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    <title>四季神楽＠Wiki</title>
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    <description>四季神楽＠Wiki</description>

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    <title>メニュー</title>
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    <description>
      -カード「EA」
+[[七つの大罪～暴食～]]
+[[終焉破壊者なら、朝飯前どころか昨日の夕飯前どころか昼飯前どころか朝飯前であり、 何？戻った？それともこれは1日食事をぶっ通しってこと？]]
+[[喫茶店「ミミ」の1日]]
+[[七つの大罪～憤怒～]]
+[[アナタは孤高の王子さま]]
+[[急がば回れ]]
+[[舞い降りた天使]]
+[[七つの大罪～色欲～]]
+[[七つの大罪～色欲～【If Story】]]
+[[死を汚す者]]
+[[キノコ死天王現る！]]


&amp;link_editmenu()


【カウンター】
昨日：&amp;counter(yesterday)人
今日：&amp;counter(today)人    </description>
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    <title>キノコ死天王現る！</title>
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    <description>
      ●大往生
　　　　　　　　　　　　　　　　山々を別け入り

　　　　　　　　　　よくぞここまでたどり着いたものだ

　　　　　　　　　　　　　腹立たしいまでに優秀である。

　　　　　　　　　　　　　　ご苦労だった……と

　　　　　　　　　　　　　　言いたいところだが、

　　　　　　　　　　　　　君等には消えてもらう。

　　　　　　　　　　　　　貴様等は知らんだろうが

　　　　　　　　　　　我ら菌類と人類幾千年の闘争は

　　　　　　　　　ここで我ら菌類の勝利と言う終焉を迎える

　　　　　　　　　　　　　　　これから貴様等は

　　　　　　　　　　　　　　なんの手助けも受けず、

　　　　　　　　　　　　　ただひたすら、死ぬだけだ。

　　　　　　　　　　　　　　どこまでもがき苦しむか

　　　　　　　　　　　　　　　　見せてもらおう。


　　　　　　　　　　　　　　　　死　ぬ　が　よ　い

●キノコ狩り
　　　　　　　　　　　　　　　　　この先には

　　　　　　　　　　　　　　　　　　暴力的で

　　　　　　　　　　　　　　　　　鬼のような

　　　　　　　　　　　　　　　　　　菌類が

　　　　　　　　　　　　　　あなたをまっています。

　　　　　　　　　　　　　　それでも参加しますか？


　　　　　　　　　　　　　　　[＞　はい
　　　　　　　　　　　　　　　　　上等
　　　　　　　　　　　　　　　　　正に恐悦至極

【リプレイ】
●
　森に入ったエンドブレイカー達は木々をかき分け奥へ奥へと進んでいく。
「何だこれは……！　この森のキノコ、毒キノコだらけだ……！」
　きのこ図鑑を手に切り札・エマス（c30188）が道中に生えているキノコを見て驚愕の声を上げる。
「ゲェーッ！　毒キノコぉ！」
　戦友と共に歩む・イチハ（c01807）はメイガスから奇声を発する。ちなみにメイガスの手が掴んでいるキノコも立派な毒キノコである。可食キノコと同じ所に生え外見がそっくりなことも有り誤食されやすい。ちなみに食べてもバッテリーは回復しないとか。
「この赤いのは何かしら……？」
　喫茶店ミミの女店主・リムィリファルァ（c32636）が如何にも『毒持ってますよ』的なキノコを指さす。傘の部分だけが真っ赤なキノコである。傘が開ききっていないキノコもあり、少々卑猥だった。
「それはえぇと……あった。これだ。一部の地域では塩漬けにして食べられている……毒キノコだ」
　やはり毒があった。しかし食える毒キノコだった。ややこしいが毒キノコだ。
「これもキノコなのかな？」
　桃宮・ロイ（c31056）が指さした先には奇妙な形のキノコがあった。蜂の巣が萎んだような、特徴的な傘を持つキノコである。
「これも一部の地域では食べられている毒キノコだな。何でも高級食材として扱われているそうだ。……毒キノコ、なんだがな？」
　何で食べようと思ったんだ先人達は……。
「山々を別け入り、よくぞここまでたどり着いたものだ。腹立たしいまでに優秀である」
　周囲の毒キノコを見ていると、急に声が聞こえてきた。
「ご苦労だった…と、言いたいところだが、君等には消えてもらう」
　声と共に空気が変わる。
「貴様等は知らんだろうが、我ら菌類と人類幾千年の闘争は、ここで我ら菌類の勝利と言う終焉を迎える」
　気づくと四方から何者かの気配を感じることが出来る。完全に囲まれた状態だった。
「これから貴様等はなんの手助けも受けず、ただひたすら、死ぬだけだ。どこまでもがき苦しむか見せてもらおう」
　エマス達が一箇所に固まり守りを固める。
「死　ぬ　が　よ　い」
　その声を合図に一斉に飛び出す４つの影。現れたのは――。
「毒キノコ！」
「毒キノコ！」
「毒キノコ！」
「ラーメン職人！」
　なるほど。わからん。
　全身白ずくめでつばの長い帽子を被っているキノコと全身真っ赤で刺々しい姿をしたキノコ……のようなもの。キノコらしいが、珊瑚や雑草のようにも見える。
　ラッパのように中心が窪んだ傘をしているキノコ、標準的なマタンゴを少し小さくして手が生えて身の丈の２倍ほどのハンマーを持ったキノコ。
「我ら！　キノコ死天王！」
　ビシっとポーズを決める毒キノコ＋α達。全員が全く違う姿をしているが、毒キノコらしい。
　毒キノコ達は戦う気満々なのを受け、エンドブレイカー達も武器を執る。
「機体番号1807番、発進せよ、クロガネ！　……って、言ってみたかったんだよね……♪」
　ガションガションとメイガスが動く。マギラントの戦い以降、メイガス乗りのエンドブレイカーは増えているものの、然程多いと言う訳ではない。
「……す、すごい！？　カッコイイぞイチハ！」
　故にエマスが感嘆の声を上げるのも無理はなく。
「な、何でちゅ！？　あの凄く大きいカッコいいのは何でちゅ！？　超欲しい！！」
　ラーメン職人どくきのこも興奮して手にしたハンマーを振り回している。他の毒キノコ達は始めて見るメイガスに動揺を隠せないようだ。
「う……うろたえるんじゃないッ！　菌糸類はうろたえないッ」
　赤い毒キノコ……カエンタケが狼狽える毒キノコ達（一部除く）を叱咤する。
「数ある健康食材の中でトップに座するキノコ。味にくせがあって子どもに敬遠されるキノコ。私達人間にもっと感謝されたくて、こんな姿になったのか♪」
　そこへ先制攻撃とばかりにロイが竪琴の†・Mr.SeaHorse・†の弦を弾きメロディを紡いでいく。
「ウフフ……そうね、ワタシなんて、キノコの中では『死ぬ程美味しい』のよ？」
　真っ白いキノコはそう言うと帽子のつばから胞子をばら撒き毒を撒き散らす。
「フン。では教育してやろう。本当のキノコ中毒の恐ろしさというものを……！」
　続いて、ラッパのような傘から撒き散らされる胞子がエンドブレイカー達を襲う。猛毒や神経毒により体力と手足が痺れ動きづらくなるエンドブレイカー達。
「もっと燃えるがいいや！　……山火事にならない範囲で」
　大胆なのか小心者なのか、イチハはバルカンを召喚して攻撃する。バルカンの鳴き声に清めの効果があるようで、イチハに付いた毒が浄化され尾に灯されている神火が弾となってカエンタケを襲う。
「アチチ！　私はカエンと付く名だが、実際に燃やされると弱いんだよ菌糸類だし」
　冒頭の空気とは一転、威圧的な態度は消え神火に悶えるカエンタケ。その姿はカエンタケの名の通り、火炎の中から伸ばされた手にも見える。
「なら今度は俺の火炎を喰らえ……！」
　ちなみにカエンタケは食えない。食おうとしても硬くて食えない。
　ばら撒かれるのは胞子ではなく粘液。それはエマスの大剣の腹に防がれる。
「カエンタケ……数え厄満と云われる程の強すぎる毒性のあるキノコ……だったか」
　盾のように構えた大剣、◆デスモス・アフトクラトラス◆に力を込め引きぬきからカエンタケを火柱と共に一太刀で斬り上げ、その余波がドクササコへ襲いかかる。
「何！？　ここまで来るのか……！？」
　燃えるドクササコ。ほのかにキノコの焼ける香りが漂い出す。
「そぉ、れっ！」
　リムィリファルァが裂帛の気合を込め◆ねこねこはんみゃあ・DASH！◆を振りかぶり思い切り地面へ叩きつける。ファンシーな見た目だが大きく窪んだ地面を見ればその威力は推して知るべし。
　そしてそのハンマーの至近距離に居たドクツルタケは吹き飛ぶ瓦礫に混ざり、ラーメン職人どくきのこに命中する。
「でぢゅ！？」
　予想もしてなかったのか、モロに食らったラーメン職人どくきのこはドクツルタケと一緒にもんどり打つ。
「ふ……ふふふ……。人間にしては、中々やるじゃない」
「大した奴だな……人間風情が……」
「……」
　既にこの時点でグロッキーなキノコ死天王。
「……ところで他の３体はともかく、どうしてラーメン職人がいるんだろ？」
　戦う気配のないラーメン職人どくきのこを見たイチハが何の気なしに呟く。
「！？」
　ラーメン職人どくきのこはその場に倒れこむ。
「あぁぁっ！　リーダー！！」
「おのれ人間！　最も言ってはならぬことを！」
「例え役立たずでラーメンしか作れない職人を気取ってクソマズイラーメンしか作れなかったとしても、リーダーは我らにとって大事な存在！　例え足手まといで居ないほうが遥かに役立つなーとか思っても言ってはならぬ空気すら読めぬとは！」
「！？！？！？！？」
　数え厄満なだけあってオーバーキルし過ぎです、カエンタケさん。
「KINOKO☆喰らいMAX！！！」
　何かもう色々と終わりかけている中、ロイの弾き語りは続いていた。誰も聞いてなかったりするが気にしてはいけない。
「ひぃっ！　食われる！？」
　喰らいMAXに反応したのか、怯える死天王達。最早逃げ腰になっていた。
「大丈夫、ボク、トモダチ」
　メイガスの無骨な指を操作しフレンドメロディを奏でるイチハ。メイガスから聞こえる声に戦意がガリガリと削られていく。
　そこにトドメとばかりにエマスとリムィリファルァの攻撃がとどめを刺す。
「こ、コレ以上は拙い……！　お、おぼえてろよー！」
　お決まりな捨て台詞を残し。倒れた死天王３体を引きずるリーダーらしいラーメン職人どくきのこ。身の丈以上のハンマーに他のキノコを括りつけ……但しカエンタケだけは必死にハンマーにしがみついている。触れるだけで毒だからね、ソイツ。
　そうして、亀の歩みで森の奥へと消えていく毒キノコ死天王。誰も攻撃しないのは余りにも哀れだからか。
　戦いというにはあまりにも、蓋を開けてみればアッサリとした終わりを迎えることとなった。

●
　戦闘を終えたエンドブレイカー達は毒キノコが無い所を探していた。キノコ狩りの為である。
「お、この辺りは毒キノコが無いな」
　そして漸く、食べれるキノコのある辺りに到着した。
「あれ、これって食べられるきのこ？　それとも毒キノコ……？　……フェンに嗅いで貰えば分かるかな？」
　しかしバルカンのフェンは近くに居なかった。
「あれ？　フェン、どこー？」
　見るともう１匹のバルカン、カガリと遊んでいた。
「七輪を出して……あと他に必要なのはあるかな？」
　持ってきた道具から必要な物を取り出しつつ準備を進めるロイ。七輪の上には既に採られたキノコが乗っている。
「エマス。これは食べれるのかしら？」
　リムィリファルァが採ってきたキノコと図鑑を見比べるとエマスは首を横に振る。
「それはダメだなリリ。食べれないキノコだ」
　そうして、食べれるキノコを採取し七輪で焼いて食べていく。
「ちなみに、食べれるキノコでも生で食べない事が大事なんだぞ？　……まぁ、中には生でも食べれるキノコはあるが」
　ちなみにそれは見た目が毒キノコ。
　こうして、辺り一帯の食べれるキノコはエンドブレイカー達によって殲滅されることとなった……。





冒険結果：成功！    </description>
    <dc:date>2013-05-19T15:40:06+09:00</dc:date>
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    <item rdf:about="https://w.atwiki.jp/sikikagura_wiki/pages/45.html">
    <title>死を汚す者</title>
    <link>https://w.atwiki.jp/sikikagura_wiki/pages/45.html</link>
    <description>
      【オープニング】
●墓荒し
「混ざれ混ざれ混ざれ混ざれ♪」
　夜、月の無い墓場に声がする。
　棺に収められた死体に複雑怪奇な文字を書き、その上に赤い液体を垂らしていく。
「断ち切る度に５度、閉ざされる刻を怨嗟で潤し、我が声の傀儡とせん♪」
　墓場に朗々と響く声はしかし、夜の静寂に吸い込まれるように消えていく。
　呪文と共に文字と赤い液体は死体に吸い込まれるように跡形もなく消えていく。
「ウフフフフ……これでよしっと」
　くるりと一回転。声の主は黒いローブを被り、顔は奇っ怪な仮面で隠されている。
「使えそうな子って意外と少なくて苦労するわぁ」
　そう言いながら木の板――棺の蓋を被せ土を戻す。無意味に丁寧に、元に戻す。
「あと……４００体は欲しいかしらん？　えーっと、次は……」
　袖口から地図を取り出し広げる。明かりはなく何も見えない夜の中、地図を見つめ次の目的地を確認する。
「あらやだぁ！　次はここよりもっと大きな所じゃなぁい！　全部調べるだけで大変ねぇ～」
　嬉しそうに声を上げる。オネエ口調ではあるが全身を覆うローブと仮面で性別は不明である。
「それじゃ今から急がないとヴェルニアの墓には着かないわねぇん」
　声の主が去った後の墓場はどれも、丁寧に直されているものの、総て掘り返された墓が残されていた。

●流れた依頼は
　ある日、喫茶店ミミに１つの依頼が舞い込んできた。
『求む：正体不明の墓荒しの調査及び捕獲』
　黒の塔の管轄地である農村、エシタ村。その近くにあるヴェルニアの墓というエシタ村が１、２個入りそうな程広大な墓地に夜な夜な墓荒しが現れるそうだ。
　村人が交代で朝まで見張っているものの、朝になればかならず１つ２つの墓が掘り返されている。
　しかし不思議な事に、何も盗られたり壊されたりはしておらず、これといった被害は無いという。
　実害は無いものの、村民達は不気味に感じ、酒場へ依頼を出すことにしたそうだ。
「ふーん……」
　どうでもよさそうな顔で射干玉の夜の姫君・シルフィア（c01856） が依頼書を見ている。ただの愉快犯。そう決め付けることが出来るのだが、場所が黒の塔の管轄地というのがどうもキナ臭い。
「えーっと……黒の塔って確か……」
　闇の力について他の二塔より一日の長がある。先の黒の塔のクーデターでマスカレイドが絡んでいる事もあり、ただの愉快犯と済ますには些か乱暴な結論とも言える。
「でもこれって……」
　しかし、とシルフィアは記憶を手繰り寄せる。
　喫茶店ミミ以外の酒場でも似たような依頼があった気がする。どれも結果が出ず、異常なしという報告で打ち切られた、とも。
「まぁ、どうせ暇だし」
　そう、軽い気持ちで依頼書にサインをした。

