重力元素(G-マテリアル)
[解説]
旧世紀の宇宙開発時代に発見された未知の新元素。
この物質は地球上には存在せず、合成による精製も不可能である。
この物質の成り立ちは諸説あり、いわく隕石同士の衝突時のエネルギーによって誕生する、いわく崩壊した惑星の核である、いわくブラックホール内で精製されるetc.etc.……
この物質は地球上には存在せず、合成による精製も不可能である。
この物質の成り立ちは諸説あり、いわく隕石同士の衝突時のエネルギーによって誕生する、いわく崩壊した惑星の核である、いわくブラックホール内で精製されるetc.etc.……
ともかく、どの元素ともかけ離れたこの物質は、特定条件下で重力波を発生させる特性から『重力元素(G-マテリアル)』と名付けられた。
そしてこの物質がなんなのかは解明されていない。解明されていなくても、重力制御機関および重力兵器には利用されている。
聖華世界においては宇宙開発自体が不可能であり、旧世紀に地球上に持ち込まれたごく僅かな物質が存在するのみである。
[発見と研究]
宇宙開発において、宇宙空間を漂うアステロイドは様々な鉱石の宝庫であり、重要な資源であった。その為、めぼしい大きさのアステロイドには必ず資源採掘の為の調査が行われたのである。
その中で、火星のアステロイド帯にて、非常に重要な物質が発見された。
その物質はこれまで全く発見されなかった未知の物質で、地球上に存在するあらゆる元素との共通項が一切無かった。
さらに、特定条件下に置かれた場合に限り、重力波を発生させる特性を有していたのだ。
その物質はこれまで全く発見されなかった未知の物質で、地球上に存在するあらゆる元素との共通項が一切無かった。
さらに、特定条件下に置かれた場合に限り、重力波を発生させる特性を有していたのだ。
この物質の発見は科学者達を狂喜乱舞させた。
なぜならそれは、宇宙開闢の謎を解く鍵となるかも知れなかったからだ。
まぁ、それを差し引いても、この物質の可能性は非常に高く、特に開発中であった重力制御機関(理論上ではすでに完成していたが、安定稼働させる為の物質の選定が遅れに遅れていた)を実現させる事に期待が高まった。
なぜならそれは、宇宙開闢の謎を解く鍵となるかも知れなかったからだ。
まぁ、それを差し引いても、この物質の可能性は非常に高く、特に開発中であった重力制御機関(理論上ではすでに完成していたが、安定稼働させる為の物質の選定が遅れに遅れていた)を実現させる事に期待が高まった。
結果は期待以上のものであり、これによって宇宙開発にも更なる発展を齎すだろうと、さらに研究は加速していった。
そして、当然のように、その物質の兵器転用も、また同時に進んでいった。
重力制御機関の完成に先駆ける事2年。
某国に所属する地球衛星軌道上の科学実験ステーションにおいて、重力制御機関の臨界暴走実験が成功を収めた。
この時のコントロールされた臨界暴走による破壊効果は、従来の戦略核兵器など遠く及ばないものであった。
某国に所属する地球衛星軌道上の科学実験ステーションにおいて、重力制御機関の臨界暴走実験が成功を収めた。
この時のコントロールされた臨界暴走による破壊効果は、従来の戦略核兵器など遠く及ばないものであった。
重力兵器の誕生である。
この出来事は世界中に衝撃を与えたが、皮肉にもそれによって齎された臨界暴走時のデータは重力制御機関の研究にも弾みをつけ、ついに実用型重力制御機関も完成したのだった。
[重力弾頭による北米大陸攻撃と、重力異常の発生]
重力兵器や重力制御機関の登場はそれまでの兵器群の在り方を一変させるほど大きな影響をもたらすことになった。
だがその一方で、重力制御装置を臨海暴走させることで甚大な被害を引き起こす重力兵器は旧人類たちにとっても、地球という環境にとっても取り返しのつかない重大な影響を及ぼすことになる。
ここでは、重力兵器の限度を超えた使用によって引き起こされ、その後数千年にわたって大きな影響を残し続けた重力異常について解説する。
ここでは、重力兵器の限度を超えた使用によって引き起こされ、その後数千年にわたって大きな影響を残し続けた重力異常について解説する。
旧世紀、世界各地において、互いに争い合いつつも繁栄を極めていた旧人類達であったが、ある時、彼らの使役する生体兵器が暴走、命令を受け付けなくなり、旧人類内の陣営を問わず、無差別に攻撃対象とするようになってしまう。
重力弾頭の大規模な使用による影響で北米大陸の上空8〜20km、成層圏と対流圏の境界付近に重力帯と呼ばれる広大な重力異常領域が出現。これは地表に住まう動植物に対して直接的に影響を及ぼすこととなった。
