*&color(red){三年間の幸せ ◆ZbL7QonnV.} ……死んだはずだった。 たった三年間の寿命を終えて、彼女は死んだはずだった。 今でも、はっきりと覚えている。 幸せだった、と。 ジョシュアに出会えて幸せだったと、人として生きる事が出来て幸せだったと、そう言い遺して彼女は眠りに就いたはずだった。 「ラキ……」 胸に、微かな痛み。 ああ、まだ自分は彼女の事を忘れてはいない。 彼女と共に過ごした日々を、そして彼女を失った悲しみを、まだ自分は忘れていない。 ジョシュア・ラドクリフは――グラキエースを、愛している。 彼女と共に過ごした時間は、彼女の寿命が尽きるまでの三年間。決して、長い時間ではない。 だが、彼女との思い出は、それこそ星の数ほど無数にあった。 何気無い一日の繰り返しが、彼女と共に過ごした穏やかな日々の積み重ねが、ジョシュアには何よりも大切な宝物だった。 そして、きっと彼女にとっても。 だから、彼女は笑って眠りに就いたのだ。 彼女と過ごした日々が幸せだったからこそ、ジョシュアもまた微笑み彼女を見送ったのだ。 だが―― 「生きて……いるのか……?」 このバトルロワイアルの会場に降り立ってから、懐かしい感覚が彼を襲っていた。 ジョシュア・ラドクリフの中に溶け込んだ、グラキエースの心の欠片。それが、再び目覚めようとしていたのだ。 ……彼女が死んでから、ずっと胸の奥で燻っていた喪失感。だが、今はそれを感じない。 そう、グラキエースは生きている。 この、殺し合いが行われている世界の中で。 ならば、どうする? 俺は……。 「……逢いに行くよ、ラキ」 胸の中で騒いでいる、冷たく澄んだ彼女の心。 それを確かめるように、ジョシュアは胸元に手を置き言う。 どうして死んだはずの彼女が居るのか、その理由は分からない。 だが、彼女が生きているならば、自分の為すべき事は決まっている。 そう、逢いに行くのだ。 繋がり合う心の糸を手繰り寄せ、必ず彼女に辿り着いてみせる―― 「……誓ったからな。俺が、君の居場所になると」 だから、俺は彼女に逢う。 そう誓って、ジョシュアは機体に乗り込んだ。 【ジョシュア・ラドクリフ 搭乗機体:騎士機ラフトクランズ アル=ヴァン機(スーパーロボット大戦J) パイロット状況:良好 機体状況:良好 現在位置:D-2 第1行動方針:グラキエースとの合流 最終行動方針:ゲームからの脱出 備考:グラキエースとの精神共感 ラース・エイレム使用不可能 オルゴンソードFモード使用可能(クロー、ライフルはFモード使用不可能)】 ---- |本編14話|[[アンチボディ、二体]]| ----