ」と名づけたラクダを購入し、シャルリシア寮生のためのパーティーに一緒に入場しようとするほどにかわいがっている。なんでも、彼女をいつか迎えに来る王子さまがもし白馬を持っていなくても安心なように。そして自らも白馬にふさわしい人物となるようにとの意味合いで購入し、飼育しているらしいが、ポーションと呪符で満載になったラクダに乗る王族が果たして王族らしいのかということについての疑問点は根本的に大きい。ちなみに、ハクバちゃんは人語を解し、会話が可能である。しかも結構大人っぽい。彼女がその特技を披露した時、学園内の森にて、学生たちから晴天を突き抜ける驚愕の叫びがこだましたのは無理のないことであった。
　なお、現在そのハクバちゃんは彼女による改造の末、錬金術の粋を極めた機械蟹、ライドニッパーと同等の能力を持つに至った。これも彼女なりの愛なのだと思われるが、突然体中を錬金術で施術されたハクバちゃんの心境や如何なるものか。
　ちなみに、普段からそのようなことを考え、王子様への理想を持っているせいなのか、自分を恋愛相手としていなくても求める男性像は高いようで、彼女曰く自身に傷をつけられない程度の力では男性として魅力的とはいえないとのことであり、それを聞かされ、また彼女の防御能力を体感させられた&amp;link_anchor(サイオウ・アマガシ,pageid=21){サイオウ}は素直に自身の力の不足に納得し、精進することを心に決めていた。……もっとも、本気で身構えた彼女に打撃でダメージを通すということは、サイオウならずともほとんどの人間にとってできることではないという気はする。
　「フードファイターバトル」開催（[[第四話]]参照）においてはポーション王女としてさらに成長すべく自室で何やら怪しい挙動を繰り返していたようだが、怪しすぎてシャルリシア寮の仲間ですらうかつに手が出せず、その依頼、そしてひいてはその次の依頼（[[第五話]]参照）には誘ってもらえず不参加となった。しかし、彼女はまた次の機会に、見違えるほどの成長を遂げてその扉を開けるのだろうと思われた。
　そしてダグデモア芸術週間が近づいたある時（[[第六話]]参照）、ついにその扉は開かれた。その中より現れた彼女は以前よりも遥かに身軽になっており、そしてなぜか「魚と出会わなければいけない」というよくわからない神託を授かっていた。前にもましてさらに謎の使命に燃えているミトに対して、周囲の者はさらに戸惑いを深めざるを得なかったが、ある意味同じくマイペースで、物おじしないところのある[[ラピス&gt;&gt;ラピス・カルパンディエ]]とはすぐ仲良くなれていたようである……が、彼女の奇行により事態の収拾がつかなくなってきたときに、容赦なくラピスのテレポートやファイアピラーで彼女が転送されるのも一種のお約束になりつつある。というか、その&amp;link_anchor(ドゥーラ,pageid=20){魚}に出会った際も遠慮なく飛ばされていた。
　だが、そのように不可解な言動や行動をしつつも、後に出会った&amp;link_anchor(ハルー・イニス,pageid=19){ハルー}に対して包容力のある態度で接し、その行いを優しくとがめるなどと、なかなかに人物のできたところも見せており、いざというときはいぜん頼りにはなりそうである。実際、彼女に対してよくなついており、そして彼女もその行動を優しく見守っていたと言える相手であるハルーがいなくなったことを知った時は、学園中を巡って彼を探そうとし、そして最終的に彼が危険なところに行こうとしているのだと知った時には、クレハや[[ジャック&gt;ジャック・アルマー]]よりも早く一番にその救出に向かうことを決めていた。その方向性があまりに独特ではあるが、強い責任感や思いやりも併せ持っているのだとうかがえる。その流れの後、一人彼女と会話することになったミリティスが語っていた「誰よりも勇敢で優しく、綺麗だ」という評価も、おそらく彼女のそういった面を見てのことなのだろう。
　そしてエルーランにハルー……メギアムを助けに行った際には、最初こそ彼に大きな衝撃を与えたものの、共に戦う中で戦力的にも精神的にも大きく彼を支えており、いつもどおり自身を将来のエルーランの女王とする思いはそのままながらも、それは将来のことであり、今&amp;link_anchor(アンナ,pageid=26){アンナ}が国民たちの希望のために必要な存在ならば全力でそれを守ってみせると言う度量の広さを見せ、そして、自分の求める理想のためだけに王族の命を奪おうとした&amp;link_anchor(ジャムル・ハイン・アルスタッド,pageid=26){ジャムル}に対してはメギアム以上にジャムルを糾弾し、ジャムルが優れた人間とはなりえないことを指摘するなど勇ましさもいつも以上だった。だが、その一方でメギアムに歌を求められたりその体をいわゆるお姫様抱っこで抱きかかえられた時には、赤面し恥じらうような様子を見せており、年相応の女の子らしいところがあることを覗かせた。……あるいは、この時すでにメギアムを異性として意識していたのかもしれない。
　全てが終わった後、メギアムの口から彼女が王族ではなく、存在を疎まれて破滅に追いやられたというあるネヴァーフの貴族の生き残りであるという衝撃の事実が語られることとなり、自分がエルーラン王族の血を引いていると信じていたからこそ、王女として強く正しく、皆を守る道を歩み続けてきていた彼女の価値観が大きく揺らがされることになってしまったが、すかさず駆けつけた（流暢な人語を話す）ハクバと、その事実を彼女へ伝えたメギアムのそれぞれの説得を受けたことにより、彼女は自分の信じていた王女としての生き方が、自分の血筋に左右されうるものではなかったことを悟ったことでそのショックから立ち直り、改めて自身が描いていた女王としての生き方を貫くことを決意する。そして、その上でメギアムが彼女を王女にふさわしい心持つ人だと認めたことの、また、彼が一生を共に生きたい相手として思っていることの証となる、エルーラン王家の家紋が入っている指輪を渡されて彼の告白を受けると、彼女は自分もそこまで自分のことを認めてくれるメギアムのことがいつからか気にかかっていたことを告白し返し、二人は結ばれることとなった。
　その次の[[第十一話]]ではミリティスにその関係を祝福されたり、エルクレスト祭の学園準備でも積極的に行動を共にしたり、一緒にコンサートを鑑賞したり（……そのコンサートは[[ソフィア&gt;ソフィア・ファガニーニ]]のものだったが……）しており、彼女ら二人は互いにとても充実した日々を送っていると思われる。しかし、その一方で彼女の周りである「不安」が姿を現し始めたことを真っ先にメギアムに報告に行くなど、危機の可能性を共有しようとする気持ちもしっかりと見せていた。
　これからも、彼女はその王女としての生き方を目指す故、危険はその身に降りかかってやってくるだろう。だが、これからはそんな彼女のことを誰よりも認め、そして誰よりも彼女の無事を願ってくれている人が彼女の傍にいることを、忘れないでいてほしい。

　[[第十一話]]にて、エンザよりシャルリシア寮生全員へ「今の夢は何か」ということを聞かれた際真っ先に返答しており、そこで彼女はかつての「王女になる」と言う夢がこれからの努力でかなうものとなったこと、だからこそ、「よりよい王女」になることが今の夢であると答えていた。そんな彼女に対してエンザは、巡り会えた大切な存在が彼女の意識を推し進めてくれたのだろうと考えており、最初のころのようにただ夢だけを道しるべにしていたころに比べると、かなり安心でき、また頼もしく思える存在に彼女がなったことを語る。そしてその上で、エンザはその大切な人のためにも自身もまた大切にするよう、と言ったのであったが、これに対し彼女は強くうなずき、また、自身の信頼するシャルリシア寮生の仲間も一人も欠けてはならない存在であり、それを護っていくことを宣言していた。
　その答えが、エンザにとってどれだけ嬉しく頼もしい言葉であったか。エンザにとって大切な者の１つ、ミト自身の命だけでなく、同じくエンザにとって大切な他のメンバーの命をも守り抜いて見せるという彼女の気高い心に、エンザは彼女をシャルリシア寮へ連れてきて本当によかったと語るのだった。
　……しかし、[[第十二話]]においてエンザがシャルリシア寮生達を見逃す代わりに、自身の命を狙えと言ったことにより、「自身の信頼する仲間を守る」という誓いを果たせなくなってしまったことにショックを受ける。もちろん、彼女もまた自分達の敵として立ちはだかったバウラスの強大さは理解しており、またエンザとはいえバウラスにかなう見込みはない以上、そこで誰か一人でも守る手段が自分にはなかったことは理解していただろう。しかし、それでも彼女は、彼女の目指す「王女」の存在は、誰か一人でも犠牲になることを認められず、エンザに生還を約束させたのだった。……例え、それが絵空事だったのだとしても。
　エンザと別れてもなお、彼女は６人のうち誰よりもエンザの生還を信じ続けており、自分達を殺そうとする追手が来るかもしれないという状況にもかかわらずその場で待つことを提案したり、ラピスがエンザは死んでしまったということを口にした時は、いつも堂々としている彼女らしかぬ剣幕でそれを否定したほどであったが、ジャックとの会話などもあってか、時と共に、エンザはもう帰ってこないということを少しずつ認めるようになっていく。そしてついにエルクレスト・カレッジに帰還したところで再会し、自分のいたらなさゆえ、王女としてのアイデンティティを揺らがせてしまったと自らの心の内をうちあけたメギアムから、自分もまた、自身の力のなさで救えなかった人がおり、しかし、それでもその過去を踏まえて未来へ進んだことは無駄ではないと考えていること、そして、エンザも命を賭してミト達に「進む」ことを願ったのではないかということを聞くと、彼女はメギアムに深く感謝していたのだった。……この時ようやく、彼女の中には「今よりももっといい自分になれると信じ続けてほしい」という、エンザの言葉をもう一度受け止める余裕ができたのかもしれず、同時に、エンザの身に最悪の事態が起こっていた場合の覚悟も強くなったのかもしれない。

　そして、&amp;link_anchor(ティオルジュ,pageid=26){ティオルジュ}との最終決戦を迎えた今、彼女はなんと今、この状況を幸運だとすら語れるようになっていた。
　異世界を１つ滅ぼした魔族と、学生の身で戦わなければならない。とても、普通の人には預けられないほど困難なことであろうが……自分なら、自分たちなら、戦い勝利できると信じられる。
　仲間にシャルリシア寮生達を得、心から信頼できる人にメギアム達を得、そして、今度こそ、何一つ失わないという決意に立ち上がることができた自分だからこそ、この戦いに挑むものでよかった。
　そう語ったミトの気高さは、その時メギアムをもってでなかったとしても、まぎれもなく王女の、人を慈愛で守り、進んでいこうとする者のそれであったといえるだろう……（その直後の「In my heart」が理解できるかはともかく）

　なお、彼女がかつて持っていたフォーリントマホークは、故郷を出る際母親から送られた、ミトが王族の血を引くものであることの証という紋章がついた特別製らしいのだが、その真偽がどうかを確かめる間もなく、ポーション王女の使命に目覚めてしまったミトにとっては不要なものになってしまったもよう。実の所、彼女もあまりこだわっていたわけではなかったのかもしれない。
　しかし、上述のメギアムから告げられた事実の証明となったのは、彼女がネヴァーフであり、彼女の育った地イバラキが、その貴族の一族が最後に命を失ったとされる海岸線に近いこと。そして彼女の持つ、その紋章の刻まれたフォーリントマホークが、その貴族があらかじめ携帯し自分たちの家紋を入れていたものであるということがわかったことにある。それが知られた今、そのフォーリントマホークはもはや彼女にとって王族であることの証明ですらなくなってしまったが、真の親の形見であることが改めて分かったともいえる。彼女はその斧を、今後とも大切に保管することにしたようだ。
　ちなみに、彼女を育てたイバラキの両親は、彼女の出生については何も知らない。ただ、ある日島の海岸線にその斧と共にたった１人で流されてきた赤子の彼女に並々ならぬ背景があることは感じており、それを自分が王女だと信じることにつなげることで、彼女が元気に前を向いて生きていけるのならばそれが何よりだと、そう考えていたらしい。

　エルクレスト祭のアトラクションではポーションの入っている瓶を当てる場所当てリドルを行っており、直前のラピスのアトラクションでその身体強化魔法の餌食となった&amp;link_anchor(シャルロッテ・イエミツ,pageid=22){シャルロッテ}の自信をいい具合に取り戻させるなど難易度は妥当なものであったが、ハズレの液体によりもよって味覚の死んでいるラピスが用意したドリンクなどを混ぜていたため、危険度はさりげなく６つのアトラクション全体の中でも低くなかった。
　人形劇では王女の自負があってか、ヒロインとなる「エル」役を担当。素が素なのと、ラピスによる冒頭からのシナリオ改変の余波で、思わず傍から見ればコントらしい展開になることもあったがそこは根は真面目……というか本人自身にとってはいつも大真面目の彼女らしく、ヒロインとしてやるべきシーンはきっちり演じて見せ、主人公と共に何とかシナリオを当初の予定に近い形で終わらせることに一役買っていたのだった。
　なお、もともと防御力と精神力を中心とし、能力がもはや人間離れしつつあることに定評のある彼女であったが、[[第十四話]]で異世界の存在との戦闘を繰り広げた際、他のメンバーが全員「VR」という異世界の機械の力をその身に纏う中、彼女に残されていたVRの固有恩恵とデメリットが彼女の能力とほぼミスマッチしていたこともあってか、一人だけその力に頼らずに、行動するだけで負担を強いられる異空間の中を戦い抜くという偉業（？）を耐え抜いており、「プリンセス・ミトは異世界の機械の中を生身で戦い抜ける」という、王女というか、言ってしまえば戦術兵器のような称賛が贈られることとなったのであったが、異世界の力に頼らず、自身の力でしかと１０人全員を守りきれた彼女は満足なようであった。

***職歴
メインクラス：ウォーリア（１～１０）→ナイト（１０～）
サポートクラス：カンナギ（１～２）→アルケミスト（２～４）→グラディエーター（４）→チューシ（４～５）→モンク（５～７）→シーフ（７～８）→バートル（８～９）→ガンスリンガー（９～１０）→バード（１０～１２）→ダンサー（１２～１４）→ヒーラー（１４～１５）→ドラグーン（１５～１６）→プリーチャー（１６～１７）→セージ（１８）→プリーチャー（１９）→ダンサー（１９～）

***ステータス
|最大ＨＰ：１３０＋５０|最大ＭＰ：９５|最大フェイト：２４|

|&amp;bold(){能力名}|&amp;bold(){基本値}|&amp;bold(){能力値}|
|筋力|１９|（６＋２＋０）＝８|
|器用|１４|（４＋１＋１）＝６|
|敏捷|３３|（１１＋１＋１）＝１２|
|知力|６|（２＋０＋０）＝２|
|感知|７|（２＋０＋０）＝２|
|精神|４６|（１５＋１＋１）＝１７＋２＋２|
|幸運|１５|（５＋０＋１）＝６|

***装備品・所持品・所持金
右手　　 ：誓いの剣（重量８／命中－２／攻撃＋１５／物理防御＋１０）
左手　　 ：クマーラの盾（重量１５／命中－３／物理防御＋１５／魔法防御＋１０）
総重量　 ：２３／３７

頭部　　 ：なし
胴部　　 ：なし
補助防具：誓いの指輪（騎士）（重量１／物理防御＋５／他に誓いの指輪の装備者がいる時、カバー時ダメージ－５）or天狗の下駄（重量２／回避－１／物理防御＋３／魔法防御＋２／行動＋１／ダイスを振って効果を求めるアイテム及びスキル効果に＋１Ｄ、シナリオ３回制限）
装身具　 ：豊穣の花冠（重量１／精神＋２）
総重量　 ：３／３７

所持品　 ：ハイＨＰポーション×６、ハイＭＰポーション×８、呪壁符×３、爆撃符×７、上位呪壁符×３、上位爆撃符×２、万能薬×４、飛翔符×３、勇気のホイッスル×３、強心丹×４、蘇生薬×２、理力符（火）×２、理力符（風）×２、理力符（地）×２、理力符（光）×２、理力符（闇）×２、理力符（水）×２、生命の呪符×１、火酒×１、異次元パック（所持重量＋１０）、ベルトポーチ（所持重量＋２）、ライドニッパー（所持重量＋３０、騎乗すると物理防御、魔法防御＋５され、さらに水中の制限を受けない）、学園のローブ、ウェポンケース（ＩＮ：酔いどれの斧）、特製ポーションホルダー（クラス制限が撤廃されたポーションホルダー）、フォーリントマホーク
総重量　 ：５８／７７

所持金　 ：０Ｇ

***スキル
ネヴァーフスキル：《ラーニングポーション》
神学部スキル：《ピューリファイ》
使徒学部（探索）スキル：《サーチリスク》
学園スキル：《学園：園芸部》
ウォーリアスキル：《ボルテクスアタック》《アイアンクラッド》Ｌ１《カバーリング》《カバームーブ》Ｌ２《エンラージリミット》《オートガード》
カンナギスキル：《リフレッシュ》《ウィッチドクター》《チャネリング》《セイクリッドダンス》Ｌ１
アルケミストスキル：《ファーマシー》《エリクサー》《マグニフィケーション》《シンセサイゼーション》《ポーションピッチ》
グラディエータースキル：《サヴァイブ》
チューシスキル：《フードレシピ》《フードアロマ》《フードトラップ》
ヒーラースキル：《ハーバルロア》《アロマフラッド》
モンクスキル：《インテンション》《インデュア》Ｌ１《マインドアデプト》
バートルスキル：《ウィンドセンス》《クイックドリンク》
シーフスキル：《ファインドトラップ》《バタフライダンス》
ダンサースキル：《ダンシングヒーロー》《エンカレッジ》《フェザータップ》《サマーソルト》
バードスキル：《ディスコード》《アンプロンプチュ》《シルヴァリィソング》《アクセサリーチェンジ》
ガンスリンガースキル：《キャリバー》《カリキュレイト》《ラストアクション》
プリーチャースキル：《ガードオーラ》《イミュニティ：転倒》
ナイトスキル：《アラウンドカバー》Ｌ３《ファイナルガード》《スティールクラッド》《ハイパーシールド》
ドラグーンスキル：《イモータルブラッド》《グラスホップ》
セージスキル：《ラーニング：リンメルコーティング》
プリーチャースキル：《エンデュランス》
ダンサースキル：《ダンシングヒーロー》
***判定など
命中判定：５－２－３＝０＋２Ｄ
攻撃力：１５＋１０＝２５＋２Ｄ
回避判定：１２＋１＋（１Ｄ）＝１３＋３Ｄ
物理防御力：３０＋１５＋１＋１０＋５＝６１＋５
魔法防御力：１８＋１２＋１０＋１５＋１０＋５＝７０＋５
行動値：１４＝１４
移動力：１４＋５＝１９ｍ

トラップ探知：（３＋１０）＝１３＋２Ｄ
トラップ解除：５＋２Ｄ
危険感知：２＋３Ｄ
エネミー識別：３＋２Ｄ
アイテム鑑定：３＋２Ｄ
魔術判定：不可
呪歌判定：１８＋（１Ｄ）＝１８＋３Ｄ
錬金術判定：５＋２Ｄ

***コネクション
|&amp;bold(){コネクション間}|&amp;bold(){内容}|&amp;bold(){備考}|
|ミト→[[クレハ]]|主人|ダイスロールによる暫定的なもの|
|[[ミルカ&gt;ミルカ・ハミルトン]]→ミト|血族|ダイスロールによる暫定的なもの|
|&amp;link_anchor(ダバラン・テレミナス,pageid=22){ダバラン}→ミト|認める|戦士の素養があると認める|
|&amp;link_anchor(イッシー・ハッター,pageid=20){イッシー}→ミト|友|友よ！|
|ミト⇔&amp;link_anchor(デュフェール,pageid=19){デュフェール}|部活仲間||
|ミト⇔&amp;link_anchor(ミリティス,pageid=19){ミリティス}|部活仲間|ミリティスにとっては命の恩人でもある|
|&amp;link_anchor(サーニャ・リシア,pageid=19){サーニャ}→ミト|祝福|主との関係を祝福している|
|&amp;link_anchor(ハルー・イニス,pageid=19){メギアム}↔ミト|恋仲|共に人生を歩む相手として誓った|
|&amp;link_anchor(レイス,pageid=21){レイス}→ミト|興味|新種の生物疑惑を持っている|

***備考
※現データは誓いの指輪（騎士）装備時。
このキャラクターが使う、効果をダイスを振って求める種別がポーション、及び呪符のアイテムの効果は＋（１３＋１Ｄ）される。
[[第二話]]開始時にリビルドしている。→[[一回目リビルド前&gt;プリンセス・ミト（第一話時）]]
[[第四話]]、[[第五話]]ではＰＬ不在。
[[第六話]]開始時に再リビルドしている。→[[二回目リビルド前&gt;プリンセス・ミト（第三話終了時）]]
[[第八話]]開始時に再々リビルドしている。→[[三回目リビルド前&gt;プリンセス・ミト（第七話終了時）]]
[[第九話]]開始時に再々々リビルドしていたようだが、能力値と職歴のみのため割愛
[[第十四話]]開始時に再々々々リビルドしている。→[[五回目リビルド前&gt;プリンセス・ミト（第十三話終了時）]]    </description>
    <dc:date>2018-04-14T20:37:09+09:00</dc:date>
    <utime>1523705829</utime>
  </item>
    <item rdf:about="https://w.atwiki.jp/sharlicia/pages/14.html">
    <title>ミルカ・ハミルトン</title>
    <link>https://w.atwiki.jp/sharlicia/pages/14.html</link>
    <description>
      *&amp;bold(){ミルカ・ハミルトン}

|プレイヤー：シロフク|種族：ヒューリン|性別：女性|年齢：１４歳|所属学部：魔法学部（召喚）|
|メインクラス：ソーサラー|サポートクラス：サモナー|キャラクターレベル：１９|成長点：２４９２／２７６９|サブ学部：法学部|

***ライフパス
出自：放浪者　特徴：旅の知識（エネミー識別＋３）
境遇：師匠
運命：渇望

***キャラクター
　本セッションＰＣ①。
　かつて師事していた召喚士の師匠のような、偉大な魔道士になるためにエリンディルを一人で旅していた少女。だが、いつもどおりに旅を続けていると、まるで彼女を待ち伏せしていたかのように現れた、エルクレスト・カレッジの関係者を名乗るヴァーナの男（&amp;link_anchor(エンザ・ノヅキ,pageid=25){エンザ・ノヅキ}）に、一人で自分を高めるよりも、多くの人物と一緒に高めた方が得られるものがある、という説得を受け、そのための手段としてエルクレスト・カレッジへの入学を提案される。そして、彼女にとってエルクレスト・カレッジは師匠が評価していた場所であった、ということもあり、ミルカはその提案を受けたのだった。
　この若さで一人旅をしていただけあって、確かな知性と、誰を相手にしても曲げる事の無い意志の強さを持つ。それゆえか、悪漢に因縁をつけられていた[[レシィ&gt;レシィ・マナリス]]の助けに入って彼から尊敬の眼差しを向けられた事に始まり、試験中も価値観の違いによる不毛な言い争いを続ける二人（&amp;link_anchor(マゼット,pageid=21){マゼット}と&amp;link_anchor(ガイブ,pageid=19){ガイブ}）を冷静な意見でなだめ、両者から署名を得る、その知性あるたたずまいや魔術の技を各部長（&amp;link_anchor(マルティン・カナール,pageid=22){マルティン}と&amp;link_anchor(ジェス・ミン,pageid=24){ジェス}）から評価され、勧誘を受けるなど、早くも人から一目置かれる存在になっていた。だが、一方でその強い意志は、やや融通が利かないという事も表しているだろうか。
　[[第九話]]においては、たとえ危険な要素を持つルイネーターであっても、それを誰かに咎められようとも、自身が正しいと思えたことなら迷いなくやり通すことができる彼女の思いが特に力となったと言え、&amp;link_anchor(セイ,pageid=24){セイ}が自身の境遇を乗り越えることができたのは、そんなゆるぎない彼女のことを信じることができたからだといえる。
　そして[[第十話Ａ]]においても、マゼットは心の奥でそんな意志の強さを持った彼女に信頼を寄せており、それが彼女に雷の羽を離反させる決定的要因となっていた。彼女の振舞いは、彼女自身が意図しているかどうかはともかく、多くの者へと影響を与えているようだ。

　エルクレスト・カレッジに入学し、シャルリシア寮生の身になってから早々、シャルリシア寮のプリフェクトとして就任することになり、早くも学内で頭角を表しつつある（実際の所、彼女がやりたがったというよりは、他に任せられそうな相手がいなかった、という理由も大きかったようだが）。
　癖のある人物が揃っているシャルリシア寮の生徒代表となるのは決して楽な事ではないと思われるが、それでも、依頼があった時はメンバーの中心となって応対する。シャルリシア寮でも最も問題児であるといえる[[ジャック&gt;ジャック・アルマー]]に対しても積極的に友好の態度を取る。など、外部的にも内部的にも、プリフェクトとしての責務を十分にこなしている、といえるだろう。&amp;link_anchor(サイオウ・アマガシ,pageid=21){サイオウ}が[[クレハ]]に、どう考えてもその通りにしたら悲惨な結末が待っているだろうという内容の恋のアドバイスをされていたところに居合わせた時も、それを見かねて、結果的に自分もサイオウの相談に乗っていたことや、エルクレスト祭の出し物を出すための実技棟をシャルリシア寮に奪われたとほとんど理不尽に迫られた時はなるべく最大限譲歩できそうなラインを提案するなどの行動からはプリフェクトにふさわしい細やかな気配りや思いやりがあることが見て取れると言えるだろう。マルティンが初対面の時より、いぜんとして全幅の信頼を寄せるわけである。
　活動においても戦闘においても中心的存在として活躍する姿を認められたのか、「フードファイターバトル」の終了後（[[第四話]]参照）において、&amp;link_anchor(リウ・ケーア,pageid=26){リウ}にはシャルリシア寮を今後も纏め上げる人物となってほしいと言われたが、この時彼女はそれにはっきり応えるほどとなっており、意志の強いその気質がうかがえた。エルクレスト祭に開催に当たり、かつてお世話になったキルディアの仲間たちをシャルリシア寮生を代表して招待するなどの行動も行っており、もはや誰もが認めるプリフェクトであろう。
　現在はシャルリシア寮内で考えても、[[レシィ&gt;レシィ・マナリス]]から信頼されているのはもとより、ジャックにもリーダーと認められていて、[[クレハ]]も追求の結果ついに自身が抱えている懸念についてを語り共有するなど、隋一の求心力を持つ存在となっている可能性が高く、意見や助言を求める相手に対して的確な言葉を贈ったことも数多い。エンザも太鼓判を押した、そんな彼女が率いていくシャルリシア寮がどのようになっていくのか期待したいところである。
　また、そうしたこともあり、学内の人物はミルカに対して、教師生徒を問わず基本的に高評価を送っており、人気は結構高いようだ。……もっとも、それが面白くない人も中にはいるようであり、またどういうわけか、&amp;link_anchor(シズナ・ミナモリ,pageid=22){シズナ}にはやけに嫌悪……よいうか敵視されてしまっているようである（後に、シズナは自身にない考え方で人々を救っていくミルカを認める気持ちと、認めたくない気持ちが織り交ざっていたのだと発覚した。詳しくは彼女の項目を参照）。

　彼女の師匠について。彼女が教えを受けていた師匠、&amp;link_anchor(ライベル・ウィド,pageid=26){ライベル・ウィド}は、ファミリアとは人間の友であり、あらゆる苦楽を共にする存在であるという意見を持っていた。ミルカはその考えを受け継いでおり、彼女にとってトッポは、種族や存在の違いといった垣根を越えた永遠の友である。自分の意思を確かに持つミルカは、例え自分より各上の召喚術師（&amp;link_anchor(イーニス・ジェセン,pageid=25){イーニス}）に対しても、そのことを譲らず、真っ向から対峙して見せた。&amp;link_anchor(アーゼス・ジェセン,pageid=20){アーゼス}に対して揺らぐことなくその協力を決めたのも、彼女の経験と師の言葉が、その道が決して間違いでないと彼女自身に教えてくれていたからだろう。
　しかし、イーニスは、師匠の存在をまるで逆に話した。彼はファミリアを自分の力を高めるための道具だと考えていたと。これについては、イーニスがその師に出会ったと時とミルカに出会ったときで、その考え方を変えていたからなのだが……そのことを、ましてや、それが何故であるのかを、今のミルカは知る由もなく、いずれエルクレスト・カレッジにライベルがやって来る時を待つほかはないようだ。

　[[第十一話]]においてエンザより、彼女の夢について聞かれたのだが、エンザはそう聞き始めていながらも、もはやエルクレスト・カレッジに入学する前から、「何も変わっていない」と称した。だがそれは、エルクレスト・カレッジの中でミルカに成長がなかったという意味では決してなく、ただ自分の意思と心、そして信頼している者達のことを信じ貫き通すという生き方を、彼女がずっと曇らせることなく保持してきていることへの評価として、エンザはそういったのである。
　他人を信じ頼ることも、信じられた他人を支えることもできる。エンザにとってそれができることは、人と人が力を合わせる時においてそれを最大限に発揮できる要素であるらしく、そのような生き方を高いレベルで完成させている彼女がシャルリシア寮のプリフェクトであることを、何よりも安心していたようである。
　ちなみに、そんな彼女が「夢」として答えたのは「もっと多くのものを見に行くこと」だったが、それはそんなに難しい夢ではないかもしれない、とも考えていたようだ。日々生きることが、常に新しいことに触れていくことであり、そこでどう行動していくかは常に挑戦。……特に日々を様々なシチュエーションで過ごしている彼女達シャルリシア寮生においては、そういうことなのかもしれない。
　しかし、その後[[第十二話]]において、エンザは自らの命を賭してバウラスを引きとめる選択をし、彼女達とエンザに別れの時が訪れてしまう。それが最後と覚悟した語らいの中で、エンザは彼女がエンザの理想とした、「自分も、自分の周りの者も信じ、信頼していける」という生き方を実践してくれていること、そして、そんな彼女がシャルリシア寮のプリフェクトとして、寮生をまとめてくれていることを感謝した。そして、それらを聞く彼女の表情は、泣いていない。そして、悲しみや絶望に脅かされてもいなかった。それは彼女にそう感じる心がなかったのではなく、おそらく、当に命を賭さなければならない状況にあるエンザが、彼女達がなすべきこと、希望があると言ったことを信じ、ならば、エンザは自分たちが進んでいく決意を見たいのだと理解したからこそではないだろうか。
　そして彼女は、エンザの懸念した「シャルリシア寮生として希望を託される」ことが彼女の望んでいた「自由」を束縛しているのではないかという懸念も否定し、自分もまたすべて、自分でするべきだと、そうしたいと思えたからやっているのだと答えて見せた。そのミルカの姿はエンザにとってまさに理想であったようで、彼女との会話の後、バウラスに向かうエンザの顔は、なぜか喜びが見えていたのだった。
　……そう。彼女はずっとそうだった。その相手が何を求めているのか理解しようとし、そしてそのために歩み寄ろうとすることを止めなかった。
　だから彼女は、&amp;link_anchor(アルゼオ・ヴェルダース,pageid=22){アルゼオ}の救出に向かおうとするときも、炎の使徒の追撃から帰還した後に、生徒達が事情を知りたいとやってきた時も、自ら進んで何があったのかを説明し、そして、人々の「力になりたい」という気持ちを大切にしようとしていた。そして、心の魔、&amp;link_anchor(ティオルジュ,pageid=26){ティオルジュ}との決戦前に自らの師、&amp;link_anchor(ライベル・ウィド,pageid=26){ライベル}と再開し、これからの戦いに迷いがないかを聞かれた時も、動物王の予言を盲信しているわけでもなく、師の教えと自身の意志で決断したうえで、信頼が鍵となるならば、自分たちが負けるはずはないと迷い一つなく言い切ることができており、
ンザがシャルリシア寮生に望んだ、「自分と自分の仲間を信じ、互いに手を差し伸べて助け合う」という信念を、彼女はもっとも理解し、そして信じられていると言っていいかもしれない。
　

　なお、ファミリアはハトのトッポ君。ミルカ曰く「中までチョコたっぷり」であるらしく、果たして普通のファミリアであるのかどうかは疑問が残るが、ミルカのプリフェクト仲間である&amp;link_anchor(フィシル・アリーゼ,pageid=23){フィシル}には可愛いと気に入られているようだ。ちなみに、鳴き声は「トッポー」であるとか。

　エルスクレスト祭におけるアトラクションではコインを使用したリドルゲームを行っており、ミトのものと比べると難しめでシャルロッテをもくだしたものの、理不尽感のあるようなものではなかったため好評だったようだ。また、人形劇では主人公たちを舞台であるキャンプ場に連れて来た引率の先生、「エルザ」としての役を担当。本来要所要所で場面を進行させる程度の出番しかなかったはずであるが、[[ラピス&gt;ラピス・カルパンディエ]]が冒頭でシーン創造をやらかした際に、「魔王と正面から対峙し、主人公たちを救い出した」というかなり強キャラ的な設定がついてしまい、本来主人公の友人二人のみがお供となるはずのラストシーン近くの展開でも同行して、雑魚のギルマンを何度も何度もはたき倒しつつ、主人公をかっこよく送り出すなど活躍していた。……正直当初の配役ではミルカと言う人材をあまりに重要度の低い役に割り振っていいのだろうかと言う懸念があったため、これに関してはこれでよかったのかもしれない。
　[[第十四話]]での&amp;link_anchor(ユエル・ケルフィン,pageid=26){ユエル}との会話によると、彼女がシャルリシア寮生で最も成長していると感じているのはレシィであるらしい。確かに、自分に自信を持てず、まるでいつもこちらの様子をうかがうかのように接してきたレシィの姿が記憶にある彼女にとって、今の自ら進んで仲間を守るために立ち上がるレシィの姿は、大きな成長を遂げたように感じられるだろう。そしてそれはおそらくシャルリシア寮生全員の総意であり、彼女は、自身の目で判断したレシィの評価が、他者に対しても間違いのないものであると確信できていたのだといっていい。その堂々たるところが、プリフェクトとしてあらしめるところであるか。

***職歴
メインクラス：メイジ（１～１０）→ソーサラー（１０～）
サポートクラス：サモナー（１～１０）→プリーチャー（１０～１３）→プロフェッサー（１３～１４）→セージ（１４～１７）→サモナー（１７～１８）→ドラグーン（１９）→サモナー（１９）

***ステータス
|最大ＨＰ：５８|最大ＭＰ：１５０（＋１００）|最大フェイト：２７（＋１）|

|&amp;bold(){能力名}|&amp;bold(){基本値}|&amp;bold(){能力値}|
|筋力|１２|（４＋０＋０）＝４|
|器用|９|（３＋１＋１）＝５|
|敏捷|２１|（７＋０＋０）＝７|
|知力|４５|（１５＋２＋１）＝１８|
|感知|２８|（９＋１＋０）＝１０|
|精神|１３|（４＋１＋０）＝５|
|幸運|１５|（５＋０＋１）＝６|

***装備品・所持品・所持金
両手　　 ：ケセドの杖（重量１０／攻撃＋８／魔術使用時ＭＰ５消費でその効果＋１０）
総重量   ：１０／１２

頭部　　 ：神獣環（重量５／物理防御＋５／魔法防御＋４／行動－４／サモナーの魔術の効果を＋８）
胴部　　 ：ヴァニッシュローブ（重量５／回避－１／物理防御＋５／魔法防御－５／魔術攻撃＋１０）
補助防具：護りの指輪（重量１／回避＋１／物理防御＋３）
装身具　 ：理知の宝玉（重量１／セットアップにＭＰを３消費することで、ラウンド終了まで行動値＋知力）
総重量   ：１０／１２

所持品　 ：ＨＰポーション×１、ＭＰポーション×３、冒険者セット×１、ハイＭＰポーション×６、生命の呪符×１、万能薬×１、学園のローブ、上位爆撃符×１、理知の宝玉、異次元バック
総重量　 ：１８／２２

所持金　 ：１０Ｇ

***スキル
ヒューリンスキル：《プロヴィデンス》
魔法学部（召喚）スキル：《アニマルエンパシー》
法学部スキル：《トゥルースサイト》
学園スキル：《学園：風紀委員会》
一般スキル：《トレーニング：知力》
メイジスキル：《マジックフォージ》《コンセントレイション》《フォースブリンガー》５《マジックブラスト》《センスマジック》
サモナースキル：《ビーストペイン》５《ビーストハンター》５《ハイサモナー》《サモン：アラクネ》１《サモン・シームルグ》１《アニマルパクト》《マジックサークル》《テリトリー》
プリーチャースキル：《ガードオーラ》《ウィルパワー》《ドラゴンストライク》
ソーサラースキル：《ランニングセット》《アンプリフィケイション》４《ダブルキャスト》２
プロフェッサースキル：《パワーブースト》１《マジックハンド》
セージスキル：《エンサイクロペディア》《ウィークポイント》《エフィシエント》１
ドラグーンスキル：《イモータルブラッド》

***判定など
命中判定：５＝５＋２Ｄ
攻撃力：８＝８＋２Ｄ
回避判定：６＋１－１＝６＋２Ｄ
物理防御力：２＋５＋５＋３＝１５
魔法防御力：５＋４－５＝４
行動値：６＋１０＋２－４＝１４
移動力：１６＋５＝２１ｍ

トラップ探知：不可
トラップ解除：５＋２Ｄ
危険感知：９＋２Ｄ
エネミー識別：１８＋３＝１９＋２Ｄ
アイテム鑑定：１８＋２Ｄ
魔術判定：１８＋（１Ｄ）＋（１Ｄ）＝１６＋４Ｄ
呪歌判定：不可
錬金術判定：不可

***コネクション
|&amp;bold(){コネクション間}|&amp;bold(){内容}|&amp;bold(){備考}|
|ミルカ→[[ミト&gt;プリンセス・ミト]]|血族|ダイスロールによる暫定的なもの|
|[[レシィ&gt;レシィ・マナリス]]→ミルカ|あこがれ|やっぱり冒険者をやっていた人は違うなぁ|
|&amp;link_anchor(ライベル・ウィド,pageid=26){ライベル}⇔ミルカ|師弟||
|&amp;link_anchor(ガイブ,pageid=19){ガイブ}→ミルカ|感心|しっかりした人だ|
|&amp;link_anchor(マルティン・カナール,pageid=22){マルティン}→ミルカ|感心|風紀委員会で才能を役立てて欲しい|
|&amp;link_anchor(シャルロッテ・イエミツ,pageid=21){シャルロッテ}→ミルカ|対抗心|我がシェフィールド寮の方が由緒正しき寮ですわ！|
|&amp;link_anchor(フィシル・アリーゼ,pageid=23){フィシル}→トッポ|愛玩|可愛いわね|
|&amp;link_anchor(シズナ・ミナモリ,pageid=22){シズナ}→ミルカ|信頼|自身を否定した相手ですら思いやって見せたミルカに感服している|
|&amp;link_anchor(アーゼス・ジェセン,pageid=20){アーゼス}→ミルカ|信頼|ファミリアを大切にする気持ちを信頼|
|&amp;link_anchor(セイ,pageid=24){セイ}→ミルカ|信頼|誰よりも信用できる相手だと思っている|
|&amp;link_anchor(ラグル,pageid=25){ラグル}→ミルカ|感謝|セイを救ったことを大きく評価している|
|&amp;link_anchor(マゼット,pageid=21){マゼット}→ミルカ|友人|今現在において、ほぼ唯一の完全に心を許した相手である|


***備考
ビーストペインは命中：１８＋４Ｄ、攻：７７＋８Ｄ（＋１０、＋知力、＋２Ｄ）
アラクネは２Ｄ＋１０（＋１０）    </description>
    <dc:date>2018-04-14T20:36:59+09:00</dc:date>
    <utime>1523705819</utime>
  </item>
    <item rdf:about="https://w.atwiki.jp/sharlicia/pages/71.html">
    <title>最終話</title>
    <link>https://w.atwiki.jp/sharlicia/pages/71.html</link>
    <description>
      &amp;bold(){&amp;big(){&amp;color(red){アリアンロッド・トラスト最終話}}}
----
***今回予告
　自身を信頼してくれる人々の力を借り、ついに心の魔、ティオルジュとの決戦に挑んだシャルリシア寮生達。だが、その感覚共有によりティオルジュの能力を打ち破ったかに思えたのもつかの間、ティオルジュはその弱点を見破ると、シャルリシア寮生と生徒達をつないでいた、エーエルの魔力による鎖を断ち切ってしまい、シャルリシア寮生達は、その支えを失ってしまった。
　もしこのままあの時の……初めてティオルジュに出会った時のような状態になってしまえば、もはや勝ち目はない。そしてティオルジュは今こそ、君達を屈させ、侵食を行おうとしているのだ。
　君達は、どうするべきなのか？……いや。
　君達は、全ての手段を失ったのか？
　そのように思いたくもなるかもしれない。でも、君達の人生には、最後の最後まで、残っているものはある。
　この、全てが犠牲者となってしまう運命を受け入れないために。
　人の心と言葉に応えるために。
　自分の人生の価値を誇るために。
　そう、私達は。

　アリアンロッド・トラスト最終話「We trust…」。
　君が望むべき全てが、君を待つ。
----
***登場人物
▼ＰＣ
[[ミルカ・ハミルトン]]
[[プリンセス・ミト]]
[[クレハ]]
[[レシィ・マナリス]]
[[ジャック・アルマー]]
[[ラピス・カルパンディエ]]

