武装神姫SSまとめ@wiki
http://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/
武装神姫SSまとめ@wiki
ja
2021-11-12T18:20:59+09:00
1636708859
-
マリナニタSOS!(仮)/コメントログ
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/2883.html
- 続き気になって仕方ないのです… -- (メイ) &size(80%){2021-11-12 18:20:59}
2021-11-12T18:20:59+09:00
1636708859
-
誰がために(1)
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/2882.html
「鬼ごっこ、しようか」
あまりに唐突な彼女の言葉。それに対してフーは。
「は?」
理解が追いつかなかった。ぽかんと開いた口が塞がらない。
「何を、言っている」
「いや、それはこっちのセリフ。
私はそもそも空を飛びたいって言っただけ」
「しかし、相手をしろと貴様は言ったではないか」
「鬼ごっこには相手が必要よね?」
冷静に考えれば間抜けな台詞を、真顔でサラリと言ってのけるニクス。
「では何故武装を身につけた!」
「そのままじゃ飛べないから当然。貴方だってそれは一緒」
「それは……そうだが」
ニクスの正論に、フーも追撃の矛を収めざるを得ない。
「……さて。もういいかしらね、おふたりさん?」
そこに強引にフェリスが割って入り、二人もそれぞれの表情と共にOKとの返事をする。
「じゃルールの確認ね。
先に鬼を決めて、鬼は5秒後にスタート。タッチしたら攻守交替。
それで10分経過した時に鬼だった方が負けね。
範囲はこの飛行場エリア内で、ドーム内だったら高度は自由。何か質問は?」
「火器の使用は」
「ダメに決まってるでしょ……ロック掛けときなさいよ」
「……了解した」
当然とばかりに質問する側と、当たり前だと思わず頭をかく返答側。
「じゃ、鬼を決めるわよ。外れたら鬼ね」
そう言って、フェリスは懐からコインを取りだす。
「表」「じゃあ私は裏ね」
「それじゃ」
そして親指でコインを弾き、手甲で受け止める。
「――表ね」
その結果を見て、運命の女神役は、にししと愉快そうに笑う。
「相変わらず運が無いわね。ニクスは」
「ほっといて」
「はいはい、それじゃ始めるわよ。3カウントで開始だからね」
3、2、1――と早速カウントを刻むフェリス。
「ゼロ!」
合図と共に、フーは高機動モードに変形。フルスロットルでロケットのように垂直上昇。
「おー、速いはやい。流石新型ね」
手をかざして眩しそうに空を見上げるフェリスと、その隣で相変わらず微妙な不機嫌顔で佇むニクス。
「じゃ、行くわ」
「いってらっしゃい、相棒さん」
コツン、と、手の甲を打ち合わせる二人。
「跳べっ」
ニクスはそのまま、軽やかに飛び立つ。
【第2話 誰がために】
「――ふむ」
2017-02-24T21:38:59+09:00
1487939939
-
彼女たちの日常(3)
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/2881.html
そこは、豪華だが何処か成金趣味を思わせる調度品が並ぶ部屋。
その部屋の奥に設えられた高級デスクには、1人の男が埋もれていた。
「――なんだとテメェ、もういっぺん言ってみろ!?」
しかしそのセレブな場には不釣り合いに……いや、調度品の趣味にはお似合いのように、汚く口角泡を飛ばして叫ぶ。
『禁則兵器使用の賠償金として金一千万。鹵獲機体は没収。
人間の言葉は聞き直さないとご理解いただけないなんて、脳までフォアグラになっていらっしゃるのかしら』
男が対話するのは、空中に浮かぶ通話画面。そこには絶対零度の微笑を浮かべた黒髪の美女の姿があった。
「貴様ぁ!!!」
さらに口角泡が吹き荒れ、デスクが男の体液に塗れていく。
『あらあら汚い声。負け犬の遠吠え……いえ、豚の悲鳴かしら』
モニターの奥の女が、あからさまに嘲笑する。
しかしその仕草は、そのような下衆な行為ですら美しく、また洗練されていた。
「テメェ! ぶちころすぞ!!!」
煽られ更に激怒する脂肪の塊、もとい青年。
豊満という言葉すら生ぬるい巨大な砲丸のような身体が、激怒の余りその身を震わせようとするも叶わず、高級チェアの柔らかなクッションにずぶずぶと沈み込む様は女が嘲笑するのに相応しく、実に無様だった。
『――それは、"鶴畑さんのお言葉"でよろしくて?
