ID:QBvhfXCw0
【とある音声日記】
私の世界はずっと真っ白でした。
空の青。木々の緑。――どんな色か私は知らない。
私の世界はずっと真っ黒でした。
風のさみしさ。雪の冷たさ。――それしか私は知らない。
私には太陽の色がどんな色かわかりませんでした。
私には海の色がどんな色かわかりませんでした。
私には世界の色がどんな色かわかりませんでした。
私の中には二色のクレヨンしかありません。
虚無の白と絶望の黒だけ。
でも――
あの人は私に教えてくれました。
空はドキドキする色。木々はワクワクする色。
真っ白だった私の世界に色が生まれました。
風は気持ちのいい色。雪はちょっぴり切ない色。
真っ黒だった私の世界に色が生まれました。
あの人は私に語りかけてくれました。
太陽は暖かい色だと。
海は優しい色だと。
世界は楽しい色だと。
たくさんの色をあの人は教えてくれました。
私の中にクレヨンが増えました。
あの人は言いました。
色がわからないなら教えてやると。
色が無いなら作ればいいと。
私は彼からたくさんのクレヨンをもらいました。
そして今、私の中の世界はいろいろな色に満ち溢れています――
そして今、私の中の世界はいろいろな希望に満ち溢れています――
「なにやってんだ?」
「な、何でもありません。それより今日は休日なのでどこか出掛けませんか?」
「そうだな……。たまには公園でのんびりでもするか。」
「いいですね。今日はお日様もぽかぽか暖かいですから。」
「よし。じゃあ、行こうか。」
―――私に色をくれて、ありがとう。―――
【映画】
「~♪」
「珍しいな。なに聴いてるんだ?」
「これですか?お姉さんが『いい曲だから聴いたほうがいい』ってくれたんですが。」
「ふ~ん。どれどれ?」
「英語の歌詞だからよくわからないけど……いい曲ですね。」
「これは……」
「知ってるんですか?」
「うん。とても古い映画……。俺が子供のころに初めて見た映画の曲だ……。結構有名な映画なんだけど、知らない?」
「ん~。私自身、こんなんですし、ちょっとわからないですね。」
「あ……。ごめん……」
「気にしないでください。それより、どんな映画なんですか?」
「あ、うん。子供のころに一回だけしか見たこと無かったからあんまり覚えてないんだけど……。
え~と、田舎に住んでる四人の少年がね、夏に冒険に出掛けるんだ。
冒険といっても、一泊二日で線路づたいに森の奥に入って死体を探すたびでさ。
四人とも心に傷を持っててさ。時には衝突しながらも冒険は続いて。線路歩ってたらいきなり列車が来たりして結構ドキドキしたなぁ……」
「ふふ……」
「な、なんだよ急に笑い出して。」
「いえ、本当にその映画が好きなんだなぁって。」
「なんだでろうね。自分でもわからないけど、なんか心に残ってる。」
「お姉さんがこの曲を薦めてくれたのも、今ならわかる気がします。」
「……」
「……」
「ね。これから、ちょっと隣町まで歩きません?線路沿いに。」
「……うん。いいね。でも、死体を見つけるのは勘弁だぜ。」
「残念でした。私は見えないから平気で~す♪さあ、早く行きましょう!」
~了~
866 名前:VIP足軽roop [sage] 投稿日:2006/11/20(月) 22:33:19.84 ID:QBvhfXCw0
シリアス物andキャラがだいぶ変わってるので苦手ならスルー推奨
【不安】
「ん?どうしたんだ?今日はウチの弟と一緒じゃないのかい?」
「あ……どうも……」
「なんかしめっぽいね。ウチの馬鹿がなんかやらかしたんかい?」
「あ、いえ。そうじゃないんです。ただ……」
「理由ありっぽいね……。あたしでよければ相談に乗るよ」
「……。……時々思うんです……。なんで私なんだろうと。あの人は私に優しくしてくれる……。でもそれは別に私じゃなくてもいいんじゃないかって。
私にはただ、同情したから優しくしてるだけじゃないかって。もし……。もし私より以外に苦しんでる人がいたら私なんか見捨てられてしまうのかもしれないって。
