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日記その三 〈中編〉 エンドレスワルツを一緒に - (2006/11/09 (木) 02:11:23) のソース
「で、でっけ~~~ぇ」 「うわぁ~~~おっき~~~い」 「まさかここまでとは………」 俺の頭、胸ポケット、左肩からそれぞれの感想を述べるかしまし娘達 ここがどこかと聞かれると、俺の実家と答えるよ まぁ、正確にはまだ実家の門前なんだけどな ジジイが俺のマンションに来てからしばらくすぎて今は日曜日の夕方 約束は守る男だよ?俺は 「んじゃあユーナ、ベル鳴らしてくれるか?」 「へ? ベルなんてどこに……」 「右端にあるだろ?」 俺は自分の右方向にある門の端を指差した 「あぁ、あれね」 ウイングユニットで俺の頭から飛び立つユーナ ん? なんでわざわざ実家のベルを鳴らすかって? それは俺の力じゃ開けらんないから 言っておくが俺が非力なわけでも門に鍵が掛かっているわけでもない でかいのだ、門が * “ゴ~~~~~ン!!!!” 「うわわわ!!」 ベルの音が予想外だったようで(まぁ普通こんな音予想しないよな)空中姿勢のバランスを崩すユーナだが、よろよろしながらも俺の頭の上まで帰ってきた “ぎぎぎぎぎぃ”と何年も開かずの門だったかのような重低音を軋ませながら門が開く するとそこには…… 「「「「お帰りなさいませ、若様」」」」 「「「!!!!!!」」」 ずらっと並んだ、並んだメイドさん♪ って、またこれが奥に見える日本風な屋敷佇にミスマッチなことこの上ないねぇ、あいかわらず…… 「おう、みんなご苦労様」 「ご、ご主人様…このメイドさん達ってみんな…」 「ん? あぁそうだ、みんなうちの実家で働いてもらってる人たちだよ」 「はへぇ~~」 「なんだか目眩がしてきました…;」 だろ? だからお前らにご主人様っていわれるのは抵抗があるんだよ なんだか実家から抜け出せていない感じがするからなぁ…… 「ご無沙汰しております、明人様…」 そういって左右に分かれて出迎えてくれたメイドさん達の奥からやって来たのは歳は20代後半、男物のスーツが宝塚の男役張りに似合う長身の超美人(髪は長めのポニーテルだが、短くして化粧を濃くすれば完璧、宝塚だな) 「久しぶり、香憐ねぇ。元気に…」 「こいつか!? 例の『アイツ』ってのは」 「はい?」 再び俺の頭から飛び立ち香憐ねぇの目の前に出るユーナ またイヤにケンカ腰ですね、あなた 「ちがうっつーの、その人は水無月 香憐っていって、俺の…まぁいいや、後からまとめて紹介するわ。そのほうがなにかと効率的でいい」 「クスッ、またそれですか。『効率的でいい』……変わっていませんね、明人様」 そういって微笑む香憐ねぇ 「香憐ねぇも元気そうだな………と、とりあえず中に行こうか;」 なぜか三つの冷たい視線をうけたのでさっさと中に入ることにしよう… 「そうですね……明人様…」 「ん?」 「おかえりなさい」 「ふっわぁ~~~~」 「どっわぁ~~~~」 「っていうか何でなんですか?」 「ノアよ、まったくもってその通りだから俺じゃなくて爺さんに言ってくれ…」 俺たちはいま鳳条院家の日本風な屋敷佇、一般的に言えば日本のお屋敷の一部屋にいる ただこの部屋はなんというか……おかしい 「御爺様の仕業と言うことでしたらなんとか理解できました。…しかしコレは…」 「なんでこの部屋だけ洋式なの?」 そうなのだ、な・ぜ・かここだけベル●ラの如くロココ様式の社交ダンスパーティ会場になっているのだ(ここならなんか用意してるメイドさん達も違和感ないのだが…) ノアたちもジジイにメールで言われてエルゴで買った神姫用のイブニングドレスを着せてやってる 高かったんだぞ? まぁそのぶんホントによく出来てるがな 確か…かの有名なあの子の作品だったかな? 「なんでなんだ? アン●レ、俺がいたころはこんなのなかったろ?」 「誰がアン●レですか」 香憐ねぇがジト目になった こ、怖えぇ…… 「今日のために兼房様が用意するようにと申し付かりまして…急遽、手配いたしました」 「今日のためって…なんでまた…」 「何でも葉月様のご要望だとか…」 あ~、そういうことか… 大方、ジジイに難題吹っかけて今日のを無しにしようとしたんだろうな…… 甘いぜ我がい… 「ふ~ん、『ハヅキ』っていうのか…」 ……な~んか怪しくニヤついてるんですけど?