それとも……ふふ、怒り狂った豚の鳴き声を私が聞き違えたかしら』
「――ぐ」
瞬間、女の瞳にそれまでの嘲笑とは別種の、遙かに危険な光が宿る。
男の方もそこまで馬鹿ではなかったらしく、尚嘲笑されながらも矛先を引かざるを得ない。
『では、今回はこれきりということにいたしましょう。また次回、ごきげんよう』
「待てよ! 勝ち逃げする気かぁ!」
『勝ち逃げは勝者の特権よ。悔しいのなら貴方も勝者になってみる事ね』
高らかな宣言と共に、ブツリと通信が切れる。
残されたのはギリギリと歯を噛み締め敗北の味を嫌と言うほど味わう無様な男の姿だけだった。
「――このままで、済ませてたまるか……あのアマぁ!」
そして男の脂ぎった瞳には、どす黒い復讐の炎が燃え上がりはじめていた。
「――ふふ」
同時刻、会談という名の蹂躙を終えた美女は、愉快そうに傍らの神姫に微笑む。
「ご機嫌ですね。お嬢様」
「ええ、対岸の
2017-02-24T21:42:08+09:00
1487940128
-
彼女たちの日常(2)
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/2880.html
「――え」
痛みを感じる事なく、断絶する意識。
「――ちょっとニクス、ニクス!」
その筈だった。
「――――え、あ」
フェリスに激しく肩を揺さぶられ、彼女はようやく我に返る。
「私、首……ついて……」
「何言ってるのよ、いきなりフリーズしちゃって」
「――私、彼女に見つめられて」
その視線の先には、憮然と佇むフレズヴェルクの姿。
「アンタ……ニクスに何したの」
先刻までの人懐っこい表情が形を潜め、猛禽類を思わせる瞳で少女の前に立つフェリス。
その疑問に答えたのはフレズ当人ではなく。
「殺気……みたいなモノかしらね。
ニクスを『殺した』というシミュレートを、アイコンタクトの光通信で送った……という所かしら」
「アガサ、アンタ気づいてて……。ってそれもう殺気じゃなくね!?」
身も蓋もないネタ晴らしに、シリアスになりきれなかったフェリスが叫ぶ。
「って、そもそも何でそんな事する必要があるのよ!」
まだ呆然としたニクスを庇いながら、相棒を攻撃した敵に向かって吠える。
「借りは返す、そうだろう」
「借り……アンタ、何言って……」
「――そう、貴方だったの」
「ニクス……?」
怪訝な顔のフェリスの後ろから、ゆらりとポニーテールを揺らしニクスが歩み出る。
「今の一撃、よく覚えてる。貴方とは、昨日やり合ったばかりだから」
「察しが良い」
「今ので判らなかったら、とっくに戦死してる」
「――ハ」
『死体を飲み込む者』の名を持つ少女は、狂喜を孕んだ、禍々しい悪魔の笑みを浮かべる。
「ならば続けようではないか、殺し合いを」
「……」
「どうした、来ないのなら此方から――」
彼女は、そこまでしか言えなかった。
ニクスの身体が再びゆらりと揺れた次の瞬間、しなやかな腕が蛇のようにフレズに絡みつき、そして。
「っ!!!」
ニクスは、唇を絡ませていた。
「んーっ! んぁ……ああぁぁ……あ……」
フレズは腰にがっちりと手を回され、抵抗しようにも口腔内を蹂躙される未知の感覚に翻弄され、一切の思考もままならない。
「きさ……何……やめ……んぁっ……」
舌を捻じ込んで咥内を押し開き、歯の裏を丹念に舐めあげ、顎裏に舌を這わせ、唾液を送り込み舌を絡めてゆっくりと嚥下させる。
「ぁ……ん……んぅ…
2017-01-29T11:13:49+09:00
1485656029
-
•Night Games【1話】彼女たちの日常(1)
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/2879.html
清潔だが、殺風景。そして無機質で暗い部屋の中、鈍い作動音が響く。
「(ヤメロ、貴様ラ……!)」
叫ぶのは、音の中心。煌々と無数のライトが照らす金属の手術台に寝かされた……機械人形。
「(我ヲ……!)」
だが、その叫びが空気を震わせることは、既に無い。
そんな悲鳴など最初から存在しないとするように、レーザーメスがナイフでチーズを切るように装甲を切り裂き、精密作業用のメカニカルアームが、その姿を刻一刻と変貌させていく。
「(イッソ殺セ!)」
其は心で叫ぶ。
