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「ネコ日記:第十五話」(2008/02/26 (火) 18:22:27) の最新版変更点
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*決着、事実、決意。そして・・・親父
風が吹き、ヴァーチャルの草が揺れる草原に、二体の神姫が対になって寝ていた。
「相打ちかぁ・・・残念」
その内の一体・・・オイルが、溜息を漏らしながら呟いた。バトルは引き分け。
「・・・でも、楽しかった」
その隣で寝ているアースも呟いた。
「二回戦で待ってる。それまで・・・」
「・・・絶対負けないでよ」
そして二人の体は粒子となってフィールドから消えた。
「お疲れさん。なかなか良いバトルだったぞ」
「かっこよかったよ~!」
バトルから戻ってきたオイルに、労いの声を掛ける。
「相打ちだったのは惜しかったけど・・・目標ができたから結果オーライだね」
「目標?」
そう言えば戻ってくる前に対戦相手と何か話してたな。きっと再戦の誓いだろうが・・・
「二回戦、絶対アースに勝ってみせるよ」
「その意気で優勝も狙うか」
「もちろん!」
「がんばってねオイルちゃん!」
どうやら大会に参加したのは正しかったみたいだな。
アースとそのマスターに挨拶もしたかったが、居なくなっていた。丁度試合の順番が来たみたいだ。
「さ、見に行こうぜ。お前のライバルの戦いを」
「うん」
「ちょい待ちぃや和章」
突然、後ろから声を掛けられる。俺の名前を知っていてそれを呼び捨て。それにこの声、この喋り方は・・・
「お袋!?何でここに!?」
「何や、居たら悪いんか?観戦や、観戦。息子の勇姿見届けたろ思てな」
確かに観戦に来たんならここに居てもおかしくは無い。
「試合、まだやろ?ガッチガチになっとらへんか見に来てやったっちゅうこっちゃ」
「大きなお世話だ」
お袋は初めは笑っていたが、次第に表情が真剣に変わっていった。
「それもあるねんけどな和章。それだけや無いんや・・・」
「・・・控え室の方が良さそうだな・・・」
「それで、それだけじゃ無いってどういう事だ?」
「この大会な、非公式だから怪しいな思て調べてみたんや。そしたらな、一つ分かった事があんねん。」
そう言って一枚の写真を取り出し、俺に見せてきた。写真には猿轡をされて狭い部屋のような場所に居る人が写っていた。
「このここに居る奴・・・まさか」
「分かるやろ。この大会の参加者や。連れてかれる所追いかけて撮って来させたんや。敗者はみんなこうして連れてかれるみたいやな・・・」
「止めなかったのか?調べに行くくらいだ。武装は装備してたんだろ?」
「そらしとったわ。せやけど一人倒したところでどうにもならへん。それにもし下手に干渉して向こうが大きな行動起こしよったら大変やからな・・・それだけや無い。敗者の神姫はどうなるか分かるか?」
「そんな事俺が知るかよ。どうなるんだ?」
まさかオイルみたいにその辺に捨てられる訳でもないだろうし・・・とは言えなかった。
「神姫はみんな負けの瞬間に機能停止してまうんや。大会用筐体にそう細工されとる。こっちの筐体は平気みたいやけどな。」
「つまり負けは許されないって事か・・・」
「そんな・・・!」
「ひどいよ!どうしてそんなことするの?」
オイルとタマは仲間が次々と機能停止していくと聞いて怒っている。
「確かに、大会側はどうしてこんな事を?暇潰し程度にしては規模が大きすぎる」
「それは分からん・・・でも、これ以上被害は出したくあらへん」
「そりゃ俺もこいつらも同じだ。で、どうするんだ?」
下手に手を出せないんじゃどうしようも無いじゃないか。
「考えはある。和章が本部に潜入して、筐体の仕掛けを止めるんや。ウチは捕まってるマスターを助ける」
「確かに仕掛けと人質さえ無くなれば、こっちのもんだな・・・だが」
だが一つ問題がある。
「その為には大会を棄権する必要があるだろ。それじゃあオイルは・・・」
「それなら心配あらへん。棄権した神姫はなぜか何ともあらへんみたいなんや。」
「いや、それもそうなんだが・・・オイルは棄権する訳にはいかないんだ」
「・・・何やて?」
お袋は驚いてオイルを見る。そりゃそうだ。何でわざわざ命を危険に曝すのか、と目が言っている。
オイルを見る。衝撃の事実を伝えられても、その目に宿る決意は揺るがなかったみたいだ。
「あたしは負けられないし棄権もできない。約束したから・・・」
「わたしからもおねがい!オイルちゃんをきけんさせないで!」
タマがオイルの手を握って言った。
続いてお袋を見る。しばらく驚いていたが、諦めたのか認めたのか、頷いた。
「ならしゃあ無いな・・・せやけどどないしよ」
「カズアキ、行っていいよ。あたしなら一人でも大丈夫だから」
「それは信じてるが、マスター無しじゃ試合できないんじゃ無いのか?」
確か、Aブロックの何試合目かで、トイレに行っていて名前を呼ばれても来れなくて失格になったマスターがいた。
「あ、そっか・・・」
「それなら心配いらないぞ」
「「「「・・・!?」」」」
急に声がした。四人は後ろを振り向く。
そこには、白衣に身を包んだ男が立っていた。
「お、親父!?」
