“文学少女”と神に臨む作家 上 (ファミ通文庫)
“文学少女”と神に臨む作家 下 (ファミ通文庫)
「文学少女」シリーズ第七弾。本編最終話である本話はシリーズ初の上下巻構成となり、ボリュームも格段に違う。もちろんストーリーがそれで薄くなるようなことはなく、むしろこれまででもっとも濃密で且つ読者がもっとも渇望していた一つの謎についての答えが示される。誤解を承知で言うならば、これまでの六話は一つ一つが完結した話しでありながら、同時にお互いを関手として「神に臨む作家」と言うこのストーリーに結実させるための舞台装置であったかのような怒涛の展開を見せる。人の心の中に住まう「闇」に明かりを灯し、魂の救済とも呼べる「想像」と言う名の救いを与え続けた"文学少女"天野遠子は妖怪でも神でもなく、確かに"文学少女"なのである。鮮やかに引かれたストーリーラインと「神に臨む作家」の意味を、井上心葉の心象風景の中で詳らかにする先に見える方程式の根を、永遠の"文学少女"遠子先輩の卒業を見送るように噛み締めたい。

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最終更新:2008年10月17日 13:25