ユーナさん? 「ユーナ、何度もいってるけどな、アイツは…」 「シャラップ!! アニキ! 言い訳は見苦しいぜ!! コレはアタシに課せられた試練ってやつさ。どうせ遅かれ早かれ避けては通れねぇんだ…修羅場だろうがなんだろうが、アニキも覚悟を決めな!!」 「修羅場って…何の話をしてるんだ、オマエは……;」 「……まだ話してなかったんですか? 葉月さんとの関係」 ノアが俺に言う 「いや、言おうと思ってても今みたいにいつも聞く耳もたんのよ…」 「はぁ……」 「あ、来たみたいだよ? 葉月ん」 ミコがそういうと部屋の入り口には一人分の人影があった こっちに向かって手を振りながら歩いてくる 「あいつか!? よっしゃあ!! ここであったが百年目ぇ! どっちがアニキにふさわしいかぁ……」 「お兄様!!」 「勝負……って…………え?」 固まるユーナ、それにお構いなく俺の前までやって来る葉月 「『お兄様』は止めろっていったろ? んなガラじゃねぇ」 「あ、そうでした、ごめんね兄さん。ノアちゃん、ミコちゃんお久しぶり~」 そういって二人を抱きしめる葉月 「お久しぶりです、葉月」 「おひさ~、だね、葉月ん。また会えてホント嬉しいよ♡」 「な、なぁ……」 「ん?」 カクカクとこちらに向き直るユーナ それに気づいた葉月が振り向いて二人の視線が会ったと思うと… 「キャ~~~!! カッワイィ~♡ なになに? 兄さんまた新しい子買ったの?」 「む!! むぎゅゅう…」 ユーナも葉月に抱きしめられた ええもうそりゃ思いっきり 「あ、ああ…アーンヴァルタイプのユーナだ」 「へぇ~、ユーナちゃんか…よろしくね、ユーナちゃん♡」 「っぷはぁ!! あ、アニキ!! これは一体どういうことなんだよ!!」 「これはって?」 「だから、お兄様ってなんなんだよ!! 聞いてねぇぞ!?」 「ああだから、言おうとしただろ?葉月は俺の……」 「妹だって」 * 「な、な、なぁにぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!!!」 なにぃぃぃぃぃぃぃぃぃ なにぃぃぃ にぃぃ ↑エコー つまりだ、今日は俺の妹である鳳条院 葉月の二十歳の誕生日な訳で、その誕生日会のために帰ってきたってわけなのだ 何で二十歳になって誕生日っていっても鳳条院家みたいな家柄では子供の誕生日会だって馬鹿にはならない 企業や財界やら芸能界のお偉方との社交界の場としてはよい口実になるんだなぁこれが んでもって俺は社交界だなんて堅苦しいのは昔から大の苦手で、家を出てからの五年間、ジジイは勿論、御袋の誕生日も葉月の誕生日にも電報一本と後からの電話で済ませてきた 酷い兄貴なのかなぁ…俺ってば 「でもしかたないですよ、兄さんにも今の生活があるし…」 いまは誕生日パーティの真っ最中、ホールの中央で俺とワルツを踊りながら葉月がすこし淋しそうに言った 「すまなかったな…二人だけの兄妹だってのに…」 「ううん、いいんです。昔から兄さんは鳳条院の家は好きじゃなかったみたいだし」 そういって電話でもいつも少しはにかんだ感じでそう言ってくれるお前に俺は何度助けられただろうか……ダメな兄貴だが、今だけはオマエの為に踊ろうって思えるよ…… ……後ろからの突き刺さる視線がなかったらな 「なんなんだよ妹って、だったら何であんなに楽しそうに踊ってんだよ!!」 「ご主人様と葉月んは仲良しさんだからねぇ~、ハグハグ」 「だからってあれは兄妹のレベルじゃねぇよ! ラブラブじゃねぇか!!」 「……ヤキモチですか? ユーナ、ぱくぱく」 「べ、べつにそんなんじゃねぇよ…ただ、その、今のアニキ、なんだかいつもよりカッコよく見えるから…」 「確かにそうですね…いつものご主人様と違って、いまはタキシードにオールバックの髪型ですから、ゴクゴク」 「それに葉月んもスッゴイ美人だし、ドレス姿も綺麗だし、お似合いだよね~、がつがつ」 「それはそうですよ、あのお二人はこの鳳条院家の跡取りなのですから」 「うおっつ!! びっくりした…あ、アンタ確かさっきの……」 「はい、この鳳条院家で執事兼お二人の教育係をさせていただいております、水無月 香憐(カレン)でございます。