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Scapegoat

百合×薔薇日和

百合×薔薇日和







「どうなのよ、有希」
 ハルヒのやつが――――、
 机に手をつき、その向こうの長門を睨んでいた。

 俺、即、退散。

 止めるべきなのかも知れんが…、ハルヒが長門に喰ってかかるとは珍しいものだ。
 なにをしたんだ、長門。
 ドアごしに会話を盗み聞く俺。
「ゆーきっ」
 ハルヒがバンバンと机を叩く。
 長門は無言。
 無言。
 無言。
 無言。
 むーっ。
 ハルヒが唸る。アヒル口が用意に想像できるね。
「いいじゃない、ちょっとぐらい」
「だめ」
 ごねるハルヒに即答する長門。
 …やれやれ、本当に、なにがあったんだか。
「ゆきー」
「だめ」
 ずるり、というような音が聞こえた。おそらくハルヒが机にへばりついたのだろう。
「ねえ」
「近い」
 …近い?
 ああ、ハルヒが長門ににじり寄っているわけか。ハードカバーでガードする長門がまぶたの裏に浮かんでくるよ。
「うー、言ってくれなきゃ、やっ!」
 やっ!ってオイ。
「だめなものはだめ」
 とりつくしまもない。
「いいじゃない、たまには…」
「だめ」
「ケチ!」
 今度はケチですか、ハルヒさん?
「言って!」
 と、ハルヒが更に駄々をこねはじめ、机バシバシをエンドレス。
 お前は子供か。というか、そろそろ止めに入るべきなのか。
 と、

 すうっ。

 パイプ椅子をひく音。長門が観念して立ち上がったのだ。
 大人だなぁ、長門は。
 確かにこのまま放置しておけば他の部員もゾクゾク現れ、三人がかりで向こうの様子を盗み聞きすることになっちまうからな。
 てくてく、長門がハルヒに歩み寄っていく。
 キラキラした目で長門を見つめるハルヒがぽんと現れる。
 近づいた、ということは、耳打ちでもするのだろうか。
 …俺が外に居ること、長門さんはご存知でしょうしね。
 しかしや、聴力検査に以上全くナシの俺の耳は長門の囁きをうっかりキャッチ。
 蚊の鳴くよりもささやかな、長門の呟き。























「すき」





















「『だいすき』、じゃなくて?」
「…不服?」
「うーん。…ま、いっか。有希、だいすき」
「……」
 ぼふ。
 ハルヒが長門に抱きついたようだ…って、ぇええええええええええええええ?!
「おや、ドアにへばりついてどうしました?気分でも悪いのですか?」
 黙れホモ泉!
「そんな暴言を吐かれるとは、あなたらしくないですね」
 うるさい、お前に俺のなにがわかるっていうんだ!
 古泉は苦笑しつつ肩をすくめて部室のドアノブに手をかけた。
「待て」
「なんでしょう」
「俺が先に様子を窺う」
 古泉は苦笑に好奇心を混ぜつつ俺に解放権を譲った。
 ちくしょう。俺は今心底まいっているんだが。





















 扉の向こうでは長門がハルヒを押し倒していました。
















 バタムと秒速で扉を閉め――――、
 俺、即、硬直。
 長門!!お前が攻めだったのか?!いやそういう問題じゃないが!!
「どうされました?顔色が悪いです、保健室に行きましょう。そういえば今日は保険医が休みだそうで…」
 ジーザス、クライスト!
最終更新:2007年02月18日 14:42