【リプレイ】
●
　夜のヴェルニアの墓に４人のエンドブレイカーが集まっていた。
「それでは、何か異常があった場合はこの笛を吹いてください。あと、私達が笛を吹いても近寄らないようお願いします」
　紅水晶・フィーア（c03049）が墓守をしている村人へ笛を渡す。墓守は東西南北の四方に分かれ入口を見張るだけで、それ以外の事は基本的にしないらしい。怖いし。全員かなりの高齢だし。
　ヴェルニアの墓は四方に設置されている入り口以外は、高い塀で囲われており基本的に飛び越えるのは難しい。
「それじゃあ、ロイさん、フィーアさん。そちらをお願いしますね」
　世界樹の妖精術士・シル（c25139）が腰に下げたランタンを確認しつつ手を振る。その後ろには干玉の夜の姫君・シルフィア（c01856）も居た。
「えぇ。シルさんも何かあったら笛を。私達がすぐに駆けつけますから」
　黒のローブに身を包んだ桃宮・ロイ（c31056） がそれに応える。２人１組の２組に分かれて捜索するようだ。
　正面入口の東側から、シルとシルフィアが南から西へ左回りに。ロイとフィーアはその反対、北から西へ右回りに捜索していく。
「……」
　２組に分かれてから、シルフィアはずっと無言のまま歩を進めていく。今回は目よりも耳が重要ということもあり、一言も喋らない。
「……」
　そんなシルフィアの前を歩くシルは内心恐る恐る捜索をしていく。
　後ろを歩くシルフィアの無言が何時も以上に無駄に重圧感を醸し出していた。
　ガサッ。
「！！」
　草むらから音がし、ビクッと体を震わせたシル。しかしシルフィアは振り返ることなく先に進んでいく。
「え、あれ？　シルフィアさん……？」
「猫よ」
　シルの呼び掛けに足を止め指をさすシルフィア。その先を見ると草むらからこちらを伺う猫の目がランタンの明かりを受け白く光っていた。
　ニャーーー。とひと鳴きした猫は草むらに隠れ何処かへ行ってしまう。２人はそれからも墓の様子を見ながら捜索を続けていく。
　一方、ロイとフィーアは、ロイのヒアノイズで注意深く音を探っていき、フィーアも音に注力して進んでいく。
　２人共黒い服装をしている為、手にしているランタンを消したら完全に闇に紛れる事だろう。
　カツン、カツン。
　ヒアノイズを使用していたロイの耳が僅かな音を拾う。隣を歩くフィーアは聴こえていないようで、気付いたようすはない。
「フィーアさん、こっち」
　ロイがフィーアに声を掛け、音のする南南西へと進んでいく。
　次第にフィーアにも聴こえる程になり、２人は慎重に音のする方へと進んでいった。
　音の発生源は、パンパンパンとシャベルの底で地面を叩き平らにしていた黒いローブの人物。件のマスカレイドである。
「フゥー……」
　まるで一仕事終えたかのように腰に手を当て反り返る。工事現場のオッサンさながらである。
「こんばんは。私たち、エンドブレイカーっていう特殊な戦士なんだけど……」
　ロイがぽんぽんと黒ローブの肩を叩いてみる。
「あらあら。こんな時間にどうしたのん？　今は立入禁止の時間よぉん？」
　黒ローブは振り返り場違いな返事をする。それと同時にロイとフィーアの目にマスカレイドの仮面が見え、直ぐに笛を吹き仲間へ知らせる。
「やぁねぇもう、いきなりそんな笛鳴らさなくたっていいじゃなぁい。今日は何かのお祭りなのぉ？」
　男のような女のような、判断が付かない中性的な声をしている黒ローブ。口調はおネエ系だが。
「やっぱりあなたね、件のマスカレイドって」
　ロイが【†・姫巫女・†】を抜刀し居合一閃。追撃としてフィーアがデモンの翼を具現化させて破壊のレーザーを打ち込む。
「あいたたたた！　痛い痛い痛いってば！　もぅ、お肌に傷が付いちゃうじゃないの！」
　太刀による居合い斬りとデモンのレーザーを一身に受け痛がる黒ローブ。しかし斬られ、レーザーが貫通したローブからは血は流れていない。
「痛いのは好きだけどお肌に傷が付くのは頂けないわぁ……お返しよ！」
　ローブ越しにロイの頭を掴み両手から目に見える程に濃い呪詛がロイの体へ流し込まれる。
　ダメージと共にロイの中に入った呪詛が抜け切らない。
「やぁっ！」
　黒ローブがロイから下がるのを押し戻すように、妖精と同化したシルが月光剣『シルバー・クレセント』で斬る抜ける。
　背中から生えた羽により飛べるのか、滑空するように滑り込み脇腹を月光剣が走り抜けた。
「お待たせ！　大丈夫だった？」
　その後を追うようにシルフィアも追い付き全員が揃う。
「あらあら、女の子ばかりじゃなぁい♪　いいわいいわぁ！　皆可愛がってア・ゲ・ル♪」
「私は男よ！」
「あらそうなの？　でもカワイイから無問題よん♪」
　ウフフフフ、と厭らしい笑みと共に奇っ怪な仮面の横に浮かび上がるマスカレイドの仮面。
　死者の眠りを妨げ、死を冒涜する者の狂宴が始まった。

●
「そ～れぇっ！　皆お仕事よぉ～！」
　黒ローブが手を振り声を上げる。戦闘中とは思えない陽気な声に誘われるように墓から這い出る死体。そのどれもが頭部に真っ赤な刻印が浮かび上がっていた。
「好きなだけ食べちゃいなさぁい！」
　黒ローブの声に従い、近くに居たロイへ襲いかかる。３体の死体を掻い潜り脱出するも、腕や足に受けた傷から猛毒が入り込み体力を削る。
「何故こんな事をしている……！」
　死体の檻を掻い潜りそのまま黒ローブへ迫るロイ。
「何故？　決まってるじゃなぁい。ただ単に楽しいからよ♪」
「ッ……！」
　【†・姫巫女・†】を抜刀し袈裟から左薙ぎ、更に逆袈裟と太刀を走らせローブを刻む。
「あぁん、もぅ！　せっかく洗ったばっかりのローブがボロボロよぉ～」
　自身のダメージよりもローブが傷つく事を嘆く黒ローブ。そんな隙だらけで大丈夫か。
　続けてフィーアがデモンの翼をはためかせレーザーを照射。威力を増すように、背中を侵食し、翼がより大きくなっていく。
「ニルちゃん、宜しく！」
　シルが召喚した妖精群が針を手に黒ローブへ飛びかかる。縦横無尽に五月蝿く飛び回る妖精が四方八方から針を突き刺していく。
　シルの妖精が後退するのと入れ替わるようにシルフィアの魔鍵がローブの影を縫い止め、足の動きを封じた。
「あらら？　足が動かないじゃなぁい」
　黒ローブが何とか足を動かそうとするも、魔鍵に縫いとめられた足は動かない。
「仕方ないわねぇ……。いいわ。本気で相手をしてあげるから……！」
　戯けた口調が一変、威圧感のある口調に切り替わる。
「こんなトコロでくたばって堪るもんですか！　邪魔立てするのなら、蛆虫の苗床にしてあげるわ！」
　途端、両の腕を振るうとシルフィアへ不可視の衝撃波が襲いかかり血が流れる。
「貴方はどんな経緯で、マスカレイドなんかになってしまったんです……！」
　猛毒に侵されながらも居合い斬りでローブを刻んでいく。しかし、幾ら刻んでも血は流れることはない。
　それでも尚、バトルトークでロイは語りかけた。
「どんな経緯……ねぇ。そんなのアタシだって知りたいわよぉ。気付いたらこうなってたんだもの」
　そう言い、黒ローブは仮面を外す。
「なっ……！？」
　それは誰の声だったか。誰もが動きを止め、仮面に隠された素顔に驚愕する。
「やっぱりよねぇ……。みーんなこの顔見たらそんな反応するんじゃないかって思ってたのよぉ」
　剥き出しになった歯がぶつかりカタカタと音を立てる。仮面に隠された髑髏が今、エンドブレイカー達の前に曝け出された。
「そ。アタシはアンデッドのマスカレイドなのよ。だからなのかしらねぇ？　アタシ、死体を操れるようになちゃったのよぉ♪」
　そして再び仮面を付け、黒ローブは告げる。
「だからアナタ達も死んでアタシの仲間にしてあげるわ。そうすれば、もう死ぬことを気にしなくていいわよぉ？　だってもう死んでるんだもの♪」
　戯けた口調で、しかし殺意はより深く熾烈に放つ。
「死ぬのはごめんよ。それに、私達は」
「その終焉を壊すために此処に居るっ！」
　フィーアとシルが同時に動く。デモンの力で禍々しい邪剣を召喚し妖精と共に黒ローブへ殺到。無数の邪剣が体を貫き、無数の針が邪剣の隙間を縫うようにその身を刺していく。
「死体が喋るな。黙って死んでろ」
　そこへシルフィアが白蛇を召喚し黒ローブへ放つ。足元からローブ内へと潜り込み腕と足を石化させていく。
「あらあら……あんまりアタシを、舐めるんじゃないわよぉっ！」
　黒ローブは指で虚空に何らかの印を描き、同時に沈黙を保っていた死体が動き出しフィーアに襲いかかる。
「うっ……」
　手にしている武器で薙ぎ払おうとするが、躊躇いステップで避ける。
「これ以上は拙いね……」
　ロイの体内を廻る魔獣の血を覚醒めさせ傷を癒そうとするが、体内に沈殿していた呪詛が活発に動き出し傷は塞がらず、寧ろ猛毒のダメージにより体力を削られる。
「待って。今癒すわ」
　フィーアが魔鍵でロイの傷を『塞ぐ』が、中に淀む呪詛とその身を蝕む猛毒は消えることは無かった。
「ありがとうございますなの、フィーアさん♪」
　その間にもシルは妖精のニルと同化し妖精の翼から鱗粉を撒き散らしながら月光剣『シルバー・クレセント』で黒ローブの右腕を切り落とした。
「あら……？」
　切り落とされた自身の腕を呆然と見つめる黒ローブ。そこへシルフィアの魔鍵が頭の影に突き刺さる。
「グ……ギッ……！　あんまりいい気になってんじゃないわよこの糞ガキ共があぁぁっ！」
　怒りに身を任せた不可視の一撃がフィーアを襲う。１波２波と複数の衝撃波がその体を、デモンの翼をズタズタに刻み付ける。
「くぅっ……」
　一気に体力を削られたフィーアは膝を折り肩で息をしている。
「それは貴方の方よ！」
　一息のもとに接近したロイは【†・姫巫女・†】で左腕を切り落とす。
　不可視の衝撃波で体力を吸い上げていても、それは回復と呼べる程ではない微々たるもの。正当な回復を受け傷を癒すそれとは雲泥の差がある。
「ヒッ！」
　両の腕を失い、逃げに転じようとする黒ローブを追う影が１つ。
「逃がさない！」
　妖精の翼を生やしたシルが滑空しつつ手にした月光剣を振り下ろし足を断つ。
「ギャァァァァ！」
　顔面から地面へ倒れこみ近くの墓にぶつかり止まった。
「トドメよ！」
　そこへフィーアの邪剣の群れが雨のように降り注ぐ。
「クゥッ……！　アタシは死ぬものですか……！　こんなトコロでまだ……！」
　藻掻こうとするも、既に体力は底を突き体内の棘は霧散していくのに引きずられ、体はただの死体へと戻りつつあった。

●
　黒ローブの死体が水晶のように透き通った赤黒い薔薇の花になると、操られていた死体の刻印が消え、本体と同じく元の死体へと戻った。
「赤、か……」
　そう呟くとシルフィアは薔薇を踏み躙る。嫌いな色が土で汚れて見えなくなるまで。
　死者は死者のまま、生者と交わること無く土へ還るのみ。
　もう二度と、死者の眠りを妨げる者は現れる事はないだろう。
「それじゃ、元に戻してあげないとね」
　フィーアの言葉に異を唱えるものは居らず、死体を元の墓へと戻していく。
「何か……無いかなぁ？」
　シルも墓に戻す作業を手伝いつつ、何か黒ローブについての痕跡がないか調べていく。
　そして、見つけたのは名前の刻まれた古いシャベルのみ。
「フレネン・カ……って読むのかな？」
　収穫はそれだけ。既に真実を語れる者は居らず、それ以外は何も分からない。
「それでは夜が明ける前に帰りましょうか」
　ロイの言葉に頷き、エンドブレイカー達は帰路へ就く。




冒険結果：成功！    </description>
    <dc:date>2013-05-19T15:36:12+09:00</dc:date>
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    <title>七つの大罪～色欲～【If Story】</title>
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    <description>
      ●永遠に閉じた可能性
　そうして、彼女は手に入れた。

　『有資格者』よ。『エリクシル』への『道』は『開かれ』ました。
　さあ、『エリクシル』に『代償』を『捧げ』、汝の『望み』を『言う』が『よい』でしょう。

　彼女の前に現れたのは待ち望み、探し求めた万能宝石エリクシル。そこへと至る道を開く巨大な妖精である。

「あ……あぁ……！　遂に……遂に手に入れた……！　万能宝石エリクシル……！　これで私は戻ることが出来る……！」
　感極まり涙を流すメア。
「『この都市に生きる人』を代償に、『私を元の人間に戻して』！」
　メアの『望み』と『代償』を聞き届け、万能宝石エリクシルは妖しく煌めいた。

　『有資格者』よ、『望み』を『実行』します。
　　『この都市に生きる人』を抹消し、『有資格者を元の人間に戻す』を実現します。

　『この都市に生きる人』の数、５９２７３４人。その総てを抹消します。
　　『有資格者を人間へ再構築』し、『体内の棘を放出』します。

　『有資格者を人間へ再構築』完了。『体内の棘を放出』完了。
　　『有資格者を人間へ再構築』した為、『マスカレイドとしての力』を失い、現在は『有効な自衛手段』を有しません。

「あ……あぁぁ……！」
　メアが歓喜に打ち震える。冷たかった体に熱が灯り、生の胎動を感じることが出来る。
「やった……遂にやったわ！　ねぇ、クウ！　私戻ったの！　やっと私、元の人間に戻れたの！」
　喜びはしゃぐメアの言葉に返事は無い。
「クウ、何黙ってるのよ！　やっと願いが叶ったのよ！」
　隣に立つクウの肩に手を置こうとして、ようやく気付く。
「え……？」

