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引きこもりと神姫:9-2 - (2012/07/09 (月) 04:29:13) のソース
(……?) (樹羽、どうしたの!?) (今、華凛の声が聞こえたような気がした) (私は聞こえなかったよ!) シリアが聞こえなかったなら、たぶん私の勘違いだろう。そんなことより今は目の前のことに集中しないと些かマズイことになる。 思考しながら短機関銃を腰だめに構え掃射する。しかし、相手のビットには当たらない。 『廃墟』のビルの間。その宙空で私はエリーゼの放つビットに追われていた。おそらくビットを先行、索敵させて自分は後からくるつもりなのだろう。 「っ……」 別のビットの攻撃をなんとかかわす。このままでは無駄弾が増えるだけだ。 (シリア、そこのビルの角2回曲がった後、振り返って) シリアに指示し、シリアがそうなるようにブースターを動かす。 少し大きなビルを旋回する形で曲がる。曲がり切ったところで姿勢制御。再び短機関銃を構える。 ビットの動きは遅い。ワンテンポ遅れて現れたそれを、短機関銃の掃射で破壊する。小さな爆発。さらにそれを突き抜けるように現れたもう一機も破壊。 (よし……) (4時の方向に敵影あり!) その方向を見る。ビルが邪魔で直接は見えないが、バイザー越しの世界には丸いサイトが出現していた。距離は10s。ビル一つ挟んだ所にいるようだ。 (……!?) 背中に伝わる謎の悪寒。無意識のうちにブースターを使って真上に上がっていた。 次の瞬間に壁を突き破り伸びる光の帯がそこにあった。ビルの後ろから壁抜きとは。 (危ない) (って言うかエネルギー反応出す前に回避出来た樹羽が凄すぎるというか……) なんとなく、ただの勘ではあったが回避出来た。結果オーライだ。 (上から乗り越える。ボレアスお願い) 手の短機関銃が消え、代わりにランチャーが現れる。それを持ってビルにそって上がっていく。 屋上に到達するまで相手は一切動いていない。まさかこっちをロックしていないなんてことは有り得ない。 (っ!? ジャミング!) サイトが消える。そして、何かが目の前を通り過ぎていった。空を見ると、そこには白い影が―― 「ぐぅっ!」 とっさにボレアスを掲げる。だがその手に握られた青い刃は容赦なくそれを切り裂いた。レールアクションを使われたらしい。 真っ二つになったボレアスが爆発する。その爆発の勢いで相手との距離を取る。 「いぇああああっ!!」 だがエリーゼは爆風など意に介さずに向かってくる。 「はぁっ!」 それに対して私は向かいのビルの窓枠に足を突き、薙刀を構えた。エリーゼの小剣と私の薙刀が交錯する。だが、相手は空中。こちらは不安定ながらも足場がある。おまけに今の武器は薙刀。私の右手が支点となり、左手が力点を担い、そしてエリーゼの小剣との接点が作用点となる。 「てりゃあっ!」 エリーゼの小剣を押し返す。その勢いのまま窓枠を蹴り、両手にエウロスを出す。エリーゼは左手のシールドを構えるがそれを右手で掬いあげるように払う――つもりがシールドを完全に弾いた。なお良し。 さらに追撃するように左手を振り抜く。それは相手が張った緊急バリアに阻まれたが、それでいい。 両手を振り抜いた状態からエウロスを消し、薙刀を展開する。そのままブースターを使って相手の真上に跳ぶ。 「落ちろっ」 バリアの上から叩き付けるように薙刀を当てる。相手は薙刀に押されて落下する。HPはまだ残っていた。 ならばと落下する影に短機関銃を斉射する。 しばらく撃っていると、試合終了のブザーが鳴った。相手のHPが0になったらしい。 「……暴徒鎮圧完了」 「違うからね?」 [[第九話の1へ>引きこもりと神姫:9-1]] [[第九話の3へ>引きこもりと神姫:9-3]] [[トップへ戻る>引きこもりと神姫]]