さらには、重力帯はその強い重力によって、重力レンズ効果を発生させ、地球を覆う磁力線にも大きな影響を与えてしまった。
地球の磁力線が歪んだことで、高エネルギーの荷電粒子を含む、地球に降り注ぐさまざまなな宇宙線・放射線をとらえることができなくなり、ヴァンアレン帯の一部が消失してしまったのだ。
さらには、重力帯はその強い重力によって、重力レンズ効果を発生させ、地球を覆う磁力線にも大きな影響を与えてしまった。
地球の磁力線が歪んだことで、高エネルギーの荷電粒子を含む、地球に降り注ぐさまざまなな宇宙線・放射線をとらえることができなくなり、ヴァンアレン帯の一部が消失してしまったのだ。
これにより、北米大陸全域が宇宙線に対して無防備になってしまったことで、地表の放射線濃度が跳ね上がることとなり、結果として地球環境は絶望的とも言える打撃を受けることになってしまう。
このような激変した環境下での生存は極めて困難であることを受け入れざるを得なかった旧人類達は、遥かな時間と地球の再生能力がこの難題を解決してくれることに一縷の望みを託し、コールドスリープに入り、環境の再生を待つことを余儀なくされることとなった。
また、重力帯は依然健在であり、高高度飛行は不可能であったものの、それでも重力帯出現当初にはその一部が地表面まで達していた影響圏は数千年の間に縮小しており、上空1km程度の高度より上空に上昇しさえしなければ、通常に生活可能な環境が取り戻されたのだ。
以上が、重力異常の原因である重力帯が発生した経緯である。
以後、重力帯は聖華暦400年代に起こった人魔大戦時期に突如消滅するまで、多少その規模を縮小させながらも存在し続けることになる。
この重力帯の消失については聖華暦830年代においても謎が多いが、「人魔大戦の直接の原因となった魔神デウスーラが何らかの方法で重力帯を消し去ったのだ。」というある種、荒唐無稽とも言える説以外にうまく説明することはできていない。
結局のところ、魔神デウスーラがいかなる方法を使用したのか、それについては定かではないものの、魔神デウスーラ復活に前後して重力帯が消失していることが、研究者達による観測気球などを用いた重力帯定期調査により確認されており、以後、聖華暦830年現在に至るまで、重力帯及び、重力異常は確認されていない。
[重力帯の性質]
ここでは簡単ではあるが、重力帯が持っていた性質について箇条書きという形で紹介する。
- 重力帯そのものは上空8〜20km程度の成層圏と対流圏の中間層に存在。
重力帯の範囲は北米大陸全土を覆うほど広大な上、さらに広大な影響圏が広がっているため、北米大陸から大きく離れない限り、側面から迂回して高高度や大気圏突破を目指す。というようなことは不可能である。
- 重力帯の影響圏は非常に広大で、重力帯発生初期には部分的に地表面にまで達していた。旧人類がコールドスリープより目覚めた時期には上空1km程度まで影響圏は縮小している。
- 重力帯の影響圏に踏み込んだ場合、地球の重力よりも強い力で上空の重力帯にむけて引き寄せられることになるため、地球の重力圏を突破できる推力を持たない場合には脱出不能となる。
この性質から、飛行能力を持つ機体を使用できたとしても安全に飛行するためには上空400〜600m 程度が限界高度とされる。また重力帯発生以後に開発された飛行能力を持つ機体は限界高度を知らせるアラームが標準装備されている。
- 重力帯は薄く広がっているものの、性質としてはブラックホールに酷似しており、突入すると無限に圧縮され、素粒子レベルまですり潰されると考えられている。
- 重力帯はその強い重力により、重力レンズ効果を生じさせる。これが地球の磁力線に影響し、歪みを生じさせたことで、宇宙線が地表面まで届くようになり、放射線濃度の上昇など地球環境の猛烈な悪化を招くことになった。
なお、余談ではあるが、魔神デウスーラによって重力帯が消失させられた後、磁力線やヴァンアレン帯は自然と元の形に復元されつつあり、それに伴って、降り注ぐ宇宙線もかなり低減しているのだが、スナフ王国の上空などに代表的される一部地域においては、地表面にこそ届かないものの、極点周辺のようにヴァンアレン帯にとらえられなかった僅かな荷電粒子が大気圏の超高層域に侵入しており、これら荷電粒子が酸素原子や窒素分子のイオンに衝突することで粒子の波長ごとに異なる光と共にジュール熱を発散させる現象、いわゆるオーロラが観測されるようになっている。
この現象は聖華暦830年代でも観測され続けており、本来観測されないはずの緯度にある地点でオーロラが観測される例が報告されている。