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Scapegoat

セカイの崩れる音

セカイの崩れる音








「離してください」
 掴んだ腕は、
 紛れもなく固い、男のもので、
「離してください」
 繰り返し吐かれた言葉と共に送られた睥睨は、同様に冷たく。
「僕は、行かなければならないんです」
 俺は今どんな顔をしてこいつの腕にすがっているのだろう。
「一刻も早く閉鎖空間に赴かなければ」
 こいつは今どんな想いで俺にすがられているのだろう。
「全て、貴方が悪いのですよ」
「貴方が彼女を裏切らなければ、こんなことにはならなかったのに」
「だから」
「離してください」
「離してください」
「離してください」
 ふ、と。
 固く作った表情が解けて、
 古泉が泣きそうになる。
「離して、ください…」
 俯いて、悲痛な声。
「…僕が、僕が、」
「彼女を…一番裏切っていたのは、」
「古泉!」
 衝動的に抱きしめる。俺より背の高い男を。
「離してください」
 次に目に入った古泉の顔は。
「行かなければ、ほら――――」
「世界の崩れる音がするでしょう」
 ぎゅ、と抱きしめ返され。
「これで僕はあなたのもの」
「あなたは僕のものだ」
「永遠に、ね」
 邪気の欠片もない微笑。

















超短編。出来があまりよくないと言い訳;
最終更新:2007年03月16日 13:19