　隣には『誰も居ない』

　幼い頃から共に過ごした愛しい夫は、メアの前から姿を消した。
　戦いで傷つき破れ、血の滲んだ衣服だけを残し、姿を消した。
「ク……ウ？」
　辺りを見回すが、視界に入るのは『意味のない光景』のみ。
「え……？　クウ、何処……？　何処へ行ったの……？」
　ぞぶり。
「えっ？」
　何か音がした。視線を下に向けると、腹から赤黒い棒のようなものが生えている。
「なに、これ？」
　気づくとメアは地面に倒れていた。
「あれ……？　あぁ、そう、クウを探さないと……」
　立ち上がろうとするが上手く行かない。おかしいと思った彼女は直ぐに納得する。
「あれ？　脚、無い？」
　膝から下がイノシシのような顔になって脚が見えないのだ。
　ゴリ、ゴリ、ゴギリ。足先から奇っ怪な音が鳴っている。
「え……クウ………嘘……ウソよ、そんな……！」
　次第に痛覚からの刺激が伝わると同時に、彼女は理解しだす。
　メアは言った。『この都市に生きる人』を代償に。
　妖精は言った。『この都市に生きる人』を抹消し。
　メアは思い出す。『この都市で共に生きた夫』を。
「まさか……そんな……！！」
　身を引き裂くような痛みをも忘れるほど、彼女は理解してしまった。
「嘘よ、そんな、そんな事ありえない！　だって……だって……！」
　クウの姿を探そうと体を動かすが、視界は得体の知れない何かによって遮られる。
「嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘う――」
　既に動くことすら出来なくなった体で、心が絶望に塗り潰される前にメアの意識は大きく開かれた顎の光景で永遠に閉じられた。
　三塔戒律マギラントは滅亡し、新たなギガンティアとして後世のエンドブレイカー達によって発見されることだろう。
　その時は、誰もメアの事を知るものは居ない。    </description>
    <dc:date>2013-05-19T15:34:09+09:00</dc:date>
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    <item rdf:about="https://w.atwiki.jp/sikikagura_wiki/pages/43.html">
    <title>七つの大罪～色欲～</title>
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    <description>
      【オープニング】
●求めるもの
　夜、マギラントの闇に紛れ黒衣が踊る。
「ウフフフフ……」
　女の手にしたナイフは鮮血に染まり、肉塊を不出来な形へと変えていく。
「あ……あぁ……」
　その背中、手足を縛られ猿轡をされた少女が恐怖に怯え涙を流す。
「ふぅ……それじゃ、次は貴女の番ね。いい声を聞かせてちょうだい」
　後ろに転がされた少女と同類だったモノを満足行くまで『創作』したらしく、女は動けない少女の猿轡を外す。
「ど、どうしてこ、こんな事を……！　神はあ、貴女を決して許しませんっ！」
　猿轡を外された少女が恐怖に震えながら何とか声を絞り出す。すると女は不思議そうに答えた。
「どうして？　クスクス……そうねぇ、じゃあちょっとだけ教えてあげるわ」
　女はナイフに付いた血を拭き取り、少女の首筋にナイフの側面をピタリとくっつける。ついさっきまで少女の隣を歩いていた友達を刻んだナイフは、冷たい輝きとは裏腹にとても暖かい。
「万能の願望器……エリクシルという宝石の為よ」
「エリクシル……？」
　聞きなれないその名に少女はオウム返しのように呟く。
「そう！　それで私は完全になるの。そうすれば……フフフフフ」
　その事を夢に描いているのか、足の縄を解いた少女は女の元から逃げ出す。
「あら？　随分と器用な娘ねぇ」
　女が気付いた時、少女は既に外へ繋がる扉へ手を伸ばしていた。
「逃げなきゃ！　逃げなきゃ……！」
　後ろ手で扉のノブを回すも、焦りで出る手汗のせいで上手く回せない。
「早く、早く……！」
　急がないと魔女に扮した女が迫ってくる。そう焦る少女とは裏腹に、女は動くこと無くその様を見るのみ。
「クスッ……」
　女が笑みを浮かべるのと扉が開くのは同時だった。
「あ、開いた……！」
　そのまま後ろから倒れるようにドアを押し開け外へ転がり出る少女。そして起き上がり走り去ろうとした瞬間。
「――ぁ」
　その頭蓋がスイカのように砕け散った。
　そのまま膝から地面へ崩れ落ちる少女。その背後にはスーツを着た男が血と脳漿に塗れた拳を突き出していた。
「メア、気を抜くなと言った筈だ」
　血塗れの拳を気にすること無く男は女の居る教会へと入っていく。
「ふふ……クウが居てくれたから心配はしていなかったわ。それに、クウも少しは楽しみたいでしょう？」
　メアと呼ばれた女は男の拳を拭う。手にしているのは『創作』の材料となった少女の衣類だ。元々黒いシスター服が赤黒く塗り潰されていく。
「……まぁいい。それで、俺は引き続き外で見張ればいいか？」
「えぇ、お願いします」
　クウが再び教会の外に出て見張り、メアは外で死んだ少女を教会に引き入れ新たな創作に取り掛かる。
「あぁ、楽しみだわ……万能宝石エリクシル……あれがあれば私はクウと同じになれる……」
　創作の途中、少女の心臓を取り出すメア。若く瑞々しいそれは死してまだ間もない故に僅かながら温もりを感じる。最も、その温もりも数秒もすれば消えてなくなるのだが。
「ん……ん……はぁ、まだ……まだマシ、ね……。赤子の血肉が最善だけど……」
　温もりが消える前に、少女の心臓はメアの口に運ばれ、咀嚼された。
　血肉を食らう毎にメアの体は若さを取り戻していく。それは即ち、只の人ではない事を表わす。
「エリクシルを得るためなら、幾らでも屍の山河を築きましょう。幾らでも血の雨を降らせましょう。そうして、私はクウと添い遂げる……あぁ、待ち遠しいわ……」
　創作が終盤に差し掛かった頃、教会の外で物音がする。
　振り返るとクウが２人の男の死体を中へ投げ入れた。
「近づいてきた男だ。悲鳴は出されていない」
　すぐに外へ出たクウ。その口元には笑が浮かんでいた。

●討伐
「というのが、私の見た内容よ」
　射干玉の夜の姫君・シルフィア（c01856）が喫茶店「ミミ」に集まったエンドブレイカー達に告げる。
「万能宝石エリクシルを求めるアンデッドとそれに従う人間による凶行よ。死体はアンデッドの創作が終わると男が破壊し尽くしてただの肉塊にするそうよ」
　その創作というのが、アンデッドであるメアの独特な世界観からくるもので、一般的にはおぞましく吐き気を催すモノらしい。
「アンデッドの方は体力はそんなに無いが、マスカレイドであるからか若い血肉を口にすることで力と自身の若さを維持しているそうよ」
　故にアンデッドは幾度も凶行を重ね続けていくそうで、今ではかなりの高火力を有している。
「逆に男の方はそんなに力は強い訳じゃないみたい。とはいえ、鍛えていない一般人にとっては脅威と言える腕の持ち主ね。あと、火力はン無いが体力はかなり有る方よ」
　クウの目的は不明で、只々メアに付き従うのみ。一応、夫婦として一緒に暮らしているそうだが、男の真意は不明。
「２人が凶行に及ぶ時、必ず男が見張りをし、アンデッドが建物内で犯行に及ぶわ。もし何かあったら、アンデッドも出てくるそうね」
　犯行現場は常に教会で、被害者も教会に足を運ぶ人達ばかりだ。
「私が見た限りだと……次はこの教会で行われるみたい」
　シルフィアが用意した地図に印をつける。
「人払いをしないといけないし、その後にまた２人の男がその近くを通り掛かるから、その対策も必要ね。先回りしてれば教会に居る２人のシスターは何とかなるけど」
　シルフィアが言うには、教会に誰か居れば凶行に及ぶそうなので先回りして一人で居たいと言えば直ぐに出て行くそうだ。
「個々で見ればそう問題じゃないのだけどね。一緒に戦うとなると、相当厄介な相手よ。これ以上放っておく訳にも行かないわ」
　そう言い、シルフィアは協力を仰いだ。

【リプレイ】
●Preemptive strike
　夜の教会に猛る烈風・アヤセ（c01136）と翔る疾風・セナ（c02046）が訪れる。教会内は誰も居らず、被害に遭うシスター達はまだ来ていない。
「私はここに隠れてるよ」
　アヤセが長椅子の下に隠れ、セナが残る。
「あ……」
　アヤセが隠れるのと入れ替わるように入り口が開き２人のシスターが入ってくる。
「あぁ、シスターさん？　実はこの教会で一人でお祈りをしたいんだ。一人にしてくれないかな……」
　セナが表情を作り追いだそうとする。
「あ、はい、わかりました」
「え、でも……」
「別にここじゃなくてもいいでしょう。他の所で……ね？」
　背の小さなシスターは食い下がろうとするが、もう一人が繋いだ手を引いて外へ向かう。暫し見つめ合い、アイコンタクトでもしたのか２人は直ぐに出て行く。
　アヤセが長椅子の下から出て間もなく、教会の扉が開く。入ってきたのはシスターでも祈りを捧げに来た信仰者でもない、黒いローブに身を包んだ魔女だった。
「……」
　言葉は無く、静かに近づいてくる魔女。それと同時に２人がアラームを使う。

　２人のシスターが教会から出て行くのを待っていたかのように、黒いローブの女とスーツを着た男が現れた。
　女は教会へ、男は教会の入り口で壁に背を預け立つ。それだけなら何も怪しくはない。これから行われようとしている凶行を知らない者からすれば。
　そこへ桃宮・ロイ（c31056）、世界樹の妖精術士・シル（c25139）、射干玉の夜の姫君・シルフィア（c01856） が男、クウへ近づく。
「ハロー、私、エンドブ――」
　ロイの言葉が終わる前に動いたのはクウだ。一瞬の内にロイの懐に入り込み鳩尾に左の拳を叩き込み、そこから後ろの足を半歩動かし隣にいるシルフィアの頭部へ遠心力を利用した裏拳を打ち込む。
「――ッ！？」
　同時に教会内からアラームが鳴る。手筈通りならクウとの会話で探りを入れ、アラームを合図にクウを教会内へ吹き飛ばす筈だった。
　しかし現実は違った。会話の余地は無く、問答無用の先制攻撃を仕掛けられ出鼻を挫かれた。
「……今ので死なんか」
　淡々と、本を読むように淡々と呟くクウ。そこへローブに捕まり教会の屋根から見ていた喫茶店ミミの女店主・リムィリファルァ（c32636）が飛び降りる。
「こっちが、がら空きよ？」
　着地の衝撃を殺さず手にしたハンマーへ乗せクウへ振りかぶる。
　力任せの一撃はクウの手に受けられるが、勢いを殺すことは出来ず、教会の扉ごと中へ吹き飛ばす事は成功する。

●Serial Killers
「クウ！」
　扉ごと吹き飛ばされたクウを見たメアはアヤセの鬼爪を弾きクウの元へ駆け寄る。
　その隙にサクヤ姉弟は入り口でロイ達と合流する。
「何！？　もう始まっているのか！？」
　教会周辺に通行止めの看板を置いてきた切り札・エマス（c30188）が遅れてやってくる。人払いは完了し、全員が揃ったようだ。
「ハロー、私、エンドブレイカーの桃宮ロイ。……私達ね、あなた【たち】が何をしてるか知ってるの」
　クウの先制攻撃により途切れた台詞も再び言うロイ。その言葉を聞いた２人は動きが止まる。
「へぇ……それじゃあ、貴方達は何を知っているのかしら？」
「うん。貴女が最終的に何をしたいかは分からないけど、一般の方々には脅威よ」
「何故こんなことを続ける？」
「妻が望むからだ」
　エマスがクウへ視線を送り問いかける。ロイとメアの会話に終始無言を通したクウは、さも当然とばかりに端的に答えを返す。
「それは彼女の為になるのか？」
　クウは僅かに考える素振りを見せ、答える。
「それは知らん。だが、妻が求めるのならば手を貸すまでだ」
　話を聞いていたシルフィアは見下すように鼻で笑う。
「フン。万能宝石エリクシル……その為に人を殺すか」
　万能宝石に触れられ、メアの空気が変わる。
「そう……。そこまで知ってるのなら話は早いわね。貴方達も私の目的の為に死んで貰うしかなさそうね」
　メアのローブがはためき黒い翼へと展開する。そこから淡い紫色の光線が幾重にも放たれた。
　その光線を追うようにクウが接近。メアの光線を潜り抜けたアヤセに放たれた左の拳は直角で不軌道を描き防御の隙間から的確に攻撃を当ててくる。更にメアの光線は後方に居るシルとリムィリファルァを巻き込み教会の壁を焦がした。
「本当に愛してるなら、愛する人の間違いを止めてあげるのが本当の愛でしょう！！　それでも愛しているからこそ止めないのですか？　それは本当の愛じゃないですよ。歪んだエゴに過ぎません！！」
　すかさず鬼爪の刃を鳴らしながら空間ごとクウを引き裂くアヤセ。そこへセナが援護に魔符を放ち霊気を流しこみ神火を灯す。
「……赤トレンチの格闘ピエロ、桃宮・ロイ」
　間髪を入れずにロイが蹴りの乱打でクウを打ち据える。
「……」
　アヤセの問いかけに答えること無く、ロイの蹴りの乱舞に耐えるクウ。
「あなたを突き動かすものは、一体何？」
　シルは祈りを捧げた弾丸はメアの両腕を撃ち抜き動きを封じ、シルフィアが魔導書から白蛇を召喚しメアへと放つ。
「ククッ……これで何が出来るか見せて貰うとしよう」
　白蛇が両腕に絡みつき石化していく様を見て嘲るシルフィア。
「フフッ……これでアドバンテージを得たとでも？　だとしたらとんだおバカさんね」
　嘲笑に嘲笑で返すメア。どちらの表情にも余裕の色が見て取れる。
「それで２人は本当に幸せになれると思っているのか？」
　エマスが足を振り衝撃波を放つも、クウの右手がその衝撃波を叩き壊し相殺する。
「クウさん、メアさんを止めるのは本当は貴方なのではなくて？　……彼女、とても可哀相。メアさんの顔が私には泣き顔に見えるわ」
「泣いてなどいない。お前の見間違いだ」
　リムィリファルァの言葉にメアを一瞥し、律儀に返すクウ。視線が外れてもリムィリファルァの放った犬のスピリットの奇襲に気付き、犬の頭部を掴み地面へ叩きつけた。
「貴様を砕く……！」
　そして再びクウが動く。真っ直ぐにロイへと駆け、消えた。
　否、ロイの真横へと一足で跳び、そこから更に真上へと跳び上がり両の拳を放つ。
「ッ……！？」
　ロイの背を足場に後方に居るエマスにも同じように死角へと拳を見舞うクウ。素早い動きと慣性を無視したかのような急激な変則的な軌道が攻撃を不可避なものへと変貌させていた。
「……今してる事は本当に君が心からしたいと思っていること？　メアのしている事だから従っているなら考えを改めたほうがいい。君はまだ引き返せる。愛する人の過ちを止めるのが本当の愛だよ。違う？」
　陣中に入り込んだクウ目掛け魔符を放ち爆破させる。
「ッ、口の減らない子達ね……！」
　苛立った声でメアがローブの翼から濃い紫色の槍を生み出し射出し、アヤセの体をすり抜け影に突き刺さる。
「ぐっ……ぅ……！」
　アヤセの顔が苦痛に歪み冷たい汗が流れる。槍は影と同化し、それと同時にアヤセの体は自由を取り戻す。
「お返しだよっ！」
　ロイの蹴りがクウの腰と頭部をメッタ打ちにするが、多少の流血のみで表情は最初と何ら変わらず無表情のままだ。
「今、引き返せると言ったな」
　セナを正面に捉え、クウが語る。
「何を、引き返す必要がある？　先程から聞いていれば、あいつの何が過ちだと言うのだ？」
　それを、眉一つ動かさず言い切るクウ。その台詞に言葉を呑む。
「ほぅ……。面白い。殺人を是とするか」
　なるほど、と納得したようにシルフィアが呟く。
「元よりこの身は只の殺人鬼に過ぎん。……最も、今ではとうに朽ちているがな」
　言葉は途切れ、始めてクウは構えを取った。両の拳は鳩尾に抱え、体は斜に構える。
「何を勘違いしているかは知らんが、私はあいつの望みを叶える為に手を貸すと約束をした。ならば、果たさねばならん」
　愚かなまでに実直に、殺人鬼は１つの約束を守る為に凶行に手を貸し続けていた。
「メア。これ以上時間を掛けるわけにはいかん」
「え、えぇ、そうね。早く終わらせるとしましょう」
　エンドブレイカー達の僅かな可能性の説得は元より意味はなく、戦いは激化していく。