そして叫びを感じ取ったかのように、手術台の傍らで微笑を湛えその光景を見ていた女が、ポツリと呟く。
「死よりも、辛い、生を、汝に」
直後、伝達系が焼き切れるかのような電圧が機械人形の全身を襲う。
いや、いっそ焼き切れてしまった方が幸福だったかもしれない。どれほどの苦痛を与えられようとも、狂う事も、死ぬ事も無い。
何故なら、彼は、彼らは、彼女たちは、そう、作られたのだから。
「(ヤメロ、ヤメロォォォォォォォォォ!!!)」
【第1話 彼女たちの日常】
「っ!」
――飛び起きる、少女。
その脇で、衣擦れの音がする。
「……何よニクス、何時だと思ってるのよぉ」
その突然の挙動に反応して、けだるげに身体を起こす、もう1人の少女。
「あ……。うん、ゴメン」
時刻はまだ午前6時前。まだ朝日の差し込まない薄暗い部屋。
下手の中は質素だが綺麗に整えられ、淡い暖色の色調でまとめられた家具がどことなく年頃の少女の部屋である事を意識させる、かもしれない。
その部屋の隅にあるゆったりとしたベッドから跳ね上がるように起きた、ニクスと呼ばれた淡色の髪の少女。
彼女は動悸を押さえつつ、今度こそゆっくりとした動作で隣に寝ている少女に視線を向ける。
「全く……戦場帰りの朝くらい、ゆっくりしたいじゃない」
そして傍らの少女は、シーツを巻いて素肌を隠しながら、ゆっくりとニクスの方へ寝がえりをうつ。
「朝から元気ね…・・・。昨日あれだけやったのにねぇ」
「むぅ……」
彼女がにししと笑うと、今はおろした金髪がベッドの上でサラリと舞う。
「こっちも元気?」
「ひゃっ!? ちょっと、どこ触ってるのっ。んっ」
しなやかな手がするりと伸びてきて、ニクスの露
2017-01-21T00:08:31+09:00
1484924911
-
Night Games 序章
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/2878.html
灼熱の太陽が、全てを焼き尽くす世界。
一点の濁りも無く蒼に染まった空。赤茶けた大地は干上がり、ただ砂埃だけが舞い上がる。
そんな地獄の中、生と死の狭間でのたうつ者たちがいた。
静寂の大地に、無限軌道の鼓動が響く。
「左上方、敵機!回避せよ!回避せよ!!」
声を荒げる、鉄(くろがね)の少女。それは生を求める者の悲痛な叫び。
砂漠に展開する少女達に、殺戮の閃光が降り注ぐ。
「熱源探知、対地ミサイルきます!」
「各機フレア散布、急いで!」
淡い金髪の少女の号令の元、一斉に発射される。
フレアは閃光と共に大空に鮮やかな軌跡を描き、熱と光によってミサイルの赤外線誘導装置を欺瞞。
それに目の眩んだミサイル……地獄のカラスどもが貪るように食らいつく。
「やった!」
迫りくる死を振り払った喜びに、少女たちが歓喜の声を上げる。
「回避行動続けて、また来る!」
「え、あ、ハ……うわぁ!?」
しかし、それもまた一瞬の事だった。
鈍色の装甲板と紅(くれない)色のオイルが飛散し、眩い爆発の中に消えていく。
「被害報告!」
「……ダメです。231及び234号車、撃破されました」
救援に向かった少女が鎮痛な声で報告する。
「……これでSAM(地対空ミサイル)小隊は全滅」
その報告を受けた短髪の少女は、無意識に指先で襟足を弄びながら呟く。
今は埃と硝煙でくすんだ端正な顔には、焦りの色が滲む。
「(どうする……後退する? でもここで引いては……)」
状況を打開しようと必死に思考を逡巡させるが、戦場に模範解答など存在しない。
それに、そんな暇など与えられる訳も無かった。
「隊長! 何か様子が!」
悲鳴混じりの報告を掻き消し、少女を地獄に引きずり込もうと悪魔のサイレンが鳴り響く。
「敵機直上、散開ー!」
本来であれば咄嗟の指示。だが、それすらも遅きに失した。
「あぁっ!!!」
「いやぁ、隊長ぉー!」
着弾、そして炸裂。
美しい煌きが起こる都度に断末魔の悲鳴が聞こえ、IFF(敵味方識別装置)から反応が消失。
可憐な少女達が、物言わぬ骸と化していく。
「急降下爆撃……やられた!」
敵は我が物顔で上空から急降下し、無誘導爆弾を的確に叩き込んでくる。
各種誘導弾の発達した現代戦に於いて
2017-01-12T19:54:22+09:00
1484218462
-
Night Games 序章?