ユーナ様」 「ゆ、ユーナ様って…よしてくれよガラじゃねぇ…」 「フフッ、明人様と同じことを申されるのですね」 「ぐっ… あ、アタシはアンタと同じでアニキに仕えてるんだ、いわば同僚ってとこだ。ユーナ様なんて呼ぶなよな!」 「そうですか、ではユーナさん、これからもよろしく」 「…ん」 「友情の握手だねぇ~、んぐんぐ」 「人情者ですからね、ユーナは。ちゅるちゅる」 「う、うるせーな! つか、さっきから食ってばかりいるんじゃねーよ!!」 「だってしかたなぁ~いじゃん。私達ご主人様と踊れないんだよ?」 「う、それもそうだな……なんだってアニキはアタシたちを「こっち」の格好でつれてきたんだろ…」 「説明するのが面倒だからだ」 曲が終わり俺は一端こいつらのところに戻ってきた 「うおぉぉぉぉう!!あ、アニキ、ビックリさせるな!!」 「何でオマエはそんなにビックリしてるんだ?」 「そ、それはいいからめんどくさいってどういうことだよ」 「おぬしらとの関係はちとやっかいじゃからのぅ…そうじゃろ? 明人」 いつのまにかジジイが現れていた 神出鬼没な爺さんだ 「ジジイ…いつのまに」 俺と同じこと考えていたと思われるユーナの一言 「やっかい? どうしてやっかいなの? 兼爺」 それとはお構い無しにジジイに問いかけるミコ 「おぬしらの普段、つまり人間体の時にはここ、鳳条院の姓を使こうとるからのぉ、葉月や香憐には怪しまれるじゃろ?」 「…なるほど、理解できました」 簡単に理解してくれちゃうノア 「どうせおぬしらは明人の嫁として鳳条院の姓になるんじゃが……今はまだ、の。ふぉふぉふぉふぉふぉ」 「誰が兄さんのお嫁さんになるの?」 「「「!!!!!」」」 背後からの一声に俺たちはノア以外全員、背筋をビクッとさせられる 「は、葉月、お前、いつからそこに……」 「今来たとこだよ? それで、 兄さん…結婚…しちゃうの?」 「い、いや、そ、そんなわけねぇだろ? ジジイの戯言だよ、た・わ・ご・と」 「そっか……よかった♪」 「へ?」 「あ、ううん、なんでもないよ、なんでも、あははははは」 なぜか少し焦ったような葉月の笑顔 「それよりどうした? またダンスの相手しろってか?」 「あ、ううん、そうじゃないの。えっと、そのまえに…レイア~!」 葉月がそう呼ぶと、いつからいたのか葉月の足元にはノアたちと同じくドレスアップした一体の神姫がいた 「あ、ここにいたんだ。兄さん、ノアちゃん、ミコちゃん、ユーナちゃん、紹介するね? この子が私の神姫、ストラーフタイプの……」 「レイアです。よろしくお願いします。明人さん、ノア御姉様、ミコ御姉様、ユーナ御姉様」 そういってペコリとお辞儀するレイア あ~らまぁうちのかしましトリオと違ってよ~くできたお子さんだことねぇ~オバサン感心しちゃうわ~ 「なんでマダム口調なんですか、ご主人様」 だから心を読むなノア いくら長い付き合いからって… 少し恥ずかしいじゃねえか… 「それでね、兄さん」 「ん? なんだ?」 「あのね、わ、私とバトルして欲しいの!!」 「「「「……………え?」」」」 今度は全員でハモった 追記 「そういえば御爺様」 「ん? なんじゃね? ノアちゃん」 「なんで日本風なお屋敷にメイドさんなんですか? べつに中居さんでもいいような…」 「ふふ、わかっとらんね、ノアちゃん…たしかに中居さん萌えも大いに結構なのじゃが…」 「はぁ…………」 「男の浪漫とは即ちギャップ!! ツンデレ萌えに始まり、幼馴染との今までと違う関係ギャプ萌え!!男は意外性にこそ己の心を擽られるモノ!!」 「はぁ……………」 「すなわち!『和風にメイド』!! コレこそ本物の…」 「ですが、なぜ香憐さんはメイドじゃなくて執事さんなのですか?」 「ぶっちゃけ…………香憐にメイドは似合わんじゃろ?」 「確かに……」 続く ---- [[メインページへ>橘明人とかしまし神姫たちの日常日記]] #right{このページの訪問者:&counter()}