●Dedication
　シルの妖精が円を描いてエンドブレイカー達の傷を癒していく。
　特に負傷が酷いのはエマスとロイの２人だ。
「まだ足りんか……門よ！」
　シルフィアが魔鍵で楽園の門を開きロイの傷を全快させ、リムィリファルァが忍犬を召喚し、咥えた刀でクウを刻み、雄叫びを上げアヤセに力を与える。
「喰らえ……！」
　クウの右手が一直線にセナの喉を掴み、勢いを増して後頭部を床に叩きつける。
「セナ！」
　アヤセがクウの顔面に蹴り仰け反った体に拳の雨を降らせる。
「邪魔はさせないわよ！」
　クウに近づけさせないようにメアが光線を放ち、教会の床や椅子を巻き込みロイとシルフィア、リムィリファルァ、エマスを襲う。
「クッ……拙い……！」
　膝を折り肩で息をするシルフィアは体力自体が少ない事もあり既に死に体だ。
　セナの神楽舞で何とかシルフィアは持ち直すが、それでも楽園の門で消費した体力は戻らない。
「ニルちゃん、お願い！」
　シルの放った妖精の矢はメアの脚を撃ち抜き反転、背後から脇腹を撃ち抜いた。
「うっ……ッ！」
　メアが呻き声と共に膝を突く。一方、クウは頭や手足から出血しているものの、表情は最初と変わらず無表情で疲れを感じさせない。
「それっ！」
　ロイが戦闘で破壊され散らばった椅子の残骸を足場にして、軽くステップを踏みクウの背後から蹴りの乱舞を。
「今だ、リリ！」
　続けてエマスが壊れた椅子の陰から二丁の紫煙銃のトリガーを引きクウへ発砲。注意がエマスに逸れたタイミングでリムィリファルァがハンマーを手にフルスイング。
「ぬぅっ……！」
　ハンマーは腹に命中し、クウを吹き飛ばした。
「く、…ぅ、クウ……今、治し……」
　吹き飛ばされたクウはメアの前で止まり、立ち上がる。
「私は……私達は負けられない……！」
　アヤセがクウに肉薄し、竜の力を宿した拳と脚を乱舞させる。
「それはこちらも同じ……！」
　クウの両拳がアヤセの乱舞を受け流していく。しかし次第に手数で圧され撃ち負ける。
「クウッ……！」
　メアは自身の体力が少ない事を顧みず、ローブの翼を切り離し漆黒の炎に包まれた不死鳥を作り出した。漆黒の不死鳥はクウの傷を大きく癒し、その身を焦がす神火をも消し去る。
「……あっ、ッ……！」
　自身の体力を消費し、最早風前の灯となっていた。
「……もしかしたら、僕達も……」
　メアの献身に思うことがあるのか、セナは少しだけ悲しそうにメアを見つめる。
「だからこそ、乗り越えないといけない……」
　セナは手にした魔符をメアへ放ち、そして。
「ぐっ、ああぁぁ……！」
　メアに貼られた魔符に霊気が注ぎ込まれメアが力尽きる。
「……クウ、無事……です、か……」
　力尽きる、筈だった。既に体力は底を突き、現にマスカレイドの仮面は崩壊を始めている。それでもメアは留まっていた。生への執念か、それ以外の何かがそうさせるのか。
　その姿を前に、エンドブレイカー達は動けずに居た。放っておいてもメアは倒れるというのもあるだろう。しかし、それ以上に動ける空気ではなかった。
「メア……」
　倒れそうになる体をクウが抱き留める。
「良かった……。貴方に死なれては……でも、ごめんなさい……。もう、望みは……」
　仮面が崩れ落ち、メアは本来あるべき姿、死体へと戻ろうとしている。
「謝ることはない。お前の望みは私が叶えよう」
　伴侶が再び死を迎える間際でもクウの表情に変化はない。その心には何も去来しないかの如く。
「ふふっ……」
「何がおかしい？」
　小さく笑みを浮かべるメアにクウが尋ねる。
「だって、クウは優し過ぎるもの。だからこそ、もう望みは――」
　メアの言葉はそこで途切れた。教会に残ったのはエンドブレイカー達とクウ、そして物言わぬメアだった死体のみ。
「……」
　崩れ落ちたメアを見下ろしていたクウは、エンドブレイカー達へ振り返り拳を構える。
「もう戦う必要は無い筈ですよ……？」
　警戒しつつも、シルが呼びかける。
「既に約束を果たすべき者は居ない。そこまでして万能宝石に拘るか？」
　魔導書を手に攻撃態勢のままシルフィアも呼びかける。
「それがどうした。例え本懐を遂げるとしても。その日から長き月日を耐え、忍び、困難に打ち勝たねばならぬ『生きる』という試練が待ち受けているのだ」
　一歩、構えを崩す事無く近づく。
「それに対し私に出来うる事は、今現在の数刻の苦痛のみ。何と楽な道か。だがこの程度の事しか、私には妻にしてやれる術が見つからん――」
　今までで饒舌に、そして僅かながらの感情が乗った言葉を、クウは発した。
「……我ながらよく回る舌だ。……来るがいい、勇者と呼ばれる者達よ。我が安楽の道を阻んでみるか」
　そして発せられる殺気。朽ちた殺人鬼が目を覚ます。
「殺るしか無いか……。良かろう、死ぬがよい」
　シルフィアが魔導書から白蛇を喚び出しクウへ放ち、それと並行するようにシルが月光のカーテンを作り出しクウを包み込む。
「ハァーッ！」
　白蛇に巻きつかれ脚が石化するが、それを物ともしない動きでシルの月のカーテンを突破する。
「散れっ！」
　音速を超える速度で放たれた拳はしかし、ロイの蹴りの応酬で総て弾き返され、そのまま蹴りの乱舞がクウを襲う。
「まだっ、ぬぅっ……！」
　ロイの蹴りから逃れるように下がった所へエマスの放つ衝撃波がクウを捉える。
「そっちがその気なら、仕方ないわ」
　その隙に背後に忍び寄ったリムィリファルァが電気を纏う鞭で幾度も打ち据えた。
「ハアッ！」
　アヤセの拳の乱舞がクウを打ち抜き、トドメとなった。
「……フ……。致し方なし……」
　アヤセの拳を浴び、仰向けに倒れるクウ。その表情は虚ろで何も見ていないかのようである。
「……」
　その言葉を最後に、クウは二度と起き上がることは無かった。

●Residual heart
　戦闘後、メアの死体はシルフィアのローズリチュアルで消すことが出来たが、クウはマスカレイド化していないので消すことが出来ず、そのまま放置することとなった。
「さっさと出るわよ。見つかったら拙いから」
　そう言い戦闘で荒れ果てた教会を我先にと出るシルフィア。他の面々も急いで出るが、エマスとリムィリファルァはまだクウの死体を見つめていた。
「……エマス……」
　エマスに寄り添うようにリムィリファルァがポツリと呟く。視線の先にはエマスの手にしている『恋人』のタロットカードだ。
「エマス。証拠は残せないわ」
　見かねたシルフィアがエマスの手からタロットカードを奪い取る。何が元で足がつくか分からないからだ。
「だが……」
「……」
　食い下がるエマスをリムィリファルァが手を引いて止める。感傷に浸る時間も許されないようだった。
　だからせめて、心の中でエマスは願うのだった。
「……せめて今度は、メアと幸せに過ごせクウ」



冒険結果：成功！    </description>
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    <item rdf:about="https://w.atwiki.jp/sikikagura_wiki/pages/42.html">
    <title>舞い降りた天使</title>
    <link>https://w.atwiki.jp/sikikagura_wiki/pages/42.html</link>
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      【オープニング】
●悩み
　昼時を少し過ぎた頃、喫茶店ミミでは客足が落ちていき１つのピークを過ぎたところだった。
「ありがとうございました」
　店員が１組のカップルを見送り一息つこうとした時だった。
「……？」
　ふと、１人の女性客が目に留まった。数ヶ月前からよくミミに来ている女性だ。
　その女性におかしな所は無い。ケーキとコーヒーがテーブルに置かれており、女性は胸に抱えた赤ん坊をあやしている。
　ただそれだけなら何もおかしくはないだろう。１時間以上そのままでなければの話だが。
「お客様」
　気になった店員は声を掛ける。テーブルに置かれた伝票にはケーキとコーヒーしか書かれておらず、追加も無い。
「どうか、なさいましたか？」
　自分が運んだケーキとコーヒーが手付かずのまま置かれているのを確認し声を掛ける。女性は心ここにあらずといった様子で反応はない。
「お客様？」
　もう一度声を掛けると、女性はハッと顔を上げ店員を見る。
「え？　あぁ、何かしら？」
「先程から何か考えておられたようですので……何かお悩みでしょうか？」
　すると女性は少し悩みつつも、赤ん坊を撫でつつ切り出した。
「えっと……２日だけ、２日だけこの子を預かって貰えないかしら……？」
「えっ……？」
　赤ん坊に目をやる。生まれてまだ間もない赤ん坊を何故、と店員が思ったのが見えたのだろう。
「その……私、今夜から夫と一緒にランドホエールの討伐に向かうんです。それで、他に頼めそうな人は居なくて……。ここなら、腕の立つ人も多いみたいですし……」
　お眼鏡にかなった、ということだろうか。しかし店員は力ない人達を守る経験はあれど、子育ての経験は無い。了承したい気持ちはあるが、万が一を考えると頷けなかった。
「お願いします。もう、ここ以外に頼れそうな場所は無くて……」
　生まれて間もない我が子を誰かに託す。それがどれ程の悩みか店員は知らない。だがここまでお願いされては、断るわけにも行かなかった。
「分かりました。ではお客様の大切なお子様を預からせていただきます。ですので、必ずお子様に元気な姿を見せてあげてください」
　そう言い店員は女性から赤ん坊を預かった。

●知る者
　喫茶店ミミで店員が赤ん坊を受け取る少し前。
「おい、見つかったか？」
「いや……まだだ」
「チッ……赤ん坊なんてどれも同じに見えるし分かるかよ……！」
　上質なスーツに身を包んだ男達が路地裏の一角に集まっていた。
「おい！　親の情報を掴んだぞ！」
　そこにもう一人男が現れる。手には封筒を持っており、他の仲間に見せるよう中を開く。
「アディ・ツァイヤー……！？　あのツァイヤーか！？」
「知っているのか！？」
「俺が昔居た傭兵集団のエースだ……。サシだろうと集団だろうと無類の強さを誇っていた野郎だ」
「いや……まさかそんな……似たような苗字ならいくらでも」
「だといいがな……」
　青ざめた男を他所に他の男達はその名前を元に再び街へと散っていく。
「……いや、今回はただ、運が悪かっただけ……だぜ？　ツァイヤーの旦那……」
　街を駆けまわりながら、男は空を見上げ呟いた。
「だってよ……悪いのは俺らの雇い主でも、あんた等夫婦でもない……ガキのタグを付け忘れた婦人科のセンセが悪いんだからよ……」
　喫茶店ミミを見つめながら男はつぶやく。視線の先に、探していた者を捉えながら。

【リプレイ】
●
　女性から赤ん坊を預かって間もなく、喫茶店ミミにスーツ姿の一人の男が入ってきた。
「いらっしゃいませ。お客様、これ、今度うちで出そうと思ってる新メニューなんです。よければご感想、聞かせてください」
　戦友と共に歩む・イチハ（c01807）が他の来店客と同じように試作メニューのカップケーキを渡す。
　男はカップケーキを受け取り、適当な―赤ん坊の姿を確認出来る―席に着いた。
「……」
　出された水を口にしつつ、サングラスの奥で赤ん坊の状況を確認する男。
（チッ……ガキに群がりやがって……。これじゃあ攫ってトンズラも出来やしねぇ……）
　赤ん坊の世話をする者達を見た男は内心で悪態をつく。赤ん坊の世話をしている店員はどれも一筋縄でで行かない、自分達と同じ荒事に慣れた者だというのを見抜く。
「ご注文はお決まりでしょうか？」
「……あぁ、そうだな……コーヒーで」
　イチハが近づき注文を取る。
「それにしても、お客様……中々の強者なんじゃないですか？　ボクも一度お手合わせ願いたいな、なんて」
　冗談めかして言うイチハは足元のバルカンを見やる。
「はは……面白い事を言うな。昔ちょっと齧った程度で、相手になんかならんさ」
「そうですねぇ。ボクなんか手も足も出ないんじゃないかってぐらい強そうですし」
「……」
　軽く笑って返す男の言葉に、同じく笑顔で返すイチハ。男は話題を変えようと赤ん坊の方へと顔を向ける。
「あの赤ん坊は？」
「あぁ、あの子ですか？　今日の昼頃に来たお客様のお願いで預かる事になったんですよ」
　イチハが軽く事情を説明する。すると男は少し眉を顰め、黙りこむ。
「どうかしましたか？」
「いや、何でもない」
　そう言い男は水を飲み顔を逸らした。
（さて……後はタイミングだな）
　コップに入った水に視線を落とし男は考えあぐねていた。

　赤ん坊を喫茶店ミミで預かり、カード「EA」のメンバーで赤ん坊の世話をする事となった。
「ランドホエール退治かぁ……確かに一緒に行くわけには行かないよね……」
　世界樹の妖精術士・シル（c25139）の視線の先には猛る烈風・アヤセ（c01136）に赤ん坊が抱かれている。
「はい、ミルクできたよ」
　キッチンから翔る疾風・セナ（c02046）が出てくる。手に持った哺乳瓶をアヤセに渡すとその隣へ腰掛けた。
「うん。ありがと。はい、ミルクだよ～」
　受け取ったアヤセは赤ん坊にミルクを飲ませていく。
「みゃぁ～」
　そこへ一匹の猫がアヤセを梯子に赤ん坊の側に降りてくる。バルカンソウルでバルカンに魂を移した幸せの詩を紡ぐ花人・ミミ（c02229）だ。
「……？」
　ミミと赤ん坊の目が合う。じっと赤ん坊を見つめるミミだったが、何かを見たのかプイッと視線を外し赤ん坊の隣で丸くなった。
　目の前に居る猫が気になったのか、赤ん坊はミルクを飲むのを止めてミミの尻尾へ手を伸ばす。
「……」
　赤ん坊がミミの尻尾を掴むが、未だ力は弱くバルカンソウルが解かれることは無い。
「……赤ちゃん、か……」
　その様子を離れた席に座って眺めているのは射干玉の夜の姫君・シルフィア（c01856）だ。
「……」
　辺りを見渡すと他の客も赤ん坊に声を掛けたり撫でたりしている。飲食店の中で店員が赤ん坊をあやしているのはそれだけ興味を引きやすいのだろう。
　そんな中、周りに勧められてシルが赤ん坊を抱っこする事になる。
「だ、大丈夫だよね……？」
　シルがおっかなびっくり抱き上げると赤ん坊はシルの耳に興味を持ったのか手を伸ばす
「え？　耳……？　あんまり引っ張らないでね～？」
　エルフ特有の長い耳は赤ん坊の興味を引いたようで、手に触れて揉んだり握ったりしている。
「あぁっ、ちょ、擽ったいよ～。痛い痛い」
　赤ん坊の好きな様にさせていたら引っ張られたようだ。力はないとはいえ耳を引っ張られては痛いだろう。
「今は無理か……」
　注文したコーヒーは既に冷め、本来の味を失いつつある。男はそれを一気に飲み干し、店を後にした。
「だが場所は分かった……。仕掛けるなら今夜か……」
　店を出た男は振り返ること無く、仲間との集合場所へと足を向けた。

●
　夜、喫茶店ミミもラストオーダーの時間になった。店には団員以外誰も居らず、このまま閉めても問題ないぐらいだ。
「それじゃ、そろそろ表は片付けようか」
　切り札・エマス（c30188）が入り口に出しているメニューを片付けようとしていた時だった。
「あ、ちょっと待って。５名様入店よ～」
　喫茶店ミミの女店主・リムィリファルァ（c32636）がそれを止めた。黒いスーツに黒のサングラスという出で立ちの男達が入ってきたからだ。
「あ、お昼の……」
　その内の一人に見覚えがあるイチハが声を掛ける。
「あぁ、すまないが……昼に見かけたあの赤ん坊は居るか？」
　男は近づいてくるイチハへ先に声を掛けた。
「あの子でしたら、今はセナさんが面倒を見てますよ。セナさーん？」
「なにー？」
　呼ばれたセナが厨房の奥から姿を表わす。セナに抱かれた赤ん坊はシルの妖精の羽を掴んでいる。ジタバタと逃れようとするが、そもそも胴体を掴まれては逃げれない。
「ニルちゃん、もう少し、もう少しだけ頑張って～」
　妖精の主であるシルはというと、赤ん坊から少し離れていた。近づくとまた耳を引っ張られるからである。しかも偶に口に入れようとする。
「……」
　その様子を見て男は沈黙する。他の仲間も和気藹々とした空気に飲まれ、動けずに居る。
「……ほぅ」
　赤ん坊に集中する男達の隙を狙いシルフィアは一人が持っていた封筒をテーブルから奪う。
　勝手に中身を取り出し書類に目を通す。その中には赤ん坊の取り違いについての情報もあった。
「あっ！？　しまった！」
　男達が気付いた時は既に遅く、エマスの手に書類が渡っていた。
「あの子は……アディ・ツァイヤーの子供ではなく、別の親御さんの子なのだな」
　直ぐに封筒を男達へ投げ返しエマスが先手を打つ。
「私も詳しくは知らないが、それでも名前は聞いたことがある。……なるほど、必死に探すワケだ」
「……なら話は早い。そのガキを―」
「そんな事が……でも、この子のご両親は、ランドホエールと戦いに行ってて、戻るのは二日後なんです……せめて、二人の元気な姿を、もう一度だけでもこの子に見せてあげて下さい」
「いや駄目だ。寧ろ親が居ないなら尚の事僥倖。事を荒立てない為には今の内にガキを戻せばいいだけだ。まだ産まれて間もない。違いなど、分かるはずもない」
　男の言葉に被せるようにイチハが話す。しかし男は聞き入れない。
「まあ落ち着いてくれ。事を大きくするつもりはこちらにも全く無いんだ。リリ。皆にコーヒーを先ずは話し合おうじゃないか」
　急く男を宥め席へ座らせ、リムィリファルァがコーヒーとクッキーをテーブルに置く。
「違いは、分かりますよ」
　男達が落ち着いたのを見てセナが言う。目を閉じ記憶を手繰り寄せながら話を続ける。
「例え、不幸な手違いにより赤ちゃんの取り違いでも、今まで可愛がった子供は覚えてますよ」
　それだけ言うとアヤセの元へ行き赤ん坊をあやすセナ。
「私からもお願いします。お店としても、赤ん坊を預かった訳ですし……親御さんが戻ってくる二日後まで待ってください」
　リムィリファルァが入れ替わるように男達に頭を下げ、奥に下がった。
「……兄貴。どうするんだよ……？」
　一人がリーダー格の男に声を掛ける。こうなっては赤ん坊を攫い、雇い主の元に居る赤ん坊と取り替える、というのも難しい。
「……事情を話すしか無いんじゃない？」
　男達の少し後ろに座るシルフィアがポツリと話に入る。視線は手にした本に落としたまま、言葉を続ける。
「詰んだのならもう、それしか無いでしょう。どうなるかは知らないが、元に戻るのなら別にそれで」
「だがそうなっては両方の親に遺恨が……」
「そうだ。それに自分の子供だと思ってたのが実は別の子、と知ったら……」
　両方の親の事に心を痛めているのか、男達は不安を口にする。
「それがどうしたの？　別に両方の親がどうなろうと貴方達に関係ないでしょう？　貴方達の仕事は両方の子供を本来の親に返す事。違うかしら？」
　シルフィアの容赦無い発言が男達の空気をより一層重くする。
「エ、エマス……」
「わ、分かっているさリリ……。だがあれは……」
　シルフィアと男達の間に降りた空気を前に足踏みするエマスとリムィリファルァ。
「明後日、あの子の親は戻ってくる。その時に事実を伝え、子供を元に戻す。それ以外に良い手があるのなら、それを取ればいいけど？」
　提示した可能性以外は尽く穴を指摘し外堀を埋めていくシルフィア。外から見ると男達を追い詰めているように見える。
「ま、まぁシルフィア。それくらいでいいじゃないか。君達も、それでいいね？」
　気の毒になってきたエマスは助け舟を出す。男達は渋々と言った様子で頷き、赤ん坊の親が戻ってくる日に来ると告げ店を出て行った。