▼ＮＰＣ

----
***セッション内容
　&amp;link_anchor(ティオルジュ,pageid=26){ティオルジュ}の異空間にて、シャルリシア寮生達が戦いを繰り広げていたその頃、学園の外では、シャルリシア寮生達の肉体を奪取しようとするゴブリン、ヴァンパイア、魔族の混成軍に対し、エルクレスト・カレッジの関係者たちが必死の防衛戦を行っていた。
　そして、&amp;link_anchor(ファムリシア,pageid=24){ファム}の放った呪文が、彼女の元に詰め寄ろうとしていたゴブリンの群れを吹き飛ばす。彼女と、&amp;link_anchor(ヴァリアス・ヴァンガード,pageid=24){ヴァリアス}、&amp;link_anchor(カミュラ,pageid=24){カミュラ}、&amp;link_anchor(カッツ・バルゲル,pageid=24){カッツ}の４人組は、シャルリシア寮生達を守ろうと外で奮戦する生徒達の中でも際立った戦果をあげているのであった。
　目前に迫る敵をひとまず掃討した一行は、カミュラの指示に率いられつつ、さらに別方面の敵を討つために行動を開始した……その直後、カミュラに向かって不意の一撃が襲い掛かる。それをとっさにカッツがこれまでの経験で培われた技術によって抑えたため、一行に大きなダメージが与えられることはなかったが、４人は突如自分たちの傍に現れたその存在への警戒心を高める。
　そんな視線を悠々とした態度で受けながら現れたのは、&amp;link_anchor(ティオルジュの配下,pageid=26){老人のような男}だった。しかし、明らかに人間ではない、その身に漂わせているオーラは、魔族のそれである。
　そして魔族は、余裕を持った態度で、まだ学生であるはずのエルクレスト・カレッジ生徒達の予想外の健闘を称えつつも、それが無駄な抵抗であるとし、大人しく我が主のため、シャルリシア寮生達の体を渡せ、と勧告を行った。しかし当然、それに屈する彼女達ではない。魔族のその口ぶりより、この魔族こそ、この戦いの前に聞いていた「心の魔」の配下であるということを知った４人は、相手が魔族であるということにも決して怯む様子無く、真っ向から立ち向かってみせんといわんばかりの気迫を見せる。
　その姿を見て、魔族は小馬鹿にするような笑いを上げる。魔族は、こちらにはまだ「本当の戦力」があると得意になっているようだ。その言葉に４人が反応したと同時に魔族が腕を振り上げると、その両脇の空間に、突如切り開かれたかのような闇の出入り口が姿を現す。そしてその中より姿を現したのは、ゴブリンにしては巨大すぎる体躯、そしてそれ以上に巨大すぎる斧を携えたゴブリンと、周囲に魔力によるイバラを引き連れた、仮面をかぶったヴァンパイアである。
　その姿を確認した瞬間、４人には先ほど魔族を確認した時以上の戦慄が走った。とりわけ、その正体を悟ったらしいカミュラの衝撃は大きなものだ。そう、この２体こそ妖魔王。ゴブリンの王、&amp;link_anchor(ルアダン,pageid=26){ルアダン}。そして、ヴァンパイアの王、&amp;link_anchor(ブレアス,pageid=26){ブレアス}に違いなかったのだ。
　少年少女たちの姿を見つめ、にやりと笑みを深めつつ、ずいぶんと調子に乗ってくれたようだ。と言うルアダンと、神妙な表情をしつつ、悩ましいな、勇敢さゆえの無謀か。と冷徹な言葉を発するブレアス。どちらも明らかに、自分たちを敵とみなしている。その威圧に気圧されつつある４人を見て、魔族はこの計画のため、助力を願っていた本命の戦力であることを高らかに宣言したのだった。
　……しかし、そこで一番に声を張り上げたのは、ヴァリアスだ。ここで逃げ出すはずがない。自分たちの背には、護らなければならない仲間が、友がいるから。
　気迫を押し戻さん限りの雄たけびに、ルアダンはまたにやりと笑い、気に入ったぞ、楽に殺してやろうとついにその斧に手をかける。そしてブレアスも、相手が子供とはいえ、この計画にいつまでも時間をかけるわけにはいかないと、強大な魔力を手のひらに集中させようとしていた。
　学生４人に対し、魔族一体に、妖魔王が２体。絶望的と呼んでいいであろう状況ではあったが、その時なぜか、カミュラの口角があがり、笑みを作った。そして言う。私達は、子供だけでもない、と。
　思わずその言葉の意味を探ろうとした魔族たちであったが、その刹那、足元で突如、巨大な爆発が巻き起こる。
　その一撃を為したのは、&amp;link_anchor(ナイル,pageid=25){ナイル}であった。彼曰くの、「錬金術のちょっとした応用」によって３体を巻き込んだ爆発は、それぞれへ確かな傷を与えることこそなかったものの、驚きと共にその攻撃動作を中断させる役割を果たしている。そして、そこにやってきたのは彼だけではなかった。
　&amp;link_anchor(ライベル・ウィド,pageid=26){ライベル}が。&amp;link_anchor(キキョウ・アマザキ,pageid=26){キキョウ}が。そして、&amp;link_anchor(エルヴィラ・アルディリケ,pageid=25){エルヴィラ}が。ナイルに引き続く形で次々と現れる。敵の本命の戦力がついに現れたことを見ずとも察知していた彼ら先達者は、それに真っ向から対峙すべくここへ集まったのだ。そして、妖魔王と共にいる魔族こそが、ティオルジュ配下の者であることを彼女達も知り、その気迫をさらに高ぶらせている。
　……だが、一方で魔族の側は、決して士気が上がりきっているという状態でもない。というのも、学生達の上を行く、確かな強者達の登場に戦闘心が刺激されたらしいルアダンが、ブレアスが肉弾戦に秀でないことを嘲笑しつつ下がらせようとしたことにより憤りを買い、互いの相容れなさが表面化されつつあったからである。もとより、ゴブリンとヴァンパイア、その二つは同じ妖魔とはいえ、性質を大きく異とするものだ。妖魔王である彼らの個としての力はともかく、連携という点では、互いに味方と思いあって戦うというレベルにすら達していないといえる。
　魔族はその様子に渋面を浮かべるのであったが、この方の手を煩わせるつもりはなかったがと言うとともに、もう一度先ほどの転移空間を開き、何かをこの場へと呼び出したようであった。……そして、三度現れたその闇の入口より、凶悪かつ醜悪な邪気と共に姿を現したのは、どこか蠅の特徴を残したような姿を持った、魔族である。……その正体は、腐敗と瘴気を何より好む、まさに悪魔的な魔力を持った上位魔族、&amp;link_anchor(ベルゼブブ,pageid=26){ベルゼブブ}。そしてそのことをこの場の大人たちはいち早く気づき、ファム達４人もまた、そのあまりにも邪悪なオーラに、ブレアスやルアダンよりさらに上と言える存在が現れたのだと直感的に察していた。
　この場にいる者ほぼすべてからの驚愕の視線をその身に受けつつ、ベルゼブブはゆっくりと邪悪に笑い声をあげ、確かに、自分が呼び出されるだけの相手はいるようだと声をあげ、そして続ける。ここに自分が現れたのも、あくまでそこの魔族が伝えた人類の殲滅計画に興味があるまでであり、ここで立ち向かうのをあきらめ逃走するなら、今代の生程度は全うできるかもしれないぞ、と。
　人間より圧倒的上位の存在であるが故の、優位と愉悦のこもった提案。しかし、それでもその場にいた人間たちの中に、その言葉に頷こうとする者は誰一人いなかった。そう。まだ冒険者にすらなっていないはずの、ファム達４人もだ。彼女達は、その身を案じて下がらせようとしたエルヴィラの言葉にも、こう答える。
　そういうわけにはいきません。敵がこれほど強大であるとわかっているなら、私達の力は不可欠だ。とカミュラが。何より、こんな奴らは許せねぇ。一度ぶん殴ってやらなきゃな！とヴァリアスが。貧乏くじは今に始まったことじゃないし、ここで退く気はない。とカッツが言う。そして、勝ちましょう。みんなの力で。と敵を見据えて言い放ったファムの言葉で締めくくられた４人の決意の強さとその力を、ナイルも、ライベルも、キキョウも。……そして、彼女らの師であるエルヴィラも、認めざるを得なかった。
　学生達ですら自分たちを前にして引き下がろうとしない。その様を実に愚かだと断じたベルゼバブは愉快そうに再度笑うのであったが、その一方で、ルアダンとブレアスに対してもこの場では手を取り合うよう仲裁をいれる。上位魔族の言葉とあれば、両名とも不服そうではありながらも当面は従わざるを得ず、少なくとも自陣営による同士討ちが起こることは阻止していた。
　この状況下で、目の前にいる人間たちが勝てる道理などありはしない。そう確信しているティオルジュの配下は、シャルリシア寮生達のことも含めつつ、寄せ集めを行えば勝てるなどと言う愚かなことを、なぜ考えるのだと断じて叫ぶ。そして、戦闘は開始された。

　……その一方。この戦闘が開始されたことを報告として受け取る者達がいた。そしてそれを聞いた&amp;link_anchor(シャルロッテ・イエミツ,pageid=21){シャルロッテ}は、妖魔王に加えて上位魔族が敵の増援として現れたということに、絶望ともとれる声を上げてしまう。……ここにいるのは、彼女らエルクレスト・カレッジのプリフェクト達を含んで結成された、この戦闘における指揮権を持つ人員達である。
　しかし、そんなシャルロッテを、意志を折ってはいけない。とすぐさま諫める人物がいた。&amp;link_anchor(シリル・ゴールウィン,pageid=20){シリル}だ。エルヴィラ学長だけではない。ナイル、ライベル、キキョウといった、こちら側の戦力の中でも飛びぬけた力を持った人々が、その強大な力を感じてすぐに救援へ駆けつけていた。たとえ相手がそれほどの存在であったとしても、彼女達なら渡り合えるとシリルは信じているのである。……しかし、それでも懸念はある。
　それは、こちらの戦力の実質大部分をその戦闘に割いたということは、今現在行っている、多数の敵に対しての防衛戦がかなり厳しくなるということだ。絶大な戦力を欠いたうえで、四方八方よりせまりくるゴブリンやヴァンパイア、そして魔族までもが混ざった軍団に対し、その一匹たりともシャルリシア寮生達の元へたどり着かせてはならない。それは、並大抵のことではないのである。
　そのシリルの言葉に、シャルロッテは再度、現状の絶望感を言葉に出してしまおうとする。しかし、今度その言葉を押しとどめたのは、&amp;link_anchor(フィシル・アリーゼ,pageid=22){フィシル}だ。
　フィシルは、意思を折ってはならない。とシリルと同じ言葉を用い、そして続ける。例え、どれほど厳しい状況に今あるのだとしても。自分たちは何もまだ、失ってしまってなどいない。……失わないための戦いをしている途中なのだ。だから、ここで心を折り膝をつけば、その時こそ本物の絶望が、自分たちを支配するだろう。
　だから、信じるのだ。シャルリシア寮生達を。シャルリシア寮生達のそばで戦っている人達を。……そして、そんな彼女たちのことを信じて、そのためにここに残った自分たちを。その決断が、自分が本当にするべきことを見出した本心から来たものだったことを。
　自信と肩を並べる二人のプリフェクトの言葉を受け、シャルロッテは少しの間沈黙をしたが、再度その顔をあげた時には、その瞳には確かな闘志が宿っていた。わかりましたわよ！と叫ぶその口調こそやけくそ気味ではあったが、その直後に再度戦況を把握し、生徒達へと勢いよく指示を出していくその姿に、もはやかげりはなかった。
　その姿を見て、そして愛する者の言葉を聞いて、シリルもそこで笑う。そう、負けるはずはないのだ、と。
　自分たちは、人が未来に進んでいける権利を確かに信じている。そして、それを成し遂げるための仲間にも、こうして恵まれたのだから。

　……こうして、生徒達、そして学園に関わる大人達がそれぞれの敵を前にエルクレスト・カレッジ周辺で奮戦している中、その近隣であるエルクレストの街にも未だ、ゴブリンやヴァンパイアの姿が見られていた。作戦上、こちらの戦力はあくまで学園周辺へと街の戦力を向かわせないための陽動部隊であることもあってか、遺跡探索隊に属する冒険者などをはじめとした者達が対応に当たったことによって、街や住民に致命的な被害こそないようではあった。しかし、街は未だ、パニックの渦中といっていいありさまである。
　だが、そんな中に一人、逃げ惑う人々も戦いの様子も、まるで意に介さないかの如く歩を進める人物がいた。その者は目深なフードがついたローブを着込んでおり、顔をはっきりと見ることは難しいものの、歩む方向は、あきらかにエルクレスト・カレッジを目指している。
　不意に、一陣の風が吹く。それは男の頭のフードをはがすことはかなわなかったが、わずかに男の胸元の衣服を揺らし、刹那、その素肌をさらす。
　そこには、「Ⅻ」の文字が刻まれているのであった……

　外の世界において激戦が繰り広げられているその一方。シャルリシア寮生達の精神を媒介してティオルジュの世界に入っていた生徒達は、驚愕と焦燥にかられていた。
　一体何があったというのか。あの時、シャルリシア寮生達は自分たちの助力もあり、確かにティオルジュへと攻撃を行うことができ、ダメージも与えていたはずだ。勝利の可能性に沸き立ったその瞬間。ティオルジュが手を宙空に振りかざすと同時に、あまりにもあっけなく、先ほどまで確かにシャルリシア寮生達とつながっていたはずの感覚は断たれ、自分たちは今、ティオルジュに挑むために共に通り過ぎたはずの「入り口」へと戻されている。
　しかし、その生徒達の戸惑いと疑問に答える者はいた。&amp;link_anchor(エーエル・ラクチューン,pageid=26){エーエル}だ。彼女は先ほどまでと同様、外の世界より声だけを一同に届かせながら言う。断たれたのだ。と。
　エーエルは彼女の魔力で、シャルリシア寮生達自身以外の意識を精神に付随させることにより、シャルリシア寮生達の認識を操るティオルジュの能力に対抗しようとし、そしてそれは確かに有効であったようだった。しかし、ティオルジュにとっては、そのエーエルの魔法自体が、シャルリシア寮生達の心には本来結び付けられてはいないものとして、その融合を遮断することができたらしい。それにより、シャルリシア寮生達と共にあったはずの生徒達の心も、その経路を失って、ここまで弾き飛ばされたのだと。
　今、シャルリシア寮生達は、他の誰とも意識を共有できず、自分たちの精神のみでティオルジュと相対している。その現状がいかに危険な状況かを想像する生徒達へ追い打ちをかけるように、エーエルは言い放った。
　全て、終わった。シャルリシア寮生達と、そしてここにいる生徒達のみならず、ここでシャルリシア寮生達が勝つことを信じようとした全ての者達は、敗北したのだ。と。それは、自分たちだけに都合のいい未来を、都合よく信じて行った行為の果てなのだと、エーエルは考えている。
　もう、シャルリシア寮生達がティオルジュに完全に侵食され、破壊の化身となるのを止める手段はない。ここで目を覚まし、後はできる限り己の命を守ろうとするのが、知能ある生物として行うべきことだ。そう続けたエーエルは、「愚か者」達にせめての選択ができるようにと帰還のための出口を作ろうとする。……しかし、生徒達は苦しみと驚愕を未だ顔に浮かべたままながら、誰一人、その出口へ向かおうとしない。
　そのことは、すでに「愚かな存在」を見せつけられたことで怒りを募らせているエーエルの感情を、さらに逆撫でしたことであったようだ。それゆえか、エーエルはさらに口調を荒げつつ、今この現状がかつて&amp;link_anchor(エンザ・ノヅキ,pageid=25){エンザ}が望んだことに始まったその「希望」と、それを信じようとした者がいたことが、そもそもの間違いであったことの証左であると断じて叫んでいる。……エンザ・ノヅキというのは、命を捨ててまで行ったことで誰かを救うどころか、むしろ被害を広げて見せた、完全なる大馬鹿者なのだと。
　……その言葉は、生徒達に大きな衝撃を与えた。しかし、その驚きの大部分はエーエルの罵りの言葉の内容ではなく、エンザが命を捨てた、という部分にである。……ここにいる中でも、シャルリシア寮生のいずれかと特別深い関係である者をはじめとし、何人かはすでにそのことを知ってはいたが、半数以上は、それまでエンザが帰ってこないことに心配や不審感を感じてはいても、本当に命を落としていたとは考えていなかった者達なのだ。……だが、そんな生徒達の悲しみと苦しみの渦巻く胸中になんら配慮することもなくエンザの死という事実を再度一同へ知らしめ、そして追い打ちをかけるかのように叫ぶ。
　だから奴ら、シャルリシア寮生達もそうなのだ。何の解決になるわけでもないような、不確かで都合のいい妄想に流されることを拒もうとしなかったから、ここで人としての死を迎えることになる。
　もう、「お前たち」の想いが適う猶予など、ない。
　……そのエーエルの糾弾が、空気も壁もないはずのこの空間の中で、あまりにも響き続けるかのように感じられた。

　……ティオルジュの眼前。そこにシャルリシア寮生達６人。[[ミルカ&gt;ミルカ・ハミルトン]]、[[ミト&gt;プリンセス・ミト]]、[[クレハ]]、[[レシィ&gt;レシィ・マナリス]]、[[ジャック&gt;ジャック・アルマー]]、[[ラピス&gt;ラピス・カルパンディエ]]は立っている。そして、彼女達６人はまだだれも、ティオルジュからの攻撃を受けたわけでもない。
　しかし、動けなかった。つい先ほどまでの、心通わせた生徒達が傍にいてくれる感覚があった時とは明らかに違う。視界が定まらない。力が失われる。自分の中から、自分がこれまで培ってきたことごとくが抜け落ちていくかのようだ。自分の意思によって、かろうじてそのうちのいくつかを繋ぎ止めようとすることに、必死にならざるを得ない。
　途方もないほどの喪失感を受け続けている一同に対し、ティオルジュはもう無理だ。と宣告を行った。ティオルジュの干渉できない他者という守りを失った今、自身の深層といえるこの場において、すでにシャルリシア寮生達の意識と力はほぼティオルジュが制御してしまっている。この中でまともに戦うことなど、できようはずもない。
　その言葉は、ティオルジュのハッタリではない。体と意識、その両方を襲う喪失感は、そのことをシャルリシア寮生達に否がおうでもわからせるほどのものである。……しかし、そこで最初にそのティオルジュの言葉に答えたのは、ジャックであった。ジャックは、急激に機能を鈍らせたはずのその義主たる左手にも剣を決死の心で握らせ、両刃のきっさきをティオルジュに突きつける。その姿を見て、レシィはまだ諦めてなどいる場合ではないのだと自身を奮い立たせ、６人は全員が、それでも抗い、戦うことを決意していた。
　その６人の姿に、ティオルジュはまるで慈しむかのように瞳を閉じていた。そう、シャルリシア寮生達はいつもそうだった。どんな絶望的な状況でも。自身と仲間の望みのため、戦い続ける。……そんな人びとだからこそ、今ここにやってきてしまったのだ。
　ティオルジュは、それが人の世界において尊いことだと理解しており、そしてそれを蔑むつもりもない。……だがそれでも、シャルリシア寮生達のその心に報いてあげることは、ティオルジュにはできないのだ。そのように意味を持たされて生まれ……これから永久に、そういった存在なのだから。
　ここに至った以上、もはやシャルリシア寮生達を帰すこともできはしない。ここで、彼女達６人のすべては終わらなければいけない。
　そう告げたティオルジュは、いよいよその攻撃の手を一同へと向ける。
　人の想いを、蹂躙するために。


　戦いの先手を取って攻撃を行おうとしたのは、やはりティオルジュである。しかし、それに対してシャルリシア寮生達は、クレハのシーフとしての技とスピードをいかしたかく乱術により、その一手を惑わせることを狙った。
　……これまでの戦いの中で、何度も何度もやってきたことだ。たとえどんな相手でも、ただ一撃をそらすことならば、やってのけてみせる。その自信と経験に裏打ちされたからこその行動であったが、ティオルジュの行動を制そうとクレハが構えた瞬間、その眼前が急にもやがかかったかのように霞んだ。対象とするべき、ティオルジュを探すことができない。それどころか、自身の意識が、自分でない何者かに乗っ取られそうになっている。
　それは危機的な感覚だった。本当なら、とても戦えるような状態ではない。……しかし、以前にティオルジュと会ったあの時は、このように自分の意識や認識に介入を受けているという実感すら感じ得なかったのだ。だが今はこうして、その障害を感じ取ることができている。
　その理由が、つい先ほどまで自分達と共にいてくれた、更なる仲間たちのおかげなのかどうかはわからない。だが、戦うことを決めた以上、この障害は、なんとしても打ち破らなければならないのであり、そしてそれができるということは、希望へとつながることのはずだ。クレハは……いや、シャルリシア寮生達はそれを信じ、腕の一挙一動、その全てにすら、死力を尽くして己の力をぶつけることを決意し……そしてその結果、放たれたクレハのナイフは、確かにティオルジュの一手をひるませていた。
　自身の攻撃を制止されたティオルジュは、さほど驚きをその顔に浮かべてはおらず、相変わらず憐れむかのような視線をクレハ達に送る。ティオルジュは判断していたのだ。その抵抗が、ほぼすべてを奪われつつあるシャルリシア寮生達が、それでも持てる全てを消費しながらも行っていることであり……最後のあがきである、ということを。現に、ティオルジュのその憐みに対し、決して闘志を折らないと向かい立っているクレハも、先ほどの消耗を隠せてはいない。
　そしてその直後、再度動いたのもまた、ティオルジュであった。今度はもうクレハがそれを制止することもできない。ティオルジュが振り下ろした腕に合わせるかのように、突如空間がぐにゃりと歪み、そしてその歪みは確かな重厚感を持って６人全員へと押し寄せてきた。……今の状態の自分たちでは、互いの連携によって完全な防護態勢を敷くことは難しい。故に先ほどのクレハが行ったように、敵の一撃一撃に対して、一人が死力を尽くしてでもそれを防ぎ切るのが理想だ。そこで、その攻撃に面と立ち向かったのはラピスとミトの二人。彼女たちは、先ほどのクレハ同様の絶望的なまでの境遇を受けながらも、その全力を尽くした魔力によって攻撃をそらし、防護によって仲間を護りきって見せた。
　だが、ラピスだけでは反らしきれなかった敵の攻撃をまとめてその身に受けることとなったミトも、決して無傷というわけにはいかず。その体を揺るがせている。そして、本当なら修めていたはずの、闘気によって自身の体の異常を治す技も、今は使用できない。その場に転げ落ち、意識がさらに朦朧とするのを、即払拭する手立てはなかった。
　……しかし、それでもやはり、ミトは戦い、立ち上がることをあきらめようとはしてない。そんなミトに視線を合わせ、突然ティオルジュは、彼女へと語りかけた。

　自分は、人間の価値観に詳しいわけではない。しかし、そんな自分から見ても、ミトは立派とよべるような人間であった。どんな時でも、必ず何かを守ろうとしていたのだ。
　しかし、その思いだけで、全てを守ることはできないのだ。人である以上、抗いようのないものの前にいつか、沈む時が来てしまう。……エンザのことが、そうだったように。
　そして、人とは本質的には孤独である。ミトが信じた人も、ミトを信じてくれると言ってくれた人も。こうして今、ここにやってくることはできない。
　ならば……崩れ落ちるべき時を前にして。果たされない信頼を未だに信じて。その身に苦痛を受け続け、立ち上がろうとする意味はないのではないか。

　自身に終焉を与えようとする魔族が、ミト自身の至らなさではなく、世界の無情を説きつつも降伏を勧告する。……それはある意味、ミトのこれまでの健闘をたたえようとしている行為だったのかもしれない。
　だが、だとしても、ミトはその言葉には決して頷かない。その理由があるからだ。
　自分はプリンセスだ。プリンセスとは、守るべきものが、守るべき人がいるからこその存在。
　……確かに、守れなかったものもある。しかし、だからこそ、もうあんな思いは決してしないということを決意し、そしてそのためにならば戦い続けて見せることを誓ったのだ。
　……確かに、今ここには、誰よりも深く信頼し合い、傍にいるといってくれた人、&amp;link_anchor(ハルー・イニス,pageid=19){メギアム}は傍にいない。しかし、自分は彼と約束をした。必ず、その傍に帰ると。例えその言葉を守れない状況に彼がいるのだとしても、そこで自分が約束を忘れ、全てを投げ出すことなどあり得ないのだ。
　だから。自分は全てを受け止め、耐えきって見せる。例え今がどれほど絶望的であったとしても、この体で、全てを護りきる。
　さあ、全力でかかってきなさい。
　その力を多くを奪われているはずのミトが宣言した、あまりにも勇ましすぎるはずのその言葉に、かげりは一瞬たりとも存在しない。そしてティオルジュは、頷かざるを得なかった。もう、その誇りを汚すことはできない。その小さな体へ、全ての力を叩きつける。[[その他]]はないからだ。

　ティオルジュの攻撃を耐え凌ぎ、ついにティオルジュ本体にも隙ができた。その一瞬を逃さず、最大効率の打撃を与えるために、レシィとラピスが仲間より先んじて動いて、クレハとジャック両名を強化する作戦にでる。
　仲間に対する補助魔法を使用する際にも、やはりティオルジュからの妨害が行われている。だが、ラピスよりもさらに先に動いたレシィがまずそれを耐えきり、二人の武器へ神聖的な強化を授けることに成功して見せた。だが、その魔術の詠唱直後、消耗によって杖に体重を預けるようにふらつき、身体を震えさせているレシィの姿を見て、ティオルジュはまた、口を開いた。

　……１つ伝えておこう。
　シャルリシア寮生達と、他の生徒達の意識の共有を断つ際、ティオルジュが狙ったのはその生徒達自身ではなく、それをつなぐあの魔女の魔力の方であった。……つまり、レシィが最も大切とする彼女をはじめとした人々も、無事な状態であるということである。今は、シャルリシア寮生達とのつながりをうしなったことにより、この空間の入り口まで引き戻されたことだろう。そしてそこまでいけば、そこから帰ることも不可能ではない。少なくとも現時点においては、レシィは大切な人たちを、自分たちのせいで傷つけずにすんでいるのだ。
　それが、レシィの内心だったのではないのか。自分の事より、そして自分と共にいてくれることよりも、ただ、彼女自身が無事であってくれるなら、それが一番だと。
　……だから今、もう全ては終わったのだ。あと、レシィにできることは……あの娘の無事を、祈って消えることだけであるから。

　&amp;link_anchor(ユエル・ケルフィン,pageid=26){ユエル}達は無事。今すぐ逃げてくれているなら、これ以上危険にさらされることからも逃れられるかも知れない。
　レシィはそのことを知った。しかしレシィはそのことに想いを馳せるまでもなく、ただ一つ、声を張り上げて反論して見せた。
　終わっていない。
　自分もまた、約束をした。ここから生きて戻り、そしてその先を、ユエルと共に生きていくと。
　その約束は果たさなければいけない。絶対に、諦められるはずがない。だから、終わるはずがない。
　その約束を刈り取るために、ここからどれほど熾烈な能力や攻撃が自分へ向けられたのだとしても、それによって自分たちが生きていくという約束が、失われることはない。
　それは、大切な大切な人とかわされた、自分のすべてをかけてでも、この手の中に繋ぎとめるべきものであるから。
　禍々しい力を漂わせるティオルジュをはっきりと見据え、レシィはもう一度体制を正し、決意を持ってその行動に対応するための構えをとる。
　その姿にティオルジュはただ一言、本当に、強く成長したのだなと言葉を漏らした。……その侵略の手を緩めることはないままに。

　レシィに続いて、ラピスもまた、クレハとジャックへ強化魔法をかけ、彼らの武器を操る技術を数段引き上げようとする。それはまさに彼女の十八番、得意技だ。
　しかし、もちろんそこにもティオルジュの浸食は差し込まれる。途端に意識を失いそうになるような、朦朧とした感覚を受けつつも、ラピスもまたそれになんとか対抗して見せたが、やはりその代償は消耗となって表れている。もはや自分の行動すべてに意識を必死で保ち続けているといった様子のラピスへ、ティオルジュはやはり語り掛けた。

　……おそらく。君は多くの人々の中でも、特に悲しい人生を背負った人間だった。
　他者より短命だとされた。身体的な欠陥を抱えた。周囲のものと理解し合うことができなかった。
　そして、何よりも……それらを少しずつ、少しずつ取り戻し、今に至ってようやく、自分を支えてくれる人を見つけ出し、自分の人生を歩んでいくことができるようになったというのに、それが全て、夢であったことを思い知らなければいけないことがだ。
　だが、それをもはやどうすることもできない。あるいは、ラピスがかつてのラピスのままであったなら、同じ絶望にしても、ラピス自身に与えられる苦難は和らいでいたのだろうかとすら、思えてくる。
　……結局のところ、ラピスは今でもなお、ただ一人だった。誰も、その人生を救う術など持ち合わせてはいなかったのだ。

　それを聞くラピスの体は、震えていた。彼女はここで、今の自分が置かれている状況の絶望感と苦しみを確かに感じており、その表れであったといえる。
　……しかし、ラピスは言った。でも、それでいいのだ、と。それはもちろん、この状況を受け入れたあきらめの言葉ではない。
　ここにくるまで、何度も何度も辛い時はあった。かつては、そんな経験を悲観してばかりでいた。しかし、今は違う。人は悲しみがあるから、喜びを感じ、その逆もしかりだとわかったからだ。
　明けないはずの深い暗闇の中へ、自ら身を投じてしまった自分にすら、&amp;link_anchor(ガイブ,pageid=19){ガイブ}という明けの光はやってきてくれた。だから知っている。例え今がどれだけ辛く苦しくても、いつか夜は明ける。そしてその光を受け取るために、自分は生きているのだと。
　ティオルジュは、今自分たちのいるここが明けない現実であり、心通じた人々のいるあの時が、夢であったというのだろう。しかし、自分にとっては違う。自分を救いあげてくれた人が、自分と共にいることを願ってくれたから。自分にとっての現実は、その場所にしかあり得ない。
　だからここは、覚めるべき夢であり、闇だ。そこに、自分からとどまりにいくような真似など、もう決してしない。
　……息を途絶えさせつつも、その意志を確かに言葉にしきったラピスに対し、ティオルジュはもう、意識が途絶えた時に、どちらが現実であるかを知るしかないであろう、としか伝えることはできない。ラピスはそんなティオルジュへ、自分の意識が完全に途絶えるというのなら、自分の寿命を短く見積もるとしても１０何年かはあるだろう、と軽口めいたことまで返して見せたが、ティオルジュはやはり憐れみを込めたような視線で、長すぎる、時間だなとつぶやくのみであった。

　そして、ついにシャルリシア寮生達の攻撃が始まる。この状況下でも、ティオルジュを打ち倒すことを疑わずにまず前へと出たのは、ジャックだ。
　明らかにパワーダウンしている左手の義手。そして、ラピスの援護によって敵の動き自体を捉えるのは容易になったとはいえ、定まらない視界。決していつも通りとは言えない脱力と困惑を受けながらも、ジャックはその剣を、今出せる限りの全力で解き放つ。その攻撃が認識操作により、もし自分へと向けられたら。そんな躊躇は一切なく、そしてその気迫と剛力によって、彼の剣閃は見事に、二度ともティオルジュを捉えた。先に攻撃した時と同様、ダメージを与えた手ごたえは確かにある。しかし、魔族特有の生命力を持つティオルジュはそれにこたえたようなそぶりは見せず、二度の攻撃だけでも大きく消耗し、そしてやはり、ままならぬ左手の様子に苦戦しているであろうジャックへと語り掛けた。

　わかっているつもりだ。
　君は戦うのだろう。何故なら、生家とのかかわりをその左腕と共に切り落としてからずっと、ジャックの人生とは常に、安寧に生き自らの平穏を守り続けるようなものではなく、何かとの戦いだっただろうから。
　そしてその生き方の末、最後の相手となったのは自分、ティオルジュだ。ジャックは、その生き方ゆえ、勝ち目も勝算もない相手にでも、常に立ち向かっていかなければいけない。
　もちろん、それについてはすでに知っている。だが、それを承知であえて言おう。もうそれ以上、その身に苦難と苦痛を与えることはない。全てはすでに、ついさっきの瞬間に終わってしまったから。
　ジャックの人生とも呼べる、その戦いと、その力にもう意味はない。抗うという事が全てに通じるという事はない。それが世界というものだからだ。
　ならばせめて。その最後の瞬間くらい、ジャック自身の意志で休み、安らかに受け入れてもよいのではないだろうか。
　もう、一人で戦い続けることは、できないのだから。

　その言葉に対し、ジャックはまず、頷いた。確かに、自分の中にいたというだけはあって、そのことをよく知ってはいるようだと。
　しかし、それは決して、自分のことをすべて理解したということではない。そう断言したジャックに、ティオルジュは思わず関心をよせるような声をあげ、そしてジャックは続けた。
　あの時……エンザが死の覚悟をし、そしておそらくは永久に分かれてしまったのだろう時に、エンザは自分たちへ、「生きろ」と伝えた。そしてジャックはそれを、エンザからの挑戦と考えた。それは、これから自分たちに降りかかるあらゆる困難に対し、その力で抗い、道を切り開いて見せてくれ、という願いを込めた言葉であり、そして自分は、それを受け取って見せたのだと。
　だから今、ジャックの戦う相手とはティオルジュだけではない。そのエンザの願い……挑戦にもまだ、ジャックは向き合い続けているのだ。
　そしてもう一つ。エンザの意志を受け止めた形となったジャックにとって思えるのは、エンザがティオルジュの実態を知ったとしたなら、そのあり方を変える……新たな生き方を教えようと考えていただろうということだ。
　エンザの代わりに。そんなことを言い出すようなガラではないが、エンザの言葉を受け継いで生き、そしてここまでやってきた自分たちには、その意志もまた、叶えさせてやるべき責務はある。
　だから、ここでそれを示すため、戦うのだ。この全力を尽くして。
　……シャルリシア寮生達の中で、ジャックは最も、エンザと打ち解け合おうとはしてない生徒だった。それは、ティオルジュも含め、ここにいる誰もが知っていたことだ。
　しかし、ここでその戦う理由に、エンザからの言葉をあげたことが、彼もまた、エンザからの願いを確かに受け継いでいた人間であることを証明している。そう、彼の願っていたことは、無駄ではなかったことをその身で示そうとしているのだ。
　その想いを、ティオルジュは悟っていた。ゆえに、もはや最後の瞬間まで、ジャックがその心を曲げずにいられることを祈るほかはなかった。
　しかし、そんなティオルジュへ、ジャックは腕に力をこめ、しっかりとした軌道で剣の切っ先を向けなおす。
　今自分たちの前に立ちふさがるというのならば、どんな相手であろうと、全力で打ち倒す。そんな気迫のほどは、言葉がなくてもその場の全員へと伝わっていた。

　そして、次にティオルジュへ向けて攻撃を放ったのは、ミルカだ。ミルカの放つ魔術もまた、ティオルジュによる認識操作という妨害を受けることとなったが、これまでの他の寮生達同様、死力を振り絞ってそれを振り払って見せる。……しかし、ラピスからの支援魔法の効果は彼女の魔術攻撃には表れないこともあってか、それを回避しようとしたティオルジュをかすめるに終わった。……決死の想いをこめた一撃をかわされたこと、そして、この一瞬の間に自分が振り絞った力の消耗に対し、さしものミルカとはいえ悲痛を顔ににじませざるを得ない。そしてそんなミルカへ、ティオルジュは問いかける。

　君には、酷なことを言う。
　ミルカは、あの時、間違いなく勝てる、と言った。しかしそれは、ミルカのあまりにも独善的で、希望だけに偏った考え方だった。
　……あの時は、それでもよかったのかもしれない。それは、全てをあきらめるよりも、試す道を選ぶという。そのための理由付けであったのかもしれないから。
　しかしその挑戦は、もう結果が出てしまった。今はもう、ここにはミルカたち以外誰もいない。ティオルジュに対してなすすべを持たず、勝ちうる方法などおよそもちえない者しか、存在しないのだ。
　だからミルカは、今ここではじめて、膝を負っても、泣き出してもいい。それを非難できる者はいはしない。これまで、常に最善の道を、疑うことなく見据え続けていられたものだから。
　終焉が来た今、その気丈さを崩れさせてしまっても、それはあってはならないことではないのだ。

　そのティオルジュの言葉に対し、だがミルカは、毅然と首を横に振った。心の不安を掻き消すように、自らを奮い立たせるために声を張り上げるでもない。ただただ、それは自身にとって確かな答えであることを示すかのように。
　まだ、結果は何も出てなどいない。そして、絶望的な状況にも、必ずチャンスは眠っている。自分たちが、心を折らない限り。
　それは、自分がこのエルクレスト・カレッジでの日々を過ごしてきた中で学んだことの１つであり、そして、自分の中に確かに根付いているものだ。だから、それを疑う必要なんてない。
　だから、何も心配されるようなことなどもない。ただ、この場で見届けていくといい。自分たちが得るべき、その結末を。
　……そのミルカの言葉を聞き、ティオルジュは、少し驚いていたようだった。
　ミルカは、ただこの場で全力を尽くすこと、少しでも長く戦い続けることではなく、明確に、勝利することを誓っている。そう、今のこの状況に置いても。
　その結末に至るための確かな道が、その脳裏に浮かんでいるというわけではあるまい。しかし、彼女はただ確信し、微塵も疑わないでいられているのだ。……自分たちが導かれ、手を取り合い、成長し……そして迎えた今が、ティオルジュの呪いすら乗り越えていくのだということを。
　なぜそこまで確信しつづけることができるのか。その理由は、彼女たちの姿を眺めつづけていただけであるティオルジュにわかることはない。
　……だから、ティオルジュはやはり、そのミルカの確信に対し、自身の力という現実を押し付けることしかできないのだ。

　一同の中で最後に動いたのは、レシィとラピスによる強化を待っていたクレハだ。しかし、もともと攻撃能力よりも身のこなしに特化した能力を持つクレハにとって、自身の持つ多くの技能を封じられた影響は、ジャック達以上に大きい。認識を操作されることへの抵抗に多大な消耗を払わなければならない今の状態では、全力を出せない自分の攻撃はむしろ消耗を早めるだけと考え、ティオルジュに接近するにとどまる。……しかしそれは当然、妥協の一手ではなく、この状況下で、なんとしてでも抗いぬくための一手なのであり、その証拠に、至近距離でティオルジュの姿を見つめるクレハの瞳は、決して絶望に染まってなどいなかった。そして、ティオルジュはそんなクレハへも、言葉を投げかける。

　伝えておこう。
　今こうしてクレハ達が他者の助けを失ったのは、決してクレハが、心から他者と手を取り合うことに対し、戸惑っていたからといった理由ではない。
　ただただ、もうすでに、そういう次元の話ではなくなってしまっていただけなのだ。クレハ達が何をしようが。あるいは誰かが、クレハ達に何かをしてくれようが、すべての結末は決まっている。クレハ達は……いや人類は、決してティオルジュに勝つことはできない。
　……その意味では、かつてのクレハの懸念は、正しかったのかもしれない。他の誰が知ったところで、結局どうにもできないことなら、あの時のクレハのように、ただ自分の内にだけ、ことをとどめておけたほうがよかったのだろう。そうすれば、他者からの信頼も、気負いもなく。ただ自分自身が敗北するということだけを受け入れて、安らかに消えることができたのでは。……ティオルジュには、そう思えてならないのだと。

　目前のティオルジュに対し、クレハは口を開き、答える。そう、確かに自分は、他の誰かに自分の問題に関わってもらうことが、怖かった。しかし今では、わかったことがある。
　それは、自分のそんな態度はむしろ、他の誰かのためにはならないのだということ。誰かが悩み、立ち止まりそうになる時、それに手を差し伸べようとしてくれる人たちがいる。そんな、人と人をつなぐ、想いを伝えていける人間たちの存在を、受け入れていくべきだということだ。
　だからもう今は、一人で抱え込む、悩み続けるようなことはやめた。そのことに迷いはない。……そしてそれは、お前にも言えることなのではないか。
　クレハが唐突に突きつけたその言葉に対し、ティオルジュは自身に隣人や友などいようはずもなく、ゆえに一人で何かを抱えてしまっているなどと、思ったことすらないと答えたのだったが……その答えこそが、ティオルジュが悩みを抱え続けてしまっていることの表れである。なぜなら、本当に何も思い悩んでいないのなら、そんな風に考えるのをやめただけのような答えを返したりはしないからだ。
　……そこでティオルジュは、少しの間沈黙した。そして口をもう一度開いたときには、そのクレハの言葉に、頷いていた。何故なら、確かに、ティオルジュの中には、自分のしている行為に対し、空虚さのような感覚はあったからだ。それは、クレハのいう迷いによるものであるのかと問いかけたティオルジュへ、クレハは肯定と共に頷き返す。
　……しかし、だからといって、ティオルジュはその行動を変えることはない。それだけは確かなことだ。感覚ではなく使命に従って動き続けるだけの「呪い」の悩みを揺り起こしたとして、クレハは一体何を、あるいは、ティオルジュ自身になにをさせるというのだろう。そうつづけて聞いたティオルジュに対して、クレハは今度は言葉だけではなく、その片手に持った形見のナイフを、構えて、高らかに宣言する。
　俺が。いや、俺達がその悩みを、解決して見せる。
　その言葉の意味するところを、ティオルジュが理解していたとは、いえないだろう。
　しかし、ティオルジュは頷き、告げる。来るがいい、次は、その全力で、と。

　シャルリシア寮生達６人、その全員が、決意の理由に違いはあれど、この戦いを諦め、屈することは決して選んでいない。消耗した体に鞭を打ち、必死の思いでティオルジュと対峙し続けている。……そしてそんな彼女達の行動が全て終わった時……ふと、ティオルジュ立ち止まり、一同それぞれをやはり空虚な視線で眺める。
　ここにいる全員が、確かに戦うことを選択した。それをティオルジュはすでに理解している。だから、もはや言葉を送ることもない。ここで自分が語ることは、もはや、シャルリシア寮生達への愚弄としかなりえないのだろうから。
　……あとはただ、自身も宣言通り、シャルリシア寮生達を討ち果たすための全力をぶつけるだけ。そうティオルジュが呟いた瞬間、６人の体をさらに強い脱力感が襲った。……また、奪われているのだ。この、立ち向かうだけで苦痛と思えるほどの状況の中で、戦い抜くために必死でつなぎとめた、わずかばかりの自分たちの能力を。そして、それだけではない、ティオルジュから与えられる威圧感も強化されている。おそらくは、それと同時にティオルジュ自身も、さらに強くなっているのだ。
　絶望は、増大する。それを体現してみせたティオルジュは、その空虚な視線を投げかけたまま、容赦ない攻撃を浴びせようとしている……

　今この瞬間、シャルリシア寮生達は、蹂躙されていた。あとはいつまで戦いを続けられるかというだけであり、やがて全てを失って力尽き、ティオルジュの前に倒れるであろう。
　……そう。本当にもう彼女達しか、立ち向かう者はいなかったのであれば、だ。
　かつてそれを知り、そしてそれを認めないために。一人の男が命をかけ、その半ばにして倒れた。
　だが、その男が抱いた願いを、知る者達がいる。その者たちは今もなお、その願いの価値を、胸の中に抱き続けている。
　だから、彼らもまた、戦えるのだ。
　シャルリシア寮生達と同じく。その心が、自分が選ぶべき確かな道を指し示していることを、信じて。
　

「……いや。負けてなんていない。戦いもまだ、続いている」

　エーエルの糾弾に静まり返ったかに見えた生徒達の中で、メギアムがそう言った。その言葉に思わずエーエルが聞き返そうとするが、メギアムはそんなエーエルに対してと言うより、この場の想いを一つに取り纏めようとするかのように、堂々と語り始める。
　ミト達は、シャルリシア寮生は、屈することはない。エンザがその命をかけて、未来を願ってくれたから。そして何より……今この瞬間も、勝利を、未来を、そして、ここにいる、自分を含めたみんなのことも、信じてくれると誓ってくれたからだ。
　エーエルは、その願いに導かれたことこそが過ちだったのだと、再度糾弾した。エンザの信じた、信頼などというものだけでは何も成せなかったという現実が、今この時なのだ。シャルリシア寮生は倒れ、ここにいる他人達にできることもない。だから、エンザ同様、ここにいる全てのものが、間違いの道を歩んできたのだ。

「違う！」

　そう、叫び返す者がいる。ガイブだ。
　例え、シャルリシア寮生達のためにエンザが命を落としたのが、本当の事だとしても。エンザは間違ってなんていない。そして、自分たちも。
　だからできることは、あるはず。今この時でも、自分たちがラピスのために、シャルリシア寮生のためにできることが。
　……例えば。自分たちがまだ、この空間に存在することができているというのなら。もう一度ラピス達の元へ向かうことはできるのではないか。……そうすれば、この心をもう一度、彼女達へつなぎなおせるはず。
　ガイブのその推論を、エーエルはやはり否定した。しかし、その否定の理由は、今ここにいる者達が、もう一度シャルリシア寮生達の元にたどり着くことが不可能だからではない。その元についたところで、エーエルの魔力と言う媒介を無力化された今、再度意識を共有できる見込みはないから、であった。

「なら、大丈夫！」

　そしてそう聞いて、ユエルが決意を表情に浮かべ、力強く叫ぶ。
　今度は、もう引き離されたりしない。ユエル達が、ちゃんとレシィ達を信頼して、今度は互いの心と心を、直接つなぎ合わせて見せる。
　そのユエルの宣言は、エーエルを驚愕させた。すでに、直接意識を他者に預けることの危険性は説明していたはず、それなのになぜ、そのようなことを、当たり前のようにと。
　しかし、そのユエルの宣言から堰を切ったかのように、生徒達は、その言葉をつないでいく。

「……そもそも、なぜ、ティオルジュは意識を分断する際、私達ではなく、それをつないでいたエーエルさんの魔術の方を狙ったのでしょうか？それは、私たちそのものを拒絶し引きはがすのは、ティオルジュにとってもそこまで容易なことではないからではないかとも思えます」
　そう推論したのは、&amp;link_anchor(サーニャ・リシア,pageid=19){サーニャ}だ。
「ならば。今度は私達がみずから、シャルリシア寮生達と融合すれば、まだまだ勝ち目はありうるというわけだ」
　&amp;link_anchor(部長,pageid=22){部長}がその推論を引き継いだ。

　そこでようやく、エーエルは馬鹿を言うな！と叫び、今生徒達が実行しようとしている作戦を非難した。
　そもそも、エーエルが生徒たちとシャルリシア寮生の間に施した魔法は、効率的に意識を共有し、ティオルジュの支配を届きにくくさせるためのものだったのだ。それが無力化されたからとはいえ、何の媒介もなしに無理やり意識を同化させようとしたところで、ティオルジュにまともに対抗できるようになるはずもないと。

「……あなたの言っていることは事実だったとしても……それでも俺達には、それ以上に信じているものがある」
　しかし、&amp;link_anchor(ナタフ,pageid=24){ナタフ}がそう答える。
「小難しい理屈はともかく、心はちゃんと通うはず！だったら負けない！ぜーったい負けない！」
　&amp;link_anchor(レイス,pageid=21){レイス}が快活に笑う。
「……そ、そうだ……！少なくとも俺達が、あきらめちゃならねえ！」
　&amp;link_anchor(アーゼス・ジェセン,pageid=20){アーゼス}が、少し震えながらも、振り立つように叫んだ。
「……はい。ここには、これだけ彼らを信じている仲間が、いますから」
　&amp;link_anchor(ミリティス,pageid=19){ミリティス}が穏やかにほほ笑む。
「わ、私……できることがまだあるのなら、なんだってします！」
　&amp;link_anchor(メンファ・リン,pageid=23){メンファ}は不安からか、どこか泣き出しそうではあったものの、その表情には決意が宿っている。
今、シャルリシア寮生達のためにできることがあるのなら、なんだってしてみせると。
「効率的な手段に頼れなくなったのなら、その分数と心でカバーしないとねー」
　&amp;link_anchor(フェイエン,pageid=23){フェイエン}が朗らかに、歌うような軽快さで言う。
「話はまとまったかぁ！？俺様はもーう我慢ができ、ないっ！」
　&amp;link_anchor(イッシー・ハッター,pageid=20){イッシー}はもう、論議の必要すらないと言わんばかりで。
「気が早すぎ……でもないな。結局やる事なんて１つだったわけだし」
　&amp;link_anchor(「歌歌い」ウィルテール,pageid=25){ウィルテール}もまた、それに同調するかのように笑みを浮かべている。
「……ジャックは、諦めてなんていない……約束した……から……」
　&amp;link_anchor(「赤い服の」マリー,pageid=25){「赤い服の」マリー}が静かに、しかし確かに呟く。
「はい、行きましょう！ミルカさん達のところへ！」
　そして、&amp;link_anchor(セイ,pageid=24){セイ}が、弱々しさなど微塵も見えない堂々とした声で、行くべき道を示した。

