幼い時から人助けに関心があった少女は、夢に向かって努力し続け、希望していた医大に見事合格した。
合格の知らせを聞いた彼女が一番最初に思ったのは、幼いころに不慮の事故で父親を亡くし、女手一つで立派に育ててくれた母親のことだった。
高ぶる感情を抑えながら彼女は急いで帰宅し、母親に合格したことを伝えた。
涙を流しながら抱き合う母と娘。しかし、災厄は突然襲ってきた。
気を失う前に見たのは、小さな家の天井が丸ごと吹き飛んでいく光景。
気がつくと少女の周りは全て崩壊し、目の前には巨大な渦が轟音とともに奇妙な光を放っていた。
彼女は母親を見つけようとあたり見回すと、信じられない光景を目の当たりにした。
それは建物の下敷きになり、すでに息絶えていた母親だった。
彼女は狂ったように泣き叫びながら母親を助け出そうと瓦礫をどけようとしたが、ビクともしなかった。
そして、彼女の悲痛な叫びをかき消すかのように巨大な渦は少女を飲み込んでいった。