●
　その日の夜、赤ん坊はエマスとリムィリファルァが預かることになった。
「それじゃお風呂に入りましょうね～」
　リムィリファルァが赤ん坊をベビーバスに入れて体を洗っていく。因みにベビーバスは近所から借りたものである。
　慣れた手つきで赤ん坊を洗っていくリムィリファルァ。その間にエマスは上がり湯とバスタオルを用意する。
　二人共慣れた様子で赤ん坊の世話をしていき、寝かしつける。
「ふぅ……これからが大変だな」
「そうね……。それじゃ私は先に休むわ」
　一足先に眠るリムィリファルァ。エマスはというと赤ん坊の側で眠りに就いた。
　しかしエマスはぐっすり眠ることが出来ない。何故なら数時間後に赤ん坊の鳴き声で起こされるからだ。
「よーしよし。おしめか～い？」
　驚くこと無く起きたエマスは赤ん坊のおしめを取り替え、作ったミルクを与える。すると直ぐに赤ん坊は泣き止み小さな寝息を立てて寝だした。
「ふぅ……その間に」
　赤ん坊が眠ったのを確認したエマスは洗面器を洗い湯を作りミルクを何時でも作れるようにする。
「よし……」
　それから幾度と無く夜泣きを繰り返し、その度におしめを替えたりミルクを飲ませ、泣き止むまで部屋の中を歩きまわる等していった。
「エマス。お疲れ様。後は私がやるわ」
　時間になり、リムィリファルァがやってきた。交代で赤ん坊の世話をするようである。
「あぁ、それじゃ頼むよ。朝になればアヤセ達が来てくれる」
　そう言い、エマスは入れ替わりで眠りに就いた。
「ふふっ……やっぱり寝顔はかわいいわね」
　赤ん坊を受け取ったリムィリファルァは嬉しそうに呟き、朝までエマスと同じように奔走する事となった。
　そして朝。喫茶店ミミが開店する少し前にサクヤ姉弟が店に入る。赤ん坊の世話をリムィリファルァと交代する為だ。
「それじゃ後はお願いするわ」
　サクヤ姉弟に赤ん坊を預けたリムィリファルァは仮眠を取る。昼頃には戻るそうだ。
　その後はサクヤ姉弟が赤ん坊の面倒を見続けていた。
「おお、よしよし。セナ、ミルク作りは任せた。赤ちゃんは私が見てる」
　アヤセが赤ん坊を抱き上げ、その間にセナがミルクを作る。
　他の面々は仕事の合間に赤ん坊を可愛がる程度であった。
「あぁ、もうそんなことに……？」
　そんな中、昼前に喫茶店ミミへと桃宮・ロイ（c31056）がやって来た。昨日は万が一を考え近くの産婦人科でエージェント達を待っていたのだが、当然ながら来る筈もなく。一旦様子を見に喫茶店ミミへと足を運んだという訳だ。
「少し不機嫌かな？　セナ、セナが作った兎のぬみぐるみ出して」
「兎のぬみぐるみ？　あるよ。折り紙でお花とかも作るよ。うん、こういうのは得意だし」
　セナが荷物からぬいぐるみと折り紙を取り出し色々と作っていく。赤ん坊はそれを物珍しそうに見つめ、折り紙を掴みグシャグシャにしてしまう。
　それでも慣れたもので、折り紙で何度潰されても次々と作っていくセナ。
「ああ、また泣いてるか。セナ、赤ちゃん見てて。今度は私がミルク作る」
「今度は僕が赤ちゃんをだっこするの？　任せて。紅蓮、緋炎、粗相のないように」
　アヤセから赤ん坊を渡されたセナはサーチウィズバルカンで２匹のバルカンを呼び出す。
「みゃぁ？」
　赤ん坊の隣で丸くなっていたミミも含め、３匹のバルカンが赤ん坊を取り囲む。
　しかし急に現れたバルカンに驚いたのか、赤ん坊はより大きく泣き続ける。泣き止まそうと慌てるバルカン達だが、それが拍車をかけて泣き止まない。
「ね？　ニルちゃん、大丈夫だから……ね？」
　一方シルは赤ん坊の玩具にされたことで怖がっている妖精のニルを落ち着かせていた。
　そうやって１日が終り、赤ん坊はサクヤ姉弟が預かる事となった。

●
　そして、約束の時がやって来た。
　リムィリファルァに抱かれた赤ん坊は母親に返される。しかし２人は知らない。その赤ん坊は２人の子ではないということを。
「ありがとうございます。それで……そちらの方々は？」
　母親は後ろに控えるエージェント達に視線を向けた。
「お二人に大事な話があるので……」
　気まずそうに男が前に出て話しかける。
「その、ここでは……お二人の家で詳しい話を」
「……分かった。この子の事、だな？」
　黙って様子を見ていた父親が頷く。その表情は何かを悟ったようである。
「それでは皆さん、ありがとうございました」
　母親はもう一度頭を下げ、男達と共に家へと帰っていった。
「赤ちゃん……私も欲しいなぁ……」
　男達の姿が見えなくなると、リムィリファルァはエマスに向かって呟く。
「ん？　何か言ったかい？」
　それを知ってか知らでか、エマスが聞き返すと何でもない、と首を振る。
　とりあえず赤ん坊を預かるという仕事はやりきった。それより後の事は気になるが、それは当人達の問題でありエマス達が干渉すべき事ではない。
　きっと上手く行くだろう。そう思いながらエンドブレイカー達は何時もの日常へと戻っていく。


冒険結果：成功！    </description>
    <dc:date>2013-05-19T15:31:46+09:00</dc:date>
    <utime>1368945106</utime>
  </item>
    <item rdf:about="https://w.atwiki.jp/sikikagura_wiki/pages/41.html">
    <title>急がば回れ</title>
    <link>https://w.atwiki.jp/sikikagura_wiki/pages/41.html</link>
    <description>
      【オープニング】

	
●
　男はその日、仕事で遠くまで出かけていた。夕方に帰れる筈が、想定外のアクシデントにより長引き、帰路に着いたのは日付が変わろうとしている頃だった。
　なるべく近道を利用し、家へと急ぐ男は森の中を進んでいた。月明かりのお陰で視界は良好で迷うことは無い。
「この森を抜ければ……大分時間を短縮出来る筈だ」
　急いでいる男は知る由もない。そこがピュアリィの住処であるということを。
　急いでいる男は気に留めない。自身を囲むように動くピュアリィが立てる物音を。
　故に、急いでいる男は分からない。目の前に出たラビシャンが自身の命を狙っている事を。
「ん？　何だ、ピュアリィか。ってそんな事どうでもいい」
　現れたピュアリィを無視して家路を急ぐ男。何よりも先ず急いで家に帰らないといけない。考えるのはその事だけだった。
「え……？」
　何の音か認識するよりも早く体は動かなかった。目を下に向けると、腹から何かが生えている。
　それが何か把握しようと考えるより先に、腹に焼け付くような痛みが広がる。
「え？　あ、刺さ……っ、ごぶっ！」
　背中から何かを刺されたと認識した途端、口から大量の血を吐き出し崩れ落ちる。
　痛い、苦しい、どうして？
　さっきまで頭を満たしていた家へと急ぐ思考は既に無く、痛みと苦しみと不理解だけが頭に浮かぶ。
　その男の前に複数のラビシャンが現れる。
　男は声を出そうとするが出るのは声の混じった吐血のみ。助けを求めるように伸ばした手はラビシャンの爪に貫かれ切り落とされた。
　ゴボゴボと喉に絡まる血糊が叫びを封殺する。切り落とされた痛みを叫ぶ声も出せずのたうち回る男を、ラビシャンはクスクスと笑みを浮かべて見下ろすのみ。
「ヒューッ、ヒューッ……ゴホッ……！」
　痛みに耐えながらも逃げるように這う男は、命尽きるまでラビシャンに取り囲まれ続けた。

●
　戦場は事件の起きる数日前の森の中ほどにある湖畔。その周辺をラビシャンは根城にしています。
　障害物は無く、戦場としては何も問題はないでしょう。
　６体のラビシャンは全員同じ爪のアビリティを使用します。
　３体倒せば成功となりますが、不利になると逃げる恐れもありますのでその対策も必要でしょう。
　知らずに縄張りに入ったとはいえ、人を襲うなら退治しなければなりません。
　理不尽な結末を変えれる人、どうかお願いします。

【リプレイ】

	
●
　森を抜け、エンドブレイカー達が湖に着いた時は何故か２人だけとなっていた。
「結局、合流出来ませんでしたね……」
　世界樹の妖精術士・シル（c25139）がため息混じりに言う。
「仕方ありませんね。森は逸れたのに気付くのが遅れると合流は困難ですし……」
　桃宮・ロイ（c31056）がそれに相槌を打ちつつ†・姫巫女・†に手を掛け、シルも同じように銀長杖『シルフィード・ウィング』を構えた。
　２人の前に現れたラビシャンに向かってシルが作り出した重力場がラビシャンを地面に叩きつけるような重力を発生させ、ロイの太刀が近づいてきたラビシャンを袈裟斬りに斬り払う。
「っ！？　コイツ、強い！？」
　人間程度、と思って舐めて掛かったのか驚きの色が濃いラビシャン達。
「纏めて掛れば……！」
　１体のラビシャンに同調するように、一斉に攻撃に移るラビシャン達。
　ロイもシルも、ある程度の攻撃は受け流し、避ける事も出来たが実質３対１の戦いとなってくるとそうも行かない。
　ただ、連携を取ることはなく思い思いに攻撃を仕掛けてくるのは不幸中の幸いか。
「動きは止めさせてもらうよ！」
　シルが銀長杖『シルフィード・ウィング』を振り下ろすとそれに従う様に重力場が数体のラビシャンを巻き込み、５倍の重力がラビシャンの体を押し潰す。
「ハァッ！」
　精神統一よりも、先ずは目の前のラビシャンを倒さねばならない。感情の昂ぶりにより目先の敵を倒す事に意識が行くロイは太刀を三日月の形に振るう。
「この程度っ！」
　斬られたラビシャンも負けじと爪を振るい不可視の衝撃波を放ち同時に体力を奪う。
「ニンゲンごときがっ！」
　一太刀浴びせられたことに狩るものとしての矜持が傷付いたのか、ロイに攻撃が集中する。
「私達に、刃向かう意味を、教えてやるっ！」
　ラビシャン達は爪をかざしロイの四方を駆け、すれ違い様に刃を振るい引き裂いていく。
　それでもシルがノーマークになったかというと、そうでもない。シルには未だ２体のラビシャンがマークしていた。
「クスクス……アッチが終わったら、次はアナタよ……！」
　シルに飛び乗り妖艶な笑みを浮かべ、爪を肩へと突き刺すラビシャン。突き刺さった所から次第に毒が広がっていくのが感じられる。
「フフフ……どうしたの？　顔色が悪いわよ？　私の相手もしてくれないとね、オチビちゃん♪」
　わざとらしく腕を組み胸を強調するラビシャン。更に胸を突き出すようにしてぷるんと揺らす。普段は余り気にしていなくとも、あからさまに挑発されては女性であればカチンと来るのだろう。
「むっ……」
　シルの表情が険しくなる。一度気にしてしまうと、どうもそちらに目が行ってしまう。何しろ、ラビシャン達の顔立ちはシルやロイ達とそう大差ない、１０代半ばといったところで、しかし胸や尻……特に体毛に隠れていない胸は成熟した大人と言えるだろう。
「大きさだけが全てじゃないよっ！」
　若干ムキになった声で重力場を作り出しラビシャンを押し潰すシル。
「クスクス……ニンゲン、おっきいの、好きなんだよぉ？　クスクス……！」
　咄嗟に重力場から逃れたラビシャンが嘲笑う。
「ですがそれ以前に、害獣でしかないピュアリィ共に意味は無い！」
　血を流しつつも弧を描き近づくラビシャンを斬り払うロイは精神を統一しながら言い放つ。怒りを沈め、静かに冷たく光を発する月のように澄んだ心で再びラビシャンと対峙する。

●
　エンドブレイカー達とラビシャン達の戦いは、経験と火力の差からか何とかラビシャン達と渡り合っていた。
「クッ……意外としぶといニンゲンッ！」
　少しはデキる獲物、と認識していたラビシャン達は今、その認識を大きく変えねばならなかった。
「ハァ……ッ、ニルちゃん！」
　シルの合図と共に妖精が円を描き２人を癒す。傷は塞がり全快になるが、これ以上はもう使えない。
「ピュアリィ如きに負ける訳には……いかない！」
　傷が癒えたロイは疲労が一番蓄積されているであろうラビシャンへ斬りかかった。袈裟斬り、逆袈裟、振り向きざまの居合と流れる動作でラビシャンを葬る。
「やっと１体……」
　手に残る確かな感触で必殺と知り、敵の攻撃に備えるロイ。しかしそれは無為となる。
「拙い……逃げろっ！」
　長期戦へともつれ込んだ戦いは、癒し手の無いラビシャンにとって不利なものとなっていた。
「しまった……！」
　ロイもシルも、ラビシャンの攻撃に備えて警戒していたのが裏目となり出遅れる。
　急いで追いかける２人を邪魔するように１体のラビシャンが振り返りシルに飛び乗り押し倒す。
「キャッ！？」
「こうなったらオマエだけでもっ！」
　傷だらけのラビシャンは笑っていた。何を思い、何を感じたのかシルには分からないが。
「っ！」
　振り下ろされた爪はシルの杖に阻まれ、同時にロイの居合い斬りの一閃により切り捨てられた。
「ありがとうございます、ロイさん」
「いや、いいよ。それよりも……」
　助け起こされたシルは辺りを見る。既にラビシャンの姿は見えず、湖にはロイとシルの姿しか無かった。
　その後、２人は森に入りラビシャン達を探すも、それらの姿を見ることは叶わなかったが、別のものを見つけることとなった。
「アヤセさん、セナさん！？」
　シルの妖精に導かれ見つけたのは、猛る烈風・アヤセ（c01136）と翔る疾風・セナ（c02046）だ。
「あ……シルさん、ロイさん。……はは、なんと申していいのか……すみません。」
　アヤセを介抱するセナは申し訳なさそうに目を伏せた。
「ここから落ちたのですか……無事で何よりです」
　ロイは上を見上げる。サクヤ姉弟の所まで滑り落ちた跡と、周囲の木の枝が折れているのが見える。
「ラビシャンのような姿が見えたので、もしやと思いそちらに行ったら、こんな有様で……申し訳ないです」
　崖から落ちそうになり、それを助けようとしたセナ諸共落下。木々を掴もうとしたが止まらず、落ちてしまい身動きが取れなくなったそうだ。
「セナだけでも、と言ったのですが聞き入れてもらえず……」
「アヤセを置いていく訳にはいかないよ。もし、ラビシャンやバルバに会ったら、逃げれないじゃないか」
「確かに身動きできないアヤセさんを１人にするのは危険ですね」
　そして、サクヤ姉弟は事の顛末を聞き、より肩を項垂れた。
「仕方ありませんよ。それより、立てます？」
　ロイとセナの手を借り立ち上がるアヤセ。セナの肩を借り、エンドブレイカー達は森を抜けるのだった。