　エーエルは、驚愕と共に絶句していた。
　シャルリシア寮生達がまだ戦える状況にあるのか？ここにる生徒達が、シャルリシア寮生達と直接意識をつなぎ合うことができるのか？……最後に、ティオルジュと戦い、勝てるのか？
　何一つ、わかっていることない。むしろすべて絶望的であり、客観的にそう判断するしかないのだ。だが……生徒達のその、不安や恐怖を払拭したかのような、決意に秘めた表情が、エーエルを荒ませていた。
　……どうして、「お前たち」はそうなのだ。
　あてもなく、ただ無駄に終わるであろうようなことにすら、その命という無二のはずのものを差し出してしまおうとする。そのような生物としての愚行を選択しているというのに。
　……なぜそんなに、誇らしそうな顔をしていると、いうのだ。
　少しは、自分を理論的に眺めて見せろ。エーエルはそう叫ぶ。

「……あなたの言うことは、間違っていない」
　しかし、それに答える&amp;link_anchor(シズナ・ミナモリ,pageid=22){シズナ}の声は、とても静かで、穏やかなものだった。
　そう。かつては自分もまた、シャルリシア寮生達はただ滅びるだけの存在だと考えていた。だけど、今は知ってる。
　一緒に、生きていく。そしてそのために、一緒に戦う。
　その言葉を、自分に信じさせてくれた人の事をだ。
　そして、その言葉をまた、繋げる者達がいる。

「我々の行動は、確かに理論的ではないだろう。だが、これもまた、自分の経験に基づかれた確固たるものだ」
　&amp;link_anchor(チーフ,pageid=19){チーフ}が、整然と答える。
「……彼らがしてきてくれたとを、彼らの強さを。ちゃんと思い出せるから、ちゃんと知ってるから、それを、僕たちは価値の判断基準に加えていける。そういうことだと思うんです。例え、エンザ先生のことを聞いたとしても……むしろ、その想いを、僕たちも継いでいきたいっておもえる」
　&amp;link_anchor(デュフェール,pageid=19){デュフェール}は、戦いに赴く確かな覚悟に胸を震わせた。
「そしてもとより、あの時フィシル・アリーゼが言ったように……私達は価値の優劣に、行動を預けるつもりもない」
　&amp;link_anchor(マゼット,pageid=21){マゼット}もやはり、堂々と言い放つ。
「はい。私達は、常に自分がそうあるべきだと思うことのために、自分の意思で道を選んでいく存在ですから」
　&amp;link_anchor(エンジェ・ウィラン,pageid=22){エンジェ}が、生徒達の想いを肯定し、その先を見た。

　……そんな生徒達へ、エーエルが再度、口を開こうとする。しかし、彼等の心はすでに、この場の問答などには向いていない。

「さぁ、あいつらがこんなことで諦めているはずはないギョ！この神の戦士の助けを待っているはずなんだギョ！」
　&amp;link_anchor(ドゥーラ,pageid=20){ドゥーラ}が大きく胸（の部分）を突き出し、勇ましく語る。
「しかりだ……彼らはここにいる、皆のことを信じておる……！」
　&amp;link_anchor(サイオウ・アマガシ,pageid=21){サイオウ}は、それに厳粛にうなずいていた。
「今行かなきゃ……僕は、僕たちは何もできないままなんだ。それに、それを受け取ってくれる人がいることに、疑いはないから！」
　&amp;link_anchor(デアス・ヒム,pageid=20){デアス}の瞳の中にも、もう戸惑いはない。
「……そう。もう、何もできないで、後から泣くことなんて絶対にしたくない。私も、私のできることをする。……私の心を、ちゃんと伝えてみせる！」
　&amp;link_anchor(ハナ・タウル・イヴィシル,pageid=24){ハナ}は、涙を流さない。やるべきことをもう、知っているから。
「……まーそういうのあんまりあたしのキャラじゃないし……正直今ショックだけど……でもさすがに、こんなところで尻尾撒いて帰れないしさ！」
　そう言う&amp;link_anchor(マナシエ・バンガロック,pageid=20){マナシエ}ではあったが、表情はちゃんと、笑顔であった。

　もう、何も言い出せない。
　エーエル自身が、自分の考えでは決してたどり着けない領域に向かう者達に対し今、エーエルは、かける言葉を失ったのだ。
　そして、最後にメギアムが、エーエルの方を振り返る。

　……エーエル・ラクチューン殿。
　我々は、あなたを軽んじているわけではない。だが、それ以上に、揺るぎなく信じているものが、この心の中にある。
　そのためになら、何かができるはずだと。して見せるのだと。そう信じ、全力をかけることができるものがだ。
　ですからあとはただ……それが成すものを見ていてほしい。きっと、結果となって表れるはずだから。

「さあ、行こう！」

　その最後の号令を発したのは、誰だっただろう。いや、誰でも違いはないのだろう。
　なぜなら、その心は、そしてその行先は、ここでその道を踏み出した、全ての者が同じとするのだから。
　そして、エーエルはただ、それを見送ることしかできない。
　その先に本当は何があるのか。それを間違いなく知っている者など、いなかったのだから。


　一方。わずかに時をさかのぼり……ここは、あたりを暗闇に包まれた、不可解な空間だった。そして、そにはドラゴネットのメディオンとヒューリン、その二人の人物だけがいる。
　そしてその時、メディオンの青年……&amp;link_anchor(ダバラン・テレミナス,pageid=22){ダバラン}は、何かを感じたかのように、伏せていた顔を上げた。そして、その行動を見、理由をといかけたヒューリンの青年、&amp;link_anchor(アルゼオ・ウェルダース,pageid=24){アルゼオ}に答える。……「心の魔」、ティオルジュの世界へ、誰かが、踏み入ったようだ、と。
　そう。ここは、以前（[[第十二話]]参照）心の魔の配下の謀略に堕ち、そしてその心をアルゼオ自身の心と共に封印された、ダバランの内面世界だ。彼ら二人は、現実世界において眠り続けることを代償に、ここでダバランの心の汚染された部分を抑え続けているのだ。
　しかし、それでもティオルジュに侵食されたものとしてのつながりを失っているわけではないダバランは、ティオルジュのいる世界に起こっていることを察知することができるらしい。故に、二人は今まさに、シャルリシア寮生達が、ティオルジュに挑むためその世界へ乗り込んだことを知ったのだった。
　ついに、この日が来たのか。アルゼオは目を閉じ、悲しみとも、感慨深さともとれる表情でそう呟いた。かつてエンザから、生徒側において唯一事の全容を知らされており、そしてそれに共感してシャルリシア寮生達を見守り、導いてきた彼にとっては、その事実は一層意味の深いことだろう。だが……ダバランはそんなアルゼオに対し、彼らは勝てるのでしょうか、と問いかける。声と姿に、不安の震えをにじませているダバランへ、アルゼオは答えた。
　シャルリシア寮生達は恐らくあれから、自分たちが何故この学園に集められたのかを知り、そして、エーエルに出会うことができたはず。……そこで、自分やエンザの言葉がどれほどまで、彼女達に伝わることができたのかまではわからないが、少なくともティオルジュの世界に行くことができたのならば、エーエルと出会ったうえでその力を借り、そして生徒達の力も募って決戦に挑むことができたということのはず。
　ならば、恐れることはない。アルゼオは、そう確信していた。彼は、こうしてダバランの心の世界にとどまり続けることしかできなくなった状態でも、信じられていた。シャルリシア寮生達を、そして、エンザをはじめ、多くの人が築きあげてきた「願い」の行く末に。
　……だが、その一方で、不安材料もないわけではない。そう続けたアルゼオに、ダバランが怪訝な視線を帰すと、アルゼオはそれをまっすぐに見返し、告げる。
　……自分にできることはもはや、ここでシャルリシア寮生達が勝利することを信じ待つだけだ。……だが、ダバランは、そうではないのでは、と。
　そのアルゼオの考えは、ダバランの全身を震わせ、その言葉を奪っていた。そう、確かに、ダバランも内心では理解していたのだ。
　シャルリシア寮生達と同じく、ダバランもまた、ティオルジュの潜む空間への経路を、心の中に持つ者。だから、体ごと浸食された部分を封印し、純粋なその心だけとなった今なら、ダバランもまた、シャルリシア寮生達の元へかけつけることも、できるのではないかと。
　……そう。確かに、それは可能かもしれない。だが、そう考えると、ダバランの心には、後悔と絶望が吹き付けてしまう。
　自分が行ったところで、何になるというのだろう。
　自分は、ティオルジュに負けた。そしてその結果、アルゼオにもシャルリシア寮生達にも、あのような仕打ちをしてしまった。
　すべて、自分のせいだ。自分が弱いから、自分が、シャルリシア寮生達の強さにあこがれるだけで、それを得ることもできなかったから。
　今の自分には、シャルリシア寮生達に本当の強さがある事を信じることはできても、自分自身で、何かを成せるなどとは到底思えない。……それに、どんな顔で彼らに会いに行けばいいというのだろう。
　ダバランは突如、堰を切ったかのように、嘆願するかのようにそう叫ぶ。心の中に未だに抱えた後悔と絶望。その一端を聞いたアルゼオは、しかしただ、断じる。
　ダバラン。自分の罪に惑うな。と。
　確かに、ダバランが陥ってしまったことは、少なくともダバラン自身にとっては未だ許されないことだろう。
　だが、だから何もできないのだと泣くだけでは、永久に、誰に対しても、それを贖うこともできようはずはない。
　そして、シャルリシア寮生達を信じるというのならば……信じると言葉にしたものにも、相応の行動が必要になる。なぜなら信じるというのは、自分ができることを、あるいはできたことを行った上で、その結果を預けられる者達に対してこその言葉だからだ。
　こう語るアルゼオは、本当は知っていた。ダバランも、同じ思いを持っているということを。
　自分が犯した罪は、自分によってはその肩から降ろすことはできない。だから、ここで他者からの言葉が必要になるのだと。
　だから、アルゼオは、力強く示す。さあ、行ってくるんだ、と。
　それはお前の償いであり、お前が行うべきことだから、とだ。
　そして、「彼ら」の声を聞くべきだ。それがダバランが、これから生きていくことになる本当の未来に必要な、光になるはずだから。
　……アルゼオの言葉を受けたダバランは、しばらくの間、ただ無言だった。
　しかし、申し訳なさそうに伏せていたその顔をあげ、アルゼオと視線を合わせた時、その瞳には、確かに決意が宿っていることをアルゼオは感じた。
　だから、そこで振り返り、ここではない場所へ意識を向けたダバランの心の姿へ、アルゼオはただ、頷きを持って肯定するのであった。


　そして、さらに場面は変わり、ここは現実世界の、とある小屋の中だ。
　その小屋に設置されたベッドの上に、小柄で可憐な容姿を持つ一人のヒューリンの少女が座っている。……だが、苦々しくゆがめられたその表情を見てはそう評することもできはしないだろう。少女は、今現在の不機嫌さを隠そうともしていない。
　そんなこの場所に突如、&amp;link_anchor(リュミル,pageid=26){リュミル}。と少女の名前を呼ぶ声がし、その声の主である男……&amp;link_anchor(ザムト・アンリ・ゲスト,pageid=26){ザムト}が、ノックの音の後に入室してきた。
　ザムトの姿を認めたリュミルは即座に、いつまで自分をここに閉じ込めておくつもりなんだ、と食ってかかるも、ザムトは開放を望む彼女に取り合おうとはしない。そんなザムトの態度にさらに苛立ちを募らせたリュミルは、ついに自身の武器である魔導銃をザムトに向けるが、リュミルと自分との実力差についてを理解しているからか、そんな剣幕すらも、ザムトは意に介していないようだ。
　ザムトにとって、今ここでリュミルを抑えるのは、自分がシャルリシア寮生達を……というよりは、シャルリシア寮生達を信じることを決めた、自分のかつての仲間たちのことをまた信じ、その役目を受けたからにすぎないことである。ザムトは血気はやるリュミルへ、淡々とそう説明する。しかし、今ここにザムトがやってきたのは、そのようなことをリュミルに伝えるためでもないらしい。ナタフからリュミルのことを頼まれてしまったものとして、今この時、リュミルにある「療法」を試してみるべきではないかと思ってやってきたのだという。
　自分が今、受けるべき療法。そう聞いたリュミルは当然疑問符を浮かべている。だが、転送魔術でも使用したのか、その次の瞬間に自分のすぐそばに接近していたザムトに腕をつかまれたかと思うと、ザムトからの一方的な移動宣言の直後、二人の姿はそこから消えさっていたのだった。

　視界が再度開けた時、リュミルは仰天する。あたりでは武器と武器がぶつかりあい、気合と苦痛の叫びがこだまし、魔力の爆発が地面をえぐる。……そう、そこは戦場であった。
　さしもの彼女として、怪我はほぼ治っているとはいえ一応療養状態であった状態からいきなり戦場の真ん中に連れてこられたことにすぐ順応はできずにいる。そしてその後、ザムトからの警告を受けてかろうじてどこからかの流れ弾を回避してから、ようやく感情の整理が追いついた彼女は、ザムトにどういうことだと怒鳴りつけるも、やはりザムトはそれに悪びれる様子もない。ただ、ここは戦場であり、敵はゴブリン、ヴァンパイアの妖魔軍団に、少数の魔族も存在することを伝え、それと戦うことを提言するだけだ。
　なぜザムトがわざわざこのような戦場にリュミルを連れて来たのか？その理由は今のリュミルにわかろうはずもないのだったが、そんなリュミルに、ザムトはこの戦いは、エルクレスト・カレッジの関係者たちがシャルリシア寮生達を守ろうとして起こっているものであり、リュミル達も&amp;link_anchor(バウラス・ジーク・スヴァルエルト,pageid=26){バウラス}より聞かされていた「心の魔」の配下が仲間を集め、攻勢に出たらしいということを伝える。そして、ザムト自身は、魔族の有利となるようなことに事を運ばせないべく、戦うつもりであると。
　そしてその上でザムトはリュミルに、お前はどうする。と問いかけた。だが、リュミルはその問いに対し逆に、自分が、シャルリシア寮生達のために戦うとでも思っているのか、と睨み返す。……そう。リュミルはまだ、心の魔による浸食を受け、死すべきのはずでありながら生き続け、そしてさらに言えば、自分にも痛手を与えたシャルリシア寮生達を、憎悪していたからだ。
　だが、すでに場所は戦場の真っただ中。仮にも炎の使徒として戦ってきた人間であるリュミルにとっても、妖魔や魔族は敵だ。そして、それよりも優先してもう一度シャルリシア寮生達を襲撃するにせよ、妖魔たちと戦わずして済むという方法はないのだ。
　そこまでわかっていながら、いけしゃあしゃあと口を開いているのであろうザムトを睨みつつ、リュミルは苛立ちに地面を何度も踏みしめ、次に会ったら今度こそ殺す、とシャルリシア寮生達への恨み言を口にする。しかし、手にしていたキャリバーが向けられた先の標的は、妖魔たちであった。
　そしてザムトもまた戦場を見渡し、その腕に魔力を集め始める。……この行動がリュミルに、あるいはこの戦いにどのような意味を及ぼすのかは、さしもの彼とて知っているわけではない。だが、すると決めたことは、成し遂げなければならないからだ。


　……そして場面は再度、ティオルジュと相対するシャルリシア寮生達へと戻る。あらゆるものを奪われ続ける悪夢の戦いの中、それでも今からのティオルジュの攻撃に対応しようとする一同の頭の中に、突然、何者かの声が響いた。シャルリシア寮生達が、自身らにとっての支配者と呼べる存在、ティオルジュに対してなんの援護もなく相対しているという現状に、驚きと絶望を持った言葉をあげたその主は、ダバランであった。
　ラピスは、自身はまだ心を折らないつもりでいたが、幻聴が聞こえるようにまでなってしまったのかとわずかに絶望しかけていたりもしたが、他のシャルリシシア寮生達は、方法はともかく、ダバランが自分たちの元に駆けつけてくれたらしいということを理解していたようだ。しかし、当のダバランはシャルリシア寮生達の戦いが想定していたよりはるかに危機的な状況になっていたことに対する絶望は、隠せないでいる。
　しかし、それでも決してあきらめてはいないのか、ということをダバランはミルカに問いかけると、ミルカはまよいなくうなずいて見せた。確かに侵食はきつくなってきたが、まだまだ本当に全てがなくなってるわけではない。それに。
　ここにダバランが駆けつけてくれたことには、希望につながる何かがあると思えるから、と。
　その返答に、ダバランがかつてミルカの中に見た、強く、惑わない意思が存在していることを改めてダバランは知る。……だが、それでもダバランの声は震えている。それは、かつての後悔と、情けなさゆえだ。
　自分があの時心を折ってしまったせいで、シャルリシア寮生達は今ここで、こうして戦うことになってしまった。自分は、してはいけないことをしてしまったのだ。
　……しかし、そんな自分にも、ほんの少しでも、できる何かがあるのかもしれないと思った。そして、今こそ憧れていただけではなく、シャルリシア寮生達の持つ心の強さを、確かに自分も持って戦いたいと思ったのだ。かつて、あのような仕打ちをした身で、こんなことを望むのはお門違いかもしれない。だが。
　共に戦わせてほしい。シャルリシア寮生達のために、シャルリシア寮生達と一緒に。
　そんなダバランの決意を、ミルカは微笑みと共に受け入れる。それがあなたの望みならば、私達はいつでも手を取り合うことができると。……例え、このように辛く、苦しい時でも。
　それに続き、かつてしたことに取り返しがつかないなら、これから先くらいはよくしていくべきとラピスが言い。ジャックも、いずれにせよ、結果的にはティオルジュと戦うのが今か後かというだけのことだという言葉を送る。そしてレシィは、すでに許しているといわんばかりに、ここから帰ったら兵法について勉強させてほしいと伝えた。
　シャルリシア寮生達から許しを受け、ダバランはただ、感謝の言葉を繰り返す。……しかし、その言葉にもう震えは無い。
　自分も、全力で戦う。例え、それがほんの僅かな力であっても、その力を尽くして。
　自身らと同じ運命を持ちながら、その運命に押しつぶされ、手を取り合うことのできなかった最後の一人。
　その心は今間違いなくシャルリシア寮生達と１つになり、彼らと共に今度こそ、運命に立ち向かっているのだ。

　……そしてダバランの心が、シャルリシア寮生達と共有されたその時。ミト、ラピス、レシィの３人は、確かに声を聞いた。あまりにも遠く、かすかな音ではあったが、それを３人が聞き間違えるはずもない。なぜならそれは、まぎれもなく、それぞれの一番大切な人からの呼びかけであった。少なくとも、そう感じることができたから。
　それは、３人にとっては漆黒の闇にさした光にも等しい、まばゆく、そして確かな希望だった。その喜びを思わず互いに確認しあい、表した３人の様子を見て、ダバランはふと、考えていた。
　３人ともが聞いたというその「声」が錯覚ではないのであれば。その声の持ち主は、確かにまだこの空間に近しい場所にいるということのはず。
　ならば、それはひょっとして、彼らがこの場所を目指して進むことができているからではないのか。
　……そのダバランの考えを証明して見せるかの如く、突如、ある声が聞こえたのだ。


　……入学（[[　　&gt;第一話]]）以来これまで、様々なことが、あった。
　依頼を受け、学園を駆けまわり。（[[　　&gt;第二話]]）
　恋の争奪戦を勝ち抜いて。（[[　　&gt;第三話]]）
　料理の入り乱れる激戦を制し。（[[　　&gt;第四話]]）
　ファミリアとの共生を一方的に蹂躙する思想をくじき。（[[　　&gt;第五話]]）
　隠されていた学園の謎と脅威を暴き。（[[　　&gt;第六話]]）
　愛を繋げ合えたキャンプをこえ。（[[　　&gt;第七話]]）
　謎多き悪魔の片鱗を味わい。（[[　　&gt;第八話]]）
　神の戦士に生き方を見出させ。（[[　　&gt;第九話]]）
　砂漠の闘争に１つの団円をもたらし。（[[　　&gt;第十話Ａ]]）
　国に巣食う邪悪の一つを消し去り。（[[　　&gt;第十話Ｂ]]）
　学園をあげた祭りを楽しみ。（[[　　&gt;第十一話]]）
　……大きな、悲しみを負って。（[[　　&gt;第十二話]]）
　世界の意志以上に、人の意志を強く持ち。（[[　　&gt;第十三話]]）
　異世界からの危機より、隣人を救い。（[[　　&gt;第十四話]]）
　自分たちに託された願いと、立ち向かうべき本当の相手を知り。（[[　　&gt;第十五話]]）
　そして。仲間の存在と自分自身を信じ、今ここにやってきたのだ。（[[　　&gt;第十六話]]）

　……本当に、色々なことがあった。その中で彼女達シャルリシア寮生は、笑い、喜び……怒り、悲しみ……戦って、きた。
　こういった経験は、彼女達を成長させてくれた。おそらく、同年代の冒険者見習い……あるいは冒険者と比べたとしても、その能力と心の強さは、決して劣るものではないはずだ。
　……しかし。本当に大切なのは、それだけではない。
　こうした経験の中で得てきたものは、それだけではないのだ。そしてそれこそが、人が生きる中で、本当に見つけ出し、育んでいくべきものなのかもしれない。
　だから彼らは、まるで光に導かれるかのように確実に。シャルリシア寮生達の元へやってくることができたのだ。

　デュフェール、ミリティス。
　サイオウ。
　メンファ。
　アーゼス。
　マナシエ、ウィルテール、『赤い服の』マリー。
　レイス、ビーク、ユエル。
　デアス。
　ドゥーラ、セイ。
　ガイブ、マゼット。
　メギアム、サーニャ、部長。
　ナタフ、シズナ。
　チーフ、イッシー、フェイエン、エンジェ、ハナ。

　シャルリシア寮生が救い、そして信頼を築きあった仲間たちが、一人、また一人とシャルリシア寮生達の心の傍に表れ、そして、迷いも恐れもなく、傍にいてくれる。
　それは、決して精神的な支えとなるだけではなかった。媒介に頼らず、直に結びつきあった彼らの心は、わずかにだが、彼らそれぞれの特性にあわせてシャルリシア寮生達を強化してくれており……そして、奪われた彼らのスキルもまた、その特性に辿られるかのように解放されていく。……一人一人では、それはごくわずかな助けでしかない。だが、信頼し合う仲間の助けを更に得ていくにつれ、シャルリシア寮生達の力は、むしろそれ以前よりも強力になろうとしていた。
　アーゼスの到着により、一同がファミリアを再度得た（ことによって、ドゥ君が激しく自己主張をした）あたりで、シャルリシア寮生達の身に起こりつつある強化に明確に気付いたティオルジュは、再度シャルリシア寮生達とそれ以外の者の心の繋がりを断とうとするのであったが、今度は、それにより彼らが分け隔たれるようなことは起こらなかった。……あまりにも強い信頼によって、互いが手を取り合うかのように結びつきあった彼らを、ティオルジュの能力は切り離すことができなくなっていたのだ。
　次々に生徒達が到着し、ついに、シャルリシア寮生達と共にここまでやってきた者と、そしてダバランを加えた全員がそこにはやってきていた。そしてその全員からの助力を得たシャルリシア寮生達の力は、もはや元通り、というレベルではない。
　そして……彼女たちの懐の中に今も収められている、小さなメダルが突然、かすかな煌めきを放った。それと同時に、また、声が聞こえる。

（……がんばれ）
（……俺の、願いは）
（お前たちが、明日もまた、未来を信じて、生きていける、ことだから……）

　それは、ひょっとしたら幻だったかもしれない。
　しかし、シャルリシア寮生達は、そう思わなかった。確かに、『彼』は、今ここで、最後の戦いを行っている自分たちのことを、見てくれている。
　恩師に、恋人に、友に。自分と共に歩んでくれる全ての存在が、確かに傍にいる。もはや、精神的にも能力的にも、ここに来る直前までの力を遥かに凌駕するほど、シャルリシア寮生達は漲っていたのだった。
　そして、そんなシャルリシア寮生達を前に、ティオルジュは圧倒されていた。それまで彼女達を苦しめた認識操作も、多数の意識を直に共有したシャルリシア寮生達にはもはや通用しない。そこでティオルジュは初めて認識をする。シャルリシア寮生達は今、ティオルジュを滅ぼしううる天敵としての能力を、ついにその身に宿したのだと。
　……そして理解する。この戦いはもはや、シャルリシア寮生を滅ぼすだけの戦いではない。真に、互いの存亡をかけて争うものになったことを。そして、それを成したのは、これだけの生まれや特性を異にする人々に、本気で信頼されるほどの行動を行ってきた、シャルリシア寮生達の人生の賜物であることをだ。
　だから、ティオルジュが取るべき行動は、ただひとつ。
　後の事、これからのことを考慮する余裕はない。ただ、自身に与えられた魔族としての力を全開にし、シャルリシア寮生達をねじふせる。
　シャルリシア寮生達が抱く、希望や願いと、ティオルジュという、呪いの真っ向からの衝突。
　本当の「最後の戦い」が、始まるのだ。


　……そして、彼女たちのいるその世界の外では。

　妖魔王、そして上位魔族。腕利きの冒険者ですらかるく屠って見せるであろうその存在達に対し、エルヴィラ達は真っ向から渡り合ってみせていた。……そして、ファム達もまだ、倒れてはいない。自分たちにもてる力のすべてを発揮し、そしてできることを確実に受け持っていくことで、彼女達もまた、確かにこの戦場に対応して見せているのだ。
　……しかし、人間とはケタ外れの力を持った妖魔王と魔族に、焦りはなかった。ブレアスの冷徹な声による戦況分析に、ヴァリアスはすかさずまだまだやれる、と声を上げる。
　だが、幾度もの打ち合いによって彼自身が疲弊し始めているのを、ルアダンは決して見逃さなかった。醜悪な顔をにたりとゆがめ、その若い命を害そうと、喜々として斧を振り上げ……それに対応するヴァリアスの動きが一瞬、遅れた。そしてその時、すかさずルアダンとヴァリアスの間に割って入る者がいた。カッツだ。
　そう、それは確かに彼の役目であり、彼はその護衛術によって、幾度もパーティの危機を救ってきた。
　……だが、今目の前に迫るのは、大地すら抉り取ると言われる、あのルアダンの一撃なのだ。それをまともにうけたら、いかにカッツといえど。
　覚悟を決めたように眼の前の攻撃を見据えるカッツと、それに防護の術をかけるため、ただ精神を高めるような……あるいは、祈るような表情で杖を握るカミュラ。まるで一瞬時間が止まったかのような極限の状態の中……閃光が、走った。
　いや、それは本当の光ではなく、剣閃だ。美麗とすらいえるほど無駄なく、そして鋭く放たれた一振りの剣がルアダンの一撃をうちすえてそらし、そして、その刹那、絶妙なタイミングで振るわれた、２刀目による再度の剣撃がルアダンのバランスを崩させ、更なる踏み込みを阻害する。
　ついさっきまで、この場にそのような技を、そして、２本の長剣を得物とした者はいなかったはず。しかし、まるで風のように突然にその場に現れ、カッツの危機を救ったのは、仮面をつけたヒューリンの女性だ。その存在に、そしてその技に驚愕したティオルジュの配下が、思わず何者と問いかける。彼女はそれに、名乗るほどのものではないが、と前置きをした上で答えた。
　自身はただ、さる者の命を受け、かの者の力になるため参上した。呼び名が必要なら、&amp;link_anchor(フレイス,pageid=26){仮面の騎士}、とでも。と。
　カッツの危機を救った仮面の騎士は、そのままエルクレスト・カレッジ一同の味方にと加わるようであった。
　……だが、一度とはいえ、妖魔王の一人として名をはせる、ルアダンの攻撃を捌き切るほどの力を持つ者がさらに敵に加わったとなっても、彼らは決して動じてはいない。所詮は塵芥のものといわんばかりに、ベルゼブブとブレアスが、その場にいる全員を飲み込もうとするほどの強大な魔力を解き放ち、追撃を加えようとする。その気配に、そこにいる全員が再度身構えた時……またも、そこにいる者達の外から飛んでくる力が、あった。
　魔力をかき乱し霧散させる対抗呪文が、ベルゼブブの地獄のごとき腐敗の魔法が形になる前に相殺させ、正確に放たれた無数の弾丸が、ブレアスの放った無数の茨を撃ち落として被害を抑える。
　それを行ったのは、ザムトとリュミルだ。くるやいなや、ザムトはこの場に揃った人間側の戦力がこれだけのものであるにもかかわらず、戦闘が長引いていた理由が上魔族と妖魔王によることを納得し、リュミルはこっちにくるなりいきなり全体攻撃に巻き込まれそうになった、と悪態をつきながらも、油断なく魔族や妖魔王……彼女の敵を見据えていた。
　この一瞬の間に現れた見知らぬ３人からの加勢には、助けられた側であるエルヴィラ達もまた、困惑をせざるをえない。特に、仮面の騎士の時はなぜかその存在をすんなり味方として認めているようですらあったキキョウは、ザムトとリュミルには懐疑的な態度を向けている。だが、ザムトはその視線を受けてなお、自分たちは味方である、と答えてみせた。何故なら自分たちは人間であり、それを滅ぼそうとする魔族や妖魔と戦うべき存在であるから、と。
　その言葉を、根拠あって信頼できる理由はなかっただろう。だがザムトが続けて言うように、今は人間同士の中で言い争いをしている場合ではないことは確かであり、そして、実際にその言葉通り魔に相対した彼ら二人は、まるで魔との戦争を幾度も潜り抜けて来た戦士であるかのような覚悟と風格を周囲の者に感じさせてすらいる。……ゆえに、キキョウの勘は、この二人もまた現在の味方と判断することを認め、その決断は他の人々にも伝わっていた。
　そしてこの場に、人間とは持って生まれた力が圧倒的に違う種族であるものたちに対し、それでも守るべきもののため、その目的のために立ち向かう者達が、合わせて１１人。
　ルアダン、ブレアス、ベルゼブブ。それらの攻撃をいなした今が、反撃の好機。……今この場に、もう一度力の嵐が吹き荒れようとしているのだ。

　……数度の交錯があった。桁違いのはずの魔力と暴力をその身に向けられながらも……それでもまだ、エルヴィラ達は誰一人として倒れてはいない。いやそれどころか……時によっては押してすらいるように見えた。
　ここにきて、彼ら妖魔王や魔族達は、目の前に立ちふさがる人間たちが、もはやただの獲物ではないことを認めざるを得なかったといっていいだろう。それでも、ベルゼブブ達はその余裕をまだ失ってはいなかったが、人間たちの思わぬ抵抗力に気圧されたのか、ティオルジュの配下は、焦るように口を開いた。例えここでどれだけ持ちこたえようが、作戦の真の目的が軍勢によるシャルリシア寮生達の身体の確保である以上、それはその守りを手薄にしているということなのだと。
　……そう。それは事実だ。先だって指揮陣営にてシャルロッテ達が案じていた通り、核となるはずの強大な戦力をかいた状態で、残りの生徒や教員たちだけでこのゴブリンとヴァンパイア、そして魔族すら組みこまれた軍勢をすべて防ぎ切るというのは、困難を極める。故にこの状況になっている時点で、戦いの勝利条件は自分たちのもの。ティオルジュの配下は、そう確信していたのだ。
　しかし、それにザムトが切り返す。はたしてそうかな、と。
　何故なら、つい先ほど自分たちが見てきた全体の戦況は、ティオルジュの配下の言っているものとは違うものであっただろうからだ。……その言葉に思わず聞き返そうとしたとき、突然、妖魔のうち１体があわただしく自らの主たちの元に飛来し、そして報告したのだった。
「本作戦に投入されていた我が方の部隊が、ほぼ壊滅状態にある」と。
　その報告を聞き、ブレアスとルアダンは、驚きを感じていただろう。……確かに、ここにこうして首魁たる自分たちが赴いてきているとはいえ、それはあくまで、今目前にいる人間たちのような存在を警戒する、ティオルジュの配下に乞われてのことであり、引き連れた勢力まで総力を挙げたものだった、というわけではなかった。
　しかしそれでも、その報告が事実と言うのならば、自分たちの軍勢が、まだ冒険者ですらない子供を主とする者達に破られたということになる。そんな妖魔王たちの考えを察しているのか、報告にやってきた妖魔は終始おびえた様子ではあったが、それでも続けて伝えた。……戦闘中、ある時を境に、敵の用兵が見違えるほど洗練されたものになったというのだ。……まるで、こちらの全てを知っているかの如く。
　妖魔の語ったその話は、ブレアスやルアダンにとってだけでなく、ファムやエルヴィラ達にとってもまた、正直信じ固いことではあった。もちろん、防衛に残してきた仲間たちが敗北する、と思ってここに来ていたわけではないが、そのように戦況が一転する要因など、一体どのようなことだというのか。それに思い当たることは、彼女達にもまたなかったからだ。
　……だが、その真偽はともかく、更なる希望を描き、自らを奮い立たせるには悪くない情報であったともいえる。困惑の色をわずかな時間で取り除き、先ほどまで以上の気迫で魔を滅せんと勢いづく人間たちの姿は、仮にも魔族であるティオルジュの配下が、思わず一瞬怖気づいたほどの気迫だ。……しかし、その状況の中ただ一体、不敵な表情を浮かべ、崩さない存在がいた。そう、ベルゼブブである。
　ベルゼブブは上位魔族にふさわしき圧倒的な邪悪さをもって笑い、いいだろう、と言い放った。その言葉の意味を、味方のはずのティオルジュの配下が問いただそうとしたとき、ベルゼブブは、その恐るべき力を解き放とうとしていた……

　……そこから、わずかに時を戻し。
　シャルリシア寮生防衛隊の指令部、シャルロッテたちがいるその場所に今、それまではいなかったはずの一人のエクスマキナの男がいた。
　男の周りには、球形をした無数の機械が飛び回っている。そしてそれはそこからは見えるはずのない、離れた場所の光景を男へと伝えており、男はまるで、この戦場のすべてをそこに居ながらにして知るかのようだった。そして、その口から伝えられるのは敵を倒す、あるいは効果的に足止めするための策であり、それはどれもが的確だ。この男の存在によって、防衛に回った生徒達は優勢を得たのである。
　その唐突さと手腕に、半ば唖然としたシャルロッテが、何者なのだろうか、と思わずこぼしたが、それを聞いたシリルが、おそらく彼は「指導の達人」と呼ばれたエクスマキナ、&amp;link_anchor(ディアロ・トゥウェルブ,pageid=25){ディアロ}であろうことを答えた。
　シリルのその推測が事実であるなら、多くの冒険者や迷える者に助言や技術を与え、導いたとされる彼が自分たちに危害を加える可能性は高くはないのだろう。現に、彼は今こうして、シャルリシア寮生達と、ここに残ったその他の人びとも救っている。
　……だが、ずいぶん前にエルクレストから去ったと言われていた彼が、なぜ今この時に、あまりにもタイミングよく現れ、そして当たり前のようにシャルリシア寮生達や、自分たちを助けようとしてくれるのか？それは、無視し続けていい問題ではないはずだった。
　そして、指示がひと段落したであろうタイミングを見計らい、この場にいた全員が持っていただろうその疑問を、フィシルは代表するかのようにディアロへ問いかける。何故、自分たちの味方をしに来てくれたのか、と。
　自分たちよりも、はるかに高度な能力を持った存在であることは理解していただろう。しかし、それを聞くフィシルの声には、戸惑いのようなものはあったとしても、恐れや震えはなかった。そんな一人の学生からの問いかけに、ディアロは少しの間、満足そうな表情を浮かべたあと、答える。
　まず１つ。自分自身がかつて、わずかながらにシャルリシア寮生達と交流を持つ機会があり、その結果、彼等のあり様を好ましく感じたからということ。
　……そしてもう一つ。自分には、本来この件に関して無関係というわけでもない身内がいるが、それがどうしても、戦いがあると知りながらもこの場にやってこようとしなかったことで、せめてその代わりにと思ったからだということを。
　身内、という謎の存在が話に出てきたことで、シリルは反射的にそれを聞き返そうとしたが、対するディアロは、それについては話すつもりもなく、気にする必要はないとさらに答えた。結果として、確かな納得を得ることができなかったシャルロッテが、少し声を荒げつつも追求しようとしたのだが……その瞬間、空気が、変わった。
　遠い。少なくとも今いるここからではない。
　しかし、それは逆に言えば、それほど離れているはずなのにまるで全身を突き刺すような危機感を持って感じられる、強大な魔力だ。
　その感覚に少しだけ眉を顰めつつ、ディアロは解説する。ベルゼブブが、本気を出そうとしている、と。
　これまでは部隊や戦力によって駆け引きを行っていたが……いよいよ全てが面倒になって、自分の魔力による力づくですべて消し飛ばそうというのだ。
　その解説を聞いたシリルが、珍しく嫌悪感を露わにし、所詮は魔族か、と悪態をつきながらも、対抗策をディアロに相談しようとする。しかし、ディアロは心配はいらない、といった。
　今この場所に、最強の援軍が到着しようとしている。あとは「彼」に任せよう。
　そのディアロの言葉が、具体的にどういう意味であるかを理解できるのは、その時には彼のほかにいない。だが、ディアロはそれ以上の説明は不要とばかりに、最後に指示を飛ばしていた前線の生徒達にも心配はいらない、というメッセージを送って周囲の機械をしまい、そしてその場を去ろうとする。次の目的地へ向かわせてもらう、と。
　それを思わず引きとめようとするシリル達ではあったが、ここに自分がこれ以上留まることに意味はないとばかりに立ち去るディアロの足は止まらない。
　……しかし、その「次の目的地」に向かう途中、ディアロは一言だけ、呟いていた。
　サタン。……まさか、本当に……
　と。

　……ベルゼブブがその眼前に集約させた強大な魔力の塊は、それが炸裂すれば今ここにいる者達はおろか、学園自体を巻き込んだ全体へと被害を及ぼすのではないかというほど強大なものだ。
　そしてそれは当然、ベルゼブブの味方側であるはずのルアダン、ブレアスとその軍までも巻き添えにしてしまうということであり、さすがに両者はベルゼブブへの反感をあらわにしたが、ベルゼブブは学生如きに抵抗を許すような戦力は、もはや腐り消えても何も問題はないと言い放ち、その蛮行を止めようとはしない。
　もはや今から、その攻撃をやめさせる手段はない。その場にいるベルゼブブ以外の全員が、これから放たれる圧倒的災厄に何としても対処すべく防備を固めている。……だがその時、ザムトとリュミルが、この場に更なる異質な、そして強大な力が迫っていることを感じ取った。そして、二人に送れて他の者達もその「何か」に気づきその方向へ視線を向けたと同時に……ベルゼブブはその魔力を解き放った。
　この世のあらゆる腐敗を内包するかのような、あまりにもどす黒く、穢れた魔力の塊は、ベルゼブブの手から離れるとともに一直線に飛び、エルクレスト・カレッジ関係者と妖魔、魔族達が戦う戦域全体の、ちょうど中心ともいうべき位置へ落ちる。そして、爆発の前兆と言うべき大きな脈動が走り、その腐敗は全てへと炸裂する－－その瞬間だった。
　鼓動する魔力の塊の周囲を、まばゆい輝きを放つ光の壁が、突如覆う。そしてその中でついに破裂した魔力が一斉に広がり始めるも、その光の壁は、邪悪たるその魔術をひとかけらたりとも逃がしはしない。
　まるでその壁がこの世と地獄の境目であるかのような。そう思えるほどの禍々しき暗黒が、もだえるかのように激しく壁の中で跳ねまわり続けていたが、時がたつにつれ、それも終わりを迎えつつある。壁の中の闇がその色を薄れさせ、やがてそこにも通常の景色が見えるようになった時、そこに残っていたのは以前輝きを失わぬ、その壁だけであった。
　……ベルゼブブの魔術が抑え込まれたこの時、この場にいた人間たちが感じていた感情は、安堵と言うよりも驚愕に傾いていたといっていい。上位魔族の本気すら、単独で抑え込むほどの圧倒的神聖魔術。それを操る存在が、この場にやってきたことに。
　そして、エルクレスト・カレッジの反対側から、確かにこの場所を目指して進んでくる、まだ遠い人影がある。だが、その距離からでも思わず目をそらせなくなってしまいそうなほどの、圧倒的な力のオーラ。奴こそが、この所業の行使者に違いない。それは、その者と深いかかわりのあったザムトとリュミルだけでなく、その場にいた全ての者が理解していた。
　「神の武具」&amp;link_anchor(バウラス・ジーク・スヴァルエルト,pageid=26){バウラス・ジーク・スヴァルエルト}がやってきたということに。
　その存在を認識した直後、ブレアスはすぐさまに、軍の撤退を判断し、配下へと通達していた。戦場のレベルは、もはや人類抹殺の一環として、ティオルジュの策謀をたわむれに手伝うというレベルを越えてしまったからだ。そしてそれに続き、ルダアンもまた、非常に不愉快そうな表情を浮かべつつ、ゴブリン軍団へ撤退を命じる。
　ベルゼブブは愉悦のような困惑のような、なんともつかない声音で、まさか自分を震えさせるほどの人間がいたとは、とその存在を評する。……しかし、彼もまた、ティオルジュの配下の提案に戯れとばかりに乗りかけてここに来たのである。この状況下でバウラスと討ちあうことは得策でないと、その頭脳は理解をしていた。
　こうして、こちら側の戦いの切り札であったはずの上位魔族と妖魔王を失うことになったティオルジュの配下は、悲鳴のような声で馬鹿な、と繰り返した。そして、その驚きと迷いを経て、ようやく冷静さを取り戻した時、この作戦を中断し、自分もまた撤退するべきだと判断したのであったが……そのわずかな遅れが、彼にとって凄惨なる結末を呼んでしまう。
　何者かに掴まれた、ということを感じ振り向いたとき、その眼前にはバウラスがいた。ついさっきの瞬間まで、遥か彼方にいたはずの男が。
　その現象に理解が追いつかず、思わず間の抜けた声を出してしまったティオルジュの配下であったが、彼にそれ以上の思考の時間は与えられなかった。その直後には、バウラスがもう片腕で振りかざしていたメイスによって叩き潰されていたからだ。断末魔の悲鳴をあげながらその頭部を損壊させたあわれなる魔族は、そのまままるで天に捧げるようにつるしあげられた跡、巨大な光の柱に呑まれ、跡形もなく消え去ったのであった。
　……ほんの数秒前まで、崩壊と混沌の予兆に満ちていたはずのこの戦場に、あまりにも唐突な静寂が訪れた。動ける状態にあった妖魔や魔族は、すでにその主らと共に撤退している。
　その静寂の中、半ば呆気にとられたような表情ながら、ファムが戦いが終わったのであろうか、と口にし、それをきっかけに正気を取り戻したかのように、リュミルがバウラスへ、どうしてここにきたのか、と問いを投げかけたが……バウラスはそれに、答えることはなかった。
　いずれにせよ、この戦場から心の魔の策謀に加担するものはいなくなった。それをナイルやライベルが確認すると、カミュラは、自分たちもシャルリシア寮生達のもとへ向かい、無事を確認するべきだろうかと提案した。そしてそれにキキョウがうなずいたが……彼女はその時、バウラスもまた、そこに向かおうとしていることに気づくのだった。
　未だ一言も言葉を発しないまま、バウラスはシャルリシア寮生達のいる、行動を目指し進んでいく。だが、それに対して、杖を突きつけつつ制止しようとする者がいた。エルヴィラだ。
　エルヴィラはまず、バウラスの助力に感謝の言葉を述べた。しかし、もしその進行目的が、シャルリシア寮生達を害することにあるのであれば、その先に進ませることはできない。
　バウラスの全身から放たれる、あまりにも圧倒的な神気に圧倒されながらも、学園の長は決して怯まず、そう言い放つ。……しかし、バウラスは止まらない。また、エルヴィラの持っていた杖も、まるで空気そのものに叩き落されたかの如く、地面に転がされてしまう。その様を見て、リュミルは思わず、バウラスが本気でやるつもりだというのなら、それを止めるなどできるはずがないと口にしていた。
　そして、ザムトもまたリュミルのその言葉にうなずくのであったが……しかし、と続けて、彼は言った。
　今日にいたるまで、ここにいるエルクレスト・カレッジの先生、あるいは生徒達が行ってきた努力とは、ひとえに、心の魔にシャルリシア寮生が屈し、人を滅ぼす破壊の化身となってしまうのを防ぐための事だったはずなのだと、ザムトは知っている。
　そして、それが本当に叶うとするのであれば。もはやシャルリシア寮生達は、人に仇なす存在を滅ぼす者である、バウラスの敵とされる理由がない。だから、ここでエルヴィラや、ファム達にとって大切なことは、もはやバウラスがシャルリシア寮生達の元へ、たどり着くかつかないかではない。
　今日のことを含む、今までにやってきた全てのことと、そしてシャルリシア寮生達自身の強さが、心の魔に勝利し、その運命を切り開くのかどうか。ただ、それだけなのだ。
　そのザムトの言葉を聞いて、少しの沈黙の後。その場にいる全員の心を代弁するかの如く、ファムは答える。
　大丈夫。シャルリシア寮生達は。そして私達の仲間は、必ず勝つ。
　その答えの後に、バウラスに続いて講堂へと向かっていく彼女達の姿に、迷いはないのであった。

