“文学少女”と死にたがりの道化
「文学少女」シリーズ第一弾。全てはここから始まっており、ここへと集約するように仕向けられていると言っても過言ではない。初めからシリーズ分作によるストーリーテリングが予定されている関係上、本作に関して言うと実に不可解と言うか、謎の多い部分が多過ぎてピンと来ない部分も有る。展開にもさほど起伏はなく、シリーズ物にありがちな「シリーズのあらまし」的な内容。飛び抜けてすごい部分もなく、若干のミステリ要素を含んでいるとは言えミステリとしては単調だ。しかし、それを補って余りある登場人物と、不朽の名作と言われた過去の文学作品をオマージュするのではなく、天野遠子と言う一人の少女を通した新解釈のレベルまで昇華することで、ストーリーに厚みを持たせている点は秀逸。また、主人公である井上心葉の心理描写は、既にこの巻から高い「切なさ度」を見せ付ける。



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最終更新:2008年10月17日 13:22