冒険結果：失敗…    </description>
    <dc:date>2013-05-19T15:30:49+09:00</dc:date>
    <utime>1368945049</utime>
  </item>
    <item rdf:about="https://w.atwiki.jp/sikikagura_wiki/pages/40.html">
    <title>アナタは孤高の王子さま</title>
    <link>https://w.atwiki.jp/sikikagura_wiki/pages/40.html</link>
    <description>
      【オープニング】
●孤高
　彼女は異質だった。
　女性のみが通う『学校』で、彼女のように男性的で素っ気ない、近寄りがたい雰囲気をした生徒は居なかった。
　だからだろうか。いつしか彼女は『王子さま』という二つ名で呼ばれるようになった。
「王子さま、おはよう御座います」
　下級生の１人が彼女に挨拶をする。しかし、彼女は視線を向けることもなく通り過ぎる。
「セーラさん、おはよう御座います」
　そこに１人の生徒が挨拶をする。服装から見て同級生だろう。
「あぁ、おはよう」
　素っ気ない挨拶を返すセーラと呼ばれた彼女。それが嬉しかったのか、挨拶をした生徒は頬を綻ばせる。
「今日の授業、実技があるんですよね。セーラさんは何を選びました？」
「僕は……アクトレスだね。ニナは？」
「私はお料理です」
　淡々とした返事を返すセーラだが、その表情は柔らかい。
　セーラとニナは、最近になって親友の関係になったばかりだ。ほんの些細な切っ掛けが、彼女たちを動かした。
　その変化は周りを驚かせるものだったが、それと同時に好しとしない者も現れ始めた。
「……」
　二人のそんなやり取りを遠目で見つめながら眉を顰める二人を、彼女たちは知る由もない。
　そして、事件は起きた。
　その日の放課後、ニナは下級生の教室に居た。
「貴女、王子さまに迷惑をかけすぎじゃないかしら？」
「そうよ。王子さまは孤高なのよ？　それを貴女が侵してもいいと思って？」
　下級生二人がニナに詰め寄る。
「えっ……？　あの……」
　困惑の表情を浮かべるニナが何かを言う前に下級生達は畳み掛けるように言い放つ。
「貴女のせいで、孤高であるべき王子さまは失われてしまうのよ！」
「そうよ！　貴女さえいなくなれば、王子さまは孤高で居られるのよ！」
　下級生の１人がニナに掴みかかる。
「えっ！？　イヤッ！　やめてっ！！」
　抵抗するニナをもう一人が押え、もう一人が隠し持っていたナイフを取り出す。
「ひっ……！」
　羽交い絞めにされ、抵抗出来ないニナが悲鳴を挙げようとするが、それを阻止するようにナイフがニナの首へと吸い込まれる。
　血飛沫が飛び散るのもお構いなしに、彼女たちは幾度と無くニナの体にナイフを突き立てる。
「王子さまは孤高であるべきなのよ……」
　狂気の笑みを浮かべるその顔には、マスカレイドの仮面が張り付いていた。

●憧れ
「……思いやりの無い憧れは、既に憧れとは言えないのでしょうね」
　月の箱庭・シルフィア（c01856）が喫茶店「ミミ」に集まったエンドブレイカー達に自身が見た内容を話し終えた。
「場所は女学院だけど……まぁ、敷地内に入りさえすればどうとでもなるわ。入り方も、抜け道は幾らでもあるから問題ない」
　そう言うとシルフィアは懐から建物の見取り図を取り出す。
「問題は少女達。多分戦闘になるけど、その時はマスカレイド化していないニナって子も居るから、その子の安全も確保しないといけない。あと、マスカレイド化しているけど、まだ元に戻る事は可能みたいね」
　まぁ、別に倒してしまっても構わんのだが、とシルフィアは零す。
「言うは易く行うは難し……ね。当然私も行くけど、出来ればあと数人、手を貸して欲しい」
　そう言い、シルフィアは強力を仰いだ。

【リプレイ】
●Mona Lisa is in a bad mood.
　戦神海峡アクスヘイム。祭りの多いことで有名なこの都市はつい最近、滅びの危機に瀕していた。棘の具現である薔薇が開花し、万能宝石エリクシルが顕現したのだ。
　その『終焉』はしかし、『終焉を破壊する者』により『終り』を迎えた。
　今から凡そ、２年前の事であった。
　それから月日は流れ、『終焉を破壊する者』は各都市を旅し、今まで巡った都市への移動手段を手に入れた。
　確かにアクスヘイムは滅びる事はなく、都市を取り巻いている棘は消え去った……筈だった。
　極僅かではあるが、棘の微かな残滓が残っている事もある。そして今回、残滓を見つける事が出来た。
　場所はとある女学校。夕日が校舎を照らし白い壁を赤く染めていた。
「さて……」
　先頭を歩くのは月の箱庭・シルフィア（c01856）だ。今回、彼女が見たのはこの学校で起きる１つの終焉。
「もう生徒は帰ったのかな？」
「えぇ。確か今日は完全下校日の筈だから……だからこそ、起きたのでしょうけど」
　辺りを見回し、シルフィアの斜め後ろを歩く切り札・エマス（c30188）は呟いた。何時もの服とは違い、黒と白のツートンカラーの執事服を着ている。
「へ～、学校ってみんなおんなじ服を着るんだ～」
　世界樹の妖精術士・シル（c25139）も普段とは違う服、今から入る女学校の制服を着ていた。修道女のように白と黒のツートンカラーでシンプルかつ地味な制服を、物珍しいのかしげしげと眺めている。
　制服を着ているのはシルだけではない。猛る烈風・アヤセ（c01136）と翔る疾風・セナ（c02046）も制服に見を包んでいた。外見が瓜二つの姉弟は姉妹と言っても通じるだろう。
「む、むぅ……」
　そんな姉弟を見て小さく唸るのは空仰ぐ栗鼠・チナ（c23562）だ。
「どうしたの？」
「えっ！？　あ、いえ何でもないですよ……？」
「そう。ならいいけれど」
　唸る声が聞こえたのか、殲滅妖精・ミラ（c11229）が声を掛けた。勿論２人も制服を着ている。
「……こっちね」
　これらの制服は先頭を歩くシルフィアが何処からか用意した物で、多少サイズに難があるものの、着れない程という訳ではなかった。
　校舎内は静かで、エンドブレイカー達の歩く音以外は聞こえない。
「シルフィア……お嬢様、迷いなく進んでいるようですが、場所は分かっているのでしょうか？」
　校内見取り図を見ること無く進むシルフィアにエマスが尋ねた。
「えぇ、まぁ……ね」
「コラッ！　貴方達待ちなさい！」
　そうして曲がり角を曲がろうとした所で声が掛かる。振り返ると、シスター服を着た女性がこちらに近づいて来る。
「貴方達、今日は下校日なのですよ。早くお家にか……あら？　氷姫じゃないですか」
　女性はシルフィアを見つけると言葉が途切れた。
「……お久しぶりです、シスター・アンジェラ」
　シスター服を着た女性、シスター・アンジェラの前で一礼するシルフィア。するとシスター・アンジェラの表情がガラリと変わった。
「あらヤダもう、今はシスターじゃなくてマザー・アンジェラなのよ。それにしても今日はどうしたの？　そちらの子達は？」
「この子達は懇意にしている貴族のご子息様です。この学校の見学をしたい、と申されたので、卒業生である私が」
　立て板に水のように話を作り上げるシルフィア。するとアンジェラはエマスへと目を向けるが、シルフィアが先回りする。
「彼は私の執事です。ご子息様にもしもの事があってはいけないと思い、同行させた次第です」
「あら、それもそうね……。でもそれならちゃんと連絡を……いえ、氷姫なら大丈夫でしょう」
　アンジェラはそう言い何か納得するように頷く。
「……ところでマザー・アンジェラ。もうここには誰も残ってないのでしょうか？」
「えぇ。今見回りが終わった所だから、誰も残ってないわよ。氷姫も、見学を終えたら早くお帰りなさい」
　そう言い残しアンジェラは去っていった。
「氷姫……？」
「…この学校では昔から、人気のある生徒にはあだ名が付くのよ。……本人以外が決めたあだ名がね」
　エマス達の疑問にシルフィアは短く答える。そしてそれはつまり、今回の『王子さま』にも言えることだった。
　それからは目的の教室まで誰とも会う事は無かった。

●Sleeping beauties into overdrive.
　教室内には３人の少女が居た。
「貴女、王子さまに迷惑をかけすぎじゃないかしら？」
　一人が単刀直入に、しかし荒唐無稽に火蓋を切る。
「そうよ。王子さまは孤高なのよ？　それを貴女が侵してもいいと思って？」
　もう一人がそれに乗るように捲し立てる。
「はじめまして。お話いいですか？」
　そこに本来なら有り得ない横槍が入る。慌てて声のする方、教室の入口を見るとそこにはアヤセが立っていた。
「な……だ、誰よ！？」
　驚きを隠せず震えた声を上げる少女。しかしそれを気にする風も無くアヤセは奥へと進む。
「そうですね……ピンチに駆けつける王子さま、でしょうか」
　アヤセは少女達に手を伸ばせば触れ合える距離まで詰める。その後をセナ、シル、チナが続く。
「私とそこにいるセナもよく王子様と言われる。貴方達は孤高の王子様が素敵だというけど、それは王子様の持つ一面。私とセナのように大事で心通うお友達と一緒にいて輝く素敵な王子様もいるんですよ」
　そう言いアヤセとセナは手を取り合う。
「うん、アヤセと僕はよく周囲から王子様と呼ばれた。でも特に特別扱いするのではなく、親しく接してくれる人が多かった。……前に孤高だったこともあったけどね」
　セナは手を握り返し、思い出すように目を瞑り言葉を繋ぐ。
「……」
　その言葉をどう取ったのか、少女達は繋がれた手を見つめていた。
　視線がニナから離れたのを見たシルは廊下に丸石を投げ、廊下に居る３人に知らせる。
「……こっち」
　音もなく教室に入ったシルフィアが教室に入りニナの手を引き廊下へ連れ出した。
「王子様かぁ、他人に自分の理想を押し付けるのは、ただのエゴじゃないかな？」
　自分から言い出したのでないなら特に、とシルが続ける。
「憧れの人なら……お二人も、声をかけてみたらどうですか？　……孤高じゃない王子様の魅力も、沢山あるはず、です」
　チナが恐る恐る言う。
「王子様の幸せを願うなら、お友達と一緒にいさせてあげたほうが断然いい。貴方達も王子様のお友達になって、身近で心おきなく話すほうが、遠くで見てるよりずっとよいと思わない？案外その方が理想の王子様って事もあるんですよ」
「君達から見たセーラさんは幸せそうだったろう？　あれが本当のセーラさんだ。君達がセーラさんが『孤高の王子様』である事が絶対幸せと信じる……果たして君達の理想の通りになったって、セーラさんは本当に幸せかい？」
　アヤセとセナが一石を投じる。多感な年頃であるからこそ、１つの魅力に惹かれ易くそれ故に他の魅力に気付けない。
「まぁ、『こうあって欲しい』っていう想いは分かるけどね。なら、孤高である彼女はずっと友達を作っちゃダメなのかしら？　ずっと貴方達の理想の為に、人生を投げ出さないといけないのかしら？　貴方達はこうして、友達と一緒に行動をしているのに」
　ミラは机に腰掛けたまま、顔は少女達を見ずに独り言のように言う。
「っ……」
　突き放すようなその言葉が少女達に突き刺さる。
「セーラさんの本当の姿に向き合って……それが君達のすべき事。違う？」
「私達がそうでしたからね。良く分かりますよ」
　互いの目を見つめ合うアヤセとセナ。
「っ……ぅ、あ……」
　自らの求めている事を理解した少女達は涙を流し泣き崩れる。
「泣くぐらいなら最初からしなければいいのに」
　嗚咽を漏らす少女達を冷ややかな目で見つめるミラ。手にはエマスのハイドウェポンで畳まれた大鎌が握られていた。
「ごめんなさい……ごめんなさい……！　わ、私……王子さまが居なく、なっちゃうんじゃないか、って……怖くて、不安で……！」
　嗚咽を漏らす少女達に変化が現れる。涙に濡れた顔は次第に仮面が現れだし、体にも変化が現れる。
「ニナさんが、うら、羨ましくて……王子さまに声を掛けるなんて、私なんかが、迷惑になるんじゃないかって……！」
　背中からデモンの翼を生やした少女は涙ながらに告白する。
　棘と少女達の想いが拮抗しているのだろう。顔を覆い隠す筈のマスカレイドの仮面は、半分だけ苦悶に歪む少女達を曝け出していた。
　先に動いたのはアヤセとセナだ。バトルガントレットの拳と鎌鼬がマスカレイド化した部位を襲う。
「う、これで少しおとなしくなって……！」
　優先すべきは少女達の生存。ここで命を散らしては説得の意味が無い。それ故にシルは魔力で作られた蜘蛛の糸を杖から放つ。糸はナイフを持つ少女を捉えるが拘束力は無い。
「さてと……殺さないよう、気を付けないとね」
　大鎌を振るう勢いで机を寄せながらミラも前に出る。本来なら後方からの攻撃が主だが、星霊を戦闘に駆り出す事に抵抗を感じていた。そして、手にした大鎌を回し守りの姿勢を取りつつも、一気に近付きデモンの翼目掛けて振り落とした。
　少女の一人が前に出てアヤセの死角から背中を突き刺すと同時に毒を流し込む。
　チナは前後の扉の中間、丁度少女達から開いている扉を遮るように位置していた。
　それは少女達の逃亡を阻止する為であり、外に居るニナへの攻撃を防ぐ為でもあった。
「余り、傷付けたくは無いのですが……」
　大小様々なトラバサミやマキビシを少女達の足元に投げ込む。投げ込まれた罠に吸い寄せられるかのように少女達の足は次々と罠を踏んでいく。
　デモンの翼が少女の背を侵食し混ざり合う。それと連動するように、翼から幾つもの光源が生まれ、机や床、天井を巻き込みながらエンドブレイカー達を貫いていく。
　少女達の涙は止まらぬまま、戦闘音に嗚咽は掻き消されていく。