　それと時を同じくして。講堂内には、心がティオルジュの元へと戦いに向かい、おいてかれた肉体だけとなった生徒達の肉体と、そしてそれを不満げに見つめるエーエルがいた。そして、そこに一人、外からの参入者が現れる。ディアロだ。そして、彼は初対面となるエーエルに自己紹介を行うのだったが……その時、彼は自らを「ディアロ・トゥエルヴ」と名乗った。
　ディアロがただ物ではないことは、彼が外で戦線の指揮をとった時にはすでに、エーエルは理解していた。そして、その力量とその名前、そして彼がエクスマキナであることが加わった時……エーエルはディアロを、ナンバーズデビルの……&amp;link_anchor(ハルファス・セブン,pageid=26){ハルファス}の一員であることをすぐに思い立たせ、また、ディアロもそれを狙い、自らの真名を明かしたのである。
　そして、そんなエーエルにハルファスは、自分はこの場所に、シャルリシア寮生とのわずかな縁と……ハルファスの代理としてやってきたのだということを明かす。
　ハルファスはその性格ゆえ、自らとこの件のかかわりを否定し、決して関与することはないという姿勢を固辞していた。……だが、妖魔王と上位魔族という相手まで来ていたこの戦場に来ることを、あのハルファスが本来、そこまで断固拒絶する理由はないはずであり……つまるところ、かつて自分が見限った相手であるエンザの目的を、今さら助けてしまう形になることを嫌っていたのだ。しかし、そこまで心の中にエンザの行動のことが残されているのは……少なからず、ハルファスの中に思うところが、まだ残っているはずでもある。
　しかし、それを告げても、ハルファスは決してそれを認め、ここにやってくることはないだろう。だから、自分が代理としてきたのだと、ディアロは言う。
　ディアロがハルファスの代理として、勝手にこの場にやってきた。それ自体はいいだろう。だが、今エーエルが気にかけたのは、外にバウラスもまた、やってきているということについてだった。結果として、外の戦場にはこの二人がやってきたことによって、大きな被害すらなく状況を鎮圧させることができていた。……そして、自分はシャルリシア寮生達が、ティオルジュを倒すための手助けとなる行動を行ったのだ。
　どういうことだというのだ。とエーエルは苛立ちながら叫ぶ。バウラスも、ハルファスも、エーエルも。全員が全員、エンザのやろうとしたことを見限ったから、エンザは仲間を失ったのではないのか。
　だが、これではまるで……結局は３人ともが、エンザの願いを聞き入れてしまったようなものではないのか……そう感じてしまう感情のはぜりを、ディアロもまた、理解していたようだった。ゆえに彼は、エーエルに向かってこう投げかける。
　確かに、それはエンザの選んだことを、愚かなもののままとして断じたかったエーエルにとって腹ただしいことなのだろう。だが、それはディアロにとっては、そこまでおかしなこととは思えないことだった。なぜなら、人の行動の結果は、一つのところに集結することが定められるものではないはずだと考えられるからだ。
　確かに、エーエルもバウラスもハルファスも、エンザと決別し、見限った。しかし、エンザからはそうではなかったのだろう。
　例え思想の違いからの決別を拒めなかったとしても……それでもエンザにとって、バウラス達は仲間だった。その力と心を理解し、そして頼ろうとしていた。そうできるよう願っていたのだ。
　そして、エンザが死んだとしても、彼の残した道を受け継ぎ、それを信じてくれる者達がいる。だから、彼の願いもまた消えない。それがこうして、完全に別たれたかに見えた縁を、呼びよせているのだ。
　願いは消えていない。ディアロはそういったが、エーエルはそれに対し、それももう終わる、と返した。エンザの道と願いを受け取った少年少女達……シャルリシア寮生は、ティオルジュに対抗する術を失ったのだから。
　それを聞き、ディアロは一度頷く。確かに、状況は絶望的な局面にまで、ついに追い込まれたのかもしれない。だが、その絶望的な場面のはずながら、シャルリシア寮生達だけでなく、それに力を貸すためここで眠る生徒達の誰もが、まだ戻ってきてはいない。ティオルジュに立ち向かうためその元に向かった生徒達は、まだ一人として諦めていないのだ。
　エーエルはそれを、自ら被害を拡大させる選択だ、と非難する。しかしディアロはこう口を開く。
　エーエルという人物についての評判を聞くに、エーエルにとって、知識とは自分だけのものであればいいのだ。ゆえに、何かに教えられるという事に、感謝をする必要がない。加えて、自分にはその気になれば、ほぼすべてを知ること能力があるのだから、自分が今知りえない領域に、あえて興味を持つ必要もない。
　だが、であればだからこそ。その自分の知りえない領域の中に、今の自分には気づけなかった価値がある事を教えてくれるものがいたら、そのものへの感謝を持ってもいいはずだ。それは、自分一人では、きっとたどり着くことのできなかった領域にであったはずだから。……ディアロは、そう考える。
　ディアロのその言葉の意図をつかめず、エーエルはさらにいらだっているようであったが、ディアロはそんな彼女に構わず、冷静で、平穏な様子のままで続ける。つまり、ここで今エーエルがやっているように、自分の思う通りに人が動こうとしないことに、そこまでの苛立ちを感じる必要はないはずだと。
　エーエルにとって、シャルリシア寮生達の失敗は、自身の思う通りになるということ。そして成功は、エーエルだけでは見いだせなかった、新たな境地に他ならない。
　願うならそれもいいだろう。だが、恐れることはない。今のこの状況は、エーエルにとってそういう場面ではない。
　エンザが命を懸けてつむぎ、シャルリシア寮生へと託された道が何を結ぶのか、それを見届ける心を持つ。それだけのはずだから。
　……そして、そこから先、ティオルジュとシャルリシア寮生、そしてその友人たちの戦いが終わるまで、二人は言葉を交わさなかった。


　その身に友の、あるいは恋人たちの心と力を宿らせたシャルリシア寮生達を前にして、ティオルジュはもはや、これまでのように力を温存することはできない。ティオルジュは、シャルリシア寮生達がここに来るときに戦ったものとにた、シャルリシア寮生達それぞれの力の片鱗を持つ影を周囲に呼び出しただけでなく、ティオルジュ自身の力も、さらに増幅させていた。ここから繰り出される攻撃は、先ほどの比ではないだろう。シャルリシア寮生達がその全力を取り戻したとして、なお強大な敵である。
　……しかし、そこに加えられた信頼の力は、精神世界であるこの場において計り知れない力を彼女達にもたらしている。ティオルジュは確かに強く、しかもその力を、時間とともに増大させていく。ならば、今もてるこの力を、全ての思いをのせて全力でぶつけるまで。
　最初にさしむけられたティオルジュの連撃と、そしてそれに続くように仕掛けられた影たちの攻撃のほとんどを、ラピスの魔術による強化と、ミトによる守護、何より自分を信頼した仲間たちの数だけ加えられた、運命の力で回避し、切り抜けた一同は、レシィによって強化された行動力を持って攻勢にかかる。ミルカによる、ティオルジュと影たちをすべて巻き込んだ魔術は、今持ちうるありとあらゆる力によって増強され、ティオルジュ以外の敵をほぼ消滅させることで口火を開き、脅威が軽減されたティオルジュのふもとへと、満を持してジャックが踏み込んでいく。移動の分だけ、その力は削がれているはずだが、今のジャックはそれを微塵も感じさせないほどの力をその身にたぎらせている。この二人の攻撃だけでも、ティオルジュは大きくその身を揺らがせざるをえなかった。シャルリシア寮生達と、それに心を預けた仲間たちの力は、今度こそ間違いなく、通用しているのだ。
　そしてそのわずかな隙を逃さぬように、閃光の如きクレハの一撃がさらにダメージを奪った上で、ここが勝機とばかりに決死の行動力にてシャルリシア寮生達は再度の攻勢に入った。ティオルジュそれに呼応するように新たな影を増援として生み出すも、ミルカの連続魔法はそれをまたもまとめて薙ぎ払っていく。そしてそれによりさらなる傷を負ったティオルジュが怯みを見せた時……一瞬、世界が光に包まれた。

　……全てが光に包まれた中で、姿なき声がする。穏やかなようで……しかしどこか厳しい、女性の声だ。
　声は言う。「あなた」の役目は、その名に示された通り、人類への毒となることである、と。
　我が主は仰った。傲慢にして横暴なる、人と言う種族に滅びの鉄槌を、と。
　「あなた」はその使命の通り、人を全て滅ぼすのだ。
　……しかし。

　ほんの一瞬の間、その幻を見たシャルリシア寮生達であったが、この時にはもう、先ほどまでと同じ、ティオルジュとの戦いの場へと情景は戻されていた。……だが、どうやらそれが見えたのは、シャルリシア寮生達だけではなく……ティオルジュも同じであったようだ。そして、彼もまた、突如現れたその幻に困惑していた。それが一体なんであるのか……それを彼自身もまた、知らなかったから。
　だが、戦いは終わらない。ほんの一瞬だけ戦いの手を止めざるを得なかった両者であったが、今がなお、決着をつけねばならぬ時であるのは、誰もが知っていたから。
　そしてその意を表すかの如く、ジャックが再度、その剣を振りかぶった。今度の攻撃は、移動してからのものではない。解き放たれるその瞬間を待ちわびたかのごとき剛力の剣閃が、怒りの力を持ってティオルジュを撃ちすえる。一撃でも大地を割り裂くのではないかと思うほどのその攻撃を、ジャックは二度。そして、ミトの力を借りての再行動により、計四度繰り出し、ティオルジュに絶大的なダメージを与えていた。
　ティオルジュが大きく揺らぎ、その表情をゆがませる。そしてその時……また、光が彼らを包んだ。

　またこの光景。そして、聞こえてくる声も同じものだ。声は、先ほどの続きを語っているようだった。
　主の下僕でありながら、私は思う。……人は本当に、滅ばなければいけないだろうかと。
　確かに、主を陥れ、その命を奪って頂上種と言う覇権に酔おうとしたことは、制裁が下るに値する。しかし、その責を人類だと言うだけで他のあらゆるものに背負わせ……そしてあまつさえ、異世界の人類にまでそれを及ばせることが許されるのだろうか？……もはやそれは、行き過ぎた怨嗟としか、いえないのではないかと。
　……しかし、「あなた」がそうであるように、私もまた、創造主の意思に逆らうことはできない。そして、呪と怒りのままに命を落とした主の意思は、すでにそれのみが怨念となり、変わることがなく、その責を誰も、負わせることすらできなくなったのだ。
　よって、「あなた」はこの世界に放る。そして、はじめはわずかに、いずれは致命的に人へ浸食し、人を増すばかりの絶望に染めて滅ぼすであろう。……だが。
　もし、主が人を滅ぼすことを決めた原因となった、傲慢にして横暴に満ちた人の負の性質を。
　自らの意思ではねのけ、そして、他者とも互いに調和し合っていくことで、よりよい未来を描いていくことができる。そして、「あなた」から与えられるあらゆる絶望をうけきって、なおまだその意志を失わずに支え合える。
　そんな人びとが、もし本当に、いたとしたら。
　その者達は、「あなた」を倒しうるかもしれない。そして、私はそれを正しいと考える。
　なぜなら、それは主がありえないと断じた……滅ぼされるべきではない、「人の世界」を作れる者達のはずだから。
　だから、私は『あなた』へ……破壊と滅びを与えることを快楽に思うのではなく、それを無為だと感じる感情を、あえて与えるのだ。
　主から私に、私から「あなた」に、「あなた」から人類に。
　救いなく与えられていく呪いが……もし、終わってくれる時が来たとき。
　それが、「あなた」にとって悲しみではなく、「あなた」を含めた、全てに対する解放であるために。
　そう、「あなた」が。
　「あなた」を、滅ぼしうるものに対して……

　……これは、なんだというのだ。
　ティオルジュは、愕然としていた。今の今まで、このような光景は全く記憶になかった。しかし、それはまるで……ティオルジュを生み出した者が、ティオルジュに残したメッセージのようで。
　そして、それと同時に、この光景は自分たちとつながる、シャルリシア寮生達にも見せられていたものであることに気づく。彼女達から向けられる感傷的な視線を受けたティオルジュはさらに動揺していたが、ティオルジュはそれを振り切るように吠えた。
　……例え、自分が何者であったとしても。為すべき使命は、この体に残り続けている。そのために、必ずここでシャルリシア寮生達を倒す。
　だが、それに対し、叫び返す者がいた。ラピスだ。
　でも、それを空しいと思えるのなら。それは続けるべきではないはず。そう悲痛に語りかけるラピスを、しかしティオルジュは拒絶した。
　何がしたいか、何をするか、ではない。それは全て定められている。
　自分は生物ではない。目的のために作り出された道具なのだ。そしてそれはまだ振るわれている。ここではない、別世界の神の怨念によって。
　ゆえに、壊れ果てるまで、もはや止まらない。……ティオルジュには、それしかないのだ。
　ティオルジュはついに、己の持ちうる技の中で、最大級の脅威となるであろう攻撃を解き放とうとする。それは、自らが侵食した相手……シャルリシア寮生達から、その体力と活力……あるいは運命力ですら、強制的に吸い上げてしまう大技。それが使用されれば、一同はあらゆる面での衰弱をよぎなくされてしまう。
　しかし、そこに対応して、クレハが動いた。いや、動いたのはきっとクレハだけではない。シャルリシア寮生達の中にいる、シーフの技を持つ全ての生徒達が、思いをひとつにし、それがクレハの行動を増幅させていた。
　だがそれでも、全身から自分のすべてが吸い出されるかのような虚弱感の中、その足を駆けさせるのは大きな負担がある。クレハはティオルジュへその手を付けるまでの間、何度もその場に撃ち崩れそうになる。……しかし、その手は届いた。
　そしてただがむしゃらにティオルジュを突き飛ばし、なんとか、その発動を妨害する。そこに、麗美さはない。ただただ、必死でやっただけだ。だが、クレハは自分たちはそれでいいのだと考え、自分たちの生きる意志が、この場に現れたのだと叫ぶ。
　そして、ティオルジュもそれを認め、クレハへ敬意の視線を送り……だが自分たちがシャルリシア寮生達を倒すという主張を崩さない。しかし、その言葉尻は強くなっている。それは怒っているというより……ただ、止められないことを。そして、止めようとしないでほしいということを、表すかのようだった。
　そんなティオルジュに、シャルリシア寮生達もまた、ただ戦うことでしか答えることはできない。ラピスが撃ちこんだ魔力の楔によって生まれたほころびへ、二度吸い込まれていくクレハのナイフは、避けようも防ぎようもなく、ティオルジュの体力を確かに奪っていく。だがそれでも、その動きは止まろうとはしない。シャルリシア寮生達全員をすべて吹き飛ばそうとばかりに、もう一度その手をかざそうとしたその瞬間……クレハの舞うような足運びに導かれ、ジャックがもう一度、その剣をふりあげた。
　先ほどのジャック自身の攻撃によって、怒りの力を使い果たしたそれは、確かに威力を落としてはいる。しかし、それでもこの正念場、最終局面に振りかざされたその力は、まさに鬼神の如き攻撃だ。
　だが、その二連撃を受けてもなお、ティオルジュは立っている。ジャックの剣が、ティオルジュの体に触れたままその勢いを止め、力を失う……そう、ティオルジュが感じた瞬間であった。
　ジャックが吠える。そして、仲間たちもまた、その意志に己が心を託すかの如く、全ての想いをその剣へ集める。……そして、剣にもう一度、力が宿った。
　全ての想いを載せて、ただひたすらに、そしてわずか少しに、その切先の先へと動いたジャックの剣は、ティオルジュの体を刺し貫く。その最後の衝撃を受けて、ティオルジュはついに、苦悶の声と共に、動きを止めたのだ。
　全てを出し尽くしたとばかりに、肩を震わせながら、ジャックがその剣をティオルジュから引き抜くと同時に、ティオルジュは膝から崩れ落ち、その場へと倒れた。……戦いが、終わったのだ。

　……ティオルジュの体から、力が失われていく。その感覚に気づいたとき、ラピスはティオルジュの名を呼び、その傍に駆け寄った。……しかし、崩壊は止まらず、その体は少しずつ、粒子のようなものと化して薄くなっていく。
　……だが、そんな状態でありながら、ティオルジュの表情はとても穏やかであった。そして、ティオルジュは語る。
　……身体が崩れていくと同時に、自分の中にあった、黒く濁った何かが消えていくのも感じる。今、確かに終わったのだろう。
　ティオルジュ自身も知らなかった。自分は呪いでありながら……ほんの少しだけ、願いを込めて、この世に生まれていたことを。
　そしてその込められた願いは……シャルリシア寮生達のような人々を、ずっと待っていたのだ。だから、その光景がシャルリシア寮生達にも伝えられたのだろう。
　そう。シャルリシア寮生達のおかげで、ティオルジュはようやく、知ることができたのだ。
　なぜ、人類を滅ぼす呪いという使命を持たされていながら……それを無為に感じ続けたのか。
　それは、とある神の怨念により始まってしまった、限りない憎しみを終わらせてくれるものに出会えた時。
　それを成してくれた者の未来を、祝福するためだったのだと。
　その言葉を聞いて、わかっているよ、と頷く。その涙にぬれた瞳に、ただ消えていくティオルジュを映しながら。
　しかし、ティオルジュはそこで、ゆるやかな笑顔を浮かべて見せた。ラピスへ……そしてシャルリシア寮生へ、そんな顔をしないで、とばかりに。……それは、彼にとって、初めての表情だ。

　ありがとう。
　君達は、全てを解き放った。救ってくれたのだ。

　その姿と言葉に対し、戦いの終止符をその手でうったジャックが厳かに祈り、呪いによって生きた生命が、生まれ変わりにて救いを受けることを願う。それを聞いたティオルジュが、自分のような存在に生まれ変わりが許されるのだろうかと言うと、それに、ミルカが答えた。
　自分たちは、自分の、そしてみんなの願いの力で、これまでのことをやり遂げて見せた。
　だから、今のあなたに願いがあるのなら……それも、きっと叶うはずだ、と。
　そしてティオルジュは、もう一度笑った。そうだな、と頷く。今の自分なら、分かる。自分が何かを願うこと、そして、他者が願ってくれること。それは時に、奇跡を生むのだと。
　……そして、呪いは、終わる。
　ティオルジュの姿の大部分が消え失せ、もうその表情も分からない。しかし、そこから聞こえる声は、穏やかなままだ。

　これからの、君達の未来に。
　幸あらん、ことを。

　……その言葉を最後に、シャルリシア寮生達の前にいた者の姿は、完全に消え去った。そして、シャルリシア寮生達と意識を共にしている生徒達は少しの間、現状況への戸惑いを見せたものの、やがて快哉を叫ぶに至った。……どうやら、シャルリシア寮生達とティオルジュが最後に何を話していたのかは、あの「声」の光景同様、見えなかったらしい。
　しかし、それでもガイブやユエル、メギアムをはじめとした何人かは、シャルリシア寮生達が勝利の後も、何故か晴れやかとは言えない様子なのを見逃してはおらず、何があったのかを問いかける。……だが、シャルリシア寮生達は、今は多くは語らない。ただ、自分たちのやったこと、そして、呪いさえなければ、きっとわかり合えたのであろう心を持った存在のことを思うから。
　そして、快哉が鎮まってきたころ……みんなの視線が、自然とミルカに集まった。そして、これまでプリフェクトとして、シャルリシア寮の先頭に立ってきた彼女は言う。

　帰りましょう。みんなのいる、エルクレスト・カレッジに。

　きっと、それ以上の言葉はなかった。今やるべき全てが、終わったのだということに対して－－


　……エーエルとディアロの、そして、シャルリシア寮生とそれに付き従った生徒達の体がいる、エルクレストカレッジの講堂へ、一人の男がやってきた。それはもちろん、バウラスだ。そしてその後より、追うようにしてエルヴィラやファム達もやってきたが、バウラスは他に何も存在しないかの如く無造作に、エーエルへ状況を尋ねるのだった。
　それに対し、エーエルは毒々しげに、心の魔への抵抗手段を奪われ、すでに勝ち目はないこと、しかし、シャルリシア寮生とその仲間たちは、それでもなおあがくことを選択したことを伝える。
　……そしてエーエルはバウラスに問いかけた。ここにお前が来たのは、世界に害なす存在となるだろう者達を滅ぼすためであるのだろうと。であれば、バウラスは今すぐに、ここにいるシャルリシア寮生達を……いや、その周りにいる者達も全員、殺すことによって禍根を断つべきではないかと。
　そのエーエルの言葉を受けてもバウラスは無言ではあったが、やがて、その足を一歩、シャルリシア寮生達の方へと踏み出した。それを、背後にいたエルヴィラ達が押しとどめようとしたその時……今なお心を旅立たせたままであるはずの一同の体が、動いた。そして、それと同時に、エーエルは自分が干渉していた、シャルリシア寮生達の心の中につなげられている、ティオルジュの空間が消え去っていくのを感じたのだ。
　まさか、本当に。そう狼狽するエーエルに向かって、ようやく、あんたのほえ面を拝むことができた、という台詞を投げかける者がいた。それはジャックだ。そして、他のシャルリシア寮生達と、生徒達も同様に、この世界に意識を取り戻し、立ち上がり始めている。
　眠りから覚めたように立ち上がる彼女達は、みな、それ以前と変わる様子もなく……なにより、その表情に、仕草に、自分たちはやり遂げたのだ、という意思が宿っているようだった。それを感じたエルクレスト・カレッジの人々は、彼女達よりそう言われる間でもなく、勝ったのだ、という事実に湧き上がろうとする。……しかし。
　その存在を知る者は、まだその喜びに浸りきることはできない。そう、バウラス・ジーク・スヴァルエルトが、まだこの場にいるからだ。その存在が、その力が何をこの後もたらすというのか、そのことを思えば、まだ決して、シャルリシア寮生達は安泰ではないように思えた。
　そして、バウラスが先の出来事に一度止めた足を、もう一度進める。向かう先は、ミルカだ。彼は手を静かに伸ばし、その身に触れようとしている。
　バウラスの動向を警戒していた人々は、その様子に思わず臨戦態勢を取る。……しかし、今まさにその行動が放たれようとする直前で、それは押しとどめられた。バウラスにではなく、ミルカの様子にだ。
　ミルカは、近づいてくるバウラスを、恐れるでもなく、見つめていた。その時、ミルカが何を考えていたのか、それを知る者はいない。しかし、ただただそれを受け入れるかのような、静かながら厳かな様子に、みなは射止められたのである。
　そして、それを止めるものもないまま、バウラスはその手と、ミルカへの距離を縮めていく。そして、それがついに、その体に触れるか触れないかとなった時……

（……大丈夫だ）

　……そんな、声がした。それが本当に声だったのかはわからない。何故なら、それは音となって、耳によって聞き取ったものではない気がしたから。シャルリシア寮生達はそう感じていたが……その時、バウラスもまた、その動きを止め、まるで何かを探すように視線を一巡りしている。

（……お前にもう、そんなことはさせない。もう、しなくて、いいんだ）

　また、そう聞こえた。
　幻聴ではないのか、と聞かれれば、それを否定しきることは難しいだろう。だが、シャルリシア寮生達と……そしてバウラスは、それが聞こえたとしか思えなかった。
　バウラスが手を伸ばし、ミルカがそれをただ見つめたまま、数瞬の時が過ぎた。自分の直前まで迫ったその腕に、ミルカがわずかな鼓動のようなものを感じ取った時……それは、バウラスの体へと引き戻される。
　そして、次に踵を返し……背中を向けて、講堂を後にしようとした。一瞬とはいえ、絶対なる威圧感で講堂を支配した男の、あまりに唐突な退場に、多くの者は疑問符を浮かべている。
　だが、その背中へ言葉を投げかける者がいた。リュミルだ。
　リュミルは何故だ、と叫ぶ。エーエルが言った通り、バウラスが来たのは、シャルリシア寮生達を、この世界を害するだろう連中を滅ぼすためのはずだ、と。
　そして、バウラスはその言葉に対し、振り返りもせず、その必要は、もうない、と返す。
　シャルリシア寮生達は、人類に害なす脅威に、そして、その身の堕落の危険性に、打ち勝ったのだからと。
　……そのバウラスの返答に、リュミルは認めたくないとばかりに首を振る。きれいごとばかりをのたまうような、この世界を下劣なものに貶めている者達に、活路が開かれたなんてあってはいけない、と。
　しかし、バウラスがそう告げた以上、シャルリシア寮生達を滅ぼさなければいけない理由は、もうない。リュミルは、その怨念をぶつけるための、大義名分を失ったのだ。
　……だから、リュミルは一度手にかけた銃を、抜くことはできなかった。ふざけるな、といいつつ、その場にうずくまるだけだ。ザムトと……そしてナタフとシズナはそのリュミルの姿を見て、こちらも決着だ、と感じたのであった。
　そして、バウラスが完全に講堂を去った後、ディアロもまた、久しぶりの再会になったシャルリシア寮生達への挨拶と、その健闘を称える言葉を送る。だが、彼はそれを言い終えると、もはやこれ以上、自分が干渉すべきではないといわんばかりに、その場を後にしようとする。そしてその去り際に、未だ驚愕と苛立ちが半々のような表情でシャルリシア寮生達を見るエーエルに対して、せめて、何か話をするべきではないのかとだけ告げていき……その後わずかな沈黙の後、エーエルは問いかけた。
　どうして、勝てたというのだ。お前たちの判断が、正しかったというのかと。
　未だに変わらぬエーエルのその様子に、さしもの一同も辟易していたところであろう。そしてその言葉に、レシィが困惑と呆れを持って見つめ返し……そして、ミルカは言葉で答えた。
　私達の信じるべきものを、信じ続けたからだ、と。
　エーエルは、その言葉に反論を失いながらも、それでも納得をしようとはしていなかった、往生際の悪いその様子に、ラピスはただ自分だけの考えにすがった独りよがりなあなたよりも、エンザ先生の方が正しかったという結果なのだということを、痛烈に突きつける。そうしたシャルリシア寮生達の言葉に対し……エーエルは、何も答えられない。
　そして、ラピスは続けて、あの時の約束通り、エンザに、謝ってくれという要求をする。……かつて([[第十五話]]最後のあたり参照）ラピスがそう求めた時には、心の中でもいい、という条件を付けていたはずのそのことを、ラピスはその時、意図的に省いていた。それは恐らく、自分たちはやり遂げてみせたのだということ以上に、エンザの意志を侮辱し続けたエーエルに対する怒りゆえだろう。
　……エーエルは、それにも何も答えない。しかし、その言葉を無視するでなく……そして、ラピスが約束の内容を変化させたことを指摘するでもなく……ただ、厳しい瞳で向けられるラピスの視線へ、その瞳を合わせかえす。
　そしてまたわずかな沈黙の後……エーエルの瞳が揺らぎ、悔しさと……そして、屈服のようなものに、一瞬染まる。だが、その直後には、彼女は転移魔術にて、そこから姿を消していたのだった。

　バウラス、ディアロ、エーエル。それらが去った時、仮面の騎士もまた、その姿を消していた。
　エルクレスト・カレッジを去り、その外れにまでやってきた彼女の前にいるのは、一人の婦人……&amp;link_anchor(キャロル・アルマー,pageid=26){キャロル・アルマー}である。その眼前で恭しく頭を下げ、仮面の騎士……フレイスは、ジャック達の勝利を彼女へと報告するのだった。
　その報告を聞いたキャロルはうなずきつつ、誇らしさと寂しさをそれぞれにじませた表情で、ジャックがいるのであろうエルクレスト・カレッジの方角を見つめる。……だが、決してその足を息子の元へと向けようとはしないその様子に、フレイスはふと、よいのですか、という言葉をかけてしまうのだった。
　キャロルはそれに、そんなことができるだろうか、と答える。キャロルがアルマー家にとしばりつけたつもりでいたジャックの運命は、その実、さらに大きなものに縛り付けられていたのだ。……しかし、そこでジャックは、そのことをキャロルへ伝えようとはしなかった。そこに、キャロルの存在の介在を望まなかったのだ。
　だから、そこに自分の出る幕はない、キャロルはそう思っていたが……一体どうやったというのか、フレイスが独自に、ジャックが戦おうとしている相手とその事情を知らせて来た時に、どうしても、ここに来ずにはいられなかった。何かをせずにはいられなかったのだ。
　しかし、やはりそれでも、今ジャックに直接出会うことはできない。ジャックが望まなかったかもしれないのにやってきてしまった自分に、その資格があると信じることは難しかったから。……そして、エルーラン（[[第十一話]]終わりごろ参照）での別れ際、ジャックが言ってくれたあの言葉だけでも、自分にとっては救いであり……そしてそれが、崩れるのが怖いからだ。
　そんな自分の内面を語るキャロルに、従者たるフレイスは、もはや静かに聞き届けるのみであった。そこまで心の葛藤に揺れる主に、これ以上の苦悩を強いる決意は、今のフレイスにはまだないから。
　だから、キャロルはその場から、動かずに祈るだけだ。ジャックに、これからも強く生きてほしいと。
　そして、いつか、堂々と自分から会いに行けるようになりたい。ということをである。

　去るべきものが去り、シャルリシア寮生達の勝利に湧く歓声もひと段落してきたころ……シャルリシア寮生達の前に、エルヴィラが進み出た。自信もまたシャルリシア寮生の勝利と帰還を祝うと同時に……これから、何か大切なことを伝えなければいけないわんばかりの様子に、講堂内は一度静まりかえり、その静寂の中、エルヴィラは語り始める。
　心の魔、ティオルジュを倒し。シャルリシア寮生達は、自分の人生を取り返した。それは、シャルリシア寮生達自身にとってだけではなく、その人生が自由である事を願った人の願いも、また叶えられたということだ。
　……ゆえに、それと同時に、エルヴィラ達は、シャルリシア寮生達に確認をしなければいけないことがあったのだ。
　シャルリシア寮は、エンザをはじめとした、エルクレストの人びとによって、シャルリシア寮生達が心の魔に打ち勝つまでの成長をしてもらうために作られた場所であった。すでに説明されていた通り、今のシャルリシア寮生達ができうる限りそこに集められたのはそういう理由である、
　……だが、その目的と願いが果たされた今となっては、シャルリシア寮生達の居場所は今一度、ひとりひとりの意思によって選ばれるべきなのだ。今ここにいない、エンザはかつて、全てが終わった時には、とそう主張しており、そしてそれは、エルヴィラ達も同様だった。
　だから、エルヴィラは問いかける。
　あなたたちにとって、シャルリシア寮とは何か。
　そして、これからあなたたちは、どこに行くことを望むか、と。
　……学園に来てからこれまで、様々なことがあった。それは決して楽な事ばかりではなく、むしろ苦難も多くあったが……だからこそシャルリシア寮生としての日々は、自分たちを成長させてくれたのだと全員が実感できる。ミルカがエルヴィラに対して答えた、「自分にとっての、新しい故郷」という答えは、全員が同じく思うものであっただろう。
　だから、心の魔の問題が解決し……真の自分の意思で居場所を決めなければならぬとしても、彼女たちはみな、今はここに残ることを決めていた。大切な人と日々を過ごし……そしてさらに、成長していくために。
　だが、ミルカだけは、同じくここを卒業するまで在学するという意思は持ちながらも、少しの間だけ、学園を離れて旅に出ることを決意していたようであった。それは彼女自身のためではなく……ある人物と、約束をしていたからだ。
　しかし、そうなるとその間、シャルリシア寮のプリフェクトは不在ということになってしまう。そこで俺の出番か、とばかりにお手製のタスキをひっさげ前に出てくるドゥさんやハクバを全力で無視しながら、その間誰がプリフェクトの役につくのかということで話し合う一同。そしてその中で、ラピスとミトが、最年長であり、頼りがいのあるジャックが代行するべきではないかと言い始めたところで、彼等の意図せぬ方向より、その様を愉快そうに眺めていたらしい、誰かの声がかけられた。アルゼオである。……そして、その後ろにいるのは、ダバランだ。
　復活した二人の姿に、シャルリシア寮生達のみならずそこにいた全員から歓声が上がった。そしてアルゼオはそれを受けつつ、自分たちと、そしてシャルリシア寮生達自身を救ってくれた一同に対して深く礼をして回る。特に、シャルリシア寮ができる前より、互いに認め合う仲であったジャックと、その成長のために、彼が使うことを見越して兵法書を残していたレシィには。
　そして少しすると、&amp;link_anchor(マルティン・カナール,pageid=22){マルティン}が二人の元に駆け寄り、その無事を涙を流して喜んでいた。……しかし、アルゼオがそれに笑顔で答え、自分たちが不在の間、ブルギニオンを取りまとめてくれていたことを感謝する一方、ダバランの顔は浮かない。それは、言うまでもなく、ダバランには敵の策略に堕ち、事態を悪化させてしまったという負い目があるからだ。
　そのことに一言も触れず、ただ、自分の帰還を喜んでくれる親友に対して、ダバランは逆に、それを口に出さずにはいられなかった。しかし、そんな自分を何故迎えてくれるのかということに対する答えは、すでに出ている。
　マルティンは言う。確かに、ダバラン自身にとってはそうでしかない出来事だったのだろう。しかし、それはきっと、そんなダバランに対して、本当に支えになることはできなかった、自分たちの責任でもあるはずなのだ。ダバランを、孤独に戦わせてしまったのだと。
　そんなこと、と思わず返そうとしたダバランだったが、それを見つめ返すマルティンのあまりに真摯な瞳と……そして、マルティンが周囲を指すように広げた手の先の光景を見て、その言葉を失った。
　みんながみんな、ダバランを真摯に、そして優しく見つめている。全てを許すように。……いや、心配するな、と伝えるかのように。
　ここにいるみんなが、そう思っている。そのマルティンの言葉と、ここにいる全ての人の優しさに触れ、ダバランはただ、立ち尽くすしかできない。……そしてそこに、アルゼオが背中を押した。
　お前はすでに、良き人々に恵まれた。あとは、伝えるだけだ、と。
　……そして、ダバランは叫んだ、聞いてほしい、と。
　自分は弱かった。だから、強さに憧れ、してはいけない選択をしてしまった。
　だが、ようやくわかった。力とは、自分の中だけのものではない。互いに信頼し合える者がいてくれるのなら、それをはるかにしのぐほどの、強い力になるのだと。
　だから、ダバランは望む。自分が信頼する人々……今この場にいる、全ての者へ。
　自分だけでは手に負えなくなる時、みんなに助けを求めることを、許してほしい。
　そんな時、救ってほしいと願うことを、自分と共にある力になってほしいと願うことを許してほしい。
　それを許してくれるなら、自分は、今度こそ。
　自分自身を誇って生きていける。こんなにも素晴らしい人々に恵まれた人生を、自分は得たのだから、と……
　……そのダバランの叫びの後、少しだけ場は鎮まった。
　それは一見にして、答えに対する困惑を表す沈黙にも見えたかもしれない。だが、そうではない。
　それはただ、ダバランの言葉を、彼の本当の願いを、それを聞いたひとりひとりが、深く心に刻むための時間で。
　ほんの数瞬の後、やがて静寂は、穏やかな拍手の音で破られる。そして、ダバランにもまたも、もう心配はいらない、とばかりに笑顔でかけられる言葉によっても。
　……ありがとう。ダバランは、このあまりにも暖かな人の心に、ただそういうことしかできない。
　本当に、ありがとう。そう言葉にする彼の瞳からは、大粒の涙がこぼれおちていく。そして、それを咎めるものなど、ここにはだれ一人いようはずがなかった。
　……こうして、ダバランが許しを受け入れ、心の魔の存在によって始まった禍根は、すべて決着を見せたといえる。
　この暖かな人の輪に。そして、自らが戻るべきと決めたこの場所に帰ってきた彼女たちは、これから何を選択していくのであろうか……


　ラピスは、ガイブと共にいた。
　自分たちと仲間の勝利を讃えあう二人。その距離は近く、互いの心の間にも一切の隔たりは感じられない。そして、ガイブはそんな二人の関係を表すかのごとく、これからずっと傍にいられることを笑顔で言葉にしている。
　しかし、それに対するラピスは、顔をうつ向かせていた。その様子に、ガイブは一瞬、自分がラピスに拒絶されたのではないかと驚愕するのであったが、もちろんそのはずはない。……ラピスは、ハナに対して気遣っているのだ。
　ラピスは以前（[[第十三話]]終盤参照）、ハナに対して、心の傷は時間をかけて癒していけばいい、ということを告げた。しかし、そう言った当の本人が愛する人を得て、その幸せを享受する日々を暮らしているとなれば、好きだった人を失ったことをまだ少なからず痛みとして持つであろうハナに対し、申し訳が立たないような気がしていたのであろう。
　それゆえに、ラピスはガイブとの関係を、周囲にはまだ秘密にしておきたいのだ、と相談を持ち掛ける。それを聞いたガイブは、今のハナならばきっと、ただ純粋にラピスの幸せを祝福してくれるだろうとは答えるのだったが、ハナの心の問題を真正面から受け止めた相手である、ラピスからハナへの配慮があることは理解しており……そして何より、ラピスが自分に望んでくれることは、できる限りそうしてあげたいと思っていた。
　ガイブの了解を聞くと、ラピスは周りに誰もいないこの空間で、その華奢な体をガイブに預け、肩へ頭を寄せる。ガイブはそのラピスの体と心を、柔らかな笑みを持って受け止めるのだった。

　……そして、二人の間に密約が交わされてより数日後。互いに手を握り合いたい気持ちを抑えつつ、なるべくただの友人のように図書館の近くを移動していたラピスとガイブを、突然呼び止めるものがいた。レイスである。
　ちょうどいいところに、と満面の笑顔でにじり寄るレイスに対し、一体何事かと思う二人であったが、聞けば、このすぐ近くの部屋で、今ジェンガ勝負が開始されているのだという。それに参加しているレイスの次の相手はドゥーラであり、彼は厳しいジェンガ修行（本人談）を修めて自信満々らしい。
　……だから、ね？
　レイスがそこまで言ったところで、ラピスはぽん、と優しくその手をレイスにかける。そして言うのだ。
　《フィジカルエンチャント（器用）》と。
　そしてそれどころか、おまけどばかりにゴヴァノン神の加護まで与え、あふれる魔力の恩恵でもはや光輝いて見えるレイスが、ラピスに感謝と信頼の笑みを向けつつ、勝負へと挑んでいく。そしてそれを見たドゥーラはレイスを包む謎のオーラに審議を挟もうとするも、結局気のせいで押し切られていた。そしてついでにその裏では、レイスによるドゥーラのぎゃくさ……もとい試合を見守りつつ、「正直これって卑怯に当たらないか」と恋人に恐る恐る進言するガイブが、ラピスに「ジェンギストの間に卑怯と言う言葉はない」と返答されていた。
　そして数分後、あまりにもあっけなく崩れ落ちた木の塔と一人のサハギンに、周囲から快哉やら笑いやら、様々な声がかけられている。そしてそれを見ていたガイブは、（内容自体はともかく）それぞれが楽しそうに遊ぶその様子を見て、今度は自分たちもやってみようか、と提案する。そしてそれに対し……ラピスは、それなら、自分の部屋で、二人だけでやりたい、とポツリとつぶやいたのだった。
　女性の部屋で、二人きり。例えそこで行うのがジェンガであることはわかっていたとしても、なかなか魔力のこもった言葉であったといえるだろう。現に、それを聞いたガイブはわかりやすく狼狽えており、すぐにうなずくこともできない様子であった。
　……しかし、ジェンガに盛り上がる場の裏で交わされていた、その様子を見逃していない者がいた。&amp;link_anchor(ネフィ,pageid=22){ネフィ}である。彼女は、二人が思わず醸し出してしまった甘いやり取りに対し、「二人はいつからつきあっておられたのですか？」という疑問をぶつけてしまう。そしてその瞬間、その場にいた全員の興味が、再建されつつある木の塔から、ラピスとガイブへ向いていた。
　どういうこと。レイスもドゥーラも、そしてそれ以外の生徒も。驚きと共にラピス達を見つめている。ガイブはその視線に焦る反面、なんとか頭をクールダウンさせ、ここで怖気ないことが大切だという判断を下していた。先ほどのネフィの問いは、少なくとも現段階では、疑惑に過ぎないはず。ならば、本心への呵責はあるものの、そんなことはない、と否定することで、まだラピスとの約束は守れる。そのために、ガイブは口を開－－
「何で知ってるんですか！？」
　－－くその瞬間。自分のすぐそばからそんな叫び声がした。もちろん、それを発したのはラピスだ。それと同時に、今まで視線を飛ばしてくるだけだった周囲の人々がガタっと動き出したときの音は、ガイブにはまるで、雪崩の決壊のように聞こえた気がした。
　どういうことだ、一体いつ。そんな言葉と共にレイスが、ドゥーラが、そしてその他生徒達が押し寄せてくるにいたって、ラピスはようやく、自分の失言に気づいていた。ガイブを見、生徒達を見、そしてその失言によって引き起こされた事態にまでようやく頭が回ってから、ラピスはまるでゆであがったかの如く赤くなり。
《テレポート》
　と、そう唱えていた。瞬時にして消えた恋人に、ガイブはもはや、せめて自分も逃がして欲しかったというツッコミをいれるしかできない。もはや、詰め寄る生徒の波にもみくちゃにされるまで秒読みといったガイブであったが、ふと、同じくラピスに置いていかれたらしいドゥさんと目が合う。
　最近あいつ、逃げることにためらいがなくなってきたよな。そう語る恋人のファミリアに、ま、まぁ、色々と積極的な行動をするようになった証かなと思うと、あくまでポジティブな言葉を帰すガイブ。ドゥさんはそのガイブの度量に感心しつつ……そろそろ自分も本体に引かれて飛ばされる時間だから、と一方的なアディオスを告げ、消えていった。結局、ガイブをここより救い出す者はおらず……彼がこの後、身体も秘密も数の暴力にたたき出されたのは言うまでもないだろう。
　そして一方。そんな彼氏の惨状に思いをいたらせるどころでなく、ただただ茹った思考回路を抑えるのに夢中で、ベットの上で足をバタバタするラピスの元へ、ドゥさんが帰還する。そして彼はラピスのそんな様子を見たあと、ふぅと一息ついて。
「悔しいけれど、アイツに夢中かぁ！？」
　そう得意の台詞で決めたところに、馬鹿、とラピスが叫んだのであった。
　

　ミルカは、セイの元へとやってきていた。皆で力を合わせたあの戦いのことをもう一度振り返った後、ミルカはセイにあることを告げる。それは、自分はシズナと共に、少しの間旅に出るということだ。
　まだ、自分のがこれから生きていくべき世界のことを知れずにいるシズナのために、この世界の広さと、その多様性を見せてあげなければいけない。それが約束であり、ミルカの望みだった。……しかし、そうすれば同じく、自分を頼ってくれる相手であるセイと、しばらく離れ離れになってしまうのは致し方ないところであり、それゆえにミルカは、あらかじめ彼女へ伝えに来たのだ。
　しかし、それを聞いたセイに狼狽える様子はなかった。彼女もすでにシズナのこと、そして、シズナがどういう状況にあるかは、おぼろげながら理解している。シズナを良く導くためには、一度ミルカと共に旅に出る必要があるということに対して異論はないし、必要な事なら、ミルカと離れ離れの日々も、再会を待ちわびながら過ごしていけるのだ。だが。
　……必要な事なら、といった。そう、必要なら、だ。セイは思っていたのである。
　だが、そもそも自分がついて行ってはいけないということはないのではないか、と。
　その言葉に、ミルカは思わず一瞬固まった。確かに、セイのいうことは一理ある。だが、それに二つ返事で頷いてあげることはできなかった。おそらく、未だに心の中の問題は残っているシズナが、心を許してくれたのだろう自分以外の人と共にいたとしたら、逆効果になりうるのではないかということを心配していたのだろう。
　しかし、セイはしきりに、二人が旅に出るのなら、それについていきたいのだということを主張する。セイはセイなりに、シズナのことを理解し、今のシズナなら、旅の仲間が増えても大丈夫なはずということを信じてはいたようだが、やはりその動機は今の自分が何より信頼する相手、ミルカと共にいたいという気持ちが大きいのだろう。神の戦士という肩書はどこへやら、童女のように懇願するセイを、ミルカは扱いかねるように見るしかなかった。
　……しかし、そんな彼女に、残念ながら救いの神は今に限り見当たらないようだ。
　二人の視界の隅に、ちらりと何か異質なものが映る。それに気づいた二人がその方向を見ると、身体は壁の向こうに隠してはいるものの……背中から伸びた、大きな翼がそこに収まり切れていない。そしてその翼の主は気づかれたことを察知したようで、迷うような少しの時間の後、やがて壁から全身を乗り出した。もちろん、そこにいたのはマゼットだ。
　思わず無言になった二人に、マゼットは話は聞かせてもらった、と切り出す。ミルカがシズナとの旅に出るため、しばらくの間学園を離れるというのは、シズナのために必要なことであるし、そこにはミルカがいなければならないのも間違いない。そして、友の心のために、そこまで身を尽くして行動できるのは、さすがミルカだと敬服していることをマゼットは言う。……しかし。
　……それにセイもついていくというのであれば、自分もついて行ってはいけない理由はないのではないか？セイよりは幾分悩みつつ、彼女らしくもなくちらちらとミルカの顔色を窺いつつのようではあったが、マゼットもそう思っていたわけである。
　二人は間違いなく、ミルカにとっても心の許せる友だ。しかし、セイに目的を伝えに来たミルカの当初の考えからすれば、今の二人はある意味では障害と言ってよかった。
　だが、二人は決して悪意でその意志をミルカに伝えているのではなく、あくまで、自分もミルカと旅をしたいということ、そして、今のシズナなら、同行者が増えることにも問題はないはずと思えているからそう主張しているのである。そう聞いてもなお、ミルカにはまだここの二人を連れて行ってよいものか悩みを感じてるのだったが、結局、断り切ることはできないのだった。