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/2877.html
灼熱の太陽が、全てを焼き尽くす世界。
一点の濁りも無く蒼に染まった空。赤茶けた大地は干上がり、ただ砂埃だけが舞い上がる。
そんな地獄の中、生と死の狭間でのたうつ者たちがいた。
静寂の大地に、無限軌道の鼓動が響く。
「左上方、敵機!回避せよ!回避せよ!!」
声を荒げる、鉄(くろがね)の少女。それは生を求める者の悲痛な叫び。
砂漠に展開する少女達に、殺戮の閃光が降り注ぐ。
「熱源探知、対地ミサイルきます!」
「各機フレア散布、急いで!」
淡い金髪の少女の号令で、一斉に擲弾筒から射出される。
発射された大空に鮮やかな軌跡を描き、熱と光によってミサイルの赤外線誘導装置を欺瞞。
「やった!」
それに目の眩んだミサイル……地獄のカラスが、貪るように食らいつく。
迫りくる死を振り払った喜びに、別の少女が歓喜の声を上げる。
「回避行動続けて、また来る!」
「え、あ、ハ……うわぁ!?」
しかし、それもまた一瞬の事だった。
鈍色の装甲板と血色のオイルが飛散し、眩い爆発の中に消えていく。
「被害報告!」
「……ダメです。231及び234号車、撃破されました」
助けに駆け寄っていた少女が、鎮痛な趣きで告げる。
「……これでSAM(地対空ミサイル)小隊は全滅か」
報告を受けた短髪の少女は、淡い金髪のうなじを無意識に指先で弄びながら呟く。
今は埃と硝煙でくすんだ端正な顔には、焦りの色が滲んでいる。
「(どうする……後退する? しかしここで引いては……)」
思考を巡らすが、明確な解答など存在しない。
それに、そんな暇など与えられる訳も無かった。
「中隊長! 何か様子が!」
悲鳴混じりの報告を掻き消し、少女を地獄に引きずり込もうと悪魔のサイレンが鳴り響く。
「敵機直上、散開ぃー!」
本来であれば咄嗟の指示。だが、それすらも遅きに失した。
「あぁっ!!!」
「いやぁ、隊長ぉー!」
着弾、そして炸裂。
美しい煌きが起こる都度、断末魔の悲鳴と共にIFF(敵味方識別装置)から反応が消失。
物言わぬ骸と化していく。
「急降下爆撃……やられたっ!」
敵は我が物顔で上空から急降下し、無誘導爆弾を的確に叩き込んでくる。
それは各種誘導弾の発達した現代戦に於いては、非常に古典的な戦法。
2016-02-10T17:56:36+09:00
1455094596
-
Night Games
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/2876.html
----
*~Night Games~
----
#image(center,タイトル.jpg)
----
**story
*** [[序章>Night Games 序章]]
*** 第1話・彼女たちの日常 [[1>•Night Games【1話】彼女たちの日常(1)]] [[2>彼女たちの日常(2)]] [[3>彼女たちの日常(2)]] *New*
*** 第2話・誰がために [[1>誰がために]]
Coming Soon……
----
[[Night Games キャラクター紹介]]
----
著 ねここのひと
----
更新状況
1/29
第1話(3)をアップしました。
1/21
第1話(2)をアップしました。
1/12
第1話をアップしました。
3/29
序章【完全版】アップしました。
2/10
仮設アップしました。
----
ご感想、ご要望やリクエストなどは、こちらへどうぞ。
感想お待ちしております。
#comment
----
今日
&counter(today)
昨日
&counter(yesterday)
総合
&counter()
2017-02-24T21:44:31+09:00
1487940271
-
第12話 戦いと、至高と、嗜好と
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/2875.html
「フォイヤー!」
ケーニヘンの号令のもと、火器を手にした素体達が一斉にこちらに向かって銃火を放つ。
素体の手に持てる火器は大きくてもガトリングガンがせいぜいであり、電力の関係上かほぼすべての素体が実体火器を用いていたが、問題はその数だ。まともに攻め込めば、文字通り穴あきチーズになりかねん。