「信義・・・!?」
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[[ネコのマスターの奮闘日記]]
*決着、事実、決意。そして・・・親父
風が吹き、ヴァーチャルの草が揺れる草原に、二体の神姫が対になって寝ていた。
「相打ちかぁ・・・残念」
その内の一体・・・オイルが、溜息を漏らしながら呟いた。バトルは引き分け。
「・・・でも、楽しかった」
その隣で寝ているアースも呟いた。
「二回戦で待ってる。それまで・・・」
「・・・絶対負けないでよ」
そして二人の体は粒子となってフィールドから消えた。
「お疲れさん。なかなか良いバトルだったぞ」
「かっこよかったよ~!」
バトルから戻ってきたオイルに、労いの声を掛ける。
「相打ちだったのは惜しかったけど・・・目標ができたから結果オーライだね」
「目標?」
そう言えば戻ってくる前に対戦相手と何か話してたな。きっと再戦の誓いだろうが・・・
「二回戦、絶対アースに勝ってみせるよ」
「その意気で優勝も狙うか」
「もちろん!」
「がんばってねオイルちゃん!」
どうやら大会に参加したのは正しかったみたいだな。
アースとそのマスターに挨拶もしたかったが、居なくなっていた。丁度試合の順番が来たみたいだ。
「さ、見に行こうぜ。お前のライバルの戦いを」
「うん」
「ちょい待ちぃや和章」
突然、後ろから声を掛けられる。俺の名前を知っていてそれを呼び捨て。それにこの声、この喋り方は・・・
「お袋!?何でここに!?」
「何や、居たら悪いんか?観戦や、観戦。息子の勇姿見届けたろ思てな」
確かに観戦に来たんならここに居てもおかしくは無い。
「試合、まだやろ?ガッチガチになっとらへんか見に来てやったっちゅうこっちゃ」
「大きなお世話だ」
お袋は初めは笑っていたが、次第に表情が真剣に変わっていった。
「それもあるねんけどな和章。それだけや無いんや・・・」
「・・・控え室の方が良さそうだな・・・」
「それで、それだけじゃ無いってどういう事だ?」
「この大会な、非公式だから怪しいな思て調べてみたんや。そしたらな、一つ分かった事があんねん。」
そう言って一枚の写真を取り出し、俺に見せてきた。写真には猿轡をされて狭い部屋のような場所に居る人が写っていた。
「このここに居る奴・・・まさか」
「分かるやろ。この大会の参加者や。連れてかれる所追いかけて撮って来させたんや。敗者はみんなこうして連れてかれるみたいやな・・・」
「止めなかったのか?調べに行くくらいだ。武装は装備してたんだろ?」
「そらしとったわ。せやけど一人倒したところでどうにもならへん。それにもし下手に干渉して向こうが大きな行動起こしよったら大変やからな・・・それだけや無い。敗者の神姫はどうなるか分かるか?」
「そんな事俺が知るかよ。どうなるんだ?」
まさかオイルみたいにその辺に捨てられる訳でもないだろうし・・・とは言えなかった。
「神姫はみんな負けの瞬間に機能停止してまうんや。大会用筐体にそう細工されとる。こっちの筐体は平気みたいやけどな。」
「つまり負けは許されないって事か・・・」
「そんな・・・!」
「ひどいよ!どうしてそんなことするの?」
オイルとタマは仲間が次々と機能停止していくと聞いて怒っている。
「確かに、大会側はどうしてこんな事を?暇潰し程度にしては規模が大きすぎる」
「それは分からん・・・でも、これ以上被害は出したくあらへん」
「そりゃ俺もこいつらも同じだ。で、どうするんだ?」
下手に手を出せないんじゃどうしようも無いじゃないか。
「考えはある。和章が本部に潜入して、筐体の仕掛けを止めるんや。ウチは捕まってるマスターを助ける」
「確かに仕掛けと人質さえ無くなれば、こっちのもんだな・・・だが」
だが一つ問題がある。
「その為には大会を棄権する必要があるだろ。それじゃあオイルは・・・」
「それなら心配あらへん。棄権した神姫はなぜか何ともあらへんみたいなんや。」
「いや、それもそうなんだが・・・オイルは棄権する訳にはいかないんだ」
「・・・何やて?」
お袋は驚いてオイルを見る。そりゃそうだ。何でわざわざ命を危険に曝すのか、と目が言っている。
オイルを見る。衝撃の事実を伝えられても、その目に宿る決意は揺るがなかったみたいだ。
「あたしは負けられないし棄権もできない。約束したから・・・」
「わたしからもおねがい!オイルちゃんをきけんさせないで!」
タマがオイルの手を握って言った。
続いてお袋を見る。しばらく驚いていたが、諦めたのか認めたのか、頷いた。
「ならしゃあ無いな・・・せやけどどないしよ」
「カズアキ、行っていいよ。あたしなら一人でも大丈夫だから」
「それは信じてるが、マスター無しじゃ試合できないんじゃ無いのか?」
確か、Aブロックの何試合目かで、トイレに行っていて名前を呼ばれても来れなくて失格になったマスターがいた。
「あ、そっか・・・」
「それなら心配いらないぞ」
「「「「・・・!?」」」」
急に声がした。四人は後ろを振り向く。
そこには、白衣に身を包んだ男が立っていた。
「お、親父!?」
「信義・・・!?」
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