　……その後、ミルカはシズナへ、話の展開を語っていた。それを聞いたシズナは、どうしてその二人もついてくるのだろう、と純粋な疑問を口にして、ミルカをまたも困らせるのであった。
　しかし、ミルカのそうした表情を見て、シズナは自分のことで、ミルカが困ってしまっていることに思い当たったようでもあった。そしてシズナは、少し前の彼女では決して浮かべることのなかったであろう優しい微笑みを浮かべ、ミルカに大丈夫、と答えた。
　マゼットもセイも、確かに特別親しいというわけではなかったが、自分と同じくミルカを、シャルリシア寮生を信頼する人々だということは、あの戦いの中でよくわかっている。
　そんな彼女達とならば、共に旅をするということにも特段不安はないし、それに、彼女達のミルカへの信頼も知っているから、それを無視することもしたくはない。
　シズナのそのあまりに柔らかな表情を見れば、ミルカもまた、全てを受け入れるほかはなかった。こうして、旅路は二人旅から一転、四人旅となり、彼女達はこの少し後、しばしの間エルクレスト・カレッジを離れるであろう。
　生き方を見つける旅、というよりは、仲のいい生徒達での旅行、という風になってしまったことをミルカは気にしているかもしれないが、これはこれで、シズナにとっても悪くない可能性はあるだろう。
　戦いと願いの末、人びとの優しさの輪に触れていくことを選択できた、今のシズナならば。


　エルクレスト・カレッジの一室に、レシィはいた。彼は今まさに、かねてよりアルゼオより学びたいと願っていた兵法術についてを教えてもらっている最中である……のだが、その傍らには、レシィの大切な人である、ユエルもいた。どうも、すっかり隠れてエルクレスト・カレッジにやってくることに慣れてしまったようである。
　しかし、今ここでアルゼオの前に堂々と姿を現していることからも分かるように、それを許可していたのはアルゼオであった。……といっても、彼とてあくまで一生徒なのだから、そこで許可したからといって、万事問題ないということはないはずなのだが……アルゼオが柔らかな笑みを浮かべながらユエルを認めるその言動には、何故か不安は感じないのだった。
　しかし、唐突にやってきたユエルではあったが、ここで行われる「授業」を妨害してしまう気はないらしく、またアルゼオにも一度聞いてみたらどうか、と勧められたのもあって、結局、レシィへの授業は、生徒側にユエルを追加して予定通り行われることになった。
　数十分の間、アルゼオはよどみなく講義を続け、レシィはそれに対し、勤勉な態度で向き合っている。そしてユエルはというと……聞いてはいたのだが、内容はよく理解できずにいるようだった。臆面もなく、わかりませんでした、とはっきり宣言するパートナーには、レシィもさすがに少々笑顔を引きつらせてしまうのであったが、そう返されたアルゼオは、講義をうまく伝えられなかったことを詫びつつも、そんな少女と少年の様子がほほえましいのか、笑顔は浮かべたままだった。
　ちょうどいい区切りだ、と抗議はそこで、一時中断とされ、そしてアルゼオは、二人に対して将来の話をしようか、と持ち掛けた。まずは自分の事から、といい、アルゼオは将来、自分もまた、エルクレスト・カレッジの教師になるつもりであった、ということを語る。
　レシィにとっても、それは大いにうなずける話だ。先ほどの講義も、ユエルはわからなかったらしいとはいえ、自分にとっては、相手にわかりやすく、要点を述べ、そして生徒が自分で考えることも優先してくれており、いい授業であった。そんな授業ができるアルゼオなら……いや、アルゼオの人となりと人望があれば、きっと立派な先生になれるだろう。そうレシィは断言してもいいくらいだった。
　……だが、シャルリシア寮生達や……そしてそれに力を貸し、立ち上がった生徒達の姿を見て、アルゼオはある確信を深めたという。それは、この学園にはもうすでに、素晴らしい心と素質を秘めた人々が大勢いるということだ。
　そんな人たちがいてくれるから、この学園のことは、もう大丈夫だと、アルゼオは今、本心からそう思えていた。それに、この学園を卒業しても、先生となってこの学園に帰ろうと考えてくれていた人々は、自分だけではない。
　ゆえに、アルゼオは少し考えをかえることにしたのだ、という。それは、自分は教師ではなく、エルクレスト評議会の一員となることで、エルクレスト・カレッジを含めた、この街をよりよくしていこうということであった。
　……実は、エンザがかつて、自身の計画を生徒側の人間として唯一伝えたことからもわかるように、教師陣よりの信任も厚いアルゼオは、卒業後に教師になることを暗に望まれていたという。しかし、今アルゼオは、自分の意思でその道ではなく、別の道を選んだ。自分の能力を、そして学んできたことを、この街のために役立てたいと思った。
　そんなアルゼオの決意を聞けば、レシィも頷かざるを得ない。なんにせよ、アルゼオの将来を応援することを決めたレシィであったが、そんなレシィへ、今度はアルゼオから質問が返された。君は将来、何になりたいかと。
　その言葉に、レシィはすこし狼狽える。まず、たくさん勉強して、ここを卒業するということは決めている。でもその先のこととなると、すぐには見つけられそうにはなかった。
　答えを悩むレシィに、ユエルは笑いながら、だったら、一緒に冒険者をやろうか。と誘いをかける。ユエルはどうやら、これからも冒険者稼業を続けていくつもりらしい。
　愛する人と一緒に、世界中を旅し、困っている人を助けて回る。争い事が好きな性分ではないレシィだが、ユエルと一緒であれば、そんな生活も決して悪くはないだろう。
　一方、アルゼオはそんなユエルの提案を肯定しつつも、自分としては、と言って語ったのはレシィこそ、教師になるべき人かもしれないということであった。
　勤勉で、他人の痛みを自分の事のように思う優しさがあり、そして、辛いことにくじけず前を向いていける精神をもっている。そんなレシィこそが、先の若者たちを導く存在になってもいいのではないかと。
　二人はそれぞれが違う提案をしているが、それはあくまでレシィを困らせるためではなく、レシィの未来には、様々な可能性があるということを示唆するためのものだ。もし、レシィがこれから選んでいく道が二人の言ったもの以外の何かであったとしても、それがレシィの本心なら、間違いなくユエルも、アルゼオも。そしてその周囲にいる誰もが、それを認め、応援するであろう。
　そのことを知っているからか……困ったようにしながらも、レシィの心には、不安はなかった。今自分の傍にいてくれる、大切な彼女がこの世界にいてくれる限り、これから先のどんなことも、何とかできると思えるから。そう。もっと強くなることも、様々なことを知り、学ぶことも。
　……そうしたら、いつか、「あの人」を迎えに行けるかもしれない。そう思えば、とりあえず当面のところの迷いはないのだと、レシィは考えていた。
　レシィは、その時を信じ、日々を過ごす。一日ごとにゆるやかに、しかし確かに、成長を重ねながら。


　サイオウ、ヴァリアス、アーゼス、それにクレハを加えた（自称）「男の鉄の絆軍団」は、とある一室にいた。今日、話があると言ってそれを呼び集めたのは、クレハである。いつになく真面目な様子のクレハに、一体何の話だろうかと思いを巡らせる３人。そして、わずかな静寂の後、クレハの口から語られたのは……
「……なあお前たち、好きな人いるか？」
　……そのあまりにも青春的な問いかけに、返す態度は三者三様であった。
　もちろん心に決めた人がいる。と豪語しているらしいのだが、口に出す恥ずかしさからからどもりまくっていてほとんどなにを言っているのかわからないサイオウ。
　ふと視線を外し、誰かのことを考えてはいたようだが、やがて、まだ早いかもな、とさわやかに笑って見せたヴァリアス。
　そして、いる、ということにしたいのだが、正直相応の女性とまともに話しあえたことすらないとヘタレ具合を隠せないアーゼスである。
　そんな友人たちの反応に、クレハはそうか、とうなずいたあと、実は自分も、恋した相手がいるんだ、と打ち解けるのであったが、その告白は、３人に少なからずの衝撃を生んだようだった。どうやら、いつのまにか「１００人の女性をもてあそんだ男」という噂がされていたらしい。いくら自分がかつてホストであったとはいえ、あんまりな評判にクレハは思わず表情を引きつらせる。
　しかし、それでもクレハの想いは本物だった。そう語るクレハに、３人もその気持ちを推し量り、同じく真剣な面持ちになっていく。クレハがそれをここで自分たちに話したということは、その恋への応援を求めているからに違いあるまい。ゆえに、３人は二も三もなく、クレハのその想いを遂げさせることを誓って見せ……その上で聞いた。その相手は、誰であるのかと。そして、クレハは答える。

「……部長だ」

　その瞬間、まるで妖魔王の奇襲を受けたかのごとき圧倒的危機感を感じ、３人は飛びのいていた。
　聞き間違いか。まずそう考えた。しかし、３人が３人とも「その名前」を聞いたとしか思えないリアクションをしているし、それでいてクレハの様子も、やはり真剣そのものである。ゆえに、彼らは口々に、こう言うしかなかったのだ。

「目を覚ますんだ……！」

　と。それだけ彼らは、「あの」部長に恋をするものがいることを信じられなかったのである。その英雄的ふるまいゆえ気にせずにいたが、思えばクレハはこれまで自分が生きられるかどうかの瀬戸際に立たされており、そしてそれからようやく解放されたばかりなのだ。その極限状況が、常識では説明のつかないほどの気の迷いを引き起こすこともあるのかもしれない。
　だが、そんな３人からの呼びかけを受けてもなお、クレハの心は一切揺るがなかった。彼女のためなら、例え地獄の果てでも共に行く覚悟があると、ひとかけらの迷いもなくいいきり……そして、すでに部長への告白と共に渡すプレゼントさえ用意していたクレハに、３人はもはや戦慄めいた感覚を引き起こされつつも、その想いが断じて気の迷いなどではないことを認めるのであった。
　そして、そんなクレハの覚悟を認めた３人がするべきことは、クレハから部長への告白を、どのように成功させるかということだ。正直、仮にエルヴィラ学長を相手にするとしても、その方がまだたやすく思えるほど、策を弄するのに困難な相手であると思えてならないが、クレハの想いに応えるには、それでもなんとかやって見せるほかない。ここが、男の絆の見せ所だ。３人はそう固く誓い、そしてクレハへ様々な案を出していく……はずだったのだが。
　サイオウが一つ目の案を出したときに、わずかに聞こえるほど。
　ヴァリアスがそれへの対案を口にした時に、確かな音となって。
　アーゼスがその気配に気づいた時には……あまりに耳になじんでしまった、金属の重厚感をともなって、それは鳴り響いていた。
　&amp;bold(){カシャーン……カシャーン……！}
　アーゼスが振り向いたその瞬間、その眼前に飛び込んできた全身鎧の姿に、３人はもしや移動魔術でも使用したのではないかと思うほど唐突に、そして忽然と走り去っていた。そして、その去り際に、別たれた友、クレハへこう送る。
「クレハ……お前の人生スゲーよ……！」
　そんな彼らの言葉に答える暇もなく、クレハは部長に声をかけられる。一体何の話だったのか、とそう聞く部長に対し、クレハは半ばパニックになりながら、様々なことを考えていたようだったが……やがて、その身を引き締め、懐に持っていたプレゼントを差し出し、伝える。

「あなたが、好きです」

　……少しの沈黙。そして、その後に答えた部長の言葉は……
「……気は確かか？」
　……あんまりな言葉だ。確かに、部長は自分が、誰かから恋愛の対象とされるような存在ではないと自覚していたというのはあるだろう。それにしても、自分を好きだと言ってくれた相手に、そんな言葉がいえるものだろうか。
　……だが、クレハの想いは、その言葉一つでは全く揺るがない。それはきっと、クレハは部長が……彼女がどういう人であるのかを知っていたし、何より……自分が彼女と共に生きていけるなら、どんなことでもできるという決意が確かにあったからだ。だから、答える。

「はい。これから先、どんな時でも、必ずあなたの傍にいます」

　そしてまた、沈黙が流れた。相も変わらず、その顔をフェイスガードによって覆った部長の表情はおろか、視線すらうかがうことはできない。しかし、クレハは真摯に、鎧の向こうにある、部長を見つめ続けていた。
　そして、部長が動く。クレハから差し出されたプレゼントを、ゆっくりと、丁寧に受け取り……そして、言う。
　自分も、考えていた。
　これから生きていくうえで、もし一人のとある人の存在が傍にあったとしたら、それはどれだけ救いのある事で……幸せなことなのだろうか。
　そして、その存在とはまぎれもない。クレハなのだと。
　部長は感謝した。クレハが、どんなところにでも、必ず傍にいるといってくれたことが。部長は、自分自身がいずれ、また命の危険がある任務をこなさねばならないだろうことを知っていた。だが、そんな危険から帰ってくるための理由を……自分がそうしたいと思える活力をクレハが与えてくれることに、本心から感謝していたのだ。
　全身鎧の、フェイスガードが解放される。その向こうには、あの可憐な狼族の少女が……いままでに見たことがないほど、優しげな、そして嬉しそうな笑顔をうかべていた。そして、部長は答える。
　ありがとう、私は幸せ者だ、と。クレハの想いは、確かに届いた。互いの想いは、通じ合ったのだ。
　その答えに、クレハもまた幸福を感じ……ているところに、部長からすっと、二つの帳簿が差し出された。一体なんなのか、と思わず質問したクレハへ、部長が答える。
　自分と一緒に来てくれるというのなら、今後ネオ・ダイナストカバルに向かうこともあるだろうから、その中から好きなモチーフを選ぶがいい。
　一聞して意味不明の言葉であったが、その帳簿の中身を確認すると、それを理解する。そこにあったのは、ネオ・ダイナストカバルの怪人モチーフ一覧だ。……しかし、それは部長なりの冗談であり、本心では、クレハを怪人にするつもりは（怪人になったら役立ちそうだとは思いつつも）ないという。だが、当のクレハはその帳簿を見せられても、動揺こそしたものの怪人になること自体については部長のためならと認めていたようで、その決意の深さには、さしもの部長も感嘆せざるをえないのであった。
　……ところで、帳簿は２つある。片方が怪人についてのものなら、もう片方はなんであろう？そのようにクレハが考えて、それをめくると、そちらには今日分の陸上部のトレーニングメニューが記されているのであった。……ただし、その内容量は、見間違いでなければこれまで行ってきたものの倍ほどの密度があるような気がする。果たして、これもジョークか。そう思って部長の可憐な顔を振り返ったクレハへ、部長は笑顔のままでいう。
　自身の運命に決着をつけた今、今まで以上に精力的に鍛錬に打ち込めるというものだな、と。
　さて、先ほど逃げ出したアーゼスも含め、そろそろ今日のトレーニングを始めるか。フェイスガードを再度装着しつつ、そう宣言する部長。またも陸上部のグラウンドに悲鳴の嵐が巻き起こる気配であったが……クレハは、その未来へ戦慄は感じながらも、そう言って進み始めた部長の後をついていくことに、迷いを見せなかった。
　この学園にいる間も、そしてここを出てからも。自分がいるべき場所は、愛する人のすぐそばだ。
　それを決めたから。そして、認めてもらえたから。


　ジャックのいる場所に、訪ねてくる人物がいた。サーニャである。
　ジャックの人生に課せられた、二度目の戦いが終わった。最初の戦いを決意で、第二の戦いをそれに加え、仲間との力で勝利したジャックをサーニャは讃え、そして問いかける。この先、ジャックはどのような人生を歩むのかと。
　強大な敵との戦いの果てに、再度自身の手に取り戻した未来。この学園を卒業するという当面の目標はあるとしても、そこを巣立った後、自分は何をするのか。……ジャックはそれに対し、明確な答えを持っていたわけではなかった。しかし、それはジャックが、今焦る必要はないのだということを知っていたからなのだ。
　……今のジャックには、帰るところがある。学生としての務めを果たしたならば……その時は家に帰り、もう一度、自分と母の、自分とアルマー家の関係を見つめなおすのも、悪くはないだろう。
　シャルリシア寮生となり、様々な経験を経る前なら。あのエルクレストでの一件（[[第十話Ｂ]]参照）を経る前のジャックならば、そのようなことは考えなかっただろう。彼もまた影響を受け、成長をしていたことを、その思考の変化ははっきりと物語っている。そして、それは未だにキャロルを元主人として案じるサーニャにとっても喜ばしいことであり、静かにそう語ったジャックを見る表情は、笑顔であった。
　しかし、どうやら話はそれだけで終わりではないようだ。まだ、やるべきことを見定めていたわけでないのであればといいつつ、サーニャはジャックへ、将来の提案があったようだ。
　私と共に、メギアム様方の御力となっていただけませんか。サーニャはジャックの目をまっすぐに見て、そう語った。
　サーニャが言うには、メギアムはこの学園を卒業した後には、ジャック同様エルーランに帰還するつもりでいるとのことだ。しかしそれは、決して再度王族としての地位を得るためにではなく……エルーランという国を脅かす下劣な姦計や策略を監視し、そして阻止していくためであるという。……つまり、メギアムは王としての地位を完全に捨てた今となっても、国のために戦い続けるつもりでいるのだ。
　……そして、そのためには力がいる。メギアムの傍にはもちろん、最強の王女たるプリンセス・ミトという存在が寄り添い、いかなる時もその力となってはくれるだろう。しかし、彼らに必要な力はきっと、それにとどまることはない。メギアムの考えを主従を越えて理解した仲間が……彼らにとっての真の騎士もまた、必要なはずだ。
　サーニャは、自身がそれになるということを決めている。そして、それと同時に、１つのことを願っていた。
　その時、自分と共に並び立つ騎士として、ジャックがいてくれればと。
　……もちろん、それはジャックが力ある戦士であるからこその望みではある。しかし、サーニャはその機械の体に込められた、作りものではないもの……自分の心の中に、それと同じくらい……あるいはそれ以上の理由がある事を感じ取っていた。
　それを全て説明することはできそうにない。しかし、サーニャはそれでいいと思った。大切なのは、自分が将来、ジャックと共にメギアムのための。エルーランのための力になりたいと思っている、そのことのはずだから。
　そんなサーニャの言葉を、ジャックはどう受け止めたか。その心もまた、完全に解明することは不可能だろう。
　……しかし、まいったな。といって、いつもの厳かな雰囲気を、わずかに緩ませたジャックが。
　……サーニャに言われる以前から、メギアムの騎士となり、サーニャらと共に力を合わせて戦う自分の姿を、幾度か想像していたという自白をしたジャックが、サーニャから提案されたその未来を、望ましくないものと考えていたということはないだろう。
　ジャックのその返答に、サーニャはもう一度笑う。それは、安心、喜び……人にとってのそういったものが混ざり合った、幸福の表情だ。
　……互いに、言葉の饒舌さではなく、心の真摯さを信じ彼らは、もはやそれ以上の会話を必要としない。
　互いに視線を合わせ、そして、自らの信念を宿したる剣を掲げ、合わせる。
　今より数年後、エルーランの精鋭騎士団をってしても、決して劣るところを見せぬ騎士たちが、その国の力となるだろう。
　それはおそらく、確実なことだ。


　園芸部部室に、ミトはいた。しかし、園芸部の部長たるデュフェールでなくとも、その光景には目を疑ったであろう。なんと、ミトは勉強していた。それも、多数の本に囲まれ、まるで学者の雰囲気だ。そしてそれにミリティスがよりそい、手助けをしているようである。
　ポーションを作るというわけでもなさそうなのだが、一心に勉強に励んでいるミトの様子を、思わずデュフェールが見つめていると、やがてその存在に気づき、ミトから声がかかる。そして、彼女に発見されたデュフェールがその勉強の目的を聞くと、ミトは答える。
　ミルカがしばらくの間旅に出るということで、彼女が戻ってくるまでの間、シャルリシア寮のプリフェクトの責務を誰かが負う必要がある。ミトは、その役につくのはメンバーの中でも最年長であり、頼り分も申し分ないジャックであると考えているのだが、一つ問題があった。それは、ジャックは戦士と言う職業がら、洞察力にはたけていても、知能労働に万能というわけではないということである。これまではプリフェクトがミルカであったため、そういう分野もそつなくこなしてみせていたが、ジャックがその関連で四苦八苦することになるかもしれないのは、確かに予想できることだった。
　ジャックは、ミトにとって特に信頼のおける仲間であり、自身やメギアムにとっての騎士である。そして、騎士が苦しむのであれば、プリンセスもまたその苦しみを分かち合い、共に支え合うというのがミト流のプリンセス哲学だ。
　よって、ミトはジャックがプリフェクト代行を任された時のために、自分が知識をつけることによって、ジャックの責務をフォローしようとしているのである。それは確かに立派な心構えと言えるだろう。……しかし、そう聞いたデュフェールは、ミトも決してそうした分野が得意というわけではないのでは、と内心考えることを止められないのであった。
　だが、慣れない分野の勉学に苦心するミトに、傍らのミリティスは、見るだけで癒されるほどの優しい微笑みを浮かべつつ、その頭脳的疲労を緩和する菓子や茶を用意してあげるなど、本心から、疑いなくミトのその行動を応援している。
　ミリティスは、ミトの心と、それが生み出す可能性を全面的に信じている。誰かのためにそうしたい、と思い行動するというのは、大きな意味のあることであり、そしてそれを為そうとするのがミトなら、どんな困難でも克服して、望む結末を得ることができるであろう。そして、そんな努力するミトの友人を自負する自分にできることは、それを疑いなく支えることだと、ミリティスは考えるのだ。
　そしてそんなミリティスの想いは、確かにミトにも伝わっているようだ。彼女は、今の自分も認め、そして寄り添って応援してくれるミリティスの存在に感謝を感じている。そんな二人の心温まる関係を見ていると、最初は不安を感じていたデュフェールの心にも、やがて今ミトのしていることを、ただ応援していこうという気持ちが戻っていくのであった。
　だが、そうして場の不安が消えようとしていた中、現れる一人の少年がいた。メギアムだ。ミトは彼が現れたというだけで表情を華のように輝かせ、メギアムもまた、自分が幸福でたまらないとばかりの笑顔を返すのであった。そんないつもの二人のやり取りを終えると、メギアムはふところをあさり、何かを取り出そうとしていた。
　……かつて図書館で忍んで勉強をしていた（[[第六話]]）ことからもわかるように、メギアムは実はかなりの勉強家である。ミトがジャックのために苦手な勉学に挑むと決めた時には、メギアムもまたそれを大いに認めており、そして自身もまたそんなミトの力になるために、たいそう張り切っていたのだ。
　そんな彼が取り出したのは、一体どこにもっていたのかと言いたくなるほど、分厚い本のセットであった。それを全て読め、といわれたら、大抵のものは思わず後ずさってしまうであろう、そのくらいのボリュームがある。ましてや現在進行形で苦心中のミトにであれば、その心境は推して知るべしだ。
　しかし、当然ながらメギアムに悪気はない。おそらく、ミトの目的を叶えるためにと、少々張り切りすぎてしまっただけなのだ。それをわかってか、あるいは相手が自身の一生のプリンス、メギアムであるからか。ミトはその圧倒的量の書物にも、ひるむことなく向かい合って見せる。……ただし。
　これを読む時は、歌いながらでもいいでしょうか。とミトは言う。いくら彼女が歌の力でほぼすべてに対応できる技能の持ち主であるからとはいえ、それは本当に勉強と言えるのか悩ましいところではあったが、メギアムは君の美しい歌が久しぶりに聞けるのが嬉しいと純粋に喜びを表し、ミリティスも、自分にできる全てでメギアムの期待に応えようとする親友の姿を、ほほえましくみるのであった。

　……そんな勉強を続けつつも、ミトとメギアムが二人だけとなったある時、メギアムは、ミトに聞くのであった。
　ミトの未来を覆う暗雲を打ち破った今、これからのミトと、そしてメギアムの将来を阻むものは、当面の間いなくなったのだろう。ならば、この学園での日々をいつか終えたあと、自分たちはどうするべきなのだろうか、と。
　それに対し、ミトは答える。自分はプリンセスであり、メギアムはプリンスだ。王女と王子である自分たち二人がすべきことというのは、いつの時もおのずと現れるように思える。ゆえに、ミトはこれから先のことを、そこまで大きく考えてはいなかったのだという。
　メギアムはどうか。そう問い返されると、メギアムは少しの沈黙の後、静かに語り始めた。
　メギアムは、いつかまた、エルーランに帰ろうかと考えている。という。
　当面に置いて最大の脅威、&amp;link_anchor(ジャムル・ハイン・アルスタッド,pageid=26){ジャムル}は失脚させたとはいえ、王弟のケストナー等、脅威の可能性を見せているものもまだまだエルーランには存在する。エルーランが真に&amp;link_anchor(アンナ,pageid=26){アンナ王女}の元に心を集め、盤石なる平穏を築き上げるためには、いずれまた、あの時の自分たちのような影の力が必要になることもあるだろうと、メギアムは予測しているからだ。
　……しかし、それは自分の人生の困難にうち勝ち、もう戦いとは無縁の生活を送ることもできるようになったミトにも、汚い陰謀や策略との対面を強いることになってしまうことでもある。だから、メギアムはその考えを推し進めたいとは思っていなかった。彼にとっては、自分にとってただ一人の生涯のプリンセス、ミトの望みを叶えることが何よりも大切だからだ。
　だが、メギアムのその考えを聞いても、ミトは全く躊躇しない。むしろ、ぜひそうしよう、とばかりの笑顔と決意で、メギアムに答えて見せた。……本当のところ、メギアムにもわかっていたのかもしれない。ミトはきっと、それに賛成し、心からそう望んでくれるのだろうと。
　メギアムが、あの国に王族として戻ることはもうない。しかし、それでも自分たちは、かつて失われた王子と王女。自らの国を、よりよくするためにその力を尽くすべき存在なのだ。
　あと数年。ここを二人が卒業するまでの間に、どのようなことがあるかはわからない。しかし、今は自分たちの未来に見える道標が、平穏と正義のために戦うプリンセスとプリンスであるということを、彼女達は疑いなく見つめていられる。
　そして、これから先も、互いの傍に互いがいれば、大丈夫だと信じられたし、幸福だと思えた。
　それがどんな日々でも、毎日を生きていくということが。



　……何かを決めて進んでいくのは、自分にしかできない。
　だから、それを成そうとしたとき、人は他者の意思に軋轢を感じ、少なからず苦しむものだ。
　だが、それでも他者のすべては、君を傷つけるものではない。
　君のしていることが真摯であり、誰に対しても自分の信念として誇ることができ、そして君もまた他者を想えるなら。
　君のやろうとしていることに声をかけ、必要ならばその手を差し出す。そんな人びともいる。
　そして、純粋に自身へ願いをかけてくれる、そんな人びとに出会えたら、それに感謝するだろう。
　そういった巡り会いは、自分だけで願い努力しても、叶えられはしないから。
　そうすることで、自分の行くべき道に、さらに確かな光は指すから。
　だからきっと、私達は信じている。
　We trust us.
　私達の作る、未来を。

－－アリアンロッド・トラスト最終話　「We trust us」完－－


&amp;link_anchor(,pageid=){}
----
**このシナリオに登場したキャラクターまとめ

***シャルリシア寮生と意識を共有したキャラクター
&amp;link_anchor(チーフ,pageid=19){チーフ}
&amp;link_anchor(ガイブ,pageid=19){ガイブ}
&amp;link_anchor(ミリティス,pageid=19){ミリティス}
&amp;link_anchor(デュフェール,pageid=19){デュフェール}
&amp;link_anchor(ハルー・イニス,pageid=19){メギアム}
&amp;link_anchor(サーニャ・リシア,pageid=19){サーニャ・リシア}
&amp;link_anchor(アーゼス・ジェセン,pageid=20){アーゼス・ジェセン}
&amp;link_anchor(イッシー・ハッター,pageid=20){イッシー・ハッター}
&amp;link_anchor(デアス・ヒム,pageid=20){デアス・ヒム}
&amp;link_anchor(ドゥーラ,pageid=20){ドゥーラ}
&amp;link_anchor(マナシエ・バンガロック,pageid=20){マナシエ・バンガロック}
&amp;link_anchor(サイオウ・アマガシ,pageid=21){サイオウ・アマガシ}
&amp;link_anchor(マゼット,pageid=21){マゼット}
&amp;link_anchor(レイス,pageid=21){レイス}
&amp;link_anchor(ダバラン・テレミナス,pageid=22){ダバラン・テレミナス}
&amp;link_anchor(エンジェ・ウィラン,pageid=22){エンジェ・ウィラン}
&amp;link_anchor(シズナ・ミナモリ,pageid=22){シズナ・ミナモリ}
&amp;link_anchor(部長,pageid=22){部長}
&amp;link_anchor(ビーク,pageid=23){ビーク}
&amp;link_anchor(メンファ・リン,pageid=23){メンファ・リン}
&amp;link_anchor(フェイエン,pageid=23){フェイエン}
&amp;link_anchor(セイ,pageid=24){セイ}
&amp;link_anchor(ナタフ,pageid=24){ナタフ}
&amp;link_anchor(ハナ・タウル・イヴィシル,pageid=24){ハナ・タウル・イヴィシル}
&amp;link_anchor(「赤い服の」マリー,pageid=25){「赤い服の」マリー}
&amp;link_anchor(「歌歌い」ウィルテール,pageid=25){「歌歌い」ウィルテール}
&amp;link_anchor(ユエル・ケルフィン,pageid=26){ユエル・ケルフィン}


***それ以外
&amp;link_anchor(ティオルジュ,pageid=26){ティオルジュ}

&amp;link_anchor(ファムリシア,pageid=24){ファムリシア}
&amp;link_anchor(ヴァリアス・ヴァンガード,pageid=24){ヴァリアス・ヴァンガード}
&amp;link_anchor(カミュラ,pageid=24){カミュラ}
&amp;link_anchor(カッツ・バルゲル,pageid=24){カッツ・バルゲル}

&amp;link_anchor(ルアダン,pageid=26){ルアダン}
&amp;link_anchor(ブレアス,pageid=26){ブレアス}
&amp;link_anchor(ティオルジュの配下,pageid=26){ティオルジュの配下}
&amp;link_anchor(ベルゼブブ,pageid=26){ベルゼブブ}

&amp;link_anchor(エルヴィラ・アルディリケ,pageid=25){エルヴィラ・アルディリケ}
&amp;link_anchor(ライベル・ウィド,pageid=26){ライベル・ウィド}
&amp;link_anchor(キキョウ・アマザキ,pageid=26){キキョウ・アマザキ}
&amp;link_anchor(ナイル,pageid=25){ナイル}

&amp;link_anchor(シリル・ゴールウィン,pageid=20){シリル・ゴールウィン}
&amp;link_anchor(フィシル・アリーゼ,pageid=23){フィシル・アリーゼ}
&amp;link_anchor(シャルロッテ・イエミツ,pageid=21){シャルロッテ・イエミツ}

&amp;link_anchor(ザムト・アンリ・ゲスト,pageid=26){ザムト・アンリ・ゲスト}
&amp;link_anchor(リュミル,pageid=26){リュミル}
&amp;link_anchor(フレイス,pageid=26){仮面の騎士}

&amp;link_anchor(エーエル・ラクチューン,pageid=26){エーエル・ラクチューン}
&amp;link_anchor(ディアロ・トゥウェルブ,pageid=26){ディアロ・トゥウェルブ}
&amp;link_anchor(バウラス・ジーク・スヴァルエルト,pageid=26){バウラス・ジーク・スヴァルエルト}

&amp;link_anchor(キャロル・アルマー,pageid=26){キャロル・アルマー}

&amp;link_anchor(マルティン・カナール,pageid=22){マルティン・カナール}

&amp;link_anchor(ネフィ,pageid=22){ネフィ}    </description>
    <dc:date>2018-04-14T20:36:02+09:00</dc:date>
    <utime>1523705762</utime>
  </item>
    <item rdf:about="https://w.atwiki.jp/sharlicia/pages/17.html">
    <title>ギルド</title>
    <link>https://w.atwiki.jp/sharlicia/pages/17.html</link>
    <description>
      |ギルド名：シャルリシア寮|ギルドレベル：１４|ギルド成長点：９１０/１１１１|
||ギルドスキル：１５個＋α|ギルド資金:１４６４４２０Ｇ|

***ギルドメンバー
|[[ミルカ・ハミルトン]]|
|[[プリンセス・ミト]]|
|[[クレハ]]|
|[[レシィ・マナリス]]|
|[[ジャック・アルマー]]|
|[[ラピス・カルパンディエ]]|

***ギルドサポート
|&amp;bold(){レベル}|&amp;bold(){スキル}|
|１|学園|
|||
|１|祝福|
|１|陣形|
|１|目利き|
|１|目利き|
|１|蘇生|
|１|限界突破|
|１|値引き|
|１|ギルドハウス|
|１|派遣販売|
|１|ギルドハウス：サルーン|
|１|天啓|
|２|結束|
|３|耐性：重圧|
|３|ギルドハウス：マンション|
|５|再行動|

***ギルド管理品
ミアの栄養ドリンク×５
ハイＨＰポーション×１
ＥＸＨＰポーション×１
ハートフルアンブレラ×１
上位呪壁符×２
反魔光の盾
ハンドハイパーカノン
邪竜槍ダマーヴァンド    </description>
    <dc:date>2018-04-14T20:09:40+09:00</dc:date>
    <utime>1523704180</utime>
  </item>
    <item rdf:about="https://w.atwiki.jp/sharlicia/pages/2.html">
    <title>メニュー</title>
    <link>https://w.atwiki.jp/sharlicia/pages/2.html</link>
    <description>
      [[トップページ]]
[[メニュー]]

**登場人物

&amp;treemenu2(none,title=▼シャルリシア寮（ＰＣ）){[[ミルカ・ハミルトン]]|[[プリンセス・ミト]]|[[クレハ]]|[[レシィ・マナリス]]|[[ジャック・アルマー]]|[[ラピス・カルパンディエ]]|[[※ギルド&gt;ギルド]]}
&amp;treemenu2(none,title=▼ワンオフＰＣ){[[ファリハ]]|[[ジャファル]]|[[タヌキ]]|[[ランクル]]|[[ソフィア・ファガニーニ]]}
[[ルキアノス寮]]
[[アウデンリート寮]]
[[シェフィールド寮]]
[[ブルギニオン寮]]
[[グラナドス寮]]
[[オルランド寮]]
[[カレッジ内教員・関係者等]]
[[その他]]

[[生徒キャラ一覧（部活別）]]
[[生徒キャラ一覧（学部別）]]

[[ＮＰＣステータス]]
**セッションメモ
・[[第一話]]
・[[第二話]]
・[[第三話]]
・[[第四話]]
・[[第五話]]
・[[第六話]]
・[[第七話]]
・[[第八話]]-[[EX&gt;第八話EX]]
・[[第九話]]
・[[第十話Ａ]]
・[[第十話Ｂ]]
・[[第十一話]]
・[[第十二話]]
・[[第十三話]]
・[[第十四話]]
・[[第十五話]]
・[[第十六話]]
・[[最終話]]

・[[レシィの手記]]
**セッションルール
[[「部活」と「学部」]]
[[ハウスルール]]




**更新履歴
#recent(10)

&amp;link_editmenu(text=ここを編集)    </description>
    <dc:date>2017-10-02T21:23:54+09:00</dc:date>
    <utime>1506947034</utime>
  </item>
    <item rdf:about="https://w.atwiki.jp/sharlicia/pages/70.html">
    <title>第十六話</title>
    <link>https://w.atwiki.jp/sharlicia/pages/70.html</link>
    <description>
      &amp;bold(){&amp;big(){&amp;color(red){アリアンロッド・トラスト第十六話「信頼の価値」}}}
----
***今回予告
　エーエルに出会い、「心の魔」改めティオルジュについてを知った一同。しかし、ティオルジュは浸食の対象者の認識を操ることができ、そして対象者以外の者がその元へたどり着くことはできない。そのため、エーエルはシャルリシア寮生達が行おうとするどんな努力であれ、それは無意味なものとなることを語り、全てをあきらめる選択を行うことを一同へ迫る。
　だが、それでもシャルリシア寮生達は、諦めるという事を選択しない。もしかしたら、自分達が未来を望むことで、世界にはより深い被害が残るかもしれない。……そうだとしても、今ここで戦うことを選択した。
　自分たちの未来を勝ち取るために。永遠に続きかねない悲しみの輪廻を断ち切るために。
　そしてその険しい道の導きとなるのは、信頼。エンザはそう残していた。
　君達はその鍵を手にしているのか。
　人々は君達へどのような心を向けるのか。
　それをエーエルが今、試そうとする……
アリアンロッド・トラスト第十六話「信頼の価値」
　交錯する意思が君を待つ。
----
***登場人物
▼ＰＣ
[[ミルカ・ハミルトン]]
[[プリンセス・ミト]]
[[クレハ]]
[[レシィ・マナリス]]
[[ジャック・アルマー]]
[[ラピス・カルパンディエ]]

▼ＮＰＣ

----
***セッション内容
　……そこは、どうやらおおきく掘られた洞窟の中だ。
　その深層にて、その妖魔は見上げるほどの巨体を玉座に預けつつ、何者かと会話している。……そして、その中で、「気に入らない」と答えた。
　妖魔は、その存在が提案した何らかの「手法」が、まどろっこしく自らの気質に合わないと評価してそう発言したようであった。……しかし、その一方で、妖魔にとって、興味を持たせる要素も、その話の中にはあったようである。
　そのようなものが、人と言う種への脅威としてまたも現れるとするのならば、人間は今度は、どのような顔をするのであろうか？そして、それでも希望に縋りつこうとするものがいるところに、「さらなる絶望」が襲来した時も、それはさぞ、妖魔にとっての満足感を満たすものなのだろう。
　嗜虐心に満ちた笑みを浮かべながら、妖魔は最後に言い放つ。
　その時が来たというのならば、また連絡をしてみるといい。
　気が向いたなら……出向いてやる、と。

　……場所変わり、今度は、無限にも思えるほど一面に広がる砂漠の中に、孤独に建てられた禍々しい塔の中。
　その中のとある一室、そこにも、王座にと座する妖魔がいた。周囲に瘴気を纏うイバラをまとい、仮面で目元を隠した、端正な顔立ちの妖魔だった。そしてその妖魔もまた、「何者か」と会話しており、そして言った。
　人類を滅ぼす毒。
　かなり手間のかかる策であるとはいえ、妖魔の聞いたそれまでの話から、妖魔はそれをある程度の信ぴょう性を持って受け入れているらしかった。
　とはいえ、その妖魔には、自身の策がある。その相手が話す計画のために、妖魔は自身の策を曲げる気はないようだった。
　……しかし、それは興味を失った、という意味ではない。少なくとも、その「毒」の対象となった人間を分析し検証したいと、妖魔は考えていた。
　よって、その時が来たのであれば。
　その時は、人類の殲滅と言う目的を共に果たすことも悪くはない。
　妖魔は、切れ味すら覚える冷徹な声音で、そう告げたのである。
　

　そして、ここはエルクレスト・カレッジ。&amp;link_anchor(エーエル・ラクチューン,pageid=26){エーエル}により放送室から、学内へ向けての宣言が行われた（[[第十五話]]参照）ところである。
　エーエルの声が学内へ響き渡ったその後、放送室にやってくる数人の者達がいた。&amp;link_anchor(エルヴィラ・アルディリケ,pageid=25){エルヴィラ}をはじめとした、教師陣だ。
　放送室内に入ったエルヴィラは、まずエーエルに挨拶をしたが、その視線はエーエルに厳しく向けられている。勝手に学内に入ってきただけでなく、学内に急遽混乱を起こしかねないことを宣言されたとあれば、歓迎できないムードとなるのも致し方ないところだろう。
　しかし、それを受けるエーエルは意にも介しておらず、歓迎をされるつもりもないし、混乱を与えかねないといわれても、それはエーエル達教師陣が、頑なにシャルリシア寮生達の「秘密」を隠し続けてきたがゆえだろうと指摘した。
　シャルリシア寮生達が、もし本当に心の魔……&amp;link_anchor(ティオルジュ,pageid=26){ティオルジュ}に打ち勝つというのであれば、それはシャルリシア寮生が、他者からの信頼を持って力を集めるほかはない。……となれば、今シャルリシア寮生がどのような状況にあるのか、そして他者にどのような覚悟が必要とされるのか。それを明かさずにはいられないだろう、と。
　そしてそもそも、エーエルにとっては、このやり方が問題だとして、今エルクレスト・カレッジを追い出されるようなことがあっても、それは構わないことなのだ。自分はあくまで、シャルリシア寮生と……&amp;link_anchor(エンザ・ノヅキ,pageid=25){エンザ}から協力するよう要請をうけて、やってきただけなのだから。
　そんなエーエルの言葉のあと……エルヴィラは、シャルリシア寮生達に向き直り、そして聞いた。今のシャルリシア寮生達が、エーエルと出会ったことにより、心の魔に対抗するために何が必要であるかを、そして、それを満たすため、エンザがどのような願いを持ってここに一同を集めたのかを、知ったのかと。
　その言葉に、迷いなくうなずいた一同に、エルヴィラもまた頷き返す。たしかにそう。自身をはじめ、この学園の教員一同は、エンザが説いた、シャルリシア寮生達に、そしてひいては人類に訪れた理不尽で悲痛な運命に対し、救われる道を用意できるという事を信じてきていたということを。
　……そして、エーエルが言うように、おそらく今が、その最後のステップに踏み出す時なのだ。そのためには、シャルリシア寮生達に力を貸してくれるであろう人々に対し、全てを告げる必要がある。
　だから、エルヴィラは決断した。エーエルがこれから、生徒達へ心の魔とその対策についてを説明するというのなら、その元に生徒達を集めることを許可しようと。
　こうして、場所を大講堂に移し、そこでエーエルが、生徒達を前にしてティオルジュについてを語ることとなったのであった。

　かくして、大講堂の中にはほぼすべてといわんばかりの数の生徒達が集められていた。その中には、シャルリシア寮生達にとって深い親交のあった者もいれば、挨拶したかどうか程度のかかわりであった者達もいる。
　そんな者達が混ざり合い、ざわめきを生み出す空間の中、シャルリシア寮生達は講堂の壇上にいた。そして、その後ろからエーエルが現れると、そのこの世のものと思えぬ美貌と威圧感に生徒達は一斉に飲み込まれていく。しかし、エーエルはそんな生徒達の様子に構うそぶりは見せず、壇上の音声増幅器の前でまず、自身の名と、自身がこの世にあらわれた、人類への新たな敵対者、心の魔についてを研究するものであることを明かし、そして心の魔についてを、語り始めた。

　心の魔……実の名をティオルジュと名乗ったそれの目的は、人類の殲滅そのものである。
　その性質は、人類という種そのものに残り続ける毒といっていい。とある人間の生まれた瞬間から、そのうちにと潜み続け……やがては変質させ、破壊と殺戮の権化に変えてしまう。それを繰り返すことでその侵食対象を増やすことのできるティオルジュは、そうして長い年月をかけつつ、いつか人間を滅ぼそうとしているのだ。
　その時、生徒たちの上の空間に、謎の光景が映し出される。それは、すでに滅んでしまったと思わしき荒廃した世界の映像。
　以前（[[第十四話]]参照）、特別教導実践部と共に世界のはざまに放り出された際にシャルリシア寮生達の記憶から抜き出されたものだ。その凄惨な光景に、生徒たちは息をのみ、エーエルは続けて説明をする。これが、ティオルジュによって滅ぼされた世界であると。
　魔族の多くが異世界からやってきたものであるように、ティオルジュもまた、別の世界からやってきた。その理由は、一度人類を滅ぼしてもなお、人類を滅ぼすという使命を遂行し続けるために。
　……そして、シャルリシア寮生と、今心を封印された状態となっている&amp;link_anchor(ダバラン・テレミナス,pageid=22){ダバラン}は、現在の、ティオルジュによる侵食の対象者として選ばれてしまっている。……だから、シャルリシア寮生達はいずれ、その映像のような破壊を引き起こしかねない存在になってしまう。
　しかし、ティオルジュの計画には、大きな弱点がある。それは、あまりにも時間をかけすぎるという事だ。
　対象の人間に浸食して、その中で少なくとも十数年の内では、変質をおこすことはできない。さらに、ティオルジュが後に新たに侵攻の対象者を増やすための力を得るには、今侵食した者の変質を待つ必要がある。つまり。シャルリシア寮生と、封印された状態のダバランが今のうちに命を失えば、その十数年がまた猶予となるという事なのだ。その間に人類は、心の魔についての対策を新たに講じ、それはより完璧なものとなっていくだろう。そしてその後新たに生まれるであろう侵食者たちに対しても、シャルリシア寮生達が特定され、エンザによって集められたことからも確かなように、エーエルは特定することができるのだから。……たとえ何度それが繰り返されるとしても、十数年に数名というわずかな犠牲で、この問題はそれ以上の被害を増やすことはない。
　エンザがこのエルクレスト・カレッジにこいつらを集めたのは、心の魔に対抗するため、こいつらに力を貸す人間を増やすためだった。だが、エーエルはその必要はもうないと判断している。
　下手に立ち向かい、さらに進行を早め、他の人間も巻き込むリスクより、たった数名の命だけで解決させた方が、遥かに理に適っているとから。

