”文学少女”と慟哭の巡礼者 (ファミ通文庫)
「文学少女」シリーズ第五弾。時系列的な本編としては「ラス前」に当たる本作だが、その内容は圧巻の一言だ。井上心葉が抱え持つ忌まわしき過去との対峙による、一つのクライマックスがここに有る。本シリーズを通して読み続けてきた読者には、心葉の中に住まう自縄自縛の闇に心を焦がし、彼に心情移入すればするほど強烈な問いの中で悶絶を繰り返す羽目に陥る。極力ネタバレになることは書きたくないので、表面的なレビューに留めるが、何と言っても凄いのは、井上心葉の過去との決着と言うかなりの山場となるストーリーでさえ、「神に臨む作家」への壮大なプロローグに過ぎないと言う現実だ。できれば「慟哭の巡礼者」から「月花を孕く水妖」、「神に臨む作家」までは一息で読んで欲しい。頭をハンマーで殴られたようなインパクトを感じることができるだろう。

関連ブログ

#blogsearch
最終更新:2008年10月17日 13:24