●Rapunzel alone in the kitchen garden.
　シルフィアに腕を引かれ廊下に連れだされたニナは状況を理解出来ずに居た。
「え、えっと……失礼ですが、貴方達は……？」
　シルフィアとエマスを交互に見つつ最初に出たのはその一言だった。
「……エンドブレイカー」
　多くは語らず、必要最低限の言葉を告げるシルフィア。
「えっ……？　エンドブレイカー……？」
　驚くニナ。それもそうだろう。２年前にアクスヘイムを救った者達の総称であり、今は殆どが他の都市へ旅立っていった。アクスヘイムに残っているエンドブレイカーはほんの一握りなのだから。
「お嬢さん……ニナ、だったね。私達は君の理不尽な終焉を終わらせに来たんだ。ある程度の事情は知っている……だが、後１つ、パズルのピースが足りない」
　エマスはチラリと、教室内での戦闘を見やる。戦線はエンドブレイカー達が圧倒的有利に進めている。しかしそれで勝っても『大団円』とは行かないだろう。
「足りない……ですか？」
「王子さま……そう呼ばれているセーラという子はどんな子なんだい？」
　ニナはそう尋ねられ、答えようとするが留まり思い直す。『王子さまと言われるセーラ』ではなく本来の『セーラ・グランセリス』という少女について尋ねているのだと気付く。
「えっと……セーラさんは確かに『王子さま』って言われるようにカッコ良くて背も高くて、ちょっと近寄りがたい雰囲気はありますけど……ちゃんと話し掛ければ答えてくれますし、色々と教えてもくれますし……とっても頼りになる人です。あ、でも料理は苦手みたいで、よく私がセーラさんに教えてますね。それ以外だと殆ど私が教わっているのですけど……」
　少し照れくさいのか、最後の方は声が小さくなっていった。
「少し近づくと、王子さまという感じは和らぐということだね」
「えぇ。でもやっぱり、芯は確りとしてますから、王子さまっていうのも納得出来てしまうんです」
「他の子はそんなに親しくないらしいが……ニナは何が切っ掛けで仲良くなったんだい？」
「それは……えっと、セーラさんが、お弁当を作るのが大変だって言ってたので、なら自分のを作る時一緒に私が……って」
「お弁当を？　しかしそれだと」
「あ、いえ私姉弟多いんです。弟が３人居て。ですから、そこにもう一人増えてもそんなに手間じゃないんです」
　エマスの疑問に答えるニナ。セーラの事を話す彼女の表情は何処か楽しそうであった。
「そうか……。だが今回のように、周りはセーラの事を『孤高』とか『王子さま』という目で見ているようだが、ニナは何も思わないのかい？」
「それは……少し残念ですけど、でも仕方ないんじゃないか、って思うんです」
「ほぅ……」
　嬉しそうな表情から一転、少し困ったように言うニナ。その変化にエマスは関心を覚える。
（無条件で庇護するという訳でもなく一歩引いた見方も出来ているか……。……まぁ、マザーがあのアンジェラなら当然か）
　ニナとエマスの話を聞きつつ戦況を見つめていたシルフィアは思う。誰もがその様な考えを身に付ける事が出来れば、と。
「だが仕方ない、で終わっていてはいけない。改善策を考えたことはあるの？　例えば……そう、必要以上に壁を作っているセーラの振る舞いとか」
　エマスとニナの会話に割り込むシルフィア。その言葉は深くニナに突き刺さるが、お構いなしとばかりにシルフィアは言葉を続ける。
「親しくなった、というのなら、少しは相手に踏み込んで忠告なり助言なりした？　ニナの前だけでは、というのは確かにいいだろう。独占欲というのは誰にでもある。だがそれで満たされたから周りとの軋轢を見て見ぬふりをしていては、今回のような事がまた起きる」
　自分の事でもあるな、と自覚しつつも今は棚上げするシルフィア。
「変わるのはニナにだけだと、セーラから友達を作る楽しみを知れないだろう？　ニナがセーラにお弁当を作ってあげると話たように、セーラからも周りに歩み寄るよう手伝ってあげてはどうだろう？」
　エマスが努めて優しく言う。難しい事じゃない。自分が出来たのなら、セーラも出来る。そう伝えた。
「そう……です、ね。私だけじゃなくて、皆さんもセーラさんと仲良くなりたいって思ってる筈ですし……」
　こくこく、と頷くニナ。そして教室の様子を見ていたシルフィアが声を掛ける。
「頃合いね。行きましょう」
　見ると教室での戦闘は終りを告げていた。

●Farewell song.
　多くの修羅場を潜り抜けてきたエンドブレイカー達にとって、戦闘は容易なものだった。
　少女達の攻撃はどれも致命傷足り得ず、半分近くはアヤセとセナが真正面から受けきっていた。
　残り半分も、シルやチナの回復で事足りる。
　サクヤ姉弟は見た目も相俟って兄弟ように見られる事はままある。だからだろうか、今回の依頼には一際想いが強いのだろう。
「遠くで見ているだけじゃ物足りなくなったら……」
「一歩、近づいてみたらどうですか？　誰かに当たるんじゃなくて、輪の中に入って行く。そういう接し方もあると思いますよ」
　戦いの最中、ナイフをバトルガントレットの甲で受け止めて真正面から見つめる。その凛とした瞳は、セーラとはまた違った「王子さま」を感じさせる。
「悪夢から目覚める為に、今はお休みなさい……」
　シルの妖精がデモンの翼を生やした少女の頭上を舞う。キラキラと輝く粒子は眠りを誘い足元から崩れ落ちる。
　残るはナイフを持った少女のみ。チナもミラも、少女を傷付けたくないという思いからか防御に徹する。ならばもう一度、とシルが思っていると後方から鍵が飛来した。
「ッ……！？」
　シルフィアの投げた魔鍵が少女の影に突き刺さり、動きを封じた。それと同時に、仮面の割れる音がし、エンドブレイカー達の勝利が確定した瞬間だった。
　棘が消え去ったのを確認し、少女達を解放するシルとシルフィア。２人は憑き物が落ちたようにニナに謝り続けていた。
「もう、いいんですよ。お二人の気持ちも分かりますし……。それに、私の方こそごめんなさい。セーラさんは皆さんが憧れている人だっていうのを知ってて、独占するようなことをして」
　怒られると思っていた少女達はニナが頭を下げたのを見て目を白黒させていた。
「それだけセーラさんは魅力的なんですよね。寧ろ私が、セーラさんの隣に居させて貰えるだけでも嬉しいことです。あと……もし良ければ、お二人もセーラさんとお友達になって頂けませんか？　セーラさん、余りそういうのには無頓着な所がありますので」
　泣きじゃくる２人の頭を撫でるニナ。そしてその提案は、少女達にとって驚きと喜びを齎す物だった。
「あ、そういえばあの人達は……？」
　２人を慰めていたニナは教室を見回す。夜の帳が下りかけている教室には、自分達３人しか居らず、いつの間にかエンドブレイカー達は姿を消していた。

●Princesses of complete darkness.
「お疲れ様です、氷姫と皆様方」
　正門から出たシルフィア達を待っていたかのように声が掛かった。
　振り返るとそこにはマザー・アンジェラが門に隠れるように立っていたのだ。
「エンドブレイカーとして、我が校の生徒をお救い頂き感謝の言葉も御座いません」
「……何も語らず、それでいて全てを知っているかのように……。貴女のやり方は昔と変わってないわね」
「そういう氷姫は、随分と変わりましたね。外に出て、多くを失い、より多くを得ましたか？」
　棘のあるシルフィアの言葉に笑顔で返すアンジェラ。その言葉にシルフィアは首を振る。
「違う」
「ふふっ。何も失わず、多くを得ましたか。……やはり貴女は射干玉ね」
　短い否定。それだけで伝わったのだろう。シルフィアの表情は僅かながら揺らいでいた。
　その答えに満足したのか、アンジェラは校舎へと戻っていく。
「それでは、皆様方の旅路に幸多からんことを」
　一度振り返り、笑顔で送り出すマザー・アンジェラ。その姿が見えなくなってから、エマスはシルフィアに尋ねた。
「シルフィア、あの女性は一体……？」
　シルフィアの事を知り、尚且つエンドブレイカーであることを看破した女性。その事に疑問を抱くのは当然と言えよう。
「……ここの生徒だった頃の、担任なのよ。シスターというのは教師という意味。マザーは校長よ」
「そんなに凄い人だったのかい！？」
　驚きの声を上げるエマス。そして次に向く興味といえば……。
「さて、夜になってきたし、帰りましょうか」
　そう言いスタスタと進むシルフィア。結局、学生時代の話は聞くことなく帰路に着く事となった。



冒険結果：成功！    </description>
    <dc:date>2013-05-19T15:29:52+09:00</dc:date>
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    <item rdf:about="https://w.atwiki.jp/sikikagura_wiki/pages/39.html">
    <title>七つの大罪～憤怒～</title>
    <link>https://w.atwiki.jp/sikikagura_wiki/pages/39.html</link>
    <description>
      【オープニング】
●You guilty
　ラッドシティの街中、犯罪課に所属する初老の男は今日も巡回をしていた。
　エンドブレイカー達により、エリクシル争奪戦が集結し、紫煙の木も無くなり、ラッドシティに本当の平和が戻りつつあった。
　しかしそれでも、未だに事件は無くなることはない。
「ドロボーッ！」
　近くの見せから怒声が飛ぶ。振り返ると同時に１人の男が脇を通り抜けていく。その後を追うのは店主らしき小太りの男性。
　初老の男はすぐさま逃げる男を追いかけた。
　人混みをかき分け、裏路地を駆けまわり、漸く袋小路に追い詰めた犯人を初老の男は知っていた。
「スペッサルト……お前か」
「エ、エスメルか……。いや、これは違うんだ、ほんのちょっと腹が減って、つい魔が差して……」
　追い詰められた男、スペッサルトは手にしたリンゴを見てまくし立てるように言う。
　エスメルと呼ばれた初老の男は髭を指で撫でながら近づいていく。
「ま、待て！　待ってくれ！　ほんのちょっと、ほんのちょっと魔が差しただけなんだ見逃してくれ！　金は働いてちゃんと返すから……！」
「スペッサルト。お前は前に不法侵入と窃盗、器物破損で捕まり、牢に入り、３日前に出たばかりだ……」
「そ、そうだ！　出たばかりでまだ働き先も決まってない！　金も無くてメシも食えねぇんだ！　だからお願いだ、見逃し……」
「黙れ！　貴様のような屑が居るからこそ、平和は訪れないのだ！　貴様のように同じ過ちを繰り返す者に生きる価値など有りはしないっ！」
　スペッサルトの言葉を遮り、憤怒の表情で腰に指していた剣を抜き取ると同時に一閃。
　袋小路には声を漏らす事もなく真っ二つに切り裂かれたスペッサルトだったモノが残されていた。
「これで少しは街も平和になるだろう……」
　マスカレイドの仮面が消えると、その下には清々しい笑顔が浮かんでいた。

●I&#039;m justice
「というのが、私の見た内容よ」
　月の箱庭・シルフィア（c01856）が喫茶店「ミミ」に集まったエンドブレイカー達に告げる。
「犯人はエスメルという騎士。ラッドシティの犯罪課に所属している……いわば同僚よ」
　エンドブレイカー達は現在も、ラッドシティでは犯罪課に所属していることとなっている。
「エスメルの仕事は警邏……つまりその場で問題があったら直ぐに対処するために街中を見まわるのが仕事よ」
　今回の事件はその警邏中に起きるようだ。
「エスメルは正義感の非常に強い、滅私奉公が服を着ているような人物らしいわ。まぁ、行き過ぎた正義という事でしょう」
　エスメルは年老いても尚力は衰えておらず、経験豊富な事もあり騎士団の中でもかなり優秀な人物と言われているそうだ。
「怒りに我を忘れる事は無さそうね。怒りを持ちつつも、頭の中は冷めきっているような。かなりの強敵よ」
　シルフィアが言うには、剣と群竜士の力を使うようだ。
「エスメルの標的は常に犯罪者。今はまだ常識の範囲内での犯罪者を狙ってるけど……。でも何れ、ほんの小さな罪も対象になりかねない。最善は倒すことだが……致命傷を与えることが出来るだけでもいいかもね。老体だし、そう簡単に治りはしないでしょう」
　ほんの小さな罪……つまり、少し騒がしくしただけでも、「他者への迷惑行為を平然と行う者」として断罪されかねないということだ。
「今から行けば……追い詰めた所に間に合う筈。それから、犯人を確保し、エスメルを倒し、確保した犯人を他の騎士に突き出せば終わりよ」
　簡単に言うが、要は護衛対象を避難させること無く敵を倒せ、ということだ。
「言うは易く行うは難し……ね。当然私も行くけど、出来ればあと数人、手を貸して欲しい」
　そう言い、シルフィアは強力を仰いだ。

【リプレイ】
●Justice excessive
「もう逃げられんぞ！　覚悟せい！」
　男の怒声が路地裏に響き、背を向けた男がビクッと肩を震わせ振り返る。
「まさか、な……。スペッサルト……お前か」
　少し悲しみを乗せた声を、スペッサルトは気づかぬまま安堵を漏らす。
「エ、エスメルか……。いや、これは違うんだ、ほんのちょっと腹が減って、つい魔が差して……」
　手にしたリンゴを翳し言い訳を立て並べるスペッサルト。それを見ながら徐に近づくエスメル。その姿に言い知れぬ恐怖を感じたのか、スペッサルトの顔は青ざめる。
「ま、まっ――」
「ちょっと待って！」
　そこに、本来なら現れる筈の無い者、エンドブレイカー達が到着する。
「どうしたんですか、何かあったんですか？」
「何でもない。今からおじさんが悪い人を懲らしめるだけじゃよ」
　スペッサルトとエスメルの間に割り込んだ戦友と共に歩む・イチハ（c01807）の問に答えつつ抜剣。
「た、助けてくれっ！　殺されるッッ！」
　イチハの背に隠れるようにしがみつくスペッサルト。
「いきなり剣を抜いて襲い掛かるなんて穏やかじゃないね」
　背中から世界樹の妖精術士・シル（c25139）の冷ややかな声が掛かる。
「何も知らない人が見たら、ただの人殺しに見えちゃうよ？」
　しかしエスメルはフッ、と短く漏らすだけで動きを止めない。
「さぁ、退きたまえ。悪いのはその男だ。キミじゃあない」
　優しい声で話すエスメル。それでも退く様子を見せないイチハに、ため息混じりに言い放つ。
「やれやれ……。どうやらキミも、『悪い人』のようだね」
　剣はスペッサルトではなくイチハめがけて振り下ろされようとしていた。
「悪事を許せぬのは私とて同じ事」
「ほぅ……ならば何故前に立つ？」
「過ちを償う機会も与えずに殺して終わらせてしまうのは、専横というもの」
　イチハを守るように、剣を持つ手を掴むのは猛る烈風・アヤセ（c01136）だ。
　その間にスペッサルトを袋小路から逃すイチハ。勿論、エスメルがそれを逃す筈もなく。
「悪いことしてる人は、確かにおしおきしなきゃいけないよ」
　シルがその視線を塞ぐように立ち、視界の端にバトルシスター・ウォルター（c28226）がムーンカーテンでスペッサルトを昏睡させるのを見届ける。
「でも、それで命を奪うのは、行き過ぎだと思うよ。それがたとえ正義の為だとしてもね！」
「正義、か……」
　その言葉を聞いたエスメルは遠い目をする。しかしそれも一瞬の事。
「フッ……。どうやら、口で言っても通らぬようだな」
　剣を収めたエスメルはその身に闘気を漲らせる。老いて尚現役と謳われるだけあり、その威圧感は中々のものであった。
「スペッサルトの保護、完了した。今は我が友等が見張っている」
　戻ってきたウォルターがエスメルに聞こえないように呟く。
「先ずは礼を言おう。このラッドシティを守り抜いてくれた者達よ」
　顔半分をマスカレイドの仮面で覆われたまま、エスメルが述べたのは感謝の言葉だった。
「長老衆の妄言、と思っていた者達とこうして会うとはな……。先ずはお前達を、公務執行妨害罪にて処罰する……！」
　その言葉が始まりの合図だった。