　そう断言したエーエル。シャルリシア寮生はそうしたエーーエルの主張をすでに聞き、自身の生き方をぶつけたあとであるため特に動じず、ラピスにいたってはエーエルをかるく嘲笑するほどの余裕すら持っていたが、生徒達はそうはいかない。自分の学友が、すぐにでも死に絶える方が世界のためである、などという主張をそのまま受け入れるようなことは当然ないものの、その危機性と事態のスケールがまだ飲み込めず、どよめく者が大多数であるから。
　だが、そこで鋭く、良く通る声がエーエルに向かって切り返された。アウンデリートのプリフェクト、&amp;link_anchor(シリル・ゴールウィン,pageid=20){シリル}によるものだ。
　その説明は、不公平に思える。そう、シリルは言った。
　確かに、エーエルは「心の魔」ティオルジュに対しての研究を行い、自分達では知りえないことを知って、その結論を出したのであろう。
　だが、それはそのようなものに脅かされることとなった自分たちが、本当に得たい結末ではないのだ。それに何より、すでにエーエルの話をアヴァロンで聞かされたのであろうシャルリシア寮生達は、その意志を確認するまでもなく、決してあきらめてはいないことをそのたたずまいに表している。……となれば。
　きっと、エーエルは知っているはずだ。自分達全てが、納得しうる結末を導き出すための道を。
　それはともすれば、とても困難で実現不可能にすら思えるのかもしれないが、それが存在するからこそ、シャルリシア寮生は今も雄々しく、エーエルの言葉を恐れず立っている。
　ならば、自分たちにもここで、それを知る権利はある。そのはずではないのか。
　……そのシリルの反論のあと、講堂内は打って変わって静まり返った。多くの者が壇上のエーエルを畏怖のまなざしで見守る中、やがてエーエルは再度口を開く。
　そして語り始めた。……ティオルジュに、シャルリシア寮生達が、打ち勝つための方法を。

　ティオルジュの本体を倒すことができれば、その侵食を断ち切ることはできるであろう。
　ただし、ティオルジュはこの世界の上には存在せず、特殊な空間に潜むため、基本的にこちらからの干渉はできない。唯一、ティオルジュに浸食されつつある当人たちであれば、魔法により精神体へと変換した上でその空間へ向かい、ティオルジュと相対することはできるものの、そこで問題となるのは、ティオルジュが侵食の対象としたものによる反逆の対策として、対峙した際その認識を操る術を持っていることだ。つまり、シャルリシア寮生達が戦うにせよ、まともな戦闘は不可能になってしまう。
　……しかし、ティオルジュが自らを害し得るものとして危惧し、対策を行っているのがあくまで、その侵食の対象者、シャルリシア寮生やダバランのみであるのなら、それ以外の者の意識や心を、その精神体に付随させたなら……その時初めて、ティオルジュにまともな戦いを挑むことのできる可能性は、確かにある。
　だが。そこでエーエルは強く叫んだ。その考えが、あまりにも愚かである事を糾弾するかのように。
　それは、あくまで可能性に過ぎないのだ。信頼するには、あまりにもか細い。
　シャルリシア寮生の精神体に憑依できるほど、他者は彼女達を信じることができるのか？そしてそれを越えたところで、そもそも、ティオルジュはシャルリシア寮生達が全力で戦えたとして、はたして勝てる相手なのか？本当にティオルジュは、このような事態への対策をしていないのか？これら無数の危険に対して、その保証は結局のところどこにもない。
　そして、ティオルジュと戦いに行くという事は、シャルリシア寮生達が自らその浸食の領域に出向くという事。もし、その場で精魂折れ、ティオルジュの前に直接屈するようなことがあれば、その時こそ、侵食は一気に完了してもおかしくはないはずだ。
　そうなれば、シャルリシア寮生達が全てを諦めれば防げるはずだった、次の侵食者の増加が起こるのはもちろん、シャルリシア寮生達の精神体に憑依した生徒達に影響が出る可能性だってある。それらの危機を無視し、全てがうまくいくという希望だけをうたってその道を採択する。
　それを、正しいことであり、それ以外に選択肢はないと胸を張るつもりなのか。それが身勝手なエゴの暴走ではないと、当然な顔をして進んでいくつもりなのか。
　その場にいる全員に、そう問いかけたエーエル。しかし、その問いかけに、生徒の中からまたも答える者がいた。グラナドスのプリフェクト、&amp;link_anchor(フィシル・アリーゼ,pageid=23){フィシル}だ。
　　人は、その種に降りかかる危機があるのならば、犠牲を悔やむべきではない。ゆえに、犠牲の出る道であろうと、客観的な確率や可能性で判別するのが賢者であり、「正しい選択をした」と人が主張するために必要な事だ。……フィシルにとって、エーエルがいいたいこととは、そのようなことではないかと思えていた。
　だが、フィシルは言う。自分たちは賢者と愚者という、その線引きに自らの行動をゆだねたいとは思わないのだ、と。
　自分たちには、あらゆることを自分自身で決定し、その上で努力をする権利がある。あまねく人生がそういうものであってほしいと、自分たちは願っているはずだから。
　だから、例えその結果が、愚者と呼ばれる未来につながるかもしれなかったとしても。真に得たい未来を得るための道を、あきらめてはいけない。そのことを、他者ではなく、自分が確かに信じられるなら。
　そして、シャルリシア寮生は、いや、自分たちは今、その途上に立っている。
　そこで、フィシルの言葉に、そうです、と続いたのは&amp;link_anchor(ファムリシア,pageid=24){ファム}であった。
　ファムは力強く、そう信じる自分達は、シャルリシア寮生の人たちに協力するのだと宣言した。
　あの時だって、そうだった。駄目かもしれないと思えるようなことだって、みんなで抗い、未来を求めたから、自分たちは本当に得たい未来を取り戻すことができたのだ。
　だから今も。シャルリシア寮生の人たちや、その先の人たちが・・・何人も死んでしまうような事態を認めて、その悲惨さから目を背けるような未来は、決して選ぶことはできない。
　そして、&amp;link_anchor(ヴァリアス・ヴァンガード,pageid=24){ヴァリアス}もさらに続いて、声を張り上げた。
　そう、自分たちだって、戦ってみせる。
　シャルリシア寮生達にその意志がある限り、シャルリシア寮生達と一緒に。
　そのための方法も、すでにエーエルが持っているというのなら、例えそれを選択することが間違っていると言われたとしても。
　自分達は、友達を失い、その心を無駄にしてしまうような生き方は、決して選びたくないから。

　そうした、生徒達からの言葉を聞いたエーエルは、不満そうにしつつ、さらに言葉を返す。シャルリシア寮生同様、一部の者がそうやって躍起になるとしても、それが本当に、生徒達全員の総意ではないはずだと。
　ここにいる全員が、その本当に望みたい未来を得るためなら、自信と未来に危険を与えることに納得するだろうか。そう問われると、さすがにそれにすぐ頷く者はいない。今、講堂内は再びざわめき立ち、自分がどのように動くべきなのか、この事件をどう考えるべきなのか、そんな戸惑いや相談が飛び交っているのだ。
　だが、いずれにしろ、心の覚悟にしても戦力にしても、半端な者がいたところで、できることは何もないとエーエルは続ける。そういった者達の行うべき行動は、今のうちにこの学園へ別れをつげる覚悟を決め、素直に己の保身を図ることが、今となっては最良であると。……しかし。
　それでもなお戦う。自分の前でそう宣言できる者は、この学園に残るといい。エーエルはそう告げる。自らの未来を、失う覚悟ができるというのなら、と。
　そしてエーエルは、３日という期間を告げた。それは、シャルリシア寮生とティオルジュが戦う、決戦の日までの時間。
　そう理解したエルヴィラが、そこで初めて壇上の前面に出た。
　ならば、その３日の間に、この学園に残り、シャルリシア寮生を手伝う者と、一時的に学園を去る者を別れさせておく。そうさせてもらっていいのかと、エルヴィラは確認した。それにエーエルは頷くが、忘れるな、と忠告も加える。
　シャルリシア寮生にかつてそう伝えたように……すでに引き返すことのできない選択が、採択されてしまったのだ。
　シャルリシア寮生や生徒達が、今さら怖気づき、自身の言葉を後悔したとしても、エーエルはもう計画は変えない。シャルリシア寮生達を強制的にでも、ティオルジュと戦わせるつもりでいる。一同にできることとは、もはや、あまりにもか細い光を、希望なのだと信じ込んで進むだけであるのだ。
　エルヴィラはそのエーエルの言葉に、わかっています。と頷く。しかし、そうでありながらも、しかと答えた。
　エーエルが言うその光とは、例えか細く見えたとしても、常に道しるべとなってくれたものだ。
　若者に降りかかった、この悲痛な運命の中で、その光がなければ、今日この瞬間はなかった。それに導かれてきた自分たちは、エーエルの想像する以上に、その光の価値を知っている。だから、立ち上がる決断ができるのだ。
　そして、エルヴィラは次に生徒達を一望し、その声を講堂内へと響かせる。

　エルクレスト・カレッジにいる、全ての者へ。
　自分たちの仲間であり、友であるシャルリシア寮生達は今、その人生を賭さなければならない試練の中にある。そして、現世においてその戦いの場となるこの学園は、非常に危険だ。
　各員の身を預かるこのエルクレスト・カレッジの学園長として、自分は、この事態に皆さんをただ巻き込むわけにはいきません。そこで、この事件の間、エルクレスト・カレッジを臨時休校とすることを決断し……さらに、自発的にこの学園を離れることも許可する。
　だけどその決断をそれぞれが行う前に、これだけは話させてほしい。
　……自分たち教員は、シャルリシア寮生達の人生にいつか、「この時」がやってくるのだろうという事を知っていた。
　そのままであれば、自分たちは「心の魔」という人類への毒に対し、無垢なる命と未来を差し出すしかなかったかもしれない。だが、それと立ち向かう手段を残すために、エンザはこの学園へ、シャルリシア寮生達を集め、自分たちはそのエンザの思いに同調し、協力した。ここにいるエーエルという大魔女すら、自身ではどうにもできないこの敵と戦うためには……シャルリシア寮生達自身と、そして、彼女達を信じる者達の強き心が必要であるということを信じた。
　しかし、思い返してほしい。
　自分達教師がそれを願って、シャルリシア寮生達をここに呼んだのだは事実としても……その中で共に交流し、語り、学び、そしてあるいは戦う中で、それぞれが互いに培ってきたであろう信頼の心は、決して仕組まれたものでもなければ、偽物でもないはずだということを。
　そして、それを心から信じられるなら。それこそが、今シャルリシア寮生達にとって、そして自分達にとって必要な力であるはず。
　しかし、それを信じるか、そしてそれに従って行動するか。そのすべては……あらゆる状況の中、最後にそれぞれが、一人ひとり自身で判断していくことである。
　３日という短い期間……そうでなくとも、その選択は酷なものになるかもしれない。だが、それを知っているうえで、自身は今、こう願う。
　誰もが自分の心と向き合い、自分自身が信じられる決断を。
　そして、その上での心は、とても頼りになる味方であり
　この世にあらわれた人類の不条理に対し、力になるのだと。

　エルヴィラが行ったその演説が終わったころには、すでに壇上にエーエルはいない。
　自分たちはこの３日の間に、どのような決断をするべきなのか。
　生徒達は、その選択を迫られていた……


　－－[[ルキアノス寮]]。
　その中の一室で、&amp;link_anchor(チーフ,pageid=19){チーフ}は生徒の一人と一対一で話していた。そしてしばらくの会話の後、チーフは敬礼と共に、申し訳なさそうにしながらも部屋を出ていく生徒を見送るのだった。
　チーフも続けて退室し、向かった先には数十名程度の生徒達がいる。その中の一人であった&amp;link_anchor(デュフェール,pageid=19){デュフェール}は、やはりそう多くは残らないか、と少し悲しそうな表情を浮かべたのであったが、チーフの考えはむしろ、これだけの人数が残ることを選択してくれたことを意外にも思っているというものであった。……なぜなら、この学園に残ることには危険があるとあらかじめ言われており、本人の意思のみならず、親類などの保護者からの反発がある事も当然であるだろうからだ。
　……チーフは、自分はあくまで機械であるといい、つまり、親もいなければ命への未練も薄く、ただ、シャルリシア寮生達が得ようとしている未来に感じる価値を判断基準にして行動することができる、と自称する。しかし、他の人々はそういう思考回路ではあるまい……そう言おうとしたチーフの言葉を、&amp;link_anchor(ミリティス,pageid=19){ミリティス}が途中で押し止める。チーフさん、あなたも本当は、気づいているのだろう、と。
　シャルリシア寮生達の行動に素晴らしさを感じ、そして何より助けられてきた自分たちにとって、ここで彼女たちの力になれないという事こそが、何より恐れ、後悔するほどの事なのだ。……だから、自分はシャルリシア寮生達のため……いや、そう願っている自身のために、ここに残ることに迷いはない。それに。
　無垢なる人に死を強いなければいけない。そんなものには、人として立ち向かわなければいけないはずだから。
　そのミリティスの思いに、デュフェールは頷いた。自分たちはシャルリシア寮生の力になりたいだけではなく……そんな理不尽な者とも、戦う権利があるはずだ。続いてガイブも、それに同調する。……その胸に、ラピスに、何かを届けてあげたいという気持ちを強くしつつ。
　そんなミリティス達の決意に、チーフは改めて頷き、そして答えた。自身も、ここにいる一同と同じ心境でいるはずだと認めつつ。
　だから、シャルリシア寮生達と共に戦う。それが、誰もが望む未来につながっていることを信じて。

　……一方、&amp;link_anchor(ハルー・イニス,pageid=19){メギアム}と&amp;link_anchor(サーニャ・リシア,pageid=19){サーニャ}はその場にはいなかった。メギアムが、サーニャを別のところへ呼び出していたからだ。
　そして、何かを言いだそうとしたサーニャであったが……メギアムはそれが言葉になる前に制し、さらに告げた。
　この３日の間、サーニャから自身へ何か報告したり、相談したりするようなことを認めない、と、あえて命令すると。
　……少しの沈黙がある。そして、サーニャはその命令の意味するところを、メギアムに問いかけた。
　それはつまり、この３日の間、誰から意図されたものでも、示唆されたものでもない、まぎれもないサーニャ自身の意志を持った決断をしてほしいと、メギアムが望むからなのか。
　その問いにメギアムは答えなかった……が、サーニャはその態度を、肯定と考えたようだ。そしてその時、サーニャの口元に小さな笑みが現れた。
　このような唐突な指令に、なぜ笑ったのか。メギアム自身がそれを理解できず少し動揺したことを見透かすかのように、サーニャは言う。
　自分は、すでにメギアムも自分も、３日後にどのような決断をするかなど、はっきりと確信できている。だというのに、メギアムは未だにそうして、サーニャ自身の意思が確かにあるかを確認しようとし続ける。
　大丈夫です。サーニャは感謝するように、安心させるように、そう答えた。自分は、捨て身になっているわけでもないからと。
　だが、命令は命令だ。それが撤回されたわけではないのだから、これ以上を語ることはない。そう判断したらしいサーニャは、だが去っていく寸前でこう言い残した。
　またお会いしましょう。我が主にして、我が志を同じくする仲間、と。
　そして去ったサーニャを見送った後……メギアムは中空に、自身の大切な人の姿を思い浮かべて、呟く。
　ミト、自分は、自分の望んでいたものを手にすることができた。
　もちろん、すでに失ってしまったものもあれば、何もかもを守れたわけでもない。それでも、自分はミトを含め、自分の人生で伴にあってほしいものを、これだけ手に入れることができた。
　だから、信じられる。本当の望みを捨てず、立ち向かうことに。
　そのために挑むことに、価値はあるのだと。
　……その時、なぜかすぐそばを通り過ぎる、やけに髪型とたたずまいがソウルパワーにあふれた男がおり。そんな彼と互いの胸の内に秘めた熱いものを確認し合ったメギアムは、よりその決心を強くしたのであった……
　
　－－[[アウデンリート寮]]。
　そこでも、ルキアノス寮同様、寮生達の選択を確認する話し合いが行われており、それを受けているのは、もちろんシリルである。
　ここを去るという本音を表に出せないでいる生徒の心を優しく推すかのように、シリルは、それぞれにはそれぞれがやるべきことがあり、少し待つだけのことだからと諭し、優しい視線で送り出す。その結果、共に戦う生徒達がまた一人減ってしまったことに&amp;link_anchor(ドゥーラ,pageid=20){ドゥーラ}は不満を隠さず、&amp;link_anchor(イッシー・ハッター,pageid=20){イッシー}に至っては「共に戦った仲間や、人類への脅威と聞いて引き下がるとは男じゃない」とまで豪語する始末であったが、どうやらそれより前にこの部屋を去っていたらしい一団が装備を整えて戻ってきたのを見ると、大喜びしつつハグをしに向かっていた。
　……そんな暑苦しい光景をかなり冷めた視線で見つつ、&amp;link_anchor(マナシエ・バンガロック,pageid=20){マナシエ}が、しかし、全員が全員、シャルリシア寮生と共に戦うことを決めたわけではないのは致し方ないのではと言い、シリルは、そんなイッシー達をあっさりとスルーしつつ、さらに続ける。
　自分たちも、シャルリシア寮生も。すでに、立ち向かっていくことを決めている。あとは最善の結果を求めて努力するだけ。
　だが、シリルはそのことを心配はしていない、という。何故なら、シャルリシア寮生達も、今この学園に残る人たちも、真に確かな意思と能力を持つ者達であるから。
　だからむしろ、シリルにとって恐れるべきこととは、自らの本音を、この状況下でごまかし、自身にとってするべきでない選択をするものがいないかどうかなのだ。それは、少なくともその者にとって、最悪の結果を呼び込んでしまうかもしれないから。
　そんなシリルの言葉に、確かに、戦う気になれないのならば退くべきだとドゥーラが頷き、&amp;link_anchor(デアス・ヒム,pageid=20){デアス}も、そういった人々の分をカバーできるほど、ジャック達の役に立たなければいけないと奮起し、そして&amp;link_anchor(アーゼス・ジェセン,pageid=20){アーゼス}も、恐怖からか少し声音は震えていたものの、立ち上がることをファミリアのギスと共に宣言する姿に、後悔は見えなかった。
　こうした勇気ある人々をも守るため、治療具の準備を進めておこうと考える&amp;link_anchor(マリー・マクラフリン,pageid=20){マリー}の傍らで、シリルはもう一度、柔らかな表情で頷いた。
　大丈夫。心配はいらない。
　人の繋がりとは脆いこともある一方、真に集まりその手をつなげば、本当に強くもなれる。
　今ここで、あらゆる懸念や恐怖を越え、シャルリシア寮生達と共に戦うことを選択できたその心の意味は、間違いなく大きい。
　シリルはそう、確信したのだ。

　－－[[シェフィールド寮]]。
　冗談ではありませんわ！
　プリフェクト、&amp;link_anchor(シャルロッテ・イエミツ,pageid=21){シャルロッテ}のそんな甲高い叫びが、寮内にこだまする。……それ自体は、この寮にとってさして珍しいようなことでもなかったりするのだが、今日はいつものそれとは少し様子が違う。お付きの&amp;link_anchor(ノーザン・クロイ,pageid=21){ノーザン}が必死にシャルロッテを取りなさそうとしているのはいつものこととしても、それに立ち向かったらしい&amp;link_anchor(レイス,pageid=21){レイス}もまたすごい剣幕であり、そして彼女の後ろには十数名の生徒達もいた。……どうやら、レイスを含む、シャルリシア寮生に力を貸すことを決めた生徒達が、シャルロッテにも協力を求めようとしたのを、シャルロッテが突っぱねたばかりか、協力などあり得ないことだ、などとまで言ってしまったらしく、それが主にレイスの怒りを買ったようである。
　その協力が無駄に終わるどころか、危険にすらつながるとあのエーエルも言っていたではないか、と叫ぶシャルロッテに、だからこそ力を合わせなきゃいけないっていう時に、そんな言い方までしなくていいはずだ、と激昂するレイス。それに、シャルロッテはそれでも、栄誉あるイエミツ家の自身が関わる義理は無い、と言うのであったが……その時、レイスの後ろから突如、&amp;link_anchor(サイオウ・アマガシ,pageid=21){サイオウ}が飛び出て、地面に膝をそろえて座り込み、そしてその頭を床にまで下げて叫び始めた。
　シャルロッテ嬢。自分は、今の言葉が、シャルロッテ嬢の本心とは思えていない、と。
　突然のことに少し戸惑いつつも、シャルロッテはすぐさま、そのサイオウの考えを否定して見せる。しかし、それでもサイオウの言葉は途切れない。サイオウは続けて、自分がこれまでずっと、シャルロッテの素晴らしいところを見て過ごしてきたということを告げる。
　美しさも能力も、シャルロッテの魅力であることに間違いはない。だが、サイオウは知っているのだ、と訴える。……シャルロッテの見せる厳しさの裏に、本当は他者への優しさや思いやりが含まれているのだということを。
　シャルロッテが、今この学園に残るかどうか、それを悩んでいることは構わない。そしてその結果、最後にどんな選択をしたとしても。
　だが、真に自分と向き合って決めるはずのその答えを、今ここで、一時の激情に駆られて宣言してしまうようなことは、どうかやめてほしい。それは、自身にも、シャルリシア寮生にとっても……何より、シャルロッテ自身にとっても。全ての者の、損失になってしまうだろうから。
　だから今一度冷静になって、シャルリシア寮生達がシャルロッテにとってどんな存在であったのかを、思い返してほしい。
　下がり切った頭を上げることなく、必死にそう懇願するサイオウを、シャルロッテはだからその呼び方で呼ぶな、と一喝するのであったが、その実、サイオウが訴えかけた、シャルリシア寮生への本当の気持ちには、触れていない。現に、シャルロッテはその後の二の句を、サイオウへ投げつけることはできなかった。
　それでも……自分には、イエミツ家の。
　そんな言葉を最後に小さく呟いた後、シャルロッテは突然、ノーザンを連れてその場を去って行ってしまった。
　……そのため、そのままであとに残されたレイスやサイオウ達であったが、サイオウの乱入とシャルロッテの撤退により怒りがそがれた形となったレイスは、シャルロッテを追おうとすることなく、サイオウにもう頭を上げてもいいのではないかと声をかけるのであったが、それでもサイオウはその姿勢のままだ。そんなサイオウへ、今までシャルロッテの癇癪をまともに相手する気はないといわんばかりに沈黙していた&amp;link_anchor(マゼット,pageid=21){マゼット}が声をかける。
　やりかたはともかくとして、サイオウのやったことは無駄ではなかった。マゼットはそう判断している。なぜなら、シャルロッテは、サイオウの主張自体には反論できなかったのだから。
　それはきっと、シャルロッテにとって、サイオウが言った通り、己の考えを真に見直すきっかけにもなったはずだろう。サイオウの願いは、通ったはずだ。
　……しかし。
　なぜ、男というものは、思いを伝えようとすると、こうも不器用なのだろうか。
　そうつぶやいたマゼットの言葉に、レイスは少し不可思議な表情を浮かべつつも、答える。
　思いを伝えるなら、何かで取り繕うことを考えるより、自分のありのままでぶつかっていくしか、結局はないのではないか、と。
　そう聞いて、マゼットは何かを思い返すように、二人から視線をそらした……が、突如その前に一人の（見た目は）少女が現れる。&amp;link_anchor(メディ・ペドウォール,pageid=21){メディ}である。
　メディは現れるなり、マゼットにも覚えがあったのではないか、とその考えを見透かすようなことをいうが、マゼットは無言であった。そしてメディは続けて、自分の登場に驚いているらしい一同へ問いかけをする。「お話の終わりは近いのか」と。
　シャルリシア寮生達は、今最大の苦難を受けようとしている。彼らがこの学園に残す物語とは、ここで終焉なのだろうか？
　そう語るメディに、レイスは真っ先に即答する。そんなわけがない、と。
　その思いは、サイオウも、マゼットも、この場にいる全員が同じだ。必ず、シャルリシア寮生達を生き延びさせ、「心の魔」に打ち勝って見せる。
　そんな一同に、メディは満足したように笑顔を向けた。
　そう。そう、信じてほしい。
　そうでなければ、ハッピーエンディングへたどり着くことは、できないだろうから、と。
　
　－－[[ブルギニオン寮]]。
　とある一室に、数名の生徒達が集まっていた。その中の一人、&amp;link_anchor(ネフィ,pageid=22){ネフィ}は語る。
　他の寮は、プリフェクトを中心に、寮内の生徒達の意向を確かめ、固めているようではあるが……今のブルギニオン寮は、そのプリフェクトであるダバランも、そして、プリフェクト以上の人物であると言われた&amp;link_anchor(アルゼオ・ヴェルダース,pageid=22){アルゼオ}も、共に意識が戻っていない。ただでさえ物静かと言うか、内向的なきらいのあるブルギニオン寮生にとって、明確なリーダーの不在は痛いといえた。
　そんな現状を思いつつも、&amp;link_anchor(エンジェ・ウィラン,pageid=22){エンジェ}が自身の信じる神、セフィロスに導きを願う祈りをささげたが、それを見た&amp;link_anchor(部長,pageid=22){部長}は、それぞれ自身の意志のみによって決定されるはずのことを、ここで神に祈ってもしょうがなくのではないかとエンジェに問いかけた。しかしエンジェは、本当は自分で決めていくことでしかないことだったとしても、自らの支えになってくれる何かに背をおしてもらいたい、そういった時のためにも、神の導きは恩寵を表すと考えていることを答えた。……そして、そうしたエンジェの考える神への祈りの意味が、その場にいる&amp;link_anchor(シズナ・ミナモリ,pageid=22){シズナ}にとって、どう思えるだろうかとも。
　だが、シズナはそんなエンジェへ、明確な言葉を返すことはできなかった。シズナは、シャルリシア寮生達を助けると決めた今でも、自身が信じていた道から自身が外れてしまったことには、悩んでいるのだ。
　そんなシズナに、それ以上踏み込むことはしない方がいいと判断したか、部長が話題を変える。実際どれほどの人数が、シャルリシア寮生のために集まるだろうかと考える部長に、部長が命じれば、たいていの人はついてきてくれるのではないかというネフィ。だが、部長は、それができたとて、恐怖で体を動かすことには、鍛錬の結果がついてくるものとしても、心を恐怖で突き動かしては、歪んだ結果しか残らないということを説くのであった。……特に、今回の場合は。
　二人がそんなことを話している時、突然、その部屋の扉が開かれる。そこにいたのは、&amp;link_anchor(マルティン・カナール,pageid=22){マルティン}だ。
　マルティンは、そこにいる一同を確認すると、力を貸してくれないか、と突然求め始める。マルティンは、自分を含めて今ここにいる人々が、自身だけでなく、全てを救うために戦うことを決めたシャルリシア寮生達のため、協力しようとしている人々であることを知っていた。
　マルティンがここに来る前に、ネフィが語っていたように、今はダバランもアルゼオもいない。そんな中で、ブルギニオン寮の生徒達の意思を確かめ、仲間を集めるためには、自分たちが動かなければいけないのだ。
　そう意気込むマルティンに対し、部長は何をするのか、と聞き、マルティンはそれに、ブルギニオン寮の生徒達と、直接対話することだと答える。そしてネフィはさらに、それは他の寮の人々もやっていることではあるようだが、本当にいこことにつながるという確信はマルティンにはあるのかと聞いた。
　少しの間があき……だが、マルティンはそれでも、やるべきだとはっきり答えた。
　誰もが自分の選択に後悔しないために。本当に、シャルリシア寮生達の姿に、未来を信じる気持ちを教えてもらった人々を集めるために。
　そのマルティンの答えを聞いて……部長は、いいだろう、と口にする。そしてその直後、重い鎧が地面に衝突する音を立てながら、部長の全身鎧がはがれていく。そしてその中から現れた、あまりにも華奢で可憐な猫族の少女に、その場にいる誰もが目を見開いて言葉を失うこととなる。
　そんな一同の反応を全く意に介さないまま、部長はただ、そうとくれば、この姿の方が人の本音は引き出せるだろう、と、普段の魂を凍らせるかのような底冷えした声とは打って変わった、まるで鈴を転がすかのような可憐な声でいう。あふれんばかりの違和感と衝撃に、それに感謝の意を表そうとするマルティンの言葉も思わずどもってしまうのであったが、結局のところ、それに同意したのは部長だけではなく、ネフィとエンジェも、誰かからの最後のひと押しを、待っている人もりうかもしれないからと行動を共にすることにしたようだ。
　……そんな中、マルティンは未だに押し黙ったままであるシズナに視線を向け、その意向を確認しようとするが……それに、エンジェが割って入り、大丈夫だ、とシズナに声をかけた。
　今のシズナには、まだ他人をかまう余裕はない。だから、ゆっくり、自身のことについて考えを巡らせるべきだ。
　例えシャルリシア寮生達と共に戦うことはすでに決めていたのだとしても、自分自身についての不安は、まだ払しょくできないないのだから。
　そう語るエンジェに、シズナは頷かなかったが……それは、エンジェの言葉に対する拒絶ではないのだろうと、その場にいた全員が感じていた。
　かくして、ブルギニオン寮は、マルティンの主導により、他寮に少し遅れながらも、行動を開始したのであった……

　－－[[グラナドス寮]]。
　その談話室では、フィシルがハーブを手にし、柔らかな旋律の中で、歌を歌っている。
　そんなプリフェクトの姿に、&amp;link_anchor(メンファ・リン,pageid=23){メンファ}は思わず、なぜずっとそうしているのかと問いかけた。そしてそれに答えるフィシルの答えは、各員が自身の望みと向き合い、自身の責任で一歩を踏み出さなければいけない。その決断を、少しでも穏やかな心でおこなってもらえればと思い、そのために歌っていたのだという。
　しかし、メンファからすれば、少しでも多くの人が、自分たちと同じようにシャルリシア寮生に手を貸すことを選択してはくれないかということが気が気でないのだ。しかし、そんなメンファに、&amp;link_anchor(ビーク,pageid=23){ビーク}はまあ、自分だって正直レシィやラピス達の関わっていないことなら逃げ出したかもしれないし、仕方ないことだってあるだろうと、あまり気にしていないような口ぶりでいう。そしてそのビークを、&amp;link_anchor(グゼー・ウィステル,pageid=23){グゼー}は自分にしてみれば、この学園に危機が迫ったことはこれまでも何度かあり、その度に、生徒達が体を張ってきたことを考えれば、今さら惜しむようなことはないと思うのだがと呟いていたのだった。
　そんな寮生達のそれぞれの意見を聞きつつ、フィシルは改めて言う。どのような決断をするにせよ、その理由の根源は、穏やかな心の中に見つけ出すことができるはずであり、自分はただ、その手伝いをしたいのだと。そしてその意見に、&amp;link_anchor(フェイエン,pageid=23){フェイエン}は満面の笑みをうかべつつ頷き、それに、ここには自分たちがみんないるから、と、未だ不安がるメンファを勇気づけるかのように、明るく言うのであった。
　それでも、メンファの顔から心配の色は晴れなかったが、フィシルもまた、彼女を安心させるかのように、柔らかに笑いつつ、言う。
　心を落ち着けよう。今も、そしてこれから何が起こるとしても。
　そして信じよう。今まで自分が見てきた中で、心のそこから感じることができたものを。
　その真なる感性に従うことができれば、自分が本当にいくべきであった道を行くことができるはずなのだ、と。

　……そんなグラナドス寮生達の言葉を、その上空で聞いている者達がいた。ゴーストの、&amp;link_anchor(「歌歌い」ウィルテール,pageid=25){「歌歌い」ウィルテール}と、&amp;link_anchor(「赤い服の」マリー,pageid=25){「赤い服の」マリー}である。
　ウィルテールは、フィシルの言葉にうなずいていた。そう。自分もあの時……忘れられた七不思議に存在を侵食された（[[第六話]]参照）時、立ち上がらずにいる道もないわけではなかった。しかし、それが本当に正しいとは思えないという、自身の感性に従ったからこそ、結果として本当に大切な事、自分がこの世界にいたという記憶だけは、残していくことができたのだ。
　そして、それは今もそう。ウィルテールは、自分を助けてくれたシャルリシア寮生達に何かをしてあげたいと心の底から思えるし、彼らに与えられたそんな理不尽な運命は、蹴とばしてしかるべきだと間違いなく感じている。だから、例えゴーストといえ、自分たちがここに残ることにも意味はあるはずだということを、ウィルテールはマリーに向かい、同意を求めた。
　マリーは、ウィルテールほどに深く、シャルリシア寮生を思っているわけではない。しかし、今自分の脳裏に浮かぶ人、ジャックのことを、考えずにはいられないのだ。
　彼が、自らの運命に抗い、何かを得ようとしているのなら。生きるという事に全力で向かっていってくれているというのなら。自分もそのために何かをするものでいたい。
　だから、マリーもまた、ここに残ることを決意していた。彼女たちゴーストもまた、生きている人間と何ら変わりなく、シャルリシア寮生達と共に戦う決意をしていたのだ。

－－[[オルランド寮]]。
　寮内のとある部屋の中で、&amp;link_anchor(カミュラ,pageid=24){カミュラ}は寮生達の前に立つ。ここにいる寮生は全て、シャルリシア寮生達と共に戦うことを決意した人々であった。
　そのような人々がここに集まったことをカミュラは感謝しつつ、思えば、と２年前に、このエルクレスト・カレッジが魔族の手に落ちたこと、そして、それを奪還した時のことを語る。
　そう。その時も、それを可能にしたのは自分たちの力と意思であった。確かに、自分たちはあくまで一介の学生であり、エーエルのような存在から見れば、取るに足らないものであるかもしれないが、そんな自分たちの願いと力が、何もなしえないものであるということはないはずだ。
　だから今も。今エルクレスト・カレッジに残る人々の力を一つにして、シャルリシア寮生と、人類の危機を救う。
　自分たちにはそれができるはずだ。そう宣言したカミュラに賛同するように、寮生達は次々に声をあげ、頷く。
　&amp;link_anchor(アルヴィン・ケンドール,pageid=24){アルヴィン}は困ったような顔をしながらも。&amp;link_anchor(ルシャ・カザマギ,pageid=24){ルシャ}は、そんなアルヴィンの意向に沿いつつも、自身もまたシャルリシア寮生達の力になりたいと言いながら。&amp;link_anchor(セイ,pageid=24){セイ}は、今こそ真に、ミルカ達の役に立つときだと意気込みながら。&amp;link_anchor(ナタフ,pageid=24){ナタフ}は、許されたくてでもなく、認めてもらいたくてでもなく。自分自身がシャルリシア寮生を失うべきでないと考えて、そのための道を行けることに幸福すら感じながら。&amp;link_anchor(ハナ・タウル・イヴィシル,pageid24=){ハナ}は、もう、自分が本当に望んでいることから逃げないことを誓いながら。&amp;link_anchor(ラリエット・バルゲル,pageid=24){ラリエット}は、自分がここにいるのも、兄やみんなのおかげであったのだから、自分も同じように、誰かを救う一人でいたいと願いながら。&amp;link_anchor(カッツ・バルゲル,pageid=24){カッツ}は、この学園の苦難の多さを思いながらも、だが、だからこそ今さらひざはおれないと思いながら。ヴァリアスは、魔族の思い通りにさせることも、シャルリシア寮生の人生が途絶えさせられるのもまっぴらだと憤りながら。
　そこにいる人々は、一人とて、シャルリシア寮生のことを疑っていない。自分たちと力を合わせることで、必ずや本当の勝利を、「心の魔」より得ることができると信じている。　
　だから、ファムはそこにいる全員を象徴するかのように、強く宣言してみせる。
　自分たちは、全てを救って見せる。
　そのための希望は、ここに残されたのだからと。

　－－職員の場。
　集まった教師たちの前にたつエルヴィラが、覚えていますか、とそれぞれに問いかける。……そう。エンザがこのエルクレストの代表、&amp;link_anchor(アルフレッド・ヨーク,pageid=25){アルフレッド・ヨーク}と、自分たちの前で、かつて語ったことを。
　エンザは言った。この世界に、生まれた時点で滅ばされなければならないことが決まってしまう、悲しい命を生む存在が新たにやってきているということを。そして、その運命を、自分たちエルクレストの大人の力を借りることで覆すことができるかもしれないということを。
　エルヴィラ達は、エンザのその要請に頷いた。その理由は、エルヴィラ達が教育者として、若者の健やかな成長を妨げる要素と立ち向かう使命感を持っていたからだろう。
　そうして、何の因果か、すでにこの学園内にいた３名に、新たなにやってきた４名を加えたティオルジュの侵食者たち。つい最近まで、彼らはエンザやエルヴィラ達が望んだ通り、悲痛な運命を背負った人間としてではなく、ただ一人の学生としての人生を歩めていた。……しかし、ついに時は来てしまったのだ。
　だが、そんな悲しみの中で、エルヴィラにとって幸運であり、感謝したいと思えることがある。それは、シャルリシア寮生達がエンザの、そしてエルヴィラ達の望み通り、この学園で健やかな日々を少し、その中で多くの人と交流し、信頼を得られたこと。そして、今この状況に置いて、エンザの言葉と、自分達の意志と力を信じ、進んでいってくれていること。
　そんなシャルリシア寮生達の傍に、生徒たちの多くが集まってくれている。だから、今エルヴィラ達にできることとは、そんな状況にあるシャルリシア寮生たちや、それに力を貸そうとする生徒達の危険を、少しでも減らすことであると彼女は考えている。
　２年前、自分達大人の至らなさにより陥った危機を、生徒たちの手によって救ってもらったことがある。
　今度も、生徒達だけに全てを負わせるわけにはいかない。だから、エルヴィラは語る。
　自分のこの思いに賛同する人は、どうか力を貸してほしい、と。
　頭を下げたエルヴィラにすぐ答えたのは、言語学の教師、&amp;link_anchor(ランド・グリーンヒル,pageid=25){ランド}であった。彼は、そのエルヴィラの言葉と意を同じくするのは当然とするだけでなく、もう一つの理由を語る。
　自分たちの仲間、エンザの人生をかけた願いを継ぐという理由も、忘れてはならないのだからと。
　そして詩学の&amp;link_anchor(テオドラ・ダイアナ,pageid=25){テオドラ}が、シャルリシア寮生たちの思いも、他の生徒たちの思いも、エンザの思いも……そのすべてがかけがえがなく、自分たちが大切に、尊ばなければいけないものであることを語り、戦闘学の竜教師、&amp;link_anchor(ラグル,pageid=25){ラグル}は、やらなければいけないことは決まっており、あとはそれに挑む、全ての心を信じて成し遂げるだけだと説く。
　そう言った数々の教師からの言葉を受け取り、エルヴィラは今一度、感謝し、そして誓う。
　今一度、自分たちにできる最大の努力をし、そして、願おうという事を。


　そしてシャルリシア寮では、[[ジャック&gt;ジャック・アルマー]]の元を[[ラピス&gt;ラピス・カルパンディエ]]が訪れていた。ジャックが要件を伺うと、ラピスは、新しく武器にルーンを刻み、その威力を増すという術を覚えたので、それをジャックの武器に施術したいということを答えた。ジャックにとってもそれはうれしい申し出と言っていいことではあったが、一つの懸念がある。それは、ラピスは果たして、ジャックの使用する剣を一本とはいえまともに持つことができるのか
ということだ。ラピスはその生い立ちもあり、筋力量で言えば決して恵まれているとは言えないことは周知の事実である。
　そんなジャックに対し、それはさすがに自分をなめすぎだ。と笑いながら剣を持ち上げようとするのであったが、剣の重量がジャックの手からラピスの腕に移されたその瞬間、ラピスは思わず体ごとバランスを崩し、壁に追突してしまう。そんなラピスを気にかけつつ、全然大丈夫じゃないことをたしなめるジャックであったが、ラピスはそれでも平気だ、と取り繕い、最終的にはドゥさんの手によって剣を自室まで運んでもらうことにしたのだった（フィジカルエンチャントをしても、持てるようにはなったが剣を安全に運ぶのが難しそうであったため）。
　……そうやって剣を自室の机の上に運んだラピスは、呪文を唱えて剣に魔力を浸透させたのち、つい先ほど購入していたらしい小さなナイフで自分の指をわずかに傷つけ、そしてその血を持って術式を完了させる。
　これで、ジャックの剣の強化は完了した。……が、その時、ラピスは見る者がいれば大きな衝撃を受けたであろう行動をとる。なんと、そのナイフを自らの心臓に向け、それをそのまま胸につけたのだ。
　ナイフの動きはそこで止められたが、あとほんの少しラピスが力を籠めれば、ナイフはその薄い皮膚を突き破るであろう。そんな状況の中……ラピスは、あることを確認していたのだった。
　大丈夫。ちゃんと死ねる。
　エーエルは言った。挑むよりも先に、シャルリシア寮生達が死ぬことが、本来の解決法だと。
　そして、ラピスに言った。お前は命が惜しいから、そういった選択をしたのではないかと。
　そんなわけないだろう。そう、ラピスは自ら呟く。
　ラピスがそんな彼女に反論した、戦うという決意や、エーエルの言うことが問題を先送りにするだけにつながるという問題を感じていたことは、嘘ではない。だがしかし、それを選択したのは、あくまで命が惜しいからではない。その必要があるなら……ラピスは自身の命を、いつでも差し出すことができる。
　だから、もし戦いのさなか、本当に駄目だとなったら、その時はすぐに、自身へ死を与えようとラピスは考えていて……それがちゃんとできるということを、確認したのだ。
　いざその胸へナイフを突き刺せるかと頭の中で考えた時、その意志のほかに、自分のことを大事にしてほしいという[[クレハ]]からの言葉や……師匠からの言葉、[[その他]]色々な思い出がよぎってしまったが……それでも、自分はその選択はできるのだと。
　……そんなラピスの様子を、ただ一人だけ見ていた者はいた。彼女のファミリア、ドゥさんだ。
　ドゥさんは、ラピスに対して、あまり思いつめすぎるな、と言葉をかけるのであったが、それに答えるラピスは、何もいつもと違ってなんかいない、と返答した。
　勝てば今までどおりの日常が戻ってくる。負ければ、すべて失われる。そんな戦いであっても……結局のところ、自分にとってはほとんどかわることはない。何故なら、いつだって負ければ、自分のすべてを失うような気がしてならないのだから。
　ドゥさんの言葉に対してそれだけを答え、ラピスは剣の返却を明日にすることにし、ベッドについてドゥ君に背を向ける。そしてラピスが寝付くまでを見守ったドゥさんは、すでに意識はないであろうラピスに向かい、言う。
　たとえ短くても、儚くても。未来が自身にあるのなら、それを望むことが罪などということはない。
　ラピスは、子供なのだから、と。

　－－ジャックの元にまたも来客があった。サーニャである。
　サーニャはティオルジュとシャルリシア寮生の最後の戦いに対し手を貸すことを、もはや当たり前のように決意しているようで、ジャックに対してそのことを表明して見せた。……が、どうやら用件はそれだけでなく、ジャックにあることを進言しようと思ってやって来たらしい。
　それは、ジャックから母、&amp;link_anchor(キャロル・アルマー,pageid=26){キャロル}に対し、手紙で、近況を伝えてはもらえないだろうかということであった。
　キャロルは今、ジャックの中にティオルジュという魔族が潜むこと。そして、それがどのような影響を及ぼす者であるかということや、ジャック達がこれからそれに打ち勝つための戦いをすることを、全く知らないのであろう。
　サーニャは、キャロルはきっと、息子であるジャックがそれに相対した上で、どのような心境であり、どのように戦いにのぞもうとしているのかを知りたがっているはずだ、と語る。そしてやや間をあけたあと、ジャックは懐に手を入れ、何かを取り出した。
　……それは手紙だった。そう。ジャックはすでに、サーニャにいわれるまでもなく、母への手紙をしたためていたのだ。
　だが、それを手にしているジャックの目的は、少なくとも今となっては、サーニャの語っていたものとは異なる。なぜならジャックは、この手紙をあえて差し出すつもりがなかったからだ。
　自分は必ず勝つ。ならば、これを見せるのは全てが終わってからでいい。
　そういった一種の願掛けとして、ジャックはその手紙を、今はあえて手元に置くことを選択している。だが、そんなジャックの考えをサーニャは認めつつも、しかし、と口にする。
　……今このことを知らされていなかったら、キャロルはまたジャックに対し、何か心象的な痛手を負ってしまうのではないだろうか？
　そのサーニャの意見には、ジャックもただ否定することはできなかったようだ。……そして、しばし考えを巡らせたあと、ジャックはサーニャに少し待つように告げると机に向かい、もう１通の手紙を書き始める。
　できあがったその手紙は、&amp;link_anchor(フレイス,pageid=26){フレイス}へのものだ。そしてその上で、ジャックはこの手紙を２通とも、フレイスの元へ届けることを決意する。
　……それはつまり、この手紙が母に届くかどうか。その判断を今、母の最も近くにいる人物に預けたという事なのであろう。
　そのことを理解したサーニャは、手紙を差し出す役を買ってでつつ、優雅な礼をしてその場を去ろうとする……が、その時、彼女はある違和感に気づき……ジャックへ、どうやら次のお客様がいるようです、と伝えて、今度こそ軽やかに、その場を去って行った。
　そして、存在を看破され、若干居心地悪そうに入ってきたのは、ラピスだった。昨日の剣を返しに来たラピスは、そこではからずも先ほどの内容を聞いてしまったようである。
　ラピスは、盗み聞きするつもりはなかったのだけど、と申し訳なさそうにしていた……が、今聞いてしまった話にたいし、一つだけジャックに伝えるべきことがあると判断し、それを伝えた。
　家族が話しあえる機会があるというのなら、それは無駄にしない方がいいかもしれない。
　自分は、それから目を背け続けたあげく……もう、ごめんなさいとすらいえなくなってしまったから。
　そのラピスの言葉に、ジャックは無言である。
　ただ深く、自身と母のありようを、考えているかのように。