俺は即座に愛とクズハをひっつかんで手近にあったコンテナの後ろに放り込み、直後に自分も滑り込んだ。ヒルダ、リーヴェも猛火をかいくぐってこちらへとやってくる。
「うっひゃー、文字通り鉛玉の雨あられですよー。防弾布付き傘風ショットガンでも間に合いそうにないですねー」
「マスター、どうしましょう?」
「さーて、ねえ……」
金属質な着弾音が響く中、こちらを見上げる神姫たちのまなざしに俺は頭をかく。いかんせん、俺はリアルバトルの経験がほぼ全くない。精々がヒルダに武道の型を簡単に教える時に、練習用MMS相手にやった程度だ。当然、あのときの素体はコンテナ向こうの連中のようななめらかな動きはしない。
ただし、こちらのカードがハイマニューバトライク型であるイーダタイプと、フリューゲルモードとスカートモードをバックパックに搭載して飛行能力をさらに強化したアルトレーネタイプであるということは、かなりのアドバンテージである。
上手く射線を避けさえすれば、彼女たちのスペックならば十二分に突破できるはずだ。さりとて、限度はある。さしあたり身を隠すことは成功したとはいえ、今度はここに釘付けだ。
なんとか状況を打開する必要がある。
「愛、お前ファーストランカーだろ。なんか手はないか?」
「そうねぇ……」
愛は顎に手を当てて考え込む。そして割とすぐ、言った。
「とりあえず、相手の注意を引かないとダメね」
◆◇◆
「撃ち方、やめ!」
ケーニヘンの号令で、すべての素体が銃撃をやめる。
激しい銃撃を浴びせたコンテナは――傷つき、多少の貫通創もあるものの、その外観にあまり変化はない。火力が足りていないのだ。所詮、素体状態のMMS素体が取りまわせる神姫用の軽火器ではこの程度が限度である。彼女の右肩に搭載されているインターメラル3.5mm砲ならば、向こう側まで貫通するだろうが。
「ケーニヘン、私は商談に戻る。奴らは好
2015-01-15T16:24:30+09:00
1421306670
-
第10話 『そして、二人で』
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/2874.html
『ざわ・・・ざわ・・・』
という擬音が発生しそうな空気が、そこにはあった。
「すまん!」
その空気の中心に居るのは、周防その人。
彼は、見事なダイナミック土下座を決めていた。
***第10話 『そして、二人で』
周防の前に居るのはスミレ、白瀬とクロ。それに先程までの対戦相手である蓮とエリーナの姿もあった。
「俺が適当に設定してたから、スミレにも他のみんなにも迷惑をかけてしまった。本当に申し訳ない!」
15cmの神姫を前に平謝りの成人男性。明らかに異様な光景だったが、本人は真剣だった。
「でも周防さん、それは私が……」
「申し訳ない!」
白瀬の台詞を遮るように、大声で詫びる周防。
「(周防先生……ありがとう、ございます)」
周防の気持ちを察した彼女は、心の中でそっと詫びる。
「気にしないで下さい兄さま。私結構楽しかったんですから、ね、ね?」
「まぁ……知らなかったとはいえ、アタシ達も無礼だった。ここはお互い様という事にしておかないか」
公衆の面前で大の大人に土下座までされてしまい、蓮は気まずそうにポリポリと頬をかく。
「そうっす。私も不意打ちかましましたし、おあいこでっ」
「……痛かった」
「ひぃっ!?」
ジト眼のクロに、完全に怯えるエリーナ。
一瞬で消し炭にされてしまったのは、どうやら彼女の中でトラウマになってしまったらしかった。
「駄目よクロちゃん、そんな風に言っちゃ。
ごめんなさいねエリーナちゃん、今後もクロちゃんとバトルする機会があったら宜しくね」
「は、はいっす。ぜ、全力でお相手させていただくっすよ! ね! ね!?」
「お前は誰に言ってるんだ……」
パニック状態のエリーナは、赤べこ人形のようにカクカクと首を上下させる。
「……しかし、初めてのバトルと言ったが、あの動きは凄まじいものがあった。
その筋の神姫は戦闘でも特異的な能力を発揮すると言うが、貴様もその類か?」
尤もな疑問を蓮が口にする。
「……まぁ、そんな所だ。おっとこれ以上は企業秘密だから訊かないでくれよ」
神姫は各種事業等に従事する場合も多く、更には各種試験の為にワークス神姫が一般のゲームセンターに出入りしている話もそれなりに聞かれる。
その為周防の返答はいかにもありそうな理由では
2015-01-07T23:45:51+09:00
1420641951