![]() 世界平和は一家団欒のあとに (電撃文庫 は 9-1) |
家族全員がただ者ではないと言う設定の中で、単に荒唐無稽な展開だけが流れていくことなく、要所要所でキーポイントとなるエピソードがきちんと折り畳まれていて、丁寧な作りになっているが、反面主人公の軋人が背負わされてしまった十字架に対して、何ら救いを提示せずにある種絶望感を拭い去れないまま終末を迎えると言う、少し残念な展開はライトノベルに求めたいある種のカタルシスとは違った空虚感を演出しているのであろう。だが、それ故に次巻では少なくともその状況が改善されてくれることだろう、と言う希望を持たせてくれるストーリー展開は、及第点。続刊を期待する。とにかく、一度も止まることなく一気に読ませてくれる筆致は、ラノベではなかなか無くて、どうしてもちょっと引っ掛かると休み休みになってしまうところが有る。荒唐無稽な一家の能力は、そのスケールのとんでもなさで全てカバー仕切っており、風呂敷の広げっぷりはなかなかのもの。シリーズ化作品でもあるため、今後に期待。 |