　－－[[ミト&gt;プリンセス・ミト]]は、決戦を明日に控えたその日を、自身の大切な人と共にしていた。その人とはもちろん、メギアムのことだ。
　つい最近、彼女たちの前に唐突に表れていたという、ソウルパワーあふれる謎の男についてを語り合い、とてもいい魂を持った人だったが、いったいどこの所属なのだろう？といった話題に花を咲かせ、二人は談笑を楽しんでいたが、やがて、メギアムは明日に控えた決戦についての自身の思いを、ミトへ切り出す。
　明日。ミト達は、自身の運命を捻じ曲げようとする者に対し、戦いに赴く。そして今、メギアムは考える。
　ただこの世に生まれた、何の罪もない命に対し、犠牲を強い続けようとする魔族。そして、そのために自身の大切な人、ミトが犠牲にされようとしていること。そのどちらも、決して頷くことのできないものだ。
　しかしそれでも、確かにあのエーエルが語ったように、多くの人々……あるいは世界は、そうした犠牲を受け入れてしまうことを選ぼうとするのかもしれない。……可能性を信じることが、できないからだ。
　そう。自分たちには可能性が残されている。それが、エンザがミト達シャルリシア寮生を導き、そしてその身をはって行ってきたことの結果だ。そしてそれを成就させることは……今、ミト達の手にゆだねられている。
　そう言いつつ、メギアムはミトの手を取った。いとおしさを伝えるように。そして続ける。
　ミトは学生であり、一人の可憐な乙女だ。
　そんなミトがその可能性を受け継いで戦おうとすることに、多くの人びとは疑問の声を投げつけるのだろう。
　だが、メギアムを始め、シャルリシア寮生達と共に戦う選択をした人びとは、信じている。
　ミトが、その他の誰よりも強く気高い、使命と誇りに満ちた王女であると。そう信じているから、メギアムは今の自分の気持ちも、偽らない。
　メギアムは、ミトがこの過酷で理不尽な運命を背負ってしまったことに対する悲しさよりも……それに立ち向かえる可能性を持った者の一人が、ミトであったことに感謝している。
　メギアムにとってミトは、その可能性を成就させてくれることを、他の誰よりも信じられる人であるからだ。
　そして、そのメギアムの信頼に、ミトも正面から答える。
　今この瞬間、ミトは２つ、自分の人生に深く感謝できることがある。それは、この運命に立ち向かうのがほかならぬ自分であることと、今この時も、傍にいてくれる人、メギアムに出会えていること。
　その幸福を感じられる。自分は、自分たちは決して負けない。そして、もう何も失わない。
　そう答えてくれたミトへ、メギアムは深くうなずきつつ、最後に伝える。
　これからの戦いで、ミト達の……いや、自分たちの勝利が、信頼を鍵とするといい……そして、心の魔、ティオルジュもそれを警戒し、策略を練っているとするのであれば、敵はその信頼を惑わせ、失わせようとする何らかの手段に出てもおかしくはないだろう。
　しかし、メギアムは誓う。
　もしメギアムがミトへ、真の信頼を向けているかを惑わせてくるようならば、ミトがもう一度確信してくれるまで、何度でも叫ぶだろう。
　もし、メギアムとミトを引き離そうとして来るのなら……例え一時はそうのようになったとしても、必ずミトの傍へ戻っていく。
　それを信じ、決してひざを折らないで。
　ミトとメギアムが共に未来に進むために。人を不必要な悲しみの連鎖から救うために。
　それが、必要なはずだから。
　ミトは、もう一度メギアムへ頷いた。そして、自分の胸を叩くように手を当て、まっすぐな瞳でメギアムと視線を合わせる。
　In my heart.もう言葉で語らずとも。互いの願いは全て心の中で共通している。
　そういわんばかりのソウルパワーにあふれたミトの行動に、メギアムも同じように返すのであった。

　－－[[レシィ&gt;レシィ・マナリス]]が帰ってきた。そのことを知るや否や、真っ先にレシィのもとへとやってきたのは、もちろん&amp;link_anchor(ユエル・ケルフィン,pageid=26){ユエル}だ。
　ユエルはレシィに会えなかった心配が解消されたことと、レシィが確かに戻ってきた喜びをその笑顔に浮かべながら抱き付き、レシィ達に一体何があったのか、ということの始終を聞きたがった。そしてそんな積極的な彼女に、レシィは説明を始める……

　……このエルクレスト・カレッジでエーエルがシャルリシア寮生達について……心の魔、ティオルジュについてを語ったところまでを話したレシィ。それを聞いたユエルはまず……レシィ達が死んでしまうべきなどと言う意見を口にした、エーエルに対し憤りをあらわにする。しかし、ユエルに、レシィはそれに対して怒らなかったのかと言わると、レシィは、自分がそのことに対しては怒りを感じていないことを改めて自覚する。……そう言われたのが自分自身であるからこそ逆に、エーエルの言葉の理を深く考えられるのかもしれない。
　そんなレシィに心配になったのかユエルは確認する。レシィは、もう戦うことを決めているのだろうと。それに対して、レシィは戸惑うことなく、頷いて答えられた。
　だが、ユエルの質問は続いた。もう１つ、聞かせてほしい。
　レシィは、今までの自分の人生のことを、どう思えているのか。
　邪神の祝福をもって生まれてきてしまった。そのせいで自らを失いかねないようなことにもあった。そしてそれを乗り越えられたともったら……今度は更なる脅威がその身に迫っている。
　レシィの人生は……レシィにとって、どんなものであるのか？
　そう問われて、レシィは考えた。
　自分の人生は、ここで終わるべきだと言われた。
　その理由は、理解できないわけじゃない。なら、自分はそれに頷くのか。
　そう思った瞬間、レシィの頭の中に、今まで出会ったたくさんの人々、そして光景が流れていく。
　そう思い浮かべている自身を自覚した時、レシィははっきりと、確信する。
　いや。違う。
　自分は死ねない。自分の人生は、ここで終わらせるようなものではない。
　まだ続く人生の中こんなところで死ぬようなことを受け入れるつもりはないし、シャルリシア寮生の仲間も関わるとなればなおさら当然、頷けない。
　他者に言われた運命の形より、自分の意思を、人生を信じる心を燃え上がらせ始めたレシィ。そしてそんなレシィの答えに、ユエルはよかった、と笑う。
　そう。レシィの人生の中には、悲しいことも、なくしてしまいたかったこともあるだろう。
　だけどそんな人生の中で、誇りたくなるもの、信じられるもの、笑って受け入れたいものに出会い、やがて、「立派な自分になる」という夢を描き出したレシィの思いは、決して悲しいものでなければ、否定されるようなものでもない。
　だから、それを奪おうとするようなものがいるなら、ユエルは決して許せないのだ。
　そのために、力を貸す。ユエルはそう宣言してレシィの腕を取った。……しかし、それに対するレシィの反応は、どこか重い。
　レシィはその時、悩んでもいたのだ。
　自分の信じるものに力を貸してもらわなければ勝利は無いというのならば、ここで自分が誰より信頼する人、ユエルの意思を認めるという事は、自分がユエルを結果的に傷つけてしまうことになるのかもしれないと。
　だが、ユエルはそんなレシィを見透かすかのようにレシィの瞳をまっすぐ見て、語る。
　たとえそれが危険かもしれないことでも、この世界じゃないところにいかなければいけないとしても。
　ユエルは、レシィと共にそこへと向かう。それは、レシィと、ユエルと、みんなが、自分たちにとっての本当の未来を取り戻すために、必要なことだから。
　だから、レシィも恐れてほしくない。レシィの力はユエルの力であり。ユエルの力がレシィの力……そう、みんなの力がレシィの力となって、立ち向かうのだという事に。
　思いを繋げてくれた人々の力は、失われることなんてないはず。そう信じてくれれば。
　きっと、すべてはうまくいく。そう、エンザも言っていてくれたはずだから。
　……そのユエルの言葉を聞いて、レシィはしばらくの沈黙の後、ゆっくりと頷いた。……しかし、その時のレシィの瞳には、一つの決断をした輝きが宿っている。
　そして、レシィはユエルに言った。これからの戦いは、自分たちだけではどうにもできないであろうから。
　ユエル達の力を、貸してほしいと。
　ユエルは満面の笑みで……心配事をすべて吹き飛ばしそうなほどの明るさで、強くうなずく。そして言うのだ。全てを、ひっくり返して見せる。そういってくれたものね、と。
　レシィも、そこで笑みを浮かべることができた。そう、この理不尽な運命を、全てひっくり返して、ハッピーエンドに持って行ってみせる。
　自身の本心から、もう一度そう宣言してくれたレシィを見て、ユエルはレシィがこの学園で、このように成長してくれたという事に人知れず感謝をするのであった……

　－－[[ミルカ&gt;ミルカ・ハミルトン]]は、寮の自室にいた。しかし、ある時、突然の異変が起こる。
　彼女のファミリア、トッポが急に窓の外を気にし始めたかと思うと、やがてミルカの意思とは関係なく、部屋を飛び出していってしまったのだ。一体なぜトッポがそんな行動に出たのか、それをミルカは知る由もなかったが、とにかくトッポを一匹にさせるわけにはいかず、その後を追っていく。
　そしてそのトッポは、学内の庭をしばらく進んだかともうと、とある人物の前でその進行を止める。それに気づいたミルカが視線を空中から地面に移し、その人物を見ると……そこにいたのは、若干顔にしわが入り始めたというくらいの初老のエルダナーン、そして、そのエルダナーンが連れているファミリアらしき、両目を怪我でつぶされてしまっている、全身も傷だらけの狐だ。
　だが、その二つの姿を見て、ミルカには少なからず衝撃が走った。何故なら、それらの姿は紛れもない。エルクレスト・カレッジに来る前、旅をしていたころのミルカの師匠、&amp;link_anchor(ライベル・ウィド,pageid=26){ライベル}と、そのファミリアに違いなかったからだ。確かに以前受け取った手紙（[[第十一話]]参照）に、エルクレストに訪れるかもしれないと書かれてはいたが、今到着したという事らしい。
　そしてライベルもまた、自身の手の上に留まったトッポに向けていた暖かな視線を、ミルカに向ける。師匠の言う久しいな、という言葉を肯定し、二人は共に向き合った。
　そんなライベルにとって、ミルカがなぜこのエルクレスト・カレッジに来たのか、そして今、どれだけの力をつけたのか。確認したいことは多くある。
　だが、まず何よりライベルが知らなければいけないと思っていたのは、かつて手紙にも書いた、動物王の予言……ミルカの身に最大の危機が迫るという事象の顛末についてだ。
　それは本当に起こってしまったのか。そう問われたミルカの答えは、イエスだ。動物王がわざわざ警戒を与えたほどの異変は確かに、ミルカ達に訪れている。
　そして、そんなミルカに、ライベルはその内容を聞かせてほしいと願い、ミルカは語り始めた……

　人知れず人類に訪れていた新たな脅威。そして、その侵食先に、ミルカ達は見込まれてしまった。
　そして、その脅威についてを研究する識者、エーエル・ラクチューンは、そのミルカ達が脅威に立ち向かうことによる可能性を否定し、ミルカ達が速やかに私を選択するべき存在であることを納得させようとした。しかし、ミルカ達はそれに頷かない。
　自分達を信じ、支えようとしてくれる人々の存在が希望につながっていることを信じ、自らの滅びも、人へのさらなる犠牲も否定するために戦うことを選んだ。そして、ミルカはその決断ができたのは、ライベルの教えがあったからこそだという。
　かつてライベルに。師匠に教えてもらった通り、他者を信頼し、共に助け合うことが重要であり、そして、それが成す力の大きさを信じているから、エーエルに否定されても、戦う道を選択できたのだ。そんな弟子の気高い決意を聞き、ライベルはむしろそれに感謝するかのように深くうなずいた後、言う。
　ライベルは手紙において、動物王の予言を通して、ミルカの身に降りかかる最大の苦難に対し、人との信頼が鍵となるであろうことを伝えている。しかし、動物王がそのように語ったから、全てその通りに行くのかと言えばそうではない。確かに動物王は人知を超えた力を持つが、決して、この世のすべてを支配しているわけではないのだから。
　そして、これからミルカ達が向かう戦いは、おそらく、心の迷いが致命傷となりかねないものであるはず。ミルカ達が迷い、惑えば、それを信じる者達の心も惑い、結果信頼も揺らぎかねない。だから、もしミルカのその選択の根拠が、「動物王もそういっていたから」ということだけだったら、それは危険なことかもしれない。そう、ライベルは考えていた。
　しかし、その懸念を話さずとも、自らライベルの「他者と心を通わせ、力を合わせる」という理念の重要さを知っていると語ってくれたミルカに対し、それはいらぬ心配であったことを、理解出来た、と。
　だから、もうライベルに心配はない。
　信じるべき他者の言葉を。そして、得てしかるべき自分の未来の価値を信じ、戦ってほしい。
　ライベルのその言葉に、ミルカ一瞬の迷いもなくうなずいた。そして言う。
　任せてほしい。もうこの戦いは、勝ったも同然だから。
　信頼が勝利の鍵となるというのならば、自分たちはもう十分にそれを得た。だから、負けるはずがない。
　心からそう信じることができたミルカに、満足そうな笑みを浮かべたライベル。……しかし、その後、今度は何かを悩むかのような表情を見せた。それがなぜかミルカが理解できないままに、ライベルは突如、１つ、自分の過去について話させてほしいというのであった。
　……ミルカに出会う数年前のライベルは、自身以外の者に信頼を置かず、ただ自分の力を高めることだけを目標にして生きていた存在だった。使い魔を酷使し、その力で他者を薙ぎ払い、横暴を繰り返した。その頃のライベルには、それがこの世の摂理であると思えてならなかったからだ。……かつて&amp;link_anchor(イーニス・ジェセン,pageid=26){イーニス}に教えを授けたのも、そのような頃である。
　しかしある時、とある実験に失敗し、その結果ライベルは生死の境目をさまようこととなった。……いや、ライベルはその時、死んでいたはずだったのだ。自分自身で自分の身を救うことができないほどの重傷を負ってしまった以上、頼れるのは他者だけ。しかし、その他者を信じず、横暴を繰り返したのが自分という者であったのだから。
　しかし、今ここにいることからもわかるように、ライベルは助かったのだ。それは、こいつのおかげだったと、ライベルは傍らの傷だらけの狐をなでた。
　そう、あの時。ライベルが何よりも一番傷つけてきたはずの自身のファミリアが、自分を助けてくれたのだ。ライベルはその時、命令する余裕すらなかった。つまり、この狐のファミリアは、自らの意思でライベルを、その身を更に危険にさらすことを顧みず救ったのだ。
　その事実は、ライベルには大きな衝撃を与えた。このファミリアには、死にかけた自分を見捨てる権利があっただろうに、そうしなかったのだから。
　このファミリアは、その身を傷つけられながらも、それでも自分のことを主人だと思い、どうしようもないライベルのことを、案じてくれていたことに気づけたから。
　そうやって命を拾って、ライベルは思いなおすことができた。
　人の世は確かに、優しいことばかりがあるようなところではない。しかしだからといって、全てが横暴さと残酷さであふれた世界でもなかった。
　優しさを生もうとする人の心の数だけ、小さくても、その世界は存在しているのだから。
　そう思い、己の生き方を変える決断のあと、しばらくしてようやく、ライベルは新たなことに気づいた。
　それは、そうした優しさが生む世界の連続が、それぞれが孤独であったら考えられなかったような大きな成果を導いてくれることもあるということ。
　そこまで語り、ライベルは今一度、ミルカの目に視線を合わせて言う。
　今のミルカはきっと、それを繋げる架け橋であり、そして、実行者であるはずだと。
　その結果を。人の想いが連なったことの奇跡を今一度、この師へと見せてほしい。
　そう願ったライベルに、ミルカはもちろん頷いた。安心して、見ていてほしいと。
　そして、ライベルは感謝した。ミルカが自身の弟子……いや、一人の隣人として、そのような人物であってくれたことに。
　だから、ライベルも今、まぎれもなく信じる。
　ミルカの心と、そんなミルカ達のために集められた人々の思いが、選択されるべき真の道を切り開くものであるということを。
　そう願いながら微笑むライベルの膝の上で、傷だらけの狐もこころなしか微笑んでいるように見えた。
　そしてそんな彼らの頭上を嬉しそうに飛び回り、トッポはまた、一声高く鳴くのであった。

　－－[[クレハ]]は、エルクレスト・カレッジ内のとある木の枝に登り、星空を見ていた。
　それと同時に眺めていたのは、かつてエンザが自分に勝利した証にとくれたもののひとつであるナイフ。しかし、それを持つクレハの手は震えている。
　情けねえ……その時クレハは、そういっていた。そしてその場には……それを聞き返す誰かが、いる。
　驚きと共に声の方向を見ると、木の下にはクレハの母、&amp;link_anchor(キキョウ・アマザキ,pageid=26){キキョウ}がいる。所用を終え、戻ってきたというキキョウは、すでにクレハ達の身に起こったことの情報を集めており、クレハ達が今どのような状況にあるか、そのことを知っているようであった。
　そして、その息子のことを心配してここに来たのだろうか。キキョウに降りてくるよう言われたクレハがその指示に従い、地の上で母の傍に立つと、キキョウは言う。
　迷っているのか、と。これから、自分を信じてくれる、そしてクレハからも信頼できる仲間と共に、戦うという事に。
　その母の質問にクレハは答える。戦うという決意は決まっており、それに対して悩みや迷いはない。
　しかし、自分の問題を、誰かに背負わせてしまっているのではないか。そう考えてしまうことから抜け出せないでいる。それが今、クレハの手を震わせていたのだ。
　キキョウは、クレハが誰かを助けたいと願ったように、その誰かが救おうとする相手も、クレハなのであり、それは背負うということとは意味が異なるのではないかと語るのであったが、それに答えるクレハの表情はなお重い。
　そこでキキョウは……クレハに突然、クレハの未来の目標についてを聞く。
　クレハは突然のその質問の意図を理解したわけではなかったが、その質問は、かつてエンザに対して答えたこともあるものだ。
　しかし、その答えである、「越えたい人がいる」というクレハの目標となる人物とは、何を隠そう自らの母、目の前の人物の事なのだ。しかし、答えを迫るキキョウの眼力に屈してかクレハはただ、その答えをそのまま告げるしかできなかった。
　それを聞いたキキョウは、おもむろに自分を指さして言う。それは、この私の事ですか、と。
　答えを口にした時にはすでに、自身の内心に母を描いていたことを看破される覚悟をしていたクレハだったのだが、それでもほぼ間をあけずにそのものずばりで指摘されたことに関しては戸惑わずにはいられない。だが、そんなクレハに対してキキョウはゆっくりと、語り聞かせるように続ける。
　確かに、キキョウ・アマザキは英雄と呼ばれることがある。
　だがそれは、キキョウが「英雄となる」ことを目的として行動したが故の結果と言うわけではない。その時その場所で、自分と他者のためにできる、最大限のことを選択し続けた。それが、やがてキキョウ自身が守りたかったものたちを守ることにつながり、それを他者が評価したのが、英雄という称号であったに過ぎないのだ。
　その意味が分かるだろうか、と問われたクレハは、少し口を開くも、言葉をつづけることはできなかった。だからかキキョウは……クレハの言葉を待たず、続ける。
　我が息子よ。あなたも、そうだ。
　守るべきを守り、行くべきを行き、戦うべきを戦い、救うべきを救う。
　その心こそ、他者を守り、象徴とれる存在の根源となるものであり、クレハはそれを、確かに持つはずだ。
　確かに、そうであるからといって、力が及ばないことはある。その理念に疑いを持つような結果が訪れることも。だが、それを忘れなければ、自身は常に成長を続け、不可能だったことにも活路を見出すだろう。
　……自分だけではない、クレハという男の生き方を見続けてくれた人は、きっとそのように思ってくれるはずだ。だから
　誰かが言ってはくれなかっただろうか、とキキョウは確認する。
　クレハは、英雄になれる存在のはずだという事を……
　そう問われたクレハの脳裏には、一人の男の言葉があっただろう。
　エンザもそう、クレハを信じてくれていたことを。
　そしてキキョウは続ける。クレハは強く、立派な男に育った。キキョウにとって、自分の息子であることを誇りに思うほどに。
　明日の決戦において、人びとがクレハを信じるのは、クレハが彼らに重荷を預けてしまったからではない。
　クレハがそれに足る人物だと信じさせてくれたから、彼ら自身の意志がそうさせているのだ。
　……そのキキョウの言葉が、ついにクレハに気づかさせた。
　自らの意思で、尊く力強く、クレハ自身を気にかけている人たちがいること。
　そして、その思いに向き合い、受け入れていくべきなのだということをだ。
　そう気づき、おそらくは今までに自分へ声をかけてくれた人々のことを思い返しているのだろうクレハに対し、キキョウはそれに気づかなかったことで、どれだけその人たちを逆に傷つけてしまったことだろうか、とクレハを突き刺すかのような一言を口にしたが、それと同時に、こうも言った。
　どんな過ちだったとしても、それを償おうという気持ちがなければ、過ちを犯した者としての責任を果たすことはできない。
　ましてや、クレハは今までの考えを逸脱するための、新たな想いに気づくことができたのだ。ならば、全てはここからのはず。
　そう語られて、クレハは頷いた。そして、感謝を述べる。今、自分は自分が信じる、そして信じてくれる人たちの気持ちに、どう向き合うべきかが分かったと。
　そんなクレハを、キキョウは本当に気付くのが遅い、としょうがなさそうに笑う。
　ところで、とキキョウは悪戯っぽい表情を浮かべつつ、クレハの身のこなしをみて言った。何やら特殊な術を身に着けたようだが、新たな出会いがあったのだろうか、と。
　そう言われてクレハの脳裏をよぎったのは、全身鎧の「あの人」のことだ。心なしか傍らのファミリアもアップを始めた気がする。
　全身が硬直し、急にしどろもどろになったクレハを見て、何を解釈したか、キキョウは優しく告げる。
　もし気になる人が現れたのなら、私にも紹介しなさい。ただし、生半可なお嫁さんでは私は許しません、と。
　その時クレハが流していた冷や汗は、その母の謎の剣幕に対してか、脳内と肩の上で重厚感を醸し出す部長のオーラによってか。その両方か。
　それはクレハにしかわからないが、いずれにせよクレハの真の安息は、心の魔を倒しただけでは訪れないのかもしれなかった……
　
　－－ラピスもまた、自室の中にいた。そしてその扉をたたく誰かがいて、ラピスはなぜかやたらと複雑になっていた自室の鍵を開放する。
　そしてそんな謎の行動に戸惑うこともなく、むしろ自身が教えた施錠方をを実践していると讃えて扉の前に立っていたのは、ラピスの師、&amp;link_anchor(ナイル,pageid=25){ナイル}である。
　突然となるナイルの登場にももはや慣れている故か、ラピスは先生、と快くその登場を歓迎し、立ち話もなんですから、とすぐに部屋の中へ招き入れた。　
　そしてラピスの部屋に入ったナイルは、今回の出会いは、新型の錬金術の装置を使用したスペクタクルなものにするつもりだった、とおどけながらも、その実、今の事情について知ったうえで、ラピスの様子を伺うために来たのだという。そんなナイルに、ラピスは心配してもらわなくても、先生のおかげで自分は大丈夫になったということを伝えるのだったが、そんなラピスへ、ナイルはあることを伝える。
　……エンザが懸念していた、心の魔についてのことは、ナイルもまた教員の一人として、知っていた。
　だが、自分の人生に絶望し、そこから見つめなおそうとしたばかりのラピスがそれを知れば、もう一度生きて成していくべきことを見落としてしまうのではないかと思い、それを伝えようとしなかった。それはナイルの意図的なものだったのだ。
　それを恨むだろうか、とナイルは言う。そしてその直後、ラピスは机を叩くようにして手を置き、叫ぶ。なぜ、教えてくれなかったんですか！と。
　……だが、それは今のラピスの本心ではない。そう、昔の自分ならそう言ったであろう、ということだ。ナイルやエンザからの配慮は理解できるし、それに、結局のところ、それを今知っても昔知っても、こうして立ち向かうしかなかったことなのだ。だから、もう今になって、そのことに遺憾を示したりはしない。
　そう語ってくれたラピスに感謝の意を示しつつ、ナイルはさらに続ける。
　……いずれにせよ、ラピス達はもう戦うしかない。エンザが残した希望の灯を拾い上げ、それを頼りにしながら。
　そして勝利すれば、全ては救われるはず。そのために、君のすべてを尽くすことはできるね、とナイルは確認する。エンザのため、シャルリシア寮生達のため、みんなのために。
　その言葉に、ラピスは寸分の迷いも見せることなく頷き、宣言する。そう、自分は「みんな」を守って見せる。自身のすべてを使ってでも、と。
　そう。ラピスはみんなのために、といった。だが。
　その言葉の中に、ラピス自身が含まれていないことは、少なくともナイルにとっては明白だ。だからナイルはさらに問い返す。それは、自分のことを含まないだろうか、と。
　……そのナイルの疑問に、ラピスは固まった。しかし、それはその答えを持たなかったからではない。
　自身にとっての答えは明確であるのに、それを大恩ある師の前で、自身のことを気にかけているという師の前で、そう口にしてしまうことを憚ったからであろう。
　そしてナイルは……その沈黙のうちに潜むラピスの心に気づいているのか、話を続ける。
　やはり、まだ君は、君自身を許すことができていないのだね。そうナイルは言う。
　ラピスが罪だと思っているものを、本当にその人が許さないとしたのかはわからない。そして、そうであったとしても、ラピスはその時の行いを払拭するほど、誰かの助けにもなるための人生を歩みなおしてきているはずだが、それでも、なお。
　そう。これ本来、もっと長い時間をかけていくべき問題だったのだろう。そうして初めて、やがて自分を許せるところを自分で見つけていくことができたのかもしれない。しかし、ラピス達はもう、動かなければならないところに来てしまったのだ。
　今この状況下において、ある意味残酷なことであるが、ラピスが自分のことを救われたいと願わなかったとしても、ラピス達に力を貸そうとしている人たちは、決してラピスを除いた他の人たちではなく、ラピスを含めた人たちのことを救うために心を一つにしようとするだろう。そんな人々に、ラピスはどうやって向き合うべきだろうか。
　そこでナイルは、ラピスにまた問う。今度は、君は、君の仲間を信じられるだろうか、と。
　ラピスが共に戦ってきた人々を、ラピスが助けてきた人々を。そんな彼らが仲間であり、ラピスが救うべき相手であり、味方であることを。
　そのことに関しては、ラピスはまよいなくうなずける。自分が、信頼できる能力や行いを持った誰かに命運を託すことに、恐れや迷いはない。
　ならば、とナイルは言う。今は、その人の言葉を、信じてみるといい。と。
　自身に向けられた心に、真摯に向き合ってみること。そうすればきっと、思いが宙をさまよい、失われてしまうようなことも……
　ラピスへそう語るナイルであったが、そこで突然、ナイルは扉の外に意識を向けた。ラピスはそれに気づかなかったようだが、ドゥさんも同様のようだ。その外に、誰かがいるらしい。
　だが、ナイルは少し考えるように間をあけたあと、ほほえみを浮かべ、ラピスへ告げる。
　君に来客のようだ。彼と話をしてみなさい。と。
　突然話を切り上げられ、さらに来客が来たと言われ困惑するラピスであったが、そんなラピスへあえて続きを語らないままナイルは、これからは、この件が終わるまで、自分はこの学園にいること。そして、もしその後も自分と話したいことがあったなら、いつでも会えるということを伝える。
　……最も、その時はもう、自分から語るべきことはすでにないのかもしれないが。最後にそう口にして、ナイルは懐から取り出した謎のボタンを押す。すると、機械の電子音のような謎の音と共に、ナイルの姿がまるでかき消されるかのように消えてしまった。それもまた、「錬金術のちょっとした応用」なのかもしれないが、それにしても唐突かつ異質な技術に、ドゥさんは思わず「世界観間違えてないか？」とつぶやくほどであった。
　だが、外にいるその「来客」に、内部のそんな戸惑いはあまり伝わっていないようで、やがてノックの音が響き、ラピスの名が呼ばれた。……そうしたのは、ガイブである。ラピスが扉を開けて彼の顔を見ると、その表情は真剣そのものであった。
　話したいことがある、というガイブ。そんな彼にラピスは頷いたが、ならば外に出ようと持ち掛けた。
　それに同意したガイブとラピスは、二人で寮の外に出て、庭を進みながら話を始めるのであった。

　……ガイブがまず語ったのは、心の魔との決戦についてだ。
　心の魔を倒さなければ、シャルリシア寮生の未来だけでなく、人類そのものにも悲しい結末が訪れかねない。だから、戦って、全てが救われる道があることを信じる。
　きっとラピス達は、そう思えたからこそ、立ち上がる覚悟を決めてくれたのだと思う。とガイブは言う。そしてそれは、自分たちも、同じだとも。
　ラピス達の未来がそんなものに左右されてしまうことも、心の魔という、そんなものの存在を認めていかなければいけないなんてことも、できない。それは例え自分たちがまだ、子供であることを認めたとしても、その思いに、間違いはないと信じられることだ。
　ガイブをはじめ……決して少なくない人たちが、明日ラピス達シャルリシア寮生へ協力することを心に決めている。心を預けるのがラピス達ならば安心できる。きっとやりとげてくれると、信じられるから。
　そして、そのガイブの言葉を聞いたラピスは、任せて、と頷いた。自分は必ず「みんな」を救って見せる。それにごめんね。「こんなこと」に巻き込んでしまって。と。
　きっと、この恩は返す。そう笑顔で語るラピスを、ガイブは寂しそうな、悲しそうな視線で見ていた。……だが、やがて意を決したようにすると、ラピスとしっかり目線を合わせて、更に真剣な様相で言う。
　ガイブは、はっきりとラピスに、言っておかなければいけないことがあると思ったのだ。
　それは、ガイブがラピスを、助けたいと思っていること。
　ラピスはそう聞いて、うん、ありがとう、と笑顔で頷いていた。しかし、ガイブは見抜いている。そのラピスの反応が、「ラピスを」という言葉を都合よく意識の外に追いやったが故のものであると。
　だからそこで、ガイブはラピスは勢いよく、ラピスの肩を抱いた。言葉だけでは、ラピスに届かないと思ったからだろう。
　ガイブは続けて語る。もちろん、シャルリシア寮生達全員を助けるという気持ちはある。だけどその中でも特に、ラピスはガイブにとって大切な人だ。
　自分を励まし、導き、見守ってくれた。ラピスという存在を頼れなければ、ガイブは、自分のするべきだったことを、果たせなかっただろうと思えている。
　でも、ラピスはどうしても、自分自身を許そうとしてくれなかったから、ガイブは、どうしたらいいかわからなかった。
　しかし、今になったらもう、時間は無い。何が起こるかわからないから。ラピスを更に、傷つけてしまうかもしれないから。
　そんな思いで、ただ立ち止まって成り行きをみつめていられる時間は、もうなくなっている。ガイブはそれを理解していた。
　だからラピス、と、ガイブは宣言する。
　心の魔との戦いに、自分たちの心が、そしてラピスへの信頼が必要だというのなら。自分は必ず、ラピスのために、ラピスの役に立って見せると。
　挑む場所がどんなところだろうと、どんな敵だろうと、自分は、ラピスの傍で共に戦う。それが、ガイブがラピスのことを思う証だと。
　だからラピス、お願いがある。
　だが、ガイブがそこまで言って「お願い」を切り出す前に、ラピスは肩に回されたガイブの腕に動揺しながらも、まくしたてるようにしゃべり始めた。
　やめたほうがいい。そこまで想ってくれることはない。
　ガイブには夢があったはずだ。将来、キルディアに戻って、キルディアをより良い国にするために協力するという。
　そんな立派な夢を描いていながら、今ここで、自分のために、「そんなくだらないこと」に、自分のすべてをかけるようなことは言わない方がいい。
　ラピスはそう言った。……いや、本当はさらに言葉の壁を張ろうとしていたのだろう。
　だが、それ以上はできなかった。何故なら、そこでガイブが力強く叫んだからだ。
「くだらなくなんて、ない」
　基本的に温厚で臆病な節のあるガイブが、そこまで感情を露わに叫ぶことなど、あのキルディアでの時以来のことだ。その剣幕に、ラピスはその後のガイブの言葉から、逃げる道を封じられた。
　ラピスは、ガイブを助けてくれた。支えてくれた、励ましてくれた。
　そんなラピスのおかげで、ガイブは自分の思いを果たせた。そして、そうさせてくれた人に報いたいと思えたし、それを間違いだとはどうしても思えなかった。
　でも、そんな気持ちを「くだらない」と呼ばれることは、もはやそれは、ラピスが自信に対する卑下だけではない。ガイブが願う、今この感情への侮辱ですらあるのではないかと思ってしまい、だからそれを、聞き逃すことはガイブにはできなかった。
　そんな言葉で逃げないでほしい。例えそれが恐れの対象だったとしても。ガイブは、ラピスに自分の真剣な気持ちと向き合ってくれることを要求した。
　そう、ガイブの想いが本当だと。ガイブがラピスに感謝し、必要としていて。
　だから守りたいんだってことを、感じてほしい。
　そして感じてくれたのなら。その時は、手を取ることを恐れないでほしい。
　そうしてくれたら、きっと何一つ惑わないで済む。そうすることできっと、全てを得られるから。

　……ガイブの言葉の後、少しの間沈黙が流れ……やがて、ラピスは口を開く。
　本当は、わかっている。ラピスはそう言った。
　ラピスが助けてきた人たちが、ラピス自身に感謝し、ラピスを認め、そして、そのために戦おうとしてくれている。そう思ってくれているということは。
　だけど、それでもラピスにとって、自分はそれを受け取るに足るような人間ではない。だから、そんな自分がそれを受取ろうとしても、その重さに耐えられないだろう。
　だが、ガイブは答える。ならば、そのための支えに自分がなる、と。一人で支えられないのなら、二人でいればいいはずだと。
　そのガイブの言葉に、ラピスは頷けない。頑なに、自分はそのような気持ちを受け取れる人間ではないことから抜け出そうとしない。
　ラピスは叫んだ。違うのだ、と。
　自分は、ずるいやつなのだ。
　人は、自分自身を守ったり救おうとしたりするから、誰かに害をなすことがある。ラピスは、それを自分から放棄した。
　その結果、他人にいい顔ができるだけなのだ。そして、そんな立場をラピスは自分で求めている。
　そうやっていれば、他人がほめてくれるだろうと思ったから。それで満足できると思っていたからだ。
　そんな打算だけで生きている自分はクズなのだ、とラピスは語る。だが、そう語るラピスを前にしても、ガイブの瞳は、ラピスからそらされはしない。
　ガイブには、決してそうは思えない。ラピスのしてきてくれたことが、ラピスの語るような、中身のない虚ろなものだったなどと。
　例えそう行動した理由はその思いにあったとしても……本当にただ上っ面でいい顔をしていたいだけだったら、あそこまで人を救おうとしてくれなくてもよかったのではないのか。
　そう語ると、ラピスは以前に、チーフと語った時のことを伝える。そう、あの時チーフには、自分のしていることを認めてもらえなかった。だから、自分は結局独りよがりであるのだと。だが、それもガイブには頷けない。確かにその会話の結果は、互いに良いものではなかったのかもしれないが、チーフがそもそもそのような会話を始めたのは、なんとかしてラピスに、自身の大切さを見出してもらえないだろうかと思ったからのはずだ。……だが、あらゆることに理論的であろうとするあの性格ゆえ、ラピスの拒絶を理解しきれなかったのだろう。自身の寮のプリフェクトのことを、ガイブはそう理解できていた。
　そう、それは単なるすれ違いだ。チーフは決して、ラピス自身のことを認めようとしなかったわけではない。むしろ、チーフがラピスを認めていることを、伝えようとしていたはず。
　だからガイブはそこで、ラピスに聞いた。なぜそこまで、自分に対し卑屈になってしまうのかと。
　少し、沈黙がまたあった。しかし、ラピスはガイブにもう一度視線を向ける。その瞳には、涙がたまっていた。
「代わりを生むのには、ちょうどいいだろう」
　かつて、ラピスがマジェラニカへの留学直前に、実の両親に対し、放ってしまった言葉だ。
　その時のラピスは、両親が自分に関して無関心なんだと思っていた。だから、留学に対しても何を言うでもなく、ただその費用を負担すると頷いた両親へ、そう言ってしまったのだ。
　その時、初めてラピスは父親に殴られた。そして、ラピスはそんな父親を睨み返した。……父は、自分たちの期待に答える健康な子供として生まれてこなかっただけでなく、あげくそのような親を乏しめるようなことまで口にした自分を、憎んだのだろうと思っていたから。
　だけどその後、自分の体が救われたころには、本当はそうではなかったとなんとなく気づいていたはずだった。でも、それでも親との会話を避け続けて……そしてついに、両親は命を失い、もう永久に話すことのできない相手になってしまう。
　その時には、すでにラピスは理解できていた。両親のしてくれていたことは、無関心ではなく、せめてラピスの人生をラピスの思う通りにしてあげようという、彼らなりの優しさであったこと。
　そして、あの時殴られたのは、その思いが通じていないことを知った、自分や娘への悲しみや、絶望がその体を動かしてしまったからであり、ラピスの存在を憎んでなんていなかった。むしろ、大切に思っているのに、という気持ちからであったことを。
　ラピスは、そのことを謝るべきだった。でも、もう二度とその機会はない。
　だから、ラピスにとって、ラピスの人生は両親の死と共に、永遠に失われた、失敗したのだ。その自分の罪を、清算する方法を失ってしまったから。
　……ラピスが語ったその事実に対し……ガイブは、言葉よりも先に、ラピスをだきしめていた。壊れんばかりのその心の危うさを包むように優しく。しかし、もう二度と自分を見失ってしまうことが無いように、強く。
　大幅に距離の近くなったラピスの耳元で、ガイブは言う。
　そう。それは確かに、あまりにも悲しく、絶望してしまうほどのことだ。
　だけど、そう。もう確かにラピスは、両親とは話せなくても。
　信じることはできる、はずだ。ラピスはもう今、両親は本当は、どのような想いで自分のことを育ててくれたのかを知っているはずであるから。
　今、こうして生き続けるラピスにかける願いが、その健やかな成長を願っているという、ことだって。
　だから、取り返しは、つく。ラピスが自分の人生を、もう一度始めようとする意志を持ってくれさえすれば。
　そして、それが一人ではできないことだというのであれば、そのために、ガイブはいる。
　その言葉を涙ながらに聞き返すラピスに、ガイブは確かに強く宣言した。
　ラピスに救われ、ラピスを信じて、ラピスを頼った。そんな、情けない男だけど、ラピスを救いたいという気持ちは、本当だと誓うことのできる男が、ラピスの傍にいると。
　ラピスがもう一度歩み出す人生の中のあらゆる苦難や戸惑いを、共に分かち合って乗り越えていくことを、ガイブは誓う。
　だから、この手を取って。
　……ガイブが最後にその言葉に願いをのせた時……それまでガイブの腕に抱かれるだけだったラピスの腕が、初めてガイブの背にと回された。
　そして、自身も抱く。自分の傍にいる存在の確かさを知るように。ラピスはその時、泣いていた。
　感情をすべてさらけ出し、子供のように泣きじゃくるラピスを、ガイブはただ受け止める。
　そして、やがて涙を少し収めたラピスは、一度体を離れさせると、その手をガイブに差し出した。ガイブはその手を取り、温かい、と笑った。それは、今を生きている人の温かさだろうと。
　ラピスも、それに頷く。その後の、ガイブが言った。明日、自分たちを信じる人の思いを受けて、共に戦おうという言葉にも。
　二人はその後もしばらくの間、互いの手を取り合っていた……
　
　
　そう。そしてついに、エーエルの告げたその日がやってきた。
　シャルリシア寮生達を手助けすることを決めた生徒達や先生、あるいはユエル、ライベル、キキョウといった者達は、彼女達よりも先に大講堂に集まっている。その数は百名ほどだろうか。総員数は千名を優に超えるこの学園の中でこの場に残ったその人数が多いというべきなのかどうかはわからないが、間違いないことは、ここにいるものは皆、シャルリシア寮生を信じることに迷いを持たなかった、あるいはその迷いを吹っ切った者達であるということだ。
　そして、そんな彼らの集まる大講堂の扉が、ついにもう一度開かれた。発破をかけようと思ったのか、その先にいる「はず」の者達に対し、アーゼスが遅いぜ！と冗談めいて叫びかけた……が。
　……そこにいたのは、シャルリシア寮生ではない。加えて言うなら、何者かもわからなかった。しかし、そのソウルパワーに満ち溢れた髪型といでたちは、とにかくその者がただ物ではないと感じさせる。
　そのショックから回復し、誰かがツッコミをいれそうになるも間に合わない。そんな絶妙の間のあと、行動にファンキーさあふれるラップ音が鳴り響く。それは本職のＤＪによるものとしか思えないほど見事なスクラッチであったと、後に一部の者は語ったという。

　ＳＡＹ　ＨＯ！　ＳＡＹ　ＨＯ！ＹＯ！
　そう。もう始まっている。ソウルを揺り起こすサウンドステージは開幕したのだ。
「俺が登場！さっそうと参上！行くぜ戦場！その生きざまはまさに威風堂々！」
　ＳＡＹ　ＨＯ！（ＳＡＹ　ＨＯ！）　ＳＡＹ　ＨＯ！（ＳＡＹ　ＨＯＨＯＨＯ！）

　気づけば、また何者かがボイスパーカッションまで入れ始めている。アーゼスの瞳は誰かに説明を求めるかの如く講堂内を走り回るのであったが、それと目が合いそうになったデアスはさっと視線をそらしていた。

「心喧騒、治めるぜ早々！起こせ行動！今まさに飛び込む闘争！」
　ＳＡＹ　ＨＯ！（ＳＡＹ　ＨＯ！）　ＨＯＨＯＨＯ！（ＨＯＨＯＨＯ！）

　その節をリズムに乗せ切った後、その男は自分が今の今まで用いていたマイクを思い切り地面にぶつけ、反響する破壊音が講堂内を支配する。
　そしてそのエコーが収まってきたころ……男はぺこりと頭を下げ、壊したマイクを持って去っていく。
　もうＤＪのスクラッチもボイスパーカッションも聞こえない。完全に無音となった講堂の扉がまた開き、今度こそシャルリシア寮生がそこから姿を現すと、異様なほど静まり返った室内に、レシィは思わず何かあったのかと問いかけた。それに対し、メンファは多分、みんな夢を見ていたのかもしれないと顔を引きつらせながら答える。
　そう聞いて、レシィはこれだけの人数一度に白昼夢だなどと、さすがにそんなわけないと思わず考えてしまうのであったが、自分たちが先ほど閉めた扉がまた開いて、そこからやけにソウルパワーにあふれた髪型といでたちの男が「ＤＪミト」に対して「In your side」をささやいた光景を見た時、自分も確かに一瞬変な夢を見たのだ、という結論に至らせることにしたようであった（ちなみに、ミトとメギアムはそんな男に対して真剣そのもので応え、サーニャやジャックはそんな二人に対してあえて何も見ていない態度をとったようである）。なお、エーエルは何も気にするつもりはないらしい。

　その講堂に集まった生徒達に対し、エーエルは言う。
　今この時、この場所にいるという事は、シャルリシア寮生とティオルジュとの戦いに助力するためにいるということだ。
　シャルリシア寮生達の精神体に思念を送り、直接補佐するものはもちろん、そこに邪魔が入らないよう、この学園を守るということも、そのどちらも、その者自身に被害を与えることにになる可能性は大いにある。その覚悟を、確かに持っているのか、とエーエルは聞く。しかし、それを聞いた人々にとっては、その覚悟は当然固めていることもあり、むしろ気になったのは、この学園を守る者が必要、という部分であった。そして、それに答えるように、エーエルは続ける。
　そう。本来、ティオルジュとシャルリシア寮生が戦うために必要なのは、彼女らの精神体に思念を預け、共にティオルジュの元へ向かう者だけだ。しかし、今回はそういうわけにはいかないだろう。何故なら敵は、ティオルジュだけではないはずだからだ。
　ティオルジュにはこの世界に、配下がいる。人類の殲滅という目的に時間をかけることいとわないティオルジュ本体に対し、人類の殲滅をより早め、より確実にしようと企んでいる者が。そしてその存在は、自らが引き起こしたダバランの陥落と、それにシャルリシア寮が関与した件を通して、今まさにティオルジュの新たな浸食が完成しようとしつつあるのを知っているはずであり、となれば当然、その対象であるシャルリシア寮生達の動きをも監視していたはずなのだ。
　……だが、にもかかわらず、そのティオルジュの配下は、ダバランの一件以降、今の今まで何もしてこなかった。まるで、何かのタイミングを待つかのように。
　それに対するエーエルの予想は……おそらくはその配下は、シャルリシア寮生達が直接ティオルジュの元に踏み込む、その時を待っているということであった。
　精神体となってティオルジュの世界へ行くという事は、こちらの肉体は抵抗力を失うということを意味する。ならば精神体がティオルジュと相対しているうちに、肉体を手中にすることができれば、そこからさらに干渉することもしやすいという事なのだろう。
　そして、エーエルはあくまで、シャルリシア寮生達がティオルジュと戦うための手段についてを協力しているだけだと自分に決めている。つまるところ、ティオルジュ本体とも、その配下とも、仮にその手段や機会があったとしても、エーエル自身が戦う理由はないと決断していた。
　つまり、その状況下でシャルリシア寮生の体を守らなければいけないとなるのならば……それは全て、ここにいる者達が行わなければいけないことなのだ。
　その時、ミリティスが質問した。心の魔、ティオルジュの配下の勢力とは、どれほどであるかを。
　それに対するエーエルの答えは、不明確であるということだ。しかし、楽観視はしない方がいいだろうとも語る。配下の方はティオルジュ本体よりもむしろ、人間を滅ぼすという目的に積極的なのであり、どんな手段を講じてでも、それをやりとげようとしているはずだからだ。
　……エーエルによる、状況の説明とそれぞれがするべきことの説明は終わった。しかし、それでもその場から去ろうとするような者は、この場にはいない。全員が、確かな覚悟と決意をすでに持っているからだ。
　そんな人々を前に、エーエルは何を思っているのか悟りづらい無表情で、なら、始めようと宙空に指で軌跡を描いた。
　すると突然、その場の空気が入れ替わったかのような感覚をそこにいる人々は感じる。
　どうやらこれからいよいよ、シャルリシア寮生達を精神体として、ティオルジュの元に送り込むための術式を発動させるらしい。
　それを知った人々は、最後の戦いに望むまでのわずかな時間を、自分の信じる人と語り合うために使うのであった－－