●Righteous indignation
　先手を取ったのはアヤセだ。エスメルを真正面から向き合い、バトルガントレットの掌が輝きを増していく。
「理不尽な暴力で人の命を奪って、正義がありますか？」
　真っ直ぐに、エスメルを射抜くように見るアヤセは掌底を打ち付け、イチハが竪琴を弾き力を溜めつつ戦意を奪っていく。
　直撃を受けても姿勢は揺るがず、抜剣した剣にオーラが纏わり付く。振るうは一撃、構えは必殺の為の布石。
「フンッ、ハァッ！」
　バトルガントレットで剣戟を受け止めるアヤセ。
「いかん、もう始まっていた！」
　丁度その時、野暮用で遅れていたにゃんこ神楽神官・エマス（c30188）と喫茶店ミミの女店主・リムィリファルァ（c32636）がノソリンに乗って到着した。
「……みんなごめんなさい。ちょっと、どうしても外せない急用ができちゃってね。埋め合わせは終わった後にお店でサービスさせてもらうわよ」
　騎乗したままリムィリファルァは言う。憤怒に満ちた視線を向けられても表情は揺るがない。
「ならば聞こう！　正義だけで平和を守れるのか！　正義で裁けぬ悪を何とする！」
　それは正義であることに誇りを持ち、信念を掲げた者の咆哮。
「独善的な正義感など、ただの暴虐に過ぎぬ。誇りの無い、唾棄すべき蛮行だ」
　言葉は冷たく鋭利に、表情は喜々として返すのはウォルターだ。
　ムーンブレイドから流れ出る魔力が月光を創り出しエスメルを夢へと誘う。
「それがどうした」
　関係ない、とばかりに月の箱庭・シルフィア（c01856）がソーンで具現化させていく。作り出された毒矢と触手がエスメルを襲う。
　続けてシルが祈りを込めた世界樹の弾丸をエスメルの急所へ精密に撃っていく。
「誰かが止めてあげないと……あの人は罪をこの後も重ねていくわ」
　リムィリファルァは一瞬、後方に居るエマスを見やるが、直ぐにノソリンを走らせエスメルに突撃する。
「ぬぅっ、付け上がるなっ！」
　突撃してきたノソリンをサイドステップで避けた直後、光の本流が体を貫く。
「読み通りだな……！」
　神鏡を手にしたエマスがニヤリと口を歪める。リムィリファルァの攻撃が外れようとも、当たろうとも、どちらにも対応出来るよう予め構えていたからだ。
「今のやり方はもう、只の殺しでしかない。犯罪者と殆ど変わりないな」
　その身の過去がそうさせるのか、淡々と短くエマスは言い放つ。
「ならば何故、人は罪を重ねる！　過ちを償う？　そこで眠りこけている男は不法侵入、窃盗、強盗、詐欺、暴行、幾度と無く罪を犯し、そしてその度に償いまた罪を重ねた！」
　エスメルは怒った。義憤故か、正義感故か。
「いや、その男だけではない！　ワシは何度も見てきた！　幾度と無く罪を犯す者を！　そのような者達を野放しにしては、市民の平和は何時まで経っても守る事は出来はせんのだっ！」
　怒髪天の如く怒りを顕にするエスメル。そしてその怒りは剣に宿りリムィリファルァを襲った。
　咄嗟にノソリンが鎧に守られた尾で防ぐが、叩き割られそのまま下段まで斬られる。リムィリファルァとエスメルは一瞬だけ互いの顔を見た。貌に浮かぶは怒り。しかし瞳に映るは怒り以外の何か。
「人は必ず立ち直れる素質が――」
「あるとでも言うつもりかっ！　ならば何故、同じ罪を繰り返すっ！」
　堂々巡り。人の可能性も、過去の罪の数を持ち出し否定する。否、過去の罪の数があればあるほど、救済の可能性が遠のき、霞む。
「あの人は皆がちゃんと捕まえて、然るべきところに突き出して、然るべき罰が下されるでしょう。……それよりも、誰よりも罪を憎む貴方自身が、どうして罪を犯そうとしてるんですか？」
　イチハが怒りを鎮めようとフレンドメロディを奏で、ウォルターが自身とエスメルに月光のカーテンを編み、包み込む。
「例えそいつが裁かれたとしても、それだけで全ての悪が無くなる訳ではなかろう。だからこそ、ワシはこうするのだっ！」
「ならば今ここで倒されようと、文句はあるまい？」
　ソーンで出来た瞳がエスメルを見つめ、そこから同じくソーンで創りだされた槍が雨のように降り注ぐ。
「あぁ！　そうだとも……！　何れワシは見窄らしい最期を迎えるだろう。その覚悟はとうの昔に出来ておる！」
　エスメルの覚悟の前ではどんな言葉も届かず、ソーンの檻から繰り出される攻撃を全身に受けつつも、未だ疲労は伺えない。
「まずは、動きを止める！　ニルちゃん、撃ち抜くよ！！」
　シルが三度祈りを込めた世界樹の弾丸は二度、三度とエスメルの体を打ち抜き、自由を奪う。
　続けて蛙と鶴の折紙符が数体エスメルへ、兜の折紙符はエマスの手に残される。
　リムィリファルァが放つ不可視の衝撃がエスメルを襲う……が、依然致命傷には至らない。
「貴方の道行きはここで終わりです。貴方の本当の願いは、私が受け継ぎますよ」
　アヤセが竜の力を宿した手足でエスメルを捉え、激しく打ち付ける。
「ワシの本当の願いだと！　貴様らにそれが理解出来て堪るかぁっ！」
　攻撃を受けつつもエスメルの気迫は更に強くなっていく。
「残念には思うが、我らには我らの為すべき事がある」
　ウォルターが毒針を飛ばすが、軽く剣で全て叩き落された。
「……貴様らの言いたい事はそれだけか？」
　毒針を叩き落としたエスメルは静かに呟く。怒りは鳴りを潜め、凪のように表情は変化しない。
「ワシにはまだやらねばならぬ事がある。今ここで倒れる訳にはいかんのだ！」
　刹那、裂帛の気合と共にエンドブレイカー達の中央に踊り出るエスメル。
「ぬぉぉぉぉぉっ！　先ずは小娘！　厄介なお前からだっ！」
　狙うは必殺、倒すは後衛。溜めに溜めた力を拳と脚に乗せ、シルとウォルターを襲う。必死にダメージを抑えようとするが、猛攻の前では蟷螂の斧と言えるだろう。
「くっ……仕留めきれんかったか…！」
　肩で息をするシルを見て舌打ちするエスメル。敵陣深く入り込んだからには一撃必殺。しかしそれが叶わなかったとしたら……。
　鈴音を響かせ舞うイチハが傷ついた仲間を癒し、シルは眼前に無数の漆黒のエネルギー球を創りだす。
「体勢なんて整えさせないよ！」
　手足を削りつつも何とか正面からの衝突を避けるエスメル。しかしそれでも、防具は削り取られ背中や腹部にも傷を負っている。
「まだ終わらんぞ？」
　シルの後方から投げ出されるシルフィアの魔鍵がエスメルの影に突き刺さる。
「我が名において命じる、ガルトゥース！」
　リムィリファルァが魔道書から封印魔術を喚び出しエスメルの体を術が侵食し、それに続くようにエマスも式神を折り放つ。
「ぐっ……」
　集中砲火を浴びるエスメルに次第に焦りの色が見え始める。終わりは近い。誰もがそう感じていた。

●Villain
　エスメルの体力は老体とは思えない程高く、あれから何度も集中砲火を受けても倒れる事は無かった。
「ボクはこれで最後です……！」
　イチハの舞が終わる。これで回復手段はシルフィアとウォルターの２人のみとなる。
「ありがとうございます！　お願い……当たって！」
　祈りを込めた弾丸がエマスに放たれるが、一太刀の下に叩き落されてしまう。だが同時に放たれたエマスの式神がエスメルに突き刺さる。
「ッ……これで終わりですっ！」
　アヤセの拳がエスメルの拳とぶつかり合う。互いの信念が拳に乗り鬩ぎ合う。
　その影に隠れるようにしてリムィリファルァがノソリンを突進させる。
「ぐっ……ぬぅぅ……！」
　ウォルターの毒針が目に刺さり、シルフィアの魔鍵が影を捉える。
「はぁ……はぁ……くっ！」
　漸く、エスメルに疲労の色が見え始めた。並の敵ならとうに倒れてもおかしくない筈だが、それでもまだ倒すには至らない。
「おのれ……ッ！」
　ギリッと奥歯を噛み締める。手足からは血を流し、腹はディスインテグレートにより大きく負傷している。
　エスメルは一瞬、路地裏を見る。スペッサルトは何処かに隠されているのか、一見しただけでは姿が見えない。そして、人の薄い場所を見つける。
「ハァッ！」
　剣を抜きシルフィアに斬りかかるエスメル。何とか魔鍵で受け止めようとするが、全力で振り下ろされる剣に押し負け、そのまま下段まで振り下ろし、そこから上段、袈裟に振るわれる。
「くっ……」
　そこに再び集中砲火を受けるエスメル。血を流しながらも辛うじて持ち堪えた。
「フ、フフフッ……！　ワシの勝ちだ……！」
　剣を杖にして立つエスメルは不敵な笑いを浮かべ、路地へと走りだす。
「待てっ！」
　エマスが追いかけるが地の利はエスメルにあるようで、曲がり角に入られた所で姿を見失った。その先には幾つもの分かれ道があり、血の跡も途中で途切れていた。見つけ出すのは不可能だろう。
　致命傷は与えたものの、撃破には至らなかった。しかしそれでも、当面の悲劇は回避出来たと言えるだろう。
「……とりあえず、終わった、わね」
　傷を癒しつつ、シルフィアが告げる。残るはスペッサルトだろう。
「後はスペッサルトを突き出すだけだな。こっちだ。我が友等が見張っている筈だ」
　そう言いウォルターはスペッサルトを隠している場所へと案内する。
　目を覚ましたスペッサルトは咽び泣きつつ感謝していた。
「ありがとう……！　君達のお陰で助かった……！」
　しかしエスメルからスペッサルトの罪状を聞いていたエンドブレイカー達の表情は浮かないままで。
「悪いことしているのは確かだから、ちゃんと罪は償わなきゃだめだよ」
　シルがスペッサルトを掴み言い放つ。その言葉を聞いたスペッサルトは真っ赤に咽び泣いていたのを一転、真っ青になっていく。
「え、いや、ま、待ち給えあれは……」
　しどろもどろに言い訳をしようとするスペッサルトを見たリムィリファルァが口を開く。
「生き延びることが出来たんですし、……１度良く考えて、身の振り方を考える。……それでいいんじゃないでしょうか？　……釈放された時はお店に寄って下さい。温かい食事をご用意して、お待ちしておりますわ」
「だから、このまま懲罰騎士団へ行ってもらうね！」
　そう言うとシルはエマスと入れ替わるように離れ、エマスとウォルターがスペッサルトの両脇を固め逃げれないようにする。
「ち、違うぞ！？　私は何もして……」
「いないと？　ならば今死ぬか？」
　苛立ちを隠すこと無くシルフィアが爪をスペッサルトの首へと向ける。
「っ……」
　漸く黙ったスペッサルトをエンドブレイカー達は連行していった。
　スペッサルトを犯罪課に連れていき、ウォルターがエンドブレイカーの事を知っている刑事見つけ出し、引き渡す。
「おじさんがすぐに立ち直れるように、ボクがいっぱいお祈りするからね！」
　刑事に連れて行かれるスペッサルトにイチハが声をかける。が、スペッサルトは振り返らない。
「……私はあれから……いや、もういいか」
　他の刑事を眺めつつエマスは誰にと無く呟く。その目は一体何を視るのか。
「……行きましょう、エマス。……また何か、考え込んでいるでしょう？　……とりあえずは、皆さんと「ミミ」で食事でもしましょうよ！　お詫びにサービスしないといけないしね！　エマス、手伝って！」
　エマスの腕を取り努めて明るくリムィリファルァが言い、ミミへの帰路へ着くエンドブレイカー達。日は沈み、夕餉の香りのある日常へと戻っていった。



結果：成功！    </description>
    <dc:date>2013-05-19T15:28:51+09:00</dc:date>
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    <title>喫茶店「ミミ」の1日</title>
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      ※オープニングは失われている※ 

【リプレイ】
●コスプレ喫茶ミミ？
「おかえりなさいませ、お嬢様！」
　エマスが入店してきた女性客に笑顔で接客していく。普段のスーツ姿から黒の燕尾服に黒の手袋とシックに決めている。
　続けて入ってきた男性客にはリムィリファルァが対応する。リムィリファルァも普段とは違い、メイド服を着て接客をしていた。ミニスカートとガーターストッキングの絶対領域に一部の男性の視線が集まっているのは気のせいだろう。
「……って何だババ」
　絶対領域から視線を上げた青年は何か言いかけたが何処からか来る重圧に口を噤む。
「お皿をお下げしてもよろしいでしょうか？」
　チナは食事を終えた客の皿を下げて行く。心なしか、客の視線が温かいような、そんな気がする。
「あの娘かわいいよなぁ……。妹って感じでさぁ」
　やっぱり見た目ということなのだろうか。保護者のような視線でチナを眺める客。
　現在、喫茶店ミミでは一風変わったイベントを行なっている。店員が執事やメイドに扮して接客をするというイベントだ。
　エマスは黒の燕尾服に手袋で執事となり、リムィリファルァはミニスカートのメイドで、チナは基本的なメイド服を着ている。
「……ははっ。それは面白そうですな。どうでしょう、今夜にでも……」
　女性客と談笑していたエマスは新しい客に気付き話を切り上げる。最後にそれとなく誘いを入れてから、だが。リムィリファルファの視線が痛い。物理的に痛くなりそう。
「んー…どれも美味しそうだなあ。…どれがいいと思う？」
　メニューとバルカン２匹を交互に見つつ悩むイチハの姿もある。鶏を模したポンチョを着ており浮いている感もあるが、その幼い外見もあり気にする人はいなかった。
　ちなみにバルカン達はテーブルの下でじゃれていた。誰が置いたのか、紙袋の中に入り込んだりしている。それに気付いた客は萌え死にかけたとか何とか。
　注文を受けたリムィリファルファが厨房へ入ると、一人の男が入れ替わりにホールへ向かう所だった。
「今の所、何も異常は無い」
　リムィリファルファとすれ違いざまにクロウリーが耳打ちする。厨房や食料庫を見回っていたクロウリーはリムィリファルファと入れ替わり接客をしていく。ミミの制服を着ているだけだが、周りが執事にメイドという格好なので逆に目立つ。
　男はナイスミドルしか居ないせいか、女性客の年齢層はそう若くはない。稀に若い子や幼女も居るが。ナイスミドルを求める幼女というのはまた如何なものか。

●名台詞だけどさ……
　客足はそう多くないものの、途切れる事無く昼過ぎも続いていた。忙殺とは行かなくとも、忙しく接客をしている。
　エマス、リムィリファルファ、チナ、クロウリーの４人は接客をしつつも不審な客が居ないか目を配る。因みにイチハは昼前に出ていった。余り長く居座るというのも難しいからだ。
「ん……？」
　エマスが店の外を見ると１人の男が店の前を通り過ぎる所だった。それだけなら何の変哲も無い光景だろう。チナやクロウリー、イチハから「さっきから何度も見かける」という報告がなければ、だが。
　そこで敢えてリムィリファルファはエマスとクロウリーをバックヤードに下がらせてチナと２人で接客していくことにした。
　わざと人が少ないように見せれば、ということだろう。
　そうして、エマスは裏口付近に、クロウリーは厨房に隠れて様子を伺う。
「来た……」
　物陰に隠れたエマスが息を殺す。音もなく裏口から侵入した犯人。顔は見えないが、何度も店の前を通り過ぎていた者と同じ服装をしている。
　そして素早く厨房まで進み、棚にある食器を数枚手に取り懐から取り出した袋に入れる。売ってもそう価値のない品であり、正直盗む意味が感じられない。
　すぐさま出ようとするが、隠れていたクロウリーが後ろから声をかける。
「いらっしゃいませ、地獄の入り口へようこそお客様？」
　あくまで口調は丁寧に、それでいて手にした魔鍵はいつでも使えるように構えている。
「！？」
　振り返りクロウリーの姿を見ると驚く犯人。見た目は２０代の男だったが、エルフなので実年齢はもう少し上かもしれない。
「っ……」
　直ぐに逃げようとするが、既に後ろはエマスが塞いでいた。
「お帰りなさいませご主人様。オーダーはお決まりでしょうか？　本日のオススメメニューは『窃盗犯の自首』となっております」
　その台詞と同時にクロウリーがシャドウロックで犯人の動きを止める。
「さぁて、何で店の物を盗んだのか白状して貰おうか」
「私達は手荒な真似はしたくない。どうだい？　ここで全部話してもう二度としない、と約束するなら城塞騎士には何も言わないでおこう」
　クロウリーとエマスが犯人に問いかける。
「は……話せば……全部話せば……騎士にも……本当に騎士にも言わないで……くれるのか……？」
「あぁ、約束するとも。数日は、ここでタダ働きをして貰うかもしれないが、この事は誰にも言わない。だから話してごらん」
　念を押すように尋ねる犯人にエマスはなるべく優しく答える。
「だが断る」
「「ナニッ！？」」
「この俺が最も好きな事のひとつは自分よりも上の立場のやつに『NO』と断ってやる事だ……！」
　一瞬、その場に居た全員が濃ゆい顔になった気がしたのは気のせいか。犯人はキッパリとエマスの取引を断った。
「ならば仕方ないな。クロウリー、外にいるイチハに伝えてくれないか」
「……分かった」
「…………」
　城塞騎士に引き渡す事となってもドヤ顔の犯人。城塞騎士が来ても焦りを見せながらも決して動機については口を割らなかったそうな。
　こうして、犯人は捕まった。しかし犯行動機は遂に語られることが無いまま幕引きという奇妙な結果になってしまった。


冒険結果：成功！     </description>
    <dc:date>2013-05-19T15:27:54+09:00</dc:date>
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