私は、彼の優しさが怖い。彼の優しさがなくなってしまうのがたまらなく怖い。そんな風に考えてしまう醜い自分がいることがたまらなく……怖い」「……」
「……私って最低ですね……」
「……あんたはさ、もし、アイツが耳が聞こえなかったら見捨てるか?」
「……」
「どうだ?」
「……見捨てません」
「どうして?」
「どうしてって……。その……。好きだから……じゃだめですか?」
「その通り。その、“好きだから”だよ。ウチの弟がアンタを構ってるのもさ。アタシは、さ。一応小さい頃からあの馬鹿の姉やってるから、
それこそアイツの癖からエロ本の隠し場所まで何でも知ってるつもりだけどね。
アイツはさ。ただ、アンタのことが純粋に好きなんだよ。アンタがアイツを好きなようにね。
アイツは馬鹿だから、同情とかそんな難しい理屈なんか考えてない。ただ、息をするように、瞬きをするように、それくらい普通にアンタのことが大好きなんだ。
だからアンタが盲目であろうと、健常者であろうと、ロボットであろうと、アンタがアンタであるならばアイツの前では全部無意味だなんよ」
「……」
「だから、さ。そんなチンケな悩みなんて抱えてないで、素直に甘えときな。大丈夫。アンタは同性のアタシから見ても
羨ましいくらいカワイイし、肌だって出来ればアタシと取り替えてもらいたいくらいだよ。
それにあの馬鹿のモロタイプだからアレが他の女に靡くなんて考えられないよ。第一、そんな器用な男でもないしね。その点はアタシが保障する。
……あーもーこの肌!無駄にピチピチぷにぷにしてて!どーせ水を弾きまくるんでしょ!このこの!」
「お、おねーひゃん。い、いひゃいれひゅう……」
「ふう……。と・に・か・く。そんなことだから、元気だしな。アンタがそんな調子だとあの馬鹿が心配するからね」
「……はい!」
「うし。じゃ、相談ここまで!何が食べたい?」
「え?」
「未来の義妹のために今夜はうんと奮発するよ」
「そ、そんな……未来の義妹だなんて……」
「うひひひ……で、どうなんだい?実際どこまで進んだんだい?A?B?まさかもうCまでいっちゃった?」
「そ、それは……」
「ま、いいけどね。ちょっとひとっ走り買い物に行ってくるからさ。留守番頼むよ。すぐにあの馬鹿もかえってくると思うしさ」
「あ、はい。……。……あ、あの!」
「ん?」
「ありがとうございます」
「ん。どーいたしまして。じゃ。」
「……ありがとうございます」
【不安 おまけ】
「ん~ふふ~♪さてと」
「さてと」
「……なんであんたが車に乗ってるんだ?」
「姉の買い物に付き合うのは妹として普通のことですけど?
それに、お姉ちゃんはいつも大量に買い込んでしまいますからね。荷物の持ち手も必要でしょ?」
「ま、いいけどね。で?お駄賃は?」
「メロンパンで」
「りょーかい」
「……」
「……」
「……ずいぶんと暴論でしたね」
「……まあ、ね。」
「でもお姉ちゃんらしかった」
「……あの娘たちがこれから付き合っていくにはまだまだ障害が多すぎる。悩むこともこの先ずっと多くなるだろうさ。
もしかしたら解決できないこともあるかもしれない。でもそれを少しでも軽くしてやれるなら、ってね。
それが未来の義姉の役目だろ?」
「そうですね。そして、未来の義妹である私の役目でもある」
「あんた……」
「お姉ちゃん一人でかっこつけようなんてそうはいきませんよ?
それと、最後のほうはただのセクハラ親父です。そんなんだから、男に逃げられるんです」
「余計なお世話だ!ったく、こんなこにくたらしくなって、誰に似たんだか……」
「さあ?だれでしょう?」
~了~
875 名前:VIP足軽roop [sage] 投稿日:2006/11/20(月) 22:42:21.37 ID:QBvhfXCw0
書いててやっぱり自分は健常者だと思った。盲目の人が抱えてる闇がどのくらい深いのかわからない。
だからどんな不安があるのかもわからない。書いたのがまったく見当違いなのかの知れない。
でも、自分なりに考えて書いたつもり。それでも気分を悪くされた人がいたらごめんなさい。
最終更新:2006年11月22日 14:32