　ラピスはナイフを取り出し、ガイブに対して差し出していた。そう、それはあの夜、ラピスが自分の胸元に突き刺さんばかりにかざしたものだ。
　ラピスは言う。もし失敗するようなことがあったら、これを使って死ぬつもりだったと。だが、それを聞くガイブの表情は、狼狽えてはいない。
　驚かなかったわけではない。しかし、それ以上に知っていたからだ。ラピスがそう言いながら、それを自分に預けたことの意味を。
　ラピスはもう、失敗した時のことを、考えようとしていない。どんな状態でも、自分の人生を続けていくために、頑張ろうという決意をしてくれている。
　ガイブはそう理解したようだが、ラピスはやはりまだ面と向かってそう言われると恥ずかしいのか、それ以上は察するだけにしてほしいと赤くなる。そんなラピスにガイブも。そういわれると色々思っちゃうなといたずらっぽくなりながら……受け取って、言う。
　これからどこに向かうとしても、そのために、僕はいるから。
　もう一度、この世界でこうして向き合おう。と。
　ラピスは、まだ顔の赤さを収められないままながらも、それに頷いて言う。
　私の体も、よろしくね。と。
　しかし、それに対してガイブは上手くうなずけなかった。どうも、一瞬「今あるべき意味」以外の意味が頭をよぎってしまったらしい。
　そんなガイブに気づき、そういう意味じゃないよ！？とさっき以上に赤くなるラピスと、同じく顔を真っ赤にしたまま弁明するガイブ。
　そんな二人のやり取りは、傍で見ていた人たちが思わず笑いを浮かべるほど初々しく、健気なものだっただろう。

　ミトの元には、メギアムとミリティスの二人がいた。
　ミトの健闘と、確かな勝利を信じているということを改めて表明する二人。だが、そこでミトはミリティスに対して、一つのお願いがあると言うのだった。ミトの願いであれば、なんなりと言ってほしいという、心の底からの笑顔を浮かべるミリティスに対し、ミトは笑顔を返して告げる。
　もし、メギアムがミトがティオルジュと戦っている時、何かするべきではないことをするようだったら、その時は殴っててでも、止めてほしいと。
　ミリティスはそのお願いに対し、意味を理解するかのようにきょとんとしていた。そしてやがて、そのように頼まれても、自分はじょうろより重い物は持ったことがないので、ミトの期待に沿えるかどうかわからない、と少し困ったような表情を浮かべる。
　だが、それでもミリティスは、それがミトの願いであれば、そうしている間に、ミトが全てを解決してくれるのであればと頷いた。……しかしそもそも、ここにいる三人は信じているだろう。
　そんなことは訪れないはず。何故なら、自分たちは互いを真に、信頼し合えているから。
　それをわかってか、メギアムはミトのそのお願いを聞いたときから、笑いを隠せないようでいた。そして言うのだ。むしろ、ミトが不甲斐ないことをするようなら、自分から殴りに行きたいくらいだ、と。
　それを聞いて、ミトも笑った。互いに笑いあった後、ミトはもう一度二人を確かに見て、言う。
　行ってきます。自分のことを、信じてくださいと。
　それに頷く二人の顔に、迷いや戸惑いはみじんも存在していなかった。

　クレハは、決戦に赴くこの直前に、３人の男を集めていた。アーゼス、ヴァリアス、サイオウだ。
　もちろん３人は口々に、クレハ達の勝利と帰還を信じ、そしてそのために尽力するということを誓っている。だが、クレハが見せたいものがあると言って取り出した紙を見ると、全員の目が見開かれた。そう、それはあの伝説の覗き魔、&amp;link_anchor(ヤヴァッチ,pageid=26){ヤヴァッチ}ですら見つけることができなかったという、ある秘湯の覗きポイント－－！
　それを伝えたいというクレハに、３人はその漢ぶりを褒め称える。しかし、彼らは分かっていた。
　これは、この後クレハが戦いから帰ってきたとき、真に活かされるべきものなのだと。
　戦いが終わった後の「ご褒美」を自ら用意したクレハを讃え、そして４人は誰から言い出すでもなく手を重ね合った。
　自分たちは男同士、鉄の絆で結ばれた、本当の結束を持った者達だ。
　その信頼をもってすれば、そしてその後のお楽しみを思えば。こんな戦い、なんということはない。間違いなく勝てる。
　信頼し合える互いに感謝しつつ、全員が心を一つにし、その結束を高らかに声にし、手を振り上げる－－その瞬間。
　カシャン。まるで重い金属が床に踏みつけられたかのような、そんな音がわずかにした。
　刹那。まさに刹那と言うほかない。クレハ以外の三人はもはや目視できないほどのスピードで重ねられた手を解消しており、特にアーゼスに至ってはその瞬間で２０歩は後ろに下がっていた。だが、クレハのみがその「異変」に気づくのが遅れ、ただ振り下ろそうとした自身の手の行き場がなくなったことを不思議に思っている。
　そして振り返ると－－全身鎧と、目が合った。顔が隠れているのに目が合ったというのはおかしい表現だが、とにかくクレハがその瞬間、縫い付けられたかのように視線を動かすことができなくなったのは事実だ。
　すでに味方が援護距離から遠のいたクレハに対し、全身鎧、部長は何をしていたのかと問いかける。クレハは大量の汗をかきながらも、ただ、男同士の絆を確認しようと、「冒険」に出る段取りを決めていたのだと答えた。
　それを聞いた部長は頷いたようだった。そしてなんと、冒険というのはいいものだと語りだす。何を隠そう、自分もクレハと外で共闘した経験などを経て、なかなかそういったことも意義があると感じていたのだと。……もっとも。
　……その行先が、女湯でなければの話だが。
　目的地を看破されたクレハは、いよいよもって動くことができない。うかつな瞬きすら命を縮めるような気がしたことであろう。そしてそんなクレハへ部長はてをかけて、ゆっくりと語った。
　これから最後の決戦まで、数十分もないのであろう。そんな中、残念ながら部長がクレハに対し、授けてあげることのできる、「精神訓練」の猶予は存在しえない……&amp;bold(){わけがないという事を。}
　部長がクレハに教えていない訓練法は、まだざっと数えても３０はくだらない。その宣告を受けながら、クレハは講堂の隅まで引きづられて行く。そんなクレハに思わず声をかけようとしたものもいたが、その者たちはその直後に全員が全員、「これは関わってはいけないことだ」と理解したらしく、先の３人はクレハに敬礼だけを送り、クレハはそのまま、講堂内の人々の視界から消えた。
　……そして時間にして１０分もたたないその後……クレハは、部長の前に倒れ伏していた。目は焦点があっておらず、全身は小刻みに震えている。これから戦いに行くどころか命の危機にすら見える惨状となったクレハであったが、部長はそんなクレハへ、訓練の内容を理解出来たのか、とまるで追いうちのような言葉を投げかける。
　だが、その言葉に対し、クレハは立ち上がった。震えるはずの手足に気合を入れ、まっすぐに地面に立ち、部長に対しよくわかりました、と敬礼をしたのだ。……そんなクレハを見て、部長は突然、「成長したな」と語る。
　あの訓練の直後で立てるとは。自分の姿を見るだけで悲鳴を上げ、訓練の後３時間は倒れっぱなしであった最初のころから比べたら、クレハは見違えるほど成長したのだ。……それはおそらく、精神的にも。
　そして、部長は感じていた。そんなクレハだからこそ、自身が信頼し、想いを預けるのに不足はないと。
　全身鎧のフェイスガードが、ほんの少しの間だけ開けられる。その中にある少女の顔は、まぎれもなく微笑んでいた。
　自分の信頼を裏切ることは、許さない。
　だから、必ず勝つのだと。
　そして、クレハはそんな部長へ、さっきよりも強く、はっきりと答える。
　行ってきます。と。
　そして、部長もまた頷いた。ああ、自分も行く。
　だが、その戦いはあくまでクレハ達の戦い。だから、信じている、と……

　ジャック先輩。そう叫びながら、恐ろしい剣幕で語りかける者がいた。デアスだ。
　決戦となる今日という日に、デアスはとっておきの発明品を用意してきたのだという。そんなデアスが取り出したのは、何の変哲もないリムブースト……のようだが、なんとこれを腕に取り付けてふるうと、腕の大きさが１００倍にまで膨れ上がるのだという。そこから繰り出される斬撃から逃れる術はない、とデアスは自信たっぷりに豪語している。
　ジャックがそんなデアスの目を見ると、その目は真っ赤に充血しており、目の周りには隈まで浮かんでいる。三日三晩寝なかったというのは本当らしく……そんなデアスになんと言うべきかさしものジャックも考えたようであったが、やがてはやはり、現実を伝えるしかないのだという結論にたどり着く。
　－－例え腕が１００倍になったところで、剣がそのままならすくなくとも自身の斬撃を活かすことはできない。
　そう聞かされて、デアスは少し沈黙する。そして気づいたのだ。
　－－剣までは巨大化できない、ということに。
　その現実にぶち当たったデアスは、声もかれんばかりに慟哭した。
　今度こそ、ジャック先輩の力になれると思ったのに。と。ジャック達にとって一番の決戦となるこの戦いで役に立ちたいという気持ちはまぎれもなかったデアスの受けた心象的ダメージは、どうにもかなり深いらしい。そんなデアスをどうしたものか、とジャックが扱いかねていると。横からデアスに声をかける者がいた。サーニャと、ナタフである。どうやら、二人もまた、ジャックに意を改めて伝えに来たところのようだ。
　まずはむせび泣くデアスをどうにかせねばということでか、サーニャもナタフも、デアスのしたことは成果としては方向が違ってしまったかもしれないが、そこまでしてジャックの役に立とうとした気持ちは伝わっているはずだといい、ジャックもそれには頷いていた。自分のことをジャックは多少なり認めてくれているということを知ったデアスは少し気を持ち直したようで、そんなデアスを確認しつつも、ナタフとサーニャはジャックへ向き直り、語る。
　自分たちは、ジャック・アルマーという一人の男を信じている。
　その意志と強さで、自分たちを信頼させてくれた存在であることを。そして、そんなジャックならば、必ずや自分たちの思いを乗せて、勝利をつかんでくれるという事を。
　自分たちは心となってジャックに手をかすことしかできないかもしれない。しかし、そのための手助けさえ済めば、力はジャックが十二分に備えているはずだ。だから何も恐れることはないのである。
　そんな二人の言葉に、全く物怖じすることもなく、ジャックは頷いた。それが当然だと言わんばかりに。
　そして、デアスもまたジャックに語りかける。正直今すごく眠いけど、ジャック達の大一番となるこの時に、せめて自分の心を役立てるべく、決して目はとじないと。
　ジャックとしては、正直三日三晩寝てないという相手にはいや、寝てくれていいといってあげたいくらいではあったのだが、そう告げるデアスの目が間違いなく本気であり、ここでそのように告げることはデアスの心意気をもむげにすることだと感じたか、ジャックはそこで、それほどの心を信頼している、と答える。
　そう言われたデアスは心底嬉しそうであり、ナタフとサーニャも、少し心配は感じながらも、その様に笑みを浮かべるのであった。

　ミルカの元にも、セイが訪れてきていた。セイの気合は最高潮に達さんばかりであり、今までミルカの役に立ちたくてもそうできなかった分、今こそ、真に役に立つときが来たのだと息巻いている。
　だから、自分が役立つと、そして自分がどんな時でも力を貸すということを信じて欲しいと、全力で願うセイに対し、ミルカは笑みを浮かべながら、そこまで念を押すようにしなくても、自分はセイのことを、そして他のみんなのことを信頼していて、共に力を合わせられることを疑っていない。そう告げられたセイはなお嬉しそうになり、己の全力を持ってミルカ達を助けることを、改めて誓うのであった。
　そんなセイとの会話が終わり……何気なくミルカの視線が講堂内を巡らせたとき、ミルカはその視界の中に、シズナの姿を見つけた。
　そうできたのは、シズナもまた、ミルカの方を気にしていたように思えたからだ、ミルカが自身に気づいたとわかったらしいシズナは、人ごみの中に隠れるように身を隠してしまうが、ミルカはあえて自分から、そんなシズナの元へ寄っていく。そして、シズナに向かって、問いかけたのだ。
　あなたの大切なものは、何だろうか、と。
　その問いかけは、シズナにとって意図を理解しかねるものだった。なぜそんなことを聞くのか、とシズナが逆に聞き返すと、ミルカは言う。
　今ここに残った人々は、自分にとって大切なものが、ここにいなければ守れないと思ったから、いてくれている。
　それはミルカ達シャルリシア寮生達のことかもしれないし、心の魔と言う魔族に好き勝手されるわけにはいかないという使命であったりするかもしれないが、いずれにせよ、それはその人たち自身の心の中にそういった理由があるのだ。
　だから、シズナもここに残ると決めたことに、その大切なものに関する理由があるのではないか、そう、ミルカは考えていたのである。
　そう言われてシズナは考え……ぽつり、ぽつりとながらも、答え始める。
　自分の大切なもの、それは神だった。
　神が望んだはずの、全体の平穏を至上とする世界の実現のため、全てを尽くすことが自分の人生の意味だった。
　だけど、今はそうではない。いや、できないのだ。
　そのために必要だったはずの、シャルリシア寮生を滅ぼすということを自分は拒否したから。
　自分の中の大切なものを失った。しかし、だというのに、シズナの中にはただ、ミルカを、シャルリシア寮を失いたくない、失えないという気持ちだけが残り、それが今、ここにシズナを残らせている。
　大切なものをなくしたはずの人間が、なぜそのように思えるのか。
　シズナはその時、その答えをミルカに求めた。そしてミルカも、答えたのである。
　それはきっと、シズナが信じていた神様が見せてくれなかったものを、ミルカが見せてあげることができたからではないのだろうか、と。
　その言葉に、シズナは咄嗟に、思い返した。
　始めは、ミルカ達の監視のためにこの学園に来ていた。
　だが、日々をたくましく、そして充実して、他者と共に成長しながら過ごす学生たちの姿を見て、何か心のざわつきを感じていた。
　はじめは、だがそれは、自分とは違う愚者の行動であるからと切り捨てていた。しかし、ミルカ達の行動を眺め、そして時にはその心に触れた日々が、シズナのそんな確執をやわらげていっていたのだ。
　そしてあの&amp;link_anchor(ザムト・アンリ・ゲスト,pageid=26){ザムト}や&amp;link_anchor(リュミル,pageid=26){リュミル}との戦いを経て……シズナは気づいてはいた。ミルカ達が見せてくれた、優しさと思いやりで繋げていく世界の可能性に。そしてそこには、愚者と執行者と言う、かつて自分が神によってあたえられたと感じていた線引きは存在しえないことも。
　そのことを、ミルカの言葉によって今、シズナは真に理解した。そしてそれがわかった今……シズナには、新たな望みがある。
　それは、この戦いが終わり、また日常を過ごせるようになったら。
　その時はもっと、ミルカ達の持つ、シズナの知らなかった世界を、見せてもらえるだろうか、ということ。
　ミルカは、そのシズナの望みを戸惑うことなく受け入れる。
　連れて行ってあげる。その言葉と共にまっすぐな善意によって差し出されたその手を、シズナは思わず取っていた。
　そして、シズナは今一度感謝する。自分の人生に、ミルカという存在が現れてくれたことに。
　そしてそのために……必ずシャルリシア寮生を信じ、力になる。
　そう語ったシズナの瞳には、もう迷いも戸惑いもないのだ。

　レシィの元には、ビークがやってきていた。朗らかな口調で、緊張していないかといったことをレシィに聞くビークであったが、レシィは緊張していないといえばうそになる、と答えた。そしてその言葉と共に小さく震えたレシィを見て……ビークはやはり、怖いとは思ってしまうのだろうかと聞いた。
　レシィはそれにも頷く。……しかし、それでも今、戦うという決意は揺らいではいない。
　レシィの心の奥底にあるものが、やるべきことを見失っていないのを確認したビークは、レイス以外の他の人たちにはなかなか見せない笑顔をレシィに向けた。
　そうであってくれてよかった。ビークは心の底からそう思う。
　自分だけでなく、他人……しかも信頼している人までをも危険にさらしてしまうかもしれない戦いを始めなければいけないのだ。それに怯えることがあるのも、無理はない。
　しかし、レシィは今、自分が生きるために。自分の大切な人が、自分へかけてくれた願いのために、戦うことをまぎれもなく決心していた。ならば、ビークも迷いなく、レシィ達へ心を預けられるのだ。
　そう語りつつ、今までレイスのことも含め、レシィには助けてもらったこともあり、ビークは自分もレシィの力になりたいと思っていることをまっすぐに伝えてきた。レシィは、レイスのことについては自分というよりも他の人の力が多かったような気がするのだが、と答えるも、ビークにそれもそうか。ならユエルのおかげということにして、そしてそのユエルがあそこでああしてくれたのは、レシィのおかげだね、と切り返されると、さすがにその感謝を受けざるを得ないようだった。
　そして、ビークは言う。
　自分もレイスと思いが通じたことで最近気づけたのだが、自分の傍に信じてくれている人がいれば、そしてその人と互いを信じあえれば、思いもよらなかったことができるようになるものだと。
　だから、自分の思いもその何かを引き起こすための一つにしてほしい。……そうでなければ、自分にしては珍しく人を信じたのに、がっかりしてしまうかもしれない。
　どこまで本気なのか、笑いながらそう言ったビークであったが、その最後に、約束したいことがあるとレシィに伝える。
　全てが終わって、本当の平穏を手に入れたら。
　その時は、レシィとユエル。自分とレイスとで、どこかに出かけよう、と。
　なぜなら、ビークは幸せそうなレシィ達を見るのが、好きだから。
　会話を始めてから終始、ビークの捉えどころのなさに翻弄されていた感のあったレシィだったが、その時のビークの言葉は、戸惑う余地もなく本心で受け取ることができた。
　だから、すぐに笑顔で頷けた。その時は互いに、得るべき未来を取り戻したことを、祝福できる時間を過ごそう、と。
　……その後、レシィはなぜか、自分の上から声をかけられた。自分の方も見ててくれと冗談っぽく笑いながら降りて来たのは、ウィルテールだ。
　決戦前の今、彼もまた、ビーク同様にレシィの緊張をほぐそうとしてくれているのだろう。レシィはそんなウィルテールに感謝しつつも……その姿を見据えて、先に言う。
　大丈夫、僕は諦めてはいない。と。
　実は、３日前のエーエルによる演説の際に、ウィルテールはゴーストであることを利用し、レシィの上からその様子をじっと見ていた。レシィは、それが自身を心配してくれているからであると考えており、実際、ウィルテールも、そういのって、人の台詞をつぶしてるんだぞ、とまたも冗談めいて笑うのであったが、その瞳には安堵の様子がある。
　だからレシィは、続けて語った。自分には待ってくれている人も、もう一度しっかりと会わなければいけない人もいる。そう語りながら手の中の兵法書を確かに抱えたレシィの動作を、ウィルテールは見逃さなかった。
　そう。レシィにその兵法書を与えた人物、アルゼオはまだ目を覚ませない。だが、エーエルによれば、アルゼオが目を覚まさないのは、ティオルジュに侵食されてしまったダバランの心を押さえつけるため、自らの魂を糧として封印したからであるとのことであり……すなわち、そのすべての元であるティオルジュを撃破することで、元通りになる可能性はある。
　そこまでをはっきり語ってくれたレシィにウィルテールはさらに、安心したような笑みを浮かべる。ならば大丈夫。あとは、レシィ達を信じるだけだから、と。
　自分達はもうゴーストの身だが、だからといってレシィ達にはまだ、生きなければいけない理由があり、価値がある事を知っているし、レシィ達を信じる心は確かに存在している。
　だから、ゴーストのような存在になるのはまだまだ早い。
　そのための戦いを自分たちもするから、行ってきてくれとウィルテールは願いをかけ……レシィは彼にもまた、強くうなずくのであった。
　

　－－エーエルの術式が効果を表してきたのか、シャルリシア寮生達の意識が朦朧とし始める。決戦前の語らいを終えた彼女たちはエーエルの言葉に従い、横になって出発の時を待つ。……だが、その時突然、何かを感じたのかエーエルは部屋の外に意識を向けたようだった。……そして、エルヴィラも同じくその「異変」を感じている。なんと、今この瞬間に、エルクレストのテレポート結界が破られた、というのだ。
　このタイミングでそのような事をするのは、ティオルジュの配下の計画に違いはあるまい。元より、エーエルが今日言っていたように、ティオルジュの元へシャルリシア寮生達が踏み込めばそれを感知するであろうとは予測していたが、こちらの術式が発動し、今まさにシャルリシア寮生の肉体から抵抗力が失われようというその時に対応してくるとなれると……敵には、魔法に聡い何者かが手を貸している、とエーエルは考えた。
　そしてエーエルが目を閉じ、視界を外に飛ばして確認したところによると、外ではゴブリンとヴァンパイア、そして魔族の軍団が突然現れ、周囲を混乱の渦に陥れている。という。どうやらあらかじめエルクレストの街に伏兵をしのびこませており、その者に、エルクレストに存在する対テレポート結界を破壊させたようだ。
　先ほどの予測に加え、本来は別個の存在であるはずのゴブリンとヴァンパイア、さらに魔族までもが共に攻め寄せてきている。これが偶然であるはずはない。間違いなくその集団は、ティオルジュの配下によって招集された者達であるはず。そう、ティオルジュの配下はその沈黙の時間の間、人を滅ぼすという目的の一致する陣営の協力を募っていた。まずそう考えていいだろう。
　現に、その軍団は街を襲い始め、水晶騎士団や街の冒険者たちと交戦を始めた一方で、こちらに向かってくるものもいる。突然の襲撃に、街は街で手一杯のようだ。となれば、いよいよ他に頼れるものはいないということである。
　そう。今ここにいる人々を除いて。それを理解したエルヴィラは、エーエルが言うには「年齢の近い者の方が心の親和性は高くなりやすい」ということもあって、この場にいる大人たちでその迎撃と、学園及びシャルリシア寮生の防衛に向かうことを提案した。しかし、それに頷きつつも、妖魔や魔族との戦いに関しては一日の長があると自負するナイルは、さらに加えて提案する。
　外にやってきている妖魔と魔族達は数も質も、かなりの規模のようだ。しかもそれが四方八方からやってくるとなれば、ここにいる大人たちだけで手が足りるかはさすがに怪しい。一匹でもシャルリシア寮生の元へ引き入れてしまったら全てが終わる。という戦いにおいては、不利だといえるだろう。
　だから、と。ナイルは教師陣やこの場にいる大人たちだけでなく、生徒達からも防衛戦力を募るべきだと考えていた。そして、それにエーエルも同意する。これから無理に全員の心をシャルリシア寮生につなぎとめるよりは、そうしたほうが合理的でもある、と。
　だが、エルヴィラはそれにすぐ頷けなかった。かつて自分たちの不甲斐なさで生徒達を頼ってしまった者として、またそのような積を生徒達におわせてしまうことを苦しんでいるのだ。
　……しかし、そこで生徒の名からファムが声を上げ、そしてそれに多くの生徒達が続いた。

　自分達は、危険かもしれないとわかっていても、ここに来ました。例え何が相手でも、ここにいるみんなが本当に望んでいる未来を手に入れるために、覚悟を決めてきたのだ。
　だから、自分達も戦う。その場所が、この学園なのか、そのれともティオルジュの近くなのか、それだけの話のはずだから。

　生徒たちが次々と、自分からはっきりとした意思を持ち、名乗りをあげていく。
　そんな光景を見て、キキョウやライベルもまた、教師たちに対して生徒達の参戦を進言していく。
　そう。子供であれ大人であれ、何かのために戦う覚悟を、自分で決める権利がある。それはかけがえのないことだ。
　ましてやここにいるのは、もうその覚悟を定めた者達ばかり。
　だから今、自分たちは大人も子供もなく、団結しているはず。守るべきもののために、己の戦いをすることをである。
　そうした多くの声を受けて……エルヴィラはやがて、迷いを残した表情を吹っ切った。そして、感謝と敬意を表しつつ、言うのだ。
　今ここにいる皆で、この脅威に立ち向かおう、と。
　それに、その場にいた全員が答える。それを、エーエルは不機嫌そうな表情で、眺めていた。

　大人たちは全員が防衛に出ることを決めたものの、生徒達の中には当然、シャルリシア寮生達に精神体として同行しその戦いを補佐するという役割を負わなければいけない者達も必要となる。よって、特にシャルリシア寮生達と共に戦うことを望んだ生徒達はその場に残り、そしてそれ以外の生徒達は戦闘準備を整えて外へと向かっていった。

　あとは、一刻も早くティオルジュの元へ向かい、倒すだけだ。今エーエルが発動している術式は、前の説明通り、シャルリシア寮生をの意識を精神体として構築するものであり……そして、その精神体に対して、エーエルの魔力を媒介に死、ここにいる者達の意識や思念を結びつけるものであるという。それができれば……ティオルジュには対抗しうる。その可能性に、ここにいる人々は賭けたのだ。
　そして術が始まると、シャルリシア寮生の意識が体を抜け出し、まるで宙に浮かぶかのような感覚を覚える。
　それと同時に、まるでそこにいる生徒達からの信頼や願いを表したかのような光が、各生徒たちの頭上に見えた。そして、それは浮かび上がって混ざり合い、一度大きな玉になったかと思うと、６つに分かれる。さらにそこから、何やら線のようなものが伸び、それぞれの体へつながったのだ。
　そして、別れた球はそれぞれがゆっくりと、線をたどるように一同へと近づき、やがて触れ、そしてまたゆっくりと同化していく。
　それを認識した時……一同は自分の中に、自分だけではない誰かがやってきたかのように感じ、そしてそれは、生徒達からも同様のようだ。
　つまり、シャルリシシア寮生の感覚が、他の生徒達の感覚とつながった、ということのようだ。
　ティオルジュの認識操作は、あくまで自身が浸食している相手に対するもの。であるなら、その心に別の感覚を混ぜ込めれば、ティオルジュも思うようには操れないはず。
　そう考え、術を施したエーエルは、これからティオルジュのいる空間に精神体として転送されるシャルリシア寮生と、それに憑依した生徒達に対し、言う。
　あとは、その心とやらが、命じたままに、やってみるがいい、と。
　かなり不遜な態度ではあるが、シャルリシア寮生は、そんなエーエルに今さら怒りを覚えたりはしない。ジャックがエーエルが唖然とするような結果を持ち帰ることを誓い、ラピスがエーエルのしてくれたことに素直な感謝を向けた。エーエルは、そんなシャルリシア寮生達を不機嫌そうに見ている。
　そしてその後、一同の意識は、今度はまるで穴の中に吸い込まれていくかのように暗転していったのだった。

　気づけば一同はまた、ティオルジュと対面したあの空間の中にいた。しかし、あの時もあった机と椅子はそこにあるものの、ティオルジュの姿はない。
　どんな魔境かと構えてみれば、まるで談話室のように備えられていたそれらを見て、シャルリシア寮生はともかく、彼女達と意識を共有している生徒達は戸惑いを覚える。
　しかし、あの時とは違う点もある。それは、その机と椅子のあるエリアから先へと導くかのように、そこからは通路が伸びているということである。
　そこで、一同は声を聞いた。それは、他の生徒のように意識を共有したわけではないものの、自身の魔力を通してこの状況を見ているらしい、エーエルのものだ。エーエルは、シャルリシア寮生達に手を貸すつもりはないが、この先で何が起こるのか、こういう手段をとった以上は、見届けさせてもらうということらしい。
　……っして今この状況。ティオルジュはどうやら、姿を消したようだ。これを、どう考えるのか。
　いざ乗り込んできた自分たちを前に、逃げ出したのではないか。そう言う生徒もいたが、すでに一度対面し、はっきりとした対決を予感し合ったシャルリシア寮生達にとって、それは考えられないことだった。……ならば、今この状況は、どこかに潜伏したであろうティオルジュによる誘いであるのか？
　それが、ティオルジュが今のシャルリシア寮生を恐れているという希望か……はたまた、シャルリシア寮生に対する絶望を与える罠であるのか。それがわかるものはいないが、ここは、ティオルジュだけの空間だった。そのゆえ、広い場所ではないはずであり、ずっと姿を隠していることはできないであろう。
　そして、ティオルジュとつながっているシャルリシア寮生達なら、今ティオルジュそのものは見つけることができなかったとしても、それに近い気配は感じられるはず……エーエルがそう言う通り、シャルリシア寮生達はその通路の先に、何かがいるという気配を感じている。それが何かも同じく知る者はいないが、しかし今は、とにかく進むしかない。シャルリシア寮生達と、それに心を預けた生徒達はそう意思を一つにし、進んでいく。

　そうやって進む中で、一同は考えていた。
　ティオルジュはこの先できっと、何かをしかけている。だが、それは何なのだろうかと。
　意識を共有しているとはいえ、シャルリシア寮生達の記憶までをも得たわけではない生徒達にとっては、ティオルジュの思考や能力がほぼ予測できない分、なお気にかかるようだ。そこで、一同がそれについての予測をエーエルに求めると、エーエルはそれに答えた。
　この空間には、ティオルジュ以外に自身の意識を持ったものは、いないはずだ。それはおそらく、ティオルジュの配下ですらそう。ゆえに、このような手段でもないと接近できない存在となりえたのである。
　だとすれば、ここにあるものは全て、ティオルジュが自身の力で生み出した者になるのだ。そして、ティオルジュが自身の力で生み出せる、戦闘力を持った何かが存在するとすれば－－
　エーエルがそう語っていたその時、突如、一同が感じていた「何か」の気配が、１つから３つに分かれたことを感じる。そして、それだけではない。その気配は、そろって一同の前へと現れたのだ。
　そして気が付けば、その３つの存在の後ろには、巨大な扉がある。いかにも、この３体がその守護を担っていると言わんばかりだ。
　得体は知れないが、その３体からは明確な敵意が感じられる。一同はそのことを理解し、それぞれが武器を構えた。ティオルジュの空間での初の戦いが、始まるのである。


　……戦いが始まってすぐ、シャルリシア寮生達は……いや、おそらくはその場にいた全員が、敵として現れた３体に対し、謎の既視感を感じていた。
　その姿は、人型ではあるものの不定形に波打っており、過去に出会った何かと結び付けられるわけではない……だがそれでも、その身のこなしというか、戦い方というか。それらの存在は、まるで１体に付き二人を行動特性を持ち合わせかのような奇妙なものではあったが、そんな行動のそれぞれが、やけになじみのあるものに感じる。
　そしてその疑問は、そのうちの一体がまるでクレハのような高速攻撃をしかけてきたことの後、ラピスがそれぞれの動きをつぶさに観察したことで、確信に変わる。
　そう。これらは、シャルリシア寮生の６人。ミルカとクレハ、ミトとジャック、レシィとラピスの力を元に作られた存在なのだ。思えば、かつて遺跡の中で戦った（[[第九話]]参照）謎の影たちも、自分たちの能力を参考に、その弱点を突いた能力を持っていた。あれもまた、ティオルジュの力の片鱗であったのかもしれない。
　だが、あの時は各員をそれぞれ分断したからこそ脅威であったのであって、実際、それぞれが仲間と合流を果たしてからはなんなく倒すことのできた相手だった。それがわかっているのか、今目の前にいる敵は、純粋にシャルリシア寮生達の得意とする能力をそれぞれ掛け合わせ、更に強化することで、大きな戦力としたものである。……しかし、それはあくまで、自分たちの模倣に過ぎない。現に、その存在にはシャルリシア寮生達が築き上げてきた確固たる連携力や、自身の運命を切り開いていくほどの意志力は見受けられない。
　それに加えてティオルジュは、以前シャルリシア寮生達に対して使用し、自らとの戦いが無意味となることを警告した能力である、シャルリシア寮生への認識操作によって戦いをコントロールしようと画策し、戦闘中、シャルリシア寮生達はその敵をとらえられなくなる……かのように思われたが、自分のものだけでなく、他の生徒たちの意識も共有した今のシャルリシア寮生達は、その生徒達の呼びかけによってすぐにその能力から脱出することができるようになっていた。
　１体１体は強力にされていたとしても、自分たち６人が集まった力の前には、劣化に過ぎない。そして、ティオルジュの姦計による精神への妨害は、ここにいる６人だけでなく、その外から自分たちを支えてくれる仲間の存在が防いでくれる。
　ならば、負けるはずはない。一同はそれぞれが、自分の傍で戦ってくれる仲間、そして、自分の意識を取り戻させるために声をかけてくれる仲間に対して感謝を感じつつ、確かに敵を見据えて戦う。
　クレハとミルカの能力を持たされた存在が範囲を一度に薙ぎ払う攻撃で打撃を与え……ミトとジャックの能力を持たされた存在が攻撃と防御を高レベルでにない、そしてレシィとラピスの能力を持たされた存在がそれを速度、威力、防護等様々な面から支援する力は間違いなく強力ではあった……が、シャルリシア寮生達と生徒達がそう確信していた通り、その力はシャルリシア寮生達を越えることはできない。いかにうわべだけそれ以上の能力を持たされたところで、互いの連携と意思の力というものを忘れた存在が、本物のシャルリシア寮生達の全力を上回ることはできないのだ。
　故に、互いの技の応酬によって互いが傷つく中……最後に動かなくなり、力を失ったのはその３体の方であった。


　シャルリシア寮生達がまず掴んだ勝利に湧く中、倒れたものたちが煙のようになって扉に吸いこまれていき……扉があく。そして、一同はもう悩むことなく、さらにその先へと進んでいくのだった。
　そして、ついにその前に、ティオルジュは現れた。ティオルジュは感情をこめない視線と声を向け、シャルリシア寮生との数日ぶりの再会になったことを語り……自分たちと意識を共にする生徒達がその異様さに戸惑う仲、シャルリシア寮生も、その言葉には素直にうなずいて返した。
　そして、ティオルジュは続ける。
　確かにあの時、ラピスやミルカが言ったとおり。シャルリシア寮生達は自分への対抗策を探し出し、ここへ来たということのようだ。
　その様子をしばらく見てはいたが、シャルリシア寮生達がここまで踏み込んだ以上、これ以上姿を隠していることもできなくなった。ならば、今がいよいよ、戦いの時だ。
　ラピスは確認する。本当に、もうティオルジュは自分のすることを変えていくことはできないのかと。ティオルジュは、それに静かにうなずいた。
　前に出会った時も語ったように、ティオルジュ自身は、流れる水のようなもの。自分の意志では行き先を変えられず、止まることもできない。
　そしてその濁流は、すでに向きを定められてしまっている。それを止めるという者がいるのなら、自身はその流れるままに、それを推し流さざるを得ないのだ。
　今、自分たちは戦わざるを得ない。そして、シャルリシア寮生達を侵食し、純粋な殺戮者へと変えてしまうという結末も、もはやすぐそばのこと。ティオルジュはそういってシャルリシア寮生達と改めて決別し、宣言する。
　くるがいい。と。

　戦いが始められたことを理解した後、一同の中で真っ先にティオルジュにしかけたのは、やはりクレハだ。本当に戦うしかないというのなら。辛そうな表情を浮かべつつも、その覚悟を疑わないように確かな軌道で振るわれたナイフは、一瞬ティオルジュの認識操作によりそらされそうになったものの、それはやはり生徒達の声によって防がれる。
　そして、自身を引き戻してくれた人々への感謝を継げながら放たれたクレハの一撃は確かにティオルジュをとらえた。ティオルジュは倒れもしなければ苦悶の声を上げたわけでもないが、その手ごたえは、確かなダメージはあったことをクレハに教えている。
　それに続き、ティオルジュに対して、使命のためでなく、自分がしたいこと、するべきことのために自分は戦うという意思を宣言しながらミルカが魔法を解き放つ。その一撃もまた、ミルカに共有された生徒達の呼びかけによって守られ、ティオルジュを飲み込んだ。……やはり倒れない、しかし、ダメージはある。
　ジャックの攻撃も同様だった。ティオルジュは、認識操作を行おうとした以外は、まるでわざと受けたかのようにその攻撃を避けようとはせず、そして狼狽えるようなこともなかった。その様子は一同に警戒心を与えるものであったが、ダメージは確かにあったはず。このまま攻撃を続ければ、勝機はあるはずなのだ。
　……しかし。

　なるほどな。そう、ティオルジュは呟いた。
　ティオルジュによる、シャルリシア寮生達への認識捜査すら修正することができるほどに、強い力がシャルリシア寮生達を守っている。だから、こうしてティオルジュへの攻撃が可能となった。
　先ほどの攻撃を受けたのは、その正体を探るためだったといわんばかりであり、ダメージを意に介するどころか、まるでシャルリシア寮生を憐れむかのような視線すら送って見せるティオルジュ。そしてさらに、わかることがある、とも言う。
　今、シャルリシア寮生達の心は、ミルカが表明したように、自身のすべきことと、希望に燃えている。今こうしてティオルジュにダメージを与えられたことで、それはさらに強くなったであろう。……だが。
　なぜ、こうなってしまうのだろう。
　その言葉は、まさにティオルジュによる憐れみとしか思えない。
　……ティオルジュはすでに知ってしまった、という。その希望が、むしろ深い絶望を呼んでしまうことをだ。
　なぜなら、今ティオルジュは、シャルリシア寮生達の希望の源となった力の正体を知り……
　その対策を、知ってしまったからだ。

　ティオルジュが目を伏せ、線を引くように手をふるった。その瞬間、シャルリシア寮生達と意識を共有されていた生徒達が、口々に違和感を伝え、叫ぶ。
　様々な想いの元、何人もの人々がシャルリシア寮生達６人の、それぞれの名前を呼んでいる。まるで、引きはなされていく大切な人に追いすがろうとするかのように。
　だが、それも空しく、やがてそんな人々の声が、シャルリシア寮生達には聞こえなくなった。……それと同時に、一同の意識にもまた変化が訪れる。まるで、今まで異なるものから自分たちを守ろうとしてくれていた存在が、来てしまったかのような。
　そんなシャルリシア寮生達を前にして、ティオルジュは語る。
　ここは、すでにティオルジュの世界の深層とも呼べる区域。ここでのその力や影響力は、あの入り口の時の比ではない。
　故に、例え本人そのものでなく、魔力であったとしても。ティオルジュは、自身に連なるもの以外の存在を否定し、追放することができる、という。
　ティオルジュは宣言する。他の生徒達の助けを失い、その状態でここへ踏み入った以上、シャルリシア寮生達もはやその認識だけではなく、その能力すら、自身の支配下にある。そう、シャルリシア寮生達が抱いた希望の夢は、終わりを告げたのだと。

　ティオルジュ。それは人に滅びをもたらすもの。
　それは、人に絶望を呼ぶことしかできないもの。
　だから、ティオルジュは与えるしかできない。
　シャルリシア寮生達に、絶望を。


　シャルリシア寮生は、心を預けてくれた者達とのつながりを失ってしまった。
　他者というカバーを失った以上、シャルリシア寮生達は、その意識の根底に潜む魔物である、ティオルジュに有効な手立てなく向かわねばならない。そして……帰る道は、もはやない。これで全ては、終わってしまったのか？
　……しかし、例え。
　他の誰から見て、希望がないと思われるような状況でも。
　シャルリシア寮生達にはたった一つ、どんな時でも、忘れないで欲しいと託された言葉が、あったはずなのだ。
　信じて。
　信じて、欲しい。
　自分を。
　そして、自分の仲間を。未来を。
　今の自分を作り出してくれたもののことを……！

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----
**ＰＣ達がこのシナリオで出会ったキャラクターまとめ

***共通（シャルリシア寮生と意識を共有したキャラクター）
&amp;link_anchor(チーフ,pageid=19){チーフ}
&amp;link_anchor(ガイブ,pageid=19){ガイブ}
&amp;link_anchor(ミリティス,pageid=19){ミリティス}
&amp;link_anchor(デュフェール,pageid=19){デュフェール}
&amp;link_anchor(ハルー・イニス,pageid=19){メギアム}
&amp;link_anchor(サーニャ・リシア,pageid=19){サーニャ・リシア}
&amp;link_anchor(アーゼス・ジェセン,pageid=20){アーゼス・ジェセン}
&amp;link_anchor(イッシー・ハッター,pageid=20){イッシー・ハッター}
&amp;link_anchor(デアス・ヒム,pageid=20){デアス・ヒム}
&amp;link_anchor(ドゥーラ,pageid=20){ドゥーラ}
&amp;link_anchor(マナシエ・バンガロック,pageid=20){マナシエ・バンガロック}
&amp;link_anchor(サイオウ・アマガシ,pageid=21){サイオウ・アマガシ}
&amp;link_anchor(マゼット,pageid=21){マゼット}
&amp;link_anchor(レイス,pageid=21){レイス}
&amp;link_anchor(エンジェ・ウィラン,pageid=22){エンジェ・ウィラン}
&amp;link_anchor(シズナ・ミナモリ,pageid=22){シズナ・ミナモリ}
&amp;link_anchor(部長,pageid=22){部長}
&amp;link_anchor(ビーク,pageid=23){ビーク}
&amp;link_anchor(メンファ・リン,pageid=23){メンファ・リン}
&amp;link_anchor(フェイエン,pageid=23){フェイエン}
&amp;link_anchor(セイ,pageid=24){セイ}
&amp;link_anchor(ナタフ,pageid=24){ナタフ}
&amp;link_anchor(ハナ・タウル・イヴィシル,pageid=24){ハナ・タウル・イヴィシル}
&amp;link_anchor(「赤い服の」マリー,pageid=25){「赤い服の」マリー}
&amp;link_anchor(「歌歌い」ウィルテール,pageid=25){「歌歌い」ウィルテール}
&amp;link_anchor(ユエル・ケルフィン,pageid=26){ユエル・ケルフィン}


***共通（それ以外）
&amp;link_anchor(エーエル・ラクチューン,pageid=26){エーエル}
&amp;link_anchor(エルヴィラ・アルディリケ,pageid=25){エルヴィラ・アルディリケ}
&amp;link_anchor(シリル・ゴールウィン,pageid=20){シリル・ゴールウィン}
&amp;link_anchor(フィシル・アリーゼ,pageid=23){フィシル・アリーゼ}
&amp;link_anchor(ファムリシア,pageid=24){ファムリシア}
&amp;link_anchor(ヴァリアス・ヴァンガード,pageid=24){ヴァリアス・ヴァンガード}

&amp;link_anchor(マリー・マクラフリン,pageid=20){マリー・マクラフリン}
&amp;link_anchor(シャルロッテ・イエミツ,pageid=21){シャルロッテ・イエミツ}
&amp;link_anchor(ノーザン・クロイ,pageid=21){ノーザン・クロイ}
&amp;link_anchor(メディ・ペドウォール,pageid=21){メディ・ペドウォール}
&amp;link_anchor(ネフィ,pageid=22){ネフィ}
&amp;link_anchor(マルティン・カナール,pageid=22){マルティン・カナール}
&amp;link_anchor(グゼー・ウィステル,pageid=23){グゼー・ウィステル}
&amp;link_anchor(カミュラ,pageid=24){カミュラ}
&amp;link_anchor(アルヴィン・ケンドール,pageid=24){アルヴィン・ケンドール}
&amp;link_anchor(ルシャ・カザマギ,pageid=24){ルシャ・カザマギ}
&amp;link_anchor(ラリエット・バルゲル,pageid=24){ラリエット・バルゲル}
&amp;link_anchor(カッツ・バルゲル,pageid=24){カッツ・バルゲル}
&amp;link_anchor(ランド・グリーンヒル,pageid=25){ランド・グリーンヒル}
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&amp;link_anchor(ラグル,pageid=25){ラグル}

&amp;link_anchor(ライベル・ウィド,pageid=26){ライベル・ウィド}
&amp;link_anchor(キキョウ・アマザキ,pageid=26){キキョウ・アマザキ}
&amp;link_anchor(ナイル,pageid=25){ナイル}

&amp;link_anchor(ティオルジュ,pageid=26){ティオルジュ}    </description>
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